JPH0942277A - 動圧軸受装置 - Google Patents

動圧軸受装置

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JPH0942277A
JPH0942277A JP21540295A JP21540295A JPH0942277A JP H0942277 A JPH0942277 A JP H0942277A JP 21540295 A JP21540295 A JP 21540295A JP 21540295 A JP21540295 A JP 21540295A JP H0942277 A JPH0942277 A JP H0942277A
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JP
Japan
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bearing
bearing member
rotating body
dynamic pressure
rotor
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Application number
JP21540295A
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English (en)
Inventor
Hiromasa Marumo
浩昌 丸茂
Yasushi Mizusaki
康史 水嵜
Norihisa Tsutsui
徳久 筒井
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Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非接触で回転体を保持する動圧軸受装置にお
いて、回転体と軸受部材との間による焼き付き及び摩耗
粉の飛散を防止する軸受部材を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 回転体としてのロータ2の外周軸受面2
3もしくは軸受部材4の外周軸受面35のいずれか一方
に熱硬化性樹脂からなる樹脂層を形成し、不慮の衝撃及
びモータの起動時に起こる摩擦熱に対して、表面が硬化
することにより摩耗及び摩耗粉の飛散を防止したことを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速で回転する回
転体を流体の動圧により軸支するようにした動圧軸受装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザー走査用モータ等の高速で回転す
るモータには、高速回転を可能にするため、回転にとも
なって発生する動圧流体で回転体としてのロータ部を支
持する動圧流体軸受装置が採用されている。例えば、ポ
リゴンミラーを高速回転させるレーザ走査用のモータ
は、図4に示すように軸受部材34に回転自在に支持さ
れポリゴンミラー1が取り付けられて回転する回転体と
してのロータ2と、駆動用コイル31を保持したステー
タ3とからなり、僅かな隙間8をもって対向するロータ
2の外周軸受面23と軸受部材34の内周軸受面35と
の間で動圧軸受が構成されている。ロータ2には、回転
駆動用のマグネット21とポリゴンミラー1の回転バラ
ンスを矯正するバランスプレート11及びスラストマグ
ネット22が取り付けられている。また、ステータ3側
には、スラストマグネット22と協働してロータ2に浮
動力を発生させる磁気スラスト軸受を構成するためのス
ラストマグネット32と、ステータ3を構成するステー
タコア33と、軸受部材34とが取り付けられている。
尚、ステータ3及び軸受部材34は、ホルダー4に嵌合
固定されている。
【0003】一方、この種の高速回転モータにおいて
は、軽量化を図って立上がり時間を短くすると共に、モ
ータのコンパクト化と回転体の振れや傾きを極力小さく
することが求められている。このため、図4に示すよう
なレーザ走査用のモータでは、動圧軸受を構成する部分
の内側に回転駆動用のマグネット21と駆動用のコイル
31を配置してモータのコンパクト化を図ると共に回転
体の振れや傾きを極力小さくしている。しかも軽量化の
ためや切削加工の容易性から、回転体や軸受部材にアル
ミニウム合金が使用され始めている。特に、図4に示す
ような構造の動圧軸受の場合、軸受の形状・構造が複雑
になるためアルミ合金を切削加工する方が加工コストの
点でも有利であることから、回転体としてのロータ2と
軸受部材34の双方をアルミニウムなどで作成すること
が望まれている。加えて、レーザ走査用のモータでは、
アルミニウム合金製のポリゴンミラーとの材質を同じに
するメリット、例えば温度変化に対するメリットからア
ルミニウム材の採用が好まれている。
【0004】そこで、軸受部材としてアルミニウム材を
採用し、そのアルミニウム材の耐摩耗性等を向上させる
ため、従来は、軸受部材34の内周軸受面35には硬質
アルマイト処理を、ロータ2の外周軸受面23にはSi
C微粒子を含むNi−P無電解メッキをそれぞれ施すこ
とが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この種の動圧流体軸受
は、回転時に動圧を発生させて回転体を浮上させて支持
するため、回転体と軸受部材との間には、極めて狭い一
定の軸受隙間が形成されている。したがって回転体の外
周軸受面と軸受部材の内周軸受面とに不要な突起が生じ
ないように精密に仕上げなければ、回転中に回転体と軸
受部材とが接触して摩擦熱を発生し、接触部分の溶融に
より回転体と軸受部材とが凝着する、いわゆる焼き付き
現象を引き起こす危険がある。この焼き付き現象は、一
般には起動停止時の軸受負荷能力の低い状態での接触に
よる摩耗が原因となるが、外力を受けた際の振動等によ
って、高速回転時に接触する場合にも起こる。なお、焼
き付きは動圧流体軸受だけではなく、一般の軸受におい
ても生ずるものである。
【0006】また、軸受部材には、回転体と軸受部材と
の接触による摩耗によって摩耗粉が発生するが、使用す
る回転体と軸受部材の材質によっては、その摩耗粉が多
くなり、軸受部材外に飛散し、使用される機器、例え
ば、レーザ走査用のモータのポリゴンミラーの表面を汚
染したり損傷させることが生じる。
【0007】例えば、図4に示すようなレーザ走査用の
モータでは、軸受部材34の内周軸受面35に硬質アル
マイト処理を施し、回転体としてのロータ2の外周軸受
面23にSiC微粒子を含むNi−P無電解メッキを施
すことにより、両軸受面23,35とも非常に硬度が高
く耐摩耗性に優れたものとしている。しかし、このよう
な軸受部材においては、非常に硬度が高く摩耗粉の発生
は少なくなるもののメッキ反応においては不純物ともい
えるSiCを多量に分散させたメッキ液であるため反応
むらを起こし易く皮膜に突起が発生することから、ロー
タ2の高回転中における衝撃や姿勢変換による両軸受面
23,35の接触が焼き付を起こす問題を有している。
そして、メッキの反応むらが起きないようにするには、
工程管理を非常に厳しくする必要があり、しかも歩留り
が悪くなる。
【0008】特に、ポリゴンミラー付モータのように、
モータの動圧軸受の外に質量の大きいポリゴンミラー1
を取り付ける場合には、ポリゴンミラー1の回転偏心や
取付作業の不安定性により、接触による焼き付きが生じ
易い。
【0009】一方焼き付きを防止するため、軸受部材の
一方を金属とは異なる部材、例えば樹脂でコーティング
することも考えられるが、通常の樹脂ではそのコーティ
ング膜が軟らかくなっていしまい、摩耗量が多くなる。
このため、コーティング膜が剥げ、焼き付きが生じた
り、樹脂粉が発生し、その樹脂粉が軸受部材外に飛散
し、使用される機器の電気接点を汚染し導通不良が生じ
たり、他の摺動部の摩耗を促進したりする。また、レー
ザ走査用のモータに使用すると、その樹脂粉がポリゴン
ミラーの表面を汚染したり損傷させ、ポリゴンミラーの
反射率を低下させる問題が生じる。
【0010】本発明は、回転体と軸受部材との間の接触
による焼き付きが生じず且つ摩耗粉の飛散も生じない軸
受装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、回転体と、該回転体を保持する
軸受部材と、前記回転体と軸受部材との間に介在する軸
受流体と、を有し、上記回転体の軸受面と軸受部材の軸
受面との間で発生する軸受流体の動圧により前記回転体
を支承する動圧軸受装置において、上記回転体の軸受面
及び軸受部材の軸受面の少なくとも一方側に、熱硬化性
樹脂からなる樹脂層を形成した構成となっている。
【0012】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の発明に加えて、樹脂層が、熱硬化性樹脂に低摩擦係数
樹脂を10乃至80重量%混合した構成となっている。
【0013】また請求項3記載の発明は請求項2の発明
に加えて、低摩擦係数樹脂が、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)で構成されている。
【0014】更に請求項4記載の発明は、請求項1記載
の発明に加えて、軸受流体が空気によって構成されてい
る。
【0015】また請求項5記載の発明は、請求項1記載
の発明に加えて、回転体もしくは軸受部材をアルミ材で
形成した構成となっている。
【0016】また請求項6記載の発明は、請求項1記載
の発明に加えて、熱硬化性樹脂が、ポリアミドイミドで
構成されている。
【0017】そして請求項1の軸受装置では、その軸受
面に摩擦熱が起こると表面が硬化する作用を有する耐熱
性に優れた熱硬化性樹脂を形成しているので、回転体と
軸受部材との接触等によって起こる摩擦熱での接触部分
の凝着及び焼き付きが防止される。
【0018】また、請求項2,3記載の軸受装置では、
上記熱硬化樹脂にポリテトラフルオロエチレン等の低摩
擦係数樹脂を10乃至80重量%含有して軸受面に形成
したので、耐熱性が更に優れ、且つ摩擦係数の低い、つ
まり摺動性のよい軸受が得られる。一方軟らかいポリテ
トラフルオロエチレン等の低摩擦係数樹脂を多量に含有
させ過ぎると耐摩耗性が低下し、摩耗量が増加して、樹
脂層自体が剥離してしまうため、回転体もしくは軸受部
材の表面が露出して、駆動時の不慮の衝撃により焼き付
き易くなるが、請求項2,3の軸受装置では、ポリテト
ラフルオロエチレン等の低摩擦係数樹脂の含有量を80
重量%以下としているのでそのような問題が発生しな
い。また、ポリテトラフルオロエチレン等の低摩擦係数
樹脂の含有量が少なすぎると、材料全体が固くなり摩耗
した部分が粉となって軸受部材の外に飛散し易くなり、
軸受部材が使用される機器の電気接点を汚染し導通不良
が生じたり、他の摺動部の摩耗を促進したりする問題が
生じるが、請求項2,3の軸受装置では、ポリテトラフ
ルオロエチレンを10重量%以上としているのでそのよ
うな問題も生じない。
【0019】また、請求項4の軸受装置によれば、回転
体の軸受面と軸受部材の軸受面との間隔が非常に狭く、
凝着及び焼き付きが起こり易い空気動圧軸受装置に請求
項1記載の軸受装置を使用しているので、熱硬化性樹脂
による上述した作用が顕著に得られる。
【0020】更に、請求項5の軸受装置では、回転体も
しくは軸受部材がアルミニウム材から構成されているの
で、軽量かつ切削加工が容易で加工コストの点でも有利
である。
【0021】また、請求項6の軸受装置では熱硬化性樹
脂が、ポリアミドイミドで構成されているので、機械的
性質、耐摩耗性、耐熱性に優れた軸受とすることができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0023】図1に本発明の軸受装置をポリゴンミラー
付モータに適用した実施の形態を示す。このモータは、
図示しない光源からの光束を、回転多面鏡であるポリゴ
ンミラー1で反射させ、図示しないFθレンズ等の各種
レンズにより感光ドラム上に微小のビーム径として収束
させ、静電線像を書き込む光学走査装置に使用されるも
のである。
【0024】このモータは、従来と同様に、ポリゴンミ
ラー1と回転駆動用のマグネット21が取り付けられて
回転する回転体としてのロータ2と、駆動用のコイル3
1を保持するステータ3と、回転体としてのロータ2を
回転自在に支持する軸受部材34と、から主に構成され
ている。
【0025】ロータ2には、更に、ポリゴンミラー1の
回転バランスを矯正するバランスプレート11とスラス
トマグネット22が取り付けられ、ステータ3には、ス
ラストマグネット22と協働してロータ2に浮動力を発
生させる磁気スラスト軸受を構成するためのスラストマ
グネット32と、ステータ3を構成するステータコア3
3と軸受部材34とが取り付けられている。なお、ステ
ータ3は、ホルダー4に嵌合固定されている。
【0026】ポリゴンミラー1は、ロータ2の図示上端
に設けられた小径部24にはめ込まれ、その小径部24
と大径部25とをつなぐ連絡部28に、ポリゴンミラー
1の平面部を突き当てることにより位置決めされてい
る。そして、バランスプレート11を、ネジ14により
ロータ2の小径部24に取り付けることにより、ポリゴ
ンミラー1は、ミラー押え板12及び板バネ13を介し
て、バランスプレート11と連絡部28に挟み込まれ固
定される。このバランスプレート11は、ロータ2の加
工誤差又はポリゴンミラー1やマグネット21等を取り
付ける際の組付け誤差等により、回転体全体の重心位置
が正規な位置からずれた場合の調整部材である。その調
整は、バランスプレート11の外周よりの位置に、径や
深さが設定された一個又は複数個の凹孔11aを形成す
ることにより行われる。この調整により、ワウフラッタ
等の振動や軸受面間の衝突等を解消し減少させている。
また、このバランスプレート11の中心付近には、後述
する動圧軸受部と連通しモータ内部の空気を外に逃がす
孔11bが、外周端には、回転体全体を着脱する際に使
用する把持部11cがそれぞれ設けられている。
【0027】回転体としてのロータ2は、アルミ材で構
成されており、その大径部25の内周面にはヨーク27
を介して回転駆動用のマグネット21が取り付けられ、
大径部25のポリゴンミラー1が取り付けられた面とは
反対の面には周波数発電機用マグネット26が取り付け
られている。ロータ2の外周軸受面23には、軸受流体
の動圧を発生させるためのくの字状の複数の動圧発生用
の溝29が設けられ、動圧軸受部の軸受面の一方を構成
している。この溝29を含む外周軸受面23全体には、
SiC微粒子を含むNi−P無電解メッキ23aが施さ
れている。ロータ2の小径部24の内周面には、ステー
タ3の一端に取り付けられたスラストマグネット32に
対向する位置にスラストマグネット22が取り付けられ
ており、ステータ3側のマグネット32との間で吸引力
によりロータ2を浮上させて非接触で支持するスラスト
軸受を構成している。この吸引力は、両マグネット2
2,32の対向する磁極の極性を図1に示されるように
逆にすることで発生している。
【0028】ステータ3の図示上端に位置する最小径部
3aには、上述したようにスラストマグネット32がス
ラストマグネット22に対向するように、最小径部3a
に隣接する小径部3bには、周波数発電機用回路基板3
6が周波数発電機用マグネット26に対向するように、
小径部3bに隣接する中継部3cには、駆動用コイル3
1を保持しステータ3の一部を構成するステータコア3
3がマグネット21に対向するようにそれぞれ取り付け
られている。ステータ3の図示下端に位置する大径部3
dには、ステータ3の一部を構成する円筒状の軸受部材
34が回転体としてのロータ2の外周軸受面23に対し
間隙8をもって囲む形で取り付けられている。更に、大
径部3dには、軸受部材34の取り付け面と反対の面
に、駆動コイル31への通電用回路パターンが形成され
た駆動用回路基板37が取り付けられている。
【0029】軸受部材34は、アルミ材で構成されてお
り、半径方向に貫通する単数又は複数の連通孔34b
(本実施の形態では内周面の対向する位置に二つ設置)
とが設けられている。そして、この軸受部材34は、ネ
ジ7により、ホルダー4に固定される。なお、この軸受
部材34の内周軸受面35は、動圧軸受部の軸受面の他
方を構成するものであり、その内周軸受面35には、図
2に示すように熱硬化性樹脂であるポリテトラフルオロ
エチレン(略称PTFE)を10〜80重量%含有する
PTFE分散ポリアミドイミド部35aが樹脂層を構成
するように3μm以上の厚さで塗装又は塗布によりコー
ティングされている。
【0030】このPTFE分散ポリアミドイミド部35
aが塗装又は塗布される内周面35の表面は、ポリアミ
ドイミド部35aを剥離することのないように、温式エ
ッチングやサンドブラスト等により荒らされ、12S
(JIS B0031に規定の表面粗さ参照)以上の表
面粗さとされている。このように表面粗さを12S以上
としたのは、種々の粗さで実験した結果、表面粗さ7S
以下にすると、塗装又は塗布されるPTFE分散ポリア
ミドイミド部35aが剥離してしまうため、安全性を見
込んで12S以上としたのである。ただし、アルミニウ
ム素地とPTFE分散ポリアミドイミド部35aの間に
アルミニウムと親和性の良い接着剤を介するようにすれ
ば必ずしも表面粗さを12S以上とする必要はない。な
お、実験及びその結果は次の通りである。即ち、図1の
軸受においてアルミニウム素地の面粗さが1S,5S,
7S,12S,17Sの5種類を用い、ここにポリテト
ラフルオロエチレンを40重量%含有するPTFE分散
ポリアミドイミド部35aを3μm以上の厚さでコーテ
ィングし、レース加工によりコーティング厚さを3μm
にした各5台のモータにヒートショックを与えた。その
結果、1Sでは、計5個の剥離が生じ、5Sでは3個、
7Sでは1個の剥離がそれぞれ生じ、12S、17Sで
は剥離が生じなかった。
【0031】また、コーティングするPTFE分散ポリ
アミドイミド部35aの厚さを3μm以上としたのは、
種々の厚さで実験した結果、3μmより小さくすると、
運転時の接触により焼き付きを起こすことがあるためで
ある。なお、実験及びその結果は次の通りである。即
ち、図1の軸受においてアルミニウム素地の面粗さを1
2Sとし、ここにポリテトラフルオロエチレンを40重
量%含有するPTFE分散ポリアミドイミドを1,2,
3,4,5,6,7μmの各厚さでコーティングした各
10台のモータを、運転時に100回強制的に、そのコ
ーティング面とSiC微粒子を含むNi−P無電解メッ
キが施されている外周軸受面23とを接触させた。その
結果、1μmでは計7台の焼き付きが生じ、2μmでは
2台焼き付きが生じ、3〜7μmではそれぞれ焼き付き
が生じなかった。
【0032】また、コーティングするPTFE分散ポリ
アミドイミド部35aを、ポリテトラフルオロエチレン
が10〜80重量%含有されるポリアミドイミドとした
のは、図3に示すように、ポリテトラフルオロエチレン
の含有量が80重量%を超えると、焼き突きが発生し、
一方、10重量%より少なくなると摩耗粉が飛散する結
果、ポリゴンミラー1の反射率が低下し、レーザービー
ムプリンターには採用できなくなるためである。即ち、
ポリゴンミラー1の反射率としては80%以上の反射率
が求められているが、ポリテトラフルオロエチレンの含
有量が10重量%未満のときは、その80%の反射率に
達しなかったからである。具体的には、0重量%の時の
ポリゴンミラー1の反射率は54%となり、含有量が5
重量%の時のポリゴンミラー1の反射率は75%とな
り、これらの含有量ではレーザービームプリンターには
採用できなかった。そして10重量%の時に、ようやく
求められる規格の最低値である80%の反射率となっ
た。なお、25重量%のときは85%、50重量%の時
は88%、60重量%の時は90%の各反射率となっ
た。このようにポリテトラフルオロエチレンの含有量が
10重量%以上であれば、ポリゴンミラー1の反射率は
80%以上となり、問題のない反射率となる。また、含
有量と反射率のこの関係は、ポリテトラフルオロエチレ
ンの含有量が10重量%未満の所では、含有量の僅かな
増大が反射率の大きな向上をもたらすが、10重量%の
所を境としてその反射率の向上は鈍くなる。更に、75
%以上の反射率で良ければ、その含有量を5重量%以上
とすれば良いこと判った。
【0033】なお、ホルダー4は、底付き円筒形状とさ
れ、その中心に軸受部材34が入れられる。そして、ホ
ルダー4には、ホルダー4と軸受部材34との間にでき
る空間に連通する通気孔4aと、ステータ3に取り付け
られた駆動用回路基板37に接する形でモータを載置す
る載置部4bと、軸受部材34の被固定部34cが載置
される円形の固定部4cと、軸受部材34を固定するた
めにネジ7が入る孔4dが設けられている。
【0034】次に、以上のように構成されたポリゴンミ
ラー付モータの駆動について説明する。
【0035】駆動用回路基板37の駆動回路に駆動信号
が入力されると、駆動用コイル31への通電が開始され
る。そして、コイル31とマグネット21の相互作用に
より、回転体としてのロータ2が回転し始め、それと一
体固定されているポリゴンミラー1も回転し始める。す
ると動圧発生用の軸受流体としての空気が、図1の矢印
で示されるように、軸受部材34に設けられた複数の通
気孔34aから連通孔34bを通り、間隙8に取り込ま
れる。なお、この空気は、図1の矢印で示されるよう
に、ホルダー4の通気孔4aから取り込まれたもので、
軸受部材34に取り付けられたフィルター38を通り、
複数の通気孔34a内に入ってきたものである。間隙8
に取り込まれた空気は、軸受流体の動圧発生用のくの字
状の複数の溝29に供給され、軸受部材34の内周軸受
面35との間で動圧力を発生している。これにより、ラ
ジアル方向の軸受がなされると共に、ポリゴンミラー1
の高速回転が達成される。この回転は、通常、1〜3万
rpmであるが、ポリゴンミラー1の面数や印字密度等
に合わせ、数千rpm〜10万rpm程度まで対応が可
能となっている。ポリゴンミラー1が高速回転される
と、ポリゴンミラー1の下部の空気も粘性により外に飛
ばされ、その部分が負圧となり、図1の矢印で示される
ように、複数の通気孔34a内の空気と間隙8内の空気
が取り込まれる。このようにして、連続した空気の流れ
ができ、動圧による高速回転が維持される。
【0036】このとき駆動開始時のモータの姿勢や回転
中に外部からの衝撃、姿勢変化により軸受面となる外周
軸受面23と内周軸受面35が接触したとしても、その
内周軸受面35にポリテトラフルオロエチレンを10〜
80重量%含有するPTFE分散ポリアミドイミド部3
5aが3μm以上の厚さで塗装又は塗布によりコーティ
ングしてあるので、摩擦係数の低いポリテトラフルオロ
エチレンの効果及び機械的性質、耐摩耗性等に優れたポ
リアミドイミドの効果により、その両軸受面23,35
が焼き付くことはなくなり、モータの回転が停止すると
いう事態もなくなる。そして、その両軸受面23,35
の接触が度々起こって摩耗量が増加しても、ポリテトラ
フルオロエチレンにより材料全体に粘りを持たせること
により摩耗粉の飛散が抑えられる。
【0037】また、間隙8は、駆動用コイル31や各種
マグネット21,26,22,32,36が存置される
空間と連通しており、更には、バランスプレート11の
孔11bを介して外部と連通している。これにより、図
1の矢印で示されるような内部空間の空気流路ができ
る。そして、この内部空間に導入された空気は、動圧軸
受部の空気の逃がしとモータの冷却という二つの役割に
加え、ロータ2を正規位置に保持する役割を担ってい
る。即ち、ロータ2に対して軸方向の外乱が加わり上方
又は下方に変位しようとすると、バランスプレート11
の孔11bのオリフィス効果により、その変位が抑止さ
れる。なお、本発明の実施の形態では、複数の通気孔3
4aを通る空気の流れにより、モータの熱が奪われるの
で、ファン等の部品を付加することなく、冷却効果を上
げることができる
【0038】なお、上述の実施の形態は、本発明の好適
な実施の形態の一例であるが、これに限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変
形可能である。例えば、上述の実施の形態では軸受部材
34の内周軸受面35にポリテトラフルオロエチレンを
10〜80重量%混合したPTFE分散ポリアミドイミ
ド部35aをコーティングしているが、PTFE分散ポ
リアミドイミド部35aは特にその材質を限定されるも
のではなく、熱硬化性樹脂なら例えばフェノール樹脂、
エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等何でも良い。
【0039】また、熱硬化樹脂には、ポリテトラフルオ
ロエチレン以外の低摩擦係数樹脂を混合することも可能
である。
【0040】更に樹脂層は、軸受部材34の内周軸受面
35ではなく、回転体としてのロータ2の外周軸受面2
3に形成しても良く、またロータ2、軸受部材34の両
軸受面の双方に形成するようにしても良い。
【0041】さらにまた、この樹脂層の形成方法として
は、塗装や塗布等のコーティングの他貼り付け等各種の
方法を採用することができる。例えば直圧成形もしくは
射出(インジェクション)成形等で成膜したものでも良
い。
【0042】また、ポリアミドイミドを形成した面に対
向する軸受面には、本実施の形態のようなSiC微粒子
を含むNi−P無電解メッキを施す以外に、硬質アルマ
イト処理を施したり、焼き付き防止の効果を更に高める
ためにポリテトラフルオロエチレンを分散させた無電解
Ni−Pメッキやポリテトラフルオロエチレンを分散さ
せた無電解ニッケル−ほう素メッキを施しても良い。
【0043】また、回転体や軸受部材の素地材料として
は、アルミニウム合金等のアルミ材の他、銅合金や鉄合
金等でも良い。そして、それらの素地材料をそのままP
TFE分散ポリアミドイミドが形成された面と対向させ
るようにしても良い。更に、対称となる軸受部材が実施
の形態のような高速回転用の動圧流体軸受でない場合
は、形成するPTFE分散ポリアミドイミドの厚さを3
μm以下にしても焼き付きは充分に防止される。また、
動圧を発生させる流体としては、空気等の気体ではな
く、油等の液体でも良い。更に実施の形態では、マグネ
ットを保持する部材を回転させているが、コイルを保持
する部材を回転させるようにしても良い。
【0044】
【実施例】下表1は本発明の実施例1乃至3の樹脂層を
試験片に塗装し、その塗装面を幅5mmの摩耗輪に12μ
mのラッピングペーパーを装着して荷重を5.9Nかけ
つつ所定時間経過後の摩耗量を調べるとともに、動圧軸
受装置を動圧軸受モータへ装着して実験を行った実装デ
ータを表している。
【0045】
【表1】
【0046】実施例1はポリテトラフルオロエチレンを
67%含有させたA社製ポリアミドイミド樹脂で、実施
例2はポリテトラフルオロエチレンを31%含有させた
B社製ポリアミドイミド樹脂で、実施例3はC社製のエ
ポキシ樹脂で、実施例4はB社製のフェノール樹脂で、
実施例5はB社製のエポキシ樹脂をそれぞれ塗布により
コーティングしたものである。表1からわかるように、
実施例1、2、3、4及び5ともに摩耗量は目標値の1
5μm以内におさまり、また焼き付きの発生も観察され
なかった。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように本発明の請求項1の軸
受装置では、回転体又は軸受部材の少なくとも一方の軸
受面に、熱硬化性樹脂からなる樹脂層を形成したので、
摩擦熱に対して、軸受面の表面が硬化する性質を有する
ため摩耗しにくく、駆動時の不慮の衝撃等による焼き付
きが生じることがなく、動圧軸受装置及びそれを用いた
ポリゴンミラー付モータの信頼性を向上できる。
【0048】請求項2,3の軸受装置では請求項1の軸
受部材に加えて、熱硬化性樹脂に、ポリテトラフルオロ
エチレン等の低摩擦係数樹脂を10乃至80重量%混合
したので、耐摩耗性がそれ程低下せず、また材料全体の
粘りが高くなり、たとえ摩耗してもその摩耗粉が飛散し
ない構成になっているため、上記効果を一層高めること
ができる。
【0049】請求項4の軸受装置では、回転体の軸受面
と軸受部材の軸受面との間隔が非常に狭く、凝着及び焼
き付きが起こり易い空気動圧軸受装置に請求項1記載の
軸受装置を使用しているので、熱硬化性樹脂の耐熱性が
製品に大きな効果をもたらし、信頼性の高い空気動圧軸
受装置となる。
【0050】請求項5の軸受装置では、請求項1の軸受
部材に加えて、回転体もしくは軸受部材がアルミニウム
材から構成されているので、軽量かつ切削加工が容易な
ため、低コストで加工できるという効果を有する。
【0051】請求項6の軸受装置では、請求項1の軸受
部材に加えて、熱硬化性樹脂が、ポリアミドイミドで構
成されているので、機械的性質、耐摩耗性、耐熱性に優
れた軸受とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の要部の一部切欠断面図で
ある。
【図2】本発明の実施の形態の軸受面の一部拡大図であ
る。
【図3】ポリアミドイミド中のポリテトラフルオロエチ
レンの含有量と摩耗量との関係並びに焼き付き発生及び
摩耗粉飛散により使用不可のモータを示す線図である。
【図4】光学走査装置に使用されるポリゴンミラーモー
タの要部断面図である。
【符号の説明】
2 ロータ 3 ステータ 21 マグネット 23 ロータの外周軸受面 34 軸受部材 35 軸受部材の内周軸受面 35a ポリテトラフルオロエチレンを10〜80重
量%混合したPTFE分散ポリアミドイミド部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転体と、該回転体を保持する軸受部材
    と、前記回転体と軸受部材との間に介在する軸受流体
    と、を有し、上記回転体の軸受面と軸受部材の軸受面と
    の間で発生する軸受流体の動圧により前記回転体を支承
    する動圧軸受装置において、 上記回転体の軸受面及び軸受部材の軸受面の少なくとも
    一方側に、熱硬化性樹脂からなる樹脂層を形成したこと
    を特徴とする軸受装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の樹脂層は、熱硬化性樹脂
    に低摩擦係数樹脂を10乃至80重量%混合したもので
    あることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の低摩擦係数樹脂が、ポリ
    テトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴
    とする動圧軸受装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の軸受流体が、空気である
    ことを特徴とする動圧軸受装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の回転体もしくは軸受部材
    は、アルミ材からなることを特徴とする動圧軸受装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の熱硬化性樹脂が、ポリア
    ミドイミドであることを特徴とする動圧軸受装置。
JP21540295A 1995-08-01 1995-08-01 動圧軸受装置 Withdrawn JPH0942277A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7866889B2 (en) 2006-02-06 2011-01-11 Minebea Co., Ltd. Fluid dynamic bearing system

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