JPH09500536A - 転写因子、nf−il6/lapの調節 - Google Patents

転写因子、nf−il6/lapの調節

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Abstract

(57)【要約】 NF−IL6/LAPの活性化ドメイン内のセリン105の燐酸化における変更は、その転写有効性を変更させる。改造転写活性化物質のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびその使用方法は、遺伝子発現の調節を可能にする。この図は、CATレポータープラスミドとともに、pCMV−LAP(wt)、pCMV−LAP(Ala105)およびpCMV−LAP(Asp)プラスミドを同時トランスフェクトしたHepG2細胞のCAT活性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】 転写因子、NF−IL6/LAPの調節 本発明は、合衆国予防衛生研究所の付与するグラント番号CA50528およ びHL35018を基に、政府の支援を受けて行われた。合衆国政府は、本発明 に一定の権利を有する。発明の背景 1.発明の分野 本発明は、遺伝子発現調節の分野に関し、特に、転写因子、NF−IL6/L APによる遺伝子の調節および活性化に関する。 2.関連技術の記載 多くの真核遺伝子は、誘発可能な、細胞の種類に特異的なまたは構造的な態様 で調節される。遺伝子発現の調節に深く関与している様々な種類の構造成分が存 在する。配列特異的DNA結合タンパク質に結合するために働く、遺伝子の近傍 または遺伝子内に存在するシス−作動性成分、またはトランス−作動性因子が存 在する。タンパク質のDNAへの結合は、遺伝子転写の開始、維持またはダウン レギュレーションに寄与している。 遺伝子を制御するシス−作動性成分は、プロモーター、エンハンサーまたはサ イレンサーと呼ばれる。プロモーターは転写開始部位の次に配置され、方向依存 的態様で機能し、一方、エンハンサーおよびサイレンサーは、プロモーターの活 性を調節し、転写開始部位へのその方向性と距離に関して柔軟性がある。 細胞外シグナルは、多くの種類の転写因子の活性を調節する。シグナル調節性 転写因子の重要な1群はBZipタンパク質であるが、これは、それぞれDNA 結合と二量体化のために必要な保存的ベーシック(B)ドメインおよびロイシン ジッパー(Zip)ドメインのためにこのように呼称される。この種類の転写活 性タンパク質で良く研究されている幾つかの例には、転写因子のAP−1/ju n/fosファミリーおよびCREB/ATFタンパク質が含まれるが、これら は、それぞれTPA(12−O−テトラデカノイルフォルボール−13−アセテ ート)反応成分およびサイクリックAMP(cAMP)反応成分(CRE)と結 合する。BZipタンパク質による調節は、DNA結合機能や転写活性化機能に 限らず、ある細胞で発現される因子の発現レベルやレパートリーにも影響を与え る種々の複雑なメカニズム、転写メカニズム、一時的および翻訳後メカニズムを 含む。 NF−IL6/LAP(核因子−インターロイキン6/リンホカイン活性化タ ンパク質)は、転写アクチベーター(活性化物質)のbZIPファミリーのメン バーの1つである。NF−IL6/LAPタンパク質は肝臓の核内に極めて豊富 であり、そこでは、このタンパク質は急性期反応の主要な調節因子と考えられて きた。これはインターロイキン6(IL−6)および他の炎症仲介物質によって 誘発される。NF−IL6/LAPはまた、IL−1および細菌性リポ多糖類( LPS)に反応してIL−6プロモーターの活性化に関与する。NF−IL6/ LAPは、インターロキン6(IL−6)、インターロイキン8(IL−8)、 顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および腫瘍壊死因子α(TNF−α)を 含む幾つかのサイトカイン遺伝子の誘発に深く関与している。これらの遺伝子は 、NF−IL6/LAP認識配列を含むシス−作動性成分を含む。 長年の間、遺伝子の発現またはそのメッセージのタンパク質産物への翻訳に変 化を与える能力について、種々の薬剤が調べられてきた。現存の治療薬のもつ1 つの問題は、無差別的に作用し、健常な細胞に新生細胞と同じように影響を与え るということである。これは多くの化学療法に関する主要な問題で、このような 場合には、主として健常な細胞に対する毒性薬剤の作用のために重篤な副作用が 存在する。 前述の観点から、その遺伝子の発現産物が細胞増殖性疾患と深い関係にある遺 伝子の過剰発現に関連した異常細胞に特異的な標的を同定する必要性が、健常細 胞に対す潜在的なマイナスの影響を減少させるために存在する。本発明は、その ような標的を提供する。発明の概要 本発明はNF−IL6/LAPの部位特異的翻訳後修飾の予期せぬ発見に基づ き、これは、例えばサイトカイン遺伝子のような種々の標的遺伝子を活性化する その能力を強化する。その修飾とは、NF−IL6/LAPの105番のセリン 残基におけるリン酸化である。本発明は、トランス型活性化活性を有し、105 番残基でアミノ酸置換したNF−IL6/LAPのアミノ酸配列を有するポリペ プチドを提供する。 本発明は、NF−IL6/LAPに付随する免疫病理学的または細胞増殖性疾 患をもつ対象者に、NF−IL6/LAP活性を調整する試薬を治療的に有効な 量で投与することによる当該疾患の治療方法を提供する。 本発明はまた、約75位から約125位までのアミノ酸に対応し、さらにその リン酸化部位である105位のセリン残基を含むNF−IL6/LAP上の領域 を含む合成ペプチドを提供する。さらに、本発明は、残基105のセリンがリン 酸化不能アナログ(例えばアラニン)で置換されているペプチドを提供する。こ のペプチドは、NF−IL6/LAP活性化量を減少させたい場合に、天然に生 じるNF−IL6/LAPをリン酸化するキナーゼに対して競合的阻害物質また は擬似基質として有用である。図面の簡単な説明 図1は、PKC経路の活性化が、NF−IL6/LAPの部位特異的リン酸化 を誘発することを示す。図1Aは、CMV−LAPをトランスフェクトし、さら にpUC19、pCDM8−0またはpCDM−PKCαのいずれかでトランス フェクトしてTPAで処理し、32P−NF−IL6/LAPで標識したHepG 2細胞の免疫沈降を示す;1Bは、TPAで刺激したHepG2細胞のウェスタ ンブロッティングを示す;1Cは、インビボ標識NF−IL6/LAPのトリプ シン消化リンペプチドマップを示す。 図2は、pCMV−LAP(wt)またはpCMV−LAP(Ala105) てトランスフェクトし、TPAで処理したHepG2細胞の二次元電気泳動分析 を示す。 図3はCATアッセーの結果で、セリン105のリン酸化はその活性化機能を 強化することを示す。図3Aは、CATレポータープラスミド並びにpCMV− LAP(Wt)、pCMV−LAP(Ala105)およびpCMV−LAP( Asp)プラスミドを同時トランスフェクトしたHepG2細胞のCAT活性を 示す。3Bは、CATレポータープラスミド並びにpCMV−LAP(wt)、 pCMV−LAP(Ala105)、pCDM8およびpCDM8−PKCαで 同時トランスフェクトし、さらに血清枯渇させTPAで刺激したHepG2細胞 のCAT活性を示す。3Cは、pCDM8−0、pCMV−LAP(wt)+p CDM8−PKCα、pCMV−LAP(Ala105)+pCDM8−0およ びpCMV−LAP(Asp105)+pCDM8−0で同時トランスフェクト したHepG2細胞の移動度シフトアッセーを示す。 図4Aは、キメラ活性化因子LAP/GAL4を作製するために、酵母GAL 4DNA−結合ドメイン(aa1−147)のN−末端に連結させたNF−IL 6/LAP(aa21−144)のトランス型活性化ドメインの模式図を示す。 図4Bは、GAL4応答性レポーター5xGAL4−LUCおよびpSV40− LAP(Ser105)/GAL4、pSV40−LAP(ALAI05)/G AL4またはpSV40−LAP(Asp105)/GAL4発現ベクターでト ランスフェクトした細胞のルシフェラーゼ活性を示す。図4Cは、4Bと同じで あるが、プラスミドpCDM8−PKCαもまたトランスフェクトした。 図5は、NF−IL6/LAPのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を 示す。アミノ酸配列75−125には下線を引いた。発明の詳細な説明 本発明は、転写因子NF−IL6/LAPの活性化ドメイン内の特定部位の発 見に基き、この部位は、リン酸化されるとNF−IL6/LAP認識部位を含む 遣伝子を活性化させるというNF−IL6/LAPの能力を増強する。NF−I L6/LAPは遺伝子の特定部位に結合するトランス型活性化タンパク質である ので、NF−IL6/LAPの活性化の調節は、正常な遺伝子発現、細胞増殖制 御および炎症において重要であろう。セリン残基105という特定のリン酸化部 位の発見は、NF−IL6/LAP認識部位を含むこのような遺伝子の遺伝子発 現の制御手段を提供するかもしれない。 本発明は、野性型NF−IL6/LAPのアミノ酸配列を有するポリペプチド を提供するが、105位のアミノ酸が、トランス型活性化活性を強化または減少 させるアミノ酸で置換されていてもよい。好ましくは、その活性を強化したい場 合は、負に帯電したアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸に置換 される。NF−IL6/LAP活性を減少させたい場合は、中性アミノ酸に置換 される。好ましくは、中性アミノ酸はアラニンである。野性型NF−IL6/L APのトランス型活性化活性を強化または減少させる他のアミノ酸で、105位 のセリンを置換することもできる。置換できる他のアミノ酸には、化学的に製造 されまたは修飾され、NF−IL6/LAPトランス型活性化活性を変化させる ことができる合成アミノ酸が含まれる。 本発明のポリペプチドのアミノ酸の一次配列におけるマイナーな修飾は、本明 細書に開示した特定のポリペプチドと比較して実質的に同等の活性を有するポリ ペプチドを生じるかもしれない。そのような修飾は、例えば部位指向突然変異に よるような意図されたものであっても、また偶発的なものであってもよい。この ような修飾によって製造される全てのペプチドは、当該ポリペプチドの生物学的 活性が依然として存在する限り本発明に含まれる。例えば、そのようなポリペプ チドが、天然のNF−IL6/LAPリン酸化部位(Ser105)に対して依 然として競合的抑制物質として作用することもあり、認識されにくいリン酸化部 位(Ala105)を提供することもあり、トランス型活性化を高める部位(A sp105)を提供することもある。さらに、1つまたは2つ以上のアミノ酸の 欠失はまた、その活性を顕著に変化させることなく、生じた分子の構造修飾をも たらすことが可能である。これによって、より広い利用性を有する、より小さな 活性分子の開発がもたらされるであろう。例えば、その生物学的活性に不要であ ろうアミノ末端またはカルボキシ末端のアミノ酸を除去することが可能である。 本発明のNF−IL6/LAPポリペプチドはまた、このポリペプチドの保存 的変形も含む。上記のセリン105リン酸化部位における限定的置換に加え、本 発明は、本発明のポリペプチドのその他のアミノ酸配列における保存的変形をも 包含する。本明細書で用いられているように、“保存的変形”とは、1つのアミ ノ酸残基を別の生物学的に同様な残基と置換することを指す。保存的変形の例に は、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンのような1つの疎 水性残基を別のものに置換すること、または1つの極性残基を別のものに置換す ること例えば、リジンをアルギニンに、アスパラギン酸をグルタミン酸に、また はアスパラギンをグルタミンに置換することなどを含む。“保存的変形”はまた 、置換ポリペプチドに対して作製された抗体が未置換ポリペプチドと免疫的に反 応するならば、未置換親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸を使用する場合も含む 。 本発明はまた、配列番号1のアミノ酸配列をもつ合成ペプチドおよびその保存 的変形を提供する。この配列は、NF−IL6/LAPポリペプチドのアミノ酸 75−125をもち、リン酸化およびそれに続くNF−IL6/LAPの活性化 のための部位となる105位のセリンを含む(Akiraら、EMBO J.,6:1897(1990) ;Descombes ら、Genes & Dev.,4:1541(1990); Poliら、Cell,63:643(1990))。 本明細書で用いられているように、“合成ペプチド”という用語は、完全に天然 で生じるタンパク質分子を含まないペプチドを指す。このペプチドは、化学合成 、遺伝子組み換え技術または完全抗体のフラグメント化のような技術を用いて人 間の仲介によって製造されるということにおいて“合成”である。 本発明はまた、配列番号1の配列を有するペプチドであって、天然のNF−I L6/LAPの105位のセリンが修飾されているものを含む。例えば、修飾の 1つは、セリンをアラニンで置換するものであり、それによってこのペプチドの リン酸化を低下させる傾向を与える。本発明はまた、配列番号1の配列を有する ペプチドであって、天然のNF−IL6/LAPの105位のセリンを負に帯電 したアミノ酸によって置換し、それによってトランス型活性化の活性が強化され ているものを含む。NF−IL6/LAPのトランス型活性化の活性を強化する そのような負に帯電したアミノ酸の例には、アスパラギン酸およびグルタミン酸 が含まれる。 本発明のペプチドは、α−アミノ基のt−BOCまたはFMOC保護のような 通常的に用いられている方法によって合成できる。この方法は両方とも、ペプチ ドのC−末端から始まり、ただ1つのアミノ酸が各段階で付加される多段合成を 伴う(Coliganら、免疫学の今日のプロトコル(Currenet Protocols in Immunol ogy)、ウィリーインターサイエンス、(1991)、ユニット9参照)。本発明のペプ チドはまた、0.1−1.0mMolアミン/gポリマーを含むコポリ(スチレ ン−ジビニルベンゼン)を用いて、メリーフィールド並びにスチュワートおよび ヤンの記載(Merrifield J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1962); Stewart & Young 固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)、フリーマン、サンフラン シスコ(1969)、27-62ページ)にしたがって、既知の固相ペプチド合成によって 合成できる。化学合成の終了時には、ペプチドは脱保護され、液体HF−10% アニゾールにより0℃約1/4−1時間で処理してポリマーから切断される。試 薬を蒸発させた後、1%酢酸溶液でポリマーからペプチドを溶出させ、続いて凍 結乾燥させて粗物質が得られる。通常は、この粗物質は例えば、溶媒として5% 酊酸を用いてセファデックスG−15でゲル濾過して精製できる。このカラムの 適切な分画を凍結乾燥して、均質なペプチドまたはペプチド誘導体が得られるが 、続いてアミノ酸分析、薄層クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィ ー、紫外線吸収分光分析、分子回転、溶解性および固相エドマン分解による定量 のような標準的技術によって性状を決定できる。 本発明はまた、本発明のNF−IL6/LAPポリペプチド並びに配列番号1 の合成ペプチドおよび前述のその改造型をコードするポリヌクレオチドを提供す る。本明細書で用いられるように、“ポリヌクレオチド”とは、分離フラグメン ト形または大型構築物の成分としてのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌク レオチドのポリマーを指す。本発明のポリペプチドをコードするDNAは、cD NAフラグメントからまたはオリゴヌクレオチドから組み立てることができるが 、これは、組換え体転写ユニット中で発現させることができる合成遺伝子を提供 する。本発明のポリヌクレオチド配列は、DNA、RNAおよびcDNA配列を 含む。 本発明のDNA配列はいくつかの方法によって得ることができる。例えば、こ のDNAは、当該技術分野で周知のハイブリダイゼーション方法を用いて単離す ることができる。これらには以下の手段が含まれるが、これに限定されるもので はない:1)共通するヌクレオチド配列を検出するためにゲノムライブラリーま たはcDNAライブラリーに対してプローブをハイブリダイゼさせる、2)共通 した構造物を検出するために発現ライブラリーを抗体でスクリーニングする、3 )ポリメラーゼ鎖伸長反応(PCR)によって合成する。 ハイブリダイゼーション法は、混合標識合成オリゴヌクレオチドプローブを用 いることによって、組換え体クローンをスクリーニングするについて有用である 。この場合、各プローブは、変性した二本鎖DNAの異種混合物を含むハイブリ ダイゼーションサンプル中の特異的なDNA配列に対して潜在的に完全な相補性 を有する。そのようなスクリーニングのために、ハイブリダイゼーションは、好 ましくは、一本鎖DNAまたは変性二本鎖DNAのいずれかで実施される。対象 ポリペプチドに関連するmRNA配列の存在量が極めて少ない材料起源から得ら れたcDNAを検出する場合に、ハイブリダイゼーションは特に有用である。言 い換えれば、非特異的結合を避けることを目的とした厳格なハイブリダイゼーシ ョン条件を用いることによって、混合物中のただ1つの完全に相補的なプローブ に対して標的DNAをハイブリダイズさせることによって、特異的cDNAクロ ーンを、例えばオートラジオグラフィーによって可視化させることができる(Wa llanceら、Nucleic Acid Research,9:879(1981))。 本発明のNF−IL6/LAPポリペプチドをコードする特異的DNA配列の 作製はまた以下によって達成できる:1)ゲノムDNAから二本鎖DNA配列を 単離する、2)対象ポリペプチドに必要なコドンを提供するために、DNA配列 を化学的に製造する、3)真核ドナー細胞から単離したmRNAの逆転写によっ て二本鎖DNAをインビトロで合成する。後者の場合は、一般的にcDNAと呼 称されるmRNAに相補的な二本鎖DNAが最後に形成される。組換え体工程で 使用される特異的なDNA配列を作製するこれら3通りの方法のうち、ゲノムD NA単離物の単離が最も共通性が少ない。これは、哺乳類ポリペプチドを細菌で 発現させたいと考える場合に、イントロンの存在ゆえに特にそうである。 所望のポリペプチド産物のアミノ酸残基の完全な配列が分かっている場合は、 DNA配列の合成はしばしば最良の方法である。所望のポリペプチドのアミノ酸 残基の完全な配列が分からない場合、DNA配列の直接的合成は不可能で、最良 の方法はcDNA配列の合成である。対象cDNA配列を単離する標準的な方法 のうち、とりわけ、高レベルの遺伝子発現をもつドナー細胞で豊富なmRNAの 逆転写に由来するプラスミドまたはファージ保有cDNAライブラリーが用いら れる。ポリメラーゼ鎖伸長反応技術と組み合わせて用いる場合は、発現産物が極 めて稀であってもクローニングが可能である。ポリペプチドのアミノ酸配列の大 半が分かっている場合は、標的cDNAに存在が推定される配列を複製した標識 一本鎖もしくは二本鎖DNAまたはRNAプローブ配列を作製して、DNA/D NAハイブリダイゼーション工程に用いることができる。この工程は、一本鎖形 に変性させたcDNAのクローニングコピーで実施される(Jayら、Nucl.Acid R es.11:2325(1983))。 cDNA発現ライブラリー例えばラムダgt11は、NF−IL6/LAPに 特異的な抗体を用いて、少なくとも1つのエピトープを有するNF−IL6/L APポリペプチドを間接的にスクリーニングすることができる。そのような抗体 はポリクローナルかモノクローナルで、NF−IL6/LAPcDNAの存在を 示唆する発現産物を検出するために用いることができる。 ポリヌクレオチド配列は遺伝暗号から推定できるが、コドンの縮退(degenerac y)は考慮されなければならない。本発明のポリヌクレオチドには、遺伝暗号の結 果として縮退した配列も含まれる。天然には20個のアミノ酸が存在し、そのう ちの大半は、1つ以上のコドンによって特定される。したがって、NF−IL6 /LAPのアミノ酸配列が機能的なポリペプチドを生じるかぎり(少なくともポ リヌクレオチドのセンス鎖において)、全ての縮退ヌクレオチド配列が本発明に 含まれる。 本発明のポリペプチドまたは合成ペプチド(配列番号1)をコードするポリヌ クレオチド配列を、原核細胞または真核細胞のいずれかで発現させることができ る。宿主には、細菌、酵母、昆虫および哺乳類生物が含まれる。原核細胞で真核 細胞配列またはウイルス配列を有するDNA配列を発現させる方法は、当該技術 分野で周知である。宿主で発現と増殖が可能な生物学的に機能を有するウイルス およびプラスミドDNAベクターは、当該技術分野で周知である。そのようなベ クターは、本発明のDNA配列を組み入れるために用いられる。 ポリヌクレオチドをコードするDNA配列は、適切な宿主細胞にDNAを移す ことによってインビトロで発現させることができる。“宿主細胞”とは、ベクタ ーが増殖し、そのDNAを発現させることができる細胞である。この用語はまた 対象の宿主細胞の一切の子孫を含む。増殖中に変異が生じるので、全ての子孫が 親細胞と同一であるとは限らないことは理解されるところである。しかしながら 、“宿主細胞”という用語が用いられる場合には、そのような子孫も含まれる。 適切な移入の方法、言い換えれば、宿主中で外来DNAが持続的に維持される方 法は、当該技術分野で周知である。 本発明では、NF−IL6/LAPポリヌクレオチド配列は組換え体発現ベク ターに挿入してもよい。“組換え体発現ベクター”という用語は、プラスミド、 ウイルス、または遺伝配列の挿入または組み込みによって操作された当技術分野 で既知の他の運搬体を指す。そのような発現ベクターは、挿入された遺伝配列の 宿主による効率的転写を促進するプロモーターを含む。発現ベクターは、典型的 には、形質転換細胞の表現型選別を可能にする特定遺伝子の他に複製起点、プロ モーターを含む。本発明の使用に適したベクターには以下のものが含まれるが、 これらに限られるものではない:細菌での発現にT7主体発現ベクター(Rosenbe rgら、Gene 56:125(1987))、哺乳類細胞での発現にpMSXND発現ベクター( Lee & Nathans,J.Biol.Chem.263:3521(1988))、昆虫細胞での発現にバキュ ロウイルス由来ベクター。DNAセグメントは、調節成分例えばプロモーター( 例えばT7、メタロチオネインI、またはポリヘドリンプロモーター)に機能で きるように連結されて存在する。 ベクターは、発現ベクターを含む宿主細胞を識別するために、表現型として選 別できるマーカーを含むことができる。原核細胞の発現ベクターとして典型的に 用いられるマーカーの例には、アンピシリン(β−ラクタマーゼ)、テトラサイ クリンおよびクロラムフェミコール(クロラムフェニコールアセチルトランスフ ェラーゼ)に対する抗生物質耐性遺伝子が含まれる。哺乳類発現ベクターで代表 的に用いられるマーカーの例には、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノ グリコシドホスホトランスフェラーゼ(neo、G418)、ジヒドロホレート レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン−B−ホスホトランスフェラーゼ (HPH)、チミジンキナーゼ(TK)およびキサンチングアニンホスホリボシ ルトランスフェラーゼ(XGPRT、gpt)に対する遺伝子を含む。 組換え体DNAによる宿主細胞の形質転換は、当業者に周知の通常の技術によ って実施できる。宿主が原核細胞(例えば大腸菌)である場合、DNAの取り込 み能力をもつコンピテント細胞は、増殖期後に採取し続いて当業者に周知の技術 で塩化カルシウム法で処理した細胞から調製できる。また別には、MgCl2ま たはRbClを用いてもよい。形質転換は、宿主細胞のプロトプラストを形成し てから実施してもよいし、また電気的穿孔によって実施してもよい。 宿主が真核細胞の場合は、リン酸カルシウム共沈、通常の機械的方法例えばマ イクロインジェクション、電気的穿孔、リポゾーム封入プラスミドの挿入、また はウイルスベクターのようなDNAのトランスフェクション方法が用いられる。 真核細胞はまた、本発明のポリペプチドをコードするDNA配列とともに、選別 可能な表現型をコードする第二の外来DNA分子例えばヘルペスシンプレックス チミジンキナーゼ遺伝子を同時トランスフェクトすることができる。別の方法は 、真核細胞ウイルスベクター例えばシミアンウイルス40(SV40)またはウ シパピローマウイルスを用いて、一時的に真核細胞を感染または形質転換させ、 当該タンパク質を発現させる(真核細胞ウイルスベクター(Eukaryotic Viral Ve ctors)、コールドスプリングハーバー研究所、Gluzman編(1989))。哺乳類宿主 細胞の例には、COS、BHK、293およびCHO細胞が含まれる。 本発明で提供されるポリペプチドまたはそのフラグメントを発現した宿主細胞 の単離および精製は、調製用クロマトグラフィーおよび免疫学的分離(モノクロ ーナル抗体またはポリクローナル抗体を含む)を含む通常の手段によって実施で きる。 さらに、NF−IL6/LAPのためのリボザイムヌクレオチド配列も本発明 に含まれる。リボザイムは、DNA制限エンドヌクレアーゼと同じ態様で特異的 に他の一本鎖RNAを切断する能力を有するRNA分子である。これらのRNA をコードするヌクレオチド配列の修飾を通して、RNA分子の特異的ヌクレオチ ド配列を認識し、これを切断する分子を創出することができる (Cech、J.Amer .Med.Assn.,260:3030(1988))。このアプローチの主要な利点は、それらは配 列特異的であるが故に、特定の配列をもつmRNAのみが不活性化されるという ことである。例えば、NF−IL6/LAPのリン酸化部位の周辺の領域および こ の部位を含む領域にリボザイムを誘導することができる。 リボザイムには2つの基本的なタイプが存在する、すなわちテトラヒメナ型 ( Hasselhoff、Nature,334:585(1988))と“ハンマーヘッド”型である。テトラヒ メナ型リボザイムは、4塩基の長さの配列を認識し、一方、“ハンマーヘッド” 型リボザイムは、長さが11−18塩基の配列を認識する。認識配列が長ければ 長いほど、そのような配列がもっぱら標的mRNA種にのみ生じる可能性は高く なる。結果として、ハンマーヘッド型リボザイムは、特異的mRNA種を不活性 化するについてテトラヒメナ型リボザイムより好ましく、18塩基認識配列は、 より短い認識配列より好ましい。 本発明で提供される抗体は、本発明のポリペプチドまたはペプチドと免疫反応 性を有しまたはこれと結合する。実質的に、個々のモノクローナル抗体調製物だ けでなく、異なるエピトープ特異性をもつモノクローナル抗体の集合物から成る 抗体が提供される。モノクローナル抗体は、当技術分野で既知の方法によって該 タンパク質フラグメントを含む抗原から作製される(Kohlerら、Nature,256:49 5(1975); 分子生物学の今日の手法(Current Protocols in Molecular Biology) 、Ausubelら、(1989))。 本発明のNF−IL6/LAPポリペプチドに結合する抗体は、問題の小ペプ チドを含む完全なポリペプチドまたはフラグメントを用いて調製することができ る。動物を免疫するために用いられる配列番号1のようなポリペプチドまたはペ プチドは、cDNAの翻訳または化学合成から得られ、精製して所望の場合には 単体タンパク質に共役させることができる。ペプチドに化学的に共役させる通常 用いられる単体には、キーホールリンペットのヘモシアニン(KLH)、チログ ロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)および破傷風毒素が含まれる。続いて この共役ペプチドを動物(例えばマウス、ラットまたはウサギ)の免疫に用いる 。 所望の場合には、ポリクローナル抗体はさらに、例えば抗体をそれに対して作 製させたポリペプチドまたはペプチドを結合させたマトリックスに結合させ、さ らに溶出させることによって精製することができる。当業者には、モノクローナ ル抗体に限らずポリクローナル抗体の精製および/または濃縮のための免疫分野 で普通の種々の技術は知りえるところであろう(例えば、Coliganら、免疫学の 今日の手法(Currenet Protocols in Immunology)、ウイリーインターサイエンス 、(1991)、ユニット9 参照、この文献は参照により本明細書に含まれる)。 本発明で用いられる“抗体”という用語は、完全な分子の他にそのフラグメン ト、例えばFab、F(ab’)2およびFvを含むが、これらは、エピトープ 決定基に結合することができる。これらの抗体フラグメントは、選択的にその抗 原またはレセプターに結合するなんらかの能力を保持し、以下のように定義され る: (1)Fabとは、1つの抗体分子の一価の抗原結合フラグメントを含むフラグ メントで、完全抗体を酵素パパインで消化して、1個の完全な軽鎖と1個の重鎖 の一部分を得ることによって製造できる; (2)Fab’とは、完全な抗体をペプシンで処理し、続いて還元して完全な軽 鎖1個と重鎖の一部分を得ることによって調製できる抗体フラグメントで、1個 の抗体分子から2個のFab’フラグメントが得られる; (3)(Fab’)2とは、完全抗体を酵素ペプシンで処理し、その後の還元を 行わないで得られるフラグメントであり、F(ab’)2は、2個のジスルフィ ド結合によって一緒に保持された2個のFab’フラグメントの二量体である。 (4)Fvは2本の鎖として発現された、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域を含 む遺伝子工学的に創出されたフラグメントと定義される; (5)単鎖抗体(“SCA”)とは、遺伝子融合させた単鎖分子として適切なリ ンカーで連結させた、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域を含む遺伝子工学創出分 子と定義される。 これらのフラグメントを作製する方法は当技術分野で既知である(例えば、Ha rlow & Lane,抗体(Antibodies):実験室マニュアル、コールドスプリングハー バー、ニューヨーク(1988)を参照のこと、この文献は参照により本明細書に含ま れる)。 本発明で用いられるように、“エピトープ”という用語は、抗体のパラトープ が結合する抗原上の一切の抗原決定基を指す。エピトープ決定基は、通常、アミ ノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面分族から成り、さらに通常 は、特異的電荷特性の他に特異的な三次元構造特性を有する。 また、抗イディオタイプ技術を用いて、エピトープを模倣するモノクローナル 抗体を製造することも可能である。例えば、第一のモノクローナル抗体に対して 作製された抗イディオタイプモノクローナル抗体は、第一のモノクローナル抗体 が結合するエピトープの“イメージ”である超可変領域内の結合ドメインを有す るであろう。したがって、本発明では、NF−IL6/LAPポリヌクレオチド または配列番号1の合成ペプチドに結合する抗体から製造された抗イディオタイ プ抗体は、NF−IL6/LAP認識部位を含有する遺伝子のリン酸化およびそ の後の活性化に必要なNF−IL6/LAP上の部位に対して競合的な抑制物質 として作用することができ、したがって特定の遺伝子を活性化しないようにNF −IL6/LAPを妨げる。 本発明のNF−IL6/LAPトランス型アクチベータータンパク質は、タン パク質の活性に影響を与える化合物または組成物の識別スクリーニングの方法と して有用である。したがって、ある実施例では、NF−IL6/LAPに影響を 与える組成物を識別する方法を提供し、この方法は:被験組成物とNF−IL6 /LAPを含む成分を、当該成分が相互に作用するために十分な条件下でインキ ュベートし、続いて当該組成物がトランス型活性化の活性に対して有する作用を 測定することを含む。NF−IL6/LAPに対して認められる作用は、抑制性 か刺激性(stimulate) かのいずれかである。例えば、トランス型活性化活性の増 加または減少は、成分混合物に放射性化合物例えば32P−ATPを添加し、NF −IL6/LAPまたはセリン105を含む本発明のペプチド(配列番号1)の セリン105への放射能取り込みを調べることによって測定し、当該化合物がト ランス型活性化を抑制するか、刺激するかを決定することができる。この方法は また、セリン105での置換を含むNF−IL6/LAPポリペプチドにおける 組成物の影響を測定するためにも有用である。また別に、他の標識もNF−IL 6/LAPに対する組成物の影響を決定するために用いることができる。例えば 、放射性同位元素、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレー ターまたは酵素を用いることができる。当業者には他の適切な標識について理解 し、または日常的な実験を用いてそのような標識を確認することが可能であろう 。 本発明はまた、NF−IL6/LAP関連免疫病理学的疾患の治療方法を提供 するが、この方法は、当該疾患をもつ対象者にNF−IL6/LAP活性を調整 する試薬を治療的有効量で投与することを含む。“免疫病理学的疾患”という用 語は、免疫反応または一般に免疫の状態に深く関与する一切の疾患を指す。 本発明の方法は、免疫病理学的疾患について上記に述べたように、NF−IL 6/LAPに関連する細胞増殖性疾患の治療にも同様に用いることができる。“ 治療的に有効な量”という用語は、例えば使用するポリペプチド、ペプチド、ポ リヌクレオチドまたはモノクローナル抗体の量が、NF−IL6/LAP関連疾 患を緩和するために十分な量であるという意味である。“細胞増殖性疾患”とい う用語は、悪性だけでなく非悪性細胞増殖も意味し、後者はしばしば周囲の組織 と形態学的に異なる外観を呈する。例えば、本方法は、種々の器官系(例えば、 肺、乳房、リンパ系、胃腸管および泌尿生殖管)の悪性疾患の他、腺癌(例えば 殆どの大腸癌、腎細胞癌、前立腺癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌および食道癌の ような悪性疾患を含む)を治療するために有用であろう。 本方法はまた、非悪性または免疫関連細胞増殖疾患、例えば乾癬、尋常性天疱 瘡、ベーチェット症候群、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、虚血性心疾患、透 析後症候群、白血病、リューマチ様関節炎、後天的免疫不全症候群、脈管炎、脂 質組織球症、敗血症性ショックおよび一般の炎症の治療に有用である。本質的に は、病因学的にNF−IL6/LAPと連携している一切の疾患がこの処置に感 受性を有すると考えられる。 本発明の方法による免疫病理学的疾患の治療は、NF−IL6/LAP活性を 調節する試薬の投与を含む。“調整”という用語は、NF−IL6/LAPが過 剰にリン酸化されている場合にはNF−IL6/LAPの抑制を意味し、そのリ ン酸化が低下している場合はNF−IL6/LAP活性の増強を意味する。免疫 病理学的または細胞増殖性疾患が過剰リン酸化に連関している場合は、例えば配 列番号1のペプチドのような抑制性試薬を、細胞内の天然のNF−IL6/LA Pの競合的抑制物質として用いることができる。例えば、NF−IL6/LAP (Ser105)または(Asp105)ペプチドを細胞に導入し、NF−IL 6/LAPキナーゼによるリン酸化に対して競合させることができる。これらの ペプチドは、転写因子として作用することができないであろう。さらに、NF− IL6/LAP結合抗体または、本発明のペプチドに結合するモノクローナル抗 体に結合する抗イディオタイプ抗体もまた、本発明の治療方法で用いられる。免 疫病理学的疾患がNF−IL6/LAPの低リン酸化と結びついており、NF− IL6/LAP認識部位を含む遺伝子の発現レベルの低下と一致する場合は、1 05位に負に帯電したアミノ酸を含む本発明のポリペプチドは本方法で有用であ ろう。 NF−IL6/LAP認識部位を含む遺伝子には、サイトカイン遺伝子が含ま れる。したがって、本発明の方法は、サイトカイン遺伝子の発現と連関している 免疫病理学的疾患の治療に有用である。これらの遺伝子の例には、インターロイ キン6(IL−6)、インターロイキン8(IL−8)、顆粒球−コロニー刺激 因子(G−CSF)および腫瘍壊死因子α(TNF−α)が含まれる。 本発明の抗体は、注射または時間をかけた緩慢な輸液によって非経口的に投与 できる。本発明のモノクローナル抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、髄腔 内または経皮的に投与できる。 本発明のペプチドは、モノクローナル抗体の投与について記載した方法で投与 できる。ペプチドの体内送達について好ましい方法には、微小球体もしくは類タ ンパク質中への被包化による経皮的な方法、肺へのエアーゾル送達による方法、 またはイオン浸透療法もしくは経皮的電気穿孔による経皮的方法が含まれる。他 の投与方法も当業者には知りえるところである。 本発明のペプチドまたは抗体の注射投与用調製物は、滅菌水溶液または非水性 溶液、懸濁液および乳濁液を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、 ポリエチレングリコール、植物油例えばオリーブ油、および注射可能有機エステ ル例えばオレイン酸エチルである。水性担体には、水、アルコール性/水性溶液 、乳濁液または懸濁液を含み、食塩水および緩衝性媒体が含まれる。注射用担体 には、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースと塩化ナ トリウム、乳酸加リンゲル、不揮発油が含まれる。静脈内用担体は、液体と栄養 補充物、電解質補充物(例えばリンゲルデキストロースを基礎としたようなもの )などを含む。保存料および他の添加物、例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤 および不活性ガスなど)もまた存在してもよい。 ポリヌクレオチド配列は、当業者に既知の種々の技術によって治療として投与 できる。そのような治療は、増殖性疾患をもつ動物の細胞中にNF−IL6/L APポリヌクレオチドを導入することによって治療効果を達成するであろう。N F−IL6/LAPの送達(デリバリー)は、組換え体発現ベクター例えばキメ ラウイルスまたはコロイド分散系を用いて達成できる。ヌクレオチド配列の治療 的送達のために特に好ましいものは、標的設定(targeted liposome) リポゾーム の使用である。本明細書で教示したように遺伝子治療に利用できる種々のウイル スベクターは、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアまたは好ましく はレトロウイルスのようなRNAウイルスを含む。好ましくは、レトロウイルス ベクターは、ネズミまたはニワトリのレトロウイルスから派生したウイルスであ る。ただ1つの外来遺伝子を挿入できるレトロウイルスベクターの例には以下が 含まれるが、但しこれらに限定されるものではない:モロニーネズミ白血病ウイ ルス(MoMuLV)、ハーベーネズミ肉腫ウイルス(HaMuSV)、ネズミ 乳癌ウイルス(MuMTV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。さらに別 の多数のレトロウイルスで多くの遺伝子を組み込むことが可能である。これらの ベクターの全ては、選択可能なマーカー用遺伝子を移送(transfer)または組み 込むことができ、それによって、形質導入細胞を同定および増殖させることがで きる。特定の標的細胞上のレセプターに対するリガンドをコードする別の遺伝子 とともに、NF−IL6/LAP配列をウイルスベクターに挿入することによっ て、例えばこのベクターは標的特異的となる。例えば糖、糖脂質またはタンパク 質をコードするポリヌクレオチドを挿入するすることによって、レトロウイルス ベクターを標的特異的にすることができる。好ましい標的設定は、レトロウイル スベクターを標的にする抗体を用いて達成される。当業者には、NF−IL6/ LAPポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能 にするために、レトロウイルスゲノムに挿入できる特異的ポリヌクレオチド配列 を知ることができ、または不都合な実験を行うことなく容易に確かめることがで きる。 組換え体レトロウイルスは不完全であるので、感染性ベクター粒子を産生する ために補助が必要である。この補助は、例えばLTR内の調節配列の制御下でレ トロウイルスの全ての構造遺伝子を発現するプラスミドを含むヘルパー細胞株を 用いることによって提供できる。これらのプラスミドは、封入メカニズムが被包 化のためのRNA転写物を認識可能とするヌクレオチド配列を欠いている。封入 シグナルが欠失しているヘルパー細胞株には、例えばΨ2、PA317およびP A12が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの細胞株は、ゲ ノムが封入されないので空ウイルス粒子(ビリオン)を産生する。封入シグナル は完全であるが、構造遺伝子が他の対象遺伝子で置き換えられている細胞にレト ロウイルスベクターが導入されると、ベクターは封入され、ベクタービリオンが 産生される。この方法で産生されたベクタービリオンは、続いて組織細胞株例え ばNIH3T3細胞の感染に用いられ、大量のキメラレトロビリオンが産生され る。 NF−IL6/LAPポリヌクレオチドのためのまた別の標的設定送達システ ムは、コロイド分散系である。コロイド分散系には、巨大分子複合体、ナノカプ セル、微小球体、ビーズ、並びに、油中水滴乳濁液、ミセル、混合ミセルおよび リポゾームを含む脂質基材システムが含まれる。本発明の好ましいコロイド系は リポゾームである。リポゾームは人工膜担体で、これはインビトロおよびインビ ボでの送達用担体として有用である。サイズが0.2−4.0μmの範囲の大型 単ラメラ小胞(LUV)が大型巨大分子を含む水性緩衝液の相当な部分を被包す ることができることが示されている。RNA、DNAおよび完全なビリオンが水 を含む内部に被包化され、生物学的に活性化形で細胞に送達される(Fraleyら、 Trends Biochem.Sci.,6:77(1981))。哺乳類細胞の他に、植物、酵母および細 菌細胞にポリヌクレオチドを送達するためにもリポゾームは用いられた。リポゾ ームを効率的な遺伝子伝達用担体にするために、以下の特性がなければならない :(1)対象遺伝子の生物学的活性を損なうことなく当該遺伝子を高効率で被包 化する;(2)非標的細胞に較べ、標的細胞に優先的かつ実質的に結合する;( 3)高効率で標的細胞の細胞質に担体の水性成分を送達する;(4)遺伝情報を 正確にかつ効果的に発現させる (Manninoら、Biotechniques 6:682(1988))。 リポゾームの標的設定は解剖学的および機械的因子を基に分類されている。解 剖学的分類は選択性、例えば器官特異性、細胞特異性およびオルガネラ特異性の レベルに基づく。機械的標的設定は、それが受動的であるか能動的であるかによ って区別できる。受動的標的設定は、類洞毛細管を含む器官内の細網内皮系(R ES)細胞に分布しようとするリポゾームの本来の傾向を利用する。他方受動的 標的設定は、リポゾームに特異的なリガンド例えばモノクローナル抗体、糖、糖 脂質またはタンパク質を共役させることによって、または本来生じる局在部位以 外の器官および細胞タイプに標的を設定するためにリポゾームの構成またはサイ ズを変更することによってリポゾームを変化させることを必要とする。 NF−IL6/LAPの特異的リン酸化部位としてのセリン105の発見によ って、当業者がNF−IL6/LAPをリン酸化する特異的タンパク質キナーゼ を見分けることが可能になった。例えば、候補キナーゼをNF−IL6/LAP とともにインキュベートし、セリン105におけるリン酸塩の取り込みを測定し NF−IL6/LAPタンパク質キナーゼを同定する。 以下の実施例は本発明を詳述することを目的とするものであって、制限するこ とを目的とするものではない。これらは代表的なものであるが、当業者に既知の 他の方法もまた選択的に用いることができる。 実施例1 PKC経路の活性化はNF−IL6/LAPの部位特異的リン酸化を誘発する HepG2細胞の半集密(subconflent) 培養物に、記載(P.Descombesら、Ge nes & Dev.,4:1541(1990); C.R.Mullerら、Cell,61:278(1990))にしたがっ てリン酸カルシウム法を用いてpCMV−LAP(wt) (1.0μg)(Descom besら、上掲書) 、pGDM8(3.0μg)およびpGDM8−PKCα(3 .0μg)(G.Jamesら、J.Cell Biol.,116:863(1992))をトランスフェクトし た。トランスフェクション後、細胞を40時間培養液のみで保持し、〔32P〕− オルソホスフェート(2.5mCi/ml)で4時間標識付けした。表示の通り 最後の20分間TPA(100ng/ml)を添加した。RIPA緩衝液(放射 性免疫沈降緩衝液(Radio Immune Precipitation Buffer))で細胞を溶解し、特異 的抗体(Descombesら、上掲書(1990))でNF−IL6/LAPを免疫沈降させ 、さらに記載(B.Binetruyら、Nature 351:122(1991))にしたがってSDS− ポリ アクリルアミド−ゲル−電気泳動によって分離した。ニトロセルロース上にブロ ットを移した後、インビボ標識LAPをトリプシンで消化した。消化ペプチドを メンブレンから溶出させ、TLCプレートに滴下し、記載 (W.J.Boyleら、Enzy mol.,201:110(1991))にしたがって二次元電気泳動によって分離した。記載の方 法を(Descombesら、上掲書(1990))を用いて、32P標識でトランスフェクトし たHepG2細胞から核抽出物を調製し、抗LAP抗体(Descombesら、上掲書( 1990))を用いてウェスタンブロッティングで分析した。抗原抗体複合物は、E CL検出系(アマシャム)を用いて可視化した。CMV−LAPは、NF−IL 6/LAPのオープンな読み枠の二番目のATGで始まる肝臓において大半が翻 訳されるNF−IL6/LAP形をコードする (P.Descombesら、Cell 67:569( 1991))。 NF−IL6/LAP活性の翻訳後制御を調べるために、12−0−テトラデ カノイル−フォルボール−13−アセテート(TPA)およびPKCを用いた。 この系の感受性を増強させるために、NF−IL6/LAPをコードするCMV −LAP発現ベクター(Descombesら、上掲書(1990))を、PKCα発現ベクタ ー(G.Jamesら、J.Cell Blol.,116:863(1992)) の存在下で、無視できる量の内 在性タンパク質を発現させているHepG2ヘパトーマ細胞に同時トランスフェ クトした。TPAによるPKCαの活性化は、NF−IL6/LAPの全リン酸 化において少量ではあるが再現性のある増加をもたらしたが(図1A、レーン3 と4を比較)、その発現レベルに対しては影響を与えなかった(図1B)。He pG2細胞にCMV−LAP発現ベクターを一時的にトランスフェクトし、〔32 P〕−オルソホスフェートとともにインキュベートし、32P標識NF−IL6/ LAPを抗LAP抗体を用いて免疫沈降によって精製した。細胞をpUC19( 図1A、レーン1)、pCDM8−0(レーン2;空の発現ベクター)またはp CDM8−PKCα(レーン3および4)のいずれかで同時トランスフェクトし た。レーン4で用いた細胞は採取前に20分間TPA(100ng/ml)で刺 激した。 平行実験で、HepG2細胞を擬似トランスフェクト(レーン1)またはCM V−LAP発現ベクター(レーン2−5)でトランスフェクトした。細胞をpU C19(レーン2)、pCDM8−0(レーン3)またはpCDM8−PKCα (レーン4および5)で同時トランスフェクトした。レーン5で用いた細胞は、 採取前に20分間TPA(100ng/ml)で処理した。核抽出物を調製し、 10μgのサンプルを抗LAP抗体を用いてウェスタンブロットで調べた。免疫 ブロットは、PKCαの存在下または非存在下で、他に翻訳された(alternative ly translated)LIPタンパク質の産生を示さなかった(Descombesら、上掲書( 1990))。免疫精製NF−IL6/LAPのトリプシン消化二次元リンペプチド 解折 (w.J.Boyleら、Meth.Enzymol.,201:201(1991))によって、TPAによる PKCαの活性化はNF−IL6/LAPの部位特異的リン酸化を刺激すること が示された(図1C)。 インビボ標識NF−IL6/LAPのトリプシン消化リンペプチドマップ。等 量のNF−IL6/LAPを、パネルA(レーン3および4)で述べたようにト ランスフェクトし、TPAで処理(+)または未処理(−)のHepG2細胞か ら単離した。得られたペプチドを高電圧電気泳動(水平方向)で、続いて上昇薄 層クロマトグラフィー(垂直方向)で分離し、オートラジオグラフィーによって 可視化した。PKC活性化後、リンペプチドIおよび3の両方のレベルが増加し た。しかしながらリンペプチドIのみが、別の細胞タイプのTPA処理に反応し て再現性をもって増加した。再現性をもって観察されたNF−IL6/LAP由 来リンペプチドにのみ番号を付与した;他のリンペプチドは夾雑タンパク質に由 来する可能性が高い。矢印は起点を示す。 内在性および一時的に発現させたNF−IL6/LAPの両方が、異なる細胞 タイプにおいてそれらのリン酸化部位で同様な変化を受けることを確認するため に、PKCαを安定的に発現し、内在性NF−IL6/LAPを発現することが 分かっているラット線維芽細胞株でこのような実験を繰り返した。HepG2細 胞で認められたように、TPAは内在性および一時的発現の両方のNF−IL6 /LAPの部位特異的リン酸化を刺激した。幾つかのリンペプチドのレベルはT PA処理後増加したが、両方の細胞タイプで共通で、しかも内在性および一時的 発現NF−IL6/LAPの両方に生じた唯一の変化は32PペプチドIのレベル の上昇であった(図1C)。 実施例2 NF−IL6/LAPのPKC刺激リン酸化部位 105位にアラニンまたはアスパラギン酸のためのコドンを含む変異体NF− IL6/LAPクローンを、標準的な部位指向変異技術(Ausubelら、Current P rotocols in Molecular Biology,ユニット8 ウィリーインターサイエンス(198 9))を用いて作製した。HepG2細胞を一時的にpCMV−LAP(wt)ま たはpCMV−LAP(Ala105)でトランスフェクトし、〔32P〕−オル ソホスフェート(2.5mCi/ml)で4時間標識付けした。図1で述べたよ うにTPA(100ng/ml)で処理した後、細胞をRIPA緩衝液で溶解さ せた。等量の細胞溶解物から抗LAP抗体で免疫沈降によって野性型および変異 体NF−IL6/LAPを単離した(Descombesら、上掲書(1990))。トリプシ ン消化の後、実施例1図1で述べたように二次元電気泳動でペプチドを分離した 。 リンペプチドIの移動位置は、先の実験でそのリンアクセプターとしてのSe r105を含むことが観察されたリンペプチドのそれと同一のようであった。S er105が実際TPA応答リン酸化部位であるか否かを決定するために、コド ンをアラニンに置換した。野性型(wt)NF−IL6/LAPまたはNF−I L6/LAP(Ala105)を発現しているベクターをHepG2細胞へトラ ンスフェクトし、〔32P〕−オルソホスフェートでインビボ標識した後、得られ たタンパク質を単離した。図2に示したように、AlaによるSer105の置 換はリンペプチドIの出現を妨げた。 実施例3 Ser105のリン酸化後のNF−IL6/LAPの活性化 主要なTPA応答リン酸化部位としてのSer105を同定した後、NF−I L6/LAP活性に対するそのリン酸化の影響を調べた。NF−IL6/LAP 反応性レポーター遺伝子を活性化するwtNF−IL6/LAPの能力を、Al a105変異体の該レポーター遺伝子を活性化させる能力と比較した(図3)。 NF−IL6/LAP反応性D−CATレポータープラスミド3μg(Descom besら、上掲書(1990); C.R.Mullerら、Cell,61:279(1990))を、pCMV−L AP(wt)、pCMV−LAP(Ala105)およびpCMV−LAP(A sp105)発現ベクターの量を増加させながら、HepG2細胞に同時トラン スフェクトした。48時間後に細胞を採取し、CAT活性を求めた。結果は3回 の実験の平均である(図3A)。 第二の実験では、HepG2細胞を3μgのD−CATレポーター並びに、表 示の通りpCMV−LAP(wt)、pCMV−LAP(Ala105)、pC DM8およびpCDM8−PKCα発現ベクター(各々1μg)で同時トランス フェクトした。トランスフェクション後20時間で表示の通り、血清枯渇細胞を TPA(100ng/ml)で刺激した。トランスフェクション後40時間して 細胞を採取し、CAT発現を測定した。結果は3回の実験の平均である(図3B )。 次に、各々1μgのpCDM8−0(レーン1)、pCMV−LAP(wt) +pCDM8−PKCα(レーン2と3)、pCMV−LAP(Ala105) +pCDM8−0(レーン4)、pCMV−LAP(Asp105)+pCDM 8−0(レーン5)でHepG2細胞を同時トランスフェクトした。細胞の核抽 出物をトランスフェクション後20時間して調製した。レーン3の細胞は採取前 20分TPA(100ng/ml)で刺激した。移動度シフトアッセーを、アル ブミンプロモーターのD部位(オリゴD)(Descombesら、上掲書(1990))に広 がる32P標識オリゴヌクレオチドを15pg用いて実施した。NF−IL6/L APおよび非特異的(NS)タンパク質DNA複合体の移動位置は、遊離(F) プローブと同様に表示した。図は、プローブの約10%が特異的にNF−IL6 /LAPによって移動した代表的なゲル移動アッセーを示す(図3C)。 別の実験では、一定量(15pg)の32P標識オリゴDを、上記と同じ条件下 で核抽出物の量を増加(μg)させながらインキュベートした。特異的に結合し たプローブの分画をアンビス (Ambis)ゲルスキャナーで定量し、核抽出物量の関 数として作図した。50%占有に必要な核抽出物量を表示した(図3D)。 細胞を2回氷冷リン酸緩衝食塩水で洗浄した後、ディグナムら (Dignamら、Nu cleic Acids Res.,11:1475(1983))にしたがい僅かに改造して核抽出物を調製し た。前述のように(Descombesら、上掲書(1990))、アルブミンプロモーターの D部位に広がる32P標識オリゴヌクレオチドとともに核抽出物をインキュベート した。遊離DNAおよびDNA−タンパク質複合体を6%ポリアクリルアミドゲ ル上で解折した。 Ser105のリン酸化に続くNF−IL6/LAPの増加した活性は、増加 したDNA結合親和性によるか否かを調べるために、移動度シフトアッセーを実 施した。種々のNF−IL6/LAPベクターでトランスフェクトした細胞の核 抽出物を増量しながら、NF−IL6/LAP認識部位に広がる32P標識オリゴ ヌクレオチドとともにインキュベートした。特異的結合は、wtと変異体NF− IL6/LAP発現ベクターの両方の一時的なトランスフェクションによって顕 著に増加した(図3C)。TPA処理およびSer105のAlaまたはAsp による置換は、DNA結合活性に全く影響を与えなかった(図3D)。結合の特 異性は競合実験および抗体スーパーシフト実験によって明らかにされた。 両方のタンパク質(wtおよびAla105)は発現され(図3C)、極めて 同じようなレベルで核に移動したが、wtタンパク質は、Ala105変異体よ りも効果的な、NF−IL6/LAP認識配列に連結させたCATレポーターの アクチベーターであった(S.Akiraら、EMBO J.9:1897(1990); Descombesら、 上掲書(1990);C.R.Mullerら、上掲書(1990))。NF−IL6/LAP発現ベ クターとのPKCα発現ベクター同時トランスフェクションおよびTPA処理は 、トランス型活性化を5倍増加させ、一方、NF−IL6/LAP(Ala10 5)によるトランス型活性化は影響されなかった(図3B)。トランス型活性化 に対するSer105リン酸化効果は負に帯電した残基の導入によって模倣する ことができる;変異体NF−IL6/LAP(Asp105)は、wtタンパク 質よりアクチベーターとして数倍強力であった(図3A)。これらの結果は、S er105のリン酸化はNF−IL6/LAPの活性化機能に影響を与えること を強く示唆している。 実施例4 Ser105のリン酸化はNF−IL6/LAPの活性化機能を強化する Ser105のリン酸化がNF−IL6/LAPの活性化機能を強化すること を確認するために、wtおよび変異体(すなわち、N−末端活性化ドメインのA la105、Asp105(Descombesら、上掲書(1990))の両方をGAL4D NA結合ドメイン (Sadowskiら、Nucleic Acids Res.,17:7639(1989))に融合さ せた(図4)。 GAL4融合タンパク質を構築するために、pET8c−LAP(Ser10 5)およびpET8c−LAP(Ala105) (Descombesら、上掲書(1990)) のNcoI−EcoRIフラグメントを、pSG424ベクター(Sadowskiら、 上掲書(1989))の改造体由来のGAL4DNA結合ドメイン(aa1−147) のコード配列を含むBspHI−EcoRIフラグメントによって置き換えた。 キメラLAP−GAL4のオープンな読み枠をBglII/EcoRI消化によ り切り出し、GAL4DNA結合ドメインを除去したpSG424ベクターでク ローニングした。 NF−IL6/LAP(aa21−144)のトランス型活性化ドメイン(黒 枠)を酵母GAL4DNA結合ドメイン(aa1−147)のN−末端(斜線枠 )を連結し、キメラアクチベーターLAP/GAL4を作製した(図4A)。 次にGAL4応答レポーター5xGAL4−LUC(3μg)をpSV40− LAP(Ser105)/GAL4、pSV40−LAP(Ala105)/G AL4またはpSV40−LAP(Asp105)/GAL4発現ベクター(De scombesら、上掲書(1990))の量を増しなから同時トランスフェクトした。40 時間後、細胞を採取し、ルシフェラーゼ活性を求めた。pSV40−LAP(S er105)/GAL4とともに5xGAL4−LUCレポーターを同時トラン スフェクトして得られた最大ルシフェラーゼ活性を100%と考えた。結果は2 回の実験の平均である(図4B)。 表示のように、SV40−LAP(Ser105)/GAL4(10ng)、 pSV40−LAP(Ala105)/GAL4(10ng)、pCDM8−P KCα(100ng)とともに、5xGAL4−LUCレポーター(3μg)を 同時トランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を20時間血清枯渇 させ、続いて20時間TPA(100ng/ml)で処理するか、または未処理 のままにした。細胞抽出物を調製し、ルシフェラーゼ活性を求めた。結果は別個 の3回の実験の平均を示す(図4C)。 GAL4応答レポーター(5xGAL4−LUC)を活性化させるLAP(S er105)/GALの能力は、LAP(Ala105)/GAL4のそれと極 めて類似しており、両者とも、GAL4DNA結合ドメイン単独より50−20 0倍活性が高かった(図4B)。対照的に、LAP(Asp105)/GAL4 はLAP(Ser105)/GAL4より3倍活性が高かった。LAP(Ser 105)/GAL4の活性はPKCαの活性化によって4倍刺激され、一方、L AP(Ala105)/GAL4の活性は微かに増加しただけであった (図4C )。これらの結果は、NF−IL6/LAPの活性化の潜在能力はSer105 のリン酸化、その部位への負電荷の導入によって模倣される作用によって直接強 化されることを示している。 Ser105は精製PKCによってインビトロでリン酸化されないので、この 残基のリン酸化に反応するタンパク質キナーゼはPKC自体であることはないで あろう。さらに、専ら核に存在する(G.Jamesら、J.Cell Biol.,116:863(1992 )) PKCαの構造的に活性化された誘導体は、NF−IL6/LAP活性また はリン酸化を刺激しない。しかしながら、この誘導体は、他の核タンパク質、例 えばミオジェニック(L.Liら、Cell,71:1181(1992) のリン酸化および活性化 に影響を与えることができる。PKCの活性化は、Ser105におけるNF− IL6/LAPのリン酸化に対して直接反応するものを含む下流側のタンパク質 キナーゼの活性化をもたらす可能性が最も高い。本発明では、PKC活性化は、 炎症仲介物によって誘発される可能性があるシグナリング応答の一部分を模倣す るために役立つ。 前述の記載は、本発明の範囲を詳述することを目的とし、制限するためのもの ではない。実際、当業者には、本明細書に記載されたものを基礎としてさらに別 の具体例を不適切な実験を行うことなく容易に考案することができるであろう。 配列番号表 配列番号1は、NF−IL6/LAPの(アミノ酸75−125)のヌクレオ チド配列と推定アミノ酸配列を示す。 配列番号2は、NF−IL6/LAP(アミノ酸75−125)の推定アミノ 酸配列を示す。
【手続補正書】 【提出日】1996年6月6日 【補正内容】 1) 明細書第14頁第29行目〜第15頁第2行目の「本発明はまた、NF −IL6/LAP関連・・・投与することを含む。」を、「本発明はまた、NF −IL6/LAP関連免疫病理学的疾患の治療用組成物を提供するが、この組成 物は、NF−IL6/LAP活性を調整する試薬を治療的に有効な量で含み、ま た、この組成物は当該疾患をもつ対象者に投与され得る。」と、改める。 2) 明細書第15頁第4行目の「本発明の方法は、」を「本発明の組成物は 、」と改める。 3) 明細書第15頁第10行目の「本方法は、」を「本組成物は、」と改め る。 4) 明細書第15頁第14行目の「本方法は、」を「本組成物は、」と改め る。 5) 明細書第15頁第18〜19行目の「連携している一切の疾患がこの処 置に感受性を有すると考えられる。」を「連携している一切の疾患に有効に作用 すると考えられる。」と改める。 6) 明細書第15頁第20〜21行目の「本発明の方法による免疫・・・試 薬を含む。」を、「本発明の免疫病理学的疾患の治療用組成物は、NF−IL6 /LAP活性を調整する試薬を含む。」に改める。 7) 明細書第16頁第2行目の「抗イディオタイプ抗体も・・・用いられる 。」を、「抗イディオタイプ抗体もまた、本発明の治療用組成物に含まれる。」 と改める。 8) 明細書第16頁第5行目の「本発明のポリペプチドは本方法で有用」を 「本発明のポリペプチドは本組成物に有効に含まれる」と改める。 9) 明細書第16頁第8〜9行目の「本発明の方法は、サイトカイン・・・ の治療に有用である。」を、「本発明の組成物は、サイトカイン遺伝子の発現と 関連している免疫病理学的疾患の治療薬として有効である。」と改める。 10) 請求の範囲を別紙の如く改める。 請求の範囲 1. (a)トランス型活性化活性を有し;さらに (b)残基105にアミノ酸置換を有する核因子−インターロイキン6 /リンホカイン活性化タンパク質(NF−IL6/LAP)のアミノ酸配列を有 すること、 を特徴とする単離ポリペプチド。 2. 前記置換が中性アミノ酸である、請求の範囲第1項のポリペプチド。 3. 前記置換アミノ酸がアラニンである、請求の範囲第2項のポリペプチド 。 4. 前記置換が負に帯電したアミノ酸である、請求の範囲第1項のポリペプ チド。 5. 前記負に帯電したアミノ酸が、グルタミン酸およびアスパラギン酸から 成る群から選ばれる、請求の範囲第4項のポリペプチド。 6. 請求の範囲第1項のトランス型活性化ポリペプチドをコードする単離ポ リヌクレオチド。 7. 請求の範囲第6項のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。 8. 請求の範囲第6項のポリヌクレオチドを含む組換え体発現ベクター。 9. 前記ベクターがプラスミドである請求の範囲第8項のベクター。 10. 前記ベクターかウイルスである請求の範囲第8項のベクター。 11. 請求の範囲第1項のポリペプチドに結合する抗体。 12. 前記抗体がポリクローナルである請求の範囲第11項の抗体。 13. 前記抗体がモノクローナルである請求の範囲第11項の抗体。 14. 配列番号1およびその保存的変形を含む単離合成ペプチド。 15. 前記ペプチドがセリン105における修飾を含む、請求の範囲第14 項のペプチド。 16. 前記残基105における修飾がアラニンによるセリンの置換である、 請求の範囲第15項のペプチド。 17. 請求の範囲第14項のペプチドをコードするポリヌクレオチド。 18. 請求の範囲第16項のペプチドをコードするポリヌクレオチド。 19. 前記残基105における修飾が負に帯電したアミノ酸による置換であ る、請求の範囲第15項のペプチド。 20. 前記負に帯電したアミノ酸が、アスパラギン酸およびグルタミン酸を 含む群から選ばれる、請求の範囲第19項のペプチド。 21. 請求の範囲第19項のペプチドをコードするポリヌクレオチド。 22. 請求の範囲第14項のアミノ酸配列に結合する抗体。 23. 前記抗体がポリクローナルである、請求の範囲第22項の抗体。 24. 前記抗体がモノクローナルである、請求の範囲第22項の抗体。 25. NF−IL6/LAPに影響を与える組成物を同定する方法であって (a)組成物およびNF−IL6/LAPを含む成分を、該成分が相互に 作用させるために十分な条件下でインキュベートし;さらに、 (b)NF−IL6/LAP活性に対する該組成物の作用を測定するという 工程を含む _NF−IL6/LAPに影響を与える組成物を同定する方法。 26. 前記作用がNF−IL6/LAP活性の抑制である、請求の範囲第2 5項の方法。 27. 前記作用がNF−IL6/LAP活性の刺激である、請求の範囲第2 5項の方法。 28. NF−IL6/LAP活性を調整する試薬を治療的に有効な量で含む NF−IL6/LAPに連関する免疫病理学的疾患の治療用組成物。 29. 前記試薬が抗体である、請求の範囲第28項の治療用組成物。 30. 前記抗体がモノクローナルである、請求の範囲第29項の治療用組成 。 31. 前記抗体が配列番号1の合成ペプチドと結合する、請求の範囲第29 項の治療用組成物。 32. 前記試薬が、配列番号1およびその保存的変形のアミノ酸配列をもつ 合成ペプチドである、請求の範囲第28項の治療用組成物。 33. 前記試薬が請求の範囲第1項のポリペプチドである、請求の範囲第2 8項の治療用組成物。 34. 前記試薬が請求の範囲第6項のポリヌクレオチドである、請求の範囲 第28項の治療用組成物。 35. 前記試薬がサイトカイン遺伝子である、請求の範囲第28項の治療用 組成物。 36. 前記サイトカイン遺伝子が、インターロイキン6(IL−6)、イン ターロイキン8(IL−8)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および腫 瘍壊死因子アルファ(TNF−α)から成る群から選ばれる、請求の範囲第35 項の治療用組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 48/00 ABB 8615−4C C07H 21/04 B C07H 21/04 8517−4H C07K 14/47 ZNA C07K 14/47 ZNA 16/18 16/18 9358−4B C12P 21/08 C12N 5/10 8310−2J G01N 33/53 D 15/02 8310−2J P C12P 21/08 9281−4B C12N 5/00 B G01N 33/53 9162−4B 15/00 C 9455−4C A61K 37/02 //(C12N 15/09 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW, NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. (a)トランス型活性化活性を有し;さらに (b)残基105にアミノ酸置換を有する核因子−インターロイキン6 /リンホカイン活性化タンパク質(NF−IL6/LAP)のアミノ酸配列を有 すること、 を特徴とする単離ポリペプチド。 2. 前記置換が中性アミノ酸である、請求の範囲第1項のポリペプチド。 3. 前記置換アミノ酸がアラニンである、請求の範囲第2項のポリペプチド 。 4. 前記置換が負に帯電したアミノ酸である、請求の範囲第1項のポリペプ チド。 5. 前記負に帯電したアミノ酸が、グルタミン酸およびアスパラギン酸から 成る群から選ばれる、請求の範囲第4項のポリペプチド。 6. 請求の範囲第1項のトランス型活性化ポリペプチドをコードする単離ポ リヌクレオチド。 7. 請求の範囲第6項のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。 8. 請求の範囲第6項のポリヌクレオチドを含む組換え体発現ベクター。 9. 前記ベクターがプラスミドである請求の範囲第8項のベクター。 10. 前記ベクターがウイルスである請求の範囲第8項のベクター。 11. 請求の範囲第1項のポリペプチドに結合する抗体。 12. 前記抗体がポリクローナルである請求の範囲第11項の抗体。 13. 前記抗体がモノクローナルである請求の範囲第11項の抗体。 14. 配列番号1およびその保存的変形を含む単離合成ペプチド。 15. 前記ペプチドがセリン105における修飾を含む、請求の範囲第14 項のペプチド。 16. 前記残基105における修飾がアラニンによるセリンの置換である、 請求の範囲第15項のペプチド。 17. 請求の範囲第14項のペプチドをコードするポリヌクレオチド。 18. 請求の範囲第16項のペプチドをコードするポリヌクレオチド。 19. 前記残基105における修飾が負に帯電したアミノ酸による置換であ る、請求の範囲第15項のペプチド。 20. 前記負に帯電したアミノ酸が、アスパラギン酸およびグルタミン酸を 含む群から選ばれる、請求の範囲第19項のペプチド。 21. 請求の範囲第19項のペプチドをコードするポリヌクレオチド。 22. 請求の範囲第14項のアミノ酸配列に結合する抗体。 23. 前記抗体がポリクローナルである、請求の範囲第22項の抗体。 24. 前記抗体がモノクローナルである、請求の範囲第22項の抗体。 25. (a)組成物およびNF−IL6/LAPを含む成分を、該成分が相 互に作用させるために十分な条件下でインキュベートし;さらに、 (b)NF−IL6/LAP活性に対する該組成物の作用を測定する という工程を含む、NF−IL6/LAPに影響を与える組成物を同定する方法 。 26. 前記作用がNF−IL6/LAP活性の抑制である、請求の範囲第2 5項の方法。 27. 前記作用がNF−IL6/LAP活性の刺激である、請求の範囲第2 5項の方法。 28. NF−IL6/LAPに連関する免疫病理学的疾患をもつ対象者に、 NF−IL6/LAP活性を調整する試薬を治療的に有効な量で投与することを 含む前記疾患の治療方法。 29. 前記試薬が抗体である、請求の範囲第28項の方法。 30. 前記抗体がモノクローナルである、請求の範囲第29項の方法。 31. 前記抗体が配列番号1の合成ペプチドと結合する、請求の範囲第29 項の方法。 32. 前記試薬が、配列番号1およびその保存的変形のアミノ酸配列をもつ 合成ペプチドである、請求の範囲第28項の方法。 33. 前記試薬が請求の範囲第1項のポリペプチドである、請求の範囲第2 8項の方法。 34. 前記試薬が請求の範囲第6項のポリヌクレオチドである、請求の範囲 第28項の方法。 35. 前記試薬がサイトカイン遺伝子である、請求の範囲第28項の方法。 36. 前記サイトカイン遺伝子が、インターロイキン6(IL−6)、イン ターロイキン8(IL−8)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および腫 瘍壊死因子アルファ(TNF−α)から成る群から選ばれる、請求の範囲第35 項の方法。
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