JPH0943608A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JPH0943608A
JPH0943608A JP19868295A JP19868295A JPH0943608A JP H0943608 A JPH0943608 A JP H0943608A JP 19868295 A JP19868295 A JP 19868295A JP 19868295 A JP19868295 A JP 19868295A JP H0943608 A JPH0943608 A JP H0943608A
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JP19868295A
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Manabu Takei
学 武居
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】視野角を広くするとともに、画素中の漏光もな
くして良好な表示品質を得る。 【解決手段】各画素部Sをそれぞれ2つの領域S1 ,S
2 に区分し、液晶層10の層厚の中央における液晶分子
のダイレクタF1 ,F2 を、前記2つの領域のうちの一
方の領域S1 に対応する部分と他方の領域S2 に対応す
る部分とで互いに70°〜110°ずらした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は液晶表示素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子としては、一般に、TN
(ツイステッドネマティック)型またはSTN(スーパ
ーツイステッドネマティック)型のものが利用されてい
る。これらの液晶表示素子は、液晶層をはさんで対向す
る一対の基板の内面にそれぞれ電極と配向膜とを設ける
とともに、前記液晶層の液晶の分子を両基板間において
ツイスト配向させたものであり、液晶分子のツイスト角
は、TN型ではほぼ90°、STN型では180°〜2
70°とされている。
【0003】ところで、上記TN型やSTN型のような
液晶分子をツイスト配向させている液晶表示素子は、視
野角が狭いという問題をもっている。これは、液晶表示
素子のΔn・d(液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚d
との積)の値が視角(表示の観察角)によって見かけ上
変化するためであり、したがって、電極間への印加電圧
が同じであっても、つまり基板面に対する液晶分子の立
上がり角が同じであっても、光の透過率は視角によって
異なるから、上記液晶表示素子の電圧−透過率特性には
視角依存性がある。
【0004】そして、この視角依存性は、電極間への印
加電圧が、液晶のしきい値電圧Vth以下、あるいは液晶
分子が基板面に対してほぼ垂直に近い状態まで立上がり
配向する電圧Va 以上であるときは比較的小さいが、V
thとVa の間の値の電圧では視角依存性が大きくなるた
め、明るさに階調をもたせた階調表示を行なわせると、
中間調の表示の明るさが視角によって大きく変化し、極
端なコントラスト低下や階調の反転等を生じてしまう。
【0005】そこで従来から、上記液晶表示素子の視野
角を改善する手段として、画素分割法が提案されてい
る。この画素分割法には、電圧制御方式と、配向制御方
式とがある。
【0006】電圧制御方式は、液晶表示素子の一方の基
板の電極を各画素部ごとに複数の電極に分割しておき、
これら各分割電極と他方の基板の電極との間にそれぞれ
異なる電圧値の駆動電圧を印加することにより、液晶分
子の立上がり角を画素部の各領域において異ならせるよ
うにしたものである。
【0007】しかし、この電圧制御方式は、各分割電極
にそれぞれ異なる電圧値の駆動信号を供給しなければな
らないため、液晶表示素子の駆動制御が複雑になってし
まうという問題をもっている。
【0008】一方、配向制御方式は、液晶表示素子の各
画素部をそれぞれ複数の領域に区分し、各領域ごとに配
向処理方向を変えることにより視角の方向(最も高いコ
ントラストが得られる観察方向)を異ならせ、これらの
視角が異なる複数の領域を合成して観察することによっ
て、電圧−透過率特性の視角依存性を低減させるもので
あり、この配向制御方式によれば、上記電圧制御方式の
ような複雑な駆動制御は不要である。
【0009】図10は上記配向制御方式を採用した従来
の液晶表示素子を示しており、(a)は1つの画素部付
近の断面図、(b)は同部分の平面図である。この液晶
表示素子は、TFT(薄膜トランジスタ)を能動素子と
するアクティブマトリックス型のものであり、液晶層1
0をはさんで対向する一対の透明基板(例えばガラス基
板)1,2のうち、図10(a)において下側の基板
(以下、裏側基板という)1の内面には、行方向および
列方向に配列された複数の透明な画素電極3と、これら
画素電極3にそれぞれ対応する複数のTFT4とが設け
られ、図において上側の基板(以下、表側基板という)
2の内面には、全ての画素電極3に対向する1枚膜状の
透明な対向電極7が設けられている。
【0010】なお、上記表側基板2の内面には、各画素
電極3,3間の間隙に対応する格子状パターンの遮光膜
(ブラックマトリックス)5がクロム等の金属膜によっ
て形成されるとともに、その上に、各画素電極3,3に
それぞれ対応する赤、緑、青のカラーフィルタ6R,6
G,6Bが交互に並べて設けられており、対向電極7は
前記カラーフィルタ6R,6G,6Bの上に設けられて
いる。
【0011】また、図ではTFT4を簡略化して示して
いるが、このTFT4は、裏側基板1の上に形成された
ゲート電極と、このゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
このゲート絶縁膜の上に前記ゲート電極と対向させて形
成されたi型半導体膜と、このi型半導体膜の両側部の
上にn型半導体膜を介して形成されたソース電極および
ドレイン電極とからなっている。
【0012】さらに、図では省略しているが、前記裏側
基板1には、各行のTFT4にゲート信号を供給するゲ
ートラインと、各列のTFT4にデータ信号を供給する
データラインとが設けられている。前記ゲートラインは
基板1上に配線されており、TFT4のゲート電極は前
記ゲートラインに一体に形成されている。また、TFT
4のゲート絶縁膜(透明膜)は、基板1のほぼ全面にわ
たって形成されており、上記データラインは、前記ゲー
ト絶縁膜の上に配線されてTFT4のドレイン電極に接
続され、画素電極3はゲート絶縁膜の上に形成されてT
FT4のソース電極に接続されている。
【0013】また、両基板1,2の電極形成面上にはそ
れぞれ水平配向膜8,9が設けられている。この配向膜
8,9は、ポリイミド系配向材等の水平配向材で形成さ
れており、その膜面にはラビングによる配向処理が施さ
れている。
【0014】なお、両基板1,2は、その周縁部におい
て図示しない枠状のシール材を介して接合されており、
この両基板1,2間の前記シール材で囲まれた領域に、
誘電異方性が正のネマティック液晶が充填されている。
【0015】この液晶の分子は、両基板1,2の近傍に
おける配向方向を前記配向膜8,9によって規制され、
この配向膜8,9面に対してある程度プレチルトした状
態で、両基板1,2間においてツイスト配向している。
なお、この液晶表示素子はTNモードのものであり、液
晶分子のツイスト角はほぼ90°である。
【0016】そして、この液晶表示素子においては、そ
の各画素部(各画素3が対応する部分)Sをそれぞれ2
つの領域S1 ,S2 に二等分し、裏側基板1の近傍にお
ける液晶分子の配向方向を前記2つの領域S1 ,S2 の
うちの一方の領域S1 に対応する部分と他方の領域S2
に対応する部分とで互いにほぼ180°ずらすととも
に、表側基板2の近傍における液晶分子の配向方向を前
記一方の領域S1 に対応する部分と他方の領域S2 に対
応する部分とで互いにほぼ180°ずらすことにより、
領域S1 と領域S2 における液晶の配向状態を異なら
せ、各領域ごとに異なる方向の視角をもたせている。
【0017】すなわち、図10において、1a,1bは
裏側基板1の近傍における液晶分子の配向方向を示して
おり、一方の領域S1 における液晶分子配向方向1a
と、他方の領域S2 の液晶分子配向方向1bとは、画面
の横軸(図示せず)に対してほぼ45°の方向にあっ
て、その向きが互いにほぼ180°ずれている。
【0018】また、2a,2bは表側基板2の近傍にお
ける液晶分子の配向方向を示しており、一方の領域S1
の液晶分子配向方向2aと、他方の領域S2 の液晶分子
配向方向2bとは、前記横軸に対してほぼ45°の方向
にあって、その向きが互いにほぼ180°ずれている。
【0019】なお、上記裏側基板1の近傍における液晶
分子の配向方向1a,1bは、この裏側基板1に設けた
配向膜8の前記一方の領域S1 に対応する部分と他方の
領域S2 に対応する部分とを互いに逆方向に配向処理す
ることによって設定され、表側基板2の近傍における液
晶分子の配向方向2a,2bは、この表側基板2に設け
た配向膜9の前記一方の領域S1 に対応する部分と他方
の領域S2 に対応する部分とを互いに逆方向に配向処理
することによって設定されている。
【0020】また、図10の(b)のように、表側基板
2の近傍における前記各領域S1 ,S2 の液晶分子配向
方向2a,2bはそれぞれ、裏側基板1の近傍における
上記2つの領域S1 ,S2 の液晶分子配向方向1a,1
bに対して同方向(図では左回り)にほぼ90°ずれて
おり、各領域S1 ,S2 の液晶分子はそれぞれ、そのツ
イスト方向を破線矢印で示したように、裏側基板1から
表側基板2に向かって同方向(図では右回り)にほぼ9
0°のツイスト角でツイスト配向している。
【0021】また、図10の(a),(b)において、
11,12は両基板1,2の外面にそれぞれ設けられた
一対の偏光板、11a,12aはこれら偏光板11,1
2の透過軸であり、裏側の偏光板11は、その透過軸1
1aを裏側基板1の近傍における各領域S1 ,S2 の液
晶分子配向方向1a,1bとほぼ直交させるかまたはほ
ぼ平行にして(図では直交)配置され、表側の偏光板1
2は、その透過軸12aを裏側偏光板11の透過軸11
aとほぼ平行にして配置されている。
【0022】この液晶表示素子は、その背後に配置され
るバックライトからの光を利用し、その光の透過を、一
対の偏光板11,12の偏光作用と液晶層10の複屈折
作用とによって制御して画像を表示するものであり、液
晶表示素子への入射光は、裏側偏光板11により直線偏
光されて液晶層10に入射し、この液晶層10を透過す
る過程で液晶分子の配向状態に応じた複屈折作用を受
け、その光のうち、表側偏光板13を透過する偏光成分
の光が表面側に出射する。
【0023】この場合、上記液晶表示素子では、その各
画素部Sをそれぞれ2つの領域S1,S2 に区分してい
るが、これら領域S1 ,S2 はいずれも、液晶分子のツ
イスト角がほぼ90°で、裏側の偏光板11の透過軸1
1aが裏側基板1の近傍における液晶分子配向方向1
a,1bとほぼ直交またはほぼ平行であり、かつ表側偏
光板12の透過軸12aが前記裏側偏光板11の透過軸
11aとほぼ平行であるため、いずれの領域S1 ,S2
も、ネガ表示タイプのTNモード液晶表示素子と同様に
表示動作する。
【0024】そして、この液晶表示素子においては、そ
の各画素部Sをそれぞれ2つの領域S1 ,S2 に分け、
各領域ごとに視角の方向を異ならせているため、一方の
領域S1 での視角の方向と、他方の領域D2 での視角の
方向とが図10の(b)上で互いに逆の関係になるか
ら、観察方向が変化しても画素部S全体での平均的な透
過率はあまり変化せず、画素部S全体における電圧−透
過率特性の視角依存性が軽減されて視野角が広くなる。
【0025】すなわち、上記液晶表示素子は、1つの画
素部S内に、電圧−透過率特性の視角依存性が互いに逆
向きの関係にある2つの領域S1 ,S2 が存在するた
め、画素部S全体での見かけ上の視角依存性が軽減さ
れ、階調表示における中間調の表示の際にも広い視野角
が得られる。
【0026】図11および図12は、上記液晶表示素子
の電極3,5間に8通りの駆動電圧を印加して階調I 〜
階調VIIIの8階調の表示を行なわせたときの、各階調に
おける視角−透過率特性を示しており、図11は画面の
上下方向における視角−透過率特性図、図12は画面の
左右方向における視角−透過率特性図である。
【0027】なお、図11において、−の視角は、画面
の法線(視角0°の方向)に対する下方向への角度であ
り、+の視角は前記法線に対する上方向への角度であ
る。また、図12において、−の視角は、画面の法線に
対する左方向への角度であり、+の視角は前記法線に対
する右方向への角度である。
【0028】この図11および図12のように、上記液
晶表示素子の画面の上下方向における視角−透過率特性
は、約−30°〜約+30°の視角範囲にわたってコン
トラスト(階調VIIIの透過率/階調I の透過率の値)が
10以上で、かつ、−40°〜+40°を若干越える範
囲までは階調の反転が生じない特性であり、また、画面
の左右方向における視角−透過率特性は、−50°〜+
50°の視角範囲にわたってコントラストが10以上
で、かつ、約−40°〜約+40°の範囲では階調の反
転が生じない特性である。
【0029】なお、上記液晶表示素子では、その各画素
部Sが2つの領域S1 ,S2 に分けられているが、液晶
表示素子の画素の大きさ(面積)は、通常の観察距離か
らは人間の目では1つ1つの画素を認識することができ
ない極く小さい大きさであり、例えばパーソナルコンピ
ュータ等のOA機器用のものでも画素幅が100μm〜
200μm程度であるため、各領域S1 ,S2 は人間の
目の分解能では認識できず、したがって、表示される画
素は、各領域S1 ,S2 の出射光の強度を平均した明る
さの画素として認識される。
【0030】なお、上記液晶表示素子は、バックライト
からの光を利用して表示する透過型のものであるが、上
記配向制御方式は、裏側偏光板の背後に反射板を配置し
た、外光(自然光や室内照明光等)を利用して表示する
反射型の液晶表示素子にも採用されている。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の液晶表示素
子では、液晶層10の層厚の中央における液晶分子のダ
イレクタは、裏側基板1の近傍における液晶分子配向方
向と表側基板2の近傍における液晶分子配向方向との中
間の方向にあるため、前記ダイレクタは、前記2つの領
域S1 ,S2 において互いに逆向きになっている。
【0032】図10の(b)において、F1 ,F2 は液
晶層厚の中央における液晶分子のダイレクタを示してお
り、前記2つの領域S1 ,S2 のうちの一方の領域S1
のダイレクタF1 と、他方の領域S2 のダイレクタF2
とは、その向きがほぼ正反対である。
【0033】そのため、従来の液晶表示素子は、画素部
Sの一方の領域S1 と他方の領域S2 との境界部に漏光
が生じるという問題をもっている。すなわち、液晶層1
0の層厚の中央における液晶分子のダイレクタF1 ,F
2が、画素部Sの一方の領域S1 と他方の領域S2 と
で逆向きになっているため、液晶分子の配向状態が前記
領域S1 ,S2 の境界部において不連続になって、この
境界部における液晶分子の配向状態に乱れが生じる。
【0034】そして、前記境界部の漏光は、人間の目に
は認識されない極く細い筋状の漏光であるが、画素中に
僅かでも漏光があると、それが画素の明るさに大きく影
響する(特に、階調の低い暗表示での影響が大きい)た
め、液晶表示素子の表示品質を低下させてしまう。この
発明は、視野角が広く、しかも画素中に漏光を生ずるこ
とがない良好な表示品質の液晶表示素子を提供すること
を目的としたものである。
【0035】
【課題を解決するための手段】この発明は、液晶層をは
さんで対向する一対の基板の内面にそれぞれ電極と配向
膜とを設けるとともに、前記液晶層の液晶の分子を両基
板間においてツイスト配向させた液晶表示素子におい
て、各画素部をそれぞれ複数の領域に区分し、前記液晶
層の層厚の中央における液晶分子のダイレクタを、前記
複数の領域のうちの所定の領域に対応する部分と、他の
領域に対応する部分とで、互いに70°〜110°ずら
したことを特徴とするものである。
【0036】前記所定の領域と他の領域とのダイレクタ
のずれ角は、望ましくはほぼ90°である。この発明に
おいて、前記両基板間における液晶分子のツイスト角が
ほぼ90°である場合、前記ダイレクタのずれ角をほぼ
90°とするには、一方の基板の近傍における液晶分子
の配向方向を、画素部の所定の領域に対応する部分と他
の領域に対応する部分とで互いにほぼ90°ずらし、他
方の基板の近傍における液晶分子の配向方向を、前記所
定の領域に対応する部分と他の領域に対応する部分とで
互いにほぼ90°ずらすか、あるいは、一方の基板の近
傍における液晶分子の配向方向を、画素部の所定の領域
に対応する部分と他の領域に対応する部分とで互いにほ
ぼ180°ずらし、他方の基板の近傍における液晶分子
の配向方向を、前記所定の領域に対応する部分と他の領
域に対応する部分とで互いにほぼ平行にすればよい。
【0037】この発明の液晶表示素子によれば、その各
画素部をそれぞれ複数の領域に分けて各領域ごとの配向
処理方向を異ならせ、これらの領域の液晶分子を異なる
配向状態で初期配向させることにより、視角の方向を各
領域ごとに互いに異ならしているため、1つの画素部内
に、視角の方向が異なる複数の領域が存在しており、し
たがって、画素部全体での見かけ上の視角依存性が軽減
されて視野角が広くなる。
【0038】そして、この発明の液晶表示素子において
は、前記所定の領域に対応する部分と他の領域に対応す
る部分との前記ダイレクタのずれ角を70°〜110°
としているため、これら領域の境界部における液晶分子
の配向状態の乱れが少なくなるから、画素中に漏光を生
ずることはない。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、この発明の第1の実施例を
図1〜図5を参照して説明する。図1は第1の実施例の
液晶表示素子を示しており、(a)は1つの画素部付近
の断面図、(b)は同部分の平面図である。
【0040】なお、この実施例の液晶表示素子は、TF
Tを能動素子とするアクティブマトリックス型のもので
あり、液晶分子の配向状態を除けば、その構成は図10
に示した従来の液晶表示素子と同じであるから、重複す
る説明は図に同符号を付して省略する。
【0041】この実施例の液晶表示素子では、その各画
素部Sをそれぞれ左右2つの領域S1 ,S2 に二等分
し、液晶層10の層厚の中央における液晶分子のダイレ
クタを、前記2つの領域S1 ,S2 のうち、図において
右側の領域(以下、第1領域という)S1 に対応する部
分と、左側の領域(以下、第2領域という)S2 に対応
する部分とで、互いにほぼ90°ずらしている。
【0042】すなわち、図1において、1a,1bは裏
側基板1の近傍における液晶分子の配向方向を示してお
り、第1領域S1 における液晶分子配向方向1aと、第
2領域S2 の液晶分子配向方向1bとは、画面の横軸
(図示せず)に対してほぼ45°の方向にあって、その
向きが互いにほぼ90°ずれている。
【0043】また、2a,2bは表側基板2の近傍にお
ける液晶分子の配向方向を示しており、第1領域S1 の
液晶分子配向方向2aと、第2領域S2 の液晶分子配向
方向2bとは、前記横軸に対してほぼ45°の方向にあ
って、その向きが互いにほぼ90°ずれている。
【0044】なお、この実施例では、裏側基板1に設け
た配向膜8の前記第1領域S1 に対応する部分と第2領
域S2 に対応する部分とを互いにほぼ直交する方向に配
向処理し、表側基板2に設けた配向膜9の前記第1領域
S1 に対応する部分と第2領域S2 に対応する部分とを
互いにほぼ直交する方向に配向処理することによって、
裏側基板1の近傍における液晶分子の配向方向1a,1
bと、表側基板2の近傍における液晶分子の配向方向2
a,2bとを上記のように設定している。
【0045】上記のような配向処理を施した配向膜8,
9は次のようにして形成する。図2および図3は裏側基
板1に設ける配向膜8の形成方法を示す各工程での断面
図および平面図であり、この配向膜8は次のようにして
形成する。
【0046】まず、図2の(a)および図3の(a)に
示すように、基板1上にポリイミド系配向材等の水平配
向材を塗布して配向膜8を成膜した後、この配向膜8の
膜面全体を、上記2つの領域S1 ,S2 のいずれかの液
晶分子配向方向、例えば第1領域S1 に対応する部分の
液晶分子配向方向1aに合わせて、破線矢印で示した方
向(画面の横軸に対してほぼ45°の方向)L1 にラビ
ングする。
【0047】この1回目のラビングを行なうと、配向膜
8の上記各領域S1 ,S2 に対応する部分がいずれも、
ラビング方向L1 に沿った方向1aに液晶分子を配向さ
せる配向性をもつ。
【0048】次に、図2の(b)および図3の(b)に
示すように、上記配向膜8の上に、上記各領域S1 ,S
2 のうちの第1領域S1 に対応する部分を覆うレジスト
マスク20を形成し、その状態で、配向膜8の膜面を、
第2領域S2 に対応する部分の液晶分子配向方向1bに
合わせて、破線矢印で示した方向(1回目のラビング方
向L1 に対してほぼ直交する方向)L2 にラビングす
る。
【0049】この2回目のラビングを行なうと、前記配
向膜8のレジストマスク20で覆われていない部分がラ
ビングし直され、この部分、つまり上記第2領域S2 に
対応する部分が、2回目のラビング方向L2 に沿った方
向1bに液晶分子を配向させる配向性をもつ。
【0050】この後は、上記レジストマスク20を剥離
して、図2の(c)および図3の(d)に示すように上
記第1領域S1 に対応する部分を露出させ、上記2つの
領域S1 ,S2 のうちの第1領域S1 に対応する部分
と、第2領域S2 に対応する部分とに互いにほぼ直交す
る方向の配向性をもたせた配向膜8を形成する。
【0051】なお、上記形成方法では、1回目のラビン
グ時に、第2領域S2 に対応する部分もラビングしてい
るが、前記1回目のラビングは、第2領域S2 に対応す
る部分をレジストマスクで覆っておいて、第1領域S1
に対応する部分だけに施してもよい。
【0052】さらに、上記形成方法は、配向膜8が、ラ
ビング方向に沿って液晶分子を配向させる材質の配向材
を用いて形成する場合の例であるが、前記配向膜8は、
ラビング方向とほぼ直交する方向に液晶分子を配向させ
る材質の配向材を用いて形成してもよく、その場合は、
上記1回目および2回目の配向処理を、上述した方向と
ほぼ直交する方向にラビングして行なえばよい。
【0053】また、表側基板2に設ける配向膜9は、上
記配向膜8の形成方法と同様にして形成し、この配向膜
9の第1領域S1 に対応する部分は、前記配向膜8の第
1領域S1 に対応する部分のラビング方向とほぼ直交す
る方向にラビングし、第2領域S2 に対応する部分は前
記配向膜8の第2領域S2 に対応する部分のラビング方
向とほぼ直交する方向にラビングする。
【0054】そして、この実施例の液晶表示素子では、
図1の(b)のように、表側基板2の近傍における上記
2つの領域S1 ,S2 の液晶分子配向方向2a,2bを
それぞれ、裏側基板1の近傍における各領域S1 ,S2
の液晶分子配向方向1a,1bに対して同方向(図では
左回り)にほぼ90°ずらし、各領域S1 ,S2 の液晶
分子をそれぞれ、そのツイスト方向を破線矢印で示した
ように、裏側基板1から表側基板2に向かって同方向
(図では右回り)にほぼ90°のツイスト角でツイスト
配向させている。
【0055】したがって、上記第1領域S1 に対応する
部分の液晶層厚中央における液晶分子のダイレクタF1
と、第2領域S2 に対応する部分の液晶層厚中央におけ
る液晶分子のダイレクタF2 とは、図1の(b)に示し
たように互いにほぼ90°ずれている。すなわち、前記
液晶分子のダイレクタF1 を基板面へ投影した方向と、
前記ダイレクタF2 を基板面へ投影した方向とが、互い
にほぼ90°で交差している。
【0056】また、図1の(b)に示すように、裏側偏
光板11の透過軸11aは、裏側基板1の近傍における
各領域S1 ,S2 の液晶分子配向方向1a,1bのうち
の一方の配向方向(図では第1領域S1 の液晶分子配向
方向1a)に対してはほぼ平行で、他方の配向方向(図
では第2領域S2 の液晶分子配向方向1b)に対しては
ほぼ直交しており、表側偏光板12の透過軸12aは、
裏側偏光板11の透過軸11aとほぼ平行になってい
る。
【0057】この液晶表示素子は、その背後に配置され
るバックライトからの光を利用し、その光の透過を、一
対の偏光板11,12の偏光作用と液晶層10の複屈折
作用とによって制御して画像を表示するものであり、液
晶表示素子への入射光は、裏側偏光板11により直線偏
光されて液晶層10に入射し、この液晶層10を透過す
る過程で液晶分子の配向状態に応じた複屈折作用を受
け、その光のうち、表側偏光板13を透過する偏光成分
の光が表面側に出射する。
【0058】この場合、上記液晶表示素子では、その各
画素部Sをそれぞれ2つの領域S1,S2 に区分してい
るが、これら領域S1 ,S2 はいずれも、液晶分子のツ
イスト角がほぼ90°で、裏側の偏光板11の透過軸1
1aが裏側基板1の近傍における液晶分子配向方向1
a,1bとほぼ直交またはほぼ平行であり、かつ表側偏
光板12の透過軸12aが前記裏側偏光板11の透過軸
11aとほぼ平行であるため、いずれの領域S1 ,S2
も、ネガ表示タイプのTNモード液晶表示素子と同様に
表示動作する。
【0059】そして、この液晶表示素子においては、そ
の各画素部Sをそれぞれ2つの領域S1 ,S2 に分けて
各領域ごとの配向処理方向を異ならせ、これらの領域S
1 ,S2 の液晶分子を異なる配向状態で初期配向させる
ことにより、各領域S1 ,S2 ごとの視角の方向を互い
にほぼ90°異ならしているため、観察方向が変化して
も画素部S全体での透過率はあまり変化せず、画素部S
全体における電圧−透過率特性の視角依存性が軽減され
て視野角が広くなる。
【0060】すなわち、上記液晶表示素子は、1つの画
素部S内に、視角の方向が異なる2つの領域S1 ,S2
が存在するため、画素部S全体での見かけ上の視角依存
性が軽減され、階調表示における中間調の表示の際にも
広い視野角が得られる。
【0061】図4および図5は、上記液晶表示素子の電
極3,5間に8通りの駆動電圧を印加して階調I 〜階調
VIIIの8階調の表示を行なわせたときの、各階調におけ
る視角−透過率特性を示しており、図4は画面の上下方
向における視角−透過率特性図、図5は画面の左右方向
における視角−透過率特性図である。
【0062】なお、図4において、−の視角は、画面の
法線(視角0°の方向)に対する下方向への角度であ
り、+の視角は前記法線に対する上方向への角度であ
る。また、図5において、−の視角は、画面の法線に対
する左方向への角度であり、+の視角は前記法線に対す
る右方向への角度である。
【0063】この図4および図5からも分かるように、
上記液晶表示素子は、視角による表示の明るさの変化が
小さく、広い視角範囲にわたって、コントラスト(階調
VIIIの透過率/階調I の透過率の値)が充分で階調の反
転もない良好な表示が得られる。
【0064】すなわち、上記液晶表示素子の画面の上下
方向における視角−透過率特性は、図4のように、−5
0°〜約+35°の広い視角範囲にわたってコントラス
ト(階調VIIIの透過率/階調I の透過率の値)が10以
上で、かつ、−50°〜+50°の範囲では階調の反転
が生じない特性であり、また、画面の左右方向における
視角−透過率特性も、図5のように、−50°〜約+3
5°の広い視角範囲にわたってコントラストが10以上
で、かつ、−50°〜+50°の範囲では階調の反転が
生じない特性である。
【0065】この視角−透過率特性を、図11および図
12に示した従来の液晶表示素子の特性と比較すると、
従来の液晶表示素子の視角−透過率特性は、上下方向の
特性が画面の法線を境にしてほぼ対称であり、また左右
方向の特性も画面の法線を境にしてほぼ対称であるのに
対し、上記実施例の液晶表示素子における視角−透過率
特性は、上下方向の特性も左右方向の特性も非対称であ
る。
【0066】しかし、従来の液晶表示素子は、階調の反
転を生じない範囲が、上下方向の視角−透過率特性では
−40°〜+40°を若干越える範囲であり、左右方向
の視角−透過率特性では約−40°〜約+40°の範囲
であるのに対し、上記実施例の液晶表示素子は、階調の
反転を生じない視角範囲が、上下方向の視角−透過率特
性でも、左右方向の視角−透過率特性でも、−50°〜
+50°と広く、したがって、より広い視角範囲にわた
って階調の反転がないという点において従来の液晶表示
素子より優れている。
【0067】さらに、上記実施例の液晶表示素子と従来
の液晶表示素子の10以上のコントラストが得られる視
角範囲を見ると、実施例の液晶表示素子の上下方向の視
角範囲は−50°〜約+35°であり、従来の液晶表示
素子の上下方向の視角範囲(約−30°〜約+30°)
に比べて、−側に約20°、+側に約5°広くなってい
る。
【0068】また、実施例の液晶表示素子の左右方向の
視角範囲は−50°〜約+35°であり、従来の液晶表
示素子の左右方向の視角範囲(−50°〜+50°)に
比べて、+側の視角範囲が約15°狭くなっているが、
前記上下方向の視角範囲の大幅な広がりを加味して総合
的に評価すれば、10以上のコントラストが得られる視
角範囲も、実施例の液晶表示素子の方が、従来の液晶表
示素子よりも優れている。
【0069】そして、上記実施例の液晶表示素子におい
ては、各画素部Sの第1領域S1 に対応する部分の液晶
層厚中央における液晶分子のダイレクタF1 と、第2領
域S2 に対応する部分の液晶層厚中央における液晶分子
のダイレクタF2 とのずれ角をほぼ90°としているた
め、前記領域S1 ,S2 の境界部における液晶分子の配
向状態の乱れは少なく、したがって、画素中に、液晶分
子の配向状態の乱れによる漏光を生ずることはないか
ら、良好な表示品質が得られる。
【0070】なお、上記第1の実施例では、画素部Sの
第1領域S1 における液晶分子のツイスト方向と、第2
領域S2 における液晶分子のツイスト方向とを同じ方向
にしたが、液晶分子のツイスト方向は、前記第1領域S
1 と第2領域S2 とで互いに逆にしてもよい。
【0071】図6はこの発明の第2の実施例の液晶表示
素子を示しており、(a)は1つの画素部付近の断面
図、(b)は同部分の平面図である。なお、この第2の
実施例の液晶表示素子は、画素部Sの第1領域S1 にお
ける液晶分子のツイスト方向と、第2領域S2 における
液晶分子のツイスト方向とを互いに逆にしたものであ
り、その他の構成は上述した第1の実施例と同じである
から、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0072】図6の(a),(b)に示すように、この
実施例の液晶表示素子では、裏側基板1の近傍における
液晶分子の配向方向1a,1bを、画素部Sの第1領域
S1に対応する部分と第2領域S2 に対応する部分とで
互いにほぼ180°ずらすとともに、表側基板2の近傍
における液晶分子の配向方向2a,2bを、前記第1領
域S1 に対応する部分と第2領域S2 に対応する部分と
で互いにほぼ平行にしている。
【0073】そして、この実施例では、図6の(b)の
ように、表側基板2の近傍における第1領域S1 に対応
する部分の液晶分子配向方向2aを、裏側基板1の近傍
における前記第1領域S1 の液晶分子配向方向1aに対
して図上左回りにほぼ90°ずらし、表側基板2の近傍
における第2領域S2 に対応する部分の液晶分子配向方
向2bを、裏側基板1の近傍における前記第2領域S2
の液晶分子配向方向1bに対して図上右回りにほぼ90
°ずらすことにより、第1領域S1 の液晶分子を破線矢
印で示したように裏側基板1から表側基板2に向かって
図上右回りにほぼ90°のツイスト角でツイスト配向さ
せ、第2領域S2 の液晶分子を破線矢印で示したように
裏側基板1から表側基板2に向かって図では左回りにほ
ぼ90°のツイスト角でツイスト配向させている。
【0074】したがって、この実施例の液晶表示素子に
おいても、上記第1領域S1 に対応する部分の液晶層厚
中央における液晶分子のダイレクタF1 と、第2領域S
2 に対応する部分の液晶層厚中央における液晶分子のダ
イレクタF2 とは、図1の(b)に示したように互いに
ほぼ90°ずれている。
【0075】また、図6の(b)に示すように、裏側偏
光板11の透過軸11aは、裏側基板1の近傍における
各領域S1 ,S2 の液晶分子配向方向1a,1bとほぼ
直交するかまたはほぼ平行になっており(図では直
交)、表側偏光板12の透過軸12aは、裏側偏光板1
1の透過軸11aとほぼ平行になっている。
【0076】この実施例の液晶表示素子も、その各画素
部Sをそれぞれ2つの領域S1 ,S2 に分け、各領域の
視角方向を互いにほぼ90°異ならしているため、上述
した第1の実施例の液晶表示素子と同様に、視野角を広
くし、しかも画素中の漏光をなくして良好な表示品質を
得ることができる。
【0077】そして、この実施例の液晶表示素子では、
上記第1領域S1 における液晶分子のツイスト方向と、
第2領域S2 における液晶分子のツイスト方向とを互い
に逆にしているため、画面に対して斜め方向から表示を
観察したときの、液晶層10の複屈折作用による透過光
の着色現象(裏側偏光板11を透過して入射した直線偏
光が、液晶層10を透過する間にその複屈折作用によっ
て各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となっ
た光となり、表側偏光板を透過して出射する光の各波長
光の光強度に差が生じて、出射光が着色する現象)が、
2つの領域S1,S2 において互いに逆になるから、前
記液晶層10の複屈折作用による透過光の着色現象によ
る表示色の変色を目立たなくすることができる。
【0078】しかも、この実施例によれば、裏側基板1
の配向膜8は、第1領域S1 に対応する部分と第2領域
S2 に対応する部分とを異なる方向(互いにほぼ180
°ずれた方向)にラビングしなければならないが、表側
基板2の近傍における液晶分子の配向方向2a,2b
を、第1領域S1 に対応する部分と第2領域S2 に対応
する部分とで互いにほぼ平行にしているため、この表側
基板2の配向膜9はその膜面全体を一様にラビングすれ
ばよく、したがって、表側基板2の配向膜9の形成が容
易になる。
【0079】なお、上記第2の実施例では、裏側基板1
の近傍における液晶分子の配向方向1a,1bを、第1
領域S1 に対応する部分と第2領域S2 に対応する部分
とで互いにほぼ180°ずらしているが、これと逆に、
裏側基板1の近傍における液晶分子の配向方向1a,1
bを、第1領域S1 に対応する部分と第2領域S2 に対
応する部分とで互いにほぼ平行にし、表側基板2の近傍
における液晶分子の配向方向2a,2bを、前記第1領
域S1 に対応する部分と第2領域S2 に対応する部分と
で互いにほぼ180°ずらしても、第1領域S1 におけ
る液晶分子ツイスト方向と第2領域S2 における液晶分
子ツイスト方向とを互いに逆にすることができる。
【0080】次に、この発明の第3の実施例を説明す
る。図7は第3の実施例の液晶表示素子を示しており、
(a)は1つの画素部付近の断面図、(b)は同部分の
平面図である。
【0081】この第3の実施例の液晶表示素子は、裏側
基板1の近傍における第1領域S1での液晶分子配向方
向1aと第2領域S2 での液晶分子配向方向1bとを互
いにほぼ90°ずらすとともに、表側基板2の近傍にお
ける第1領域S1 での液晶分子配向方向1aと第2領域
S2 での液晶分子配向方向1bとを互いにほぼ90°ず
らすことにより、第1領域S1 に対応する部分の液晶層
厚中央における液晶分子のダイレクタF1 と、第2領域
S2 に対応する部分の液晶層厚中央における液晶分子の
ダイレクタF2 とを互いにほぼ90°ずらしたものであ
って、裏側基板1および表側基板2に設ける配向膜を、
ラビング方向に対する配向性が異なる2種類の配向材を
用いて形成したものである。
【0082】なお、この実施例は、裏側基板1および表
側基板2に設けた配向膜が異なるだけで、その他の構成
は上述した第1の実施例の液晶表示素子と同じであるか
ら、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0083】この実施例の液晶表示素子は、裏側基板1
および表側基板2に設ける配向膜をそれぞれ、ラビング
方向に沿って液晶分子を配向させる材質の配向材からな
る第1の配向膜8a,9aと、ラビング方向とほぼ直交
する方向に液晶分子を配向させる材質の配向材からなる
第2の配向膜8b,9bとで形成したものであり、この
実施例では、前記第1の配向膜8a,9aを基板1,2
上に表示領域(液晶充填領域)全体にわたって形成し、
その上に、各画素部Sの2つの領域S1 ,S2のうちの
一方の領域、例えば第1領域S1 にそれぞれ対応させて
前記第2の配向膜8b,9bを形成している。
【0084】図8は上記配向膜の形成方法を示す各工程
での断面図、図9は図8の(c)に示した工程の平面図
であり、この配向膜は次のようにして形成する。なお、
ここでは、裏側基板1に設ける配向膜の形成方法につい
て説明するが、表側基板2に設ける配向膜も同様にして
形成する。
【0085】まず、図8の(a)に示すように、基板1
上に、ラビング方向に沿って液晶分子を配向させる材質
の配向材からなる第1の配向膜8aと、ラビング方向と
ほぼ直交する方向に液晶分子を配向させる材質の配向材
からなる第2の配向膜8bとを順に成膜する。
【0086】次に図8の(b)に示すように、上記第2
の配向膜8bを、フォトリソグラフィ法によって、各画
素部Sの第1領域S1 にそれぞれ対応する形状にパター
ニングする。
【0087】次に図8の(c)および図9に示すよう
に、上記第1および第2の配向膜8a,8bの膜面を、
上記2つの領域S1 ,S2 のいずれかの液晶分子配向方
向、例えば第2領域S2 に対応する部分の液晶分子配向
方向1aに合わせて、破線矢印で示した方向(画面の横
軸に対してほぼ45°の方向)Lにラビングする。
【0088】このように配向膜面をラビングすると、上
記各領域S1 ,S2 のうちの第1領域S1 に対応してい
る第1の配向膜8aが、ラビング方向Lに沿った方向1
aに液晶分子を配向させる配向性をもち、第2領域S2
に対応している第2の配向膜8bが、ラビング方向Lと
ほぼ直交する方向1bに液晶分子を配向させる配向性を
もつ。
【0089】この実施例の液晶表示素子も、その各画素
部Sをそれぞれ2つの領域S1 ,S2 に分け、液晶層1
0の層厚の中央における液晶分子のダイレクタF1 ,F
2 を、前記2つの領域S1 ,S2 のうちの第1領域S1
に対応する部分と第2領域S2 に対応する部分とで互い
にほぼ90°ずらしているため、上述した第1の実施例
の液晶表示素子と同様に、視野角を広くし、しかも画素
中の漏光をなくして良好な表示品質を得ることができ
る。
【0090】そして、この実施例では、裏側基板1およ
び表側基板2に設ける配向膜をそれぞれ、ラビング方向
に沿って液晶分子を配向させる材質の配向材からなる第
1の配向膜8a,9aと、ラビング方向とほぼ直交する
方向に液晶分子を配向させる材質の配向材からなる第2
の配向膜8b,9bとで形成しているため、配向膜のの
配向処理を上述したように1回のラビングで行なうこと
ができ、したがって、液晶表示素子の製造能率を向上さ
せることができる。
【0091】なお、上記第3の実施例では、第1の配向
膜8a,9aを表示領域全体にわたって形成し、その上
に、各画素部Sの2つの領域S1 ,S2 のうちの一方の
領域にそれぞれ対応させて第2の配向膜8b,9bを形
成しているが、第1の配向膜8a,9aと第2の配向膜
8b,9bとを、前記2つの領域S1 ,S2 にそれぞれ
対応する形状にパターニングして形成すれば、配向膜面
を平坦にすることができる。
【0092】また、上記第1〜第3の実施例の液晶表示
素子は、TFTを能動素子とするアクティブマトリック
ス型のものであるが、この発明は、MIM等の2端子の
非線形抵抗素子を能動素子とするアクティブマトリック
ス型の液晶表示素子や、単純マトリックス型の液晶表示
素子にも適用することができる。
【0093】さらに、上記画素分Sの各領域S1 ,S2
でのダイレクタのずれ角は、ほぼ90°が望ましいが、
このダイレクタのずれ角は、70°〜110°であって
もよく、ダイレクタのずれ角がこの範囲であれば、視野
角を広くするとともに、画素中の漏光もなくして良好な
表示品質を得ることができる。
【0094】また、上記第1〜第3の実施例では、図1
(b)、図6(b)、図7(b)に示したように、画素
部Sの右側の領域(第1領域)S1 のダイレクタF1
と、左側の領域(第2領域)S2 のダイレクタF2 を、
全ての画素部Sにおいて同じにしているが、これらの領
域S1 ,S2 は、隣り合う画素部Sごとに交互に逆にし
てもよく、画素部Sの配列も、図のような行方向(画面
の左右方向)および列方向(画面の上下方向)に整列し
た配置に限らず、各列(または各行)の画素部を行方向
(または列方向)に1/2ピッチずつ交互にずらして配
列したモザイク状の配置としてもよい。
【0095】また、上記第1〜第3の実施例では、各画
素部Sをそれぞれ2つの領域S1 ,S2 に分けている
が、これに限らず、例えば画素部Sを上下および左右に
それぞれほぼ二等分した4つの領域に区分し、液晶層の
層厚の中央における液晶分子のダイレクタを、前記4つ
の領域のうちの2つの領域に対応する部分と、他の2つ
の領域に対応する部分とで互いに70°〜110°ずら
してもよい。
【0096】さらにまた、上記第1〜第3の実施例の液
晶表示素子は、液晶分子のツイスト角をほぼ90°とし
たTN型のものであるが、この発明は、例えば液晶分子
のツイスト角を180°〜270°としたSTN型のも
のなどにも適用できるものであり、その場合は、一方の
基板の近傍における画素部の所定の領域に対応する部分
と他の領域に対応する部分との液晶分子配向方向と、他
方の基板の近傍における前記所定の領域に対応する部分
と他の領域に対応する部分との液晶分子配向方向とを適
当に選んで、液晶層の層厚の中央における液晶分子のダ
イレクタを、前記所定の領域に対応する部分と他の領域
に対応する部分とで互いに70°〜110°ずられるよ
うにすればよい。
【0097】
【発明の効果】この発明の液晶表示素子によれば、各画
素部をそれぞれ複数の領域に区分し、液晶層の層厚の中
央における液晶分子のダイレクタを、前記複数の領域の
うちの所定の領域に対応する部分と他の領域に対応する
部分とで互いに70°〜110°ずらしているため、視
野角を広くし、しかも画素中に漏光を生ずることがない
良好な表示品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す液晶表示素子の
1つの画素部付近の断面図および平面図。
【図2】第1の実施例の液晶表示素子の配向膜の形成方
法を示す各工程での断面図。
【図3】同じく各工程での平面図。
【図4】第1の実施例の液晶表示素子の画面上下方向に
おける視角−透過率特性図。
【図5】第1の実施例の液晶表示素子の画面左右方向に
おける視角−透過率特性図。
【図6】この発明の第2の実施例を液晶表示素子の1つ
の画素部付近の断面図および平面図。
【図7】この発明の第3の実施例を液晶表示素子の1つ
の画素部付近の断面図および平面図。
【図8】第3の実施例の液晶表示素子の配向膜の形成方
法を示す各工程での断面図。
【図9】図8の(c)に示した工程の平面図。
【図10】従来の液晶表示素子の1つの画素部付近の断
面図および平面図。
【図11】従来の液晶表示素子の画面上下方向における
視角−透過率特性図。
【図12】従来の液晶表示素子の画面左右方向における
視角−透過率特性図。
【符号の説明】
1,2…基板 3,7…電極 8,9…配向膜 8a,9a…第1の配向膜 8b,9b…第2の配向膜 10…液晶層 S…画素部 S1 ,S2 …区分された領域 1a,1b…裏側基板の近傍における液晶分子配向方向 2a,2b…表側基板の近傍における液晶分子配向方向 F1 ,F2 …液晶層厚の中央における液晶分子のダイレ
クタ 11,12…偏光板 11a,12a…偏光板の透過軸

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶層をはさんで対向する一対の基板の内
    面にそれぞれ電極と配向膜とを設けるとともに、前記液
    晶層の液晶の分子を両基板間においてツイスト配向させ
    た液晶表示素子において、 各画素部をそれぞれ複数の領域に区分し、前記液晶層の
    層厚の中央における液晶分子のダイレクタを、前記複数
    の領域のうちの所定の領域に対応する部分と、他の領域
    に対応する部分とで、互いに70°〜110°ずらした
    ことを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】所定の領域と他の領域とのダイレクタのず
    れ角はほぼ90°であることを特徴とする請求項1に記
    載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】両基板間における液晶分子のツイスト角は
    ほぼ90°であり、一方の基板の近傍における液晶分子
    の配向方向が、画素部の所定の領域に対応する部分と他
    の領域に対応する部分とで互いにほぼ90°ずれてお
    り、他方の基板の近傍における液晶分子の配向方向が、
    前記所定の領域に対応する部分と他の領域に対応する部
    分とで互いにほぼ90°ずれていることを特徴とする請
    求項2に記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】両基板間における液晶分子のツイスト角は
    ほぼ90°であり、一方の基板の近傍における液晶分子
    の配向方向が、画素部の所定の領域に対応する部分と他
    の領域に対応する部分とで互いにほぼ180°ずれてお
    り、他方の基板の近傍における液晶分子の配向方向が、
    前記所定の領域に対応する部分と他の領域に対応する部
    分とで互いにほぼ平行になっていることを特徴とする請
    求項2に記載の液晶表示素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007163722A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Epson Imaging Devices Corp 液晶装置とその製造方法、位相差板、及び電子機器
JP2009524097A (ja) * 2006-01-18 2009-06-25 インダストリー−ユニバーシティ・コーペレーション・ファウンデーション・ハンヤン・ユニバーシティ 液晶表示装置及びその製造方法

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