JPH0947074A - 同期型3相acサーボモータの電気角検出装置 - Google Patents

同期型3相acサーボモータの電気角検出装置

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JPH0947074A
JPH0947074A JP7195521A JP19552195A JPH0947074A JP H0947074 A JPH0947074 A JP H0947074A JP 7195521 A JP7195521 A JP 7195521A JP 19552195 A JP19552195 A JP 19552195A JP H0947074 A JPH0947074 A JP H0947074A
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phase
rotor
energizing
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JP7195521A
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Yoshiyuki Okano
義之 岡野
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Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 U,V,W相信号を用いず、摩擦力に影響さ
れることなく、同期型3相ACサーボモータの電気角を
短時間で高精度に初期設定できるようにする。 【解決手段】 電気角θを初期設定するに当たって、全
相巻線に対して、まずロータの静摩擦力よりも大きなト
ルクを発生可能な電流I1 を基準として、互いに120
度異なる電気角θ1 ,θ2 ,θ3 に対応した3種類の電
流I1 を所定時間毎に正・負に反転させながら順次通電
し(S110)、次に、ロータの静摩擦力よりも小さく
動摩擦力よりも大きなトルクを発生可能な電流I2 を基
準として、同じ通電パターンにて2回通電を行ない(S
120,S130)、その2回目の通電時のモータの回
転方向から、電気角θを初期設定する。この結果、ロー
タに加わる静摩擦力が大きくても、ロータを確実に回転
させて、電気角θを速やかに、且つ高精度に設定でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクリメンタル
型エンコーダを用いて同期型3相ACサーボモータを駆
動するのに必要な電気角を初期設定する電気角検出装置
に関し、特に、ロボット,NC工作機等に使用される同
期型3相ACサーボモータの電気角を初期設定するのに
好適な電気角検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、回転位置検出器としてインクリメ
ンタル型エンコーダ(以下単にエンコーダともいう)を
備えた同期型3相ACサーボモータ(以下単にモータと
もいう)では、エンコーダからロータの所定の回転角度
毎に出力される回転信号に基づき電気角を更新しながら
各相巻線に流す目標電流を制御するため、モータの駆動
開始前(換言すればコントローラの電源投入時)に、モ
ータの電気角を初期設定するようにしている。
【0003】そして、この電気角の初期設定は、通常、
エンコーダからモータ各相(U,V,W相)の180度
毎の位置を示すU,V,W相信号を出力させ、これら各
相信号に基づき概略の電気角を設定し、更に、この設定
した電気角をエンコーダからの回転信号(回転方向を検
出できるように所定の位相差を有するA相,B相信号が
出力される)に基づき更新しながらモータを回転させ、
エンコーダからロータの1回転に1回出力される基準位
置信号(C相信号)を検出したときに、電気角を基準位
置信号に対応した正確な電気角に変更する、といった手
順で行われる。
【0004】しかし、電気角をこのように設定するに
は、エンコーダからU,V,W相信号を出力させる必要
があるため、エンコーダの構成が複雑になるとか、エン
コーダとコントローラとの間の信号線が多くなるため、
例えば、同期型3相ACサーボモータをロボット等のア
クチュエータとして用いるために、その信号線をロボッ
ト等のアーム内に配線したような場合には、信号線の断
線等の危険性が増すという問題があった。
【0005】これに対し、近年では、U,V,W相信号
を用いることなく、モータの電気角を設定することが提
案されている。即ち、特開平2−241388号公報に
開示されているように、ステータの回転磁界とロータの
永久磁石極との間の位相角を変化させながら、トルクが
零となる位置を検出し、その位置から電気角を90度シ
フトさせた位置を最大トルクの得られる転流角指令とし
て初期設定するとか、或いは特開平6−153576号
公報に開示されているように、任意の磁極位置角に対応
した電圧を印加して、そのときのモータの回転方向から
磁極位置角を補正し、これを繰り返すことにより、モー
タの回転方向をそろえ、更に磁極位置角を補正しながら
モータを駆動することにより電流が最小となる磁極位置
角を検出し、これを磁極位置角として初期設定する、と
いったことが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記前者の手
法では、1回転内の位置を検出するのにモータを最大電
気角にて最大90度動作させなければならず、またトル
ク零の位置を検出するために、モータに電流を流してか
ら速度0の位置を検出するため、転流角指令(延いては
電気角)の検出に時間がかかるといった問題がある。
【0007】また、上記後者の手法でも、モータの回転
方向或いは電流を検出しながら磁極位置角を繰り返し補
正し、電流が最小となる磁極位置角(延いては電気角)
を検出するものであるため、その検出に時間がかかると
いった問題がある。また、この場合、モータへの電圧印
加によってモータを回転させ、その回転方向から磁極位
置を検出するため、モータの出力軸に組み付けられた機
構(つまりモータ負荷)からロータに加わる静摩擦力が
大きい場合には、電圧印加によってモータが回転しない
こともあり、検出の精度が落ちるといったこともある。
【0008】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
ので、U,V,W相信号を用いることなく、しかもロー
タに加わる摩擦力に影響されることなく、モータの電気
角を短時間で、且つ高精度に初期設定できる、同期型3
相ACサーボモータの電気角検出装置を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の発明は、ロータの所定回
転角度毎に回転方向を検出可能な所定の位相差を有する
2種類の回転信号を発生する回転位置検出手段を備え、
該回転位置検出手段からの回転信号に基づき同期型3相
ACサーボモータを駆動するのに必要な電気角を初期設
定する、同期型3相ACサーボモータの電気角検出装置
であって、前記モータの全相巻線に対して、前記ロータ
の静摩擦力よりも大きなトルクを発生可能で、互いに1
20度異なる電気角に対応した3種類の電流を、所定時
間毎に正・負に反転させながら順次通電する第1通電手
段と、該第1通電手段による一連の通電動作が終了する
と、前記全相巻線に対して、前記ロータの静摩擦力より
も小さく動摩擦力よりも大きなトルクを発生可能で、互
いに120度異なる電気角に対応した3種類の電流を、
所定時間毎に正・負に反転させながら順次通電する第2
通電手段と、該第2通電手段が前記各電気角に対応した
正又は負の電流を通電する度に、前記回転位置検出手段
からの回転信号に基づき前記ロータの回転方向を検出
し、該検出結果に基づき電気角を初期設定する電気角設
定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】このように構成された請求項1に記載の電
気角検出装置においては、まず、第1通電手段が、モー
タの全相巻線に対して、ロータの静摩擦力よりも大きな
トルクを発生可能で、互いに120度異なる電気角に対
応した3種類の電流を、所定時間毎に正・負に反転させ
ながら順次通電し、その後、第2通電手段が、モータの
全相巻線に対して、ロータの静摩擦力よりも小さく動摩
擦力よりも大きなトルクを発生可能で、互いに120度
異なる電気角に対応した3種類の電流を、所定時間毎に
正・負に反転させながら順次通電する。
【0011】即ち、第1及び第2通電手段は、電流の大
きさは異なるものの、例えば、 電気角0度に対応した電流を流して、モータを回転
させ、 その通電方向を反転させることにより、モータの回
転位置を元に戻し、 電気角120度に対応した電流を流して、モータを
回転させ、 その通電方向を反転させることにより、モータの回
転位置を元に戻し、 電気角240度に対応した電流を流して、モータを
回転させ、 その通電方向を反転させることにより、モータの回
転位置を元に戻す、 といった手順で、モータ各相巻線への通電パターンを合
計6回変化させながらモータを駆動する、一連の通電動
作を実行する。
【0012】そして、第2通電手段が各電気角に対応し
た正又は負の電流を通電する度に、換言すれば前記
の通電動作時に、電気角設定手段が、回転位置検出手
段からの回転信号に基づきロータの回転方向を検出し
て、その検出結果に基づき電気角を初期設定する。
【0013】つまり、上記のようにモータ各相巻線を通
電した際、そのときの電気角の最適値(最大トルクが得
られる電気角)からの位相のずれが±90度(もしくは
その付近)であれば、トルクが発生せずに、回転位置は
変化せず、電気角の最適値からの位相のずれが±90度
よりも小さいときには、ロータは正(又は負)の方向に
回転し、電気角の最適値からの位相のずれが±90より
も大きいときには、ロータは負(又は正)の方向に回転
することから、電気角設定手段は、前記の通電動
作時に、ロータの回転方向を順次検出して、その検出結
果から、電気角の最適値を求めてこれを初期値として設
定するのである。
【0014】また、本発明では、上記各一連の動作を、
第1及び第2通電手段にて順次行い、第1通電手段で
は、ロータの静摩擦力よりも大きなトルクを発生可能な
電流を、第2通電手段では、ロータの静摩擦力よりも小
さく動摩擦力よりも大きなトルクを発生可能な電流を、
それぞれ、各相巻線への通電電流として設定するが、こ
れは、上記一連の通電動作〜を行いながらロータの
回転方向を検出する際、通電電流を大きくして、モータ
に大きな回転トルクを発生させると、ロータの動きが大
きく、位相が大きく変わってしまい、逆の電流を流して
も元の位置に戻らない等の現象が起こり、電気角を誤設
定しまうことがあり、かといってモータの回転トルクを
小さくするために通電電流を小さくすると、ロータを回
転させることができず、ロータの回転方向から電気角を
設定できなくなることがあるためである。
【0015】つまり、本発明では、第1通電手段におい
て、各相巻線への通電電流として、ロータの静摩擦力よ
りも大きなトルクを発生可能な電流を設定することによ
り、上記一連の通電動作〜によってロータを確実に
回転させる。そして、ロータが一旦回転すると、ロータ
に加わる摩擦力は静摩擦力よりも小さな動摩擦力(一般
に、静摩擦力は動摩擦力に比べて2〜10倍程度大き
い)となるため、第2通電手段では、各相巻線への通電
電流として、ロータの静摩擦力よりも小さく動摩擦力よ
りも大きなトルクを発生可能な電流を設定することによ
り、上記一連の通電動作〜によってロータを小さ
く、しかも確実に回転させて、電気角設定手段にてロー
タの回転方向を正確に検出できるようにしているのであ
る。
【0016】この結果、請求項1に記載の電気角検出装
置によれば、第1及び第2通電手段において上記一連の
通電動作〜を実行して、第2通電手段における通電
動作時にロータの回転方向を3回検出するだけで、電気
角を正確に初期設定することができ、その設定時間を短
くできるとともに、その設定精度を向上することができ
る。
【0017】なお、上記2種類の回転信号を発生する回
転位置検出手段としては、「従来の技術」の項にて説明
した、A相,B相信号を発生する従来より通常使用され
ているインクリメンタル型エンコーダを使用できる。次
に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の同
期型3相ACサーボモータの電気角検出装置において、
前記第2通電手段は、前記一連の通電動作を2回行い、
前記電気角設定手段は、該第2通電手段による2回目の
通電動作時に前記ロータの回転方向を検出して前記電気
角を初期設定することを特徴とする。
【0018】つまり、第1通電手段ではロータを静摩擦
力に打ち勝つ大きなトルクにて回転させるため、第1通
電手段による一連の通電動作が終了した後、第2通電手
段が通電動作を実行しても、ロータが大きく振動してい
ることも考えられ、このような場合には、第2通電手段
が一連の通電動作を実行しても、ロータの回転方向を正
確に検出できずに、電気角を誤設定してしまうおそれが
ある。
【0019】そこで本発明では、第2通電手段による一
連の通電動作を2回実行することにより、1回目の通電
動作でロータの振動を抑制し、2回目の通電動作の際
に、ロータの回転方向を検出して、電気角を設定するよ
うにしているのである。このため、請求項2に記載の電
気角検出装置によれば、請求項1に記載の装置に比べ、
電気角をより正確に設定することができるようになる。
【0020】また次に、請求項3に記載の発明は、請求
項1又は請求項2に記載の同期型3相ACサーボモータ
の電気角検出装置において、前記回転位置検出手段は、
前記回転信号に加えて、前記ロータの1回転に1回、所
定の電気角に対応した基準位置信号を発生し、更に、前
記電気角設定手段にて電気角が初期設定された後、該電
気角を前記回転位置検出手段からの回転信号にて更新し
ながら前記各相巻線に電気角に対応した電流を流し、前
記ロータを所定方向へ回転させるモータ駆動手段と、該
モータ駆動手段が前記ロータを回転させているとき、前
記回転位置検出手段から前記基準位置信号が出力される
と、該電気角を該基準位置信号に対応した電気角に再設
定する電気角再設定手段と、を備えたことを特徴とす
る。
【0021】即ち、この請求項3に記載の電気角検出装
置においては、電気角設定手段にて電気角が初期設定さ
れると、モータ駆動手段が、設定された電気角を回転位
置検出手段からの回転信号にて更新しながら各相巻線に
電気角に対応した電流を流して、ロータを所定方向へ回
転させ、このロータ回転時に、回転位置検出手段からロ
ータの1回転に1回の割で出力される基準位置信号が出
力されると、電気角再設定手段が、電気角を基準位置信
号に対応した電気角に再設定する。
【0022】これは、第2通電手段による一連の通電動
作時に検出したロータの回転方向から設定できる電気角
の分解能は30度であり、それ以上の分解能で電気角を
検出することはできないためである。つまり、本発明で
は、回転位置検出手段として、「従来の技術」の項にて
説明した、A相,B相信号に加えて基準位置信号である
C相信号を出力可能なインクリメンタル型エンコーダを
使用し、電気角設定手段にて一旦電気角を設定した後
は、その電気角を基準にロータを回転させて、回転位置
検出手段から基準位置信号を発生させ、その基準位置信
号にて電気角をより高精度に設定できるようにしている
のである。
【0023】この結果、請求項3に記載の電気角検出装
置によれば、請求項1又は請求項2に記載の装置に比べ
て、電気角をより一層正確に設定することが可能にな
る。次に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の
同期型3相ACサーボモータの電気角検出装置におい
て、前記電気角設定手段が電気角を初期設定した後、前
記電気角再設定手段にて電気角が再設定されるまでの
間、各相巻線に流れる電流を監視し、該電流が所定電流
以上の過電流になると、少なくとも前記第2通電手段に
よる通電動作を再度実行させて、前記電気角設定手段に
より前記電気角を再度初期設定させる初期設定再起動手
段を設けたことを特徴とする。
【0024】これは、電気角設定手段にて初期設定され
た電気角に誤差が大きい場合、その後電気角再設定手段
にて電気角が正確な値に再設定されるまでの間、初期設
定した電気角を基準にモータを駆動すると、電気角に基
づき設定した目標電流と実際の電流とが大きくずれて、
相巻線に過電流が流れるようになるためである。
【0025】つまり、請求項4に記載の電気角検出装置
においては、初期設定した電気角を基準にモータを駆動
している際に電流が異常に大きくなった場合には、その
旨を初期設定再起動手段にて検出して、第2通電手段に
よる一連の通電動作を再度実行させ、電気角設定手段に
て電気角を再度初期設定させることにより、誤設定した
電気角によりモータが駆動されるのを防止するのであ
る。
【0026】この結果、請求項4に記載の電気角検出装
置によれば、モータの各相巻線に過電流が流れるのを抑
制して、過電流によりモータが劣化するのを防止でき
る。なお、初期設定再起動手段が、電気角を再度初期設
定させる場合には、ロータは最初に電気角を初期設定し
た状態から回転されており、電気角も変化していること
から、電気角を再度初期設定した際には、設定した電気
角に大きな誤差が発生する可能性は少なく、電気角を良
好に初期設定することができる。
【0027】また、電気角の初期設定を再度実行させる
に当たっては、必ずしも第2通電手段から動作させる必
要はなく、最初の初期設定時と同様、第1通電手段から
順に動作させてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図面と共
に説明する。図2は、ロータに永久磁石を備え、3相
(U,V,W)の電機子巻線を備えた実施例の同期型3
相ACサーボモータ(3相ブラシレスDCモータともい
われる)2及びその制御系全体の構成を表わす概略構成
図である。
【0029】図2に示す如く、モータ2の制御系は、3
相交流電源を全波整流して直流の電源電圧を生成するコ
ンバータ4と、コンバータ4から電源供給を受けて動作
し、制御装置10から入力される制御信号(PWM信
号)に応じて、モータ2の各相U,V,Wの電機子巻線
を通電するインバータ6と、モータ2の回転位置を表わ
す検出信号を発生する回転位置検出手段としてのインク
リメンタル型エンコーダ8と、エンコーダ8からの検出
信号,モータ2のU,V相の電機子電流iU ,iV ,及
び外部から入力される速度指令又は位置指令に基づき、
インバータ6の制御信号を生成する制御装置10とから
構成されている。
【0030】なお、エンコーダ8は、図3に示す如く、
モータ2の1回転に1回、所定の基準電気角に対応した
基準位置信号(C相信号)を発生すると共に、モータ2
の所定回転角度毎(例えば360度/2000)に、位
相差90度(π/2)の2種類の回転信号(A相,B相
信号)を発生する周知のインクリメンタル型エンコーダ
からなり、前述のU,V,W相信号は発生しないか、ま
たは発生しても検出しない。
【0031】また制御装置10は、CPU,ROM,R
AM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成され
ており、そのモータ制御時の動作を、モータ2を含めた
制御系のブロック線図にて表わすと、図4に示す如くな
る。即ち、図4に示す如く、制御装置10は、積分処理
部12にて速度指令を積分(1/S)して位置指令に変
換するか、又は外部から入力された位置指令を読み込
み、該位置指令とエンコーダ8から出力される検出信号
(回転位置)との偏差を偏差演算部14にて算出し、更
に、目標速度演算部16にて、その算出した偏差に所定
の位置ゲインを乗じて、モータ2の目標速度を算出す
る。
【0032】また、微分処理部18にて、エンコーダ8
からの回転位置を表す検出信号を微分(d/dt)し
て、モータ2の回転速度を算出し、この算出した回転速
度と目標速度演算部16にて算出した目標速度との速度
偏差を、偏差演算部20にて算出する。そして、トルク
指令値演算部22にて、その算出した速度偏差に所定の
速度ゲインを乗じて、トルク指令値を算出し、トルク電
流演算部24にて、そのトルク指令値にエンコーダ8か
らの回転信号(A相,B相信号)に基づき逐次更新され
る電気角θを用いて、電気角θに対応したモータ2のU
相及びV相の各電機子巻線に通電すべき目標電流iO
(iOU,iOV)を算出する。
【0033】そして最後に、電流制御回路26におい
て、モータ各相U,V,Wの電機子巻線に流れる電流が
夫々目標電流となるようにインバータ6の制御信号(P
WM信号)を生成する。つまり、電流制御回路26で
は、モータ2のU,V相の電機子巻線に対する目標電流
iOU,iOVと、U,V相の電機子巻線に流れた実電流i
U,iV との偏差から、U,V相の通電制御のための制
御信号を各々生成し、W相の制御信号については、その
通電電流iW を「iU +iV +iW =0」となるように
制御できるように、U相及びV相の制御信号から生成す
る。
【0034】そして、このようにモータ各相U,V,W
の電機子電流が制御されると、モータ2においては、ロ
ータにその電流値とトルク定数Ktとにより決定される
トルクが発生し、回転軸のイナーシャJによる遅れ(1
/JS)を伴って回転角速度が発生し、その回転角速度
を積分(1/S)した回転位置に制御され、その回転位
置に応じた検出信号が、エンコーダ8から出力される。
【0035】このようにモータ2を駆動する際には、エ
ンコーダ8から出力される回転信号に基づき電気角θを
順次更新して、各相巻線に通電すべき目標電流iO を決
定する。このため、モータ2の駆動制御を開始する前に
は、予めロータの現回転位置での電気角θを正確に初期
設定しておく必要がある。そこで、本実施例では、制御
装置10の電源投入直後に、本発明にかかわる主要な処
理である、図1に示す電気角初期設定処理を実行して、
電気角θを初期設定するようにされている。
【0036】以下、この電気角初期設定処理について説
明する。図1に示す如く、この処理が開始されると、ま
ずS110(S:ステップを表わす)にて、モータ2の
全相巻線に対して、ロータの静摩擦力よりも大きなトル
クを発生可能な電流I1 を基準とし、互いに120度異
なる電気角θ1 ,θ2 ,θ3 に対応した3種類の電流
を、所定時間毎に正・負に反転させながら順次通電す
る、第1通電手段としての処理を実行する。
【0037】即ち、図5に示す如く、例えば、 a:U相電流=I1 ,V相電流=−I1/2 ,W相電流
=−I1/2 となる、電気角θ1 (=90度)に対応し
た電流を各相巻線に流して、モータを回転させ、 b:次にその電流方向を反転させた、U相電流=−I1
,V相電流=I1/2,W相電流=I1/2 にて、各相
巻線を通電して、モータの回転位置を元に戻し、 c:U相電流=−I1/2 ,V相電流=I1 ,W相電流
=−I1/2 となる、電気角θ2 (=210度)に対応
した電流を各相巻線に流して、モータを回転させ、 d:次にその電流方向を反転させた、U相電流=I1/
2 ,V相電流=−I1,W相電流=I1/2 にて、各相
巻線を通電して、モータの回転位置を元に戻し、 e:U相電流=−I1/2 ,V相電流=−I1/2 ,W
相電流=I1 となる、電気角θ2 (=330度)に対応
した電流を各相巻線に流して、モータを回転させ、 f:次にその電流方向を反転させた、U相電流=I1/
2 ,V相電流=I1/2 ,W相電流=−I1 にて、各
相巻線を通電して、モータの回転位置を元に戻す、 といった手順で、モータ各相巻線への通電パターンを合
計6回変化させながらモータを駆動する、一連の通電動
作(パターン通電)を実行する。
【0038】次に、S120では、ロータの静摩擦力よ
りも小さく動摩擦力よりも大きなトルクを発生可能な電
流I2 を基準とし、互いに120度異なる電気角θ1 ,
θ2,θ3 に対応した3種類の電流を、所定時間毎に正
・負に反転させながら順次通電する第2通電手段として
の処理を実行する。なお、図5に示す如く、この通電パ
ターンは、S110における通電パターンと全く同様で
あり、電流値I2 が小さくなるだけである。
【0039】また次に、続くS130では、上記S12
0と全く同様に各相巻線に電流を流す第2通電手段とし
ての処理を再度実行する(図5参照)と共に、この通電
時のモータ2の回転方向をエンコーダ8からの回転信号
(A相,C相信号)に基づき検出する。なお、この回転
方向の検出は、上記a〜fからなる一連の通電動作のう
ち、電気角に対して正方向に電流を流すa,c,eの通
電動作の際に行われる。
【0040】そして、続くS140では、S130の通
電動作時(a,c,e)に検出したモータ2の回転方向
に基づき、例えば図6に示す如きマップを用いて、電気
角θを概略的に設定する、電気角設定手段としての処理
を実行し、続くS150に移行する。なお、図6におい
て、「+」はモータ2が正方向に回転したことを、
「−」はモータ2が逆方向に回転したことを、「0」は
モータ2が回転しなかったことを、それぞれ表してい
る。そして、この図から明らかなように、これら各符号
の組み合わせにより、モータ2の電気角θは、30度を
分解能として設定される。
【0041】こうして電気角θが分解能30度にて概略
的に初期設定されると、今度はS150に移行して、こ
の設定された電気角(概略電気角)θを基準に、モータ
2を所定方向に回転駆動させて、エンコーダ8から出力
される基準位置信号(C相信号)の検出動作を開始す
る、モータ駆動手段としての処理を実行し、続くS16
0にて、各相巻線に流れる実電流を検出する。
【0042】そして、続くS170では、この検出され
た実電流が予め設定された判定値を越えたか否かによっ
て、モータ2に過電流が流れたか否かを判定し、実電流
が判定値を越え、モータ2に過電流が流れたと判断する
と、再度S110に移行して、概略電気角θを初期設定
する動作を再開させる。なお、このS170は、初期設
定再起動手段に相当する。
【0043】一方、S170にて、実電流は判定値以下
であり、モータ2に過電流が流れていないと判断される
と、S180に移行して、エンコーダ8にて基準位置
(C相)が検出され、制御装置10にC相信号が入力さ
れたか否かを判定する。そして、C相信号が入力されて
いなければ、再度S160に移行して、C相信号が入力
されるまで上記処理を繰り返し実行し、C相信号が入力
されると、電気角θに、C相信号,つまりモータ2の基
準位置に対応した基準電気角を設定し直す、電気角再設
定手段としての処理を実行し、当該処理を終了する。
【0044】以上説明したように、本実施例によれば、
電気角θを初期設定するに当たって、まず、ロータの静
摩擦力よりも大きなトルクを発生可能な電流I1 にて、
上記a〜fの手順で各相巻線に対するパターン通電を行
い、次にロータの静摩擦力よりも小さく動摩擦力よりも
大きなトルクを発生可能な、電流I1 よりも小さい電流
I2 にて、上記a〜fの手順で各相巻線に対するパター
ン通電を行い、更に、この電流I2 にて同様の手順でパ
ターン通電を行い、このときのモータ2の回転方向か
ら、電気角θを初期設定する。
【0045】従って、最初のパターン通電時には、ロー
タに加わる静摩擦力に抗して、ロータを確実に回転させ
て、ロータに加わる摩擦力を静摩擦力から静摩擦力より
も小さい動摩擦力に変化させることができる。そして、
次のパターン通電により、最初のパターン通電にてロー
タに加わったトルクを抑えて、ロータの振動を抑制し、
最後のパターン通電時のロータの動きを、パターン通電
時の電気角θ1 ,θ2,θ3 に対応させることができ
る。この結果、本実施例によれば、S140において、
モータ2の電気角(概略電気角)θを静度よく初期設定
することができる。
【0046】また、概略電気角θが誤設定されたとして
も、その後モータ2が回転駆動されたときの実電流から
その旨が判定されて、再度概略電気角θの初期設定が実
行されることから、概略電気角θの初期設定後、エンコ
ーダ8からのC相信号に基づき電気角θが正確な値(基
準電気角)に設定されるまでの間に、各相巻線に長時間
過電流が流れるようなことはなく、過電流によりモータ
2が劣化する等、装置の信頼性が低下するのを防止でき
る。
【0047】そして、この過電流検出時に概略電気角θ
を再度初期設定する際には、ロータの回転位置が、先に
概略電気角θを初期設定した際の回転位置から変化して
いるので、再度設定した概略電気角θに大きな誤差が発
生する可能性は少なく、概略電気角θを良好に初期設定
することができる。つまり、概略電気角θを誤設定した
回転位置にて再度概略電気角θを設定した場合には、新
たな概略電気角θも誤っている可能性が高いが、本実施
例では、先に概略電気角θを設定した回転位置とは異な
る位置にて概略電気角θが再設定されることになるの
で、概略電気角θが誤設定される可能性は少なくなるの
である。
【0048】また、本実施例では、概略電気角θの初期
設定後、モータ2を回転させて、エンコーダ8からC相
信号が出力される基準回転位置を検出し、電気角θをそ
の基準回転位置に対応した基準電気角に設定し直す、所
謂キャリブレーション動作を行うようにしているため、
少なくとも概略電気角θの初期設定後、モータ2が1回
転するまでの間に、電気角θをより正確な値に設定し直
すことができ、その後のモータ2の駆動制御は、極めて
高精度に実行することが可能になる。
【0049】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明はこうした実施例に限定されるものではな
く、種々の態様をとることができる。例えば、本実施例
では、S170にて過電流を検出すると、S110に移
行して、概略電気角θの設定を最初から行うようにした
が、この再設定の際には、モータ2が既に回転駆動され
ており、ロータに加わる摩擦力は動摩擦力となっている
ので、S120以降の処理にて概略電気角θを再設定す
るようにしてもよい。
【0050】また、例えば、本実施例では、概略電気角
θの初期設定後、上記キャリブレーション動作に移行す
るようにようにしたが、概略電気角θの初期設定後は、
一旦、ロータを現在位置に保持する保持動作を実行し、
外部から指令があったときに、上記キャリブレーション
動作に移行するようにしてもよい。そしてこのような場
合には、保持動作時に各相巻線に回転位置保持のための
電流が通電され、概略電気角θに誤差がある場合には、
その保持電流が大きくなるが、上記のように過電流の判
定を行ない、過電流が流れた際には、概略電気角θを再
設定するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の電気角初期設定処理を表すフローチ
ャートである。
【図2】 実施例の同期型3相ACサーボモータ及びそ
の制御系全体の構成を表わす概略構成図である。
【図3】 実施例のエンコーダからの出力信号を説明す
る説明図である。
【図4】 実施例の制御装置におけるモータ制御時の機
能を表す制御系のブロック線図である。
【図5】 実施例において電気角初期設定時に行われる
通電制御のパターンを説明する説明図である。
【図6】 実施例において電気角の初期設定時に使用さ
れるマップを表す説明図である。
【符号の説明】
2…モータ(同期型3相ACサーボモータ) 4…コン
バータ 6…インバータ 8…エンコーダ(インクリメンタル
型) 10…制御装置 12…積分処理部 14…偏差演
算部 16…目標速度演算部 18…微分処理部 20…
偏差演算部 22…トルク指令値演算部 24…トルク電流演算部 26…電流制御回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータの所定回転角度毎に回転方向を検
    出可能な所定の位相差を有する2種類の回転信号を発生
    する回転位置検出手段を備え、該回転位置検出手段から
    の回転信号に基づき同期型3相ACサーボモータを駆動
    するのに必要な電気角を初期設定する、同期型3相AC
    サーボモータの電気角検出装置であって、 前記モータの全相巻線に対して、前記ロータの静摩擦力
    よりも大きなトルクを発生可能で、互いに120度異な
    る電気角に対応した3種類の電流を、所定時間毎に正・
    負に反転させながら順次通電する第1通電手段と、 該第1通電手段による一連の通電動作が終了すると、前
    記全相巻線に対して、前記ロータの静摩擦力よりも小さ
    く動摩擦力よりも大きなトルクを発生可能で、互いに1
    20度異なる電気角に対応した3種類の電流を、所定時
    間毎に正・負に反転させながら順次通電する第2通電手
    段と、 該第2通電手段が前記各電気角に対応した正又は負の電
    流を通電する度に、前記回転位置検出手段からの回転信
    号に基づき前記ロータの回転方向を検出し、該検出結果
    に基づき電気角を初期設定する電気角設定手段と、 を備えたことを特徴とする同期型3相ACサーボモータ
    の電気角検出装置。
  2. 【請求項2】 前記第2通電手段は、前記一連の通電動
    作を2回行い、前記電気角設定手段は、該第2通電手段
    による2回目の通電動作時に前記ロータの回転方向を検
    出して前記電気角を初期設定することを特徴とする請求
    項1に記載の同期型3相ACサーボモータの電気角検出
    装置。
  3. 【請求項3】 前記回転位置検出手段は、前記回転信号
    に加えて、前記ロータの1回転に1回、所定の電気角に
    対応した基準位置信号を発生し、 更に、前記電気角設定手段にて電気角が初期設定された
    後、該電気角を前記回転位置検出手段からの回転信号に
    て更新しながら前記各相巻線に電気角に対応した電流を
    流し、前記ロータを所定方向へ回転させるモータ駆動手
    段と、 該モータ駆動手段が前記ロータを回転させているとき、
    前記回転位置検出手段から前記基準位置信号が出力され
    ると、該電気角を該基準位置信号に対応した電気角に再
    設定する電気角再設定手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    の同期型3相ACサーボモータの電気角検出装置。
  4. 【請求項4】 前記電気角設定手段が電気角を初期設定
    した後、前記電気角再設定手段にて電気角が再設定され
    るまでの間、各相巻線に流れる電流を監視し、該電流が
    所定電流以上の過電流になると、少なくとも前記第2通
    電手段による通電動作を再度実行させて、前記電気角設
    定手段により前記電気角を再度初期設定させる初期設定
    再起動手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載の
    同期型3相ACサーボモータの電気角検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008007541A1 (fr) * 2006-07-10 2008-01-17 Nachi-Fujikoshi Corp. Dispositif de contrôle d'un servomoteur
CN102519422A (zh) * 2011-12-14 2012-06-27 陕西千山航空电子有限责任公司 一种同步器信号采集计算方法

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