JPH0940805A - シリコーンゴム用含水珪酸 - Google Patents

シリコーンゴム用含水珪酸

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JPH0940805A
JPH0940805A JP19438095A JP19438095A JPH0940805A JP H0940805 A JPH0940805 A JP H0940805A JP 19438095 A JP19438095 A JP 19438095A JP 19438095 A JP19438095 A JP 19438095A JP H0940805 A JPH0940805 A JP H0940805A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シリコーンゴムに配合した場合、補強性は充分
に維持しつつ、適度な粘度となり、良好な加工性が得ら
れる含水珪酸を開発すること。 【解決手段】窒素吸着法で求めたBET比表面積(A)
が150〜250m2/gであり、該BET比表面積と、
水銀圧入法で求めた比表面積(B)との比が0.9〜
1.1、好適には0.92〜1.08であり、且つ5%
水懸濁液のpHが5.5〜7.0であることを特徴とす
るシリコーンゴム用含水珪酸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコーンゴム用
含水珪酸、詳しくは、補強性を損なうことなく、加工性
にも優れるシリコーンゴム用含水珪酸に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコーンゴムの機械的強度を向上させ
る充填剤として、従来から、含水珪酸を使用することが
知られている。この含水珪酸は、通常、アルカリ珪酸塩
溶液に鉱酸を反応させて含水珪酸を沈澱させ、それを濾
過、乾燥、粉砕、分級する、いわゆる湿式沈殿法により
得られる。しかして、この含水珪酸は、基本粒子である
一次粒子が、その反応条件等により種々に凝集したいわ
ゆる二次粒子といわれる凝集体を形成しており、極めて
複雑な構造をしている。
【0003】そして、上記シリコーンゴム用に用いる含
水珪酸として、こうした複雑な粒子構造から導かれる比
表面積が、BET法による測定値で150〜250m2/
g程度のものを用いるのが、補強性等の面から良好とさ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、こうした含
水珪酸を、シリコーンゴムに対して充填した場合、得ら
れたシリコーンコンゴム組成物の粘度が高くなりすぎ易
いことが知られている。このように、得られたシリコー
ンゴム組成物の粘度が高くなりすぎた場合、ロールで混
練し難くなり作業性、加工性が悪化し、極端な場合は混
練作業が行えなくなるという不都合が生じる。また、そ
の一方で、得られるシリコーンゴム組成物の粘度が十分
に高くならないこともあり、この場合、ゴム組成物がロ
ールに付着し加工性が極端に悪くなるという問題が発生
する。
【0005】こうした背景から、シリコーンゴムに配合
した場合、補強性は充分に維持しつつ、適度な粘度とな
り、良好な加工性が得られる含水珪酸を開発することが
望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
に鑑み鋭意研究を続けてきた。その結果、シリコーンゴ
ム組成物の粘度は単に含水珪酸のBET比表面積に左右
されるのではなく、該BET比表面積と水銀圧入法によ
り求めた比表面積の比及びpH値が大きく関与している
ことを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】即ち、本発明は、窒素吸着法で求めたBE
T比表面積(A)が150〜250m2/gであり、該B
ET比表面積と、水銀圧入法で求めた比表面積(B)と
の比(A)/(B)が0.9〜1.1であり、且つ5%
水懸濁液のpHが5.5〜7.0であることを特徴とす
るシリコーンゴム用含水珪酸である。
【0008】本発明の含水珪酸は、窒素吸着法で求めた
BET比表面積(A)が150〜250m2/g、好ま
しくは170〜230m2/gである。ここで、窒素吸
着法で求めたBET比表面積(A)は、一点法で求めた
値をいう。具体的な測定方法は、ジャーナル オブ ソ
サイエティー 60巻(1930)の304頁等に記載
されるとおりである。このBET比表面積がこの値より
低い場合には、補強性に劣り、叉、シリコーン組成物の
粘度が低くなりすぎて加工性が悪くなる。逆に、この値
がこの範囲よりも高い場合には、シリコーンゴム組成物
の粘度が高くなりすぎてロールでの混練画作業が難しく
なる。
【0009】また、本発明の含水珪酸は、5%水懸濁液
のpHが5.5〜7.0、好ましくは5.5〜6.5で
ある。pH値がこの範囲より低すぎるとシリコーンゴム
組成物の粘度が低くなり、高すぎるとシリコーンゴム組
成物の粘度が高くなり、共に作業性、加工性が悪くな
る。
【0010】そうして、本発明の含水珪酸は、上記窒素
吸着法で求めたBET比表面積(A)とpHの要件の他
に、該窒素吸着法で求めたBET比表面積(A)と、水
銀圧入法で求めた比表面積(B)との比(A)/(B)
が0.9〜1.1、好適には0.92〜1.08である
要件を満足する。即ち、本発明者らは、含水珪酸を配合
したシリコーンゴム組成物の粘度に対し、上記窒素吸着
法で求めたBET比表面積と、水銀圧入法で求めた比表
面積とが密接な関係を有し、その比を前記値に制御する
ことにより、極めて良好なシリコーンゴム組成物の粘度
が得られることを見だした。ここで、水銀圧入法で求め
た比表面積とは、各圧力に対する細孔径とそのとき圧入
された水銀の量から導かれた各円筒の総表面積を、測定
に供した試料量で除して求めたものである。測定は、圧
力を、1〜1990barまで変化させ、細孔半径が
3.7〜7500ηmの細孔に水銀を圧入したものとし
て実施される。
【0011】検討によれば、かかる比表面積の比が1.
1より大きくなる、つまり窒素吸着法で求めたBET比
表面積(A)が、水銀圧入法で求めた比表面積(B)よ
り大きくなりすぎるということは、1次粒子の凝集があ
る程度密に成長し過ぎて、形成される2次粒子内部は、
窒素は侵入できるが、水銀は侵入できないような細かい
細孔が存在するような構造になっていると推察できる。
この様な含水珪酸をシリコーンゴムに配合した際には、
もはやシリコーンゴム中での充分な分散が得られず、混
練時の粘度が低いものとなる。また、充分な補強性も得
ることができなくなる。
【0012】一方、この比表面積の比が0.9より小さ
くなる、つまり窒素吸着法で求めたBET比表面積
(A)が、水銀圧入法で求めた比表面積(B)より小さ
くなりすぎるということは、1次粒子がルーズに凝集し
て、形成される2次粒子は、壊れ易く、且つ細孔の口径
が、入り口から内部にかけて大きく広がっていくボトル
ネック型等の形状にある細孔が存在する構造になってい
ると推察できる。この様な含水珪酸をシリコーンゴムに
配合した際には、分散性が良くなりすぎて、シリコーン
ゴム組成物の粘度が低下し、加工性が悪くなる。叉、更
にいえば可塑化戻りが大きくなるという欠点を有してお
り、逆に再練り時の粘度が高くなりすぎるようになり、
加工性の悪化を招くようになる。
【0013】本発明の含水珪酸は、前記した特性を満足
するものであれば、他の特性値は特に制限されることは
ない。分散性や補強性の良好さを勘案すると、その二次
粒子の平均粒径が1〜15μm、好ましくは5〜14μ
mのものが好適である。また、吸着水分量は、通常の5
〜8%の値で問題なく、嵩比重も0.07〜0.12g
/cm2の範囲のものが採用されれば良い。
【0014】本発明において使用する上記含水珪酸は、
前記特性を満足するものが得られる限り如何なる方法に
より得たものであっても良い。アルカリケイ酸塩水溶液
と鉱酸を反応させて含水珪酸を沈澱析出させる場合、通
常の市販の珪酸ソーダ及び硫酸等が使用される。含水珪
酸を中和沈澱させる方法としては、例えば、所定の濃度
に調整されたアルカリ珪酸ソーダ水溶液中に一定の速度
で硫酸を数段階若しくは連続的に滴下させる方法。ある
いは、あらかじめ、所定の濃度に調整されたアルカリ珪
酸ソーダ水溶液中に、所定の一定の温度で攪拌しなが
ら、アルカリ珪酸ソーダ及び硫酸を同時に滴下する方
法。さらには、両者の中間的な方法等いずれの方法も採
用することができる。
【0015】本発明のように、窒素吸着法により求めた
BET比表面積と水銀圧入法で求めた比表面積との比が
特定の値にある含水珪酸を得るためには、反応温度、反
応時間等を制御する方法が好適に採用できる。例えば、
通常、反応温度が低い条件で反応を行うほど前記比表面
積の比が大きくなる。一方、この比は、反応中に適宜熟
成時間を設けても変化し、例えば長い熟成時間をとる
と、この比が小さくなる傾向がある。本発明では、こう
した条件を他の製造条件と適宜組み合わせて、該比を制
御することにより、上記性状の含水珪酸を得るのが好適
である。
【0016】中和沈澱された含水珪酸は、公知の方法で
濾過、水洗され反応中に副生したNa2SO4等の塩類
は、充分な水洗により除去しておくことが重要である。
その後の乾燥、粉砕、分級も公知の方法が採用でき例え
ば、乾燥方法としては、気流乾燥叉は、静置乾燥等が利
用できる。粉砕方法としては、衝撃式あるいは、ジェッ
ト式粉砕機が利用できる。本発明の含水珪酸をシリコー
ンゴムに充填する方法は、公知の方法が特に限定せずに
採用できる。
【0017】一般に、シリコーンゴムへの含水珪酸の配
合はロール叉は、ニーダーで練り込む方法が採用され更
に加硫剤を配合したシリコーンゴム組成物の加硫方法も
一般的に行われている方法が利用できる。シリコーンゴ
ムへの充填量も特に限定されるものではなく、一般には
シリコーンゴムに対して25〜45重量%の広い範囲で
充填することが可能である。
【0018】
【発明の効果】本発明のシリコーンゴム用充填剤は、そ
の窒素吸着法で求めたBET比表面積、pH、水銀圧入
法で求めた比表面積が特定の範囲に限定されていること
からシリコーンゴムへ配合した際に優れた補強性を維持
しつつ、シリコーンゴム組成物の粘度が一定の範囲内に
調整されるという特徴を有している、従って加工性に優
れたシリコーンゴムを得ることが可能となる。
【0019】
【実施例】以下に本発明を更に具体的に実施例及び比較
例を上げて説明する。尚、各物性値等の測定は次に示す
方法により実施した。
【0020】(1)BET比表面積 窒素吸着法によるBET1点法により求めた。
【0021】(2)pH 蒸留水(1晩以上汲み置きしたもの)100mlに、試
料5gを加え5分間充分攪拌した後、10分間静置し、
pHメーターから指示値を読み取った。
【0022】(3)平均粒径 コールターマルチサイザーを用いて200μmのアパチ
ャーで測定を行った。
【0023】(4)水銀圧入法による比表面積 カルロエルバ社製(ポロシメーター2000型)を用い
て水銀圧入法により比表面積を測定した。
【0024】(5)ムーニー粘度 シリコーンゴム組成物の作成については、シリカ粒子の
特性の違いをはっきりとするため、シリコーン生ゴム1
00重量部に対して含水珪酸40重量部のみの配合とし
て、4インチロールを用いて室温下で11分混練した。
24時間経過後ムーニー粘度測定機を使用して、150
℃でLローターを用いて測定し、ML1+12の数値で示し
た。
【0025】(6)加工性 (5)ムーニー粘度と同様にして得たシリコーンゴム組
成物に加硫剤を配合するときの加工性を以下の基準によ
り評価した。
【0026】○・・・ロールへの粘着性がなく、良好に
ロールに巻き付きできるもの ×・・・ロールに粘着したり、ロールに巻き付き難いも
の (7)ゴム補強性の評価 JIS K6301に従って測定した。
【0027】実施例1 1m3反応槽に予め、水165L及び、珪酸ソーダ溶液
7L(市販の珪酸ソーダ:SiO2/Na2O=3.3
2)を投入し、攪拌しながら水溶液を90℃に調整し
た。次いで、液温を90℃に保ちながら珪酸ソーダを
3.2L/min、22%硫酸を0.52L/minの
割合で120分同時に添加し中和反応を行った。この
後、珪酸ソーダの投入を止め、反応液のpHが3になる
まで硫酸を添加して反応を終了した。この反応液をフィ
ルタープレスを用いて濾過、水洗した後ケークを乾燥
し、更に粉砕,分級して含水珪酸を得た。この含水珪酸
の特性値を第1表に示した。
【0028】加硫ゴム物性を測定するためのシリコーン
ゴムシートは、シリコーン生ゴム100重量部に対して
上記含水珪酸40重量部を配合して、4インチロールで
混練し、1昼夜放置した。このシリコーンゴムコンパウ
ンドに加硫剤を0.5重量部添加し前記ロールで混練
し、1次加硫170℃で10分、2次加硫200℃で4
時間行った。このシートを用いて、ゴムの引張強度を測
定した。また。加硫剤を添加する際に加工性を評価し
た。
【0029】実施例2 実施例1において、珪酸ソーダ及び硫酸の添加時間を1
40分にした以外は実施例1と同様の処理を行い含水珪
酸を得た。得られた、含水珪酸の特性及びシリコーンゴ
ム物性を第1表に示した。
【0030】実施例3 実施例1において、反応温度を80℃にした以外は実施
例1と同様の処理を行い含水珪酸を得た。得られた、含
水珪酸の特性及びシリコーンゴム物性を第1表に示し
た。
【0031】実施例4 実施例1において、20分反応した後に、20分間熟成
を行いその後再び、珪酸ソーダと硫酸の同時に添加し
た。それ以外は実施例1と同様の処理を行い含水珪酸を
得た。得られた、含水珪酸の特性及びシリコーンゴム物
性を第1表に示した。
【0032】比較例1 実施例1において、反応温度を60℃、反応時間を18
0分に変えた以外は、実施例1と同様の処理を行い含水
珪酸を得た。得られた、含水珪酸の特性及びシリコーン
ゴム物性を第1表に示した。
【0033】比較例2 実施例1において、珪酸ソーダ溶液を投入し、攪拌しな
がら水溶液を90℃に調整し、次いで、該温度に保ちな
がら、珪酸ソーダと硫酸を30分間添加し、60分間熟
成を行い、その後再び、珪酸ソーダと硫酸を90分間に
わたり同時に添加した以外は、実施例1と同様の処理を
行い含水珪酸を得た。得られた、含水珪酸の特性及びシ
リコーンゴム物性を第1表に示した。
【0034】比較例3〜5 比較例3として、市販の含水珪酸であるトクシールP,
比較例4として市販の含水珪酸であるファインシールX
−37B、比較例5として市販の含水珪酸であるトクシ
ールGU(いずれも株式会社トクヤマ製)を用いてシリ
コーンゴムへの充填後の諸物性を測定した。
【0035】
【表1】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒素吸着法で求めたBET比表面積(A)
    が150〜250m2/gであり、該BET比表面積と、
    水銀圧入法で求めた比表面積(B)との比(A)/
    (B)が0.9〜1.1であり、且つ5%水懸濁液のp
    Hが5.5〜7.0であることを特徴とするシリコーン
    ゴム用含水珪酸。
JP19438095A 1995-07-31 1995-07-31 シリコーンゴム用含水珪酸 Expired - Lifetime JP3204603B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11228740A (ja) * 1998-02-18 1999-08-24 Bridgestone Corp ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11228740A (ja) * 1998-02-18 1999-08-24 Bridgestone Corp ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ

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