JPH09503679A - 心臓手術用補てつ輪 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 縫合手段を構成する織物状シース（５）内に挿入された芯体（４）を有する輪（２）。この芯体（４）は、少なくとも１つの比較的硬質な部分（４ａ）と、この部分に対して可撓性の大きな部分（４ｂ）とを含む。本発明によれば、芯体（４）の横断面は、輪（２）の円周に沿って変化している。即ち、より可撓性の大きな部分（４ｂ）において横断面が最小となり、それによって輪が十分な可撓性を持ち、心臓壁の動きを妨げることがない。

Description

【発明の詳細な説明】 心臓手術用補てつ輪 本発明は、心臓手術用、特に、僧帽弁、三尖弁、大動脈輪形形成術用の補てつ 輪に関する。 通常の僧帽弁、三尖弁、または大動脈弁においては、弁を取り囲む線維性筋性 輪の中心において小弁が重なり合い、それによって、弁の不透過性を確実にし、 心室から心房へ、または大動脈から心室への血流を調整している。 種々の条件によってこれらの輪が変形または拡張することがあり、弁の閉塞性 即ち血流調節の欠陥をもたらす。 輪の変形しただけの場合に関する限り、あまり重大ではないので、弁を全て置 換するのではなく、再構成する輪形形成術を施すのが好ましい。 この目的のために提供される補てつ輪は、血液適合性の織物状材料からなるシ ースに被覆された芯体を有し、この芯体は、変形または拡張した本来の輪を縮小 させるのに十分な硬さを持ち、可能な限り弁の自然な開閉動作を妨げないように されており、シースを介して、この補てつ材（プロテーゼ）は心臓または大動脈 の壁面に縫合することが可能とされている。 最近２０年ほどの間に、補てつ輪の数種のモデルが発展してきている。 最初の埋め込み具（インプラント）は、硬質で、輪状または部分的に輪状をな した埋め込み具であり、例えば、米国特許３６５６１８５号（カーペンティア(C ARPENTIER)）に記載されている。 これらの輪は硬質であるため、拡張した本来の輪を縮小させて満足な形状を回 復させることができる一方、その後の僧帽弁及び三尖中隔弁の可撓性を失わせる という欠点も持ち、このことによって、これらの弁の機能障害が生ずる可能性が あった。さらに、これらの硬質輪を持つ補てつ材は、それらを心臓壁に縫合した とき応力を生じ、従って磨耗や拡張を起こすといった心臓の自然な動作に対する 障害をもたらす。 英国特許１２６４４７２号も、このタイプの輪を開示している。この輪は、チ タン製のモノブロック(monobloc)の芯体を有し、「ダクロン(Dacron)」という商 標で知られている織物状材料からなるシースで被覆されている。この芯体は、輪 の周に沿って実質的に一定の厚みと、比較的大きな高さを持ち、輪がその円周方 向に可撓性を持たないような平らな断面を有している。 反対に、完全に可撓性の補てつ輪を提案している設計者もいる。例えば、米国 特許４２９０１５１（マッサナ(MASSANA)）や、「胸部手術年報(The Annals of Thoracic Surgery)、第２２巻、第５号、４５８−４６３（１９７６）」に発表 されたデュラン(DURAN)の研究に記載されたものである。米国特許４０４２９７ ９（エンジェル(ANGELL)）も可撓性の輪を提案しており、これは、問題としてい る輪の幾何学的形状を手術中に調節することができる。 これらすべての極めて可撓性の大きな輪は、繊維性筋性輪が大きく変形するこ とを許容するので、小弁の満足な癒合を常に回復できるわけではない。 米国特許４４８９４４６（リード(REED)）は、互いに結合された２つの硬質部 材からなる輪を開示している。各心室において一方の部材が他方の部材中を摺動 し、輪がその面内で変形するようにされている。この輪は非常に硬いため、輪面 に垂直に働く心臓の動きに対する障害になるという欠点を持っていた。 最近、円周方向に硬度の異なる部分を有する補てつ輪が提案されている。 米国特許４９１７６９８（カーペンティア）は、僧帽弁用には２部品、及び三 尖弁用には３部品を組み立てて形成される補てつ輪を開示している。これらの部 品は互いに結合され、互いに織物状材料からなる可撓性関節(cord)を介して接続 されている。この輪を構成する部品の１つは硬質でチタン合金からなり、他の部 品は可撓性であり「デルリン(DELRIN)」という商標で知られる合成材料からなっ ている。輪を構成するために、異なる次元を持った数個の可撓性部品を硬質部品 に組み合わせることができ、必要に応じて可撓性部分の可撓性を調整することが できる。 米国特許５０６１２７７（カーペンティア及びレーン(LANE)）は、さらに他の 輪を開示している。この輪は、チタン合金からなりＣ字型に形成された部材であ る硬質部材と、この硬質部材の末端に接続された可撓性関節、及びこの関節に密 着して関節をアーチ状となす圧縮材料からなる円筒形部材から形成された可撓性 部材とを有する。この結合は磨耗を受けやすく、従って経時的に埋め込み具の強 度に影響を与えるという欠点を持つ。さらに、この輪は比較的複雑な構造を有し ているので製造が比較的困難である。 米国特許５１０４４０７（ラム(LAM)、ニューエン(NGUYEN)、及びカーペンテ ィア）は、内部が、「エルギロイ(ELGIL0Y)」の名称で知られているコバルト− ニッケル合金の微細繊維の螺旋巻きを含む輪が開示されている。硬質部分では繊 維の多くの層が重なり合っているが、それらの層は、より可撓性の大きな部分の 弾性材料によって互いに分離されている。繊維の層数は、求められる弾性によっ て変えられる。 この構造によると、輪の円周方向について、心筋によって働く応力をよりよく 分散させることができる。しかし、この構造では、輪がその面外に変形するのは 困難であるが、本来の輪は、この面に垂直な方向にも変形を受ける。この垂直方 向の硬さも、心臓の本来の動きのいくつかの成分を妨害する。さらに、この輪は 複雑で製造が困難と思われる。 このように、従来技術にあっては、輪の適当な可撓性の探索するうちに、構造 が次第に複雑になって製造が困難になり、その経時的な強度が不確実になってい た。 本発明の目的は、本来の輪に完全に適合し、心臓の本来の動きを妨害すること なく、なおかつ製造が容易な補てつ輪を提供し、これらの欠点を克服することに ある。 この輪は、縫合手段を構成する織物シース内に密着した芯体を有するタイプの ものである。この芯体は、完全な輪形または不完全な輪形を形成し、少なくとも １つの比較的硬質の部分と、それに比較して相対的に可撓性の大きな部分とを持 つ。 本発明によれば、この芯体は完全な輪形をなし、モノブロック構造即ち１部品 からなり、その断面が輪の円周に沿って変化、即ち、断面が可撓性のより大きな 部分に向けて縮小し、この輪が全平面において変形できるようにされている。 本発明は、従来技術における発展とは異なり、従来技術の輪より簡単な方法に よって要求される可撓性が得られる輪を提供することを目指したものである。 この輪の適当な位置における硬さと可撓性との兼ね合いは、実用上完全に満足 できるものと思われる。これは、本発明の輪が、拡張した本来の輪を縮小させる ため、及び、本来の輪の満足な幾何学的形状を回復させるために十分な硬さを持 つ一方、適当な位置において、心臓の本来の動きを妨げないような可撓性を有し ているからである。 さらにこの輪は、実際の構造物においても、これを心臓または大動脈の壁面に 固定している縫合領域においても、長期に渡って完全な強度を保つ。 製造の容易さの改善に加えて、モノブロック芯体では、磨耗や、異なる材料か らなる数個の部品の組み立てによる従来技術に従って製造する場合に見られるよ うな繰り返し応力の影響による破壊といった危険がない。 この輪の断面は、少なくとも１つの交差方向に縮小してもよく、特に芯体の厚 さ及び／または高さに沿って、その中心に関して対称または非対称に縮小しても よい。 この芯体は、適当な材料からなる２つの部品の組み立てによって製造してもよ い。例えば、チタン合金からなる部品で硬質部分を形成し、合成材料からなる部 品で可撓性部分を形成してもよい。しかし、一体化した設計、即ち１部品で製造 する方が有利である。製造の容易さの向上に加えて、このような芯体では、磨耗 や、異なる材料からなる数個の部品の組み立てによる従来技術とは異なり、繰り 返し応力を受けても、部品の結合部における破壊といった危険が、ほとんどまた は全くない。 芯体の可撓性を次第に変化させ、心臓または大動脈壁面によって生ずる応力を 円周方向に均一に分散させるために、断面の縮小は、規則的でも不規則的でもよ いが漸次なされるのが好ましい。 第１の実施態様では、芯体は、合成材料、特に「デルリン」という商標で知ら れるもの成型によって製造される。 他の実施態様では、芯体は、ＴＡ６Ｖという名称で知られるチタン合金から製 造される。 可撓性部分では、断面の縮小を補償するために、必要に応じて弾性材料からな る挿入物で被覆して芯体を強化してもよい。 必要ならば、輪は放射線不透過性成分を含有し、放射線画像で可視化するよう にしてもよい。 本発明を十分に理解するために、本発明の補てつ輪に関連した好ましい実施態 様を表した添付図面を参照しながら、非限定的な実施例を用いて以下でさらに説 明する。 図１は、僧帽弁輪形形成術用の輪の平面図である。 図２は、三尖弁輪形形成術用の輪の平面図である。 図３は、他の実施態様における僧帽弁輪形形成術用の輪の側面図である。 図４は、さらに他の実施態様における僧帽弁輪形形成術用の輪の部分断面図を 含む側面図である。 図５は、図４におけるＶ−Ｖ線で切断した輪の断面図である。 図６は、大動脈輪形形成術用の輪の側面図である。 図７は、図６の輪の上面図である。 図８、９、及び１０は、図６及び７において、各々、ＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線、 ＩＸ−ＩＸ線、及びＸ−Ｘ線で切断した輪の断面図である。 補てつ輪２、３、及び１０は、各々一般的な解剖学的形状を有している。本来 の僧帽弁輪の再構成を目的とする輪２は、実質的にＤ字型である。本来の三尖弁 輪の再構成を目的とする輪３は、より卵形に近いまたは遠い形状である。また、 本来の大動脈輪の再構成を目的とする輪１０は、輪面に対して垂直に近いまたは 遠い交連によって互いに接続された３つの湾曲部材からなる。 これらの輪２、３の各々は、血液適合性の織物状シース５内に密着した芯体４ を有し、このシース５は心臓壁面への縫合手段を構成している。 各芯体４は、比較的硬質の部分４ａと、この硬質部分４ａに比較して可撓性の 大きな部分４ｂとを有する。 図１及び２において、一点破線で示したように、芯体４の断面は、輪２、３の 円周に沿って徐々に変化している。即ち、最も硬質の部分４ａから最も可撓性の 大きな部分４ｂに向けて縮小し、最も硬質の部分４ａの中心部のおよそ反対側に おいて最小になっている。 図５に示したように、芯体４の断面は円形であり、芯体４の厚み方向、即ち輪 ２、３の面方向にも、芯体４の高さ方向、即ち輪２、３の面に垂直な方向にも縮 小している。 さらに、各芯体４はモノブロック構造を持つ。即ち各芯体４は、１つの部品か ら、特に合成材料、中でも「デルリン」という商標で知られるものの成型によっ て製造される。 この断面の縮小により、芯体４が、適当な位置において要求される可撓性を有 することが可能になり、これを非常に簡単な作業でなすことが可能になる。 このようにして製造された補てつ輪２、３は、拡大した本来の輪を縮小させて 満足な形状を回復させる一方、適当な位置において、心臓の本来の動きを妨げな いような可撓性を有することができる。 したがって、輪を心臓の壁面に固定している縫合部は、わずかな応力しか受け ない。 上述したような、芯体４の厚み方向及び高さ方向での断面の縮小によって、輪 ２、３の可撓性は、その輪の面方向と面に垂直な方向の両方において得ることが できる。 この２元的な変形が可能であることによって、本発明の輪には十分な機能性が 付与される。 図３は、図１に示した輪２と同様の構造を持つ僧帽弁輪形形成術用の輪を示し ている。但し、この輪は、輪面外に突出し、芯体４の硬質部４ａのレベルに位置 する線維三角に対するレスト(rest)を目的とした変形部６を有する。この変形部 ６は、輪の前後軸に対して対称である。 このように変形した輪２は、本来の輪の幾何学的形状によりよく適合するとい う利点を有している。 図４は、僧帽弁輪２の他の変形例を示している。ここで、既に述べた部材であ って、この変形例の図に再び記載されているものは、同じ符号を付した。 この僧帽弁輪２において、芯体４はＴＡ６Ｖという名称で知られているチタン 合金からなる。十分な可撓性を得るために、図５に示したように、４ｂ部分の領 域における芯体４の断面の縮小はかなり大きくなっている。よって、この縮小は 生体適合性の弾性材料からなる挿入物７によって補償され、この位置における芯 体４の強化がなされている。挿入物７の内部は、芯体４の内部を補償し、輪２の 外面が実質的に一定となるようにされている。 図６から１０は、大動脈輪形形成術用の輪１０を示している。この輪１０は、 ３つの湾曲部材１０ａを有し、これら湾曲部材１０ａは、輪１０の面に実質的に 垂直に配設された交連１０ｂによって互いに接続されている。この交連１０ｂは 、ベアリング・フィンガー(bearing finger)１０ｃを介して連続し、大動脈輪及 び大動脈壁面の対応する領域を確保することによって、新規な手術法を構成して いる。 上述したものと同様に、この輪１０は、織物状の縫合シース５内に密着した芯 体４から形成され、この芯体４は、「デルリン」という商標で知られたもののよ うな熱可塑性合成材料の成型によって製造される。 図７から１０に示したように、芯体４の断面は、各湾曲部材１０ａにおいて、 輪１０に沿って変化している。これら湾曲部材１０ａの中心部において最小とな り、各交連１０ｂへ向けて拡大している。 上述した輪の場合と同様に、この輪１０は、大動脈輪を小弁によって被覆でき る形状にすることによって、拡張した本来の大動脈輪を縮小させることができる 。一方、この輪１０は可撓性を有するので、心臓の動きを妨げない。従って、こ の輪１０は、十分に機能的である。 当然のことながら、本発明は上に例示した２つの実施態様に限られるものでは なく、これらの実施態様の全ての変形例を含むものである。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９５年８月４日 【補正内容】 請求の範囲 １．縫合手段を構成する織物シース（５）内に密着し、少なくとも１つの比較的 に硬質の部分（４ａ，１０ｂ）と、それに比較して相対的に可撓性の大きな部分 （４ｂ、１０ａ）とを持つ芯体を有し、完全な輪形をなし、僧帽弁、三尖弁、大 動脈輪形形成術用である補てつ輪において、 前記芯体（４）は完全な輪（２、３、１０）をなし、モノブロック構造、即ち １部品からなり、この芯体（４）の断面が、輪（２、３、１０）の円周に沿って 変化し、即ち、より可撓性の大きな部分（４ｂ、１０ａ）に向けて縮小し、該輪 （２、３、１０）が全平面において変形できるようにされていることを特徴とす る補てつ輪。 ２．前記芯体の断面が、少なくとも１つの交差方向、特に芯体（４、１０）の厚 さ及び／または高さ方向に沿って、その中心に関して対称または非対称に縮小す ることを特徴とする請求項１記載の補てつ輪。 ３．前記芯体（４、１０）の断面の縮小が、規則的または不規則的に漸次なされ ることを特徴とする請求項１または２に記載の補てつ輪。 ４．前記芯体（４）が、合成物質、特に「デルリン」という商標で知られている ものの成型によって製造されることを特徴とする請求項１から３に記載の補てつ 輪。 ５．前記芯体（４）が、ＴＡ６Ｖという名称で知られているチタン合金から製造 されることを特徴とする請求項１から３の記載の補てつ輪。 ６．前記芯体（４）の可撓性の部分（４ｂ）が、弾性材料に被覆されて強化され ることを特徴とする請求項４または５に記載の補てつ輪。 ７．放射線不透過性材料を含むことを特徴とする請求項１から６のいずれかに記 載の補てつ輪。 ８．略Ｄ字型の一般形状をなし、芯体（４）の断面が、その最も硬質な部分（４ ａ）から最も可撓性の大きな部分（４ｂ）に向けて、輪（２）の円周に沿って漸 次変化し、前記最も硬質な部分（４ａ）の中央部の実質的に反対側において最小 となることを特徴とする請求項１から７のいずれかに記載の僧帽弁輪形形成術用 補てつ輪。 ９．卵形により近いまたは遠い一般形状をなし、芯体（４）の断面が、その最も 硬質な部分（４ａ）から最も可撓性の大きな部分（４ｂ）に向けて、輪（２）の 円周に沿って漸次変化し、前記最も硬質な部分（４ａ）の中央部の実質的に反対 側において最小となることを特徴とする請求項１から７のいずれかに記載の三尖 弁輪形形成術用補てつ輪。 １０．輪面に対して直角により近いまたは遠い交連（１０ｂ）によって互いに連 結された３つの湾曲部（１０ａ）を有し、これらの交連（１０ｂ）が、ベアリン グ・フィンガー（１０ｃ）を介して連続し、大動脈輪及び大動脈壁の対応領域を 確保していること、及び、芯体の断面が、各湾曲部（１０ａ）内で輪（１０）に 沿って縮小し、これらの湾曲部（１０ａ）の各中心部において最小となり、交連 方向に向けて増加することを特徴とする請求項１から７のいずれかに記載の大動 脈輪形形成術用補てつ輪。 【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９５年９月１６日 【補正内容】 部材とを有する。この結合は磨耗を受けやすく、従って経時的に埋め込み具の強 度に影響を与えるという欠点を持つ。さらに、この輪は比較的複雑な構造を有し ているので製造が比較的困難である。 米国特許５１０４４０７（ラム(LAM)、ニューエン(NGUYEN)、及びカーペンテ ィア）は、内部が、「エルギロイ(ELGIL0Y)」の名称で知られているコバルト− ニッケル合金の微細繊維の螺旋巻きを含む輪が開示されている。硬質部分では繊 維の多くの層が重なり合っているが、それらの層は、より可撓性の大きな部分の 弾性材料によって互いに分離されている。繊維の層数は、求められる弾性によっ て変えられる。 この構造によると、輪の円周方向について、心筋によって働く応力をよりよく 分散させることができる。しかし、この構造では、輪がその面外に変形するのは 困難であるが、本来の輪は、この面に垂直な方向にも変形を受ける。この垂直方 向の硬さも、心臓の本来の動きのいくつかの成分を妨害する。さらに、この輪は 複雑で製造が困難と思われる。 このように、従来技術にあっては、輪の適当な可撓性の探索するうちに、構造 が次第に複雑になって製造が困難になり、その経時的な強度が不確実になってい た。 本発明の目的は、本来の輪に完全に適合し、心臓の本来の動きを妨害すること なく、なおかつ製造が容易な補てつ輪を提供し、これらの欠点を克服することに ある。 この輪は、縫合手段を構成する織物シース内に密着した芯体を有するタイプの ものである。この芯体は、少なくとも１つの比較的硬質の部分と、それに比較し て相対的に可撓性の大きな部分とを持つ。 本発明によれば、この芯体は完全な輪形をなし、モノブロック構造即ち１部品 からなり、その断面が輪の円周に沿って変化、即ち、断面が可撓性のより大きな 部分に向けて縮小し、この輪が全平面において変形できるようにされている。 本発明は、従来技術における発展とは異なり、従来技術の輪より簡単な方法に よって要求される可撓性が得られる輪を提供することを目指したものである。 この輪の適当な位置における硬さと可撓性との兼ね合いは、実用上完全に満足 できるものと思われる。これは、本発明の輪が、拡張した本来の輪を縮小させる ため、及び、本来の輪の満足な幾何学的形状を回復させるために十分な硬さを持 つ一方、適当な位置において、心臓の本来の動きを妨げないような可撓性を有し ているからである。 さらにこの輪は、実際の構造物においても、これを心臓または大動脈の壁面に 固定している縫合領域においても、長期に渡って完全な強度を保つ。 製造の容易さの改善に加えて、モノブロック芯体では、磨耗や、異なる材料か らなる数個の部品の組み立てによる従来技術に従って製造する場合に見られるよ うな繰り返し応力の影響による破壊といった危険がない。 この輪の断面は、少なくとも１つの交差方向に縮小してもよく、特に芯体の厚 さ及び／または高さに沿って、その中心に関して対称または非対称に縮小しても よい。 芯体の可撓性を次第に変化させ、心臓または大動脈壁面によって生ずる応力を 円周方向に均一に分散させるために、断面の縮小は、規則的でも不規則的でもよ いが漸次なされるのが好ましい。 第１の実施態様では、芯体は、合成材料、特に「デルリン」という商標で知ら れるもの成型によって製造される。 他の実施態様では、芯体は、ＴＡ６Ｖという名称で知られるチタン合金から製 造される。 可撓性部分では、断面の縮小を補償するために、必要に応じて弾性材料からな る挿入物で被覆して芯体を強化してもよい。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．縫合手段を構成する織物状シース内に密着した芯体であって、完全または不 完全な輪形をなし、少なくとも１つの比較的に硬質の部分と、それに比較して相 対的に可撓性の大きな部分とを持つ芯体を有する、僧帽弁、三尖弁、大動脈輪形 形成術用補てつ輪において、 該芯体（４）の断面が、輪（２、３、１０）の円周に沿って変化し、即ち、よ り可撓性の大きな部分（４ｂ）に向けて縮小し、該輪が全平面において変形でき るようにされていることを特徴とする補てつ輪。 ２．前記芯体の断面が、少なくとも１つの交差方向、特に芯体（４）の厚さ及び ／または高さ方向に沿って、その中心に関して対称または非対称に縮小すること を特徴とする請求項１記載の補てつ輪。 ３．前記芯体の断面の縮小が、規則的または不規則的に漸次なされることを特徴 とする請求項１または２に記載の補てつ輪。 ４．前記芯体が、モノブロック構造、即ち１部品からなることを特徴とする請求 項１から３のいずれかに記載の補てつ輪。 ５．前記芯体が、合成物質、特に「デルリン」という商標で知られているものの 成型によって製造されることを特徴とする請求項４記載の補てつ輪。 ６．前記芯体が、ＴＡ６Ｖという名称で知られているチタン合金から製造される ことを特徴とする請求項４記載の補てつ輪。 ７．前記芯体（４）が、適当な材料からなる少なくとも２つの部品の組立によっ て製造され、それら部品の少なくとも１つが前記硬質部分を構成し、他の少なく とも１つが前記可撓性の大きな部分を構成することを特徴とする請求項１から３ のいずれかに記載の補てつ輪。 ８．前記芯体（４）の可撓性の大きな部分（４ｂ）が、弾性材料に被覆されて強 化されることを特徴とする請求項４から６のいずれかに記載の補てつ輪。 ９．放射線不透過性材料を含むことを特徴とする請求項１から８のいずれかに記 載の補てつ輪。