JPH09498U - 拡開式アンカーボルト具 - Google Patents

拡開式アンカーボルト具

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな必要エネルギーで植設でき、引裂かれ
るけん引領域に固定するのに適した後拡開作用を示す拡
開式アンカーボルト具を提供する。 【解決手段】 アンカーボルト１の拡大部１ｅを凹面彎
曲部として形成し、拡開スリーブ２の外壁に植設方向と
は反対の側に前記周囲に延在する切込歯２ｄに連続して
別の切込歯２ｅ、２ｆを配置し、すべての切込歯２ｄ、
２ｅ、２ｆが実質的にのこ歯形の前記外壁に露出した形
状をもち、切込歯を形成するくびれ部の径方向深さｔは
植設方向とは反対の側へ行くにつれて小さくなる。

Description

【考案の詳細な説明】
【０００１】
【考案の属する技術分野】
本考案は、アンカーボルトをもち、このアンカーボルトの円柱形シャフトに拡 大部が植設方向に接続しており、シャフトは拡大部とは反対の端に荷重支持用の 掛合手段をもち、アンカーボルトは相対的に移動自在の、植設方向の側の端から 少なくとも部分的に長手方向スリットを切られた拡開スリーブによって包囲され 、拡開スリーブの内径はシャフトの外径に一致し、拡開スリーブは植設方向の前 端に周囲に延在する切込歯をもつ如き拡開式アンカーボルト具に関するものであ る。
【０００２】
【従来の技術】
ドイツ国公開公報 (DE-OS) 3146027号から既知の上記種類の拡開式アンカーボ ルト具は、拡開スリーブが穴底に当たっているアンカーボルトの拡大部上へ打込 まれて径方向へ拡大して碇着される。拡開スリーブ前端にある切込歯が受入れ材 料にアンダーカットを作る。アンカーボルトにけん引荷重が加わると、拡開式ス リーブに後拡開が生じる。アンカーボルト拡大部は比較的平たい円錐形をなすた め、この拡開式アンカーボルト具では拡開力が極めて大きくなる。この拡開力が 受入れ材料に破砕作用を及ぼす。それ故上記既知の拡開式アンカーボルト具は建 造物の引裂かれるけん引領域に固定するためにのみ適している。更に拡開スリー ブの打込みに要するエネルギーは切込歯が１個であるため比較的大きくなる。
【０００３】
【考案が解決しようとする課題】
本考案の目的は小さな必要エネルギーで植設でき、引裂かれるけん引領域に固 定するのに適した後拡開作用を示す拡開式アンカーボルト具を提供することにあ る。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本考案により、アンカーボルトの拡大部を凹面彎曲部として形成し 、拡開スリーブの外壁に植設方向とは反対の側に前記周囲に延在する切込歯に連 続して別の切込歯を配置し、すべての切込歯が実質的にのこ歯形の前記外壁に露 出した形状をもち、切込歯を形成するくびれ部の径方向深さは植設方向とは反対 の側へ行くにつれて小さくなるよう構成することによって達成される。
【０００５】 拡大部の凹面彎曲部は植設方向に行くにつれて次第に勾配を増す。それ故拡開 スリーブの打込みの際の抵抗は拡開過程の始めは小さく、その後次第に大きくな る。このアンカーボルト具の後拡開作用に際してはこの後拡開作用は最初の後拡 開の後拡大が次第に大きくなる結果最後には止む。
【０００６】 数個の切込歯を設ければ、ブローチの原理に従って穴壁で切除する受入れ材料 を個々の切込歯上に分散させる結果となる。この分散によって切込歯の過負荷は 避けられる。切込歯ののこ歯形状は特に急傾斜の歯側が植設方向を、緩傾斜の歯 側が植設方向とは反対の方向を向くように形成する。
【０００７】 穴壁の受入れ材料を切除するときに生じる力を適当に分散させるために好適に は全部で３個の切込歯を設ける。３個の切込歯はお互に軸線方向にほぼ等間隔を おいて配列し、植設時に各切込歯が穴壁の受入れ材料をほぼ同量づつ切除するよ うになす。
【０００８】 植設過程において、これらの切込歯が穴壁の受入れ材料中に打込まれる深さは 種々に異なる。切込歯によって切除された受入れ材料は切込歯の間にある隙間を 充たす。切込歯を形成するくびれ部の半径方向深さは好適には植設方向とは反対 の側へ行くにつれて小さくする。それ故くびれ部を形成する隙間は植設方向とは 反対の側へ行くにつれて小さくなる。このため前記隙間は切込歯によって切除さ れた受入れ材料によって確実に充たされ、この隙間の領域に抜取り値を高める追 加のくさび締め作用が確実に生じる。
【０００９】 凹面彎曲部は好適には或る半径の彎曲面によって形成する。或る半径によって 作るこの凹面彎曲部は簡単に作ることができ、拡開スリーブが乗上げるのに好適 な彎曲面が出来る。
【００１０】 前記半径は好適にはアンカーボルトの最大直径にほぼ一致する。この範囲内の 半径の彎曲面は植設過程において拡開スリーブを適切に拡開せしめる。更に、ア ンカーボルトの最大直径にほぼ一致する半径は切欠き効果が生じるのを防止する 。
【００１１】 植設過程において拡開スリーズは拡開領域に比較的強い変形を起こす。この変 形を容易にするため、拡開スリーブは植設方向とは反対の側で切込歯に隣接した 領域に断面縮小部を設けるのが好適である。この断面縮小部を設けることによっ て、拡開スリーブの長手方向スリットにより形成される垂下がり部片は大きな力 を使わずにアンカーボルトの拡大部に乗上げたとき外方へ曲がることができる。 断面縮小部はこの拡開式アンカーボルト具に荷重が加わったとき圧迫されるに過 ぎないので、断面縮小部はアンカーボルト具の碇着値に悪影響を与えない。
【００１２】 断面縮小部は好適には拡開スリーブの外側に配置した環状みぞによって形成す る。この環状みぞは比較的簡単に作れる。この環状みぞは拡開スリーブの長手方 向スリットによって形成した部分が外方へ彎曲したとき少なくとも部分的に閉じ るので、環状みぞが拡開スリーブと穴壁との接触面を小さくすることは実際上な い。
【００１３】 他の好適実施例によれば、断面縮小部は拡開スリーブの内側に配置した環状み ぞにより形成する。この内側に配置した環状みぞは拡開スリーブと穴壁との接触 面を小さくすることは全くない。 本考案を図示の実施例につき詳述する。
【００１４】
【考案実施の形態】
第１〜４図はアンカーボルト１と、これを包囲して相対的に移動自在の拡開ス リーブ２からなる拡開式アンカーボルト具を示す。アンカーボルト１は植設方向 に見て前端1aと後端1bをもつ。アンカーボルト１の中間領域は円柱形シャフト1c として形成する。シャフト1cの後端領域は荷重を受けるための掛合手段としてね じ山1dをもつ。円柱形シャフト1cには植設方向に拡大部1eが接続する。この拡大 部1eは凹状彎曲形状に作られる。彎曲形状の半径Ｒはほぼアンカーボルト１の最 大直径Ｄに一致する。拡大部1eの凹状彎曲形状は前端1aに向うにつれて勾配を大 きくして拡張する。
【００１５】 拡開スリーブ２は穴2aをもち、この穴の内径はシャフト1cの外径にほぼ一致す る。拡開スリーブは径方向の拡開に役立つ長手方向スリット2bをもつ。植設方向 の前端2cに拡開スリーブ２は周囲に延在する切込歯2dをもつ。植設方向とは反対 の側で拡大スリーブ２の外壁に別の２個の切込歯2e, 2fを配置する。切込歯2d, 2e, 2fは実質的にのこ歯形状の外壁に露出した形状をもち、その急傾斜の歯側は 前端2cの方を向き、緩傾斜の歯側は植設方向とは反対の側を向く。植設方向とは 反対の側で切込歯2d, 2e, 2fに隣接した領域に拡開スリーブ２は環状みぞ2gによ り形成した断面縮小部をもつ。この断面縮小部により植設過程において拡開スリ ーブが十分に変形できる。拡開スリーブ２は後方領域に１個以上のくぼみ2hをも つ。このくぼみはその内側にねじ山1dに噛込む突起を作り、拡開スリーブ２をア ンカーボルト１上で軸線方向に不動ならしめる。
【００１６】 第２図に示すように、切込歯2d, 2e, 2fを形成するくびれ部の径方向深さｔは 植設方向とは反対の方に行くにつれて次第に小さくなる。この深さが小さくなる ことによって、切込歯2d, 2e, 2f間の隙間が切込歯によって切除された受入れ材 料を充てんされそしてアンカーボルトにけん引荷重が加わったときこの受入れ材 料をくさび締めする。
【００１７】 第３図に示すように、拡開式アンカーボルト具は受入れ材料３の穴3aに挿入さ れる。アンカーボルト１の前端1aが穴底に当てられる。拡開スリーブ２は管形の 植設工具４によってアンカーボルト１の拡大部1e上に打込まれる。このためくぼ み2hによって拡開スリーブ２の内側に形成された突起はせん断される。切込歯2d , 2e, 2fは穴3aの壁に噛込み、受入れ材料３の一部を除去する。それ故拡開スリ ーブ２と受入れ材料３は確実に結合する。拡開スリーブ２の外側に設けた環状み ぞ2gと長手方向スリット2bは拡開スリーブ２の径方向の拡大を容易にする。
【００１８】 第４図に示すように、固定すべき構造部材５がアンカーボルト１のねじ山1d上 に差込まれ、座金６とねじ山1bに螺着したナット７によって固定される。穴3aの 領域の受入れ材料３に割れ目3cがある。この割れ目3cが開くとアンカーボルト１ は受入れ材料３中に確実に碇着された拡開スリーブ２内へ引入れられることがで きる。拡大部1eの前端1aの勾配が極めて強ければこの拡開式アンカーボルト具に よる割れ目3cの拡開作用は小さくなる。最初の後拡開の後にこの拡開作用は結局 止まる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本考案の拡開式アンカーボルト具を非拡開状態
で示す図である。
【図２】第１図の拡開式アンカーボルト具の部分拡大断
面図である。
【図３】拡開スリーブを打込んだ後の第１図の拡開式ア
ンカーボルト具を示す図である。
【図４】第１図乃至第３図の拡開式アンカーボルト具の
碇着完了状態を示す図である。
【符号の説明】
１ アンカーボルト １ａ 前端 １ｂ 後端 １ｃ 円柱形シャフト １ｄ ねじ山 １ｅ 拡大部 ２ 拡開スリーブ ２ａ 穴 ２ｂ 長手方向スリット ２ｃ 前端 ２ｄ、２ｅ、２ｆ 切込歯 ２ｇ 環状みぞ ２ｈ くぼみ ３ 受入れ材料 ３ａ 穴 ３ｃ 割れ目 ４ 植設工具 ５ 構造部材 ６ 座金 ７ ナット

Claims (7)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項１】 アンカーボルト(1) をもち、このアンカ
    ーボルトの円柱形シャフト(1c)に拡大部(1e)が植設方向
    に接続しており、シャフト(1c)は拡大部とは反対の端に
    荷重支持用の掛合手段 (1d)をもち、アンカーボルト
    (1) は相対的に移動自在の、植設方向の側の端から少な
    くとも部分的に長手方向スリットを切られた拡開スリー
    ブ(2) によって包囲され、拡開スリーブの内径はシャフ
    ト(1c)の外径に一致し、拡開スリーブ(2) は植設方向の
    前端(2c)に周囲に延在する切込歯(2d)をもつ如き拡開式
    アンカーボルト具において、アンカーボルト(1) の拡大
    部(1e)を凹面彎曲部として形成し、拡開スリーブ(2) の
    外壁に植設方向とは反対の側に前記周囲に延在する切込
    歯(2d)に連続して別の切込歯(2e, 2f)を配置し、すべて
    の切込歯(2d, 2e, 2f)が実質的にのこ歯形の前記外壁に
    露出した形状をもち、切込歯を形成するくびれ部の径方
    向深さ (t) は植設方向とは反対の側へ行くにつれて小
    さくなることを特徴とする拡開式アンカーボルト具。
  2. 【請求項２】 全部が３個の切込歯(2d, 2e, 2f)をもつ
    ことを特徴とする、請求項１記載の拡開式アンカーボル
    ト具。
  3. 【請求項３】 凹面彎曲部は半径(R) により形成される
    ことを特徴とする、請求項１又は２に記載の拡開式アン
    カーボルト具。
  4. 【請求項４】 半径(R) はアンカーボルト(1) の最大直
    径(D) にほぼ一致することを特徴とする、請求項３記載
    の拡開式アンカーボルト具。
  5. 【請求項５】 拡開スリーブ(2) は植設方向とは反対の
    側で切込歯(2d, 2e,2f)に隣接した領域に断面縮小部を
    もつことを特徴とする、請求項１から４の何れか１項に
    記載の拡開式アンカーボルト具。
  6. 【請求項６】 断面縮小部は拡開スリーブ(2) の外側に
    ある環状みぞ(2g)により形成したことを特徴とする、請
    求項５記載の拡開式アンカーボルト具。
  7. 【請求項７】 断面縮小部は拡開スリーブの内側にある
    環状みぞにより形成したことを特徴とする、請求項５又
    は６項記載の拡開式アンカーボルト具。
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