JP2002145767A - 循環器疾患治療剤および健康食品 - Google Patents

循環器疾患治療剤および健康食品

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JP2002145767A
JP2002145767A JP2001257639A JP2001257639A JP2002145767A JP 2002145767 A JP2002145767 A JP 2002145767A JP 2001257639 A JP2001257639 A JP 2001257639A JP 2001257639 A JP2001257639 A JP 2001257639A JP 2002145767 A JP2002145767 A JP 2002145767A
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ferulic acid
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week
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Eijiro Tagashira
田頭栄治郎
Hideyasu Tagashira
田頭秀康
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高血圧症および脳卒中、糖尿病などの循環器
障害の治療と予防に対して有用な薬剤および健康食品に
関する。 【構成】 本発明の循環器疾患治療剤、および健康食品
は、3−メトキシ−4−ハイドロキシ桂皮酸すなわちフ
ェルラ酸および/またはフェルラ酸の生理学的に許容さ
れる塩を少なくとも1種以上を含有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、フェルラ酸(Feru
lic acid)および/または生理学的に許容されるフェル
ラ酸塩における新規な薬理作用である血圧低下作用、脳
卒中発症抑制作用、微細血管保護作用、および体重増加
抑制作用に基づく高血圧症および高血圧性脳血管疾患、
糖尿病などの治療と予防に有用な薬剤、および健康食品
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フェルラ酸は米、大麦、小麦など
の穀物、アスパラ、トマト、オリーブの実、イチゴ、柑
橘類、黒糖、その他の多くの植物の細胞壁に存在する。
例えば、米糠から得られる医薬品用素材としてγ−オリ
ザノールではその中に各種のステロールとエステル体を
形成して存在する。米糠は、精米の副産物として日本国
内で年間約100万トンが生産され、コメ油の原料など
に使われているが、さらにこの貴重な天然資源の活用法
の開発が求められている。フェルラ酸にはシス体とトラ
ンス体の2種類の異性体が存在するが、γ−オリザノー
ル中に含まれるフェルラ酸はトランス体である。トラン
ス体は、γ−オリザノールを含む米糠由来の原料をアル
カリ加水分解する方法により得られる。フェルラ酸の作
用は、例えば、抗酸化作用(特開平7−300412号
公報、Graf E., Free Radical Biology & Medicine Vo
l.13 435-484 (1992)〕、紫外線吸収作用〔特開平1−
13016号公報、村上太郎ほか FOOD Style Vol.21 6
1-65 (1999) 〕、抗HBV剤(特開平4−234319
号公報)、細胞分化促進剤(特開平5−310526号
公報)、活性酸素消去剤(特開平7−330412号公
報)、ホスホリパーゼA2阻害剤(特開平7−3306
11号公報)、パ−オキシナイトライト(ONOO-:peroxy
nitrite )の捕捉作用(Pannala A. et al., Free Radi
cal Biology &Medicine Vol.24 594-606 (1998)) およ
びコラーゲンの合成抑制作用(特開平9−40553号
公報)などが公知であるが、本発明による抗高血圧作用
および脳卒中などの脳血管障害に対する治療効果、なら
びに脳および末梢の微細血管の保護効果、体重増加抑制
効果については知られていない。
【0003】高血圧症は、主要臓器である脳、心臓およ
び腎臓における血管性の合併症の基礎疾患である。高血
圧症の薬物治療は高血圧緊急時の場合を除き、脳虚血あ
るいは心機能などへの悪影響を回避するために、目標血
圧値まで時間をかけて徐々に降圧する方法がとられてい
る。一般に軽度の高血圧症あるいは高血圧症の合併症の
予防と進展抑制においては、食塩摂取制限などの食生活
の改善、規則的な運動および体重制限などによるライフ
スタイルの修正が推奨されている。しかしながら生活習
慣の改善による効果には限界があり、薬物療法あるいは
その補助療法としての高血圧発症時における健康食品を
必要としており、このことは、ペット動物にあっても同
様である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】わが国においては、生
活習慣の欧米化により高脂肪・高蛋白食などの高カロリ
ー食の摂取による肥満などに起因する生活習慣病の増加
と人口の高齢化社会によって、糖尿病、高血圧症および
その合併症である脳卒中、心肥大、心筋梗塞、鬱血性心
不全、冠動脈狭窄などの循環器系疾患の増大が危惧され
ている。従って、これらの疾患の予防法と治療法の開発
は、早期に解決すべき社会的重要課題である。なかでも
脳卒中は、わが国において癌、心疾患に次ぐ三大死因の
一つであるが、降圧療法の発達により脳出血による死亡
は減少したものの、逆に脳梗塞などの死に至らない軽症
の脳卒中は増加傾向にある。脳卒中にもとづく痴呆、意
欲の低下、QOLの低下などの脳神経障害の増加するな
か、このような病態の発症と進展を防止し、且つ予後の
改善に経済的で安全且つ効果的な方法の開発が求められ
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に答えるため主食の米に含まれる成分について、鋭意
研究を行った結果、フェルラ酸および/またはフェルラ
酸の生理学的に許容される塩が高血圧および脳卒中なら
びに脳血管内皮障害等の血管病変、微細血管の異常に基
づく疾患である糖尿病、動脈硬化症、痴呆等に対する優
れた抑制効果、また、微細血管保護作用や体重増加抑制
作用を示し、且つ副作用が少ないことを見出し、本発明
を完成させるに至った。
【0006】即ち、本発明の循環器疾患治療剤は、フェ
ルラ酸および/またはフェルラ酸の生理学的に許容され
る塩(以下、フェルラ酸系化合物、FAともいう)を少
なくとも1種以上を有効成分として含有することを特徴
とする。循環器疾患治療剤が脳血管疾患治療剤であるこ
とを特徴とする。循環器疾患治療剤が高血圧治療剤であ
ることを特徴とする。循環器疾患治療剤が微細血管保護
作用を有するものであることを特徴とする。循環器疾患
治療剤が体重増加抑制作用を有するものであることを特
徴とする。本発明の健康食品は、フェルラ酸および/ま
たは該フェルラ酸の生理学的に許容される塩を少なくと
も1種以上を飲食品中に有効成分として含有することを
特徴とする。上記の飲食品が動物用であることを特徴と
する。健康食品が体重増加抑制作用を有するものである
ことを特徴とする。フェルラ酸はシス体とトランス体の
2種類の異性体のいずれも使用することができる。ま
た、フェルラ酸の生理学的に許容される塩としては、下
記一般式
【0007】
【化1】
【0008】で示され、式中、Bはフェルラ酸と一体と
なり塩を形成する塩基性成分であり、例えばナトリウ
ム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、
亜鉛などの金属イオン類であり、アルギニン、アルギニ
ンエチルエステル、リジン、リジンエチルエステルなど
のアミノ酸化合物を挙げることが出来る。
【0009】通常、フェルラ酸のアミノ酸塩化合物は、
フェルラ酸1当量比に対して1または2当量比のアミノ
酸化合物とから製造することができる。アミノ酸化合物
は、必要に応じてフェルラ酸1当量比に対して3〜10
当量比の過剰量を使用することができる。
【0010】本発明において、フェルラ酸系化合物は公
知の製剤技術によって錠剤、顆粒剤、散剤、リピッドマ
イクロスフェア、硬カプセル剤、軟カプセル剤、リポゾ
ーム、軟膏、湿布剤、点眼剤、輸液、血液透析液、腹膜
透析液、液剤などの任意の製剤形態をとることができ、
使用目的に応じて適切な投与法を選択して使用すること
ができる。本発明の製剤を構成する成分例としては、賦
形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、被覆剤、付湿剤、安定
化剤、溶解補助剤、精製水、pH調整剤、保存剤、荷電
リポゾーム担体、コラーゲン、ポリビニールピロリド
ン、水溶性高分子化合物などを挙げることができ、投与
形態に応じて選択し公知の慣用される製造法により調製
することができる。
【0011】さらに本発明化合物は、米飯、味噌、醤
油、カップ麺を含む各種の麺類、カレールー、シチュ
ー、各種スープ類、ソーセージ、竹輪、蒲鉾、はんぺん
などの練り製品、ドレッング類、パン類、粉ミルク、ヨ
ーグルド、乳飲料、乳酸飲料、トマト飲料、清涼飲料、
スポーツ飲料、チョコレート、クッキー、チーウインガ
ム、アメなどに添加して特定保健用食品、健康食品など
に使用することができる。本発明化合物を含む食品類に
おいては、必要に応じて食物繊維、乳清蛋白質、乳清蛋
白質加水分解物、糖類、ビタミンA、ビタミンB1 、リ
ボフラビン、リボフラビン燐酸エステル、アスコルビン
酸、ビタミンDなどのレチノール類、ビタミンEなどの
トコフェロール類、シアノコバラミン、ビオチン、ニコ
チン酸アミド、葉酸、パントテン酸カルシウム、タウリ
ン、カゼイン、レシチン、モノグリセライド、ポリグリ
セライド、および葉緑素などの中から適宜選択し、添加
して使用することができる。また、動物用の餌に本発明
化合物を添加して、動物用健康食品として肥満、糖尿病
および高血圧等の血管疾患に起因する各種病態の改善に
有用である。
【0012】本発明化合物の投与量は、投与経路、治療
対象となる病態の種類と程度、患者の年齢と性別、体
重、投与薬物に対する感受性、投与時期と投与間隔など
によって異なるが、通常成人において一日当たり約 1〜
1000mg、好ましくは1〜300mgを症状と投与
経路に応じて増減することが出来る。動物に対しては、
餌に0.01〜5%、好ましくは0.1〜5%を混合し
て使用し、症状に応じて増減するとよい。
【0013】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【実施例】下記の実施例で使用するフェルラ酸−L−ア
ルギニン塩の調製方法は下記の通りである。
【0014】L−アルギニン 17.4 g (0.1 mol) の水溶
液 (100 ml) に攪拌下、フェルラ酸19.43 g のエタノー
ル溶液 (50 ml) を滴下して塩を形成させた後、減圧濃
縮して粗結晶を得た。これを水から再結晶して mp 16
0℃(分解)の無色結晶(収率87%) を得た。
【0015】
【実施例1】(自然発症高血圧ラットに対する降圧作用
の評価)自然発症高血圧ラット(SHR : SHR 等疾患モデ
ル共同研究会より購入)と比較対照動物には正常血圧を
示すWKYラット(Wistar-Kyoto rat)に対し、試験開
始(5週齢)と同時に飲料水として1%食塩水と、被験
物質としてフェルラ酸 (FA)を飼料(粉末飼料SP:
船橋農場より購入)に倍散希釈法により混合した被験物
質混入飼料を試験期間中自由摂取させた。
【0016】血圧測定は、非観血式自動血圧計(株式会
社理研開発)を用いて収縮期血圧を毎週1回測定した。
6週目の血圧、体重測定後、FA混入飼料からFAを除
いた普通飼料に置換、それ以降も同様に12週目まで血
圧、体重を測定した。その結果を表1と表2に示した。
【0017】表中、被験物質非投与対照群は1%食塩水
のみ摂取させたもの、FA1.8 %投与群は、1%食塩水
と1.8 %FAとを併用摂取したもの、FA2.7 %投与群
は1%食塩水と2.7 %FAとを併用摂取したものであ
る。
【0018】なお、下記表1〜表7における変化の有意
差検定は、平均値±標準誤差を算出したのち、対応のな
い Student′s t-testにもとづき統計処理したものであ
る。Pは被験物質非投与対照群との有意差検定(t−検
定法)を示し、危険率5%未満(p<0.05)を有意
差ありとした。また、* を付していない場合は、被験物
質非投与対照群に比較し有意な差が無かった場合であ
る。
【0019】
【表1】 SHRに対するフェルラ酸(FA)の降圧効果 前値(0週) 6週目 9週目 12週目 被験物質非投与対照群 血圧 (mmHg) 134.4 ±4.3 221.4 ±4.6 237.3 ±7.2 236.3 ± 7.6 体重 (g) 135.8 ±2.3 301.0 ±4.8 308.6 ±5.8 333.8 ± 4.1 動物例数(n) 7 7 6 1) 6 1) FA1.8 %投与群 血圧 (mmHg) 128.5 ±2.2 201.1 ±6.2 * 225.6 ±6.1 233.6 ± 6.0 体重 (g) 135.5 ±1.8 264.8 ±4.1 ** 293.8 ±5.0 307.0 ± 6.7 動物例数(n) 6 6 6 5 2) FA2.7 %投与群 血圧 (mmHg) 135.4 ±2.7 192.0 ±2.5*** 211.8 ±3.1** 217.7 ± 4.7 体重 (g) 136.8 ±1.5 239.5 ±3.4** 292.1 ±3.0 309.4 ± 3.1動物例数(n) 7 7 7 7 * P < 0.05 、** P < 0.01 、*** P < 0.001 1): 7−8週目に1例死亡、 2): 9−10週目に1例死亡 (6週目 以降、FA混入飼料を普通飼料に置換)
【0020】
【表2】 WKYラットに対するフェルラ酸の降圧効果 前値(0週) 6週目 9週目 12週目 被験物質非投与 WKY対照群 血圧 (mmHg) 99.7 ±3.0 124.0 ±3.9 124.0 ±3.7 124.2 ± 6.4 体重 (g) 123.1 ±1.8 302.2 ±4.1 337.2 ±2.9 349.2 ±12.0 動物例数(n) 7 7 7 7 FA2.7 %投与WKY 血圧 (mmHg) 99.5 ±3.1 128.4 ±4.7 124.0 ±3.7 135.5 ± 2.8 体重 (g) 122.2 ±2.8 263.2 ±4.3** 310.1 ±7.3** 349.2 ±12.0動物例数(n) 7 7 7 7 ** P < 0.01
【0021】薬効評価:FAは、SHRに対する6週間
の投与期間中において用量依存的に有意な降圧作用を示
した。一方、FAは正常血圧値を示すWKYラットに対
して降圧作用を示さず、自然発症高血圧ラットの血圧上
昇に対して降圧作用を有することから、高血圧動物に選
択的な作用を有することが明らかである。
【0022】また、表1及び表2から、SHRおよびW
KYに対するFA投与群は、体重の有意な抑制がみられ
た。その後の解剖所見では、被験物質非投与対照群に比
較し、被験物質投与群では著明な下腹部の脂肪重量の減
少が観察されたことから、体脂肪の蓄積抑制作用を有す
ることが示唆された。
【0023】
【実施例2】(自然発症脳卒中ラットに対する降圧作用
の評価)自然発症脳卒中ラット(SHR-SP: SHR 等疾患モ
デル共同研究会より購入)に対し、試験開始(5週齢)
と同時に飲料水として1%食塩水と、被験物質としてフ
ェルラ酸 (FA)およびフェルラ酸アルギニン塩 (FA
−Arg)をそれぞれ飼料(粉末飼料SP:船橋農場よ
り購入)に倍散希釈法により混合した被験物質混入飼料
を試験期間中自由摂取させた。
【0024】血圧測定は、非観血式自動血圧計(株式会
社理研開発)を用いて収縮期血圧および心拍数を毎週1
回測定した。血圧測定の期間は、動物に対する血圧測定
時に生じるストレスにより高血圧発症の亢進あるいは死
期を早めるなどの副次的作用をまねく可能性があるの
で、5週目までとした。6週目以降は症状の発症ならび
に発症の程度、死亡の有無、体重などの観察を7週目ま
で行った。
【0025】表中、被験物質非投与対照群は1%食塩水
のみ単独摂取したもの、FA1.8 %投与群は、1%食塩
水と1.8 %FAとを併用摂取したもの、FA−Arg
1.8%投与群は1%食塩水と 1.8%FA−Argとを併
用摂取したものである。
【0026】
【表3】 自然発症脳卒中ラット (SHR−SP) に対するフェルラ酸 (FA)とフェル ラ酸アルギニン塩 (FA−Arg)の降圧効果 前値(0週) 2週目 4週目 7週目 被験物質非投与対照群 血圧 (mmHg) 124.5 ±9.0 172.7 ±4.8 218.4 ±5.0 NT 体重 (g) 102.0 ±4.8 169.4 ±6.2 213.0 ±6.5 173.0 ±14.5 動物例数(n) 7 7 7 4 1) FA1.8 %投与群 血圧 (mmHg) 124.5 ±5.5 150.2 ±6.1* 203.4 ±4.6* NT 体重 (g) 94.0 ±2.3 148.8 ±3.3* 198.2 ±3.1 233.0 ± 3.8 *** 動物例数(n) 7 7 7 7 FA−Arg 1.8%投与群 血圧 (mmHg) 122.8 ±4.6 155.2 ±4.6* 196.1 ± 5.8* NT 体重 (g) 103.2 ±3.2 156.7 ±3.8 204.4 ± 4.5 226.4 ±10.9*動物例数(n) 7 7 7 7 * P < 0.05 、 *** P <0.001 1) : 3例死亡 NT: 血圧測定せず(5週目以降は測定せず、実施例2の方法の項で説明)
【0027】表3から、被験物質非投与SHR−SP対
照群は、4週目以降7週目にかけて神経症状の発症に伴
って著明な体重減少がみられ、7例中3例が死亡した。
一方、被験物質投与群では7週目まで体重は増加し、死
亡例も見られなかった。
【0028】
【表4】 被験物質のSHR−SPに対する神経症状の発症遅延および延命効果 被験物質 例数 神経症状発症まで 発症から死亡まで 平均死亡日数 (n) の平均日数 の平均日数 被験物質非投与対照群 7 41.6 ± 2.1 5.1 ± 1.8 46.7 ± 5.1 FA 1.8%投与群 7 59.6 ± 1.4*** 10.4 ± 0.6* 70.0 ± 1.8*** FA−Arg塩 1.8%投与群 7 65.4 ± 4.8*** 8.2 ± 2.2 73.9 ± 4.7*** * P < 0.05、 *** P < 0.001 試験結果の判定:被験物質非投与SHR−SP対照群と
比較し、2週目以降FA投与群、FA−Arg塩投与群
に有意な降圧効果が観察された(表3)。
【0029】表4の試験結果は被験物質非投与SHR−
SP対照群と比較してFA投与群およびFA−Arg塩
投与群において、明らかな神経症状発症遅延効果および
延命効果を示している。
【0030】
【実施例3】(自然発症脳卒中ラットに対する脳内微細
血管保護作用の評価)自然発症脳卒中ラット(SHR-SP: S
HR 等疾患モデル共同研究会より購入)に対し試験開始
(5週齢)と同時に0.003 %のL−ニトロアルギニンメ
チルエステル(L−NAME:血管内皮での一酸化窒素
合成阻害剤)混入飲料水と、被験物質としてフェルラ酸
(FA)およびフェルラ酸アルギニン塩 (FA−Ar
g)をそれぞれ飼料に混合し、0.003 %L−NAME飲
料水と並行して試験期間(8週間)中自由摂取させた。
試験期間中、体重の測定を週1回行った。
【0031】血圧測定は、非観血式自動血圧計(株式会
社理研開発)を用いて収縮期血圧および心拍数を毎週1
回測定した。血圧測定の期間は、動物に対する血圧測定
時に生じるストレスにより高血圧発症の亢進あるいは死
期を早めるなどの副次的作用をまねく可能性があるの
で、動物の症状を観察しながら、本実験(実施例)の場
合には8週目までとした。試験期間中、症状の発症なら
びに発症の程度、死亡の有無、体重などの観察を8週目
まで行った。
【0032】表中、被験物質非投与対照群は 0.003%L
−NAME飲料水のみ単独摂取したもの、FA2.7 %投
与群は 0.003%L−NAME飲料水と2.7 %FAとを併
用摂取したもの、FA−Arg 1.8%投与群は 0.003%
L−NAME飲料水と 1.8%FA−Argとを併用摂取
したものである。
【0033】
【表5】 自然発症脳卒中ラット (SHR−SP) に対するフェルラ酸 (FA)とフェ ルラ酸アルギニン塩 (FA−Arg)の降圧効果 前値(0週) 2週目 4週目 被験物質非投与対照群 血圧 (mmHg) 114.4 ±3.2 154.3 ±2.8 208.0 ± 7.5 体重 (g) 106.0 ±1.4 186.0 ±2.2 210.3 ±15.8 動物例数(n) 7 7 7 FA2.7 %投与群 血圧 (mmHg) 115.0 ±4.7 141.4 ±3.1* 185.1± 1.9* 体重 (g) 107.7 ±1.9 137.6 ±3.0*** 175.9± 3.2 動物例数(n) 7 7 7 FA−Arg 1.8%投与群 血圧 (mmHg) 116.0 ±4.3 146.4 ±5.0* 183.6± 5.7* 体重 (g) 102.7 ±2.9 179.9 ±4.0 225.7± 3.0動物例数(n) 7 7 7 * P < 0.05 、 *** P <0.001
【0034】
【表6】 自然発症脳卒中ラット (SHR−SP) に対するフェルラ酸 (FA)とフェ ルラ酸アルギニン塩 (FA−Arg)の降圧効果(続き) 6週目 8週目 被験物質非投与対照群 血圧 (mmHg) 222.7 ±19.2 228.0 ±28.0 体重 (g) 222.5 ±27.2 233.0 ±40.0 動物例数(n) 4 1) 2 2) FA2.7 %投与群 血圧 (mmHg) 203.1±7.5 207.8± 6.0 体重 (g) 195.1±5.0 213.5± 7.4 動物例数(n) 7 6 3) FA−Arg 1.8%投与群 血圧 (mmHg) 205.7±7.7 221.8± 7.1 体重 (g) 244.3±4.2* 263.6± 6.9動物例数(n) 7 5 4) * P < 0.05 、*** P <0.001 1) : 5週目に2例、6週目に1例死亡、 2) : 7週目に1例、8週目に 1例死亡、 3) : 6週目に血圧および体重測定後に事故死、 4) : 7週目に 1例、8週目に1例死亡
【0035】
【表7】 被験物質のSHR−SPに対する神経症状の発症遅延および延命効果 被験物質 例数 神経症状発症まで 平均死亡日数 (n) の平均日数 被験物質非投与対照群 7 38.9 ± 5.3 (6/7) 44.7 ± 4.0 (5/7) FA 2.7%投与群 6 1) 56.0 ± 0.0** (0/6) 56.0 ± 0.0* (0/6) FA−Arg塩 1.8%投与群 7 54.9 ± 1.1* (2/7) 55.0 ± 1.0* (2/7) * P < 0.05、 ** P < 0.01 ( ):(発症あるいは死亡した動物数/用いた動物数)、 1) :6週目の血 圧測定直後に事故死
【0036】(試験結果の判定)表7の試験結果から、
被験物質非投与対照群においてはL−NAMEにより血
圧は急激に上昇し、さらに、脳内微細血管は脆弱とな
り、8週間の観察期間中に7例中5例が死亡したが、F
A投与群およびFA−Arg塩投与群においては明らか
な予防効果が見られた。また、表7から被験物質非投与
SHR−SP対照群と比較し、投与開始からの神経症状
の発症あるいは死亡までの平均日数も有意に延長してい
たことから、FA投与群、FA−Arg塩投与群の順で
脳内微細血管が保護されたことが示唆された。
【0037】
【発明の効果】本発明はフェルラ酸とその塩の新規な用
途に関する。より詳しくは、高血圧症および高血圧性あ
るいは虚血性の臓器病変、とりわけ脳血管の変性障害を
伴う脳卒中や脳梗塞、また、糖尿病、動脈硬化、痴呆等
の微細血管の異常に基づく疾患などの予防と治療に関す
る。より具体的には、天然物由来の医薬品、特定保健用
食品、健康食品類の有効成分として高血圧症の緩徐な治
療およびその補助療法および/または一過性脳虚血発
作、酸化的ストレス状態の改善、脳血栓、脳梗塞、クモ
膜下出血および脳卒中などにおける脳血管性神経障害の
治療、補助療法、病気予後の改善に対して有用であり、
且つ、動物用飲食品の有効成分として高血圧性あるいは
虚血性の血管病変、ならびに体重増加抑制に有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/10 A61P 9/10 9/10 9/12 9/12 9/14 9/14 43/00 43/00 A23L 2/00 F Fターム(参考) 2B150 AA06 AB20 DA38 4B017 LC03 LK08 4B018 MD08 ME01 ME14 4C206 DA16 MA36 MA47 MA52 MA54 MA55 MA57 MA61 MA63 MA72 MA78 MA83 MA86 NA14 ZA36 ZA43 ZA44 ZC35 ZC54

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェルラ酸および/または該フェルラ酸
    の生理学的に許容される塩を少なくとも1種以上を含有
    することを特徴とする循環器疾患治療剤。
  2. 【請求項2】 脳血管疾患治療剤であることを特徴とす
    る請求項1記載の循環器疾患治療剤。
  3. 【請求項3】 高血圧治療剤であることを特徴とする請
    求項1記載の循環器疾患治療剤。
  4. 【請求項4】 微細血管保護作用を有するものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の循環器疾患治療剤。
  5. 【請求項5】 体重増加抑制作用を有するものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の循環器疾患治療剤。
  6. 【請求項6】 フェルラ酸および/または該フェルラ酸
    の生理学的に許容される塩を少なくとも1種以上を飲食
    品中に含有することを特徴とする健康食品。
  7. 【請求項7】 飲食品が動物用であることを特徴とする
    請求項6記載の健康食品。
  8. 【請求項8】 体重増加抑制作用を有するものであるこ
    とを特徴とする請求項6、または請求項7記載の健康食
    品。
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