【発明の詳細な説明】
ヒドロキシルアミンの酸付加塩の合成法
本発明は、ホモキラルヒドロキシルアミンの新規ジアステレオ異性体酸付加塩
、その製造方法、その対応するホモキラルヒドロキシルアミンへの転換方法、新
規ホモキラルヒドロキシルアミンおよび中間体としてこれらを使用する方法に関
する。
キラル中心を有する有機基を有する置換ヒドロキシルアミンは、(+)−および
(−)−鏡像異性体のラセミ混合物として存在する。例えば、薬物自体またはその
製造における中間体などのある使用のために、ラセミ化合物よりもむしろ単一の
鏡像異性体を提供できることが益々重要となっている。したがって、これらの製
造方法は、活発に研究されている。
一般に、古典的な分割技術は、共有結合またはイオン結合の形成のための手と
して使用される官能基の分子における存在を利用した。かくして、ラセミ混合物
は、ホモキラル試薬と反応させて、ジアステレオ異性体付加物の混合物を得、次
いで、クロマトグラフィーまたは分別晶出などの慣用技術によって分離される。
次いで、最初の付加物形成反応は、単離されたジアステレオ異性体の各々につい
て逆にされて、個々の鏡像異性体が得られる。例として、関心のある化合物中の
ヒドロキシル基を使用して、ホモキラル酸とエステルを形成する。別法としては
、関心のある化合物中に好適な基が存在する場合、イオン酸/塩基付加塩が形成
される。かくして、ラセミアミンをホモキラル酸で処理して(逆もまた同じ)、
一対のジアステレオ異性体酸付加塩を形成する。さらに最近、固定相がホモキラ
ルである高速液体クロマトグラフィー(hplc)が使用され、これにより、ラ
セミ物質がカラムを介して溶離されるようにin situでジアステレオ異性体相互
作用を形成する。
従来、ある種のホモキラルヒドロキシルアミンは、ホモキラル前駆体、例えば
、対応するホモキラルアミンもしくはアルコールから、または、例えば、ホモキ
ラ
ルオキサゾリジノンのN−クロロカルボニル誘導体を用いて形成されたジアステ
レオ異性体付加物の中間性を介して、得られることが示唆されてきた。
例えば、PCT出願WO91/14774[スミスクライン・ビーチャム(Sm
ithKline Beecham)]および本明細書に挙げられた引用文献を参照。
本発明者らは、ホモキラルヒドロキシルアミンが、共有結合ジアステレオ異性
体付加物の中間性を含まないが、代わりにヒドロキシルアミンの酸付加塩を形成
する能力を利用する、より直接的な方法によって得られることを見いだした。特
に、ラセミヒドロキシルアミンとホモキラル有機酸との組合せは、一対のジアス
テレオ異性体酸付加塩を形成させるであろう。かかる方法は、従来、アミンに対
して使用されたが、本発明者らが知る限り、ヒドロキシルアミンに適用されたこ
とはなかった。
したがって、本発明は、式(II):
[R*NHOZ][HA*] (II)
[式中、R*NHOZは、式(I)で示される鏡像異性体ヒドロキシルアミンであ
り、ここで、R*は、NHOZが結合されるキラル炭素を含有する有機基であり
、Zは、水素またはヒドロキシル保護基であり、HA*は、ホモキラル有機酸で
ある]
で示されるジアステレオ異性体酸付加塩を提供するものである。
本明細書では、星印*を使用して、キラリティを示す。
式(I)で示されるホモキラルヒドロキシルアミンの各々およびホモキラル有機
酸HA*は、(+)−または(−)−鏡像異性体のいずれかであると思われる。さら
に、式(II)で示される各ジアステレオ異性体塩は、4つの可能な組合せ、すなわ
ち、(+)(+)、(+)(−)、(−)(+)および(−)(−)[(ヒドロキシルアミン)(酸)]
組合せのうちの1つであると思われる。本発明は、このような可能性の全てを網
羅する。
式(I)で示される好適なホモキラルヒドロキシルアミンは、ヒドロキシルアミ
ン基NHOZ(ここで、Zは、式(I)における定義と同じである)が結合される
キラル炭素(C*)を含有するホモキラル有機基R*を含む。
式(I)で示される好適なかかるホモキラル有機基(R*)の例としては、式(A
):
[式中、R2およびR3の一方は、水素であり、他方は、ヒドロキシルアミン基−
NHOZが結合されるキラル炭素(C*)であり、
Wは、CH2(CH2)s、O(CH2)s、S(CH2)sまたはNR4(CH2)sであり、
R4は、水素、(C1-4)アルキル、フェニル、(C1-6)アルカノイルまたはアロ
イルであり、
sは、0〜3の値を有する数字であり(ただし、R2が水素であり、WがO(C
H2)sまたはS(CH2)sある場合、sは、1〜3であり、WがNR4(CH2)sであ
る場合、sは、1〜3であり、R3は、水素である)、
R1は、水素、(C1-10)アルキル、(C1-10)アルコキシ、ナフチル、(CH2)m
−Ar−(X)v、(CH2)m(C=C)n(CH2)p−Ar−(X)v、O(CH2)mAr−(X)v
、S(CH2)m−Ar−(X)vまたはN(CH2)m−Ar−(X)vからなる群から選択
され、
pは、0〜3の値を有する数字であり、
mは、0〜3の値を有する数字であり、
nは、0〜3の値を有する数字であり、
vは、0〜3の値を有する数字であり、
Arは、フェニル、ナフチル、キノリル、イソキノリル、ピリジル、フラニル
、イミダゾイル、ベンゾイミダゾイル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキ
サゾリル、チアゾリルまたはチエニルからなる群から選択され、
Xは、水素、ハロゲン、(C1-10)アルキル、(C5-8)シクロアルキル、(C2-10
)アルケニル、ヒドロキシ、カルボキシ(CHY)t、(C1-10)アルコキシ、(C1-1 0
)アルキルチオ、(C1-10)アルキルスルフィニル、(C1-10)アルキルスルホニル
、
アリールオキシ、アリール(C1-6)アルキルオキシ、ハロ(C1-6)アルキル、ヒド
ロキシ(C1-6)アルキル、(R5)2N(CHY)t'またはシアノからなる群から選択
され(ただし、vが1よりも大きい場合、1つの置換基は、アルキル、(C1-10)
アルコキシまたはハロから選択されなければならない)、
tは、0または1であり、
R5は、水素または(C1-6)アルキルであり、
Yは、水素または(C1-3)アルキルであり、
t'は、0または1であり、t'が1である場合、R5の1つは、水素でなけれ
ばならない]
で示される化合物またはその塩、好ましくは、医薬的に許容される塩、および式
(B):
[式中、A1は、C*(ヒドロキシルアミン基に隣接するキラル炭素)を含有し、
A1は、C1-6アルキレンまたはC2-6アルケニレン基であり、
Yは、各々の場合、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ハロ置
換アルキル、C1-12アルキル、C2-12アルケニル、C1-12アルコキシ、C3-8シ
クロアルキル、C1-12チオアルキル、アリール、アリールオキシ、アロイル、C1-12
アリールアルキル、C1-12アリールアルケニル、C1-12アリールアルコキシ
、C1-12アリールチオアルコキシ、ならびに、アリール、アリールオキシ、アロ
イル、C1-12アリールアルキル、C2-12アリールアルケニル、C1-12アリールア
ルコキシ、C1-12アリールチオアルコキシの置換誘導体(ここで、置換基は、ハ
ロ、ニトロ、シアノ、C1-12アルキル、アルコキシおよびハロ置換アルキルから
選択される)から選択され、
nは、1〜5であり、
Xは、酸素、硫黄、S(O)2またはNR1であり、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルカノイル、アロイル、またはアルキ
ルスルホニルであり、
5員環内の点線は、単結合または二重結合を表す]
で示される化合物またはその塩、好ましくは、医薬的に許容される塩、および式
(C):
[式中、
R3は、A1−R4−であり、
A1は、C5-20アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、アリ
ールシクロアルキル、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシアルキル、
アリールチオアルキル、アリールNH−アルキル、N−アリール−N−(アルキ
ルカミノアルキル)、N−(アリール−アルキルアミノアルキル)、N−(アリール
−アルキル)−N−(アルキルアミノ)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリー
ルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルであり、
R4は、結合、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、ア
リール、ヘテロアリールまたはC1-8シクロアルキルであり、
R1およびR2は、水素、C1-4アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテ
ロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキ
ル、またはC3-8シクロアルキルであり(ただし、R1、R2およびR3は、同一で
はない)、
C*は、ヒドロキシルアミン基(NHOZ)が結合されるキラル炭素を表す]
で示される化合物またはその塩、好ましくは、医薬的に許容される塩が挙げられ
る。
式(B)および(C)で示される範囲内の化合物について、本明細書で使用する場
合、「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルキニル」鎖は、直鎖または分枝
鎖を意味する。かかる基としては、−CHCH3−、CH(CH2CH3)−、
CH2CH2(CH3)−、CH2CH2(CH2CH3)−など、−CH=CH−、CH
=CHCH−(CH3)、−C(CH3)=CH−などが挙げられる。好ましい基は、
−CHCH3−である。式(B)および(C)で示される化合物については、ヒドロ
キシルアミン部分に直接結合した炭素上の4つの基は、得られた化合物がキラル
であるように直接でなければならない。
式(C)についての構造式において示されるように、R1、R2およびR3は、異
なっていなければならず、好ましくは、R3は、A1−R4であり、ここで、R4は
、C2-6アルキニル基、C2-6アルキレンまたはC2-6アルケニレン基である。さ
らに好ましくは、C2-6アルキニルまたはC2-6アルケニレン基である。最も好ま
しくは、C2アルキニルである。また、好ましくは、R1およびR2の一方は、水
素であり、他方は、C1-12アルキルであり、さらに好ましくは、メチルである。
式(C)において、A1がヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、好ま
しくは、所望により置換されていてもよい2−もしくは3−フラニル、所望によ
り置換されていてもよい2−もしくは3−チエニル、所望により置換されていて
もよいベンゾ(b)フリル、または所望により置換されていてもよいベンゾ(b)チ
エニルから選択される。好ましくは、A1がアリールである場合、それは、所望
により置換されていてもよいフェニルまたはナフチル環である。
式(C)の好ましい下位構造は、A1が所望により置換されていてもよいフェニ
ル、所望により置換されていてもよいナフチル、所望により置換されていてもよ
い2−もしくは3−フラニル、または所望により置換されていてもよい2−もし
くは3−チエニルであり、好ましくは、R1およびR2は、独立して、水素、また
はC1-6アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはC3-8シクロアルキルである
場合である。
A1部分についての好ましい任意の置換基は、1992年2月6日に公開され
たWO92/01682[ブルックス(Brooks)ら]に開示されたとおりであ
る[出典明示により本明細書の一部とする]。さらに好ましくは、該置換基は、
所望により置換されていてもよいアリールまたはアリールオキシである。該アリ
ールまたはアリールオキシ上の好ましい置換基は、独立して、ハロゲン、ハロア
ルキル、アルコキシ、アルコールまたはアルキルである。さらに好ましくは、ハ
ロゲン、特に、1つ以上のフッ素である。
式(A)で示される範囲内の化合物は、PCT公開WO91/14774[スミ
スクライン・ビーチャム]に開示されている[出典明示により本明細書の一部と
する]。式(B)で示される化合物は、USP 4,873,259[サマーズ(Su
mmers)ら]に開示されている[出典明示により本明細書の一部とする]。式(C
)で示される化合物は、1992年2月6日に公開されたWO92/01682
[ブルックスら]に開示されている[出典明示により本明細書の一部とする]。さ
らに、式(C)で示される範囲内の化合物は、1990年8月19日に公開された
EPO 0384 594 A[ウエルカム・ファウンデーション(Wellcome Fou
ndation)]に開示されている[出典明示により本明細書の一部とする]。
好ましくは、式(A)で示される化合物の範囲内で、R1は、
O(CH2)m−Ar−(X)v、(CH2)m−Ar−(X)vまたはS(CH2)m−Ar−(X)v
から選択され、mは、0〜3の値を有する数字であり、vは、1〜2の値を有す
る数字である。好ましくは、Arは、フェニルである。好ましいX基は、水素、
アルコキシ、ハロおよびCF3であり、好ましくは、4位にある。さらに好まし
くは、Xは、水素またはハロゲン、好ましくは、フルオロまたはクロロ、さらに
好ましくは、フルオロである。二置換されている場合、該環は、好ましくは、2
,6位で、好ましくは、ハロゲンによって置換されている。さらに好ましくは、
Xは、フルオロまたはクロロ、さらに好ましくは、ジフルオロである。
式(I)の化合物について関心のある特別なR1基は、アルコキシ、フェネチル
、ベンジルオキシ、フェノキシおよびその置換誘導体である。特に、かかる基は
、メトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、4−メトキシベンジルオキシ、4−
クロロベンジルオキシ、4−フルオロフェノキシ、2,6−ジフルオロベンジル
オキシ、2−フェニルエチル、2−キノイルメトキシおよび2−ナフチルメトキ
シである。好ましくは、Wは、CH2(CH2)sまたはO(CH2)sであり、sは、
0または1の値を有する数字である。好ましくは、R3は、水素である。WがC
H2(CH2)sであり、sが1である場合、好ましい環置換は、ベンゾフラン環
の5位または6位であり、sが0である場合、好ましい位置は、4位または5位
であり、WがO(CH2)sである場合、対応する置換パターンは、例えば、sが1
である場合、7位または8位であり、sが0である場合、6位または7位である
。
好ましくは、式(B)で示される化合物の範囲内で、Aは、−CH2−または−
C(CH3)H−であり、Xは、硫黄または酸素であり、点線は、二重結合であり
、Yは、水素である。さらに好ましくは、A1は、C(CH3)Hであり、Xは、硫
黄である。
好ましくは、式(C)で示される化合物の範囲内で、R1は、独立して、水素ま
たはメチルであり、さらに好ましくは、R1のうちの1つは、水素であり、他方
は、メチルであり、A1は、所望により置換されていてもよいアリールまたは所
望により置換されていてもよい2−もしくは3−フラニルである。さらに好まし
くは、A1は、所望により置換されていてもよいフェノキシ基によって置換され
た2−フラニルである。該フェノキシ基は、所望により、ハロゲンによって、さ
らに好ましくは、フッ素によって、さらに好ましくは4位で置換されていてもよ
い。USP 4,873,259[サマーズら]および1992年2月6日に公開
されたWO92/01682[ブルックスら]は、出典明示により本明細書の一
部とされるので、式(IB)および(IC)の化合物についてそこに開示されている
任意の置換基のリストは、本明細書においてこれ以上詳述しない。
好適なホモキラル有機酸HA*の例としては、ラセミアミンについての分割剤
として慣用的に使用されるホモキラル酸のうちから選択される有機緩酸、例えば
、(+)/(2R,3R)−もしくは(−)/(2S,3S)−酒石酸などの二塩基酸また
はジベンゾイル−(2S,3S)−または(2S,3R)−酒石酸などのその誘導体、
または、さらに好ましくは、(S)−(+)−または(R)−(−)−マンデル酸[C6H5
CH(OH)CO2H]などの一塩基酸が挙げられる。モノエステルまたはアミド
のような酒石酸(または他の二塩基酸)のモノ誘導体も使用され、同様に、ベン
ジルのヒドロキシル基上で置換されたマンデル酸の誘導体も使用される。好まし
くは、樟脳スルホン酸などの強い有機酸は、避けるべきである。好適なホモキラ
ル有機酸は、通常の商業的供給者から容易に入手可能である。有機酸は、実
質的に純粋なホモキラル鏡像異性体であるべきである。有機酸は、好ましくは、
キラル純度が少なくとも95%以上、さらに好ましくは、97%以上、最も好ま
しくは、99%以上である。
「ヒドロキシル保護基」なる用語は、本明細書では、ヒドロキシル基を保護す
るために使用され、分子の残部を妨害せずに基質分子に付加および除去される当
該技術分野でよく知られている基を示すために使用される。その好適な例として
は、「プロテクティング・グループス・イン・オーガニック・ケミストリー」(
Protecting Groups in Organic Chemistry)、グリーン・ティ・ダブリュ(G
reene T.W.)、ウィリィ、ニューヨーク、1981に挙げられている。ヒドロ
キシル保護基Zについての定義としては、所望により置換されていてもよいベン
ジル、メチル(C1-3)アルコキシ、メチルエトキシ(C1-3)アルコキシ、低級アル
コキシカルボニル、テトラヒドロピラニル、低級アルカノイル、アロイル、トリ
アルキルシリルおよびトリアルキルシリルエトキシメチルが挙げられる。
「アリール」または「ヘテロアリール」なる用語は、本明細書で使用される場
合、特別に定義しない限り、炭素原子5〜16個を含有し、二または三環系を含
み、限定されないが、O、NまたはSから選択されるヘテロ原子を含む置換また
は非置換芳香族環系を意味する。代表的な例としては、限定されないが、フェニ
ル、ナフチル、ピリジル、キノリニル、チアジニル、2−または3−チエニルお
よび2−または3−フラニル、ベンゾ(b)フリルまたはベンゾ(b)チエニルが挙
げられる。
「低級アルキル」または「アルキル」なる用語は、本明細書で使用される場合
、特別に定義しない限り、鎖長が特に制限されない限り炭素原子1〜10個の直
鎖状または分枝鎖状基を意味し、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピ
ル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチルな
どが挙げられる。
「アロイル」なる用語は、本明細書で使用される場合、ArC(O)−を意味し
(ここで、Arは、式(A)における定義と同じである)、限定されないが、ベン
ジル、1−または2−ナフチルなどが挙げられる。
「アルカノイル」なる用語は、本明細書で使用される場合、(C1-10)C(O)−
を意味し(ここで、アルキルは、前記定義と同じである)、限定されないが、メ
チル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルなどが挙げられる。
「シクロアルキル」なる用語は、本明細書で使用される場合、好ましくは、炭
素原子3〜8個を有する環状基を意味し、限定されないが、シクロプロピル、シ
クロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
所定のラセミヒドロキシルアミンについて、いくつかのホモキラル有機酸がそ
れ以外のものよりも分割剤として有効であることは、当業者に明らかである。好
適な組合せは、簡単な実験によって当業者により容易に決定され、好ましい組合
せは、ジアステレオ異性体酸付加塩を有効に精製させるものである。
式(I)で示される好適なジアステレオ異性体酸付加塩の例としては、
(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)
ヒドロキシルアミン(S)−マンデル酸塩;
(R)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)
ヒドロキシルアミン(S)−マンデル酸塩;
(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)
ヒドロキシルアミン(R)−マンデル酸塩;
(R)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)
ヒドロキシルアミン(R)−マンデル酸塩;
(S)−N−(6−[2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ]−2,3−ジヒドロベ
ンゾフラン−3−イル)ヒドロキシルアミン(S)−マンデル酸塩;
(R)−N−(6−[2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ]−2,3−ジヒドロベ
ンゾフラン−3−イル)ヒドロキシルアミン(S)−マンデル酸塩;
(S)−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エチル)ヒドロキシルアミン(
S)−マンデル酸塩;
(R)−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エチル)ヒドロキシルアミン(
S)−マンデル酸塩;
(S)−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エチル)ヒドロキシルアミン
(R)−マンデル酸塩;
(R)−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エチル)ヒドロキシルアミン(
R)−マンデル酸塩;
(S)−N−(4−[5−(4−フルオロフェノキシ)−2−フリル]−3−ブチン
−2−イル]ヒドロキシルアミン(S)−マンデル酸塩;
(R)−N−(4−[5−(4−フルオロフェノキシ)−2−フリル]−3−ブチン
−2−イル]ヒドロキシルアミン(S)−マンデル酸塩;
(S)−N−(4−[5−(4−フルオロフェノキシ)−2−フリル]−3−ブチン
−2−イル]ヒドロキシルアミン(R)−マンデル酸塩;または
(R)−N−(4−[5−(4−フルオロフェノキシ)−2−フリル]−3−ブチン
−2−イル]ヒドロキシルアミン(R)−マンデル酸塩;
(E)−N−3[3−(4−フルオロフェノキシ)フェニル−1−メチル−プロパ
−2−エン−1−イル]ヒドロキシルアミン(S)−マンデル酸塩;
(E)−N−3[3−(4−フルオロフェノキシ)フェニル−1−メチル−プロパ
−2−エン−1−イル]ヒドロキシルアミン(R)−マンデル酸塩
が挙げられる。
(4−[5−(4−フルオロフェノキシ)−2−フリル]−3−ブチン−2−イル]
部分についての別の命名は、3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−フラニル]
−1−メチル−2−プロパニルである。
式(I)で示されるジアステレオ異性体酸付加塩は、対応するホモキラルヒドロ
キシルアミンをホモキラル有機酸HA*で処理することによって慣用的に形成さ
れるが、さらに一般的には、該塩は、対応するラセミヒドロキシルアミンの分割
において中間生成物として得られることが容易に認識されるであろう。かくして
、さらに一般的な出発物質は、対応するラセミヒドロキシルアミンであろう。さ
らに、別の有用な出発物質は、例えば、同一または異なるジアステレオ異性体酸
付加塩の形成を介してヒドロキシルアミンを分割しようとする予め不完全な試み
の結果として得られた部分的に分割されたヒドロキシルアミンである。
したがって、本発明は、アルコールまたは酢酸エチルなどの好適な溶媒中、対
応するラセミまたは部分的に分割されたヒドロキシルアミンをホモキラル有機酸
HA*で処理して、一対のジアステレオ異性体酸付加塩を形成し、次いで、好適
な手段、例えば、分別晶出によって製造する前記定義の式(I)のジアステレオ異
性体酸付加塩の製造方法を提供するものである。
好ましくは、実質的に等価量のヒドロキシルアミンおよび有機酸を使用する。
有機酸が二塩基である場合、好ましくは、一水素塩が形成される。好ましくは、
有機酸は、マンデル酸である。1:1の割合が好ましいが、2:1の割合も、こ
の方法において好結果を与えた。
好適な溶媒としては、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、または所望に
より酢酸を有していてもよいアルコール、例えば、メタノール、エタノールまた
はイソプロパノール、好ましくは、メタノールまたはエタノール、さらに好まし
くは、酢酸を有するメタノールなどの酸付加塩形成において一般に使用されるも
のが挙げられる。好ましくは、溶媒は、酢酸エチルまたは酢酸を有するメタノー
ルである。
好ましくは、溶媒は、最初の塩形成に続いて、ジアステレオ異性体塩の1つが
選択的に沈殿し、これにより、少なくとも一部の分離が行われるように選択され
る。別法としては、最初の塩形成溶媒を完全にまたは部分的に別のものに置き換
えるのが好ましく、分別晶出によってさらに有効に分離される。
好ましくは、塩形成は、効率的に撹拌しつつ、温度制御を伴って行われ、その
結果、好適な溶媒が選択されると、分別晶出は、制御された形態で生じる。
当業者は、ジアステレオ異性体酸付加塩の実質的に完全な分離は、単一工程で
は行われず、したがって、所望のレベルの純度が得られるまで、さらなる分離工
程を介して不純な塩を処理することが必要であると思われる。分別晶出を使用す
る場合、これは、最初の塩形成工程で使用される溶媒形態を変化させることを含
む。該塩のジアステレオ異性体純度は、塩の融点などの物理的パラメーターを介
して、または、1H nmr分光学によって容易にモニターされる。別法としては
、遊離ヒドロキシルアミンを塩から得、その旋光を測定するか、キラル固定相を
使用してhplcによって、または、キラルシフト試薬を使用して1H nmr分
光
学によってアッセイされる。該溶液に好ましいジアステレオ異性体形を接種する
ことによるなどの結晶化工程の最適化は、再結晶とは対照的に直接的結晶化を可
能にする。
式(I)で示されるジアステレオ異性体塩は、対応するホモキラルヒドロキシル
アミンの製造における中間体として有用である。
したがって、さらなる態様では、本発明は、好適な溶媒中、好ましくは、pH
および温度の制御下、前記定義の式(II)[R*NHOZ][HA*]のジアステレオ異
性体塩を好適な塩基で処理して、対応するホモキラルヒドロキシルアミンを得、
次いで、好適な有機溶媒中への抽出によって、前記定義の有機酸[HA*]から分
離することからなる前記定義の式(I)[R*NHOZ]で示されるホモキラルヒド
ロキシルアミンまたはその塩の製造方法を提供するものである。本発明のもう1
つの優れた態様は、この方法におけるホモキラル酸の回収であり、該酸を再利用
することができるので費用を低下させることかできる。
好適な塩基としては、水酸化アンモニア水溶液などの緩アミン塩基が挙げられ
る。好適な溶媒としては、水が挙げられる。
式(II)で示される化合物の範囲内で、新規であり、中間体として有用である化
合物のサブセットが存在すると思われる。
したがって、さらなる態様において、本発明は、式(III):
(R*)1NHOZ (III)
[式中、Zは、式(I)における定義と同じであり、
a)(R*)1は、式:
(式中、A1は、C*(ヒドロキシルアミン基に隣接するキラル炭素)を含有
し、
A1は、C1-6アルキレンまたはC2-6アルケニレン基であり、
Yは、各々の場合、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ハ
ロ置換アルキル、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニル、C1−C12アルコ
キシ、C3−C8シクロアルキル、C1−C12チオアルキル、アリール、アリール
オキシ、アロイル、C1−C12アリールアルキル、C1−C12アリールアルケニル
、C1−C12アリールアルコキシ、C1−C12アリールチオアルコキシ、ならびに
アリール、アリールオキシ、アロイル、C1−C12アリールアルキル、C2−C12
アリールアルケニル、C1−C12アリールアルコキシ、C1−C12アリールチオア
ルコキシの置換誘導体(ここで、置換基は、ハロ、ニトロ、シアノ、C1−C12
アルキル、アルコキシおよびハロ置換アルキルから選択される)から選択され、
nは、1〜5であり、
Xは、酸素、硫黄、S(O)2またはNR1であり、
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルカノイル、アロイルまたはアル
キルスルホニルであり、
五員環内の点線は、単結合または二重結合を意味する)
で示されるホモキラル有機酸基であるか、または、
b)(R*)1は、式:
(式中、
A1は、C5-20アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、
アリールシクロアルキル、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシアルキ
ル、アリールチオアルキル、アリールNH−アルキル、N−アリール−N−(ア
ルキルカミノアルキル)、N−(アリール−アルキルアミノアルキル)、N−(アリ
ール−アルキル)−N−(アルキルアミノ)アルキル、所望により置換されていて
もよい2−もしくは3−フリル、所望により置換されていても
よい2−または3−チエニル、所望により置換されていてもよいベンゾ(b)フリ
ル、または、所望により置換されていてもよいベンゾ(b)チエニルであり、
R1は、水素またはC1-2アルキルである)
で示されるホモキラル有機基である]
で示されるホモキラルヒドロキシルアミンまたはその塩、好ましくは医薬的に許
容される塩を提供するものである。
かかる好適なホモキラル(R*)1部分の例としては、
(+)−および(−)−N−3−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフ
リル)、
(+)−および(−)−N−[4−[5−(4−フルオロフェノキシ)−2−フリル]
−3−ブチン−2−イル]、または
(+)−および(−)−N−3−(6−[2,6−ジフルオロベンジルオキシ]−2,
3−ジヒドロベンゾフリル)
が挙げられる。
式(IIIA)および(IIIB)から得られた好適なホモキラルヒドロキシルアミンの
例としては、
(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)
ヒドロキシルアミン、
(R)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)
ヒドロキシルアミン、
(S)−N−(6−[2,6−ジフルオロベンジルオキシ]−2,3−ジヒドロベン
ゾフラン−3−イル)ヒドロキシルアミン、
(R)−N−(6−[2,6−シフルオロベンジルオキシ]−2,3−ジヒドロベン
ゾフラン−3−イル)ヒドロキシルアミン、
(+)−および(−)−N−[4−[5−(4−フルオロフェノキシ)−2−フリル]
−3−ブチン−2−イル]ヒドロキシルアミン
が挙げられる。
式(IIIA)および(IIIB)を有するホモキラルヒドロキシルアミンは、式(I)の
ホモキラルヒドロキシルアミンについての前記に従って得られる。
ホモキラルヒドロキシルアミンは、とりわけ、対応するホモキラルヒドロキシ
尿素およびヒドロキサメート誘導体の製造における中間体として有用である。
したがって、別の態様では、本発明は、ヒドロキシルアミン官能基をヒドロキ
シ尿素またはヒドロキサメートに変換する能力を有する試薬で前記定義の式(III
)で示されるホモキラルヒドロキシルアミンを処理することからなる式(IV):
(R*)1N(OZ)CY1R6 (IV)
[式中、(R*)1は、式(IIIA)および(IIIB)における定義と同じであり、Zは、
式(I)における定義と同じであり、
Y1は、酸素または硫黄であり、
R6は、(C1-6)アルキル、ハロ置換(C1-6)アルキル、ヒドロキシ置換(C1-6)
アルキル、(C2-6)アルケニル、所望により、ハロゲン、(C1-6)アルキル、ハロ
置換(C1-6)アルキル、ヒドロキシルまたは(C1-6)アルコキシによって置換され
ていてもよいアリールまたはヘテロアリールであるか、または、R6は、基NR7
R8であり、
R7は、水素または(C1-6)アルキルであり、
R8は、水素、(C1-6)アルキル、アリール(C1-6)アルキル、ハロゲンまたは
ヒドロキシルによって置換された(C1-6)アルキル、所望により、ハロ、ニトロ
、シアノ、(C1-12)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルキル、(C1 -6
)アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、(C1-6)アルキルアミノカルボニ
ル、ジ(C1-6)アルキルアミノカルボニル、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)アル
キルスルフィニルまたは(C1-6)アルキルスルホニルからなる群から選択される
置換基によって置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであるか、
または、R7およびR8は、一緒になって、5〜7個の環原子を有する環を形成す
る(ここで、環原子は、酸素、硫黄または窒素から選択されるさらなるヘテロ原
子を含んでもよい)]
で示されるホモキラル化合物またはその塩、好ましくは、医薬的に許容される塩
の製造方法を提供するものである。
前記試薬は、よく知られており、USP 4,873,259[サマーズら]に
開示されたものが挙げられる。有用な試薬としては、イソシアン酸トリメチルシ
リル、シアン化アルカリ金属、ホスゲンまたはホスゲン等価物、続いてアンモニ
アまたはアミン(ヒドロキシ尿素について)またはアシル化剤、例えば、塩化ア
シルまたは酸無水物(ヒドロキサメートについて)が挙げられる。
より詳細には、式(IV)のヒドロキシ尿素の好適な製造方法は、Zが水素または
ヒドロキシル保護基である前記式(III)の化合物を、
(i)イソシアン酸トリメチルシリルで処理し、次いで、塩化アンモニウムで
処理するか、
(ii)酸性溶液中、シアン化ナトリウムまたはカリウムで処理するか、
(iii)塩化水素ガスで処理し、次いで、ホスゲンもしくはホスゲン等価物(
対応する塩化カルバモイル中間体を得るため)、または、エチルクロロホーメー
トなどのアルキルクロロホーメート(カルバメート中間体を得るため)、次いで
、該中間体をアンモニア水溶液または置換アミンで処理し、次いで、所望により
、保護基Zを除去すること
を含む。
式(IV)で示されるヒドロキサメートの好適な製造方法は、Zが水素またはヒド
ロキシル保護基である前記式(III)で示される化合物を、有機溶媒中、所望によ
り塩基の存在下、例えば塩化アセチルの如き塩化アシルまたは酸無水物などのア
シル化剤で処理し、次いで、所望により、保護基を除去することを含む。
前記方法における式(I)、(III)および(IV)で示される化合物において有用な
保護基Zの好適な例としては、以下のものが挙げられる(括弧内にその切断方法
を示す)。
(i)ベンジル、置換ベンジルまたはベンジルカーボネート(水素化分解また
は三塩化アルミニウムの存在下、エタンチオールによる)、
(ii)トリアルキルシリルまたはトリアルキルシリルエトキシメチル(無水フ
ッ化アミンまたは緩酸条件)、
(iii)テトラヒドロピラニル、(C1-3)アルコキシ(C1)アルキルまたは(C1- 3
)アルコキシ(C2)アルコキシ(C1)アルキル(メタノールまたは希HCl中、ピ
リジニウム4−トルエンスルホネートなどの緩酸処理)、
(iv)t−ブチルオキシカルボニル(トリフルオロ酢酸、トレメチルシリルト
リフラートおよび2,6−ルチジン、または無水エーテル性HCl)、および
(v)低級アルカノイルまたアロイル基(炭酸カリウムなどの好適な塩基)。
以下の実施例により、本発明を説明するが、単なる説明であり、如何なる場合
も本発明を限定するものではない。
実施例1(R)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エチル)ウレア
a).(R)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エ チル)アミン(S)−マンデレート
20.0g(0.103モル)のラセミ体のN−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ
[b]チエン−2−イル−エチル)アミンおよび200mlのMeOH(スチー
ムバスで加熱)、次いで、25mlのMeOH中の15.75gの(S)−(+
)−マンデリン酸を一度に添加した。さらに5分間撹拌しながら加熱し、次いで
、室温までゆっくりと冷却し、氷浴で1時間冷却し、濾過し、収集し、次いで、
乾燥して5.13g(収率14.4%)の(R)−ヒドロキシルアミン(S)−(
+)−マンデレートを得た。TLCで1個のスポット、キラルHPLCで純度9
9%以上。
b).(R)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エ チル)アミン
5.13gの(R)−ヒドロキシルアミン(S)−(+)−マンデリン酸塩を
EtOAc中に取り、水を添加し、冷却し、次いで、濃NH4OHを撹拌しなが
ら添加してpH〜9.0とした。層分離させ、水層をEtOAcで2回抽出した
。EtOAcを集め、水洗し、乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮して出
発ラセミ体混合物から2.72g(収率13.6%)を得た。キラルHPLCで純
度99%以上;TLCで1個のスポット。融点=107〜108℃。
c).(R)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エ チル)ウレア
2.72g(0.014モル)の(R)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[
b]チエン−2−イル−エチル)アミンおよび27mlのTHF、次いで、3.
0ml(0.021モル)のTMSイソシアネートを混合物し、0.5時間加熱還
流し、氷浴中5℃で冷却し、次いで、得られた固体を濾別した。濾液を濃縮し、
再少量のDMF中に取り、活性炭(DarcoR)で脱色し、氷で処理し、得られた固
体を集め、乾燥し、次いで、上記固体と併せて2.9gの粗ヒドロキシウレアを
得た。CH3CNから2回再結晶を行って1.71g(収率51.7%)を得た。
HPLC:99.4%;[α]D=+50.7(C=1.7,MeOH,25℃);
融点=156〜158℃。
実施例2(S)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エチル) ウレア
a).(S)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エ チル)アミン(R)−マンデレート
16.7g(0.086モル)のラセミ体のN−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ
[b]チエン−2−イル−エチル)アミンおよび167mlのMeOH(スチー
ムバスで加熱)、次いで、25mlのMeOH中の13.15g(0.086モル
)の(R)−(−)−マンデリン酸を一度に混合した。さらに5分間撹拌しなが
ら加熱し、次いで、ゆっくりと(一晩かけて)室温まで冷却し、氷浴で1時間冷
却し、濾過し、収集し、次いで、乾燥して13.15g(44.3%)の(S)ヒ
ドロキシルアミン(R)−(−)−マンデレートを得た。TLCで1個のスポッ
ト、キラルHPLCで純度99%以上。
b).(S)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エ チル)アミン
13.15g(0.038モル)の(S)ヒドロキシルアミン(R)−(−)−
マンデリン酸塩をEtOAc中に取り、水を添加し、冷却し、次いで、
濃NH4OHを撹拌しながら添加してpH〜9.0とした。層分離させ、水層をE
tOAcで2回抽出した。EtOAcを集め、水洗し、乾燥し、ロータリーエバ
ポレーターで濃縮して出発ラセミ体混合物から5.5g(収率32.9%)を得た
。キラルHPLCで純度99%以上;TLCで1個のスポット。融点=110〜
111℃。
c).(S)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イル−エ チル)ウレア
5.25g(0.027モル)の(S)−N−ヒドロキシ−N−(1−ベンゾ[
b]チエン−2−イル−エチル)アミンおよび53mlのTHF、次いで、5.
8ml(0.041モル)のTMSイソシアネートを混合物し、0.5時間加熱還
流し、氷浴中5℃で冷却し、次いで、得られた固体を濾別した。濾液を濃縮し、
再少量のDMF中に取り、活性炭(DarcoR)で脱色し、氷で処理し、得られた固
体を集め、乾燥し、次いで、上記固体と併せて2.9gの粗ヒドロキシウレアを
得た。CH3CNから2回再結晶を行って3.01g(収率47.2%)を得た。
HPLC:99.4%;[α]D 25°=50.7(C=1.7,MeOH);融点=
158〜160℃。
実施例3(S)N−[6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル] −ヒドロキシルアミン a)D−酒石酸塩を経由するヒドロキシルアミンの分割
6−ベンジルオキシ−3−(N)−ヒドロキシルアミノ−2,3−ジヒドロベ
ンゾフラン(0.88g)を30mlのMeOHに加熱しながら溶解し、溶液を
いくぶん冷却し、10mlのMeOH中のD−(S,S)酒石酸(0.514g)
の溶液を撹拌しながら一度に添加した。速やかな結晶化が起こり、固体および上
清を5℃で一晩貯蔵し、次いで、濾過し、風乾した(収量1.6g)。これを2
0mlのAcOHとともに撹拌し、混合物を65〜70℃まで加熱し、その時点
で完全な溶液が得られた。溶液を約10℃まで冷却し、かき取って結晶固体を得
た。数分間撹拌後、固体を濾過し、風乾して314mg(45%)の最初のク
ロップを得た。融点169〜170℃(分解)。第2のクロップ−70mg(1
0%)。融点166〜168℃(分解)。
最初のクロップのうち19mgをいくらかのMeOHを含有するアンモニア水
に溶解し、溶液をEtOAcで抽出した。EtOAc抽出物を濃縮して12mg
の固体残渣を得た。25cmのキラルHPLC−キラルパックAD(chiralpack
AD)(アミロース)カラム、移動相90%ヘキサン,10%(CH3)2CHOH
、流速1ml/分によるアッセイ。結果:25.2分−(95%,30.7m−4.
1%(91.8%e.e.)。[α]D 25°+18.6°)評価された[α]D 25°1
00%e.e.マテリアル:(+)20.3°。b)ヒドロキシルアミンからヒドロキシウレアへの変換
(S)−6−ベンジルオキシ−3−(N)−ヒドロキシルアミノ−2,3−ジ
ヒドロベンゾフランの一部(約10mg)を約0.5mlのTHF(モレキュラ
ーシーブで乾燥)に溶解し、50μlのイソシアン酸トリメチルシリル(過剰量
)を添加した。アルゴン下で反応混合物を室温で2日間撹拌し、その間に混合物
が乾固した。白色残渣固体をTHFに分散し、固体を濾過して3mgを得た。融
点(わずかに分解)190℃。キラルHPLCによりこの生成物が(S)N−[
6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル]ヒドロキシウ
レアと同じであることが示された:キラセルOJ(chiracel OJ)4.6mmx
25cmカラム、60%ヘキサン,40%EtOHのイソクラチック移動相、流
速1ml/分(210nm)S−17.9分、(R−12.1分、ピークなし)。
別の条件下にて:c)(S)−ヒドロキシルアミンの(S)−ヒドロキシウレアへの変換
(S)−6−ベンジルオキシ−3−(N)−ヒドロキシルアミノ−2,3−ジ
ヒドロベンゾフランの一部(1.4g)をアルゴン下で、15mlのTHF中、
室温において撹拌し(固体状の粉末および固まり−かなり難溶)、イソシアン酸
トリメチルシリル(1.11ml)を一度に添加した。すぐに白色沈殿が生成し
、それが重くなり、明らかに存在する出発物質の固まりの撹拌を妨げた。さらに
15mlのTHFを添加し、反応混合物を加熱還流した。反応混合物は徐々に滑
らかになったが、不溶性白色物質が残存した。反応混合物を1時間還流し、次い
で、冷却し、濾過して白色固体1.31g(80%)を得た。逆相HPLC−レ
イニン・グラド・ゾーバックス(Rainin Grad.Zorbax)4.6mm x 15C
Mカラム,RXC8,50%MeOH,0.1%TFA(aq)(5分)から10分で
90%MeOH,0.1%TFA/aq(10分)まで、流速1ml/分;単一ピ
ーク(約100%)10.7分。キラルHPLCアッセイ:キラルOJ/4.6m
m x 25cmカラム、40%EtOH:60%ヘキサンイソクラチック、1
ml/分、UV210nm 単一ピーク18.3分(S−エナンチオマー)。(
R−エナンチオマーはピクなし)。融点190〜194℃(分解)。(CD3)2
SO(Gaspe)で得られた1HNMRおよび13CNMRは一致。質量スペクトル(
PI)−301(ダルトン)−一致。
反応生成物試料(37mg)をEtOH(還流)に分散して33mgの結晶固
体を得た。試料を減圧乾燥した。C16H16N2O4として計算値:C,63.99;
H,5.37;N,9.33。実測値:C,63.86;H,5.30;N,9.15。[
α]D 25°(1,DMF)+90.2°。
実施例4(S)−N−[6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル ]ヒドロキシルアミン
メカニカルスターラー、温度計および還流濃縮器を装備した22L容フラスコ
に、MeOH(7ml)中の(R,S)−N−[6−ベンジルオキシ−2,3−ジ
ヒドロベンゾフラン−3−イル]ヒドロキシルアミン(551.0g,2.14モ
ル)を入れ、得られた混合物を加熱還流した。MeOH(0.5L)中の(S)
−(+)−マンデリン酸(325.8g,2.14モル)の溶液を、還流している
混合物に一度に添加した。加熱を5分間継続し、次いで、混合物をゆっくりと放
冷した。温度が50℃に達した時点で、種結晶を混合物に添加し、生成した固体
を濾過により集め、乾燥した。収集した固体のHPLC分析により、固体が85
:15の(S):(R)−N−[6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾ
フラン−3−イル]ヒドロキシルアミンを含むことが示された。固体
(513.6g)を、EtOAc(12L)の入った22L容フラスコに入れ、
次いで、撹拌し、0.5時間70℃でい加熱し、ゆっくりと放冷した。温度が5
5℃に到達した時点で、生成した固体を濾過により集め、乾燥した。収集した固
体のHPLC分析により、固体が>99%の(S)−N−[6−ベンジルオキシ
−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル]ヒドロキシルアミンを含んでいる
ことが示された。固体を22L容フラスコに入れ、H2O(3L)およびEtO
Ac(6L)を添加した。濃NH4OHを添加することによりpHを9に合わせ
た。層分離させ、水相をEtOAc(2L)で2回で抽出した。合わせた有機抽
出物を水(3L)で3回で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧濃縮して標記化
合物(144.0g,生成可能な全(S)−エナンチオマーの52.3%)。
その塩をEtOAcに溶解し、H2O、次いで、過剰のアンモニア水を添加す
ることにより遊離ヒドロキシルアミンに変換された(S)−N−[6−ベンジル
オキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル]ヒドロキシルアミン−(S
)−マンデレートの試料についてキラルHPLCアッセイを行った。該アッセイ
系は、10%イソプロパノール/ヘキサンを流速1ml/分で流すキラルパック
ADカラム(4.6mm x 25cm)からなっており、210nmの検出器
が用いられていた。単一ピークが24.2分において観察された。
実施例5(S)−N−[6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル ]ヒドロキシウレア
メカニカルスターラー、温度計、CaCl2乾燥管付き濃縮器を装備した5L
容3つ首フラスコに、N2雰囲気下で、THF(2.6L)中の(S)−N−[6
−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル]ヒドロキシルア
ミン(129.0g,0.501モル)を添加した。得られた混合物を室温で0.5
時間撹拌し、その際、イソシアン酸トリメチルシリル(107.2mL,86.6
g,0.752モル)を一度に添加した。次いで、混合物を15分間加熱還流し、
次いで、氷浴で5℃まで冷却した。生成した沈殿を濾過により集めて白色固体を
得た。桃色固体の第2のクロップを、濾液濃縮物から得た。これを再少
量のDMF中に取り、加熱し、Darcoで処理した。濾過および冷却により白
色固体を得、これを集め、乾燥し、最初のクロップと合わせた。合わせた固体を
EtOH(20容)に溶解し、加熱還流し、冷却し、乾燥して標記化合物(10
5.4g,70.2%)を得た;融点192.5〜193℃。
逆相HPLC(ゾーバックスRXC8カラム,4.6mm x 15cm;移動
相は0.1:50:50のTFA/MeOH/H2O)により単一ピークを得、キ
ラルHPLC(キラセルOJ,4.6mm x 25cm;移動相は40:60の
EtOH/ヘキサン;流速1.0ml/分;210nmのUV検出器)により1
8.3分における単一ピークが得られた。
実施例6(R,S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イ ル)−ヒドロキシアミン a)6−ヒドロキシ−3−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾフラン
レゾルシノール(16.0kg,145モル)、クロロアセトニトリル(13.
2kg,175モル)および酢酸エチル(193kg,214L)からなる窒素下
で撹拌されている溶液に、塩化亜鉛(11.0kg,80.8モル)を添加し、混
合物を5℃に冷却した。内部温度が30℃を超えないような速度で塩化水素ガス
(31.2kg,855モル)を吹き込んだ。粘稠なスラリーをさらに2時間撹拌
し、減圧蒸留により溶媒を除去した。水(80L)を添加し、残ったEtOAc
を減圧蒸留により除去した。混合物を60まで加熱し、1時間撹拌した。温度を
20まで冷却し、次いで、t−ブチルメチルエーテル(146L,113kg)
を添加し、混合物を15分撹拌した。水層を分離し、有機層を水(50L)で洗
浄した。層分離させ、減圧蒸留により有機層を除去した。95%エタノール(5
0L)を添加し、すべてのt−ブチルメチルエーテルが除去されるまで蒸留を継
続した。次いで、95%エタノール(220L)を添加し、次いで、酢酸ナトリ
ウム(21.8kg,266モル)を添加し、混合物を1時間加熱還流した。さら
に酢酸ナトリウム(3.54kg,43.2モル)を添加し、混合物をさらに1時
間還流した。混合物を5℃まで冷却し、遠心分離により固体を集
めた。これを95%エタノール(51L)、水(800L)、95%エタノール
(29L)次いで、ヘキサン(30L)で洗浄した。得られた物質を減圧下、4
0℃で乾燥して所望生成物(16.5kg,75%)を得、これをさらに精製せず
に使用した。b)6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−ベンゾフラン
DMF(192L)中の実施例6(a)の6−ヒドロキシ−3−オキソ−2,
3−ジヒドロベンゾフランの撹拌されている溶液に、炭酸カリウム(31.0k
g,224モル)を添加した。室温で5分間撹拌した後、臭化ベンジル(45.2
kg,264モル)を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物
を水(651L)中に注ぎ、30分撹拌し、遠心分離により生成物を集めた。粗
固体を水(580L)そして80%エタノール(100L)で洗浄し、次いで、
減圧乾燥して所望生成物(49.1kg,95%)を得、これをさらに精製せずに
使用した。c)6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−オキシム
上記実施例6(b)の6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−
ベンゾフラン(24kg,99.9モル)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(15.0
kg,216モル)、酢酸ナトリウム(24.6kg,300モル)およびエタノ
ール(216L)からなる撹拌されている混合物を2時間加熱還流した。混合物
を水(534L)中に注ぎ、容器を95%エタノール(20L)で濯ぎ、これを
水性混合物に添加して1時間撹拌した。遠心分離により固体を集め、水(670
L)そして95%エタノール(80L)で洗浄し、減圧下、55℃で簡素して所
望生成物をオレンジ色固体(24.3kg,95%)として得て、これをさらに精
製せずに使用した。d)(R,S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3 −イル)−ヒドロキシルアミン
メタノール(200L)およびジクロロメタン(200L)中の上記実施例6
(C)の6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−オキシム(
16.0kg,62.7モル)の5℃に冷却された撹拌されている混合物に、ピ
リジン−ボラン複合体(32.1kg,345モル)を添加した。内部温度が10
℃を超えない速度で6N HCl溶液(60.0L,360モル)を添加し、得ら
れた溶液を室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、次いで、tert−ブチル
メチルエーテル(50kg)、次いで、3N HCl(64L,192モル)を
添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、粗固体を遠心分離により集め、水
(50L)で洗浄した。湿ケークを水(192L)中に懸濁し、50%NaOH
(4.0L)でpHを6.5〜7.0に合わせた。混合物を室温で一晩撹拌した。
濃NH4OH(2.8kg)でpHを9.5に合わせ、30分撹拌し、生成物を遠
心分離により集め、水(230L)そしてエタノール(80L)で洗浄し、減圧
下、55℃で乾燥してわずかに灰色がかった白色固体(14.2kg,88%)を
得て、これをさらに精製せずに使用した。
実施例7(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル )−N−ヒドロキシウレア
(a)(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3 −イル)ヒドロキシルアミン,(S)−(+)−マンデリン酸塩
メタノール(460L)中の実施例6(d)の(R,S)−N−(6−ベンジ
ルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾ−フラン−3−イル)−ヒドロキシルアミン
(14.0kg,54.4モル)の撹拌されている還流中の懸濁液に、メタノール
(30L)中のS−(+)−マンデリン酸(8.29kg,54.5モル)の溶液
を添加した。得られた透明溶液を30分還流し、撹拌しながら1.5時間かけて
38〜40℃まで放冷した。反応混合物が39℃まで冷えた時点で、(S)−N
−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)ヒドロキ
シルアミン,(S)−(+)−マンデリン酸塩(4g)で種を作り、温度を34
〜36℃で30分保った。次いで、懸濁液を20〜25℃まで1時間かけて冷却
し、この温度において4時間撹拌した。遠心分離により固体を集め、酢酸エチル
(35L)で洗浄し、45〜50℃において減圧乾燥して白色固体(7.70k
g,34%)を得、これをさらに精製せずに使用した。
キラルHPLC分析により、所望(S)−エナンチオマーが99.4%の純度で
あることが示された。
b)(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3− イル)ヒドロキシルアミン
水(174L)および酢酸エチル(465L)中の上記実施例7(a)の(S
)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)ヒ
ドロキシルアミン,(S)−(+)−マンデリン酸塩(18.0kg,44.0モル
)の撹拌されている懸濁液に、pHが約9.5になるまで濃NH4OH(約4.4
L)を添加した。溶液を15分撹拌し、層分離させた。水層を酢酸エチル(2x
100L)で洗浄し、有機層を合わせ、H2O(3x175L)で洗浄した。層
分離させ、固体が出現し始めるまで酢酸エチルを減圧蒸留した。ヘキサン(30
0L)を添加し、温度を5℃まで低下させ、1時間撹拌した。遠心分離により生
成物を集め、ヘキサン(90L)で洗浄し、減圧乾燥して白色固体(10.2k
g,90%)を得、これをさらに精製せずに使用した。生成物は、キラルHPL
Cにより、99%e.e.以上の純度であった。
c)(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3− イル)−N−ヒドロキシウレア
上記実施例7(b)の(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロ
ベンゾフラン−3−イル)ヒドロキシルアミン(10.0kg,38.9モル)、
DMF(50.0L)、および酢酸(3.34L)からなる5℃に冷却された撹拌
されている溶液に、水(9.0L)中シアン化カリウム(4.73kg,58.3モ
ル)の冷溶液(0℃)を一度に添加した。内部温度が10℃を超えないような速
度でこの冷溶液を添加した。得られた懸濁液を室温で30分撹拌した。水(21
3L)を添加し、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。遠心分離により生成物を
集め、湿ケークを水(425L)、次いでエタノール(40L)で洗浄した。4
5〜50℃で生成物を減圧乾燥して粗生成物(11.4kg,97%)をうすく灰
色がかった白色固体として得た。粗生成物(11.0kg)をDMF/TBME
(110L/233L)から再結晶し、TBME(89L)で洗浄して、
45〜50℃で減圧乾燥した後、所望化合物(9.1kg,83%)を白色固体と
して得た。キラルHPLCによれば生成物は99%e.e.以上の純度であると決
定された。
実施例8(R,S)−N−[6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−2,3−ジヒド ロベンゾフラニル]−N−ヒドロキシルアミン
a)6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ ベンゾフラン
DMF(600mL)中の6−ヒドロキシ−3−オキソ−2,3−ジヒドロベ
ンゾフラン(100g,0.67モル)の撹拌されている溶液に、炭酸カリウム(
185g,1.3モル)を添加した。室温で5分撹拌した後、DMF(100mL
)中のブロモ−2,6−ジフルオロトルエン(171.8g,0.83モル)の溶液
を添加し、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を水(2.5L)中
に注ぎ、30分撹拌し、濾過により生成物を集めた。粗固体を水(4L)、次い
で無水エタノール(500mL)で洗浄し、減圧乾燥して所望生成物(185g
,99%)を得、さらに精製せずに使用した。融点134〜138℃;300
;6.67〜6.70(m,2H);6.91〜6.99(m,2H);7.31〜7.
41(m,1H);7.56(d,1H)。
b)6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−3−オキシミノ−2,3−ジヒ ドロベンゾフラン
6−(ジフルオロベンジルオキソ)−3−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾフ
ラン(185g,0.67モル)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(95.5g,1.3
8モル)、酢酸ナトリウム(109.9g,1.34モル)およびタノール(1.4
L)ららなる撹拌されている混合物を3時間加熱還流した。混合物を水(2.4
L)中に注ぎ、フラスコを水(1L)で濯いだ。濾過によりオレンジ色固体を集
め、ヘキサン(2L)で洗浄し、55℃で減圧乾燥して所望生成物をオレンジ色
固体(188.4g,96%)として得、さらに精製せずに使用した。融
アンチ異性体の混合物)d5.02(s,0.5H);5.12(s,2H);5.2
0(s,1.5H);6.50〜6.68(m,2H);6.89〜7.00(m,2H
);7.28〜7.41(m,1H);7.48(d,0.75H);7.50〜7.7
0(br,s,1H);8.17(d,0.25)。
c)(R,S)−N−[6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−2,3−ジ ヒドロベンゾフラニル]−N−ヒドロキシルアミン
5℃に冷却されたメタノール(1.8L)およびジクロロメタン(1.8L)中
の6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−3−オキシミノ−2,3−ジヒド
ロベンゾフラン(161.0g,0.55モル)の撹拌されている混合物に、ピリ
ジン−ボラン複合体(286g,3.1モル)を添加した。内部温度が10℃を超
えないような速度で6N HCl溶液(540mL)を添加し、得られた溶液を
周囲温度で18時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、次いで、tert−ブチルメチル
エーテル(560mL)、そして3N HCl(560mL)を添加した。反応
混合物を室温で2時間撹拌し、粗固体を濾過により集め、水(500mL)で洗
浄した。湿ケークを水(310mL)中に懸濁し、50%NaOH(40mL)
でpHを6.5に合わせた。混合物を周囲温度で一晩撹拌した。濃NH4OHでp
Hを9.5に合わせ、1時間撹拌し、濾過により生成物を集め、水(500mL
)で洗浄し。55℃で減圧乾燥してうすく灰色がかった白色固体(146.2g,
90%)を得、さらに精製せずに使用した。融点146〜150
2H);4.49〜4,54(m,1H);5.04(s,2H);6.04(br,
s,1H);6.46〜6.49(m,2H);7.11〜7.19(m,2H);7.
24(d,1H);7.45〜7.53(m,2H)。
実施例9(S)−(+)−N−3−[6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−2,3 −ジヒドロベンゾフラニル]−N−ヒドロキシウレア
a)(S)−N−[6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−2,3−ジヒド ロベンゾフラニル]−ヒドロキシルアミン,(S)−(+)−マンデリン酸塩
酢酸エチル(1.87L)中の上記実施例6の(R,S)−N−[6−(2,6
−ジフルオロベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ−フラニル]−N−ヒ
ドロキシルアミン(93.7g,0.32モル)およびS−(+)−メンデリン酸
(48.8g,0.32モル)からなる撹拌されている懸濁液を加熱還流してほと
んど透明な溶液とした。溶液をブフナー漏斗で濾過し(粒子状物質を除去するた
めに)、室温で撹拌しながら1時間かけて放冷して結晶化させた。懸濁液を周囲
温度で2時間撹拌し、濾過により固体を集め、酢酸エチル(100mL)で洗浄
し、40℃で減圧乾燥して50.6gの白色固体を得た。キラルHPLCにより
、5:1のジアステレオマー比であることが示された。(S)−N−[6−(2
,6−ジフルオロベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロベンゾフラニル]−ヒドロ
キシルアミン,(S)−(+)−マンデリン酸塩(60.9g,0.137モル)を
EtOAc(1.85L)に懸濁し、加熱還流し、濾過し、濾液を撹拌しながら
徐々に周囲温度まで放冷した。次いで、混合物を冷却し、15℃で1時間撹拌し
た。生成物を濾過により集め、酢酸エチルで洗浄し、減圧乾燥して41.4gの
白色固体を得た。生成物は、キラルHPLCによれば、99%e.e.以上の純度
であった。融点140〜145℃;[α]D=+161.57°(c 1.08,
4.46(m,2H);4.47〜4.54(m,1H);5.00(s,1H);5.
04(s,2H);6.46〜6.49(m,2H);7.11〜7.19(m,2H
);7.23〜7.42(コンプレックス m,6H);7.45〜7.55(m,2
H)。
b)(S)−N−[6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−2,3−ジヒド ロベンゾフラニル]−ヒドロキシルアミン
水(425mL)および酢酸エチル(1.0L)中の上記実施例9(a)の(
S)−N−[6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−2,3−ジヒドロベン
ゾ−フラニル]−ヒドロキシルアミン,(S)−(+)−マンデリン酸塩(45.
4g,0.10モル)の撹拌されている懸濁液に、pHが約9.5になるま
で濃NH4OH(約15mL)を添加した。溶液を15分撹拌し、層分離させた
。水層を酢酸エチル(2x210mL)で洗浄し、有機層を合わせ、H2O(2
x425mL)で洗浄した。層分離させ、固体が出現し始めるまで酢酸エチルを
減圧蒸留した。ヘキサン(850mL)を添加し、温度を5℃で低下させ、1時
間撹拌した。遠心分離により生成物を集め、ヘキサン(90L)で洗浄し、減圧
乾燥して白色固体(27.7g,93%)を得、これをさらに精製せずに使用した
。生成物は、キラルHPLCにより、99%e.e.以上の純度であった。融点1
18〜120℃;[α]D=+20.89°(c 1.45,MeOH);300
4.47〜4.51(m,1H);5.04(s,2H);5.91(s,1H);6.
46〜6.49(m,2H);7.11〜7.20(m,2H);7.24(d,1H
);7.45〜7.55(m,2H)。
c)(S)−(+)−N−3−[6−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)− 2,3−ジヒドロベンゾフラニル]−N−ヒドロキシウレア
上記実施例9(b)の(S)−N−[6−(2,6−ジフルオロベンジルオキ
シ)−2,3−ジヒドロベンゾフラニル]−ヒドロキシルアミン(27.7g,0.
094モル)、DMF(123mL)、および酢酸(8.2mL)からなる5℃
に冷却された撹拌されている溶液に、水(21mL)中シアン化カリウム(11
.6g,0.143モル)の溶液を一度に添加した。得られた懸濁液を室温で30
分撹拌した。水(480mL)を添加し、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。
遠心分離により生成物を集め、湿ケークを水(500mL)中にスラリー化した
。50℃で生成物を減圧乾燥して粗生成物(29.5g,92%)をうすく灰色が
かった白色固体として得た。該物質をDMF/TBME/H2O(150mL/
500mL/500mL)から再結晶し、次いて、ヘキサン(500mL)でス
ラリー化して所望生成物(25.6g,80%)を、乾燥後白色固体として得た。
キラルHPLCによれば生成物は99%e.e.以上の純度であると決定された。
[α]D=+77.79°(c 1.18,MeOH);
;4.56(t,1H);5.04(s,2H);5.76〜5.81(m,1H);
6.48〜6.51(m,4H);7.07(d,1H);7.12〜7.20(m,2
H);7.46〜7.56(m,1H);9.12(s,1H);質量スペクトル
CI/CH4 m/e 337(M+H+)。元素分析 C16H14F2N2O4とし
て計算値:C,57.15;H,4.20;F,11.30;N,8.33、実測値:C
,57.33;H,4.12;F,10.98;N,8.27。
実施例10(R,S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イ ル)−ヒドロキシルアミン
a)6−ヒドロキシ−3−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾフラン
レゾルシノール(16.0kg,145モル)、クロロアセトニトリル(13.
2kg,175モル)および酢酸エチル(193kg,214L)からなる窒素下
で撹拌されている溶液に、塩化亜鉛(11.0kg,80.8モル)を添加し、混
合物を5℃に冷却した。内部温度が30℃を超えないような速度で塩化水素ガス
(31.2kg,855モル)を吹き込んだ。粘稠なスラリーをさらに2時間撹拌
し、減圧蒸留により溶媒を除去した。水(80L)を添加し、残ったEtOAc
を減圧蒸留により除去した。混合物を60まで加熱し、1時間撹拌した。温度を
20まで冷却し、次いで、t−ブチルメチルエーテル(146L,113kg)
を添加し、混合物を15分撹拌した。水層を分離し、有機層を水(50L)で洗
浄した。層分離させ、減圧蒸留により有機層を除去した。95%エタノール(5
0L)を添加し、すべてのt−ブチルメチルエーテルが除去されるまで蒸留を継
続した。次いで、95%エタノール(220L)を添加し、次いで、酢酸ナトリ
ウム(21.8kg,266モル)を添加し、混合物を1時間加熱還流した。さら
に酢酸ナトリウム(3.54kg,43.2モル)を添加し、混合物をさらに1時
間還流した。混合物を5℃まで冷却し、遠心分離により固体を集めた。これを9
5%エタノール(51L)、水(800L)、95%エタノール(29L)次い
で、ヘキサン(30L)で洗浄した。得られた物質を減圧下、40℃で乾燥して
所望生成物(16.5kg,75%)を得、これをさらに精製せ
ずに使用した。b)6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−ベンゾフラン
DMF(192L)中の実施例10(a)の6−ヒドロキシ−3−オキソ−2
,3−ジヒドロベンゾフランの撹拌されている溶液に、炭酸カリウム(31.0k
g,224モル)を添加した。室温で5分間撹拌した後、臭化ベンジル(45.2
kg,264モル)を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を
水(651L)中に注ぎ、30分撹拌し、遠心分離により生成物を集めた。粗固
体を水(580L)そして80%エタノール(100L)で洗浄し、次いで、減
圧乾燥して所望生成物(49.1kg,95%)を得、これをさらに精製せずに使
用した。c)6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−オキシム
上記実施例10(b)の6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロ−3−オキソ
−ベンゾフラン(24kg,99.9モル)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(15.
0kg,216モル)、酢酸ナトリウム(24.6kg,300モル)およびエタ
ノール(216L)からなる撹拌されている混合物を2時間加熱還流した。混合
物を水(534L)中に注ぎ、容器を95%エタノール(20L)で濯ぎ、これ
を水性混合物に添加して1時間撹拌した。遠心分離により固体を集め、水(67
0L)そして95%エタノール(80L)で洗浄し、減圧下、55℃で簡素して
所望生成物をオレンジ色固体(24.3kg,95%)として得て、これをさらに
精製せずに使用した。d)(R,S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3 −イル)−ヒドロキシルアミン
メタノール(200L)およびジクロロメタン(200L)中の上記実施例1
0(c)の6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−オキシム
(16.0kg,62.7モル)の5℃に冷却された撹拌されている混合物に、ピ
リジン−ボラン複合体(32.1kg,345モル)を添加した。内部温度が10
℃を超えない速度で6N HCl溶液(60.0L,360モル)を添加し、得ら
れた溶液を室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、次いで、tert−ブ
チルメチルエーテル(50kg)、次いで、3N HCl(64L,192モル
)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、粗固体を遠心分離により集め
、水(50L)で洗浄した。湿ケークを水(192L)中に懸濁し、50%Na
OH(4.0L)でpHを6.5〜7.0に合わせた。混合物を室温で一晩撹拌し
た。濃NH4OH(2.8kg)でpHを9.5に合わせ、30分撹拌し、生成物を
遠心分離により集め、水(230L)そしてエタノール(80L)で洗浄し、減
圧下、55℃で乾燥してわずかに灰色がかった白色固体(14.2kg,88%)
を得て、これをさらに精製せずに使用した。
実施例11(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル )−N−ヒドロキシウレア
(a)(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3 −イル)ヒドロキシルアミン,(S)−(+)−マンデリン酸塩
メタノール(460L)中の(R,S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−
ジヒドロベンゾ−フラン−3−イル)−ヒドロキシルアミン(14.0kg,54
.4モル)の撹拌されている還流中の懸濁液に、メタノール(30L)中のS−
(+)−マンデリン酸(8.29kg,54.5モル)の溶液を添加した。得られ
た透明溶液を30分還流し、撹拌しながら1.5時間かけて38〜40℃まで放
冷した。反応混合物が39℃まで冷えた時点で、(S)−N−(6−ベンジルオ
キシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)ヒドロキシルアミン,(S)−
(+)−マンデリン酸塩(4g)で種を作り、温度を34〜36℃で30分保っ
た。次いで、懸濁液を20〜25℃まで1時間かけて冷却し、この温度において
4時間撹拌した。遠心分離により固体を集め、酢酸エチル(35L)で洗浄し、
45〜50℃において減圧乾燥して白色固体(7.70kg,34%)を得、これ
をさらに精製せずに使用した。キラルHPLC分析により、所望(S)−エナン
チオマーが99.4%の純度であることが示された。
b)(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3− イル)ヒドロキシルアミン
水(174L)および酢酸エチル(465L)中の(S)−N−(6−ベンジ
ルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル)ヒドロキシルアミン,(S
)−(+)−マンデリン酸塩(18.0kg,44.0モル)の撹拌されている懸
濁液に、pHが約9.5になるまで濃NH4OH(約4.4L)を添加した。溶液
を15分撹拌し、層分離させた。水層を酢酸エチル(2x100L)で洗浄し、
有機層を合わせ、H2O(3x175L)で洗浄した。層分離させ、固体が出現
し始めるまで酢酸エチルを減圧蒸留した。ヘキサン(300L)を添加し、温度
を5℃まで低下させ、1時間撹拌した。遠心分離により生成物を集め、ヘキサン
(90L)で洗浄し、減圧乾燥して白色固体(10.2kg,90%)を得、これ
をさらに精製せずに使用した。生成物は、キラルHPLCにより、99%e.e.
以上の純度であった。
c)(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3− イル)−N−ヒドロキシウレア
(S)−N−(6−ベンジルオキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イ
ル)ヒドロキシルアミン(10.0kg,38.9モル)、DMF(50.0L)、
および酢酸(3.34L)からなる5℃に冷却された撹拌されている溶液に、水
(9.0L)中シアン化カリウム(4.73kg,58.3モル)の冷溶液(0℃)
を一度に添加した。内部温度が10℃を超えないような速度でこの冷溶液を添加
した。得られた懸濁液を室温で30分撹拌した。水(213L)を添加し、混合
物を周囲温度で1時間撹拌した。遠心分離により生成物を集め、湿ケークを水(
425L)、次いでエタノール(40L)で洗浄した。45〜50℃で生成物を
減圧乾燥して粗生成物(11.4kg,97%)をうすく灰色がかった白色固体と
して得た。粗生成物(11.0kg)をDMF/TBME(110L/233L
)から再結晶し、TBME(89L)で洗浄して、45〜50℃で減圧乾燥した
後、所望化合物(9.1kg,83%)を白色固体として得た。キラルHPLCに
よれば生成物は99%e.e.以上の純度であると決定された。
上記説明は、好ましい具体例を含めて本発明を十分に開示する。本明細書に特
別に開示された具体例の改変および改良は、以下の請求の範囲の範囲内である。
さらなる努力をせずに、当業者は、上記説明を用いて本発明を最大限に利用する
ことができると確信する。それゆえ、本明細書中の実施例は単に説明のためのも
のであって、何ら本発明の範囲を限定するものではない。排他的な権利または特
権が請求されている本発明の具体例は以下のごとく定義される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,HU,JP,KP,KR,KZ,L
K,MG,MN,MW,NO,NZ,PL,RO,RU
,SD,SI,SK,UA,US,VN
(72)発明者 ロス,スティーブン・トレイ
アメリカ合衆国ペンシルベニア州19312、
バーウィン、オールド・ステート・ロード
718番