JPH0940920A - 粘着シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 主として装飾やマーキングの為に使用する粘
着シートであって、耐候性、耐汚染性及び被着体に対す
る追従性に優れたものを提供する。 【解決手段】 基材シートとして、フッ化ビニリデン樹
脂シートと熱可塑性ウレ樹脂シートとからなる積層シー
トを使用し、積層されるシートの少なくともいずれか一
方に予め紫外線吸収剤を含有せしめ、熱可塑性ウレタン
樹脂シート上に粘着剤層を設けてなる粘着シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、屋外もしくは屋内
で、主として装飾やマーキングの為に種々のものに貼着
して使用する粘着シートに関する。尚、本発明ではフィ
ルム、テープおよびシートを敢えて区別することなく、
これらを総称して単に「シート」と呼称する。

【０００２】

【従来の技術】従来、装飾やマーキングの為に使用する
粘着シートは、種々の品質特性を備えている必要がある
が、中でも被着体に貼着されて屋外暴露される機会が多
いので耐候性と被着体に対する追従性が要求される。ま
た、当然のことながら美粧性や識別性が付与されている
から、これらの品質を損なうことのないように、耐汚染
性にも優れている必要がある。

【０００３】ところで、このような品質特性を備えた基
材シートとしては、既存のシートの中では、軟質塩化ビ
ニル樹脂シートが比較的適しているので、カレンダー法
やゾルキャスト法により成形されたところの、柔軟性、
伸縮性に富む軟質塩化ビニル樹脂シートが汎用されてき
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、軟質塩
化ビニル樹脂シートは、可塑剤や安定剤が多量に含まれ
ているので、経時によりこれらの可塑剤等がブリードア
ウトし易く、粘着剤層との界面を汚染し、界面接着力を
低下させたり、また粘着剤の粘着力そのものまでを低下
させるといった問題があった。また一方では、用済み後
の廃棄焼却の際に塩化水素等の有害ガスを発生するので
衛生上、公害上でも問題があった。

【０００５】そこで、フッ化ビニリデン樹脂シートの採
用が検討された。その理由は、このシートが耐候性、耐
汚染性（非粘着性）、耐水性等に優れており、特に屋外
での使用に適しているからである。しかしながら、この
シート単独では腰が強すぎるために被着体への追従性が
不足するという問題があり、満足なものが得られていな
いのが現状である。

【０００６】本発明は、上述のごとき従来技術の問題点
を解決し、耐候性、耐汚染性は無論のこと被着体に対す
る追従性にも優れた粘着シートを提供することを目的と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の粘着シートは、
フッ化ビニリデン樹脂シート、熱可塑性ウレタン樹脂シ
ートおよび粘着剤層が順次積層されてなる粘着シートで
あって、上記フッ化ビニリデン樹脂シートおよび熱可塑
性ウレタン樹脂シートの少なくともいずれか一方に紫外
線吸収剤が含まれていることを特徴とするものであり、
このことにより上記目的が達成される。

【０００８】本発明者は、フッ化ビニリデン樹脂シート
の被着体に対する追従性不足の問題を改善する為に種々
研究を重ねた。その結果、他の素材からなる積層シート
とすることが最も早道で効果的な手段であることを見出
したのである。

【０００９】そして、フッ化ビニリデン樹脂シートが具
有する耐候性、耐汚染性を維持しつつ、これに柔軟性を
付与できる相手シートとして、各種のシートを追求した
ところ、熱可塑性ウレタン樹脂シートが最適であること
を突き止めたのである。つまり、フッ化ビニリデン樹脂
シートを表面側、熱可塑性ウレタン樹脂シートを裏面側
に配して、あらゆる要求品質を満足できる基材シートを
得ることを狙いとするものである。

【００１０】フッ化ビニリデン樹脂としては、該樹脂単
独のものを使用する他、他の系統の樹脂、例えばアクリ
ル系樹脂を混合したブレンド樹脂等も含まれる。特にこ
のアクリル系樹脂を用いると、熱可塑性ウレタン樹脂と
の密着性が向上し、基材に対する追従性もより改善され
るので好適である。このときに使用するアクリル樹脂と
しては、２−エチルヘキシルアクリレート−アクリル酸
−酢酸ビニルの三元共重合体が好適である。

【００１１】このフッ化ビニリデン樹脂シートは、基材
に優れた耐候性を付与させると共にフッ素系樹脂特有の
撥水性および耐磨耗性を利用して、基材表面に優れた耐
汚染性を付与することに寄与し、更に下層の熱可塑性ウ
レタン樹脂シートを被覆し保護することにより、上記熱
可塑性ウレタン樹脂シート中に紫外線吸収剤が含まれる
場合は、その経時による逸散を防止乃至抑制する機能を
発揮することができる。

【００１２】本発明に用いる熱可塑性ウレタン樹脂シー
トとしては、通常のこれらのシートや発泡シートの他
に、ウレタン系の熱可塑性エラストマーも含まれる。こ
の熱可塑性エラストマーの場合、ハードセグメントとし
てポリウレタンを持ち、ソフトセグメントとしてポリエ
ーテル、ポリエステル、ポリカーボネート等を持つブロ
ック共重合体が挙げられる。

【００１３】本発明に用いる熱可塑性ウレタン樹脂シー
トは、これをフッ化ビニリデン樹脂シートに積層するこ
とにより、該積層シートが、フッ化ビニリデン樹脂シー
トが本来具有する耐候性、耐汚染性、耐水性に加えて、
被着体に対する追従性も具有することになるのである。

【００１４】即ち、フッ化ビニリデン樹脂シートの追従
性の改善は、これを積層シートとすることにより、該フ
ッ化ビニリデン樹脂シート自体が基材シートに占める割
合を少なくして、その分、腰の強さを軽減すると共に、
積層される熱可塑性ウレタン樹脂シートが本来具有する
柔軟性を基材シートに加味することにより達成される訳
である。

【００１５】上記積層シートを構成する両シートの厚み
は、耐候性および使用時の作業性と被着体に対する追従
性との絡みでその好ましい範囲が存在する。即ち、フッ
化ビニリデン樹脂シートの厚みは、耐候性からは１０μ
ｍ以上が好ましく、被着体への追従性からは３０μｍ以
下とするのが好ましい。

【００１６】また、熱可塑性ウレタン樹脂シートの厚み
は、被着体への貼付け作業性からは３０μｍ以上が好ま
しく、被着体への追従性からは１００μｍ以下とするの
が好ましい。

【００１７】フッ化ビニリデン樹脂シートと熱可塑性ウ
レタン樹脂シートとの積層方法としては、共押出法、ド
ライラミネート法等がある。また、粘着剤層が形成され
る熱可塑性ウレタン樹脂シートの非積層面は、粘着剤と
のアンカー効果を上げるためにコロナ放電処理を施すこ
とが望ましい。

【００１８】本発明の粘着シートにおいては、耐候性を
上げるために基材を構成する両シートの何れか一方もし
くは両方に紫外線吸収剤を配合する。該紫外線吸収剤と
しては、一般に汎用されているベンゾフェノン系、ベン
ゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の各種有機
系のものが挙げられる。

【００１９】ベンゾフェノン系としては、例えば、２，
４−ジヒドロキシベンゾフェノン、２，２′−ジヒドロ
キシ−４−メトキシベンゾフェノン、２−ヒドロキシ−
４−メトキシ−２′−カルボキシルベンゾフェノン等が
挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、例えば、２
−（２′−ヒドロキシ−５′−メチルフェニル）ベンゾ
トリアゾール、２−（２′−ヒドロキシ−５′−メチル
フェニル）−５，６−ジクロロベンゾトリアゾール等が
挙げられ、シアノアクリレート系としては、例えばエチ
ル−２−シアノ−３，３−ジフェニルアクリレート等が
挙げられる。

【００２０】これらの低分子量型の有機系紫外線吸収剤
の他に、経時によるブリードアウトが比較的少ない高分
子量型の紫外線吸収剤を使用してもよく、該高分子量型
のものは、基材を構成するシート同士や粘着剤層との間
で、より強固な密着性が得られる点で好ましい。

【００２１】この高分子量型紫外線吸収剤は、アクリル
酸メチル、メタクリル酸メチル等の各種（メタ）アクリ
ル酸エステルと、分子内にベンゾフェノン基、ベンゾト
リアゾール基、シアノアクリレート基等の紫外線吸収性
残基を有し、かつ上記（メタ）アクリル酸エステルと共
重合可能なモノマーとを共重合して高分子量化したもの
であって、分子量としては、１０００〜１００万程度の
ものである。

【００２２】紫外線吸収剤の添加部数としては、低分子
量型の場合、通常、樹脂成分１００重量部に対して２〜
１５重量部とするのが好ましく、また高分子量型の場
合、樹脂成分１００重量部に対して０．０１〜２０重量
部とするのが好ましい。尚、これらの紫外線吸収剤は、
樹脂成分に対して均一に練り込むことにより容易に包含
させることができる。

【００２３】本発明の粘着シートに用いる粘着剤として
は、耐候性のよいアクリル系粘着剤が好ましい。即ち、
（メタ）アクリル酸アルキルエステルを主体とし、これ
に他の改質モノマー成分を導入して粘着剤の品質設計を
行ったものである。例えば（メタ）アクリル酸アルキル
エステルを主成分とし、これとビニルモノマー等とを共
重合させたものが挙げられる。

【００２４】（メタ）アクリル酸アルキルエステルとし
ては、例えば、メチル（メタ）アクリレート、エチル
（メタ）アクリレート、ブチル（メタ）アクリレート、
２−エチルヘキシル（メタ）アクリレート、ｎ−オクチ
ル（メタ）アクリレート、イソオクチル（メタ）アクリ
レート、イソノニル（メタ）アクリレート、デシル（メ
タ）アクリレート等、アルキル基の炭素数が１１以下の
アルキル（メタ）アクリレートが挙げられる。

【００２５】また、ビニルモノマーとしては、（メタ）
アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸等のカルボン酸含有モノマー、酢酸ビニル、スチ
レン、Ｎ−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、（メ
タ）アクリル酸２−ヒドロキシエチル、（メタ）アクリ
ル酸２−ヒドロキシプロピル、テトラフルフリル（メ
タ）アクリレート、ポリエチレングリコール（メタ）ア
クリレート等が挙げられる。

【００２６】尚、粘着剤としてはその他天然ゴム、合成
ゴム等のゴム系粘着剤も採用可能である。

【００２７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。

【００２８】実施例 （基材シートの成形）共押出成形法により、厚さが２０
μｍのフッ化ビニリデン樹脂シートと、厚さが４０μｍ
の熱可塑性ウレタン樹脂シートとを積層成形した。各シ
ートの紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系（旭電
化社製、ＭＡＲＫ１４１３）を使用し、またその含有量
は、フッ化ビニリデン樹脂シートの場合は５重量％、熱
可塑性ウレタン樹脂シートの場合は１０重量％とした。

【００２９】（粘着シートの製造）得られた基材シート
の熱可塑性ウレタン樹脂シートの非積層面に、予めコロ
ナ放電処理を施し、ＪＩＳ−Ｋ−６８１０による“ぬれ
指数”が５５ｄｙｎ／ｃｍとなるように表面処理した
後、アクリル系粘着剤を、乾燥後の厚みが３０μｍとな
るように塗工し、形成された粘着剤層の表面に剥離紙を
積層して粘着シートのサンプルを得た。

【００３０】尚、熱可塑性ウレタン樹脂シートは、青色
に着色されたものを用いた。

【００３１】比較例 基材シートとして、軟質塩化ビニル樹脂シートの屋外用
市販品（青色）を使用したこと以外は実施例と同様にし
て粘着シートのサンプルを得た。

【００３２】上記実施例および比較例で得られた粘着シ
ートのサンプルについて、耐候性、耐汚染性、被着体へ
の追従性の各試験項目について測定乃至評価を行った。
その結果を表１に示す。尚、測定・評価方法は次の通り
である。

【００３３】耐候性：屋外暴露を行い、１年間、３年間
の各経時によるブランクとの色差（ΔＥ）を、測定器
（日本電色社製、商品名「Σ−８０」、光源＝Ｄ６５、
視野＝２°）を用いて測定した。

【００３４】耐汚染性：サンプルを０．４ｍｍ厚みのス
テンレス板（＃３０４ＢＡ）に貼着し、屋外暴露して１
年間および３年間経過後に、各サンプルの表面に付着し
た汚れ状態を目視により観察し、その結果について次の
評価基準により評価した。 ５：殆ど汚れが認められない．４：極く軽微な汚れが認
められる ３：軽微な汚れが認められる．２：一部に著
しい汚れが認められる．１：全面的に著しい汚れが認め
られる．

【００３５】被着体への追従性：３００ｍｍφの球体
に、２００ｍｍ幅のサンプルを貼り付けて、皺が入らな
い状態で貼れるか否かで良否を判定した。

【００３６】

【表１】

【００３７】表１の結果から明らかなように、実施例の
ものは、上述の構成からなる積層シートを使用したの
で、被着体に対する追従性は、軟質塩化ビニル樹脂シー
トを基材とする比較例のものと同等の結果が得られ、し
かも、耐候性並びに耐汚染性の何れも満足すべき評価結
果が得られたのに対し、比較例のものは、耐候性、耐汚
染性共劣るものであった。

【００３８】

【発明の効果】本発明の粘着シートは、基材として、フ
ッ化ビニリデン樹脂シートと熱可塑性ウレタン樹脂シー
トとからなる積層シートを使用したので、基材シート中
のフッ化ビニリデン樹脂シートが占める厚みが相対的に
薄くなり、加えて柔軟性に富む熱可塑性ウレタン樹脂シ
ートとの積層による相乗効果により、軟質塩化ビニル樹
脂シートと同程度の柔軟性が付与されたものとなり、従
って、被着体に対する追従性に優れたものである。

【００３９】また、基材の熱可塑性ウレタン樹脂シート
上に粘着剤層を形成したので、フッ化ビニリデン樹脂シ
ート側が表面となり、該シートが具有する優れた耐候性
並びに耐汚染性をそのまま発揮することができ、更に粘
着剤層と基材との界面接着力も維持されている。

【００４０】また、基材シートを構成する各積層シート
の少なくともいずれか一方に、紫外線吸収剤を含有せし
めたので、耐候性のより助長されたものとなっている。
総じて、積層シートの各シート特性が活かされて、装飾
やマーキング等の用途に用いて好適な粘着シートとなっ
ている。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フッ化ビニリデン樹脂シート、熱可塑性
   ウレタン樹脂シートおよび粘着剤層が順次積層されてな
   る粘着シートであって、上記フッ化ビニリデン樹脂シー
   トおよび熱可塑性ウレタン樹脂シートの少なくともいず
   れか一方に紫外線吸収剤が含まれていることを特徴とす
   る粘着シート。