JPH0938349A - 電気かみそり用の刃組み合わせ体 - Google Patents

電気かみそり用の刃組み合わせ体

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JPH0938349A
JPH0938349A JP14982396A JP14982396A JPH0938349A JP H0938349 A JPH0938349 A JP H0938349A JP 14982396 A JP14982396 A JP 14982396A JP 14982396 A JP14982396 A JP 14982396A JP H0938349 A JPH0938349 A JP H0938349A
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Japan
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blade
cutting edge
base material
inner blade
stainless steel
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JP14982396A
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English (en)
Inventor
Shuji Yamada
修司 山田
Tadashi Hamada
糾 濱田
Shigetoshi Sakon
茂俊 佐近
Shinji Fujimoto
真司 藤本
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い表面硬度を有する材料で作成された外刃
と内刃とでなる電気かみそり用の刃組み合わせ体を提供
することである。 【解決手段】 外刃と複数の内刃とを含む電気かみそり
用刃組み合わせ体において,外刃と内刃の各々は,Fe
−Cr系ステンレス鋼の基材と基材の表面に設けられた
硬質相とでなる鉄基合金で作成される。基材はビッカー
ス硬度で400あるいはそれ以上の硬度を有し、硬質層
はビッカース硬度で700あるいはそれ以上の硬度を有
する。硬質層の厚さは2〜15μmである。硬質層はF
e−Al拡散層であることが好ましく,拡散層は拡散層
の全体積に対して少なくとも90体積%のAlとFeと
の金属間化合物を含み,拡散層の表面から少なくとも2
μm深さ内のAl含有量が,前記少なくとも2μm深さ
までの拡散層の領域の総重量に対して35〜65重量%
である点により特徴づけられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気かみそり用の
刃組み合わせ体,より具体的には高い表面硬度を有する
材料で作成された外刃と内刃のセットに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来において,マルテンサイトステンレ
ス鋼や析出硬化型ステンレス鋼が歯車や軸受けなどの摺
動部材や切削工具に使用されている。これらの鋼は優れ
た靱性と耐衝撃性を備えているものの,寿命の長い摺動
部材や切削工具を提供するにあたっては表面硬度や耐摩
耗性の点で必ずしも十分とは言えない。また,それらの
ステンレス鋼を切削工具の刃を作成するために研磨する
際,刃先部で刃かえり(ばり)が発生するという問題も
挙げることができる。図9に示すように,刃物1の上面
2と側面4の間に定義される刃先角θが小さくなるにつ
れて,バリの発生は増加する傾向がある。したがって,
研磨工程後にばりを除去するための工程が必要となるの
であるが,このばりの除去工程においてはしばしば刃先
に欠けなどの損傷がもたらされるので,シャープエッジ
の形成を困難にしている。
【0003】この問題点を改善するために,優れた耐摩
耗性と硬度を有するアルミナやジルコニア等のセラミッ
ク材を使用することが提案されている。しかしながら,
セラミック材の破壊靱性は鋼部材のそれに比べ著しく劣
っていることや,摺動部材や切削工具の種々の形状にセ
ラミック材を加工する際の困難性から鋼部材の場合とは
別の問題点が生じる。
【0004】このように,従来の鋼部材やセラミック部
材では表面硬度や耐摩耗性に優れ,且シャープエッジを
有する電気かみそり用の外刃と内刃の組み合わせ体を提
供することが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、表面
硬度や耐摩耗性に優れ,且シャープエッジを有する電気
かみそり用の外刃と内刃の組み合わせ体を提供すること
を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる電気かみ
そり用の刃組み合わせ体は,上記問題点を改善および解
決することが可能な鉄基合金で作成された外刃と複数の
内刃とで構成されている。すなわち,外刃と内刃の各々
はFe−Cr系ステンレス鋼の基材と基材の表面に設け
られた硬質相でなる鉄基合金で作成されていて,ステン
レス鋼はビッカース硬度で400あるいはそれ以上の硬
度を有し、硬質層はビッカース硬度で700あるいはそ
れ以上の硬度を有する。硬質層の厚さは2〜15μmで
ある。外刃は毛を導入する複数の開口を有し、開口の周
りに第1の研削接触面、硬質層で形成される第1の切断
エッジ、及び第1研削接触面に隣接する側面が形成さ
れ、第1の研削接触面とこれに隣接する前記側面との間
で定義される第1切断エッジの刃先角度が35〜90°
の範囲に設定されている。一方,内刃の各々は、第2の
研削接触面、前記硬質層で形成される第2の切断エッ
ジ、及び第2研削接触面に隣接する側面を有し、第2の
研削接触面とこれに隣接する前記側面との間で定義され
る第2切断エッジの刃先角度が35〜90°の範囲に設
定されている。内刃は支持体に装着されて駆動されるこ
とで第1と第2の研削接触面同士が摺動係合し,それに
より第1と第2の切断エッジの間で毛が切断されるので
ある。
【0007】本発明においては,上記鉄基合金を外刃と
内刃に研磨する工程において,刃先での刃カエリ(バ
リ)の発生を防ぎながら,シャープエッジを形成するこ
とができる。特に,小さな刃先角(35°)のシャープ
エッジを形成する場合においても,刃先にバリの発生が
ほとんど観られないことは特筆に値する。結果的に,本
発明の刃組み合わせ体を使用している電気かみそりは,
良好な髭剃り特性,例えば,短縮された髭剃り時間と小
さな切削抵抗,を提供できるのである。
【0008】したがって,本発明の第1の目的は,Fe
−Cr系ステンレス鋼の基材と基材の表面に設けられた
硬質相でなる鉄基合金で作成された外刃と複数の内刃と
でなる電気かみそり用刃組み合わせ体を提供することで
ある。本発明にあたっては,基材として,73〜89.
9重量%の鉄,10〜19重量%のクロム,0.1〜
1.2重量%の炭素,および3重量%以下のニッケルを
含むFe−Cr系ステンレス鋼,あるいは69〜81.
5重量%の鉄,12〜18重量%のクロム,6〜8.5
重量%のニッケル,およびアルミニウムとチタンの少な
くとも一方を0.5〜2重量%含むFe−Cr系ステン
レス鋼を使用することが好ましい。
【0009】また,本発明にあたっては,硬質層がFe
−Al拡散層であることが特に好ましい。この拡散層
は,拡散層の全体積に対して少なくとも90体積%のA
lとFeとの金属間化合物を含み,拡散層の表面から少
なくとも2μm深さ内のAl含有量が,前記少なくとも
2μm深さまでの拡散層の領域の総重量に対して35〜
65重量%であることよってに特徴づけられる。この場
合,拡散層は,基材の金属元素,例えば,FeおよびC
r,と基材上に設けられたアルミニウム層のAlとの間
での相互拡散を起させるための熱処理を介して形成され
るので,拡散層と基材との間に優れた密着性を提供する
ことが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図1〜3に示すように、本発明に係る電気かみそ
り用の刃組み合わせ体は、電気かみそりの切断ヘッド
(図示せず)に支持される外刃10と、支持体30に装
着される複数の内刃20とで構成されている。支持体3
0は切断ヘッド内で駆動され,それにより内刃が外刃と
の間で毛切断係合を生じるように移動する。図示の外刃
は多数の開口11を有する薄板であり、開口のまわりは
薄板を打ち抜いて形成されることで下方に屈曲するリム
12となっている。リム12の下端面には研削により形
成される第1の切断エッジ14を有する第1研削接触面
13が定義される。内刃20の各々の上端には第2研削
接触面23が形成され、その両端縁に第2の切断エッジ
24が設けられている。内刃20は互いに並行関係で支
持体30へ装着され、第2研削接触面が外刃の第1研削
接触面へ摺動係合するように駆動されて、開口11に捕
捉された毛を第1切断エッジ14と第2切断エッジ24
とで切断するようになっている。
【0011】リム12の下端の第1の研削接触面13に
開口11の回りに設けられた第1切断エッジは35〜9
0°の鋭角な刃先角(α)を有する。内刃20上端のす
ぐ下の両側面にはつかし21が形成されている。第2の
研削接触面の両側縁に沿って設けられた第2の切断エッ
ジ24は35〜90°の鋭角の刃先角(β)を有する。
全ての内刃20は外刃10の輪郭に合致するように同時
に研削される。図4に示すように、支持体30を回転砥
石40に向けて移動させることで支持体に装着された内
刃の上端を研削する。
【0012】外刃10及び内刃20は,それぞれFe−
Cr系ステンレス鋼の基材15、25とこの基材の両面
の硬質層16、26とからなる鉄基合金で形成される。
硬質層は,2から15μmの厚みを有し,ビッカース硬
度で700あるいはそれ以上の硬度を示す。硬質層は,
外刃や内刃の第1及び第2の研削接触面の研削時や電気
かみそりの長時間使用での切断エッジのだれやカエリ
(バリ)を防ぎ、長期に亘って良好な切断性能を維持す
るのに重要である。基材は、ビッカース硬度で400あ
るいはそれ以上の硬度を有する。例えば,73〜89.
9重量%の鉄,10〜19重量%のクロム,0.1〜
1.2重量%の炭素,および3重量%以下のニッケルを
含むFe−Cr系ステンレス鋼,あるいは69〜81.
5重量%の鉄,12〜18重量%のクロム,6〜8.5
重量%のニッケル,およびアルミニウムとチタンの少な
くとも一方を0.5〜2重量%含むFe−Cr系ステン
レス鋼を基材として使用することが好ましい。
【0013】本発明の刃組み合わせ体は、いろいろなタ
イプの電気かみそりに適用でき、例えば、内刃が往復駆
動される往復駆動式、内刃が軸のまわりに回転する回転
駆動式のものに適用できる。本発明においては,硬質層
がFe−Al拡散層で形成されていることが特に好まし
いとされている。このFe−Al拡散層は,拡散層の全
体積に対して少なくとも90体積%のAlとFeとの金
属間化合物を含み,拡散層の表面から少なくとも2μm
深さ内のAl含有量が,前記少なくとも2μm深さまで
の拡散層の領域の総重量に対して35〜65重量%であ
る点に特徴がある。Al含有量が35重量%以下である
時,拡散層の表面に高い硬度と優れた耐摩耗性を付与す
るのに十分でない。一方,Al含有量が65重量%以上
である時,硬度の低い純アルミニウムあるいはFe−A
l固溶体が好ましくない量で拡散層に形成されてしま
う。
【0014】図5は,およそ10μmの厚みを有する拡
散層の外表面から深さ方向におけるAl,FeおよびC
r含有量を示している。これらのAl,FeおよびCr
の含有量は,X線マイクロアナリシスによって質量分析
された値である。図5中,Al含有量を示す曲線は,拡
散層の表面からおよそ2μm深さ内のAl含有量がその
2μm深さまでの拡散層の総重量に対して45〜60重
量%であることを示している。60重量%のAl含有量
は約76原子%に匹敵するので,拡散層の表面にはAl
3 Feが形成されていると推測される。
【0015】この拡散層の外表面から深さ方向における
ビッカース硬度の変化が図6に示されている。硬度は2
g重の荷重の下で測定された。図6の結果より,拡散層
の外表面からおよそ6μmの深さの範囲にわたって約1
140の高い硬度が安定に得られていることがわかる。
拡散層のこの範囲は,実質的に図5に示された35〜6
0重量%のAl含有量の範囲に対応している。硬度は,
この高硬度領域からおよそ10μmの深さに向かって徐
々に減少していき,最終的に基材硬度のおよそ500に
到達している。
【0016】拡散層の構成は,X線回折により同定する
ことが可能である。例えば,上記拡散層のX線回折プロ
ファイルは,Cukα線を使用し,加速電圧および電流
を40kV,200mAとして,通常の2θ−θゴニオ
メ−タを有するX線回折装置を使用して得ることができ
る。X線は拡散層の表面に照射されるものとする。この
ようにして得られたX線プロファイルは,拡散層がFe
とAlとの複数の金属間化合物を含むことを示唆してい
る。
【0017】本発明の拡散層は,拡散層の全体積に対し
て少なくとも90体積%のAl−Fe金属間化合物を含
んでいる。金属間化合物の体積含有率(V:体積%)は
以下の式により求めることができる: V(体積%)=100×S1/(S1+S2) ここに,S1はX線回折プロファイル上に同定されるす
べてのAl−Fe金属間化合物のピーク面積の合計であ
り,S2は同X線プロファイル上で同定される前記Al
−Fe金属間化合物以外の純アルミニウムおよび/ある
いはFeがAlに固溶することにより形成されるAl合
金のピーク面積の合計である。この体積含有率が90体
積%以下である場合,拡散層中に純アルミニウムおよび
/あるいは硬度の低いAl合金が残留するため,拡散層
の硬度が低下してしまう。
【0018】拡散層の表面付近のAl含有量が65重量
%以上である時,純アルミニウムの幾つかのピークが同
定されるようになるだろう。また,酸化アルミニウム
(アルミナ)のピークは,本発明の拡散層のX線プロフ
ァイル上には観測されない。さらに,図5に示されるよ
うに,拡散層は少量のCrを含んでいる。しかしなが
ら,仮に少量のAlとCrとの金属間化合物が拡散層中
に形成されたとしても,拡散層の硬度は低下されないの
で特に問題にはならない。
【0019】基材にFe−Cr−Ni系ステンレス鋼を
使用する場合,Cr, Al及びTiからなる群から選択
される少なくとも一つの元素の窒化物粒子を含む硬質層
が形成されてもよい。この場合,これらの窒化物粒子は
基材の表面に分散されている。一方,基材にFe−Cr
−C系ステンレス鋼を使用する場合は,Crの窒化物粒
子を含む硬質層が形成されても良い。この窒化物粒子は
基材の表面に分散されている。これらの窒化物粒子を含
有する硬質層は,例えば,イオン窒化法により形成され
るだろう。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳述する。 (実施例1) (外刃)Fe−Cr−C系[Fe−14Cr−1.1M
o−0.7C(重量%)]ステンレス鋼からなる厚さ
0.025mmのステンレス鋼シートが外刃の基材とし
て使用された。このシートの両面に溶融メッキにより厚
さ0.005mmのアルミニウム層を形成して、0.0
35mmの鍍金シートを得た。この鍍金シートを従来の
方法で加工して,下方に屈曲するリム12で囲まれる開
口11のパターンを形成し、975℃で15秒間加熱
し、次いで空冷することにより5μm厚のFe−Al硬
質層を基材の両面に形成すると共に、基材に焼き入れ硬
化を施した。この結果得られたFe−Al硬質層16
は,ビッカース硬度で1100の硬度を有している。一
方,焼き入れ硬化された基材はビッカース硬度で500
の硬度を有している。次に1200メッシュのBN含有
砥石を使用してこのように処理されたシートのリム下端
面の研削を行なった。この砥石の回転速度は,毎分50
0回転である。シートは毎秒10cmの速度で回転砥石
に向けて送られ,各リムの下端が研削されると共に、開
口周縁に刃先角度(α)が60°の切断エッジが形成さ
れた。この研削の後、外刃がシートから切り出され,所
定の形状に形作られた後、適宜のホルダーに装着され
た。 (内刃)内刃の基材としてFe−Cr−C系ステンレス
鋼[Fe−14Cr−1.1Mo−0.7C(重量
%)]からなる厚さ0.25mmのステンレス鋼シート
が使用され、このシートの両面に0.015mm厚のア
ルミニウム箔を積層した後圧延してアルミニウム箔がシ
ートに密着した0.2mm厚のクラッドシートを得た。
内刃20はこのクラッドシートから切り出されて,所定
の形状のつかし21がその両面に成形された。ついで、
内刃20を1000℃で30秒間加熱した後、空冷する
ことにより10μm厚のFe−Al硬質層を基材の両面
に形成すると共に基材に焼き入れ硬化を施した。この結
果得られたFe−Al硬質層26は,ビッカース硬度で
1100の硬度を有している。一方,焼き入れ硬化され
た基材25はビッカース硬度で500の硬度を有してい
る。このようにして得られた内刃は一部を支持体30に
一体成形されてこれに固定支持される。次いで、内刃を
立てた状態で支持体が送りテーブルに保持されて毎秒1
0cmの速度で毎分500回転で回転する砥石40に送
られて内刃の上端を研削する。砥石としては500メッ
シュのBNの含有されたものが使用された。この研削に
より、刃先角度(β)が60°の切断エッジを有する研
削接触面が内刃に形成された。図7(a)および図7
(b)には,このようにして作成された内刃の外観が示
されている。図7(b)において,参照番号31と32
はそれぞれ研削接触面と内刃の切断エッジを示してい
る。参照番号33はFe−Al硬質層を示している。こ
れらの図から明らかなように、内刃の切断エッジには実
質的なカエリ(バリ)が観られない。
【0021】硬質層の外表面でのX線回折を介して得ら
れたX線回折プロファイルを用いて,硬質層中のAl−
Fe金属間化合物の体積率(V:体積%)を次式により
求めた: V(体積%)=100×S1/(S1+S2) ここに,S1はX線回折プロファイル上に同定されるす
べてのAl−Fe金属間化合物のピーク面積の合計であ
り,S2は同X線プロファイル上で同定される前記Al
−Fe金属間化合物以外の純アルミニウムおよび/ある
いはFeが主にAlに固溶することにより形成されるA
l合金のピーク面積の合計である。結果を表1に示す。
【0022】さらに,硬質層の外表面からおよそ2μm
の深さ内に含まれるAl含有量がX線マイクロアナリシ
ス法により決定された。ここに,重量%は拡散層のおよ
そ2μm深さの領域の総重量に基づくものである。結果
を表1に示す。実施例1と同様の分析および測定が以下
に示す実施例と比較例に対しても実施された。
【0023】(実施例2)切断エッジの刃先角度(α)
が35°であることを除いては実施例1と同一の材料を
使用して同一の方法によって実施例2の外刃が作成され
た。尚,切断エッジにはせいぜい1μ程度のバリしか発
生しなかった。内刃は、実施例1と同一の材料で同一の
方法によって作成された。
【0024】(実施例3)切断エッジの刃先角度(α)
が90°であることを除いては実施例1と同一の材料を
使用して同一の方法によって実施例3の外刃が作成され
た。尚,切断エッジには実質的なバリの発生が認められ
なかった。内刃は、実施例1と同一の材料で同一の方法
によって作成された。
【0025】(実施例4)外刃は、実施例1と同一の材
料で同一の方法によって作成された。切断エッジの刃先
角度(β)が50°であることを除いては実施例1と同
一の材料を使用して同一の方法によって実施例4の内刃
が作成された。尚,切断エッジには実質的なバリの発生
が認められなかった。
【0026】(実施例5)外刃は、実施例1と同一の材
料で同一の方法によって作成された。切断エッジの刃先
角度(β)が90°であることを除いては実施例1と同
一の材料を使用して同一の方法によって実施例5の内刃
が作成された。尚,切断エッジには実質的なバリの発生
が認められなかった。
【0027】(実施例6)外刃は、実施例1と同一の材
料から同一の方法によって作成された。 (内刃)Fe−Cr−C系ステンレス鋼[Fe−14C
r−1.1Mo−0.7C(重量%)]の0.20mm
厚のステンレス鋼シートが基材として使用された。この
シートの両面に0.02mm厚のアルミニウム箔を積層
した後圧延して,アルミニウム箔がシートに密着した
0.2mm厚のクラッドシートを得た。内刃20はこの
クラッドシートから切り出されて,所定の形状のつかし
21がその両面に成形された。ついで、内刃20を10
00℃で30秒間加熱した後、空冷することにより15
μm厚のFe−Al硬質層を基材の両面に形成すると共
に基材に焼き入れ硬化を施した。この結果得られたFe
−Al硬質層26は,ビッカース硬度で1100の硬度
を有している。一方,焼き入れ硬化された基材はビッカ
ース硬度で500の硬度を有している。このようにして
得られた内刃を実施例1と同一の方法で研削して60°
の刃先角度(β)を有する切断エッジを形成した。この
切断エッジには実質的なカエリが認められなかった。
【0028】(実施例7)外刃は、実施例1と同一の材
料から同一の方法によって作成された。 (内刃)Fe−Cr−C系ステンレス鋼[Fe−14C
r−1.1Mo−0.7C(重量%)]の0.196m
m厚のステンレス鋼シートが基材として使用された。こ
のシートの両面に真空蒸着により0.002mm厚のア
ルミニウム層を形成して0.2mm厚のAl蒸着シート
を得た。内刃20はこのクラッドシートから切り出され
て,所定の形状のつかし21がその両面に成形された。
ついで、内刃20を950℃で30秒間加熱した後、空
冷することにより2μm厚のFe−Al硬質層を基材の
両面に形成すると共に基材に焼き入れ硬化を施した。こ
の結果得られたFe−Al硬質層26は,ビッカース硬
度で1100の硬度を有している。一方,焼き入れ硬化
された基材はビッカース硬度で500の硬度を有してい
る。このようにして得られた内刃を実施例1と同一の方
法で研削して60°の刃先角度(β)を有する切断エッ
ジを形成した。この切断エッジには実質的なカエリが認
められなかった。
【0029】(実施例8)外刃は、実施例1と同一の材
料から同一の方法によって作成された。内刃は,実施例
1で得られた0.2mm厚のAlクラッドシートから切
り出された。所定の形状のつかし21が内刃の両面に成
形された。ついで、内刃20を900℃で60秒間加熱
した後、空冷することにより10μm厚のFe−Al硬
質層を基材の両面に形成すると共に基材に焼き入れ硬化
を施した。この結果得られたFe−Al硬質層26は,
ビッカース硬度で1100の硬度を有している。一方,
焼き入れ硬化された基材はビッカース硬度で400の硬
度を有している。このようにして得られた内刃を実施例
1と同一の方法で研削して60°の刃先角度(β)を有
する切断エッジを形成した。この切断エッジには実質的
なカエリが認められなかった。
【0030】(実施例9)外刃は、実施例1と同一の材
料から同一の方法によって作成された。内刃は,実施例
1で得られた0.2mm厚のAlクラッドシートから切
り出された。所定の形状のつかし21が内刃の両面に成
形された。ついで、内刃20を1000℃で60秒間加
熱した後、空冷することにより10μm厚のFe−Al
硬質層を基材の両面に形成すると共に基材に焼き入れ硬
化を施した。この結果得られたFe−Al硬質層26
は,ビッカース硬度で700の硬度を有している。一
方,焼き入れ硬化された基材はビッカース硬度で500
の硬度を有している。このようにして得られた内刃を実
施例1と同一の方法で研削して60°の刃先角度(β)
を有する切断エッジを形成した。この切断エッジには実
質的なカエリが認められなかった。
【0031】(実施例10)外刃は、実施例1と同一の
材料から同一の方法によって作成された。内刃は,Fe
−Cr−C系ステンレス鋼[Fe−18Cr−1.5M
o−0.7C(重量%)]の0.2mm厚のステンレス
鋼シートから切り出された。所定の形状のつかし21が
内刃の両面に成形された。ついで、不活性雰囲気中で1
050℃で90秒間加熱した後に空冷することにより基
材に焼き入れ硬化を施した。その後、内刃はイオン窒化
炉内に配置され,450℃で3時間かけてイオン窒化が
施され,クロムの窒化物粒子が分散された3μm厚の硬
質層を基材表面に得た。この結果得られた硬質層26
は,ビッカース硬度で800の硬度を有している。一
方,焼き入れ硬化された基材はビッカース硬度で400
の硬度を有している。このようにして得られた内刃を実
施例1と同一の方法で研削して60°の刃先角度(β)
を有する切断エッジを形成した。この切断エッジには2
μ程度のカエリしか認められなかった。
【0032】(実施例11)外刃は、実施例1と同一の
材料から同一の方法によって作成された。内刃は,Fe
−Cr−Ni系ステンレス鋼[Fe−17Cr−7Ni
−1.2Al(重量%)]の0.2mm厚のステンレス
鋼シートから切り出された。所定の形状のつかし21が
内刃の両面に成形された。ついで、内刃はイオン窒化炉
内に配置され,570℃で3時間かけてイオン窒化が施
され,窒化クロムと窒化アルミニウムの粒子が分散され
た6μm厚の硬質層を基材表面に得た。この結果得られ
た硬質層26は,ビッカース硬度で900の硬度を有し
ている。一方,焼き入れ硬化された基材はビッカース硬
度で500の硬度を有している。このようにして得られ
た内刃を実施例1と同一の方法で研削して60°の刃先
角度(β)を有する切断エッジを形成した。この切断エ
ッジには1μ程度のカエリしか認められなかった。
【0033】(実施例12)外刃は、実施例1と同一の
材料から同一の方法によって作成された。内刃は,Fe
−Cr−Ni系ステンレス鋼[Fe−13Cr−6.5
Ni−0.7Al−0.5Ti(重量%)]の0.2m
m厚のステンレス鋼シートから切り出された。所定の形
状のつかし21が内刃の両面に成形された。ついで、内
刃はイオン窒化炉内に配置され520℃で3時間かけて
イオン窒化が施され,クロム,アルミニウム,およびチ
タンそれぞれの窒化物粒子が分散された5μm厚の硬質
層を基材表面に得た。この結果得られた硬質層26は,
ビッカース硬度で1000の硬度を有している。一方,
焼き入れ硬化された基材はビッカース硬度で500の硬
度を有している。このようにして得られた内刃を実施例
1と同一の方法で研削して60°の刃先角度(β)を有
する切断エッジを形成した。この切断エッジには1μ程
度のカエリしか認められなかった。
【0034】(比較例1) (外刃)Fe−Cr−C系[Fe−14Cr−1.1M
o−0.7C(重量%)]ステンレス鋼からなる厚さ
0.036mmのステンレス鋼シートが基材として使用
された。このシートを従来の方法で加工して下方に屈曲
するリム12で囲まれる開口11のパターンを形成し
た。その後,1050℃で60秒間加熱し、次いで空冷
することにより基材に焼き入れ硬化を施した。この結
果,基材の硬度はビッカース硬度で650であることが
確認された。このシートは実施例1と同様な方法で処理
されてリムの下端に研削接触面を形成すると共に各開口
の周縁に60°の刃先角度を有する切断エッジを形成し
た。この切断エッジには50μmものカエリ(バリ)が
認めら得た。このカエリを取り除いた後、実施例1と同
様に、外刃がシートから切り出され,所定の形状に形作
られた後、適宜のホルダーに装着された。
【0035】(内刃)Fe−Cr−C系ステンレス鋼
[Fe−14Cr−1.1Mo−0.7C(重量%)]
の0.2mm厚のステンレス鋼シートが基材として使用
された。内刃20はこのシートから切り出されて,所定
の形状のつかし21がその両面に成形された。ついで、
内刃20を1050℃で60秒間加熱した後、空冷する
ことにより基材に焼き入れ硬化を施した。この結果,基
材の硬度はビッカース硬度で600であることが確認さ
れた。このようにして得られた内刃を実施例1と同一の
方法で研削して60°の刃先角度(β)を有する切断エ
ッジを形成した。図8(a)および図8(b)に示すよ
うに,このようにして作成した内刃にはおよそ50μm
もの刃カエリ(バリ)が認めらた。図8(b)におい
て,参照番号35と36はそれぞれ研削接触面と内刃の
切断エッジを示している。参照番号37は切断エッジに
観察された刃カエリ(バリ)を示している。
【0036】(比較例2)外刃は、実施例1と同一の材
料から同一の方法によって作成された。 (内刃)Fe−Cr−C系ステンレス鋼[Fe−14C
r−1.1Mo−0.7C(重量%)]の0.35mm
厚のステンレス鋼シートが基材として使用された。この
シートの両面に0.015mm厚のアルミニウム箔を積
層した後圧延して,アルミニウム箔がシートに密着した
0.3mm厚のクラッドシートを得た。内刃20はこの
クラッドシートから切り出されて,所定の形状のつかし
21がその両面に成形された。ついで、内刃20を10
00℃で30秒間加熱した後、空冷することにより10
μm厚のFe−Al硬質層を基材の両面に形成すると共
に基材に焼き入れ硬化を施した。この結果得られたFe
−Al硬質層26は,ビッカース硬度で1100の硬度
を有している。一方,焼き入れ硬化された基材はビッカ
ース硬度で500の硬度を有している。このようにして
得られた内刃を実施例1と同一の方法で研削して30°
の刃先角度(β)を有する切断エッジを形成した。この
切断エッジには実質的なカエリが認められなかった。
【0037】(比較例3)外刃は、実施例1と同一の材
料で同一の方法によって作成された。切断エッジの刃先
角度(β)が100°であることを除いては実施例1と
同一の材料を使用して同一の方法によって比較例3の内
刃が作成された。尚,切断エッジには実質的なバリの発
生が認められなかった。
【0038】(比較例4)切断エッジの刃先角度(α)
が30°であることを除いては実施例1と同一の材料を
使用して同一の方法によって比較例4の外刃が作成され
た。尚,切断エッジにはせいぜい1μ程度のバリしか発
生しなかった。内刃は、実施例1と同一の材料で同一の
方法によって作成された。
【0039】(比較例5)切断エッジの刃先角度(α)
が100°であることを除いては実施例1と同一の材料
を使用して同一の方法によって比較例5の外刃が作成さ
れた。尚,切断エッジには実質的なバリが認められなか
った。内刃は、実施例1と同一の材料で同一の方法によ
って作成された。
【0040】(比較例6)外刃は、実施例1と同一の材
料で同一の方法によって作成された。 (内刃)Fe−Cr−C系ステンレス鋼[Fe−14C
r−1.1Mo−0.7C(重量%)]の0.197m
m厚のステンレス鋼シートが基材として使用された。こ
のシートの両面に0.0015mm厚のアルミニウム箔
を積層した後圧延して,アルミニウム箔がシートに密着
した0.2mm厚のクラッドシートを得た。内刃20は
このクラッドシートから切り出されて,所定の形状のつ
かし21がその両面に成形された。ついで、内刃20を
950℃で30秒間加熱した後、空冷することにより
1.5μm厚のFe−Al硬質層を基材の両面に形成す
ると共に基材に焼き入れ硬化を施した。この結果得られ
たFe−Al硬質層26は,ビッカース硬度で1100
の硬度を有している。一方,焼き入れ硬化された基材は
ビッカース硬度で500の硬度を有している。このよう
にして得られた内刃を実施例1と同一の方法で研削して
60°の刃先角度(β)を有する切断エッジを形成し
た。この切断エッジにはおよそ20μmの刃カエリ(バ
リ)が認められた。
【0041】(比較例7)外刃は、実施例1と同一の材
料から同一の方法によって作成された。 (内刃)Fe−Cr−C系ステンレス鋼[Fe−14C
r−1.1Mo−0.7C(重量%)]の0.2mm厚
のステンレス鋼シートが基材として使用された。このシ
ートの両面に0.022mm厚のアルミニウム箔を積層
した後圧延して,アルミニウム箔がシートに密着した
0.2mm厚のクラッドシートを得た。内刃20はこの
クラッドシートから切り出されて,所定の形状のつかし
21がその両面に成形された。ついで、内刃20を10
00℃で30秒間加熱した後、空冷することにより17
μm厚のFe−Al硬質層を基材の両面に形成すると共
に基材に焼き入れ硬化を施した。この結果得られたFe
−Al硬質層26は,ビッカース硬度で1100の硬度
を有している。一方,焼き入れ硬化された基材はビッカ
ース硬度で500の硬度を有している。このようにして
得られた内刃を実施例1と同一の方法で研削して60°
の刃先角度(β)を有する切断エッジを形成した。この
切断エッジには実質的なカエリが認められなかった。
【0042】(比較例8)外刃は、実施例1と同一の材
料から同一の方法によって作成された。内刃は,実施例
1で得られた0.2mm厚のAlクラッドシートから切
り出された。所定の形状のつかし21が内刃の両面に成
形された。ついで、内刃20を850℃で60秒間加熱
した後、空冷することにより10μm厚のFe−Al硬
質層を基材の両面に形成すると共に基材に焼き入れ硬化
を施した。この結果得られたFe−Al硬質層26は,
ビッカース硬度で1100の硬度を有している。一方,
焼き入れ硬化された基材はビッカース硬度で350の硬
度を有している。このようにして得られた内刃を実施例
1と同一の方法で研削して60°の刃先角度(β)を有
する切断エッジを形成した。この切断エッジには実質的
なカエリが認められなかった。
【0043】(比較例9)外刃は、実施例1と同一の材
料から同一の方法によって作成された。内刃は,実施例
1で得られた0.2mm厚のAlクラッドシートから切
り出された。所定の形状のつかし21が内刃の両面に成
形された。ついで、内刃20を1000℃で120秒間
加熱した後、空冷することにより10μm厚のFe−A
l硬質層を基材の両面に形成すると共に基材に焼き入れ
硬化を施した。この結果得られたFe−Al硬質層26
は,ビッカース硬度で650の硬度を有している。一
方,焼き入れ硬化された基材はビッカース硬度で500
の硬度を有している。このようにして得られた内刃を実
施例1と同一の方法で研削して60°の刃先角度(β)
を有する切断エッジを形成した。この切断エッジにはお
よそ20μmの刃カエリ(バリ)が認められた。
【0044】実施例1〜12および比較例2〜9におい
て,硬質層の厚さ(μm)および表面硬度(Hv),硬
質層の外表面からおよそ2μmの深さ内におけるAl含
有量(重量%),硬質層の全体積に対するAl−Fe金
属間化合物の体積率(vol%),および基材のビッカース
硬度(Hv)が表1に示されている。尚,実施例10〜
12においては,Al−Fe金属間化合物が硬質層に形
成れていないので,Al含有量および体積比は決定され
なかった。さらに,比較例1の外刃と内刃には硬質層が
形成されていないので,基材の硬度のみが表1に示され
ている。さらに,比較例6においては,硬質層の厚みが
非常に薄い(=1.5μm)ため内刃のAl含有量およ
び体積比を求めることができなかった。
【0045】実施例1〜12及び比較例1〜9で得られ
た刃組み合わせ体を、カエリ(バリ)の量、切断エッジ
における欠け発生の有無、切断エッジの摩耗量、切削抵
抗、及び髭剃り時間に関して評価を行なった。結果を表
2に示す。ここに,切断抵抗とは外刃の開口を通るよう
に固定された0.128mm径のアクリル線を毎秒0.
5mで駆動する内刃で切断するのに要する負荷であり、
髭剃り時間とは同一人において1日伸ばした髭を剃るの
必要な時間である。髭剃り時間を測定するために使用さ
れた電気かみそりは,内刃の振動ストロークが2.5m
mであり,外刃に対する内刃の振動数は毎分9000回
である。
【0046】表2の結果から刃組み合わせ体が良好かど
うかを判定するための評価基準を以下に示す。すなわ
ち,これらの評価において刃組み合わせ体が以下の4つ
の条件[1]〜[4]すべてを満たす時,その刃組み合わせ
体は良好な髭剃り特性を提供する上で好ましいと判断す
ることができる。 [1]切削抵抗が120g以下である。 [2]髭剃り時間は180秒以内である。 [3]刃先摩耗が小さい。 [4]刃先での欠けの発生がない。 さらに,表2の結果より,バリの発生が髭剃り時間およ
び切削抵抗を増加させる原因になっていることが理解で
きるだろう。
【0047】このように,本発明の鉄基合金で作成され
た刃組み合わせ体は上記4つの条件すべてを満たすの
で,優れた髭剃り特性を有する電気かみそりを提供する
ために好んで使用されるだろう。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】上記のようにビッカース硬度が400あ
るいはそれ以上のFe−Cr系ステンレス鋼基材と,基
材の表面に設けられた2〜15μmの厚みを有しビッカ
ース硬度が700あるいはそれ以上の硬質層とでなる鉄
基合金を使用することにより,35〜90°の刃先角度
で刃先での刃カエリ(バリ)や欠けのほとんどないシャ
ープエッジを有する電気かみそり用外刃と内刃を提供す
ることができる。また,その結果として本発明の外刃と
内刃を使用している電気かみそりは,良好な髭剃り特
性,特に,短縮された髭剃り時間と小さな切削抵抗,を
提供できるのである。
【0051】また,本発明にあたっては,硬質層がFe
−Al拡散層であることが特に好ましい。この拡散層
は,拡散層の全体積に対して少なくとも90体積%のA
lとFeとの金属間化合物を含み,拡散層の表面から少
なくとも2μm深さ内のAl含有量が,前記少なくとも
2μm深さまでの拡散層の領域の総重量に対して35〜
65重量%である点に特徴づけられる。この場合,拡散
層は,基材の金属元素,例えば,FeおよびCr,と基
材上に設けられたアルミニウム層のAlとの間での相互
拡散を起させるための熱処理を介して形成されるので,
拡散層と基材との間に優れた密着性を提供することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯組み合わせ体の外刃と内刃の毛切断
係合を示す断面図である。
【図2】外刃の一部の斜視図である。
【図3】支持体上に積載された内刃の斜視図である。
【図4】支持体上の内刃の研磨方法を示す図である。
【図5】本発明の鉄基合金のFe−Al拡散層の外表面
から深さ方向におけるAl,CrおよびFe含有量の変
化を示すグラフである。
【図6】拡散層の外表面から深さ方向におけるビッカー
ス硬度の変化を示すグラフである。
【図7】(a)は,実施例1の内刃のSEM写真であ
り,(b)は,図7(a)の説明図である。
【図8】(a)は,比較例1の内刃のSEM写真であ
り,(b)は,図8(a)の説明図である。
【図9】切刃での刃カエリ(バリ)の発生を示す説明図
である。
【符号の説明】
10 外刃 11 開口 12 リム 13 研削接触面 14 切断エッジ 15 基材 16 硬質層 α 刃先角度 20 内刃 21 つかし 23 研削接触面 24 切断エッジ 25 基材 26 硬質層 30 支持体 40 砥石 β 刃先角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 真司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外刃と複数の内刃とでなる電気かみそり
    用の刃組み合わせ体において,外刃と内刃の各々はFe
    −Cr系ステンレス鋼の基材と基材の表面に設けられた
    硬質相でなる鉄基合金で作成されている,前記ステンレ
    ス鋼はビッカース硬度で400あるいはそれ以上の硬度
    を有し、前記硬質層はビッカース硬度で700あるいは
    それ以上の硬度を有する、前記硬質層の厚さは2〜15
    μmである;前記外刃は毛を導入する複数の開口を有
    し、前記開口の周りに第1の研削接触面、前記硬質層で
    形成される第1の切断エッジ、及び第1研削接触面に隣
    接する側面が形成され、第1の研削接触面とこれに隣接
    する前記側面との間で定義される第1切断エッジの刃先
    角度は35〜90°である;前記内刃は、第2の研削接
    触面、前記硬質層で形成される第2の切断エッジ、及び
    第2研削接触面に隣接する側面を有し、第2の研削接触
    面とこれに隣接する前記側面との間で定義される第2切
    断エッジの刃先角度は35〜90°である;前記内刃は
    支持体に装着されて駆動されることで第1と第2の研削
    接触面同士が摺動係合して第1と第2の切断エッジとの
    間で毛を切断する。
  2. 【請求項2】 前記基材が73〜89.9重量%の鉄,
    10〜19重量%のクロム,0.1〜1.2重量%の炭
    素,および3重量%以下のニッケルを含むことを特徴と
    する請求項1に記載の刃組み合わせ体。
  3. 【請求項3】 前記基材が69〜81.5重量%の鉄,
    12〜18重量%のクロム,6〜8.5重量%のニッケ
    ル,およびアルミニウムとチタンの少なくとも一方を
    0.5〜2重量%含むことを特徴とする請求項1に記載
    の刃組み合わせ体。
  4. 【請求項4】 前記硬質層はFe−Al拡散層である,
    前記拡散層は拡散層の全体積に対して少なくとも90体
    積%のAlとFeとの金属間化合物を含み,拡散層の表
    面から少なくとも2μm深さ内のAl含有量が,前記少
    なくとも2μm深さまでの拡散層の領域の総重量に対し
    て35〜65重量%であることを特徴とする請求項1及
    至3に記載の刃組み合わせ体。
  5. 【請求項5】 前記基材がFe−Cr−Ni系ステンレ
    ス鋼であり,上記硬質層がCr, Al及びTiからなる
    群から選択される少なくとも一つの元素の窒化物粒子を
    含み、この窒化物粒子は前記基材の表面に分散されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の刃組み合わせ体。
  6. 【請求項6】 前記基材がFe−Cr−C系ステンレス
    鋼であり,上記硬質層がCrの窒化物粒子を含み、この
    窒化物粒子は前記基材の表面に分散されていることを特
    徴とする請求項1に記載の刃組み合わせ体。
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