JPH0941627A - 床パネルの接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パネル部材間の防水性が良好で且つ経時によ
り低下することがなく、また熟練を要することがなく簡
単、容易、且つ美しく施工することのできる床パネルの
接合構造を提供する。 【解決手段】 一方のパネル部材Ａの側縁１１から途中
で外向きの段部１３を有する側壁１２が垂下され、その
下端が折曲されて上向きに開口する接合溝Ｃが設けら
れ、接合溝Ｃ内には弾性体の防水材３が充填され、他方
のパネル部材Ｂの側縁２１から側壁２２が垂下されて外
向きの段部２３を経て下部は押さえ壁２４となされ、押
さえ壁２４は防水材３を圧縮して挿入され、側壁１２，
２２の段部１３，２３より上に形成される空間部Ｄに弾
性体の防水材４が圧縮・充填され、防水材４の上には空
間部Ｄを覆って弾性体の目地材５が嵌めこまれている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、バルコニーやテラ
ス等の床を形成するのに用いられる床パネルの接合構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、バルコニーやテラス等の床は、根
太等の下地組みの上に床パネルを敷設することによって
形成されている。しかし大きい面積の床を形成する場合
には、大きい１枚ものの床パネルを使用すると重量が大
きすぎるので施工性が悪い。そこで、小さく分割された
軽量のパネル部材（ユニット）を複数枚接合して床パネ
ルを形成する方法が通常に施工されている。このような
場合、バルコニーやテラス等の下には水漏れがあっては
ならず、パネル部材の接合部には水密性が要求される。
そして、このような要求に応える技術として、実公平３
−２２９６８号公報にそのような床パネルの接合部が提
案されている。

【０００３】実公平３−２２９６８号公報記載の床パネ
ルの接合部は、一方のパネル部材の側縁から途中で外向
きの段部を有する側壁が垂下され、側壁の下端が折曲さ
れて上向きに開口する接合溝が設けられ、接合溝内には
弾性体からなる防水材が充填され、他方のパネル部材の
側縁から側壁が垂下されてされて外向きの段部を経てそ
の下部は押さえ壁となされ、押さえ壁が接合溝内の防水
材を圧縮して挿入され、両側壁の段部より上の空間に防
水材が圧縮・充填され、且つその上に伸縮性の目地材が
充填されているものである。ここで、防水材としてはポ
リエチレンの発泡体、エチレンプロピレン共重合体の発
泡体等が使用される。また目地材としてはシリコンゴ
ム、ポリサルファイド、ブチルゴム等のように、接着性
とともに硬化後も伸縮性のあるシーリング剤が使用され
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報記載
の床パネルの接合部は、目地材として次のような問題が
ある。即ち、目地材のシリコンゴム、ポリサルファイ
ド、ブチルゴム等は硬化前はペースト状であって、施工
に際しては目地に沿ってマスキングテープを貼り、均一
に充填し、充填後は表面を平滑にするなど熟練を要し、
手間と時間がかかるという問題がある。また、施工後に
シーリング剤が劣化して防水性が低下したり、汚れて著
しく美観を損なうことがある。

【０００５】本発明はこのような従来技術の問題点に鑑
みてなされたものであって、パネル部材間の防水性が良
好で、且つ防水性が経時により低下することがなく、ま
た、熟練を要することなく簡単、容易、且つ美しく施工
することのできる床パネルの接合構造を提供することを
目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の床パネルの接合構造は、一方のパネル部材
の側縁から途中で外向きの段部を有する側壁が垂下さ
れ、側壁の下端が折曲されて上向きに開口する接合溝が
設けられ、該接合溝内には弾性体からなる防水材が充填
され、他方のパネル部材の側縁から側壁が垂下されてさ
れて外向きの段部を経て下部は押さえ壁となされ、該押
さえ壁が接合溝内の防水材を圧縮して挿入され、両側壁
の段部より上に形成される空間部に防水材が圧縮・充填
され、該防水材の上には空間部を覆って弾性体からなる
目地材が嵌め込まれていることを特徴とする。

【０００７】本発明のパネル部材としては、ＦＲＰ、硬
質塩化ビニル、ＡＢＳ等の合成樹脂や、繊維補強セメン
ト、繊維補強珪酸カルシウム等の無機質材料によるプレ
ス成形品、押出成形品、引抜成形品などが好適である。

【０００８】弾性体からなる防水材としては、例えばポ
リエチレンの発泡体、エチレンプロピレン共重合体の発
泡体等の独立気泡性合成樹脂発泡体、合成ゴム、合成ゴ
ム発泡体などが使用される。

【０００９】また、弾性体からなる目地材としては、例
えば軟質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、フッ素ゴム等
の合成ゴムなどの押出成形による型材などが使用され
る。なお目地材には、耐候性を改善するために紫外線吸
収剤や酸化防止剤などが添加されていることが好まし
い。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して説
明する。図１は本発明の一例を示す斜視図である。硬質
塩化ビニル樹脂の押出成形により成形された一方のパネ
ル部材Ａには、板状本体１の一側縁１１から垂下された
側壁１２が外向きの段部１３を形成し、側壁１２の下端
が折曲されて下部に上向きに開口する接合溝Ｃが凹設さ
れ、接合溝Ｃ内にはポリエチレンの発泡体（弾性体）か
らなる防水材３が充填されている。

【００１１】同様に硬質塩化ビニル樹脂の押出成形によ
り成形された他方のパネル部材Ｂには、板状本体２の一
側縁２１から側壁２２が垂下され、途中で外向きの段部
２３が形成された後、押さえ壁２４が設けられて、押さ
え壁２４は接合溝Ｃ内の防水材３を下方へ圧縮して挿入
されている。

【００１２】パネル部材Ａの段部１３とパネル部材Ｂの
段部２３によって形成される側壁１２、２２間の空間部
Ｄにはポリエチレンの発泡体からなる防水材４が圧入さ
れ、更に防水材４の上には、軟質塩化ビニル樹脂を押出
成形した目地材５が嵌め込まれている。

【００１３】この目地材５は、断面の中央部がなだらか
な中高形状で且つ空間部Ｄの巾より充分広い巾に形成さ
れており、縁辺部５１の裏面の両側に長手方向に沿って
突条５２が形成されている。また、パネル部材Ａの板状
本体１上の角部には目地材５の縁辺部５１の厚さと等し
い深さの段部１５が形成され、更に段部１５には突条５
２が嵌着される嵌着溝１６が形成されている。同様にし
てパネル部材Ｂにも段部２５及び嵌着溝２６が形成され
ている。突条５２はこれら嵌着溝１６、２６に目地材５
の弾性を利用して圧入される形状と寸法に形成されてい
て、突条５２を一端側から嵌着溝１６、２６に押し込ん
でゆくことによって目地材５が嵌め込まれる。なお、パ
ネル部材Ａの板状本体１及びパネル部材Ｂの板状本体２
の上面には、目地材５の縁辺部５１に隣接して、それぞ
れ排水用凹溝１７、２７が設けられている。

【００１４】このような床パネルの接合構造において
は、接合部の防水性は以下のようにして確保される。即
ち、パネル部材Ａ、Ｂ間の空間部Ｄの上に嵌め込まれた
目地材５の縁辺部５１がパネル部材Ａの板状本体１及び
パネル部材Ｂの板状本体２の上面に密着していることに
よって水の浸入が防止されるとともに、目地材５の突条
５２が嵌着溝１６、２６に嵌め込まれて、空間部Ｄへの
水の浸入が防止される。

【００１５】目地材５の下の空間部Ｄ内には防水材４が
圧入され、更に接合溝Ｃ内にも防水材３が挿入されてい
て、防水材３に圧入された押さえ壁２４が防水材３を立
上がり片１４との間で圧縮してこの部分の防水性は一層
大となり、更に押さえ壁２４によって予め下方へ圧縮さ
れているので、防水材３が接合溝Ｃから飛び出すのが防
止される。従って床パネルの接合部はこれら三重の防水
が施されていることによって高い防水性が確保されてい
る。なお、床パネルの上に降った雨などの水は排水用凹
溝１７、２７を伝って床パネル側部に設けられた側溝
（図示しないが図１において手前側）へ排水されるの
で、床パネルの上に長時間停滞することがない。なお、
パネル部材Ａの縁辺部５１の厚さと段部１５の深さは同
じに形成されていて段差がなく、目地材５は断面の中央
部がなだらかな中高形状に形成されているので、床パネ
ル上を歩行する際の障害となることはない。

【００１６】図２は図１の床パネルの接合構造を用いて
根太６の上に固定された架台７上に形成されたバルコニ
ーの床を示す断面図である。パネル部材Ａの接合溝Ｃ内
に防水材３を充填し、次いでパネル部材Ｂの押さえ壁２
４を挿入して防水材３を圧縮する。そしてパネル部材Ａ
とパネル部材Ｂの間の空間部Ｄに防水材４を圧入し、防
水材４の上にパネル部材Ａとパネル部材Ｂに跨がるよう
にして目地材５を嵌め込む。このようにして複数枚のパ
ネル部材を順次接合することによってバルコニーの床が
形成される。

【００１７】図３は本発明の他の一例を示す斜視図であ
る。図３に示す例においては、目地材５ａは断面の上面
中央部が中窪状の溝５３ａに形成され、且つ空間部Ｄの
巾より充分広い巾を有していて、縁辺部５１ａの表面は
パネル部材Ａの板状本体１の表面及びパネル部材Ｂの板
状本体２の表面と面一となるように形成されている。そ
して図１に示した例と同様に、縁辺部５１ａの裏面の両
側長手方向に沿って形成された突条５２ａが、パネル部
材Ａの嵌着溝１６ａ及びパネル部材Ｂの嵌着溝２６ａに
嵌め込まれている。

【００１８】図３に示す例においても、図１に示した例
と同様に、目地材５ａの縁辺部５１ａとパネル部材Ａの
板状本体１及びパネル部材Ｂの板状本体２の上面との間
の密着、空間部Ｄ内の防水材４及び接合溝Ｃ内の防水材
３と、三重の防水が施されていることによって防水性が
確保される。なお、図３に示す例においては、目地材５
ａの断面中央部の中窪状の溝５３ａが床パネル上の水を
有効に排水する。また目地材５ａはパネル部材Ａの板状
本体１及びパネル部材Ｂの板状本体２の上面より低いた
めに、図１に示す例よりも歩行が楽である。

【００１９】図４は本発明の更に他の一例を示す斜視図
である。図４に示す例では、目地材５ｂは断面上面に平
底状の溝５３ｂが形成されており、下方両側には鉤状の
突条５２ｂが形成されている。そして、パネル部材Ａの
側壁１２とパネル部材Ｂの板状本体２の側壁２２にも鉤
状の嵌着溝１６ｂ及び２６ｂがそれぞれ設けられてい
て、嵌着溝１６ｂ及び２６ｂに目地材５ｂの突条５２ｂ
が嵌着されている。図４に示す構造のものは、防水性に
ついては図１あるいは図３のものとほぼ同様であるが、
突条５２ｂを嵌着溝１６ｂ及び２６ｂに嵌着する場合、
突条５２ｂは側壁１２と２２に案内されて挿入されるの
で施工が容易である。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明説明で明らかなように、本発
明の床パネルの接合構造は、パネル部材間の防水性が良
好で、水が漏れるようなことがなく、また目地材として
ペースト状のシーリング剤を使用しないので、従来技術
のようにシーリング剤が劣化して防水性が経時により低
下したり、シーリング剤が汚れて美観を損なうようなこ
とがない。更に熟練を要するシーリング剤塗布やマスキ
ングテープ貼りの必要がなく、施工の手間と時間を節約
することができるとともに、施工時にシーリング剤で目
地部が汚れたりすることがなく、美しい仕上がり状態を
得ることができる。

【００２１】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明床パネルの接合構造の一例を示す斜視
図。

【図２】図１に示した床パネルの接合構造の施工態様を
示す断面図。

【図３】本発明床パネルの接合構造の他の一例を示す斜
視図。

【図４】本発明床パネルの接合構造の更に他の一例を示
す斜視図。

【符号の説明】 １１，２１ 側縁 １２，２２ 側壁 １３，２３ 段部 １５，２５ 段部 ２４ 押さえ壁 ３，４ 防水材 ５ 目地材 Ａ，Ｂ パネル部材 Ｃ， 接合溝 Ｄ 空間部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方のパネル部材の側縁から途中で外向
   きの段部を有する側壁が垂下され、側壁の下端が折曲さ
   れて上向きに開口する接合溝が設けられ、該接合溝内に
   は弾性体からなる防水材が充填され、他方のパネル部材
   の側縁から側壁が垂下されてされて外向きの段部を経て
   下部は押さえ壁となされ、該押さえ壁が接合溝内の防水
   材を圧縮して挿入され、両側壁の段部より上に形成され
   る空間部に防水材が圧縮・充填され、該防水材の上には
   空間部を覆って弾性体からなる目地材が嵌め込まれてい
   ることを特徴とする床パネルの接合構造。