JPH09500144A - 心疾患の患者を処理する方法 - Google Patents
心疾患の患者を処理する方法Info
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Abstract
(57)【要約】
心疾患、例えば心筋梗塞、アンギーナ、及び虚血の前、又は、その間に患者を処置する方法。有効量のピルベートを患者に導入し、患者の心送血量及び一回拍出量を増加させ、患者の心拍数を減少させ、患者の心臓の酸素需要量を減少させる。静脈から患者に投与してもよく、又は患者の食餌の成分として経口により投与してもよい。心疾患をもたらすような外科的処置前の外科患者に対しては、経口投与法が特に有用であり、かつ、慢性うっ血性心不全の徴候がある患者にも有用である。
Description
【発明の詳細な説明】
心疾患の患者を処置する方法 技術分野
本発明は、(a)患者に心臓、肺、静脈、動脈、又はその他の内臓器官を含む外
科的処置(その外科的処置は心疾患、例えば虚血を伴う)の準備をするために患
者を処置する方法、(b)心疾患(cardiac trauma)を体験している患者を処置す
る方法を提供する。本発明は、心疾患の前に及び/又はその間に、患者の血流に
有効量のピルベート(pyruvate)を導入することを提供する。発明の背景
ピルベート及びピルベートとジヒドロキシアセトンとの混合物が多くの有益な
結果をもたらすことが記載されている。
米国特許第4,158,057号には、ピルベートとジヒドロキシアセトンとを経口投
与することにより、エタノール摂取のためホ乳類の肝臓に脂肪沈積物が過剰に蓄
積するのを防止することが記載されている。
米国特許第4,351,835号には、ピルベートとジヒドロキシアセトンとを経口投
与することにより、ある任意の食餌から得られる予測体重増を減少させるか、又
は、ホ乳類の体重減少を引き起こすことが記載されている。また、この特許には
、ピルベートとジヒドロキシアセトンとを激しい運動の前にスポーツマンに経口
投与することにより、持続力及び/又は能力を向上させることが記載されている
。
米国特許第4,415,575号には、ピルベートとジヒドロキシアセトンとを経口投
与することにより、ホ乳類の体内のタンパク質の濃度が増加することが記載され
ている。
米国特許第4,458,937号には、ピルベートをホ乳類に経口投与することにより
、体重の減少を引き起こすか、又はある食餌から得られる予測体重増を減少させ
ることが記載されている。
米国特許第4,645,764号には、ピルベートとジヒドロキシアセトンとを生物に
経口投与することにより、体重の減少を引き起こすか、又はある食餌から得られ
る予測体重増を減少させること、及び体内のタンパク質濃度を増加させながら、
体内脂肪を抑制することが記載されている。
米国特許第4,812,478号には、ジヒドロキシアセトンを動物に経口投与するこ
とにより、体重の減少を引き起こすか、又はある食餌から得られる予測体重増を
減少させることが記載されている。
ピルベート又はピルベートとジヒドロキシアセトンの経口投与により得られる
上記の結果は、下記の患者に対して大きな利点をもたらす。エタノールを摂取す
る患者;脂肪肝蓄積物を有するか、又は脂肪肝蓄積物を有する傾向がある患者;
肥満又は肥満気味である患者;体重を減少させたいか、又は、体重増加を抑制し
たいという通常の患者;持続力の増加を望む、通常の患者、特にスポーツマン;
糖尿病気味の患者。
米国特許第4,874,790号には、糖尿病気味の患者に対する処置としてピルベー
トを用いることが記載されている。
虚血を処置するために、また心臓の筋肉収縮を増加させるためにピルベートを
用いることが以下の文献に記載されている。
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発明の開示
心臓、肺、静脈、動脈、及びその他の内臓器官を含む外科的処置は、心疾患、
特に虚血を伴う。虚血は、臓器内の酸素欠乏として定義される。心臓虚血は、心
臓内の酸素欠乏として定義される。
本発明によると、外科的処置の前に治療量のピルベートを患者の血流に導入す
ることにより虚血の悪影響を補え、患者の心送血量が増加し、患者の心臓の一回
拍出量が増加し、予期せぬことであるが、患者の心臓の酸素需要量が減少する。
処置は、予定した外科手術の数週間前に始め、外科的処置まで、及び外科的処
置の間、続けてもよい。予定しない外科手術の場合、処置を外科的処置前にでき
る限り早く、及び、外科的処置の間、開始するのもよい。外科手術になるか、又
は、外科手術にならないか、いずれかの心疾患の場合でも、心疾患の症状が見ら
れたら、できる限り早く処置を開始するのがよい。
ピルベートは、有機塩の形態、例えばピルビン酸のカルシウムもしくはナトリ
ウムの塩であってもよく、又は、アミノピルビン酸エチル(ethyl aminopyruvat
e)のようなピルビン酸のエステルであってもよい。
心疾患は、患者にも起こる。多くの患者は、胸の痛み、アンギーナ、心筋梗塞
、及びその他の心臓の異常を感じたとき、医学的手当てを求める。そのような患
者に対する標準的な処置は、患者の循環系へ静脈を通じて液体溶液を導入するこ
とである。そのような液体溶液は、さまざまな組成物中に利用可能である。いく
つかの液体溶液には、ビタミン及び選択されたミネラル及び糖が含まれる。液体
溶液には、また、抗凝血剤、血液希釈剤(blood thinner)等として特異な医薬
を含んでいてもよい。患者は、また、ドーパミン、ドブタミン(dobutamine)、
又はイスプレル(isuprel)のような筋肉収縮剤の投薬を受け得る。この既知の
筋肉収縮剤は、心臓の収縮性を増加させ、心拍数を増加させるが、心臓の酸素需
要量をも増加させる。筋肉収縮剤が利用可能な塩性溶液に含まれていてもよい。
そのような塩性溶液にピルベートを添加することにより、心疾患のある患者に
ピルベートを導入するのに簡便な系をもたらす。既知の筋肉収縮剤のようなピル
ベートは、心臓の収縮性を増加させ、心拍数を増加させる。しかし、ピルベート
は、心臓の酸素需要量を増加させず、予期し得ないことであるが、心臓の酸素需
要量を低下させる。
心疾患、例えば虚血をもたらすような外科的処置を今にも受けようとする患者
は、好ましくは、予定の外科手術の前、数日から数週間の処置期間、ピルベート
を経口投与することによって、外科的処置に対して準備をする。心疾患が発生し
そうな外科的処置には、心臓、肺、静脈、動脈、又はその他の内臓器官を含む外
科手術が挙げられる。好ましいピルベートの経口投与は、処置の期間中の患者の
カロリー摂取量の5〜15パーセントであるのがよい。
ピルベートを投与することにより、心臓拍出量が増加し、心臓の一回拍出量が
増加し、同時に心臓の酸素要求量が減少することが観察された。これら3つの利
点により、心臓がより容易にその通常の機能を働かせることができる。心疾患を
有する患者に対するこれらの利点により、真性の心臓機能不全の場合に有効な処
置をする機会を利用することができ、かつ、心疾患に悪い徴候がある患者にとっ
て好ましくない副作用が生じないであろう。
心臓拍出量(又は心送血量)は、毎分、左心室から大動脈に供給される血液の
量として定義される。若い健康な成人男性の心臓拍出量の平均は、毎分5.6リ
ットルである。一回拍出量は、左心室の一回の拍動により供給される血液の量で
ある。心拍数は1分間あたりの心臓の拍動の数である。心拍数(拍動/分)及び
一回拍出量(体積/拍動)の結果から、心送血量(体積/分)を得る。好ましい態様
好ましい処置として、心疾患を体験している患者は、溶液1リットルあたりピ
ルベートを約2−20グラム含む液体点滴溶液を直ちに受けるのがよい。ピルベ
ートは、ピルビン酸の金属塩の形態であっても、ピルビン酸の有機エステル、例
えばアミノピルビン酸エチルの形態であってもよい。患者が正常になるまで塩性
点滴を続ける。直ちに外科手術が必要な場合には、患者が正常になるまで液体点
滴を外科手術中、及びその後も続ける。
他の処置として、時間があるならば、心配される心疾患の前に、例えば、予定
された手術の前の、数日間又は数週間、ピルベートを経口投与するのがよい。外
科手術の直前、及びその間、塩性点滴を行うべきである。
さらに他のものとして、慢性うっ血性心不全の徴候がある患者は、心拍数を減
少させ、一回拍出量を増加させ、心臓の酸素需要量を減少させるためにピルベー
トを有効量経口投与してもよい。飲料中に液体ピルベートを添加したものが好ま
しい。菓子中にピルベートを添加するのも簡便な他の案である(例えば、クッキ
ー、キャンディー)。慢性うっ血性心不全を処置するのに、ピルベートを全部、
又はその一部をジギタリスに置換してもよい。実施例I
20人のヒトの患者のコントロール・グループに、6週間にわたって継続的に
ピルビン酸ナトリウムとピルビン酸カルシウムの混合物を与えた。患者は、毎日
ピルビン酸塩を26−44グラム摂取した。これは、各々の患者の6週間にわた
る全カロリー摂取量の約7%に相当する。
6週間の最後に、患者の心拍数(拍動/分)が9%減少した。拡張期血圧は6
%減少した。収縮期血圧及び心拍数の結果から測定した、心拍数血圧結果(rate
pressure product)(rpp)は13%減少した。
心拍数血圧結果(rpp)は、心臓の酸素要求量の間接的な測定法であると知ら
れている。ゆえに、患者の酸素需要量は減少した。実施例II
他の実験として、8人の患者に、1週間継続的にピルビン酸ナトリウムとピル
ビン酸カルシウムを、各々の患者の全カロリー量の15%の量で与えた。全ピル
ビン酸塩は、1日あたり1人の患者に400カロリーを越えなかった。
処置の期間の前後で、患者は、腕の運動を90分間、又は脚の運動を60分間
行った。運動後、各々の患者の心送血量を測定した。心送血量(リットル/分)
は2.3%増加した。心臓の一回拍出量(ml/分)は5%増加した。
各々の患者の心送血量及び一回拍出量を1週間の前後で測定した。増加を表1
に記録する。
偏差(p<0.05)により、記録した値が統計学上重要であることがわかる
。
心送血量及び一回拍出量が増加し、心臓の酸素需要量が減少することにより、
患者の心臓は、努力することなく(運動するのと同じ)増加した有効性を経験す
ることができる。
ピルビン酸塩を経口摂取するには、好ましくは、ピルビン酸塩を含む液体食物
の形態であるのがよい。液体食餌製剤が特に有用である。ピルビン酸塩を菓子、
例えば、クッキー、ケーキ、キャンディーのような固体食物中に含ませるのがよ
い。実施例III
各々の体重が約17kgの6匹の実験用犬を、各個麻酔をかけた。血液チュー
ブ(blood tube)を各々の犬の(a)大動脈、(b)大静脈、及び(c)大腿動脈に挿入
した。圧力センサーを各々の犬の左心室に配置した。EKG波を記録するために
、各々の犬にEKGを取り付けた。
ピルベートの注入を各々の犬の上大静脈へ導入した。ピルベートの濃度を犬の
体重の0.25mg/分/kgで始め、表IIに示すように増加させた。
すべての場合において、酸素需要量は、課題を通して減少した。
関連する観察結果を以下の表IIIに示す。
実施例IIIの犬の試験から、十分な量のピルベートが動物の血液系に存在す
るとき、心送血量が増加し、心拍数が減少し、かつ、酸素需要量が減少すること
がわかる。
ピルベートが低濃度での初期の効果からは、好適な濃度を加えた後のピルベー
トの有利な効果を予想することができないことを注記する。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.有効量のピルベートを経口又は静脈より動物に与える工程を有する、動物の 心送血量を増加し、一回拍出量を増加し、心拍数を増加し、かつ同時に心臓の酸 素需要量を減少させる方法。 2.有効量のピルベートを静脈より患者に与える工程を有し、それにより、前記 患者の心送血量が増加し、患者の一回拍出量が増加し、患者の心拍数が減少し、 かつ、患者の心臓の酸素需要量が減少する、心疾患を体験している患者を処置す る方法。 3.心疾患をもたらすような手術前の準備期間に継続的に、患者に有効量のピル ベートを経口により与える工程を有し、それにより、患者の心送血量が増加し、 患者の一回拍出量が増加し、患者の心拍数が減少し、かつ、患者の心臓の酸素需 要量が減少する、心疾患をもたらすような外科手術のために患者を準備させる方 法。 4.前記ピルベートの投与を、前記準備期間の患者の全カロリー摂取量の5−1 5重量%で供給する請求項3記載の方法。 5.ピルベートを2〜20重量%含む液体点滴溶液中にピルベートを含ませる請 求項2記載の方法。 6.ピルベートが菓子中に含まれる請求項4記載の方法。 7.前記ピルベートがピルビン酸の金属塩である請求項1記載の方法。 8.前記ピルベートがピルビン酸の有機エステルである請求項1記載の方法。 9.前記ピルベートがアミノピルビン酸エチルである請求項8記載の方法。 10. 心臓虚血を生じ得る、心臓又はその他の内臓器官を含む外科手術の間、ピル ベートを含む静脈液体点滴液体によりピルベートを患者に導入することにより、 患者の心送血量及び一回拍出量を増加させる一方、患者の心拍数及び心臓の酸素 需要量を減少させる、心臓虚血を生じ得る、心臓又はその他の内臓器官を含む外 科手術を体験している患者を処置する方法。
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