JPH09502359A - 造血前駆細胞の調製及び培養方法 - Google Patents

造血前駆細胞の調製及び培養方法

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Abstract

(57)【要約】 赤芽系前駆細胞の集団を、グルココルチコイドおよびエストロゲンおよびチロシンキナーゼレセプターの少なくとも一つのリガンドを含む増殖因子の組合せに対し、少なくとも細胞が自己で複製を始めるまで晒すことからなる赤芽系統の非−永久化造血性前駆細胞のインビトロ産生方法。

Description

【発明の詳細な説明】 造血前駆細胞の調製及び培養方法 本発明は、特に赤血球系の造血前駆細胞(progenitor cell)の調製及び試験管 内培養方法に関する。 正常な造血では、多能性幹細胞は特定の発生系に方向づけられる前駆細胞に発 育する(これらの前駆細胞は“義務付けられているもの(committed)”と呼ばれ る)。これらの前駆細胞は2つの点で多能性幹細胞と異なると考えられている。 第1に、単一の発生系又は少数の特定の発生系への分化能に制限される。第2に 、これらの前駆細胞は、一般的には、同時分化せずに絶えず複製することができ ない(この性質は自己複製能力とも言われる)か或いは一時的にしかそのように しないと考えられている(Till & McCulloch,1980)。従って、特定の発生系に方 向づけられた前駆細胞は最終的に分化した細胞の形成で終わる遺伝子発現の変化 の所定のプログラムを開始すると推測されている。一方、多能性幹細胞は、分化 又は遺伝子発現の状態を変えずに多数の細胞分裂を行う能力を保持していると考 えられている。前駆細胞が行うプログラムは多数の細胞分裂を行うことと一致す ることは明らかであるが、各々の細胞分裂中に細胞が分化又は遺伝子発現の状態 がわずかではあるが変化すると推測されている(Keller,1992)。 一定の決定/分化プログラムが前駆細胞の発育を決定するこの見解は、最近、 様々に異議が唱えられてきた。第1に、いくつかの観察から、正常な前駆細胞が 拡大された発展相を行うことができ自己複製又は関連の過程を示すことが推測さ れている。マウスBリンパ球前駆細胞は一連の培養条件(間質支持細胞層とイン ターロイキン7)下に絶えず複製するが、他の条件下では成熟B細胞に分化する (Rolinkら,1991)。同様に、個々のマウス顆粒球マクロファージコロニー形成 細胞(GM−CSF)は、GM−CSFの濃度によって、100〜10,000 を超える成熟顆粒球とマクロファージを生産することができる(Metcalf,1980) 。 前駆細胞の発育の一定のプログラムと一致させることが難しい他の現象は白血 病からなる。ある場合にはこれらは多能性幹細胞から出発するが、他の白血病は 明らかに前駆細胞に由来する(Sawyersら,1991)。後者のタイプについては、白 血病細胞に生じる遺伝的変化が異常な自己複製能、対応する正常前駆細胞がもた ない特性を与えるというよく示される概念がある。慢性骨髄性白血病(CML) の慢性相では改変多能前駆細胞のクローンが対応する正常クローンを過剰成長さ せる(おそらく大きな自己複製能のために)が、芽球危機中に起こる他の突然変 異は特殊な発生系の未熟前駆細胞と成熟細胞の大量成長をもたらし、これは異常 な前駆細胞の自己複製として説明されている(Daleyら,1990; Elefantyら,1990 ; Kelliherら,1990)。 最近、ニワトリ細胞において、赤芽球発生系へ方向づけられる正常な造血前駆 細胞がある種の持続した自己複製条件下で可能であることが示された(Schroeder ら,1993; Haymanら,1993)。TGFα(形質転換成長因子)、上皮成長因子レ セプター/c−erbBプロトオンコジーンのニワトリ相同染色体のリガンド( TGFαR/c−erbB; Laxら,1988)とエストラジオールの両方の作用が ニワトリ骨髄から正常な前駆細胞の成長を誘導した。これらの細胞は、TGFα 及びエストラジオール又はSCF(幹細胞因子)(SCFの存在下に成長する細胞 はSCF前駆細胞と呼ばれる)を含む培養から生じる能力のためにSCF/TG Fα前駆細胞として既知である。SCF/TGFα前駆細胞は、c−kitプロ トオンコジーン、エストラジオールレセプター及びTGFαR/c−erbBを 発現し、TGFα及びエストラジオールの存在下に正常な試験管内寿命の終わり まで自己複製を維持することができる。また、調べた全ての性質について正常な CFU−E(コロニー形成単位赤芽球)から区別することができない赤芽球前駆 細胞(SCF前駆細胞として知られる)はニワトリSCFを用いて骨髄から培養 されることも示された(Haymanら,1993)。自己複製能を有するSCF/TGF α前駆細胞と対照的に、SCF前駆細胞はTGFαR/c−erbBの発現を欠 き、SCFの存在下には7〜10日間一時的な自己複製能のみを示した。分化因 子(エリスロポエチン及びインスリン)にスイッチされると、両タイプは共に赤 血球中区別できない速度論で分化した。これにより、SCF/TGFα前駆細胞 は比較的まれである(1/15,000正常骨髄細胞)がSCF前駆細胞は非常 に共通している(1/300〜500;Haymanら,1993) という事実のために最初に推定されたようにSCF/TGFα前駆細胞はSCF 前駆細胞の前駆細胞でないことが示された。しかしながら、これらの結果は自己 複製SCF/TGFα前駆細胞がより未熟な前駆細胞に由来するかについての疑 問に答えることができなかった。可能な答は、これらの細胞が骨髄で発生し別個 の細胞系のように多能前駆細胞から発育する別個のまれな細胞タイプを構成する ことである。他の答は、これらの細胞が赤血球形成では通常活性でない成長因子 及びホルモンの特定の組合わせの作用下でのみ自己複製の可能性を得る正常なC FU−Eに由来することである。 初期の研究(Schroederら,1993)では、骨髄からSCF/TGFα前駆細胞の 成長に2つの基本的な要求があることが示された。第1に、特定の時間−11〜 14日が経過するまで成長は決して生じなかった。第2に、細胞の成長がエスト ラジオール拮抗体によって完全に阻止されかつTGFαの不在下に生じないとい う事実によって、TGFαとエストラジオール双方への依存性が証明された。最 初の答は正しくかつSCF/TGFα前駆細胞が正常な骨髄に常に存在しTGF αとエストラジオールにのみ依存する特定の細胞タイプである場合には、他の因 子はこれらの細胞の頻度に重要な作用を有するはずがない。しかしながら、この 単純化したモデルに対して2つの観察が述べられる傾向がある。第1に、SCF /TGFα前駆細胞の成長は動物炭で処理したニワトリ血清の存在下に強く阻害 されるが、フレオン処理又は未処理血清では実質的に影響されないことが判明し た。これにより、TGFαとエストラジオールのほかに動物炭処理によって除去 される他の因子がある発生段階でSCF/TGFα前駆細胞に影響することが推 測されるのである。また、SCF及びエストラジオール中に保持された骨髄細胞 が8〜10日後に静止するが約14日目に再び徐々に成長し始めることが観察さ れた。これらの細胞は比較的高濃度でTGFαR/c−erbBを発現し(Haym anら,1993)かつTGFα及びエストラジオール中で成長することができたこと により、これらの細胞は最初のSCF前駆細胞集団から生じたSCF/TGFα 前駆細胞であることが想定される。 本発明の目的は、c−Kit及びTGFaR/c−erbBを発現する(本発 明の範囲内で“SCF/TGFα前駆細胞”と呼ばれる)赤芽球系統の造血前駆 細胞の発生に関与する機構を明らかにしかつ得られた知識に基づいて試験管内で 正常な赤芽球前駆細胞を培養する方法を提供することである。 特に、本発明は、不死化されていないので遺伝的に改変されていないヒト造血 前駆細胞を大量生産することを可能にする方法を提供することである。 本発明の範囲内で、ニワトリ細胞に関して、SCF、TGFα、エストラジオ ール及び同定されていない特定のニワトリ血清因子の存在下にSCF/TGFα 前駆細胞が精製SCF前駆細胞の培養中で発育することがまず最初に示された。 SCF前駆細胞がSCF、TGFα、エストラジオール及び初めには定義され ていない因子の存在下に正常な又は貧血のニワトリ血清から培養されると、これ らの細胞の大部分が分化もアポプトーシスもしないが厳密な時間依存パターンで 増加量のTGFαR/c−erbBを発現し始め、10〜14日後にSCF/T GFα前駆細胞の生産をもたらすことが示された。このとき、これらの細胞にお けるTGFαR/c−erbBの発現はTGFα及びエストラジオールの存在下 SCFの不在下での増殖を可能にするのに十分に高いことは明らかである。特に 処理したニワトリ血清が用いられると、これらの3つの因子(SCF、TGFα 又はエストラジオール)のうちの1つが消失していた場合にはSCF/TGFα 前駆細胞が生じないことが示された。一方、ニワトリ血清の同定されていない活 性が存在しない場合にはSCF、TGFα及びエストラジオールの存在下に増殖 する前駆細胞の発生は部分的に阻害されたが排除されなかった。更に、ニワトリ モデルについての試験は、最初に同定されていない活性が2つの定義された因子 :1.グルココルチコイドレセプターリガンドデキサメタゾン及び2.チロシン キナーゼレセプターリガンドインスリン様成長因子1(IGF−1)によって少 なくとも部分的に置き換えることができることを示した。また、エリスロポエチ ンがニワトリ血清中の活性に関与する他の因子であることも推測された。 SCF前駆細胞がSCF、TGFα及びエストラジオール中で培養されると、 培養中に支配的になった約2〜2.5週間後までにSCF/TGFα前駆細胞が 培養中に濃縮されるようになった。SCF前駆細胞がSCF、TGFα及びエス トラジオール中で培養されると、TGFαR/c−erbBの発現が時間と共に 増加した。大量培養実験の実施に基づいて、SCF/TGFα前駆細胞がSCF 前 駆細胞の培養物から生じた2つの可能な方法で区別することは最初は不可能であ った。最初の(慣用の)可能性はc−erbBを発現する少数のSCF/TGF α前駆細胞が正常な骨髄、従って最初からのSCF前駆細胞集団に存在し、これ らの細胞は徐々にSCF前駆細胞を過剰成長するものであった(SCF、TGF α及びエストラジオールの存在下に培養が行われる場合に、これらの細胞の成長 を有利にするのに役立つと思われる)。しかしながら、興味深い慣用でない可能 性は、骨髄が最初にTGFα及びエストラジオールだけで増殖することができる 赤芽球前駆細胞を含まないが3つの因子全てとある種のニワトリ血清成分又はデ キサメタゾン及びIGF−1(上記参照)が存在する場合にはSCF/TGFα 前駆細胞がSCF前駆細胞から発育するように誘導されることである。 本発明の範囲内で行われた実験は、この後者の仮説が正しいこと、即ち、SC F/TGFα前駆細胞がSCF前駆細胞から発育することができることを示した 。ニワトリ細胞で得られた結果は、正常な赤芽球前駆細胞(調べた性質の全てに おいてコロニー形成単位赤芽球(CFU−E)前駆細胞に似ているSCF前駆細 胞)が少なくとも2つの成長因子(SCF、TGFα)とステロイドホルモン( エストラジオール)及び後にデキサメタゾンとIGF−1として部分的に同定さ れたニワトリ血清からの初めには定義されていない活性の制御下に他のタイプの 赤芽球前駆細胞(SCF/TGFα前駆細胞)に発育することを示した。このタ イプの前駆細胞は、TGFaR/c−erbB(哺乳動物EGF/TGFαレセ プターに対応する)の新たに得た発現及びTGFαとエストラジオールに対する 反応として自己複製を持続する能力を特徴とする。分化因子(EPO、インスリ ン)で処理した後のSCF/TGFα前駆細胞の分化プログラムは、正常なCF U−E前駆細胞に非常に似ている(Haymanら,1993)。 これまでは赤芽球前駆細胞が分化し5〜10細胞分裂の一定のプログラムを行 うように不可逆的に方向づけられると推測されてきたので、ある種の条件下で分 化プログラム(“発育スイッチ”)を変えることにより自己複製の可能性が得られ るというニワトリ細胞で得られた知見は、これらの知見が哺乳動物又はヒト細胞 に対してさえ成り立つのであればかなり興味深いことであった。本発明の範囲内 で、ニワトリ系の結果がヒト細胞に驚異的な程度まであてはまることが示される 。 試験管内で培養することができるヒト造血前駆細胞が、特にがん及びエイズ患 者の治療においてかかる細胞を移植するために求められている。更に、かかる移 植は、赤血球の成熟が破壊される慢性貧血、例えば、サラセミア及び他の遺伝的 に生じた貧血の遺伝子治療による治療に使用される。 血液細胞の満足な移植に要求されたいくつかの確実な前提条件はCD34の発 現である。しかしながら、その発生段階でCD34+細胞の分集団が満足な移植 に実際に関与するものであることは未知であるが、細胞の発生系及び分化段階が 役割を果たすと推測される。 造血前駆細胞の自家移植又は同種異系移植は難しさを伴い、主な課題の1つは 造血系の満足な再構成に必要な増殖能を有する十分な細胞数が移植されなければ ならないことであり、この増殖能を決定する基準はまだ十分に研究されていなか った。 これまで、同種異系移植の場合、健常者から提供された骨髄細胞はよく用いら れており、自家移植片の場合、化学療法及び/又は組換え成長因子による治療に る患者の回復中に移動する末梢血からの幹細胞が用いられる。これらの方法は費 用がかかり、更に、提供者がかなり不快さを伴ない、患者における血液学的変化 のために不十分な結果も生じる。従って、最近、別の方法としてサイトカイン処 理した健常者からの幹細胞が用いられることが提案された。 非常に有望なものと見なされた他の別の方法は、臍帯血からの造血幹細胞及び 前駆細胞の大部分が初期の発生段階でありかつ大きな増殖能をもつので、骨髄又 は末梢血からのCD34+陽性細胞の代わりに臍帯血細胞を使用する方法である 。しかしながら、約1.5リットルの臍帯血が成人に移植するのに必要であるの で、体重1kgにつき5×105〜2×106CD34+細胞が必要であり、この方 法は成人の治療には限界がある。 従って、自家移植又は同種異系移植可能な造血前駆細胞の大量培養を可能にす る方法が求められている。 本発明の範囲内で、驚くべきことに、ヒト赤芽球前駆細胞が自己複製能を得る 結果として分化プログラムを変化するという対応するニワトリ細胞と同様の挙動 を示すことが示された。ニワトリ細胞のように、持続した自己複製能を得るため にSCF、エストラジオール及びデキサメタゾンを必要とした。IGF−1は、 ニワトリ及びヒト赤芽球の成長に確実に影響した。行った実験の範囲内で得られ たヒト赤芽前駆細胞の培養物中の細胞はEGFレセプターのリガンドに反応した ものがあり、これはヒト細胞がある種の成長及び分化因子の影響下にニワトリS CF/TGFα前駆細胞に対する挙動において同様であることを示す。 従って、本発明は、ヒト赤芽球前駆体の分化プログラムの変化が持続成長能を 得る変化に基づいて起こらねばならないという重要な認識に基づくものである。 分化プログラムのこの変化は、ニワトリ骨髄からの赤芽球前駆細胞を自己複製す るという発育を誘導する活性化と同じレセプター群の代表的なリガンドである因 子の相互作用によって誘導されなければならない。 従って、本発明は、赤芽球系統の不死化されていない造血前駆細胞の試験管内 生産方法であって、赤芽球細胞の成長に必要な慣用の成分を含む培地中で赤芽球 前駆細胞集団を含む細胞をエストロゲンレセプターの少なくとも1種のリガンド 及びグルココルチコイドレセプターの少なくとも1種のリガンド及びチロシンキ ナーゼレセプターの少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種のリガンドを含 む成長因子の組合わせに少なくとも細胞が複製し始めるまで暴露し、引き続き、 場合によっては、持続した自己複製に必要とされる因子を含む培地中で細胞を更 に培養することを特徴とする方法に関する。 細胞を成長因子の組合わせ(以後“因子の組合わせ”と呼ぶ)で処理すること により、細胞は分化プログラムを変化する。これに付随して、因子の組合わせの 作用によって新たに発現されるか又は高度に調節されるレセプターの発現パター ンの変化及び/又はこれらの後成的発現変化が引き金となった細胞シグナル伝達 経路のタンパク質成分の発現パターンの変化を伴う。 “自己複製”という語は、後の細胞分裂中に測定できるほどに成熟しない、即 ち、成熟細胞の典型であるが前駆細胞中少量で発現されるタンパク質の測定でき る蓄積のない娘細胞を形成する細胞の能力を意味する。自己複製の他の重要な基 準は、成熟(最後に分化した)細胞のタンパク質(例えば、ヘモグロビン)と各 細胞の機能に必要なタンパク質(いわゆる“ハウスキーピングタンパク質”、例 えば、解糖酵素)の比率が測定できるほどに変化しないことである。 本発明の方法は、ヒト細胞に適用されることが好ましい。 使用される出発細胞物質は、骨髄、末梢血又は特に好適な実施態様においては CD34陽性細胞の濃縮物を含む臍帯血の細胞集団であることが好ましい。濃縮 物は文献から得られた既知の方法によって行われ、その方法の調査は教科書“He matopoietic Stem Cells,The Mulhouse Manual”,1994に示されている。 細胞は、少なくとも自己複製が起こるまで試験管内で培養される。純粋な外部 で、自己複製能のある細胞は細胞の試験管内寿命(ヒト細胞の場合には50〜7 0世代)又はこの寿命の一部に対応する時間、培養で絶えず分裂し、即ち、指数 関数的に増殖しかつ赤血球タンパク質(例えば、ヘモグロビン)の一定のサイズ 及び比較的少量の含量を有する事実によって確認することができる。当業者は、 これらの基準、予備試験では、細胞が自己複製能を得た時点から知らせることが でき、従って、培養期間を定義することができる。 本発明の範囲内で得ることができる赤芽球系統のヒト細胞の自己複製は、正常 なヒトBFU−E(バースト形成単位赤芽球)に対してこれまで示されてきた時 間より実質的に長い時間かけて認知できる分化をせずに細胞が分裂することを特 徴とする。 因子の組合わせは、少なくとも3種、好ましくは少なくとも4種の因子、これ らの少なくとも2つはチロシンキナーゼレセプターのリガンドである組合わせで あることが好ましい。このタイプのレセプター、属しているファミリー及びサブ ファミリー、リガンド及び活性化が引き金となったシグナル伝達経路についての 文献がたくさんあり、新しい例が絶えず同定されている。チロシンキナーゼレセ プターに共通であることは、リガンドの結合後にチロシンにリン酸化するという 事実である。この自己リン酸化後、ホスホチロシン基は特定の細胞質分子と相互 作用し、もって、成長因子に対する細胞応答の引き金となる。 チロシンキナーゼレセプターのファミリーは種々のクラス及びサブファミリー に分裂し、これらはEGFRファミリー、HER2/neu/c−erbB−2 及びHER3/c−erbB−3が属するクラス、インスリンレセプター、イン スリン関連レセプター及びIGF−1レセプターが属するクラス、PDGFレセ プター、PDGFβレセプター、MCSF−1レセプター及びc−kitを含む クラス、繊維芽細胞成長因子レセプター(FGFレセプター1、FGFレセプタ ー2、FGFレセプター3、FGFレセプター4)及びHGFRレセプター(肝 細胞成長因子レセプター)のクラスが含まれる。これらのクラスは、キナーゼド メインが配列で中断される特徴を共有するものがある。チロシンキナーゼレセプ ターとリガンドに関しては、個々のレセプターについてその中で詳細に引用され た文献を含むFantlら,1993及びVan der Geer,1994による総括論文を参照する 。 チロシンキナーゼレセプターリガンドの因子の組合わせは、チロシンキナーゼ レセプターの中の種々のファミリーからのレセプターに対する少なくとも1種の リガンドからなる。かかる組合わせの例は下記のものである。 i)連続的キナーゼドメインを有するチロシンキナーゼレセプターの少なくとも 1種のリガンド、及び ii)挿入断片によって中断されたキナーゼドメインを有するチロシンキナーゼ レセプターの少なくとも1種のリガンド。 i)で定義されたレセプターの代表例はFGFレセプターファミリー(ヒト上 皮成長因子レセプター1〜4)の1種であり、他の一部分だけ同定されたレセプ ターはこのファミリーに属する。 i)で定義されたレセプターのリガンドとしては、特に、EGF、TGFα、 NDF(ニューロン分化因子; Peles & Yarden,1993)が含まれ、微分スプライ シング、ヘレグリン、アンフィレグリン、グリア成長因子等によって生産された 変異体を包含する(Fantlら,1993)。 ii)で定義されたレセプターのリガンドとしては、特に、c−kitリガン ドSCF(幹細胞因子)、血小板由来成長因子(PDGF)α及びβ、繊維芽細 胞成長因子ファミリーの全種、CSF−1(コロニー刺激因子1)及び血管化因 子(例えば、VEGF、血管内皮成長因子)が含まれる(Fantlら,1993)。 更に、これらの2つのグループに明瞭に配分することができない多数のチロシ ンキナーゼレセプター(一部分だけ知られているリガンド)があり、対応するリ ガンドによるこの活性化はヒト前駆細胞の成長を生じることができる。対応する リガンドもまた本発明の範囲内で用いられる。これらのレセプターとしては、肝 細胞成長因子レセプター(このリガンドは“スキャッター因子”としても知られ る; Galimiら,1994によって得られた知見はEGFレセプターと同じシグナル伝 達経路を活性化すると推測される肝細胞成長因子レセプター(HGFR)がCD 34+細胞及びそれから生産されたヒト赤芽球前駆細胞において重要な役割を果 たすことを示している)、c−sea及びc−ros(まだ同定されていないリ ガンド)、種々の上皮細胞特異的レセプターそのリガンドは未知である、最近記 載された赤芽球細胞からクローン化したレセプター群(例えば、Tamagnoneら,1 993及びKaipainenら,1993)、そのリガンドもまだ未知である、更にニューロト ロフィンレセプター(trk、trk−B、trk−CとリガンドNGF、BN DF等)及びインスリンレセプターファミリーのレセプター(インスリンレセプ ター、IGF−1レセプター等)が含まれる。 理論に縛られることを望まないが、分化プログラムの変化の引き金となるため に、種々のシグナル伝達経路がi)及びii)で定義されたリガンドの結合及び レセプターの活性化によって始動することは不可欠であると思われる。 チロシンキナーゼレセプターの2つのリガンドと別に、因子の組合わせは下記 のものを含む。 iii)エストロゲンレセプターの少なくとも1種のリガンドとグルココルチコ イドレセプターの少なくとも1種のリガンド。 本発明の範囲内で、エストラジオールのようにエストロゲンレセプターを活性 化したりヒドロコルチゾンのようにグルココルチコイドレセプターを活性化する 天然又は合成ステロイドホルモンが適する。 更に、因子の組合わせはアルドステロール及びプロゲステロンのようなプロゲ ステロンレセプターのリガンドを含めることもできる。 これらのホルモンに共通のことは、a)低分子であること、b)ホルモン(遺 伝子を活性に変えるタンパク質)で活性に調節された転写因子を構成する核内に 位置するレセプターに結合すること及びc)これまでに調べた系の中で細胞の分 化プログラムを変えることができることである。 本発明の範囲内で、エストロゲンと別に、デキサメタゾン、グルココルチコイ ドが特に自己複製ニワトリ及びヒト赤芽球前駆細胞の成長に極めて重要であるこ とが判明した。 更に、因子の組合わせiv)は1種以上の追加の因子を含めることができる。 追加の因子iv)は、特に、少なくとも分化プログラムの変化を速め、従って 細胞の効率のよい成長をもたらすリガンドとすることができる。これらの因子は 、通常、培養の開始に培地の右に加えられるが、分化プログラムに対する変化中 の様々な時間に別の因子が必要となることは留意しなければならない。 従って、分化プログラムの変化を加速することに関しては、一連の試験で求め られる適切な時点でこの過程の引き金となるのに不可欠であるが後に不要になる か又は不利にさえなる因子を培地から除去することは望ましいことである。考慮 される追加の因子は次の通りである。 1.標的タンパク質のセリンリン酸化によって作用するレセプターのリガンド。 (TGFβレセプターファミリー)。特に、初期の胚発生に役割を果たすリガン ドアクチビン、インヒビン、BMP等は重要である(Laufer,1993; Hogan,1993 )。 2.他のチロシンキナーゼレセプター、特に、IGF−1又は肝細胞成長因子( HGP)のリガンド。 3.代表的な多数のサイトカイン又はインターロイキン(造血及び免疫系の成長 及び分化因子)。実際に、これらのサイトカインは全て既知の酵素活性を有しな いレセプターに結合するが、レセプターは細胞内チロシンキナーゼと複合体を形 成するものがある。この絶えず成長するレセプターファミリーとそのリガンドは Boulay & Paul,1993に纏められている。 本発明の範囲内で用いることができるサイトカインの活性の不可欠の特徴は、 まず未熟前駆細胞の増殖を刺激すること及び第2に細胞増殖に負に影響する及び /又はアポトーシス(プログラムされた細胞死)の引き金となる作用を有しない ことである。本発明の範囲内で、好ましいサイトカインはIL−1、IL−3、 IL−11及びIL−13であり、EPOが特に好ましい。 因子の組合わせの作用によって得られた細胞集団は、自己複製開始後に凍結さ れ、必要に応じて解凍し、その後に生体内で増殖するために試験管内で得られた 細胞の自己複製能を利用するために直接培養或いは移植される。 しかしながら、細胞は、集団内に多数の増殖細胞を得るために、自己複製能を 得る時間を過ぎても培養される。 更に、増殖細胞の培養は、細胞が持続した自己複製に要する成長及び分化因子 の存在下に行われる。 ニワトリ細胞の場合、TGFαは持続した自己複製能、従って、多数の細胞を 得るためにかなり長い時間をかけて細胞を培養するのに必要とされる因子の1つ である。ヒト細胞の場合、その後の細胞の培養に好適に用いられる因子はEGF 及び/又はTGFαのようなi)に定義されたタイプ及び/又はHGF及びSC F、更にEPO及びIGF−1のリガンドである。 自己複製の誘導及び増殖細胞のその後の培養の双方に適した因子の組合わせは 、様々な時間に様々な因子混合物の作用下で細胞の応答及び発育特性を試験する ことにより求められる。その試験の例は、特に、実施例4b)、5、7b及び8 に記載される。因子混合物は、まず最も有効な混合物を同定するように種々の多 成分混合物を試験することにより最適化することが好ましい。次に、1つの因子 を最も有効な混合物から徐々に排除し、因子の有無による培養の挙動を比較する 。簡単に述べると、因子の組合わせは可能な最少の因子で生存可能な細胞の自己 複製に可能な最も急速な及び効率のよい成長を得るように調整される。 本発明の範囲内で行われたSCF、TGFα、エストラジオール及び他の活性 による処理は、ニワトリ及びヒト細胞において生物的に活性なTGFαR/c− ErbBの発現の増強をもたらし、ニワトリ細胞においてはリガンドの添加後に 自己リン酸化レセプターの増加によって現れた。ニワトリ細胞の場合におけるそ の後の活性はニワトリ血清の同定されていない活性であり、ヒトの場合にはEP Oであった。 本発明の1実施態様においては、ヒト造血前駆細胞の調製のための因子の組合 わせは下記のものから構成される。 i)EGFレセプター及び/又はHGFレセプターのファミリーからのレセプタ ーのリガンド、 ii)c−Kitのリガンド、 iii)エストラジオール及びデキサメタゾン、及び iv)エリスロポエチン及びIGF−1。 本発明の具体的な1実施態様においては、 i)はEGF及び/又はTGFα及び/又はHGFであり、 ii)はSCFである。 因子が血清成分のように十分な濃度で培地の成分である場合には、別個に添加 する必要はない。 因子の組合わせと別に培地中に含まれかつビタミン、アミノ酸等の細胞の増殖 に必要な慣用の成分は当業者に周知であり、市販の培地に含まれ“Haematopoiet ic Stem Cells,The Mulhouse Manual”,1994のような適切な教科書やSawadaら ,1990のような専門家の論文に見られる。 本発明の方法によって得られた細胞は、培養基の除去後、治療使用に適した培 地、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)又はオートロガス血漿に懸濁され、 同種異系又は自家移植に用いられる。本発明の方法は、特に、移植体に必要な場 合には、例えば、サイトカインで処理することによりCD34陽性細胞の生産を 刺激した個体の血液細胞の供給から造血細胞を培養するために用いられる。これ らの造血細胞は、貯蔵凍結され、必要な場合に解凍され、試験管内で培養するこ とにより増幅され、患者における治療用途のために、場合によっては適切な遺伝 子転移後に用いられる。 試験管内で培養された遺伝的に改変されたヒト赤芽球細胞が用いられる方法の 例は、遺伝子治療による鎌状細胞貧血の治療である。この遺伝性疾患は、特に米 国で多数の有色患者に起こる。可能な1つの手順は、骨髄、末梢血又は(出生前 診断の場合には)臍帯血からの赤芽球前駆細胞の培養、胎児ヘモグロビンの遺伝 存続(HPFH)の突然変異をもつグロビン遺伝子座の遺伝子転移及びこれらの 遺伝的に改変した体細胞(生殖路は影響されない)の患者への投与からなる。 本発明に従って得られた細胞への遺伝子転移は、その細胞のトランスフェクシ ョンの標準法で行われる。これらの方法としては、ウイルスベクター(レトロウ イルス、アデノウイルス、アデノ伴生ウイルス)又は受容体依存性エンドサイト ーシスに基づく非ウイルス系を用いる遺伝子転移が含まれる。慣用的な方法は、 例えば、Mitani & Caskey,1993; Jolly,1994;Vile & Russel,1994; Tepper & Mule,1994; Zatloukalら,1993,国際出願第93/07283号に纏められている。 図面の要約 図1: SCF前駆細胞からSCF/TGFα前駆細胞の成長 図2: SCF、TGFα及びエストラジオールにおけるSCF前駆細胞 の増殖中のc−Kit及びc−ErbBの発現及び生物活性 図3: SCF、TGFα及びエストラジオールにおいて増殖するSCF 前駆細胞の成長因子依存性の変化 図4: SCF/TGFα前駆細胞の形成を明らかにするための実験方法 図5: SCF前駆細胞からSCF/TGFα前駆細胞の発育 図6A、B: SCF、TGFα及びエストラジオール中で増殖したLDクロー ンはSCF/TGFα前駆細胞に対応する:生物活性 c−ErbBの発現及びTGFαに対する増殖反応 図7A、B: ニワトリ血清中の因子はSCF前駆細胞のSCF/TGFα前駆 細胞への発育を促進する 図8A: SCF前駆細胞からSCF/TGFα前駆細胞の発育中のエスト ラジオールとSCFの要求 図8B: 貧血ニワトリ血清を用いるSCFのSCF/TGFα前駆細胞へ の発生の加速 図9A: デキサメタゾンを用いるSCF前駆細胞のSCF/TGFα前駆 細胞への変換の加速 図9B: ニワトリ血清における活性に関与する因子の1つとしてインスリ ン様成長因子(IGF−1)の定義 図10: 末梢血のヒトCD34+細胞から赤芽球細胞の成長 図11A、B:試験管内で培養したヒト赤芽球前駆細胞の確認 図12A: デキサメタゾンによる臍帯血からのヒトCD34+細胞の自己複 製能の延長 図12B: IGF−1を用いる末梢血からのヒト細胞の増殖の増加 図13: ヒト赤芽球前駆細胞とニワトリ細胞との成長特性の比較 次の実施例において、特にことわらない限り、Haymanら,1993に記載されてい る材料及び方法を用いた。実施例1〜6ではニワトリ細胞を用い、実施例7及び 8ではヒト細胞を用いた。 実施例1 SCF、TGFα及びエストラジオール中でSCF前駆細胞を培養することによ るSCF/TGFα前駆細胞の濃度 SCF前駆細胞がSCF/TGFα前駆細胞を含むか又はこの細胞タイプに発 育することができる細胞を含むかを系統的に求めるために、精製SCF前駆細胞 の6日齢培養物からの細胞(Haymanら,1993)を100ng/mlの組換え体SCF 、5 ng/mlのTGFα及び5×107M エストラジオールを含むCFU−E培地 中で培養し、Haymanら,1993によって記載されている系(CASY−1、鮮鋭系 )を用いて計数によりモニターした。(3つの因子全てを用いる理論的解釈は可 能な限りSCF前駆細胞を生存させておき、同時に培養物中に存在又は発生した SCF/TGFα前駆細胞の増殖を刺激することであった。) 本実験の結果を 図1に示す。驚くことに(及びTGFαとエストラジオール中で同一細胞を増殖 することによる比較試験で得られた結果とはっきりと違って)細胞は8〜10日 前後でのみ成長速度が弱い一時的な減少を示したが、その後倍加時間18〜22 時間で25〜30日指数的に増殖し続け、その後老化した(図1、白丸)。 SCF、TGFα及びエストラジオール中で培養したSCF前駆細胞がSCF /TGFα前駆細胞を含有したか或いは発育したかを求めかつ大体の算定数を得 るために、培養の分割量を様々な時間に取り、洗浄し、TGFα及びエストラジ オールを含むがSCFを含まないCFU−E培地に移し、細胞数を3つの因子を 全て含んだ培養と比較した。(細胞は新しい培地で適切に希釈することにより1m l当たり1×106〜2×106の濃度で保ち、得られた細胞数及び対応する希釈 因子から累積細胞数を計算した(Schroederら,1993; Haymanら,1993))(図1、 矢印)。5日目に細胞から3因子の組合わせを除去すると、直ちに増殖が停止し た。細胞数は、11日までほぼ一定のままであった。この間に、ほとんどの細胞 がアポトーシスした(これらは細胞カウンターで生細胞と区別されなかった)が 、健全な凝塊は保たれ、13〜14日前後に培養を形成し始めた。その後、細胞 はTGFα及びエストラジオールの存在下に増殖し、対照培養と速度論で区別で きなかった(図1、黒丸)。 SCF、TGFα及びエストラジオール中で培養した細胞を12日目にTGF α及びエストラジオールを含む培地に移した(図1、黒四角)。このときまでに 、アポトーシスした細胞がわずかにあったが、多くの他のものは増殖を続け、1 3〜16日間に成長速度の一時的な減少として明らかになった。その後、細胞は 対照細胞と同じTGFα及びエストラジオール中の速度で増殖した。培養18日 後の3つの因子全てのTGFα及びエストラジオールへの移動は細胞増殖に関し て注目すべき作用がなく(図1、黒三角)、このとき培養物は完全にSCF/T GFα前駆細胞からなることが示された。 実施例2 SCF、TGFα及びエストラジオール中で培養したSCF前駆細胞における生 物活性TGFαR/c−erbBの発現の増強 a)SCF、TGFα及びエストラジオールにおけるSCF前駆細胞の増殖中の c−Kit及びc−ErbBの発現及び生物活性 実施例1で得られた結果に基づいて、SCF、TGFα及びエストラジオール 中で培養したSCF前駆細胞が最初からあるSCF/TGFα前駆細胞で成長す るか或いはそのように発育したかを推測した。実験の目的は、増殖細胞が実際に 生物活性TGFαR/c−ErbBを発現し、予想されるべき生化学反応(自己 リン酸化)又は生物反応(対応する分析における増殖刺激)で明らかにならなけ ればならないことを示すことであった。このために、6、12及び20日目に培 養及び対照培養の分割量を取り、洗浄し、成長因子を存在させずに培地中で一晩 インキュベートし、種々の因子の組合わせで5分間刺激し、更にHaymanら,1993 に記載されているように処理し、ホスホチロシンブロット及び次のウェスタンブ ロット(抗TGFαR−又はc−erbB抗体を用いる)に用いた。 合計6日後に(SCFでは最初の3日後に)、SCF、TGFα及びエストラ ジオール中で培養した細胞はSCFに対する反応のために予想されるc−Kit の明瞭なリン酸化を示し、大量のc−Kitを発現した。対照的に、ウェスタン ブロット分析によれば、細胞は極めて少量のTGFαR/c−ErbBしか含ま ず、目視できるc−ErbBの自己リン酸化はなかった(これらの実験は図2A に示され、矢印は170kdTGFαR/c−ErbBタンパク質を示すが先端 の矢印は140kdSCF−R/c−Kitタンパク質を示す。下の方の図の黒 丸はTGFαR/c−ErbBに関しないバックグラウンドバンドの位置を示す )。 11日後に、c−ErbBウェスタンブロットで示されるTGFαR/c−E rbBの発現が著しく増加した。更に、弱いが有意に検出できるc−ErbBタ ンパク質の自己リン酸化反応がリガンドについて認められた(図2B)。予想さ れるように、細胞は自己リン酸化したc−Kitをなお発現していた(図2B) 。 同様に、20日後に試験した細胞(このときTGFα及びエストラジオール並 びにSCF、TGFαとエストラジオール中の双方で増殖していた)は多量のT GFαR/c−ErbBを発現し、ここでTGFαに対する反応として自己リン 酸化可能であることは明らかである(図2C)。驚くことに、細胞はTGFα及 びエストラジオール中で未処理骨髄から培養された対照細胞より少量のTGFα R/c−ErbBをなお発現していた。(Schroederら,1993; Haymanら,1993) 。得られた結果は、TGFα、SCF及びエストラジオール中で培養されたSC F前駆体が6日後でさえ少量のTGFαR/c−ErbBを発現し、その後、こ の発現は次の8〜14日の間、連続的に増加する。 b)SCF、TGFα及びエストラジオール中で増加するSCF前駆細胞の成長 因子依存性の変化 生化学的に検出したTGFαR/c−ErbBが実際に生物活性レセプターを 構成することを確認するために、細胞を更にHaymanら,1993に記載されているS CF、TGFα及びエストラジオールに対する反応に対して[3H]チミジン取込 み分析によって試験した。 これをするために、SCF前駆細胞(5日後、表A)又はSCF、TGFα及 びエストラジオール中で11又は20日間培養した細胞(図3の表B及びC)の 分割量の種々の因子に対する反応を調べた(100相対単位は記号によって示し た因子濃度に対応する)。SCF、TGFα及びエストラジオール中で6日間培 養した細胞は予想したようにSCF及びエストラジオールに対して反応したが、 TGFαに対して検出可能な反応はなかったことは明らかである(図3A)。こ れらの因子と接触させた11日後に、SCF及びエストラジオールに対する細胞 の反応は変化しなかったが、ここで弱いが明瞭なTGFαに対する反応が認めら れた(図3B)。予想されたように、SCF、TGFα及びエストラジオール中 で20日間培養した細胞は3つの因子全てに対して強く反応し、対照−SCF/ TGFα前駆細胞との差異を示さなかった(図3C)。 纏めると、得られた結果から、自己複製SCF/TGFα前駆細胞は最初はS CFに対してのみ反応しかつ検出可能量のTGFαR/c−ErbB及び長く続 く自己複製能の両方を欠く赤芽球前駆細胞から効率よく培養することができるこ とが示される。 実施例3 SCF前駆細胞からSCF/TGFα前駆細胞の発育 SCF前駆細胞の培養物からSCF/TGFα前駆細胞由来の問題を明らかに するために、限界希釈によるクローニング、以後“LDクローニング”と呼ばれ る方法を用いた。本方法は、適切な希釈度で細胞培養プレートの個々のウェル( 96ウェルプレート)中個々の増殖細胞の発育をモニターすることが可能である ことから、非増殖細胞の複合混合物中で個々の増殖細胞の増殖特性(及び分化特 性)を分析することを可能にする。かかる方法の成功は、分析されるべき増殖細 胞の良好なクローニング効率(10〜50%)に依存することは当然のことであ り、得られた増殖クローン数が付着した細胞数の直線的関数である場合には96 ウェルプレート当たり極めてわずかな(1〜10)クローンまで基準が満たされ る。(この基準が本発明の問題の解明に満足する事実は、Haymanら,1993によっ てSCF及びSCF/TGFα前駆細胞に対して証明された。) LDクローニングが2つの可能なモデルの間でどのように生じるかについての 問題(SCF前駆細胞からまれなSCF/TGFα前駆細胞の選択的成長又はS CF前駆細胞のSCF/TGFα前駆細胞への発育)は図4A及び4B、右側の パネルに示されている。図の左側はモデルを示し、図の右側はLDクローニング の予想結果を示し、図4AはSCF/TGFα及びエストラジオール中のまれな 前駆細胞の有利な選択的成長のモデルを示し、図4Bは多数の又は全ての前駆細 胞の分化プログラムの変化に基づく別のモデルを示す。最初のモデルによれば、 骨髄が複製能及び安定なc−ErbB発現を有するまれな(1/20,000) SCF/TGFα前駆細胞及びSCFの存在下に一時的に増殖するが持続した自 己複製能もc−ErbBを発現することもできない頻繁な(1/300)SCF 前駆細胞の双方を含む場合には、SCFは4〜6日後にSCF前駆細胞の多数の 増殖クローンを誘導しなければならない。その後、増殖クローン数はSCF前駆 細胞を分化又は退化するために急速に減少しなければならない。TGFα及びエ ストラジオール中では、これらのクローンの長時間自己複製能のために実質的に 一定のままでなければならない極めて少数のクローン(1/20,000)が得 られるべきである。3つの因子全て(SCF、TGFα及びエストラジオール) の存在下のコロニー数は最初SCF単独と同じ程度でなければならないが、その 後TGFα及びエストラジオールで得られたレベルに減少しなければならない( 図4A、右側のパネル)。 第2のモデルによれば、骨髄(従ってSCF前駆細胞)は初めから少数しかS CF/TGFα前駆細胞を含まないが、これらの細胞の大部分はSCF、TGF α、エストラジオール(及びニワトリ血清因子)の存在を必要とする緩慢な過程 でSCF前駆細胞から発育する。従って、3つの因子全ての存在下に発生してや がて減少しなくなるか又はわずかに減少するクローンの頻度が予想され、最初の モデルによるかかるクローンの予想された挙動と対照的である(図4B、右側の パネル)。一方ではSCFの存在下、もう一方ではTGFα及びエストラジオー ルの存在下に発育するクローンの頻度は、最初のモデルに対応しなければならな い(図4B、右側のパネル)。 a)精製SCF前駆細胞のLDクローニング 3日齢の精製SCF前駆細胞を、Haymanら,1993に記載されているように調製 した。次に、細胞を種々の濃度(96ウェル細胞培養プレートの1ウェルにつき 20〜2,500細胞)でエストロゲンのみ(対照)又はSCFのみ(及び血清 中に含まれるエストラジオール活性を抑制するためにエストラジオール拮抗体IC I164384)或いはTGFα及びエストラジオール又はSCF、TGFα及びエス トラジオールを含有するCFU−E培地に播種した。良好なクローニング効率を 確実にするために、50個の粘着骨髄細胞を支持層としてウェルの全部に播種し た(骨髄細胞は骨髄の細胞を調製し、50×106細胞/ml100mm皿の速度で 付着させ、10ng/mlのcMGF及びSCFで処理することにより得られた。最 初 の2〜3日で非粘着細胞又は低粘着細胞が伸長し、次に大きな皿に付着した。) 健全な未熟コロニーを細胞を播種した4、9及び11日後に計数した(細胞の 全加齢7、12及び14日に相当する)。 結果を図5Aに示す(極めて少数のコロニーが得られた図5の対照とは別に、 実測頻度は少なくとも2種類の異なる細胞希釈度の100コロニーを超える計数 の結果である)。対照として、まず全クローニング効率(未分化及び分化コロニ ー)を求め、種々の培地中精製SCF前駆細胞を播種した2〜3日後に得た(図 5A、左のパネル)。SCFの存在下にクローニング率10〜20%がエストラ ジオール又はTGFαの存在に無関係に得られたことがわかる。TGFα及びエ ストラジオールを含有した培地又はエストラジオールのみ含有した対照における このときの少数の目視コロニーは小さすぎて計数できなかった。 50%を超える健全な未熟細胞を含有するコロニーで得られた結果はより決定 的であった。7日目にSCFのみで培養されたクローン数はすでに<10-2まで 低下したが、SCF、TGFα及びエストラジオール中で培養したクローンはな お10-1の頻度で存在した。TGFα及びエストラジオール中で増殖したクロー ン頻度は更に少なく(2×103)、エストラジオール対照試料のクローンはまだ 目視できなかった。 更に、種々の培地中で増殖したクローンの挙動は、SCF/TGFα前駆細胞 がSCF前駆細胞から発育する仮説を支持した。SCF単独中で増殖する未熟ク ローンは12〜14日後に、エストラジオール単独中で増殖するコロニーのバッ クグラウンドレベル(5×10-5)に近い3×10-4又は1×10-4に低下した 。予想されるように、TGFα及びエストロゲン(2×10-3)中で増殖した少 数のコロニーは時間が経つにつれて変化しなかった。SCF前駆細胞がSCF/ TGFα前駆細胞に発育することができる知見によれば(図4B)、SCF、T GFα及びエストラジオール中で増殖したクローンのかなりの割合が未熟でかつ 増殖可能なままであり、頻度はわずかしか減少しない(7日目の9×10-2〜1 4日目の5×10-2;図5A)。 b)正常な骨髄細胞のLDクローニング SCF、TGFα及びエストラジオール中自己複製能を獲得する能力を有する SCF前駆細胞がLDクローニング前に試験管内クローニングによって予備選択 されたものを除外するために、新しい未処理骨髄細胞を用いて試験を行ってa) で得られた結果を確認した。特に、自己複製能を有する赤芽球前駆細胞が実際に 、3つの因子全てにおいて増殖した場合にはSCF前駆細胞に近い頻度(1/3 ,000〜5,000前駆細胞;Haymanら,1993)で、TGFα及びエストラジオ ールのみで増殖した場合にはまれなままである頻度(1/15,000)で単一 細胞から発生することができるかを求めるために企図された。 Haymanら,1993に記載されているように調製された正常な骨髄細胞を4種類の 細胞希釈度(500、2,000、6,000、15,000)の種々の因子の組 合わせを含むCFU−E培地に1ウェルにつき500〜15,000細胞の範囲 で播種し、播種後様々な時間に未熟コロニー(50%を超える位の増殖細胞を含 む)を計数した。結果を図5Bに示す:4日後、SCF中で増殖した細胞は3× 10-2〜5×102の頻度でコロニーを形成した。その後、未熟コロニーの頻度 は漸次減少し、13日後に2×10-5の頻度に達した。増加分の細胞が分化、次 にアポトーシスした。予想されたように、TGFα及びエストラジオール中で増 殖したクローンは開始からまれであった(6×10-5〜8×10-5)が、その頻 度は実験中実質的に一定のままであった。一方、SCF、TGFα及びエストラ ジオール中で増殖したクローンは4、8及び13日目に3×10-2〜5×10-2 の頻度で見られた。即ち、3つの因子SCF、TGFα及びエストラジオールは 実際に4日後にSCF前駆細胞に対応する頻度及びCFU−Eコロニーを形成す ることができる正常ニワトリ骨髄中の細胞頻度と同じ頻度で骨髄から未熟コロニ ーの成長を誘導することができる。更に、3つの因子全てが未熟LDクローンの 成長を高頻度で誘導するのに実際に必要であるかを決定することであった。個々 の因子(エストラジオール単独、TGFα又はSCF及び内因性血清エストラジ オールを抑制するためにICI 164384)を含む培地中では極めて少数の未熟クロー ンしか得られなかった(約10-5)。エストラジオールを含まないTGFα及び SCF中ではクローンはSCF単独のように正確に行動した。即ち、4日目に頻 繁であり、次いで漸次減少した(図5B)。驚くことに、SCF及びエストラジ オール中で培養したクローンはSCF単独で培養したものより非常に長い間未熟 なまま であるが、TGFα及びエストロゲン又はSCF中又はTGFα又はエストロゲ ン中で培養したクローンと比べて非常に徐々に増殖した。これらのクローンは典 型的なSCF/TGFα前駆細胞に対して類似性をもたないので(c−ErbB 発現及び試験管内寿命の双方の点で、実施例4参照)、更に調べなかった。 実施例4 SCF前駆細胞から発育したSCF/TGFα前駆細胞のTGFαR/c−Er bB試験管内寿命及び発現の実験 SCF、TGFα及びエストラジオール中正常な骨髄細胞又はSCF前駆細胞 のLDクローニングにより大きな頻度で得られた未熟クローンが実際に典型的な SCF/TGFα前駆細胞であるかを調べるために、TGFαR/c−ErbB の試験管内寿命及び発現並びにTGFα及び他の因子に対する増殖応答について 共に試験した。試験は、TGFα及びエストラジオール中でのみ増殖した細胞及 びSCF/TGFα前駆細胞大量培養からの細胞と比べて行った。 a)寿命の決定 試験管内寿命を分析するために、SCF、TGFα及びエストラジオール中で 培養した(500個の付着細胞を含む96ウェルプレートから得られた)か又は TGFα及びエストラジオール中で増殖した(15,000細胞を含むプレート から)10〜12個の健全な未熟コロニーを単離し、懸濁し、各々の培地中で2 0×106細胞が100mm皿中に得られるか又はクローンが特定の試験管内寿命 (細胞老化)に達したことから細胞が増殖を停止するまで膨張させた。次に、増 殖するクローンを老化するまで継代した(新しい培地を用いて新しい培養皿の中 に希釈及び移動した)。SCF単独中で13日間増殖した後に得られた未熟コロ ニーの全部(6コロニー)及び対照培養からのもの(エストラジオール単独:5 コロニー;SCF単独:5コロニー;TGFα単独:3コロニー;SCF及びT GFα:8コロニー;SCF及びエストラジオール:>15コロニー)を同様に 処理した。 SCF/TGFα前駆細胞に対して予想された寿命を示したクローンはSCF 、TGFα及びエストラジオール並びに予想されたようにTGFα及びエストラ ジオール中でのみ得られた。SCF、TGFα及びエストラジオール中高頻度で 増 殖された12中8クローンは23〜28世代以上の寿命を有した(残り4は12 〜15世代の寿命を有した)。TGFα及びエストラジオール中低頻度で増殖し た10中7クローンは、同様に高平均寿命を有した(23〜31世代;残り3の 寿命は15〜17倍加時間であった)。これにより、SCF、TGFα及びエス トラジオールの存在下にSCF前駆細胞から発育したSCF/TGFα前駆細胞 の平均寿命が純粋なSCF/TGFα前駆細胞と同一であることが明瞭に示され る。個々の因子又はSCF及びTGFαの存在下に形成したコロニーはいずれも 12〜16世代を超える寿命を有しなかった。SCF及びエストラジオール中で 得られた1クローンは22世代まで培養することができたが、他の9クローンは 短い寿命であった(12〜18世代)。しかしながら、このクローンは低速度で 増殖し、極めて少量のTGFaR/c−ErbBを発現し、成長因子分析でTG Fαに反応しなかった。従って、これらの細胞は実際のSCF/TGFα前駆細 胞より異常な細胞クローンであると推測することができる。 b)TGFαR/c−ErbBの発現及びTGFα及び他の成長因子に対する応 答 SCF、TGFα及びエストラジオール中高頻度で得られたLDクローンがT GFα及びエストラジオール中で増殖されたSCF/TGFα前駆細胞と同じ量 でTGFαR/c−ErbBを発現するかを求めるために、全3因子中で培養し た5LDクローン細胞(2クローンは少数の細胞のために合わせた)から、TG Fα及びエストラジオール中で培養した2クローンから及びSCF/TGFα前 駆細胞大量培養から全因子を一晩除去し、次に細胞を溶解し、TGFαR/c− ErbB発現用抗c−ErbB抗体を用いてウェスタンブロットにより調ベた。 図6A、パネルA(骨髄からのLDクローンのc−ErbB発現)は、多少変動 するが同じ量のTGFαR/c−ErbBが3細胞タイプ全てにおいて発現した ことを明瞭に示し、更に3つの因子全ての存在下にSCF前駆細胞から形成され た赤芽球クローンが純粋なSCF/TGFα前駆細胞であることも示す。 3つの因子の存在下に得られた多数のLDクローンがSCF/TGFα前駆細 胞と同じである程度を定量的に求めるために、他の方法を用いた。精製SCF前 駆細胞から3つの因子中で培養することにより誘導したLDクローン(図5B参 照)を13日目に計数し、大部分のウェルが未熟培養物を含有するプレートを選 択した。次に、全ウェルの内容物を懸濁し、因子を存在させずに培地中で洗浄し 、TGFα及びエストラジオールで補足した培地を含む新しい96ウェルプレー トに移した。TGFα及びエストラジオール、SCF単独及びエストラジオール 単独から得られた対照LDクローンを同様に処理した。3日後(16日目)[3H] チミジン取込みを測定することによりクローンの増殖能を調べた(バックグラウ ンドレベルより5倍(個々のコロニーの場合)又は10倍(2以上のコロニー) のカウント数を有するウェルを陽性として計数した)。この分析から、チミジン 取込みクローンの頻度を計算することが可能であった(図6B、パネルB;黒い 棒はチミジン取込みクローンを示し;斜線の棒は全クローンを示す)。得られた データは、TGFα及びエストラジオール中で培養しかつ13日目に同定した実 質的に全ての健全な未熟クローンが16日目にチミジンを取込んだことを示し、 なお活発に増殖していることを確認した。同じことが3つの因子全ての存在下に 生じた50%を超える(30倍以上の多数の)クローンに当てはまった。対照的 に、SCF単独中で13日後に生存した10%より少ないわずかなクローンがチ ミジンを取込んだが、エストラジオール単独の存在下に生じた同様に希有なクロ ーンはTGFα及びエストラジオール中のどれも増殖しないことを示した。これ により、対照で生じたクローンは典型的なSCF/TGFα前駆細胞でないと推 測され、この知見は短い試験管内寿命によって確認される。 更に、本発明は、3つの因子全ての存在下に高頻度でSCF前駆細胞から増殖 したLDクローンがSCF/TGFα前駆細胞と同様にSCF、TGFα及びエ ストラジオールの依存性を示すことを確認することであった。図6B、パネルC は、C6と称したLDクローン(図6A、パネルA参照)が3つの因子全てに対 する明瞭な濃度依存反応を示し、3つの因子の存在下に20日間培養したSCF 前駆細胞大量培養(図3C参照)又はTGFα及びエストラジオール中でのみ培 養したSCF/TGFα前駆細胞の特徴にほぼ対応したことを示すものである。 実施例5 SCF前駆細胞のSCF/TGFα前駆細胞への分化プログラムを変えるのに必 要な因子の定義 前述の実施例で得られた結果は、SCF前駆細胞がSCF/TGFα前駆細胞 に発育することができること、即ち、持続した自己複製能及び3つの因子の存在 下に培養した場合の内因性TGFaR/c−erbBの発現能を得ることを示す ものである。しかしながら、その培養が低濃度のTGFα、SCF及び/又はエ ストラジオール及び確認されていない追加の因子が含まれるニワトリ血清の存在 に決定的に依存するという事実はデータの評価に限界がありかつ多数の疑問を生 じた。SCF/TGFα前駆細胞がニワトリ血清中に確かに存在する低濃度のS CFを必要とするかは明らかにされないままであった。更に、SCF前駆細胞に はTGFαを機能的に置き換えかつニワトリ血清中にも含まれるニワトリ因子を 少量必要とすることができた。第2に、SCF前駆細胞からSCF/TGFα前 駆細胞の発育中のどのときに種々の因子が必要とされるかは明らかでなかった。 更に、ニワトリ血清中のどの因子又は因子群が骨髄からSCF/TGFα前駆細 胞のTGFα/エストラジオール誘導成長に必要であるか及びこの因子又は因子 群が新しい活性或いは既知の因子、例えば、SCFを構成するかについての疑問 があった。 これらの疑問に答えるために、実質的に内因性成長因子及びホルモン活性がな いが、必要な成長因子を外から加える場合に因子依存細胞の成長をなお十分に可 能にするニワトリ血清バッチを調製することが必要であった。最初の試験は、動 物炭で処理したニワトリ血清(Schroederら,1992)がSCF/TGFα前駆細胞 のTGFα/エストラジオール誘導成長を強く阻害した(完全には抑制しなかっ たが)が、これらの前駆細胞が確立されると成長速度に影響しなかったことを示 した。従って、フレオン処理、次に動物炭で3回処理することにより内因性ホル モン及び因子を完全に含まないニワトリ血清(Schroederら,1992)を本発明の実 験に用いた(この除去血清を以後“処理ニワトリ血清”と呼ぶ)。骨髄細胞を、 フレオン処理ウシ胎児血清及び未処理ニワトリ血清或いは処理ニワトリ血清を含 むCFU−E培地中で培養した。細胞をSCF単独或いはSCF、TGFα及び エストラジオール中で培養し、実施例1のように求めた累積細胞数を示す図7に 指定された日に計数した。処理ニワトリ血清で調製したCFU−E培地(図7に おいて、白四角は精製ニワトリ血清及びSCFを示し;黒四角は精製ニワトリ血 清及びエストラジオールを示し;白丸は正常ニワトリ血清及びSCFを示し、黒 丸は正常ニワトリ血清及びエストラジオールを示す)は、細胞がSCF単独又は SCF、TGFα及びエストラジオール中で培養されるかに無関係に、SCF前 駆細胞が未処理ニワトリ血清を含む対照培地と同じ程度まで増殖することを可能 にした(図7A、パネルA)。更に、細胞が老化し始める際のわずかな影響と別 に15日齢SCF/TGFα前駆細胞培養の増殖速度に影響しなかった(図7B 、パネルC)。しかしながら、驚くことに、処理ニワトリ血清はSCF、TGF α及びエストラジオールの存在下のSCF前駆細胞のSCF/TGFα前駆細胞 への発育が遅くなった(図7A、パネルB)。しかしながら、遅れが出た後、処 理ニワトリ血清中で生じたSCF/TGFα前駆細胞は少なくとも5日前に生じ た未処理ニワトリ血清中の対照細胞と同じ速度で増殖した(図7A、パネルB) 。 これらの観察は、多くの結論を可能にする。まず、ニワトリ血清はSCF前駆 細胞のSCF/TGFα前駆細胞への発育を促進する追加の活性を含む。第2に 、この活性は発育のスイッチに重要であるが、変化前のSCF前駆細胞の増殖に 影響せず既に確立したSCF/TGFα前駆細胞の増殖にも重要でない。適切に 処理したニワトリ血清の利用可能性は、また、SCF/TGFα前駆細胞の発育 中のどの日に既知の因子が必要であるかを調べることを可能にする。3日齢精製 SCF前駆細胞は、エストラジオールの存在又は不在と独立してSCF及びTG Fα中に匹敵する速度で増殖した(図8A、パネルA;使用した正常ニワトリ血 清中に存在するエストラジオールはICI 164384で抑制された)。即ち、エストラ ジオールはSCF前駆細胞の初期増殖に影響しなかった。TGFαを存在させた 又は存在させない処理ニワトリ血清、SCF及びエストラジオールを含む培地中 と同じ速度で増殖したという事実は、TGFαが可欠でもあり初期SCF前駆細 胞によって要求された唯一の因子がSCFであることを示す。 成長因子の種々の要求パターンは分化プログラムの変化中に作られる。図8A 、パネルAに示されるように、細胞は8〜10日前後に不可逆的に増殖が止まっ たエストラジオールを存在させないSCF及びTGFα中で保持し、エストラジ オールがスイッチに必要であることが示される。以前の結果は、確立SCF/T GFα前駆細胞の増殖に不可欠であることが示されている(Schroederら,1993) 。 他の実験群はSCFが分化プログラムの変化中に必要であることを明瞭に示して いる。処理ニワトリ血清及びSCFを含む培地中で確立した6日齢SCF前駆細 胞は、3つの内因性因子全てを含む処理ニワトリ血清中で更に培養する場合には SCF/TGFα前駆細胞に低効率で発育することができる。しかしながら、同 一条件下でTGFα及びエストラジオールのみを示す場合には、この能力を完全 に消失した(図8A、パネルB)。従って、SCF/TGFα前駆細胞の発育は 分化プログラムの変化中はSCFの存在に依存し、確立されると、これらの前駆 細胞はSCFに依存しない(図7B、パネルC及び下記参照)。更に、SCF前 駆細胞はTGFαを必要としない(図7A、パネルA)が、存在しないときは未 処理ニワトリ血清を用いる場合でさえSCF/TGFα前駆細胞を生じない(Sch roederら,1993)。要するに、行った試験は次の結論に至った。SCF、TGF α及びエストラジオールの同時存在はSCF前駆細胞からSCF/TGFα前駆 細胞の発育に必要であり、更にニワトリ血清中未知の活性がその発生の効率を高 める。 更に行われた指針実験からのデータは、この活性がニワトリエリスロポエチン であると仮定されたが、これを証明していない。成長因子分析において貧血血清 はSCF/TGFα前駆細胞の増殖を強く刺激することが判明した。更に重要な 知見は、貧血血清がSCF/TGFα前駆細胞の成長速度をその確立中及び確立 後に、これらの細胞が正常ニワトリ血清とSCF、TGFα及びエストラジオー ル(“STE”)に暴露した場合でさえ増大するという事実であった(図8B、パ ネルC)。 更に、c−ErbBを安定に発現したレトロウイルス、即ち、内因性チロシン キナーゼによって自己複製を刺激しかつ他のレトロウイルスに感染した後にマウ スエリスロポエチンレセプターを発現した赤芽球を、ヒト組換え体エリスロポエ チン(EPO)によって3倍以上の増殖速度で刺激することができた。 実施例6 SCF前駆細胞のSCF/TGFα前駆細胞への変換を速くするか又はその成長 に必要なニワトリ血清から2つの因子の同定 a)グルココルチコイドレセプターのリガンド(例えば、デキサメタゾン)は、 SCF前駆細胞がSCF/TGFα前駆細胞に発育するのに要するニワトリ血清 からの因子に属する 前述の実施例は、SCF前駆細胞のSCF/TGFα前駆細胞への発育がSC F、TGFα及びエストラジオールの他に血清の活性炭処理によって除去するこ とができるニワトリ血清からのはっきりしない他の因子を必要とすることを示し た。活性炭で処理したニワトリ血清の存在下に、SCF/TGFα前駆細胞への 発育は起こらないか又は極めて非効率に起こる。 ステロイドホルモンは特に血清の活性炭処理で除去されるので、エストラジオ ールと別に他のステロイドホルモンの活性を正常赤芽球細胞の分化プログラムの 変換中に調べた。まず、ヒトにおけるグルココルチコイドの欠乏が特に貧血を招 きかつマウスにおけるフレンド赤白血病細胞のDMSO誘導分化を防止するので 、グルココルチコイドレセプターのリガンドを試験した。予備的実験は、1)S CF細胞は一時的な複製にDMSOを必要としないこと及び2)確立SCF/T GFα細胞にはその成長に低濃度のグルココルチコイドが必要であることを示し た。ウシ胎児血清及びニワトリ血清の双方を活性炭で処理した培地中TGFα及 びエストラジオールの存在下に培養した場合、細胞は増殖しない。同一培地に1 ×10-6M デキサメタゾンを追加する場合には、細胞は正常な速度で増殖するよ うに刺激される。細胞はグルココルチコイド拮抗体が加えられる場合には未処理 培地並びにTGFα及びエストラジオール中でさえも増殖しない。 グルココルチコイド(デキサメタゾン)がSCFのSCF/TGFα前駆細胞 への変換を速くするかを直接に試験するために、SCF前駆細胞を種々の因子混 合物に短時間暴露する実験を行った(4日間、骨髄を単離した3〜7日後)(図9 参照)。次に、細胞を洗浄し、TGFαとエストラジオールのみ含む培地(TE 培地)に播種した。この培地ではc−ErbBのみ発現する十分に発育したSC F/TGFα前駆細胞は増殖することができるが、SCF/TGFα前駆細胞へ の初期発育段階のSCFの祖先又は前駆細胞は増殖しない(実施例5参照)。 結果を図9に示す。 負の対照として、細胞(4日齢SCF前駆細胞)をSCF及び活性炭処理血清 を含む血清(ウシ胎児血清及びニワトリ血清)中で誘導期間中に培養した。TE 培地にスイッチした後、しばらく細胞成長は観察できなかった。TE培地にスイ ッチした後9〜10日が経過するまで、おそらくSCF/TGFα前駆細胞とし て骨髄中に既に存在する細胞に由来するSCF/TGFα前駆細胞は生じなかっ た(図9、白ひし形)(実施例5参照)。 正の対照として、SCF前駆細胞を4日の誘導期間中SCF、TGFα及びエ ストラジオールで処理した(図9A、黒三角)。TE培地に移した後、予想され たように細胞は極めて急速に生じ、成長では5日の遅れがあった(遅滞期)。こ れは、実施例1に示された結果に対応する(図1、矢印)。 細胞を誘導期間中にSCF、TGFα、エストラジオール及びデキサメタゾン で処理すると、驚くべき結果が得られた。細胞が誘導期間中対照より非常に速く 成長したばかりでなく、TE培地に移した後も認知できる遅滞期はなかった−細 胞は一定の速度で増殖を続けた(図9A、白四角)。この結果は、デキダメタゾ ンが実際に全てのSCF前駆細胞をSCF/TGFα前駆細胞に変換することを 示すものである。更にホスホチロシンブロットを用いる実験(ホスホチロシン抗 体によるウェスタンブロット)は、これらの細胞が予想した量のc−ErbBを 発現することを示した。 デキサメタゾンの作用は、また、SCFの存在下にのみ増殖した細胞に認めら れた。デキサメタゾンの添加は、正の対照(SCF、TGFα、エストラジオー ル、図9A、黒及び白三角)より強くSCF/TGFα前駆細胞の成長を速くし た。実施例5のように、ICI 164384(Schroederら,1993)と称するエストラジオ ール拮抗体の添加が負の対照に認められる程度まで細胞の成長を制限するので( 図9A、白ひし形及び黒丸)、細胞はSCF及びデキサメタゾンの他に血清中に 少量含んだエストラジオールを必要とすることは明らかであった。更に、細胞は 低濃度のc−ErbBリガンド(未知、ニワトリ血清中に含有)を必要とした。 これらの結果は、i)自己複製できるSCF/TGFα前駆細胞の成長にTG Fα及びエストラジオールの他にデキサメタゾンが必要なこと及びii)このホ ルモンはSCF前駆細胞のSCF/TGFα前駆細胞への変換を更に加速するこ とを示す。 b)SCF/TGFα前駆細胞の成長: SCF、TGFα、エストラジオール 及びデキサメタゾンと共にインスリン様成長因子I(IGF−1)は、細胞成長 に絶対に必須なニワトリ血清を置き換える。 複製可能な正常赤芽球ニワトリ前駆細胞による以前の実験は全て、ニワトリ血 清試験バッチの存在につながるものであり、ニワトリ血清を置き換えることがで きる全ての因子を定義することはまだ可能でなかった。a)に記載された結果、 即ち、デキサメタゾンが活性炭で処理したニワトリ血清中でこれらの細胞の成長 を可能にすることは、ニワトリ血清を定義した因子に置き換える一連の試みをも たらした。ニワトリ細胞に必要なこれらの因子の定義は、ヒト細胞の対応する要 求の基礎となる。 SCF、TGFα、エストラジオール及びデキサメタゾンの因子混合物がSC F/TGFα前駆細胞の発育及び成長を促進するのに理想的であるので、この混 合物はニワトリ血清を含む及び含まない培地中に用いた。ニワトリ血清を置き換 える他の可能な因子として、インスリン様成長因子(IGF−1)及びトリIL −6(ニワトリ骨髄単球成長因子、cMGF)を調べた。ニワトリ血清を含む( 図9B、S13培地)及び含まない(図9B、Epotest)培地中で実験を 行った。 試験した因子のうちIGF−1だけが有効であった。図9Bは、SCF(S) 、TGFα(T)、エストラジオール(E)、デキサメタゾン(D)及びIGF −1(IG)の存在下にSCF/TGFα及びエストラジオール中で培養した1 6日齢SCF/TGFα前駆細胞(図9B、黒丸、白三角)及び9日齢骨髄細胞 が共にニワトリ血清を含む(黒記号)及び含まない(白記号)培地中で同様に急 速に増殖したことを示すものである。作用は>7日間について検出することがで きた。IGF−1不在下では2日後に完全に増殖を停止した。IGF−1をcM GFで置き換えると同様の結果(細胞の成長なし)が得られた。 実施例7 ニワトリSCF及びニワトリSCF/TGFα前駆細胞に似ているヒト赤芽球細 胞の培養 a)ヒト赤芽球前駆細胞が骨髄又は末梢血から生じることを可能にする条件の仮 の定義 ヒト造血細胞を用いて実験を行った。これらの実験の基礎にある仮定はヒト赤 芽球前駆細胞がヒト繊維芽細胞と同様の試験管内寿命(50〜70世代)を有す ることであり、これが自己複製可能なヒト赤芽球前駆細胞を検出するための基礎 を構成する。 健常者から提供された骨髄或いは末梢血がこれらの実験の原料として役立った 。CD34細胞表面抗原を発現する未熟血液細胞をShpallら,1994に記載されて いるように免疫親和性クロマトグラフィーを用いて濃縮した。濃縮細胞を以前の 実施例のようにニワトリ血清の代わりにヒト血清(Sigma)及びコンアルブミンの 代わりに鉄飽和ヒトトランスフェリン(Sigma)を含有する改変CFU−E培地(H aymanら,1993)に播種した。この培地を20ngのTGFα(Promega)、20ngの 組換え体EGF(Promega; 赤芽球細胞中に存在する仮定のEGFレセプターファ ミリーの種類が機能リガンドとしてTGFαをもたない場合にEGFを用いた) 、100ngの精製ヒトSCF(Promega)、5×10-7M エストラジオール(細胞 を確認するために役立つ実験においてIL−3、IL−1及びLIFのような他 の因子を培地に加えた)で補足した。細胞の成長は細胞計数でモニターし、培養 物中に存在する細胞タイプはスライド上での細胞遠心及びヘモグロビン及び組織 色素に関する組織化学染色によって分析した(Beugら,1982)。 i)骨髄を用いる実験 ヒト血清、鉄飽和ヒトトランスフェリン、1ミリリットル(ml)につき20ng のTGFα(Promega)、20ngの組換え体EGF(Promega)、100ngの精製ヒト SCF(Promega)、5×10-7M エストラジオール及び種々の他の因子(各々1 0ngのIL−3、IL−6、IL−1及びLIF)を含有する改変CFU−E培 地中でヒト骨髄からの赤芽球前駆細胞を増殖する最初の試みは初めは失敗であっ た。しかしながら、その培地に組換え体EPO(3国際単位/ml)を加えると、 赤芽球前駆細胞が生じ、13日間未熟なままであったが、16日目に実質的に全 て分化した。この間に細胞数が25〜50倍に増加し、正確な測定値は低細胞数 のために不可能であった(最初は2×106細胞だけ付着し、従って3〜5日後 には105細胞より少ない)。得られた増殖細胞はヒトプロ赤芽球に似ており、 驚くべきことに正常赤芽球ニワトリ前駆細胞と同様であった(図11A、パネル A及びB、下記参照)。培養の最初の数日間と15日後に、多核含有網状赤血球 、核放出細胞及び赤血球が見え、培養物中の分化網状赤血球が赤血球に正常に分 化されかつ脱核過程(核の放出)を正常に行うことができたことを示した。EP Oなしに培養は増殖せず、極めて少数の未熟赤芽球細胞しか含まなかった。主に 成熟している単芽球及び種々のタイプの未熟顆粒球(好中球、好酸球、肥満細胞 )を含有した。 ii)末梢血からの細胞を使用する実験 ヒト末梢血から濃縮した40×106CD34+細胞を用いてi)に記載される 実験を繰り返した。改変CFU−E培地とSCF、TGFα及びEGF、エスト ラジオール及びヒト組換え体EPO中2×106細胞/mlを組織培養皿に播種し 、指定した時間に細胞を計数し、CASY-1型、Sharpシステムの電気的細胞計数器 で平均細胞容量を求めた。最初の細胞数は骨髄を用いて行った実験より多かった ので、培養物の増殖速度論は正確にモニターすることができた。図10Aは細胞 数が最初の2〜3日中に減少することを示し、これは部分的に分化した前駆細胞 の成熟及び/又は細胞死とみなすことができる。引き続き、細胞は20〜30時 間から15日までの倍加時間で指数関数的に増殖し、その後は増殖が認められな かった。この増殖相中の細胞数の全増加は>300倍であった。図10Aは、ま た、指数関数的増殖相中細胞はそのサイズを維持することを示し(細胞径9〜1 0μm、細胞容量500〜600フェムトリットル)、未熟なままであったこと がまず示される。 他の骨髄又は多能前駆細胞とヒトプロ赤芽球を区別する抗原マーカーがこれら の実験を行うのに利用できずかつ組織染色による検出が全く明瞭でないので、培 養中の赤芽球前駆細胞の割合を求める間接法を使用した。まず、分割量を非常に 感受性のあるヘモグロビン検出剤である酸ベンジジンを用いて定期的に染色した (Graf & Beug,1978)。6日目に培養物は既に14%のベンジジン陽性細胞を含 有し、10日及び11日目にこれらのレベルは51%と63%に上昇した。ニワ トリSCF/TGFα前駆細胞の純粋培養物は30〜60%のベンジジン陽性細 胞を含有するので、これらの結果は約10日目の培養物が主として赤芽球前駆細 胞から構成されたことを示す。この見解は、細胞が分化するために誘導される試 験によって確認することができた。10日齢培養物の1分割量を洗浄し、10単 位/mlのヒト組換え体EPO及び10ng/mlのインスリン又はIGF−1(イン スリン様成長因子1)を含む改変CFU−E培地に懸濁した。平行した分割量に 更にIL−3(10 ng/ml)を与えた。図10Bのデータは、細胞数が約3倍に 増加し、赤芽球細胞を分化することが予想されるように細胞容量が同時に著しく 減少したことを示している。2日後に行われた酸ベンジジン染色は、EPO/イ ンスリン単独を与えた培養中95%を超えるベンジジン陽性細胞を生じた。これ により、分化誘導前に存在する大部分の細胞が、特に細胞遠心及び組織染色後の 分化培養中に極めて少数のアポトーシス細胞しか見えないので赤芽球でなければ ならなかったことが示される(下記参照)。IL−3の添加がおそらく分化を遅 らせた。2日後に66%のベンジジン陽性細胞しか検出されず、その細胞はいく ぶん速く増殖し、細胞容量はよりゆっくりと減少した(図10B)。 b)SCF、TGFα、エストラジオール及びEPO中で増殖する細胞の確認 SCF、TGFα及びEGF、エストラジオール並びに組換え体EPO中の培 養によって得られた赤芽球前駆細胞が前の実施例で増殖したニワトリSCF/T GFα前駆細胞に相当するかを求めるために、次の2つの試験法を用いた。 まず、培養物中に存在する細胞タイプをスライド上の遠心及びヘモグロビンに 対する組織染色及び組織化学染色の両方によって確認した(Beugら,1992、この 中で定義された段階参照)。本発明は、増殖速度論及びサイズ分布に基づいて仮 定されるように、赤芽球前駆細胞が実際に自己複製するかについてある指示を得 るように、未熟ヘモグロビン陰性又はわずかに陽性のプロ赤芽球がどのくらい培 養物中に続くかを求めることであった(図10A)。プロ赤芽球は、使用した染 色において、中心の大きな細胞核、強い好塩基性細胞質、細胞質継ぎ目の特徴的 重なり及び骨髄細胞と区別できる中性ベンジジンによるわずかな染色により他の 細胞と異なる。図11A、パネルA(増殖細胞、7日後の骨髄、10日後のCD 34+細胞)及びB(10日間増殖及び4日間分化後に分化した)は、培養物中 に続く大部分の細胞がベンジジン陰性プロ赤芽球に似ており、更に、骨髄細胞が あったことを示すものである。これらの結果は14日まで得られ、次に成熟細胞 の割合が著しく増加した。対照的に、分化誘導の4日後に得られた細胞(上記参 照)は網状赤血球並びに核放出及び成熟赤血球を構成し、更に、SCF、TGF α、エストラジオールEPO中に保持された細胞が実際に上記因子によって誘導 された分化に入らないように防止したことが確認される。図11Aは、スライド 上の遠心及びヘモグロビンに対する組織染色及び組織化学染色の両方によって確 認されたヒト骨髄(BM)及びCD34+細胞(CD34)(パネルA)の標品を示 し、これらの標品は組織学的詳細及びヘモグロビン染色を集めるために緑色光( 上)及び青色光(下)のもとで写真をとった。Er=赤血球及び核放出赤血球; R=網状赤血球;Pe=プロ赤芽球;M=骨髄細胞。図11A、パネルBは10 日間培養したCD34+細胞を示し、4日間分化するために誘導し、同様の方法 で写真をとった。 細胞がc−Kit及びc−ErbB/EGFレセプターファミリーの1種を共 に発現しかつ具体的なリガンドに応答して増殖するかを調べることにより、SC F/TGFα前駆細胞に似ている細胞を実際にヒト赤芽球前駆細胞から得ること ができることが明瞭に示された。予想された50〜70分裂中に自己複製する培 養を最初に得ることが不可能であるので、培養中の大部分の細胞は特に初期の段 階においてSCF前駆細胞に対応しかつSCF/TGFα前駆細胞はおそらく最 適以下の培養条件の結果として、低効率でしか生じないと考えられた。従って、 ヒト骨髄細胞の種々の成長因子に対する反応性を種々の成長因子分析を用いて試 験した(Leutzら,1984; Haymanら,1993)。これらの分析の結果は、図11B、 パネルC(自己複製因子TGFα/EGF、SCF)及び図11B、パネルD( 分化因子(EPO、IL−3))に示される。これらの実験の場合、CD34+細胞 を8日間で増殖し、洗浄し、CFU−E培地をヒト血清を存在させずに用いる以 外は実施例4に記載されているように成長因子依存性を試験した。成長因子相対 濃度100は、400 ng/mlの組換え体SCF及び40 ng/mlの各TGFα又はE GF;10 ng/mlのヒト組換え体IL−1、20単位/mlのヒト組換え体EPO 、40 ng/mlのヒト組換え体IL−3及び10 ng/mlの組換え体マウスLIFに 相当する。示された数値は3回の測定値の平均である。細胞は、SCFに強い反 応及び更に有意にはTGFα及びEGFの混合物に弱いが明瞭な反応を示した。 一方、極めて初期の多能造血細胞に作用する2つのサイトカイン IL−1及びLIFに反応しなかった。これにより、SCFに反応する細胞が赤 芽球前駆細胞であると結論される。予想されたように、細胞は赤芽球分化因子E PO及びIL−3に同じように強く反応し、培養物が主として赤芽球細胞を含む ことも確認される。 実施例 8 別の増殖因子およびステロイドホルモンは、最終分化しうるヒト前赤芽球の培 養物において長期(>20世代)にわたって自己-複製を引き起こす。 実施例6において、ニワトリ系で、自己-複製しうるヒト前赤芽球の外部増殖に 対しかなり重要な結果が得られた: 1. SCF,TGFαおよびエストラジオールに加えて、SCF前駆体をSCF/TGFα前駆体へ 成長させるために必要なニワトリ系において最初は不確定な因子のうち二つの因 子が同定されうる:ステロイドホルモンデキサメタゾンおよび一般的増殖因子イ ンシュリン様増殖因子(IGF)-1。 2. ヒト前赤芽球の自己-複製特性におけるデキサメタゾンの効果は、したがっ てより十分に研究された。同様に、研究は、IGF-1すなわちニワトリ系において ニワトリ血清に依存しない細胞を作るものは、ヒト細胞における少なくとも成長 促進特性を示すかどうかを見出すために行われた。得られた結果は驚くべきもの であった:これらのインビボ寿命の間に200-1,000倍から100,000倍以上ヒト前赤 芽球の複製を増加することができた。これにより、コロニー試験およびFACS分析 により得られる細胞集団のより一層正確な特性決定ができるようになった。さら に、前赤芽球の分化特性は、利用可能な十分の細胞があるので、実施例7におけ るよりもさらに正確に観察されうる。 a) デキサメタゾンの効果 実施例7 (ii)で記載されているように精製された臍帯血液からのヒトCD34+ 細胞を、実施例7で記載されているように、Epo、huSCF、TGF αおよびエストラ ジオールを足した培地へ播種した。“因子混合体”と名付けた上記因子に加えて 、1x106Mデキサメタゾンを第二の培地へ添加した。細胞増殖は、検出可能な複製 のいずれもが停止するまでモニターされた。結果を図12Aに示す。予期したよ うに、細胞は13/14日まで“因子混合体”において指数関数的に増殖し、1,000-2 ,000倍の細胞増殖を示した(図12A、黒い丸)。予期せぬことに、因子混合体+ デキサメタゾンにおいて培養した平行培養物は少なくとも18日までは指数関数的 に増殖し、その後次第にその増殖を停止し(図12A、白い四角)、これにより150 ,000倍の細胞増殖が得られた。細胞の幾つかが常に自然分化へ入り、それゆえ非 成熟細胞集団の幾つかだけが培養物の自己-複製能力を維持するために利用され ると仮定した場合、これらのデータは、ヒト臍帯血液からの前赤芽球がEPO、SCF 、TGF α、エストラジオールおよびデキサメタゾンの存在下で少なくとも20細胞 世代に対して維持されうることを示している。これは実質的に、ヒトBFU-Esがこ れらの通常の成長能力内で受ける7-10細胞分割以上であろう(サワダら、1990) 。したがって、これは、i)ヒト赤芽系前駆細胞、すなわちニワトリにおける相当 する細胞と類似のものが、チロシンキナーゼリガンドおよびステロイドレセプタ ーのリガンドの組合せにより、これらの成長能力における本当の変化すなわち持 続した自己-複製を受けさせることができることを示す。 b) IGF-1の効果 末梢血管および成人からのCD34+細胞(実施例7,ii)におけるようにして得た) を、“因子混合体”+デキサメタゾンにおいて細胞が指数関数的に増殖し始める まで培養した。次いで、ヒト組み換え体IGF-1(プロメガ(Promega))40ng//mlを、 細胞の一つのアリコートへ添加した。図12Bに示すように、IGF-1を有する細胞( 黒い円)はこの増殖因子を含まないもの(白い四角)と比べて著しく早く増殖し た。使用する培地は子牛胎児血清15%およびヒト臍帯血液からの血清4%を含む(IG F-1の基本濃度を含むことが予想される)ので、増殖速度における適切で比較的小 さい増加が達成されるがしかしそれでも細胞がIGF-1と反応することを示す。こ れはまた、細胞を因子なしで一晩培養し、そしてIGF-1で5分間および10分間刺激 し、溶解しそしてホスホチロシンブロットにおけるリン酸化をレセプターについ て研究する実験から明らかである(実施例2参照)。このように処理した細胞は 、ホスホチロシンブロットにおいて細胞内90kD IGF-1D-レセプター-鎖および130 kD IRS-1(インシュリンレセプター基質)たんぱく質の自己リン酸化を示した。 c) コロニー試験および表面マーカーを用いた、自己-複製しうるヒト赤芽球 のより正確な特性決定 デキサメタゾンを有するまたは有しない“因子混合体”で培養されたヒト前赤 芽球の驚くべき能力により、これらの細胞が一連の赤芽系成長におけるこれらの 成長能力とこれらの位置についてより正確に研究することができるようになった 。このために二つのタイプの方法を使用した: 最初に、細胞を、サイトキンの好適な組合せの半液体培地へ播種し、10日後に 増殖したコロニーの型を計測した。以下のコロニー型を区別した:i)バースト形 成単位-赤芽系(BFU-E)、コロニーは1,000から>20,000個の細胞からなり、これは 赤血球のみを含み、すなわち出発細胞は赤芽系列へ向かう非成熟前駆体であるこ とを示す;ii)BFU混合物、>20,000個の細胞を有する大きなコロニー、赤血球の 他に、少なくとも一つの他の系列の細胞を含み、したがって多能性出発細胞を示 すもの;および iii)コロニー形成単位-顆粒球/マクロファージ(CFU-GM)、100 から>1,000個の細胞のコロニーであって赤血球を含まず、骨髄細胞(マクロファ ージおよび/または顆粒球)だけでありしたがって非−赤芽系前駆細胞から派生 する。 第二に、細胞は特定の系統の細胞および成熟程度に特異的な表面マーカーの発 現に関し好適な抗体およびFACS分析を用いて試験された。個別に使用した場合、 ヒト前赤芽球を絶対的に識別するであろう表面マーカーは現在のところ存在しな いが、非成熟および/または成熟赤芽球において発現される多数のマーカーを骨 髄細胞(CD33)およびリンパ球(CD-3,CD-19)に対する特定のマーカーと組み合わ せることにより、細胞が赤芽系に属するかどうかを大きな確信をもって決定する ことができる。CD71(α-トランスフェリンレセプター)抗体は、すべての増殖 細胞をわずかに染色するがしかし赤芽系細胞を非常に強くマークするので、これ に対し特に好適である。CD117(c-キット、全体的に非成熟の、BFU-E様赤芽系前 駆細胞および多能性前駆体およびある種の骨髄細胞(マスト細胞))およびGPA( α-グリコホリン、部分的成熟赤芽系細胞)とともに、CD-71抗体は前赤芽球(CD 71明るい、CD107陽性またはやや陽性、GPA陰性からやや陽性、CD33,CD3,CD19陰 性)を測定することが安全にできるようになる。 赤芽系における系の構成員および成熟度について相当する培養物からの細胞を 試験するために、細胞アリコートを13日と16日目に図12Aに示す培養物から採取 し、表IからIIIに示す試験を行った。16日目にデキサメタゾンを有しない培養物 から採取した細胞をまた密度にしたがって分離した:ニワトリ系では密度<1.070 g/cm3の細胞だけが非成熟で、密度>1.072g/cm3の細胞はすべての場合部分的に成 熟で、赤血球に成熟するまでに1-2日必要なだけであり、その間にこれらは数回 の細胞分割だけを受けた。相当するフラクションをヒト細胞から調製し、コロニ ー形成および表面マーカーについて別々に試験した。 結果を表IからIIIに示す。これらにより、コロニーの優勢型がBFU-Esすなわち 非成熟赤芽系前駆細胞から13日および16日の両日後に形成されることがわかる。 自己-複製が特徴の非成熟段階に細胞をより長く維持することに対するデキサメ タゾンの効果は、BFU-Eの数によってもはっきりする:デキサメタゾンを有する 培養物は、13日および16日の両日の後にデキサメタゾンを有しないものと比べて 2-2.5倍の非成熟コロニー形成赤芽系前駆体の数を含む。データはまた細胞集団 が圧倒的にコミットした赤芽系前駆体からなることを示している。13日および16 日の両日の後で、90%以上のコロニー形成細胞が純粋な赤芽系前駆体であり、多 能性(BFU-混合体)および骨髄“コミット(commited)”前駆体の割合はわずかに3- 6%である。興味深いことに、デキサメタゾンはまた多能性前駆体の含有量を3-6 倍に刺激し、一方骨髄前駆体における効果はもっと弱い。 予期したように、16日齢の臍帯血液細胞の密度の高いフラクション(>1.072g/c m3)は、半-液体メトーセル培地においてコロニーを形成することができなかった 。より成熟した性質はまた、マーカー分析により確認された。 表IIおよびIIIはまた、FACSにおけるマーカー分析の結果がコロニー試験から 導き出される結果を完全に確認することを示す。全ての培養物は少量の骨髄細胞 (13日後に10-20%、16日後に5-7%)だけを含み、リンパ球は含まず、CD34陽性細 胞は殆ど含まない(5%付近、データを示さず)。細胞のほぼ85%は強くCD71陽性 であるが、しかし細胞のわずか数%だけはGPA陽性である。前駆細胞を非成熟段階 に維持するデキサメタゾンの効果は、また、CD 107(c-キット)の発現によって明 らかにされる:16日(デキサメタゾンを有しない培養物は増殖速度が明らか に低下した;図12Aを参照)では、細胞のわずか21%がc-キット陽性であるが、デ キサメタゾンの存在下に維持される指数関数的に増殖する平行培養物においては 、細胞の50%以上がc-キット陽性であった。16日齢培養物からの高密度フラクシ ョンの部分的成熟段階は、マーカー分析により確認された:細胞の53%だけがCD7 1陽性(成熟する細胞はトランスフェリンレセプターを失う)であり、細胞の66% がGPA陽性であった。 要約すると、臍帯血液からの培養物の特性決定は以下のようである: i) 培養物は主に、エリスロイド系統と適合するがしかしいまだに大きなエリ スロイドコロニー(BFU-E)を形成しうる非成熟プロ赤芽球様前駆体からなる。多 能性細胞および他の系統の細胞による汚染は10%未満である。 ii) 持続された自己-複製(16以上の細胞分割)に対するヒト前赤芽球の能力を 引き出すデキサメタゾンの、他の因子と合わせた効果は、コロニーおよびマーカ ーの分析において明らかに反映する:BFU-E(およびBFU-E混合体)を形成する能力 およびc-キットを発現する能力の両方ともデキサメタゾンによりきわめて強化さ れる。 d)臍帯血液からのインビトロ培養された前赤芽球の分化の調節:ニワトリ系 で得られた結果の適用。 ニワトリ系において自己-複製しうる正常赤芽系前駆体の主な利点は、“自己- 複製因子”(SCF,TGF αおよびエストラジオール)を除去した後およびこれらの 因子を分化因子(Epo、インシュリン)で置換した後に、細胞が通常の反応速度 でそして予測した回数の細胞分割を経ながら分化したことである(ハイマンら、 1993)。実施例7はこの観察されたことが原則的にヒト赤芽球へ適用可能である ことを示している:インビトロで培養したヒト前赤芽球は組み換え体ヒトEpoお よびインシュリンにおいて成熟して除核(核を除いた)赤血球になった(実施例 7、図10AパネルAおよびB)。明らかに自己複製できうる多量のヒト前赤芽球の 存在により、この分化誘発を定量的に観察することが出来るようになった。さら に、ここで、細胞の分化プログラムにおける別の因子の効果を分析することが可 能になった。ニワトリ系において、Epoおよびインシュリンの存在下にSCFは 赤芽系分化をかなり遅らせるかまたは最初の4-5日の間ほとんど完全にこれを阻 止することができることを示すことができた(ハイマンら、1993)。さらに、甲 状腺ホルモンT3(トリヨード-チロニン)、特にコ-レセプターRXRのリガンドと 一緒のものは、赤血球分化の速度を上げおよびSCFにより起こされる赤芽系分化 の速度低下を逆にすることができた(シュレーダーら、1992; ボウグら、1994)。 したがってニワトリ系について行われた観察がヒト系でも有効であるかどうかを 見出すことは興味深い。純粋なヒトBFU-Eにおける、分化の遅延と解釈されるか もしれないSCFの重要な効果が検知された(ダイら、1991; サワダら、1991)が 、純粋化した赤芽系前駆体の成長におけるT3の効果を直接示す研究は知られてい ない。 実験は、“因子混合体”およびデキサメタゾンとともに維持された培養物から の16日齢細胞において行われた。細胞を遠心分離し、因子を含まない培地中で洗 い、そして様々な分化培地において1-2x106個の細胞/mlの密度で培養した。分化 培地は、2%ヒト血清(臍帯血液から)および、別の添加剤を含まない(図13、白 い四角;因子無し)、10単位/mlのヒト組み換えEpo+10ng/mlインシュリン(図1 3、Epo、Ins;黒い四角)、Epo、Ins+100ngヒトSCF(図13、SCF、Epo、Ins; 白 い円)および上記因子+200nmトリヨードチロニンおよび10-6M9シスレチノール 酸(図13、SCF、Epo、Ins、T3、RXR Lig;黒い円)のいずれかを含む。分化の間 に細胞を密度2-4x106細胞個/mlで培養し、新しい因子を毎日添加した。特定した 時点で、細胞容量をCASY-17型、シャープ系の電気細胞計測機で測定した(実施 例7参照)。同じ時点で、公知細胞数の細胞アリコートのヘモグロビン含有量を 光度計測定器により測定した(コベンツら、1987)。結果を図13に示す。Epo/In sの不存在下でヘモグロビン含有量/細胞容量はほとんど増加しない(図13,白い 四角)が、Epo/Insの存在下ではヘモグロビン含有量/細胞容量は鋭い(ほぼ8倍 )増加を示した(図3、黒い四角)。驚くべきことに、SCFはまさにニワトリ系に おけるようにEpo/インシュリンにより起こされる赤芽系分化を遅らせ(図13、白 い円)、一方甲状腺ホルモン(T3)+RXRリガンドの添加はSCFによる分化のこの遅 延を逆転し(図13、黒い円)、ここでもニワトリ系で得られたデータと同じであ った。 要約すると、これらのデータにより、培養基において自己-複製しうる能力の あるヒト前赤芽球が、エリトロポエチンに依存して、ヘモグロビンを蓄積する成 熟赤血球へ培養基において成熟することがわかる。この過程は、SCFにより遅延 され、T3により促進される(精製したヒトBFU-Esにおけるように、サワダら、19 91)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シュタインライン ペーター オーストリア アー1030 ウィーン シン メルガッセ 10―2―7 (72)発明者 ダイナー エヴァ オーストリア アー1030 ウィーン ゲッ シュルガッセ 10―2 (72)発明者 フォン リンデルン マールティエ マリ ー オーストリア アー1100 ウィーン ヘル ンドルガッセ 26―5

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.赤芽系前駆体の集団を含む細胞を赤芽系細胞の増殖に必要な通常の成分を含 む培地において、エストロゲンレセプターの少なくとも一つのリガンドおよびグ ルココルチコイドレセプターの少なくとも一つのリガンドおよびチロシンキナー ゼレセプターの少なくとも一つの、好ましくは少なくとも二つのリガンドを含む 増殖因子の組合せに対し、少なくとも細胞がそれ自身で複製を始めるまで晒し、 必要ならば、細胞をさらに持続した自己−複製に必要な因子を含む培地で培養す ることを特徴とする赤芽系統の非−永久化造血性前駆細胞のインビトロ産生方法 。 2.細胞がヒトの細胞である請求項1の方法。 3.使用される出発細胞が、CD34−陽性細胞の濃縮物を有する細胞集団である請 求項2の方法。 4.骨髄、末梢血管または臍帯血液からの細胞集団を使用する請求項3の方法。 5.組合せ因子がチロシンキナーゼレセプターの少なくとも二つのリガンドを含 む請求項1−4のいずれか1の方法。 6.組合せ因子が様々なクラスのチロシンキナーゼレセプターからのレセプター と結合する少なくとも二つのリガンドを含む請求項5の方法。 7.リガンドが異なった構造のキナーゼ領域を有するレセプターと結合する群か ら選択される請求項6の方法。 8.リガンドが、以下の群: i) 連続するキナーゼ領域を有するチロシンキナーゼレセプターと結合 するリガンド;および ii) 挿入部により中断されたキナーゼ領域を有するチロシンキナーゼレ セプターと結合するリガンド から選択される請求項7の方法。 9.組合せ因子が、以下のもの: i) EGF レセプターおよび/またはHGF レセプターの類からのレセプタ ーのリガンド、および ii) c-キットのリガンド を含む請求項8の方法。 10. 組合せ因子が、以下のもの: i) TGF αおよび/またはEGF および/またはHGF、 ii )SCF、 iii )デキサメタゾンおよび/またはヒドロコーチゾンおよびエストラ ジオール を含む請求項9の方法。 11.組合せ因子がまた、自己-複製能力の獲得を促進する他の因子一つ以上を含 む請求項1−10のいずれか1の方法。 12.そのまたはそれぞれの追加の因子がサイトキンおよび/またはチロシンキナ ーゼのリガンドおよび/またはセリンキナーゼレセプターの群から選択される請 求項11の方法。 13.サイトキンがエリトロポエチンである請求項12の方法。 14.チロシンキナーゼレセプターリガンドがIGF-1 である請求項12の方法。 15.組合せ因子が、以下のもの: i) TGF αおよび/またはEGF および/またはHGF、 ii )SCF、 iii )デキサメタゾンおよびエストラジオール iv )エリトロポエチンおよびIGF-1 を含む請求項10−14のいずれか1の方法。 16.自己−複製能力を細胞の持続した自己- 複製に必要な因子の存在下に獲得し た後、細胞をさらに培養する請求項1−15のいずれか1の方法。 17. EGFレセプターまたはHGF レセプター、SCF 、エリトロポエチンおよびIGF- 1の類のリガンド少なくとも一つの存在下にヒト細胞をさらに培養する請求項16 の方法。 18.リガンドがEGF および/またはTGF αおよび/またはHGF である請求項17の 方法。
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