JPH0940723A - 機能性重合体 - Google Patents

機能性重合体

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JPH0940723A
JPH0940723A JP19441695A JP19441695A JPH0940723A JP H0940723 A JPH0940723 A JP H0940723A JP 19441695 A JP19441695 A JP 19441695A JP 19441695 A JP19441695 A JP 19441695A JP H0940723 A JPH0940723 A JP H0940723A
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polymer
conjugated diene
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cyclic conjugated
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JP19441695A
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Itaru Natori
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状共役ジエン系重合体から誘導される、機
能材料として優れた新規なフェニレン系重合体を提供す
る。 【解決手段】環状共役ジエン系重合体から誘導される重
合体であって、高分子鎖中に含有される環状共役ジエン
系単量体単位の一部叉は全てを芳香環に変換する事によ
って得られる機能性フェニレン系重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属ずる技術分野】本発明は、新規な機能性重合
体に関する。
【0002】
【従来の技術】共役ジエン系重合体については、従来よ
り数多くの提案がなされており、その幾つかは重要な工
業材料として広範囲に使用されている。代表的な共役ジ
エン系重合体として、ポリブタジエン、ポリイソプレン
等の単独重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体、プロピレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、α−メチル
スチレン−ブタジエン共重合体、α−メチルスチレン−
イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、ブタ
ジエン−メタクリル酸メチル共重合体、イソプレン−メ
タクリル酸メチル共重合体等のブロック、グラフト、テ
ーパーあるいはランダム共重合体、更にはこれらの水素
化重合体などが公知の材料として知られており、プラス
チック、エラストマー、繊維、シート、フィルム、機械
部品、食品容器、包装材、タイヤ、ベルト、絶縁剤、接
着剤、他樹脂の改質剤等、必要に応じて種々の目的・用
途分野に用いられている。
【0003】例えば熱可塑性エラストマー分野では、高
分子鎖を構成する分子構造単位として、両末端に室温よ
り高いTg(ガラス転移温度)のポリマーブロック(拘
束相)を有し、その間が室温より低いTgのポリマーブ
ロック(ゴム相)からなるブロック共重合体が採用され
ている。この分野の代表的な工業材料としてスチレン−
ブタジエン(イソプレン)−スチレンブロック共重合体
及びその水素化重合体を例示する事ができる。
【0004】また、このスチレン−ブタジエン(イソプ
レン)−スチレンブロック共重合体及びその水素化重合
体にポリスチレン、ポリオレフィン、ポリフェニレンエ
ーテル、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体叉は
その水素化重合体等をポリマーブレンドさせたブロック
共重合体組成物は、スチレン−ブタジエン(イソプレ
ン)−スチレンブロック共重合体及びその水素化重合体
の耐熱性、流動性、粘着特性等の諸特性を改良するため
に広く実施されている。
【0005】一方、共役ジエン系重合体の重合方法につ
いても、従来より数多くの提案がなされており、工業的
に極めて重要な役割を担っている。特に、熱的・機械的
特性が改良された共役ジエン系重合体を得る目的で、高
いシス1,4−結合含有率を与える数多くの重合触媒
が、研究・開発されている。例えば、リチウム、ナトリ
ウム等のアルカリ金属化合物を主成分とする触媒系、あ
るいは、ニッケル、コバルト、チタン等の遷移金属化合
物を主成分とする複合触媒系は公知であり、その中の幾
つかはすでに、ブタジエン、イソプレン等の重合触媒と
して工業的に採用されている[End.Ing.Che
m.,48,784(1956)、特公昭37−819
8号公報、参照]。
【0006】一方、更に高いシス1,4−結合含有率及
び優れた重合活性を達成すべく、希土類金属化合物とI
〜III族金属の有機金属化合物からなる複合触媒系が
研究・開発され、高立体特異性重合の研究が盛んに行わ
れるようになった[J.Polym.Sci.,Pol
ym.Chem.Ed.,18,3345(198
0)、Sci,Sinica.,2/3,734(19
80)、Makromol.Chem.Suppl,
,61(1981)、独国特許出願2,848,96
4号、Rubber Chem.Technol.,
,117(1985)、参照]。
【0007】これらの触媒系の中で、ネオジウム化合物
と有機アルミニウム化合物を主成分とする複合触媒が、
高いシス1,4−結合含有率と優れた重合活性を有する
事が確認され、ブタジエン等の重合触媒としてすでに工
業化されている[Makromol.Chem.,
,119(1981)、Macromolecule
s,15,230(1982)、参照]。
【0008】しかしながら、近年の工業技術の進歩に伴
い、高分子材料に対する市場要求はますます高度なもの
となっており、更に高い熱的(融点、ガラス転移温度、
熱変形温度等)・機械的特性(引張り弾性率、曲げ弾性
率等)を有する高分子材料の開発が強く望まれるように
なっている。一方、高分子材料の用途分野においても、
従来の構造材料である金属、ガラス、コンクリート、木
材等に対する、軽量かつ形状の自由度の大きい代替材料
としてだけではなく、高分子材料の持つ分子的な特性に
基づく機能材料としての期待が極めて大きくなってい
る。
【0009】これらの高分子材料に期待される課題を解
決するため、共役ジエン系重合体においても従来より膨
大な研究がなされてきた。これらの研究において提案さ
れた最も有力な手段の一つとして、ブタジエン、イソプ
レン等の比較的立体障害の小さい単量体のみならず、立
体障害が大きく、かつ機能性の付与が期待できる単量体
すなわち環状共役ジエン系単量体を単独重合あるいは共
重合し、共役ジエン系重合体の高分子鎖の構造を改良し
て、高度な熱的・機械的・機能的特性を有する高分子材
料を得ようとする研究活動が盛んに行われるようになっ
てきた。
【0010】これらの研究の代表例として、環状共役ジ
エン系単量体を単独重合あるいは共重合し、更に得られ
た高分子鎖中の環状共役ジエン系単量体単位に脱水素反
応を行う事により芳香環へ変換し、(代表的な機能材料
である)導電性高分子の前駆体であるポリフェニレンを
得ようとする試みがなされている。しかしながら従来技
術では、ブタジエン、イソプレン等の比較的立体障害の
小さい単量体に対して、ある程度満足できる重合活性を
示す触媒系が提案されているものの、立体障害の大きい
単量体すなわち環状共役ジエン系単量体に対しては、十
分に満足できる重合活性を有する触媒系は未だに見いだ
されていなかった。
【0011】つまり、従来技術においては環状共役ジエ
ン系単量体は単独重合が困難であり十分な高分子量体が
得られないばかりでなく、多様な市場要求に応えるべく
熱的・機械的・機能的特性の最適化を行う目的で他の単
量体との共重合を試みた場合においても、オリゴマー程
度の低分子量体までしか得る事はできていなかった。す
なわち、構造材料あるいは機能材料の前駆体として十分
に満足できる優れた環状共役ジエン系重合体は未だに得
られておらず、従って工業的に十分に満足できるフェニ
レン系重合体は知られておらずこの解決が強く望まれて
いた。
【0012】J.Am.Chem.Soc.,81,4
48(1959)には、環状共役ジエン系単量体である
1,3−シクロヘキサジエンを、四塩化チタンとトリイ
ソブチルアルミニウムからなる複合触媒を用いて重合し
た、シクロヘキサジエンホモポリマー及びこれを脱水素
したポリフェニレンの製造方法が開示されている。ここ
に記載されている重合方法は、多量の重合触媒と長い反
応時間を必要とするばかりでなく、得られた重合体の分
子量は極めて低いものであり、機能材料としての価値は
ない。
【0013】J.Polym.Sci.,Pt.A,
,3277(1964)には、1,3−シクロヘキサ
ジエンを、ラジカル、カチオン、アニオン、配位重合等
の種々の方法で重合したシクロヘキサジエンホモポリマ
ーの重合方法が開示されている。ここに記載されている
重合方法では、いずれの場合においても得られた重合体
の分子量は極めて低いものであり、フェニレン系重合体
の前駆体としての価値はない。
【0014】英国特許出願第1,042,625号明細
書には、1,3−シクロヘキサジエンを多量の有機リチ
ウム化合物を触媒として重合した、シクロヘキサジエン
ホモポリマーの重合方法が開示されている。ここに開示
されている重合方法は、単量体に対し1〜2重量%もの
触媒を用いる必要があり、経済的に著しく不利であるば
かりでなく、得られた重合体の分子量は極めて低いもの
となってしまう。更に、共重合体が得られる可能性につ
いては示唆も教示もない。一方、この重合方法では重合
体中に多量に残存する触媒残査の除去が困難であり、こ
の重合方法で得られた重合体のフェニレン系重合体の前
駆体としての商品価値はない。
【0015】J.Polym.Sci.,Pt.A,
,1553(1965)には、1,3−シクロヘキサ
ジエンを有機リチウム化合物を触媒として重合した、シ
クロヘキサジエンホモポリマー及びこれを脱水素したポ
リフェニレンの製造方法が開示されている。ここで得ら
れている重合体は、5週間も重合反応を続けたにも関わ
らず、数平均分子量は20,000が限界であり、機能
材料としての価値は低い。
【0016】Polym.Prepr.(Amer.C
hem.Soc.,Div.Polym.Chem.)
12,402(1971)には、1,3−シクロヘキサ
ジエンを有機リチウム化合物を触媒として重合した場合
には、シクロヘキサジエンホモポリマーの数平均分子量
の限界は10,000〜15,000である事が開示さ
れており、この理由として、重合反応と同時にリチウム
カチオンの引き抜きを伴う転移反応及びリチウムハイド
ライドの脱離反応が併発する事が教示されている。
【0017】Die Makromolekulare
Chemie.,163,13(1973)には、
1,3−シクロヘキサジエンを多量の有機リチウム化合
物を触媒として重合した、シクロヘキサジエンホモポリ
マーが開示されている。ここで得られているオリゴマー
状の重合体は数平均分子量として6,500にすぎず、
フェニレン系重合体の前駆体としての商品価値はない。
【0018】European Polymer
J.,,895(1973)には、π−アリルニッケ
ル化合物を重合触媒とした、1,3−シクロヘキサジエ
ンとブタジエン、イソプレンとの共重合体が記載されて
いる。しかしながら、ここで得られている重合体は、極
めて低分子量のオリゴマーであり、ランダム共重合体を
示唆する単一のガラス転移温度を有している事が報告さ
れており、フェニレン系重合体の前駆体としての商品価
値はない。
【0019】高分子論文集,Vol.34,No.5,
333(1977)には、塩化亜鉛を重合触媒とした、
1,3−シクロヘキサジエンとアクリロニトリルの共重
合体が記載されている。ここで得られている交互共重合
体は極めて低分子量のオリゴマーである。J.Poly
m.Sci.,Polym.Chem.Ed.,20
901(1982)には、1,3−シクロヘキサジエン
を有機ナトリウム化合物を触媒として重合した、シクロ
ヘキサジエンホモポリマーが開示されている。ここで用
いられている有機ナトリウム化合物はナトリウムナフタ
レンであり、実際にはラジカルアニオンより形成される
ジアニオンが重合開始点となっている。
【0020】すなわちここで報告されているシクロヘキ
サジエンホモポリマーの数平均分子量は見かけ上38,
700であるが、実質的には数平均分子量19,350
の分子鎖が重合開始点より二方向に成長したに過ぎな
い。また、ここに開示されている重合方法は、極めて低
温下における反応であり、工業的な価値はない。
【0021】Makromol.Chem.,191
2743(1990)には、ポリスチリルリチウムを重
合開始剤とした1,3−シクロヘキサジエンの重合方法
が記載されている。ここに記載されている重合方法で
は、重合反応と同時にリチウムカチオンの引き抜きを伴
う転移反応及びリチウムハイドライドの脱離反応がかな
り併発する事が教示されており、ポリスチリルリチウム
を開始剤として重合反応を行ったにも拘らず、常温では
スチレン−シクロヘキサジエンのブロックポリマーは得
られず、シクロヘキサジエンホモポリマーのみが得られ
た事が報告されている。
【0022】同様にポリスチリルリチウムを開始剤と
し、−10℃でブロック化を行うと極めて低収率で分子
量20,000程度のスチレン−シクロヘキサジエンの
ブロックポリマーがシクロヘキサジエンホモポリマーと
共に得られたと報告されている。 しかしながら、ここ
で得られている共重合体はシクロヘキサジエンブロック
の含有量が極めて微量であるばかりでなく、鎖状共役ジ
エン系単量体とのブロック共重合や、トリブロック以上
のマルチブロック、ラジアルブロック等については示唆
も教示もない。
【0023】Makromol.Chem.,192
2277(1991)には、ポリスチリルリチウムを開
始剤とし、1,3−シクロヘキサジエンを重合する事に
よって得られたスチレン−シクロヘキサジエンブロック
共重合体を前駆体とし、これを脱水素したスチレン−フ
ェニレン共重合体の製造方法が開示されている。しかし
ながら、ここで得られている前駆体は、本質的にホモポ
リマーとコポリマーの混合物であるばかりでなく、シク
ロヘキサジエンユニットは低分子量であり、構造材料あ
るいは機能材料としての価値は低い。
【0024】すなわち、従来の技術においては、工業材
料として十分に満足できる優れた環状共役ジエン系重合
体は未だに得られておらず、更に、これから誘導される
優れた機能材料であるフェニレン系重合体は知られてい
なかった。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環状共役ジ
エン系重合体から誘導される、機能材料として優れた新
規なフェニレン系重合体を提供する。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために研究を重ねた結果、高分子鎖を構成する
繰り返し単位の一部叉は全てに、環状共役ジエン系単量
体より誘導される分子構造単位を任意の割合・形態で導
入する技術を確立し、更に高分子鎖中の環状共役ジエン
系単量体単位の一部叉は全てを芳香環に変換する事によ
り、従来報告された事のない新規なフェニレン系重合体
の合成に成功し、本発明を完成した。
【0027】より具体的には、従来技術においては解決
不可能とされていた、環状共役ジエン系単量体それ自身
による重合体末端のIA族金属カチオンの引き抜きによ
る転移反応とIA族金属ハイドライドの脱離反応を、I
A族金属を含有する有機金属化合物を特定の錯体化合物
にする事により抑制し、これを重合触媒として用いる事
により環状共役ジエン系単量体のリビングアニオン重合
技術を確立し、これによって得られた重合体中の環状共
役ジエン系単量体単位の一部叉は全てを、任意に芳香環
に変換する技術を確立する事により新規なフェニレン系
重合体を合成し、発明を完成した。
【0028】すなわち本発明は、 [1]次式(I)により表される環状共役ジエン系重合
体から誘導される重合体であって、高分子鎖中に含有さ
れる単量体単位Aの一部叉は全てを芳香環に変換する事
によって得られた事を特徴とする機能性重合体。
【0029】
【化4】
【0030】[2]a=100であり、単量体単位Aが
環状共役ジエン系単量体単位から選ばれる一種叉は二種
以上の単量体単位である[1]記載の機能性重合体。 [3]0.5≦a<100であり、単量体単位Aが環状
共役ジエン系単量体単位から選ばれる一種叉は二種以上
の単量体単位である[1]記載の機能性重合体。 [4]式(I)により表される重合体が、ランダム共重
合体である[3]記載の機能性重合体。 [5]式(I)により表される重合体が、交互共重合体
である[3]記載の機能性重合体。 [6]式(I)により表される重合体が、少なくとも1
個の単量体単位Aを含むブロック単位を有するブロック
共重合体である[3]記載の機能性重合体。 [7]式(I)により表され、且つ、少なくとも1個の
単量体単位Aを含有する少なくとも1個のブロック単位
Xと、主として単量体単位B叉は単量体単位Eから構成
される少なくとも1個のブロック単位Yとを有し、数平
均分子量が500〜5,000,000であって、X/
Yの重量比が1/99〜99/1の範囲にある重合体の
高分子鎖中に含有される単量体単位Aの一部叉は全てを
芳香環に変換する事によって得られる機能性重合体。 [8]式(I)により表される重合体が、少なくとも1
個の単量体単位Aを含有する少なくとも2個のブロック
単位Xと、主として単量体単位B叉は単量体単位Eから
構成される少なくとも1個のブロック単位Yとを有し、
且つ数平均分子量が500〜5,000,000であっ
て、X/Yの重量比が1/99〜99/1の範囲にある
少なくとも3個以上のブロック単位を有する重合体であ
る[7]記載の機能性重合体。 [9]式(I)により表される重合体が、少なくとも1
個の単量体単位Aを含有する2個のブロック単位Xと、
主として単量体単位B叉は単量体単位Eから構成される
1個のブロック単位Yとを有し、且つ数平均分子量が5
00〜5,000,000であって、X/Yの重量比が
1/99〜99/1の範囲にある事を特徴とする[8]
記載の機能性重合体。 [10]式(I)により表される重合体における単量体
単位Aが、次式(II)により表される単位類から選択
される少なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単位で
ある[1]〜[9]のいずれかに記載の機能性重合体。
【0031】
【化5】
【0032】[11]式(I)により表される重合体に
おける少なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単位
が、次式(III)により表される[10]記載の機能
性重合体。
【0033】
【化6】
【0034】[12]式(I)により表される重合体に
おける少なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単位
が、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキ
サジエン、1,3−シクロオクタジエン単量体単位叉は
その誘導体である事を特徴とする[10]記載の機能性
重合体。 [13]式(I)により表される重合体における少なく
とも一種の環状共役ジエン系単量体単位が、1,3−シ
クロヘキサジエン単量体単位叉はその誘導体である事を
特徴とする[10]記載の機能性重合体。 [14]式(I)により表される重合体における少なく
とも一種の環状共役ジエン系単量体単位が、1,3−シ
クロヘキサジエン単量体単位である事を特徴とする[1
0]記載の機能性重合体。 [15]式(I)により表される重合体における少なく
とも3個以上のブロック単位を有するブロック共重合体
の構造が、X−(Y−X)l,(X−Y)m,Y−(X−
Y)m,[(Y−X)lm,[(X−Y)lm,[(Y
−X)l−Y]m,[(X−Y)l−X]m,[但しlは1
以上の整数であり、mは2以上の整数である。X,Yは
[7]において定義されたのと同じ意味を有す。]で表
される事を特徴とする[8]記載の機能性重合体。 [16]式(I)により表される重合体が、少なくとも
一種の環状共役ジエン系単量体、或いは少なくとも一種
の環状共役ジエン系単量体及びそれと共重合可能な少な
くとも一種の他の単量体(鎖状共役ジエン系単量体類、
ビニル芳香族単量体類、極性単量体類、エチレン単量
体、及びα−オレフィン単量体類よりなる群から選択さ
れる)を、周期律表第IA〜IIA族の金属を含有する
有機金属化合物と錯化剤からなる錯体触媒の存在下で重
合する事により得られたものである事を特徴とする
[1]〜[15]のいずれかに記載の機能性重合体。 [17]上記重合触媒が、周期律表第IA族の金属を含
有する有機金属化合物と錯化剤からなる錯体触媒である
事を特徴とする[16]記載の機能性重合体。 [18]上記の錯化剤が、アミンを含む事を特徴とする
[16]記載の機能性重合体。 [19]式(I)により表される重合体が、少なくとも
1個の単量体単位Aを含むブロック単位を有するブロッ
ク共重合体であり、単量体単位Aより構成されるブロッ
ク単位の数平均分子量が15,000以上である[6]
〜[9]及び[15]のいずれかに記載の機能性重合
体。 [20]単量体単位Aより構成されるブロック単位の数
平均分子量が20,000以上である[19]に記載の
機能性重合体。 である。
【0035】本発明の新規なフェニレン系重合体の前駆
体として用いる環状共役ジエン系重合体とは、その高分
子鎖を構成する繰り返し単位の一部叉は全てが環状共役
ジエン系単量体より誘導される分子構造単位からなる重
合体である。本発明に用いる代表的な環状共役ジエン系
重合体として、環状共役ジエン系単量体のみから誘導さ
れる分子構造単位もしくは、環状共役ジエン系単量体及
びこれと共重合可能な単量体から誘導される分子構造単
位を繰り返し単位として含有する重合体を例示する事が
できる。
【0036】より具体的には、環状共役ジエン系単量体
あるいは環状共役ジエン系単量体及びこれと共重合可能
な単量体より誘導された分子構造単位を、高分子鎖の繰
り返し単位として含有する重合体を例示する事ができ
る。更に具体的には、環状共役ジエン系単量体の単独重
合体、二種以上の環状共役ジエン系単量体の共重合体、
環状共役ジエン系単量体及びこれと共重合可能な単量体
との共重合体等を例示する事ができる。
【0037】本発明に用いられる最も好ましい環状共役
ジエン系重合体として、その高分子鎖に含有される環状
共役ジエン系単量体より誘導される分子構造単位が、シ
クロヘキセン環を含有する分子構造単位である重合体を
例示する事ができる。本発明における環状共役ジエン系
単量体とは、炭素−炭素結合により構成される5員環以
上の環状共役ジエンである。
【0038】好ましい環状共役ジエン系単量体は、炭素
−炭素結合により構成される5〜8員環の環状共役ジエ
ンである。特に好ましい環状共役ジエン系単量体は、炭
素−炭素結合により構成される6員環の環状共役ジエン
である。具体的には、1,3−シクロペンタジエン、
1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジ
エン及びこれらの誘導体を例示する事ができる。好まし
い環状共役ジエン系単量体として、1,3−シクロヘキ
サジエン、1,3−シクロヘキサジエン誘導体を例示す
る事ができる。最も好ましい環状共役ジエン系単量体
は、1,3−シクロヘキサジエンである。
【0039】本発明における、環状共役ジエン系単量体
と共重合可能となる他の単量体としては、アニオン重合
によって重合可能な従来公知の単量体を例示する事がで
きる。例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,
3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジ
エン、1,3−ヘキサジエン等の鎖状共役ジエン系単量
体、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、1,3−ジメチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビ
ニルナフタレン、ジフェニルエチレン、ビニルピリジン
等のビニル芳香族系単量体、メタクリル酸メチル、アク
リル酸メチル、アクリロニトリル、メチルビニルケト
ン、α−シアノアクリル酸メチル等の極性ビニル系単量
体もしくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、環
状ラクトン、環状ラクタム、環状シロキサン等の極性単
量体、あるいはエチレン、α−オレフィン系単量体を例
示する事ができる。これらの単量体は必要に応じて1種
でも、あるいは2種以上であっても構わない。
【0040】また、本発明のフェニレン系重合体の前駆
体として用いられる環状共役ジエン系重合体の共重合様
式は、必要に応じて種々選択する事が可能である。例え
ばジブロック、トリブロック、テトラブロック、マルチ
ブロック、ラジアルブロック等のブロック共重合、グラ
フト共重合、テーパー共重合、ランダム共重合、交互共
重合などを例示する事ができる。
【0041】本発明に用いられる環状共役ジエン系重合
体において、共重合可能な他の単量体により構成される
分子構造単位は、重合反応終了後に水素化、ハロゲン
化、酸化等によって誘導された分子構造単位である事も
特に制限されるものではない。本発明のフェニレン系重
合体の前駆体として用いられる、環状共役ジエン系重合
体中の環状共役ジエン系単量体より誘導される分子構造
単位の含有量は、その目的用途によって種々に設定され
るため特に限定する事はできないが、一般的には0.5
〜100wt%の範囲であり、好ましくは1〜100w
t%の範囲である。
【0042】本発明のフェニレン系重合体が、高い熱的
・機械的特性が要求される用途・分野に使用される場合
には、その前駆体となる環状共役ジエン系重合体中の環
状共役ジエン系単量体より誘導される分子構造単位の含
有量は、5〜100wt%の範囲である事が好ましく、
10〜100wt%の範囲にある事が特に好ましく、1
5〜100wt%の範囲にある事が最も好ましい。
【0043】本発明のフェニレン系重合体の前駆体とし
て用いられる環状共役ジエン系重合体は、本発明の範囲
にあればいかなる方法によって得られたものでも特に制
限されないが、本発明が開示する最も好ましい製造方法
によればリビングアニオン重合で重合する事ができるた
め、その分子量は任意に設定する事が可能であり、その
範囲は特に制限されるものではない。
【0044】工業的に生産を実施する場合には、その高
分子鎖の標準ポリスチレン換算の数平均分子量は通常5
00〜5,000,000の範囲のである事が好まし
く、用途・目的に応じて適時選択・設定すればよい。例
えば、機能材料(フェニレン系材料)の前駆体として用
いる場合には、高分子鎖の標準ポリスチレン換算の数平
均分子量は、一般的には1,000〜5,000,00
0の範囲にある事が好ましい。また、工業的な生産性を
考慮した場合には、数平均分子量は1,000〜3,0
00,000の範囲である事が好ましく、5,000〜
2,000,000の範囲である事が更に好ましく、1
0,000〜1,000,000の範囲である事が特に
好ましい。最も好ましくは、25,000〜500,0
00の範囲である。
【0045】本発明のフェニレン系重合体の前駆体とし
て用いられる環状共役ジエン系重合体の高分子鎖が、一
種の環状共役ジエン系単量体より誘導される単量体単位
のみからなる重合体の場合には、高分子鎖の標準ポリス
チレン換算の数平均分子量は、40,000以上である
事が好ましい。数平均分子量が40,000未満である
と著しく脆弱となり、フェニレン系重合体の前駆体とし
ての価値は極めて低いものとなってしまう。また、工業
的な生産性を考慮した場合には、数平均分子量は40,
000〜5,000,000の範囲である事が好まし
く、40,000〜2,000,000の範囲である事
が更に好ましく、40,000〜1,000,000の
範囲である事が特に好ましい。最も好ましいのは、4
0,000〜500,000の範囲である。
【0046】本発明のフェニレン系重合体の前駆体とし
て用いられる環状共役ジエン系重合体の高分子鎖が、一
種叉は二種以上の環状共役ジエン系単量体より誘導され
る単量体単位のみからなる重合体は、必要に応じて分子
量の調節あるいは星型等の重合体を得る目的で、高分子
末端を従来公知の二官能以上のカップリング剤(例え
ば、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラ
ン、ジメチルジブロモシラン、メチルトリブロモシラ
ン、チタノセンジクロライド、塩化メチレン、臭化メチ
レン、クロロホルム、四塩化炭素、四塩化ケイ素、四塩
化チタン、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、エステル類
等)により結合する事により得られる重合体であっても
よい。
【0047】本発明のフェニレン系重合体の前駆体とし
て用いられる環状共役ジエン系重合体の高分子鎖が、二
種以上の環状共役ジエン系単量体より誘導される単量体
単位のみからなる重合体の場合、又は、環状共役ジエン
系単量体及びこれと共重合可能な単量体から誘導される
単量体単位を有する重合体すなわち環状共役ジエン系共
重合体である場合には、その分子量は目的・用途に応じ
て任意に調節する事が可能であるため特に制限されない
が、一般的には標準ポリスチレン換算の数平均分子量が
25,000〜5,000,000の範囲であり、好ま
しくは25,000〜3,000,000の範囲であ
り、更に好ましく、30,000〜2,000,000
の範囲であり、特に好ましくは、35,000〜1,0
00,000の範囲であり、最も好ましいのは、40,
000〜500,000の範囲である。
【0048】数平均分子量が25,000未満である
と、著しく脆弱な固体もしくは粘調な液体となりフェニ
レン系重合体の前駆体としての価値は極めて低いものと
なってしまう。数平均分子量が5,000,000を越
えると、重合時間が長くなり溶融粘度が著しく高くなる
どの工業的な生産において好ましくない結果を招く事に
なる。
【0049】本発明のフェニレン系重合体の前駆体とし
て用いられる環状共役ジエン系重合体が、高分子鎖中に
ブロック単位を含有する環状共役ジエン系ブロック共重
合体である場合、そのブロック単位としては環状共役ジ
エン系単量体より誘導される分子構造単位から構成され
るブロック単位、環状共役ジエン系単量体及びこれと共
重合可能な他の単量体から誘導される分子構造単位から
構成されるブロック単位、更には環状共役ジエン系単量
体と共重合可能な他の単量体から誘導される分子構造単
位から構成されるブロック単位が設計可能であり、必要
に応じて種々のブロック単位を設計・重合し、これを結
合することにより目的に応じた環状共役ジエン系ブロッ
ク共重合体とする事ができる。
【0050】環状共役ジエン系重合体中のブロック単位
が、その一部叉は全てに環状共役ジエン系単量体より誘
導される分子構造単位を含有する場合、ブロック単位中
には少なくとも10分子の環状共役ジエン系単量体から
誘導される分子構造単位が連続的に結合している事が好
ましく、20分子以上の分子構造単位が連続的に結合し
ている事が更に好ましく、30分子以上の分子構造単位
が連続的に結合している事が熱的・機械的・機能的特性
を向上させる為には特に好ましい。
【0051】本発明のフェニレン系重合体の前駆体とし
て用いられる環状共役ジエン系ブロック共重合体が、少
なくとも1個の単量体単位A(環状共役ジエン系単量体
単位)を含有する少なくとも1個のブロック単位Xと、
主として単量体単位B(鎖状共役ジエン系単量体単位)
叉は単量体単位E(エチレン、α−オレフィン系単量体
単位)から構成される少なくとも1個のブロック単位Y
とを有する場合、あるいは、少なくとも1個の単量体単
位Aを含有する少なくとも2個のブロック単位Xと、主
として単量体単位B叉は単量体単位Eから構成される少
なくとも1個のブロック単位Yとを有する場合、あるい
は、少なくとも1個の単量体単位Aを含有する2個のブ
ロック単位Xと、主として単量体単位B叉は単量体単位
Eから構成される1個のブロック単位Yとを有する場合
には、数平均分子量が500〜5,000,000の範
囲であって、X/Yの重量比が1/99〜99/1の範
囲にある事が好ましい。
【0052】本発明において、ブロックYを“主とし
て”構成する単量体単位B叉は単量体単位Eの範囲は、
ブロックY中に単量体単位B叉は単量体単位Eが少なく
とも50wt%以上含有されている事を意味する。本発
明のフェニレン系重合体の前駆体として用いられる環状
共役ジエン系ブロック共重合体が、単量体単位A(環状
共役ジエン系単量体単位)から構成される少なくとも1
個のブロック単位と、単量体単位C(ビニル芳香族系単
量体単位)から構成される少なくとも1個のブロック単
位とを有する場合には、単量体単位Aから構成されるブ
ロック単位の数平均分子量は、15,000〜5,00
0,000の範囲である事が好ましく、20,000〜
5,000,000の範囲である事が更に好ましく、2
5,000〜5,000,000の範囲である事が特に
好ましく、30,000〜5,000,000の範囲で
ある事が最も好ましい。
【0053】単量体単位Aから構成されるブロック単位
の数平均分子量が上記範囲内であると、誘導されるフェ
ニレン系重合体が更に十分な耐熱性、機械的強度、さら
には機能性を有する為好ましい。本発明のフェニレン系
重合体の前駆体として用いられる環状共役ジエン系重合
体における数平均分子量とは、標準ポリスチレン換算の
数平均分子量である。
【0054】また、本発明のフェニレン系重合体の前駆
体として用いられる環状共役ジエン系重合体の分子量分
布(Mw/Mn)は1.01〜10の範囲であり、好ま
しくは1.03〜7.0の範囲であり、特に好ましくは
1.05〜5.0の範囲であり、最も好ましくは1.0
5〜2.0の範囲である。本発明が開示する最も好まし
い製造方法により、本発明のフェニレン系重合体の前駆
体の一つである環状共役ジエン系ブロック共重合体の製
造する場合には、一種叉は二種以上の環状共役ジエン系
単量体より誘導される分子構造単位から構成されるブロ
ック単位、一種叉は二種以上の環状共役ジエン系単量体
及びこれと共重合可能な一種叉は二種以上の他の単量体
から誘導される分子構造単位から構成されるブロック単
位、更には環状共役ジエン系単量体と共重合可能な一種
叉は二種以上の他の単量体から誘導される分子構造単位
から構成されるブロック単位を目的に応じて重合・結合
し、必要に応じて水素化、ハロゲン化、酸化等を行う方
法を例示する事ができる。
【0055】例えば、環状共役ジエン系単量体から誘導
される分子構造単位を含有するブロック単位あるいは、
環状共役ジエン系単量体から誘導されるブロック単位を
あらかじめ重合しておき、その重合体の片末端もしくは
両末端よりこれと共重合可能な一種叉は二種以上の他の
単量体を重合し、必要に応じて水素化、ハロゲン化、酸
化等を行う方法。
【0056】環状共役ジエン系単量体と共重合可能な一
種叉は二種以上の他の単量体をあらかじめ重合してお
き、この重合体の片末端もしくは両末端より環状共役ジ
エン系単量体及び必要に応じて環状共役ジエン系単量体
と共重合可能な一種叉は二種以上の他の単量体を重合
し、更に目的に応じて水素化、ハロゲン化、酸化等を行
う方法。
【0057】環状共役ジエン系単量体から誘導される分
子構造単位を含有するブロック単位あるいは、環状共役
ジエン系単量体から誘導されるブロック単位を重合し、
次いでこれと共重合可能な一種叉は二種以上の他の単量
体を重合し、更に環状共役ジエン系単量体から誘導され
る分子構造単位を含有するブロック単位あるいは、環状
共役ジエン系単量体から誘導されるブロック単位を逐次
に重合し、必要に応じて水素化、ハロゲン化、酸化等を
行う方法。
【0058】環状共役ジエン系単量体と共重合可能な一
種叉は二種以上の他の単量体をあらかじめ重合してお
き、環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単
位を含有するブロック単位あるいは、環状共役ジエン系
単量体から誘導されるブロック単位を重合し、更に環状
共役ジエン系単量体と共重合可能な一種叉は二種以上の
他の単量体を逐次に重合し、必要に応じて水素化、ハロ
ゲン化、酸化等を行う方法。
【0059】環状共役ジエン系単量体から誘導される分
子構造単位を含有するブロック単位あるいは、環状共役
ジエン系単量体から誘導されるブロック単位を重合し、
次いでこれと共重合可能な一種叉は二種以上の他の単量
体を重合し、高分子末端を従来公知の二官能以上のカッ
プリング剤(例えば、ジメチルジクロロシラン、メチル
トリクロロシラン、ジメチルジブロモシラン、メチルト
リブロモシラン、チタノセンジクロライド、塩化メチレ
ン、臭化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四塩化
ケイ素、四塩化チタン、四塩化スズ、エポキシ化大豆
油、エステル類等)により結合し、必要に応じて水素
化、ハロゲン化、酸化等を行う方法。
【0060】環状共役ジエン系単量体から誘導される分
子構造単位を含有するブロック単位あるいは、環状共役
ジエン系単量体から誘導されるブロック単位を重合あら
かじめ重合し、高分子末端に末端変性剤(エチレンオキ
シド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、
炭酸ガス、酸クロライド等)を反応させる事により官能
基を導入し、必要に応じて水素化、ハロゲン化、酸化等
を行い、これと結合する官能基を有する他の重合体と結
合させる方法。
【0061】環状共役ジエン系単量体から誘導される分
子構造単位を含有するブロック単位あるいは、環状共役
ジエン系単量体から誘導されるブロック単位を重合し、
次いでこれと共重合可能な一種叉は二種以上の他の単量
体を重合し、高分子末端に末端変性剤(エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、炭
酸ガス、酸クロライド等)を反応させる事により官能基
を導入し、必要に応じて水素化、ハロゲン化、酸化等を
行い、これと結合する官能基を有する他の重合体と結合
させる方法。
【0062】環状共役ジエン系単量体と、これと重合速
度が異なり共重合可能な一種叉は二種以上の他の単量体
を同時に重合してテーパーブロック共重合体とし、必要
に応じて水素化、ハロゲン化、酸化等を行う方法。環状
共役ジエン系単量体と、これと共重合可能な一種叉は二
種以上の他の単量体を異なった組成比で仕込み、同時に
重合し必要に応じて水素化、ハロゲン化、酸化等を行う
方法。
【0063】環状共役ジエン系単量体を先に重合し、任
意の転化率においてこれと重合速度が異なり共重合可能
な一種叉は二種以上の他の単量体を追添しブロック共重
合体とし、必要に応じて水素化、ハロゲン化、酸化等を
行う方法、などを例示する事ができ、必要に応じて種々
のブロック共重合体とする事ができる。また、一種叉は
二種以上の環状共役ジエン系単量体から誘導されるブロ
ック単位は、これと共重合可能な一種叉は二種以上の他
の単量体から誘導される分子構造単位を含有する事も特
に制限されるものではない。
【0064】更に、一種叉は二種以上の環状共役ジエン
系単量体と共重合可能な一種叉は二種以上の他の単量体
より誘導される分子構造単位である高分子鎖中に、一種
又は二種以上の環状共役ジエン系単量体より誘導される
分子構造単位を含有する事も特に制限されない。本発明
のフェニレン系重合体の前駆体である環状共役ジエン系
重合体における、一種叉は二種以上の環状共役ジエン系
単量体から誘導される分子構造単位もしくはブロック単
位として最も好ましいものは、シクロヘキセン環を含有
する分子構造単位もしくは、これを含有あるいは、これ
から構成されるブロック単位である。
【0065】本発明が開示する最も好ましい製造方法に
より得られる(フェニレン系重合体の前駆体である)環
状共役ジエン系重合体において、高分子鎖を構成する繰
り返し単位の一部叉は全てに含有される環状共役ジエン
系単量体より誘導される好ましい分子構造単位は、下記
(II)式により表される分子構造単位であり、最も好
ましい分子構造単位は下記(III)式により表される
分子構造単位である。
【0066】
【化7】
【0067】
【化8】
【0068】本発明が開示する最も好ましい製造方法に
よって得られる(フェニレン系重合体の前駆体の一つで
ある)環状共役ジエン系ブロック共重合体が、熱可塑性
エラストマーあるいは耐衝撃性(透明)樹脂である場合
には、少なくとも2個の拘束相となるブロック単位(室
温よりも高いTgを有する)と、少なくとも1個のゴム
相となるブロック単位(室温より低いTgを有する)と
を高分子鎖中に含有し、これらのブロック単位はミクロ
相分離している事が必要とされる。
【0069】このような構造を有する高分子鎖は、拘束
相となるブロック単位がそのTg以下では物理的架橋点
として働くため、エラストマー弾性を発現する。また、
拘束相となるブロック単位のTg以上では高分子鎖は流
動するため、射出成形やリサイクル使用が可能となる。
本発明が開示する最も好ましい製造方法によって得られ
る(フェニレン系重合体の前駆体の一つである)環状共
役ジエン系ブロック共重合体は、主として(ブロック単
位の50wt%以上)単量体単位A(環状共役ジエン系
単量体もしくはその誘導体)から構成されるか、あるい
は単量体単位Aと単量体単位C(ビニル芳香族系単量
体)から構成されるブロック単位(Zブロック)を少な
くとも2個、主として(ブロック単位の50wt%以
上)単量体単位B(鎖状共役ジエン系単量体)叉は単量
体単位Eから構成されるブロック単位(Yブロック)を
少なくとも1個有する環状共役ジエン系ブロック共重合
体をも得る事ができる。
【0070】例えば、熱可塑性エラストマーあるいは耐
衝撃性(透明)樹脂として、下記(IV)式で表される
線状ブロック共重合体及び下記(V)式で表されるラジ
アルブロック共重合体を製造する事が可能であり、これ
らの環状共役ジエン系重合体はゴム弾性を発現する事が
できる。
【0071】
【化9】
【0072】
【化10】
【0073】本発明のフェニレン系重合体の前駆体であ
る環状共役ジエン系重合体の最も好ましい製造方法は、
周期律表第IA〜IIA族の金属を含有する有機金属化
合物と錯化剤からなる錯体触媒の存在下、環状共役ジエ
ン系単量体もしくは、環状共役ジエン系単量体及びこれ
と共重合可能な他の単量体単位を(リビング)アニオン
重合する事が特徴であり、この製造方法によって得られ
た環状共役ジエン系重合体は、任意の分子量と狭い分子
量分布(Mw/Mn)を有しているばかりでなく、高分
子鎖中に環状共役ジエン系単量体単位のみならず必要に
応じて他の単量体単位を任意に導入する事が可能である
ため、本発明のフェニレン系重合体単位の前駆体として
最も好ましい。
【0074】前記の製造方法において、有機金属化合物
としては周期律表第IA族の金属を含有する有機金属化
合物が好ましく、錯化剤としてはアミン類が好ましく、
これらを反応させる事により形成された錯体化合物を重
合触媒とし、リビングアニオン重合を行い、任意の分子
量と高分子構造を有する環状共役ジエン系重合体を得る
事が最も好ましい。
【0075】前記の重合触媒に採用する事が可能なIA
族金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジ
ウム、セシウム、フランシウムであり、好ましいIA族
金属としてリチウム、ナトリウム、カリウムを例示する
事ができ、特に好ましいIA族金属としてリチウムを例
示する事ができる。最も好ましい重合触媒である錯体化
合物は、上記IA族金属を含有する有機金属化合物にア
ミン類を反応させる事により形成された錯体化合物であ
る。
【0076】特に好ましい錯体化合物として有機リチウ
ム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物
にアミン類を反応させる事により形成される錯体化合物
を例示する事ができる。本発明のフェニレン系重合体の
前駆体である環状共役ジエン系重合体の製造方法に採用
される最も好ましい錯体化合物として、有機リチウム化
合物にアミン類を反応させる事により形成される錯体化
合物を例示する事ができる。
【0077】前記の製造方法の重合触媒に好適に用いら
れる有機リチウム化合物とは、炭素原子を少なくとも一
個以上含有する有機分子叉は有機高分子に結合する、一
個叉は二個以上のリチウム原子を含有する化合物であ
る。ここで有機分子とは、C1〜C20のアルキル基、C2
〜C20の不飽和脂肪族炭化水素基、C5〜C20のアリー
ル基、C3〜C20のシクロアルキル基、C4〜C20のシク
ロジエニル基である。
【0078】本発明の有機リチウム化合物としては、具
体的にはメチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピ
ルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリ
チウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリ
チウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、アリル
リチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウ
ム、ヘキサメチレンジリチウム、シクロペンタジエニル
リチウム、インデニルリチウム、ブタジエニルジリチウ
ム、イソプレニルリジチウム等あるいは、ポリブタジエ
ニルリチウム、ポリイソプレニルリチウム、ポリスチリ
ルリチウム等高分子鎖の一部にリチウム原子を含有する
オリゴマー状もしくは高分子状の従来公知の有機リチウ
ムを例示する事ができる。
【0079】好ましい有機リチウム化合物としては、安
定な錯体状態(化合物)を形成するものであれば特にそ
の種類は制限されないが、代表的な有機リチウム化合物
としてメチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピル
リチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチ
ウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチ
ウム、シクロヘキシルリチウムを例示する事ができる。
【0080】工業的に採用できる最も好ましい有機リチ
ウム化合物は、n−ブチルリチウム(n−BuLi)で
ある。本発明のフェニレン系重合体の前駆体である環状
共役ジエン系重合体の製造方法において採用されるIA
族金属を含有する有機金属化合物は、一種でも、必要に
応じて二種類以上の混合物であっても構わない。
【0081】本発明のフェニレン系重合体前駆体である
環状共役ジエン系重合体の重合触媒において、IA族金
属を含有する有機金属化合物を錯体化合物とするために
反応させる最も好ましい錯化剤は、一種叉は二種以上の
アミン類である。より具体的には、IA族金属を含有す
る有機金属化合物に配位し錯体を形成する事が可能な、
非共有電子対が存在する極性基であるR12N−基(R
1、R2はアルキル基、アリール基、水素原子を表す。こ
れらは同一であっても異なっていてもよい。)を一個叉
は二個以上含有する有機アミン化合物もしくは有機高分
子アミン化合物を例示する事ができる。
【0082】これらのアミン類の中で、最も好ましいア
ミン類は、第三(三級)アミン化合物である。本発明に
おける好ましい第三(三級)アミン化合物としては、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、ピ
リジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、テトラ
メチルジアミノメタン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、テトラ
メチル−1,3−ブタンジアミン、テトラメチル−1,
4−ブタンジアミン、テトラメチル−1,6−ヘキサン
ジアミン、テトラメチル−1,4−フェニレンジアミ
ン、テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン、テト
ラメチルベンジジン、テトラエチルエチレンジアミン、
テトラエチル−1,3−プロパンジアミン、テトラメチ
ルジエチレントリアミン、テトラエチルジエチレントリ
アミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタエ
チルジエチレントリアミン、ジアザビシクロ[2,2,
2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]
−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]
−7−ウンデセン、1,4,8,11−テトラメチル−
1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、テ
トラキス(ジメチルアミノ)エチレン、テトラエチル−
2−ブテン−1,4−ジアミン、α,α’−ジピリジ
ル、γ,γ’−ジピリジル、トリメチレンジピリジル、
ヘキサメチルホスホリックトリアミド等を例示する事が
できる。
【0083】本発明において更に好ましいアミン類は脂
肪族アミン類であり、特に好ましいアミン類は脂肪族ジ
アミンである。特に好ましい脂肪族ジアミンとしては、
テトラメチルメチレンジアミン(TMMDA)、テトラ
エチルメチレンジアミン(TEMDA)、テトラメチル
エチレンジアミン(TMEDA)、テトラエチルエチレ
ンジアミン(TEEDA)、テトラメチルプロピレンジ
アミン(TMPDA)、テトラエチルプロピレンジアミ
ン(TEPDA)、テトラメチルブチレンジアミ(TM
BDA)、テトラエチルブチレンジアミン(TEBD
A)、テトラメチルペンタンジアミン、テトラエチルペ
ンタンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン(TM
HDA)、テトラエチルヘキサンジアミン(TEHD
A)、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DAB
CO)を例示する事ができる。
【0084】工業的に採用できる最も好ましい脂肪族ジ
アミン化合物は、有機リチウム化合物と反応し安定な錯
体化合物を形成する下記(VI)式により表される脂肪
族ジアミンであり、窒素−窒素原子間に存在する炭素原
子数が1〜6であるものが好ましく、炭素原子数1〜3
のものが特に好ましく、炭素原子数2である脂肪族ジア
ミンが最も好ましい。
【0085】
【化11】
【0086】特に好ましい脂肪族ジアミンとしてテトラ
メチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジアザビシク
ロ[2,2,2]オクタン(DABCO)を例示する事
ができ、最も好ましい脂肪族ジアミンとしてテトラメチ
ルエチレンジアミン(TMEDA)を例示する事ができ
る。これら錯化剤として用いられるアミン類は、一種叉
は必要に応じて二種以上の混合物である事も可能であ
る。
【0087】本発明のフェニレン系重合体の前駆体であ
る環状共役ジエン系重合体の製造方法において採用され
る好ましい有機金属化合物とアミン類の組み合わせは、
室温条件下において安定な錯体を形成する組み合わせで
ある。特に好ましい組み合わせは、n−ブチルリチウム
(n−BuLi)、sec−ブチルリチウム(s−Bu
Li)、tert−ブチルリチウム(t−BuLi)と
テトラメチルメチレンジアミン(TMMDA)、テトラ
メチルエチレンジアミン(TMEDA)、テトラメチル
プロピレンジアミン(TMPDA)、ジアザビシクロ
[2,2,2]オクタン(DABCO)から選択される
組み合わせである。
【0088】特に好ましい組み合わせは、n−ブチルリ
チウム(n−BuLi)、sec−BuLi(s−Bu
Li)、tert−ブチルリチウム(t−BuLi)と
テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ジアザ
ビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)から選
択される組み合わせである。最も好ましい組み合わせ
は、n−ブチルリチウム(n−BuLi)とテトラメチ
ルエチレンジアミンの(TMEDA)であり、これらか
ら形成された白色もしくは無色の結晶状の錯体化合物は
室温条件下において安定であり、本発明のフェニレン系
重合体の前駆体である、環状共役ジエン系重合体の製造
方法に採用される重合触媒として最も好ましい。
【0089】前記の製造方法においては、重合反応以前
に周期律表第IA族の金属を含有する有機金属化合物に
錯化剤としてアミン類を反応させる事により錯体化合物
を形成させ、これを重合触媒として用いる。前記の製造
方法に用いられる重合触媒の合成方法は特に制限される
ものではなく、必要に応じて従来公知の技術を応用する
事ができる。
【0090】例えば、乾燥不活性ガス雰囲気下に有機金
属化合物を有機溶媒に溶解し、これにアミン類の溶液を
添加する方法。あるいは乾燥不活性ガス雰囲気下にアミ
ン類を有機溶媒に溶解し、これに有機金属化合物の溶液
を添加する方法などを例示する事ができ、必要に応じて
適時選択される。ここで用いられる有機溶媒は、有機金
属の種類・量及びアミン化合物の種類・量により適時選
択し、十分に脱気・乾燥を行った後に用いる事が好まし
い。
【0091】また、有機金属化合物とアミン類を反応さ
せる温度条件も、一般的には−100〜100℃の範囲
で適時選択する事が可能である。乾燥不活性ガスとして
はヘリウム、窒素、アルゴンが好ましく、工業的には窒
素もしくはアルゴンを用いることが好ましい。本発明の
フェニレン系重合体の前駆体である環状共役ジエン系重
合体の最も好ましい製造方法において採用される重合触
媒である、IA族金属を含有する有機金属化合物に錯化
剤としてアミン類を反応させ錯体化合物を形成する場
合、配合するアミン化合物分子と有機金属化合物中のI
A族金属原子をそれぞれAmol、Bmolとした場
合、これらの配合比は一般的には、 A/B=1000/1〜1/1000 の範囲であり、 A/B=500/1〜1/500 の範囲である事が好ましく、 A/B=100/1〜1/100 の範囲である事が更に好ましく、 A/B=50/1〜1/50 の範囲である事が特に好ましく、 A/B=20/1〜1/20 の範囲である事が、安定した錯体化合物を高収率で形成
し、本発明のフェニレン系重合体の最も好適な前駆体で
ある、分子量分布の狭い環状共役ジエン系重合体を効率
的に製造する上で最も好ましい。
【0092】アミン化合物分子とIA族金属原子の配合
比が本発明の範囲外であると、経済的に不利になるばか
りでなく、重合触媒である錯体化合物が不安定になり、
重合反応と同時に転移反応あるいはIA族金属ハイドラ
イドの脱離反応等の副反応が併発するなどの好ましから
ざる結果を招く事になる。前記の製造方法に用いられる
重合触媒は、好ましい錯体構造として下記(VII)式
により表される錯体化合物を例示する事ができる。
【0093】
【化12】
【0094】本発明の最も好ましい製造方法は、重合触
媒として形成された錯体化合物を安定化し、室温以上の
温度条件下においても安定にリビングアニオン重合を行
うために、錯体化合物と更に適当量の過剰のアミン類を
追添・共存させ重合反応を行う方法である。重合反応系
に過剰のアミン類が共存すると重合触媒が安定し、室温
以上の温度条件下、例えば40℃以上の条件下において
も分子量分布の狭い環状共役ジエン系重合体を製造する
事が可能となる。
【0095】重合反応系に追添するアミン類は、錯化剤
として用いるアミン類と同一のものが好ましく、特に6
0℃以上の条件下において重合反応を実施する場合は、
その添加量は錯化剤として重合触媒中に含有されている
アミン化合物の0.1mol%以上、好ましくは1mo
l%以上である。更に好ましくは5〜10000mol
%、特に好ましくは10〜1000mol%である。
【0096】追添するアミン化合物の添加量が少ない場
合には、錯体化合物が十分に安定化せず、多すぎる場合
には重合溶媒の回収・精製が困難になるなど工業的に好
ましからざる結果を招く。本発明のフェニレン系重合体
の前駆体である環状共役ジエン系重合体の製造方法にお
ける重合形式は、特に制限されるものではなく、気相重
合、塊状重合もしくは溶液重合などを適時選択し採用す
る事ができる。
【0097】重合反応プロセスとしては例えばバッチ
式、セミバッチ式、連続式などを適時選択し利用する事
が可能である。溶液重合の場合に使用できる重合溶媒と
しては、ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘ
プタン、n−オクタン、iso−オクタン、n−ノナ
ン、n−デカンのような脂肪族炭化水素、シクロペンタ
ン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタ
ン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンのような
脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン、クメンのような芳香族炭化水素、ジエチル
エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類を例
示する事ができる。
【0098】これらの重合溶媒は1種でもあるいは必要
に応じて2種以上の混合物であってもよい。好ましい重
合溶媒としては、脂肪族炭化水素溶媒、脂環族炭化水素
溶媒、芳香族炭化水素溶媒であり。最も好ましい重合溶
媒は、脂肪族炭化水素溶媒、脂環族炭化水素溶媒もしく
はこれらの混合溶媒である。
【0099】本発明のフェニレン系重合体の前駆体であ
る環状共役ジエン系重合体の製造方法において最も好ま
しい重合溶媒は、n−ヘキサンもしくはシクロヘキサ
ン、あるいはこれらの混合溶媒である。本発明のフェニ
レン系重合体の前駆体である環状共役ジエン系重合体の
重合における重合触媒の使用量は、目的により種々異な
ったものとなるため特に限定する事はできないが、一般
的には単量体1molに対して金属原子として1×10
-6mol〜1×10-1molの範囲であり、好ましくは
5×10-6mol〜5×10-2molの範囲で実施する
事ができる。
【0100】前記の環状共役ジエン系重合体の重合にお
ける重合温度は、必要に応じて種々異なったものに設定
されるが、一般には−100〜150℃、好ましくは−
80〜120℃、特に好ましくは−30〜110℃、最
も好ましくは0〜100℃の範囲で実施する事ができ
る。更に工業的な観点からは、室温〜90℃の範囲で実
施する事が有利である。
【0101】重合反応に要する時間は、目的あるいは重
合条件によって種々異なったものになるため特に限定す
る事はできないが、通常は48時間以内であり、特に好
適には1〜24時間の範囲で実施される。重合反応系に
おける雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性
ガス、特に十分に乾燥した不活性ガスである事が望まし
い。
【0102】重合反応系の圧力は、上記重合温度範囲で
単量体及び溶媒を液相に維持するのに十分な圧力の範囲
で行えばよく、特に限定されるものではない。また、重
合系内には重合触媒及び活性末端を不活性化させるよう
な不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよ
うに留意し重合反応を実施する必要がある。
【0103】本発明のフェニレン系重合体の前駆体であ
る環状共役ジエン系重合体の製造方法において、環状共
役ジエン系重合体の重合反応に用いられる重合触媒(錯
体化合物)は、一種でも必要に応じて二種以上の混合物
であっても構わない。前記の製造方法において、重合反
応が所定の重合率を達成した後に、必要に応じて公知の
末端変性剤(ハロゲンガス、炭酸ガス、一酸化炭素、ア
ルキレンオキシド、アルキレンスルフィド、イソシアナ
ート化合物、イミノ化合物、アルデヒド化合物、ケトン
及びチオケトン化合物、エステル類、ラクトン類、含ア
ミド化合物、尿素化合物、酸無水物等)もしくは末端分
岐化剤(ポリエポキサイド、ポリイソシアナート、ポリ
イミン、ポリアルデヒド、ポリアンハライド、ポリエス
テル、ポリハライド、金属ハロゲン化物等)、カップリ
ング剤(ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシ
ラン、ジメチルジブロモシラン、メチルトリブロモシラ
ン、チタノセンジクロライド、ジルコノセンジクロライ
ド、塩化メチレン、臭化メチレン、クロロホルム、四塩
化炭素、四塩化ケイ素、四塩化チタン、四塩化スズ、エ
ポキシ化大豆油、エステル類等)、更には重合停止剤、
重合安定剤、あるいは熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤等の安定剤を添加する事も特に制限されるものでは
ない。
【0104】熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の
安定剤としては従来公知のものをそのまま採用する事が
できる。例えばフェノール系、有機ホスフェート系、有
機ホスファイト系、有機アミン系、有機イオウ系等の種
々の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤を採用する事
が可能である。
【0105】熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の
熱安定剤の添加量は、一般には環状共役ジエン系重合体
100wt部に対し、0.001〜10wt部の範囲で
使用される。重合停止剤としては、本発明の重合触媒の
重合活性種を失活させる公知の重合停止剤を採用する事
ができる。好適なものとして、水、炭素数が1〜10で
あるアルコール、ケトン、多価アルコール(エチレング
リコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、フ
ェノール、カルボン酸、ハロゲン化炭化水素等を例示す
る事ができる。
【0106】重合停止剤の添加量は、一般に環状共役ジ
エン系重合体100wt部に対して、0.001〜10
wt部の範囲で使用される。重合停止剤は、熱安定剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤を添加する以前に
添加してもよいし、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤等の安定剤と同時に添加してもよい。また、重合体の
活性末端に分子状の水素を接触させる事により失活させ
ても構わない。
【0107】本発明のフェニレン系重合体は、前記の製
造方法により前駆体である環状共役ジエン系重合体を重
合し、連続的にあるいは環状共役ジエン系重合体を分離
回収した後、引き続いて重合体中に含有される単量体単
位Aの一部叉は全てを芳香環に変換させる事により製造
さた重合体である。より具体的には、環状共役ジエン系
重合体中に含有される単量体単位Aの一部叉は全てに脱
水素反応を実施し、芳香環に変換する事により得られた
フェニレン系重合体である。
【0108】本発明のフェニレン系重合体を得るための
脱水素反応とは、従来公知の技術をそのまま採用する事
ができ、特に限定されないが、高分子鎖中の単量体単位
Aの一部叉は全てを芳香環、好ましくはベンゼン環に変
換できる事が必要である。本発明における脱水素反応
は、触媒反応であっても化学量論反応であってもよく、
一般には、前駆体である環状共役ジエン系重合体をその
まま、必要に応じて重合体を溶媒、好ましくは有機溶媒
で希釈し、脱水触媒、脱水素試薬等を必要に応じて添加
し、所定の条件下に反応を実施する。
【0109】本発明のフェニレン系重合体を得るための
脱水素反応の形態は、高分子鎖中の単量体単位Aから直
接水素原子もしくは分子を引き抜く方法、あるいはハロ
ゲン化水素、スルホン化水素等の他の化合物と結合した
状態で引き抜く方法、あるいは不均化反応により引き抜
く方法等の従来公知の反応形態を、必要に応じて採用す
る事ができる。
【0110】一般的に入手可能な試薬を用いた、簡便な
脱水素反応としては、キノン(quinone)類を脱
水素試薬として採用する方法を例示する事ができる。代
表的なキノン類として、1,4−ベンゾキノン(キノ
ン)、テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン(o−クロ
ラニル)、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(p−
クロラニル)、テトラブロモ−1,2−ベンゾキノン
(o−ブロマニル)、テトラブロモ−1,4−ベンゾキ
ノン(p−ブロマニル)、テトラフルオロ−1,2−ベ
ンゾキノン、テトラフルオロ−1,4−ベンゾキノン、
テトライオド−1,2−ベンゾキノン、テトライオド−
1,4−ベンゾキノン、テトラヒドロキシ−1,4−ベ
ンゾキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p
−ベンゾキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフ
トキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノ
ン、1−ブロモアントラキノン、1−フルオロアントラ
キノン、1−イオドアントラキノン、2,6−ジヒドロ
キシアントラキノン、1,5−ジヒドロキシアントラキ
ノン、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノ
ン、フェナントレンキノン等を例示する事ができる。
【0111】これらのキノン類の中で、工業的に脱水素
反応を実施するためのには、1,4−ベンゾキノン(キ
ノン)、テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン(o−ク
ロラニル)、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(p
−クロラニル)、テトラブロモ−1,2−ベンゾキノン
(o−ブロマニル)、テトラブロモ−1,4−ベンゾキ
ノン(p−ブロマニル)採用する事が好ましく、テトラ
クロロ−1,4−ベンゾキノン(p−クロラニル)を採
用する事が最も好ましい。
【0112】本発明のフェニレン系重合体が前駆体であ
る環状共役ジエン系重合体を有機溶媒中に溶解し脱水素
反応を実施する場合、有機溶媒としては前駆体である環
状共役ジエン系重合体を十分に溶解するものであれば、
その種類・量は特に制限されるものではなく、環状共役
ジエン系重合体の溶解性に応じて適時選択すればよい。
【0113】これらの有機溶媒として例えば、ブタン、
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、iso−オクタン、n−ノナン、n−デカンのよ
うな脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペ
ンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチ
ルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、
デカリン、ノルボルナンのような脂環族炭化水素、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンの
ような芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフランのようなエーテル類、クロロホルム、塩化メチ
レン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロ
ベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類などを例示する
事ができる。
【0114】脱水素反応における反応温度は、必要に応
じて種々異なったものに設定されるが、一般には0〜3
50℃、好ましくは0〜300℃、特に好ましくは0〜
250℃、最も好ましくは0〜200℃の範囲で実施す
る事ができる。更に工業的な観点からは、室温〜200
℃の範囲で実施する事が有利である。脱水素反応に要す
る時間は、目的あるいは反応条件によって種々異なった
ものになるため特に限定する事はできないが、通常は4
8時間以内であり、特に好適には1〜24時間の範囲で
実施される。
【0115】脱水素反応系における雰囲気は、窒素、ア
ルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、特に十分に乾燥した
純度の高い不活性ガスである事が、副反応を抑制するた
めに好ましい。反応系の圧力は、上記反応温度範囲で触
媒、試薬及び溶媒等を液相に維持するのに十分な圧力の
範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。
【0116】また、反応系内には脱水素触媒及び脱水素
試薬等を不活性化あるいは、前駆体である環状共役ジエ
ン系重合体を架橋、分解等を起こさせるような不純物、
例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意し
脱水素反応を実施する事が好ましい。脱水素反応終了
後、重合体溶液からフェンレン系重合体を分離回収する
ためには、公知の重合体の重合体溶液から重合体を回収
する際に通常使用される、従来公知の技術を採用する事
ができる。
【0117】例えば反応溶液と水蒸気を直接接触させる
水蒸気凝固法、反応液に重合体の貧溶媒を添加して重合
体を沈澱させる再沈澱法、反応溶液を容器内で加熱して
溶媒を留去させる方法、ベント付き押出機で溶媒を留去
しながらペレット化まで行う方法などを例示する事がで
き、本発明のフェニレン系系重合体及び用いた溶媒の性
質に応じて最適な方法を採用する事ができる。
【0118】本発明のフェニレン系重合体は、脱水素反
応実施前あるいは実施後に、必要に応じて水素化、ハロ
ゲン化、アルキル化、酸化、スルホン化等、あるいは従
来公知の技術を用いてカルボキシル基(無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸、
メタクリル酸等)、水酸基、エポキシ基(グリシジルメ
タクリレート、グリシジルアクリレート等)、アミノ基
(マレイミド等)、オキサゾリン基、アルコキシ基(ビ
ニルシラン等)、イソシアナート基等の極性基を付加
し、変性もしくは架橋されていてもよい。
【0119】また、その目的・用途に応じて熱安定剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、核剤、可
塑剤、染料、顔料、架橋剤、発泡剤、帯電防止剤、スリ
ップ防止剤、アンチブロッキング剤、離型剤、他の高分
子材料、無機強化材(ガラスフィラー、鉱物繊維、無機
フィラー等)等、一般の高分子材料に添加・配合される
添加剤、強化剤等を含有する事も特に制限されるもので
はない。更に、その目的・用途に応じて単独材料とし
て、あるいは他の高分子材料、無機強化材料・有機強化
材料との複合材料体として用いる事も可能である。
【0120】本発明のフェニレン系重合体は、優れた工
業材料、特に機能材料として、機能性フィルム(導電性
フィルム、感光性フィルム等)、分離膜、選択透過膜、
微多孔膜、徐放性包合材、薬理物質支持基体、機能性ビ
ーズ(分子ふるい、高分子触媒、高分子触媒基体等)、
プラスチク電池材料、太陽電池部品、機能性繊維、機能
性シート、高性能プラスチック、特殊熱可塑性エラスト
マー、硬化性樹として用いる事が可能である。
【0121】
【発明の実施の形態】以下に、実施例及び製造例、比較
例、参考例によって本発明を更に具体的に説明するが、
本発明の範囲はこれらの実施例に限定され解釈されるも
のではない。尚、本発明に用いた薬品は入手しうる最高
純度のものであった。一般の溶剤は常法に従い脱気し、
不活性ガス雰囲気下、活性金属上で還流・脱水し、次い
で蒸留・精製したものを使用した。
【0122】数平均分子量は、G.P.C(ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー)法により測定した標準
ポリスチレン換算の値を示した。
【0123】
【参考例1】 <触媒溶液(錯体化合物)の調整>乾燥アルゴン雰囲気
下、既知量のテトラメチルエチレンジアミン(TMED
A)を精製したシクロヘキサンに溶解した。この溶液を
室温に保持し、乾燥アルゴン雰囲気下にTMEDA/n
−ブチルリチウム(n−BuLi)=2/4(mol
比)となるように、所定量のn−BuLiのノルマルヘ
キサン溶液をゆっくりと添加した。更に、この触媒溶液
を所定の重合温度まで昇温し、触媒溶液(錯体化合物)
を調整した。
【0124】
【製造例1】 <前駆体である環状共役ジエン系重合体−1の合成>常
法に従い十分に乾燥した100mlシュレンク管の内部
を乾燥アルゴンで置換した。1,3−シクロヘキサジエ
ン3.00g、シクロヘキサン27.0gをシュレンク
管内に注入した。溶液の温度を40℃に保持し、参考例
1にて調整した触媒溶液(錯体化合物)をリチウム原子
換算として0.07mmolとなるように添加し、乾燥
アルゴン雰囲気下に4時間重合反応を行った。
【0125】重合反応終了後、10wt%メタノール含
有シクロヘキサン溶液を加えて反応を停止させ、更に大
量のメタノール/塩酸混合溶媒で重合体を分離させ、ア
セトンで洗浄後、80℃で真空乾燥し、収率100wt
%で白色の重合体を得た。得られたシクロヘキサジエン
ホモポリマーの数平均分子量(Mn)は44,800で
あり、分子量分布(Mw/Mn)は1.21であった。
【0126】この重合体のガラス転移温度(Tg)は1
71℃であり、1H−NMRにより算出されたシクロヘ
キセンユニットの1,2−/1,4−比は、約4/6で
あった。
【0127】
【製造例2】 <前駆体である環状共役ジエン系重合体−2の合成>十
分に乾燥した電磁誘導撹拌機付き5l高圧オートクレー
ブの内部を、常法に従い乾燥窒素で置換し、精製シクロ
ヘキサンで置換した。シクロヘキサン2800g、1,
3−シクロヘキサジエン400g、TMEDA21.0
mmolをオートクレーブ内に仕込み、参考例1にて調
整した重合触媒(錯体化合物)をリチウム原子換算とし
て10.48mmol添加し、60℃で5時間重合反応
を行った(シクロヘキサジエンホモポリマー)。
【0128】重合反応終了後、オートクレーブ内にヘプ
タノールを添加して重合反応停止し、常法に従い脱溶媒
操作を行い、シクロヘキサジエンホモポリマーを得た。
得られた重合体の数平均分子量(Mn)は45,500
であり、分子量分布(Mw/Mn)1.18であった。
この重合体のガラス転移温度(Tg)は170℃であ
り、1H−NMRにより算出されたシクロヘキセンユニ
ットの1,2−/1,4−比は、約1/1であった。
【0129】
【製造例3】 <前駆体である環状共役ジエン系重合体−3の合成>十
分に乾燥した電磁誘導撹拌機付き5l高圧オートクレー
ブの内部を、常法に従い乾燥窒素で置換し、精製シクロ
ヘキサンで洗浄した。シクロヘキサン2800g、1,
3−シクロヘキサジエン60g、TMEDA21.0m
molをオートクレーブ内に仕込み、参考例1にて調整
した重合触媒(錯体化合物)をリチウム原子換算として
10.48mmolを添加し、60℃で30分重合反応
を行った(Step1:シクロヘキサジエンホモポリマ
ー)。この重合溶液に、更にブタジエン280gを追添
し60℃で30分重合反応を行った(Step2:シク
ロヘキサジエン・ブタジエンジブロックコポリマー)。
この重合溶液に更に1,3−シクロヘキサジエン60g
を添加し60℃で2時間重合反応を行った(Step
3:シクロヘキサジエン・ブタジエントリブロックコポ
リマー)。
【0130】重合反応終了後、オートクレーブ内に、ヘ
プタノールを添加して重合反応停止し、次いでチタノセ
ンジクロライド/n−BuLi=1/2で調整した水素
化触媒を、チタン原子換算として(ポリマーに対し)1
50ppm添加した。常法に従い水素ガスで内部を置換
し、80℃、10kg/cm2Gで2時間水素化反応を
実施した。
【0131】常法に従い脱溶媒操作を行い、ブタジエン
ユニットのみが100%水素化された、ゴム弾性を示す
シクロヘキサジエン・水素化ブタジエントリブロックコ
ポリマーを得た(水素化率は1H−NMRにより算出し
た)。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は97,
200であり、分子量分布(Mw/Mn)1.08であ
った。
【0132】この重合体の高温側(シクロヘキセンブロ
ック)のガラス転移温度(Tg)は168℃であり、1
H−NMRにより算出されたシクロヘキセンユニットの
1,2−/1,4−比は、約1/1であった。
【0133】
【製造例4】 <前駆体である環状共役ジエン系重合体−4の合成>十
分に乾燥した電磁誘導撹拌機付き5l高圧オートクレー
ブの内部を、常法に従い乾燥窒素で置換し、精製シクロ
ヘキサンで洗浄した。シクロヘキサン2800g、1,
3−シクロヘキサジエン120g、TMEDA13.0
mmolをオートクレーブ内に仕込み、参考例1にて調
整した重合触媒(錯体化合物)をリチウム原子換算とし
て13.0mmol添加し、60℃で90分重合反応を
行った(シクロヘキサジエンホモポリマー)。この重合
溶液に、更にスチレン280gを追添し、70℃で70
分重合反応を行った(シクロヘキサジエン・スチレンジ
ブロックコポリマー)。
【0134】重合反応終了後、オートクレーブ内に、ヘ
プタノールを添加して重合反応停止し、常法に従い脱溶
媒操作を行い、シクロヘキサジエン・スチレンジブロッ
クコポリマーを得た。得られた重合体の数平均分子量
(Mn)は49,000であり、分子量分布(Mw/M
n)1.12であった。
【0135】この重合体の高温側(シクロヘキセンブロ
ック)のガラス転移温度(Tg)は170℃であり、1
H−NMRにより算出されたシクロヘキセンユニットの
1,2−/1,4−比は、約1/1であった。
【0136】
【実施例1】常法に従い十分に乾燥した100mlシュ
レンク管の内部を乾燥アルゴンで置換した。製造例1に
て得られた重合体1g、トリクロロベンゼン50mlを
シュレンク管内に入れ、乾燥アルゴン雰囲気下150に
昇温・撹拌し溶解した。このポリマー溶液に、テトラク
ロロ−1,4−ベンゾキノン(p−クロラニル)をヘキ
センユニットに対し4当量となるように添加し、150
℃で20時間脱水素反応を行った。反応終了後、常法に
従い脱溶媒操作を行い、淡黄色の重合体を得た。
【0137】UVスペクトルにより、シクロヘキセンユ
ニットの72%がベンゼン環に変換されたフェニレン系
重合体である事を確認した。
【0138】
【実施例2】常法に従い十分に乾燥した100mlシュ
レンク管の内部を乾燥アルゴンで置換した。製造例2に
て得られた重合体1g、トリクロロベンゼン50mlを
シュレンク管内に入れ、乾燥アルゴン雰囲気下150に
昇温・撹拌し溶解した。このポリマー溶液に、テトラク
ロロ−1,4−ベンゾキノン(p−クロラニル)をヘキ
センユニットに対し4当量となるように添加し、150
℃で20時間脱水素反応を行った。反応終了後、常法に
従い脱溶媒操作を行い、淡黄色の重合体を得た。
【0139】UVスペクトルにより、シクロヘキセンユ
ニットの75%がベンゼン環に変換されたフェニレン系
重合体である事を確認した。
【0140】
【実施例3】常法に従い十分に乾燥した100mlシュ
レンク管の内部を乾燥アルゴンで置換した。製造例3に
て得られた重合体1g、トリクロロベンゼン50mlを
シュレンク管内に入れ、乾燥アルゴン雰囲気下140に
昇温・撹拌し溶解した。このポリマー溶液に、テトラク
ロロ−1,4−ベンゾキノン(p−クロラニル)をヘキ
センユニットに対し4当量となるように添加し、140
℃で20時間脱水素反応を行った。反応終了後、常法に
従い脱溶媒操作を行い、淡黄色のゴム弾性を示す重合体
を得た。
【0141】UVスペクトルにより、シクロヘキセンユ
ニットの69%がベンゼン環に変換されたフェニレン系
重合体である事を確認した。
【0142】
【実施例4】常法に従い十分に乾燥した100mlシュ
レンク管の内部を乾燥アルゴンで置換した。製造例4に
て得られた重合体1g、トリクロロベンゼン50mlを
シュレンク管内に入れ、乾燥アルゴン雰囲気下140に
昇温・撹拌し溶解した。このポリマー溶液に、テトラク
ロロ−1,4−ベンゾキノン(p−クロラニル)をヘキ
センユニットに対し4当量となるように添加し、140
℃で20時間脱水素反応を行った。反応終了後、常法に
従い脱溶媒操作を行い、淡黄色の重合体を得た。
【0143】UVスペクトルにより、シクロヘキセンユ
ニットの66%がベンゼン環に変換されたフェニレン系
重合体である事を確認した。
【0144】
【実施例5】溶媒をo−ジクロロベンゼンに代えた以外
は、実施例1と同様にして脱水素反応を行った。UVス
ペクトルにより、シクロヘキセンユニットの69%がベ
ンゼン環に変換されたフェニレン系重合体である事を確
認した。
【0145】
【実施例6】溶媒をo−ジクロロベンゼンに代えた以外
は、実施例3と同様にして脱水素反応を行った。UVス
ペクトルにより、シクロヘキセンユニットの71%がベ
ンゼン環に変換されたフェニレン系重合体である事を確
認した。
【0146】
【発明の効果】本発明の新規なフェニレン系重合体は、
前駆体である環状共役ジエン系重合体がリビングアニオ
ン重合で合成されるため、狭い分子量分布を有し、任意
の分子量・高分子構造を有するフェニレン系重合体とす
る事ができる。更に、本発明のフェニレン系重合体は、
機能材料として必要な分子量、分子構造を任意に与える
事が可能であるため、目的・用途に応じて単独あるいは
他の樹脂材料・無機材料との複合体として、機能性フィ
ルム(導電性フィルム、感光性フィルム等)、分離膜、
選択透過膜、微多孔膜、徐放性包合材、薬理物質支持基
体、機能性ビーズ(分子ふるい、高分子触媒、高分子触
媒基体等)、プラスチク電池材料、太陽電池部品、機能
性繊維、機能性シート、高性能プラスチック、特殊熱可
塑性エラストマー、硬化性樹等の優れた工業材料、特に
機能材料として幅広い用途に用いる事ができる。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)により表される環状共役ジ
    エン系重合体から誘導される重合体であって、高分子鎖
    中に含有される単量体単位Aの一部叉は全てを芳香環に
    変換する事によって得られる機能性重合体。 【化1】
  2. 【請求項2】 a=100であり、単量体単位Aが環状
    共役ジエン系単量体単位から選ばれる一種叉は二種以上
    の単量体単位である請求項1に記載の機能性重合体。
  3. 【請求項3】 0.5≦a<100であり、単量体単位
    Aが環状共役ジエン系単量体単位から選ばれる一種叉は
    二種以上の単量体単位である請求項1に記載の機能性重
    合体。
  4. 【請求項4】 式(I)により表される重合体が、ラン
    ダム共重合体である請求項3記載の機能性重合体。
  5. 【請求項5】 式(I)により表される重合体が、交互
    共重合体である請求項3記載の機能性重合体。
  6. 【請求項6】 式(I)により表される重合体が、少な
    くとも1個の単量体単位Aを含むブロック単位を有する
    ブロック共重合体である請求項3に記載の機能性重合
    体。
  7. 【請求項7】 式(I)により表され、且つ、少なくと
    も1個の単量体単位Aを含有する少なくとも1個のブロ
    ック単位Xと、主として単量体単位B叉は単量体単位E
    から構成される少なくとも1個のブロック単位Yとを有
    し、数平均分子量が500〜5,000,000であっ
    て、X/Yの重量比が1/99〜99/1の範囲にある
    重合体の高分子鎖中に含有される単量体単位Aの一部叉
    は全てを芳香環に変換する事によって得られる機能性重
    合体。
  8. 【請求項8】 式(I)により表される重合体が、少な
    くとも1個の単量体単位Aを含有する少なくとも2個の
    ブロック単位Xと、主として単量体単位B叉は単量体単
    位Eから構成される少なくとも1個のブロック単位Yと
    を有し、且つ数平均分子量が500〜5,000,00
    0であって、X/Yの重量比が1/99〜99/1の範
    囲にある少なくとも3個以上のブロック単位を有する重
    合体である請求項7記載の機能性重合体。
  9. 【請求項9】 式(I)により表される重合体が、少な
    くとも1個の単量体単位Aを含有する2個のブロック単
    位Xと、主として単量体単位B叉は単量体単位Eから構
    成される1個のブロック単位Yとを有し、且つ数平均分
    子量が500〜5,000,000であって、X/Yの
    重量比が1/99〜99/1の範囲にある事を特徴とす
    る請求項8記載の機能性重合体。
  10. 【請求項10】 式(I)により表される重合体におけ
    る単量体単位Aが、次式(II)により表される単位類
    から選択される少なくとも一種の環状共役ジエン系単量
    体単位である請求項1〜9のいずれかに記載の機能性重
    合体。 【化2】
  11. 【請求項11】 式(I)により表される重合体におけ
    る少なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単位が、次
    式(III)により表される請求項10記載の機能性重
    合体。 【化3】
  12. 【請求項12】 式(I)により表される重合体におけ
    る少なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単位が、
    1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジ
    エン、1,3−シクロオクタジエン単量体単位叉はその
    誘導体である事を特徴とする請求項10に記載の機能性
    重合体。
  13. 【請求項13】 式(I)により表される重合体におけ
    る少なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単位が、
    1,3−シクロヘキサジエン単量体単位叉はその誘導体
    である事を特徴とする請求項10に記載の機能性重合
    体。
  14. 【請求項14】 式(I)により表される重合体におけ
    る少なくとも一種の環状共役ジエン系単量体単位が、
    1,3−シクロヘキサジエン単量体単位である事を特徴
    とする請求項10に記載の機能性重合体。
  15. 【請求項15】 式(I)により表される重合体におけ
    る少なくとも3個以上のブロック単位を有するブロック
    共重合体の構造が、X−(Y−X)l,(X−Y)m,Y
    −(X−Y)m,[(Y−X)lm,[(X−
    Y)lm,[(Y−X)l−Y]m,[(X−Y)l
    X]m,[但しlは1以上の整数であり、mは2以上の
    整数である。X,Yは請求項7において定義されたのと
    同じ意味を有す。]で表される事を特徴とする請求項8
    記載の機能性重合体。
  16. 【請求項16】 式(I)により表される重合体が、少
    なくとも一種の環状共役ジエン系単量体、或いは少なく
    とも一種の環状共役ジエン系単量体及びそれと共重合可
    能な少なくとも一種の他の単量体(鎖状共役ジエン系単
    量体類、ビニル芳香族単量体類、極性単量体類、エチレ
    ン単量体、及びα−オレフィン単量体類よりなる群から
    選択される)を、周期律表第IA〜IIA族の金属を含
    有する有機金属化合物と錯化剤からなる錯体触媒の存在
    下で重合する事により得られたものである事を特徴とす
    る請求項1〜15のいずれかに記載の機能性重合体。
  17. 【請求項17】 上記重合触媒が、周期律表第IA族の
    金属を含有する有機金属化合物と錯化剤からなる錯体触
    媒である事を特徴とする請求項16記載の機能性重合
    体。
  18. 【請求項18】 上記の錯化剤が、アミンを含む事を特
    徴とする請求項16記載の機能性重合体。
  19. 【請求項19】 式(I)により表される重合体が、少
    なくとも1個の単量体単位Aを含むブロック単位を有す
    るブロック共重合体であり、単量体単位Aより構成され
    るブロック単位の数平均分子量が15,000以上であ
    る請求項6〜9及び15のいずれかに記載の機能性重合
    体。
  20. 【請求項20】 単量体単位Aより構成されるブロック
    単位の数平均分子量が20,000以上である請求項1
    9に記載の機能性重合体。
JP19441695A 1995-07-31 1995-07-31 機能性重合体 Withdrawn JPH0940723A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109529541A (zh) * 2017-09-21 2019-03-29 株式会社东芝 二氧化碳吸收剂及二氧化碳分离回收装置
CN114939349A (zh) * 2022-05-03 2022-08-26 北京工业大学 一种用于气体分离的金属-有机空穴配合物混合基质膜的制备

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