JPH0937724A - 吸水用シート - Google Patents

吸水用シート

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JPH0937724A
JPH0937724A JP7197617A JP19761795A JPH0937724A JP H0937724 A JPH0937724 A JP H0937724A JP 7197617 A JP7197617 A JP 7197617A JP 19761795 A JP19761795 A JP 19761795A JP H0937724 A JPH0937724 A JP H0937724A
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Osamu Kakishita
修 垣下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生鮮食品の脱水、乾燥などによる鮮度保持や
食味向上に利用することができる、吸水速度が高い吸水
用シートを得る。 【解決手段】 エチレンオキサイドを主たる繰り返し単
位とする重合体からなる吸水性フイルムを、半透膜性セ
ロフアンに積層してなる吸水用シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水を吸収する性能
を有する材料に関し、生鮮食品の脱水、ドリツプ吸収、
乾燥などによる鮮度保持や食味向上に利用することがで
きる吸水用シートに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、吸水性シートとして、
紙、布、不織布などが用いられてきたが、これらは吸水
量が少なく、また、保水性が弱く外部からの刺激により
水分が遊離するなどの欠点があった。また、高吸水性樹
脂を紙や不織布などに挟持したものもあるが、高吸水性
樹脂が粉末状であるため不織布などに均一に担持させる
ことが難しい。
【0003】これらの問題に対し、主に食品用として浸
透圧を利用した脱水シートが開発されている。これら
は、半透膜性ポリビニルアルコールフイルムの袋内に糖
類の高濃度溶液などを封入し、高濃度溶液の浸透圧を利
用して強力な脱水力を得るものである。しかし、糖類の
高濃度溶液は粘度が高いため、製造時の取扱いに困難が
伴ない、また出来上がった製品にも気泡が抜けきらずに
残りやすく外観上の問題となっていた。
【0004】本出願人は先に、吸水性材料としてエチレ
ンオキシドを主体とする吸水性フイルムを用い、これを
半透膜性ポリビニルアルコールフイルムで被覆した吸水
用シートを提案した。これは、吸水性に優れ、製造容易
で外観もよく、生鮮食品の脱水や鮮度保持に極めて好適
なものである。本発明はそれをさらに改良し、一層吸水
速度の大きい吸水用シートを提供せんとするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記背景のもと
になされたものであり、吸水能力が高く、吸水速度の大
きい吸水用シートを提供するものであって、その要旨
は、エチレンオキサイドを主たる繰り返し単位とする重
合体からなる吸水性フイルムを、半透膜性セロフアンに
積層してなる吸水シートにある。また本発明において
は、エチレンオキサイドを主たる繰り返し単位とする重
合体からなる吸水性フイルムと、その両面に配した2枚
の半透膜性セロフアンとを、周縁部において融着して積
層してなる吸水用シートが提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の吸水用シートは、半透膜性セロフアン
と、エチレンオキサイドを主たる繰り返し単位とする重
合体からなる吸水性フイルムとを必須の構成要素とする
ものである。
【0007】このセロフアンは、使用時には食品と接す
る側に来るものであって、水との親和性は強いが水不溶
性であって、水分子や臭み成分は透過させるが、分子の
大きい旨味成分などは透過させない半透膜性を有してい
る。そして半透膜性ポリビニルアルコールフイルムより
も透水性が高いという利点がある。
【0008】吸水性フイルムは、エチレンオキサイドを
主たる繰り返し単位とする重合体からなる。エチレンオ
キサイドのみからなる重合体は水溶性であるが、これを
照射架橋ないし化学架橋することにより水に不溶とな
り、吸水性を示す。また、エチレンオキサイドに、疎水
性基、例えばブチレンオキサイドや、それよりも長鎖の
アルキルオキサイドなどを共重合することにより水不溶
性にすることもできる。重合体としてはエチレンオキサ
イド単独重合体を用いることもできるが、好適な重合体
としては、(A)活性水素基を2個有する有機化合物
に、エチレンオキサイドを主成分とするアルキレンオキ
サイドを付加重合させた重合体と、(B)多価カルボン
酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸の低級アル
キルエステルまたはジイソシアネートとを反応させて得
られる高分子量重合体が挙げられる。
【0009】ここで活性水素基を2個有する有機化合物
としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ビスフエノールA、ブチルアミン、アニリン、ポリテト
ラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0010】また、これに付加重合させるエチレンオキ
サイドを主成分とするアルキレンオキサイド化合物とし
ては、エチレンオキサイド単独、またはこれとプロピレ
ンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイ
ド、α−オレフインエポキサイドなどとの混合物が挙げ
られる。
【0011】また(B)の多価カルボン酸としては、、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、セ
バシン酸、フマル酸、アジピン酸などが挙げられ、ジカ
ルボン酸無水物としてはこれらの無水物が挙げられる。
またジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、上
記各種ジカルボン酸のメチルエステル、ジメチルエステ
ル、エチルエステル、ジエチルエステル、プロピルエス
テルなどがある。
【0012】本発明において好適に用いる重合体は、上
記(A)に(B)を添加し、加熱、減圧下で脱水または
脱アルコールを行うことにより得られる。このようにし
て得られる重合体は、重量平均分子量が50,000〜
300,000の範囲に設定することが好ましい。
【0013】本発明吸水用シートは、エチレンオキサイ
ドを主たる繰り返し単位とする重合体をフイルム状に成
形して用いる。フイルムの製造方法としては、エチレン
オキサイド単独重合体であれば溶液流延法により、また
上記(A)と(B)との反応重合体であれば溶融押出法
などによりフイルム化できる。
【0014】重合体が水溶性である場合には、架橋処理
を施して水不溶性とする。架橋は、電離性放射線または
紫外線を照射して行うことができ、電離性放射線として
は、電子線、γ線、X線などを利用することができる。
照射は、窒素などの不活性ガスで置換するなどした実質
上無酸素の状態で行うのが好ましい。電離性放射線の照
射量は、0.5Mradよりも小さいと架橋度が少なく
水不溶化が不十分となり、また20Mradを越えると
極端に吸水性が低下するので、吸収線量で0.5〜20
Mradの範囲が好ましい。また架橋方法として架橋剤
を配合して加熱架橋することもできる。
【0015】本発明の吸水用シートは、上に説明した吸
水性フイルムと半透膜性セロフアンとを積層したもので
ある。これは半透膜性セロフアンを食品などに接する側
とし、食品の下に敷いたり、2枚のシートで食品を上下
から挟んだり、また食品を包むように巻き付けたりして
使用することができる。そして食品に接した半透膜性セ
ロフアンを通じて水分が吸水性樹脂フイルムに吸収され
るが、食品の旨味成分は透過せずに残る。
【0016】具体的態様としては、まず、吸水性フイル
ムと半透膜性セロフアンとを全面的に融着積層したもの
が挙げられる。セロフアンは熱可塑性がないため、セロ
フアン同士をシールして袋状にすることはできないが、
本発明の場合、上記吸水性フイルムの熱可塑性を利用し
て融着積層することができる。この場合には、食品など
に接した半透膜性セロフアンと吸水性樹脂フイルムとが
融着積層されており両層間に隙間が生ぜず、また接着剤
などの水分透過を阻害する層が存在しないので、吸水速
度が高くなるという利点を生じる。
【0017】この態様において、吸水性フイルムの他面
にも半透膜性セロフアンを積層することもできる。ま
た、吸水性フイルムの他面には非通水性プラスチツクフ
イルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレー
トなどのフイルムを積層することもできる。これら3層
構造の吸水シートは、食品から吸収された水分が外面に
しみ出すのを抑えるとともに、さらには、臭いの遮断性
や外側から水がかかっても支障がないこと、耐湿性、シ
ート同士のブロツキング防止などの利点がある。
【0018】また別の態様としては、吸水性フイルムと
半透膜性セロフアンとを部分的に融着積層し、非融着部
を残したものが挙げられる。すなわち、セロフアンはポ
リビニルアルコールフイルムよりも腰が強いため、全面
融着すると吸水用シートのしなやかさがなくなり、食品
などに密着しにくくなる場合がある。そこで融着を部分
的にとどめると全体に柔軟性が増し、また、使用時には
非融着部においても両フイルムが実質上密着状態を保つ
ので、吸水速度は高いレベルに維持できる。
【0019】部分的な融着は、点状、線状、格子状など
に行うことができるが、特に好適なのは、両フイルムの
周縁部において(いわば額縁状に)融着し、中央部は非
融着状態としておくことである。このようにすると、柔
軟性が高まり、また周縁部の腰が強くなって吸水用シー
トの取扱いも容易になる。その場合、吸水性フイルムの
片面にセロフアンを重ねることもできるが、実用上は吸
水性フイルムの両面にセロフアンを重ねるのが好まし
い。また一方のセロフアンに代えて、上記非通水性プラ
スチツクフイルムを配することもできる。
【0020】セロフアンに吸水性フイルムを積層する方
法としては、前述のようにして予め製膜した吸水性フイ
ルムとセロフアンとを、ニツプロールやプレス板により
熱圧着する方法がある。この場合、60〜100℃程度
の低温で吸水性フイルムが溶融してセロフアンに融着す
る。別の方法としては、セロフアン上に、溶融したエチ
レンオキサイド系重合体をフイルム状に押し出しながら
被覆する方法がある。さらに、非通水性フイルムを吸水
性フイルム裏面に積層する場合にも上記方法に準じて製
造できるほか、吸水性フイルムと非通水性フイルムとを
共押出して、その2層フイルムをセロフアンに積層する
こともできる。吸水性フイルムとセロフアンまたは非通
水性フイルムとを部分的な固着部により積層する場合に
は、例えば、積層用のニツプロールやプレス板に彫刻す
るなど加工を施して凹凸を与え、全面ではなく部分的に
適宜箇所のみを固着することができる。
【0021】上記に例示した各種の態様において、各層
の厚さは用途に応じ適宜設定できるが一例としては、セ
ロフアンは薄いと使用時に破れるおそれがあり、厚すぎ
ると透水性が悪くなるので、それらの点を考慮して5〜
25μmの範囲が好ましい。また吸水性フイルムは、厚
いほど吸水性能は優れるが、反面使い勝手が悪くなるの
で、20〜200μmの範囲が好適である。さらに、非
通水性フイルムを使用する場合には、極力薄くするのが
好ましく、加工性などを考慮して10〜50μm程度の
範囲とすることができる。
【0022】本発明の吸水用シートは、生鮮食品から余
分の水分や臭みを取り除いたり、冷凍食品の解凍時に生
じるドリツプの吸収などに有用であり、食品などの流通
・加工過程はもとより、食堂などにおける業務用として
も、また家庭内の調理用にも好適なものである。
【0023】
【実施例】以下、実施例により具体例を説明する。 (実施例1)エチレングリコールにエチレンオキサイド
を付加重合したポリアルキレンオキサイド化合物に、ジ
メチルテレフタレートを加え、エステル交換反応を行い
重量平均分子量130,000の水溶性重合体を得た。
そしてその重合体を、押出機によりTダイ温度100℃
で押出し、厚さ50μmのフイルムを得、γ線を吸収線
量10Mradで照射して架橋して吸水性フイルムとし
た。
【0024】これを、ラミネーターにより2枚のセロフ
アン(厚さ20μm、トーセロ社製PT300)に挟ん
で、温度65℃、線圧3.0kg/cm、引取り速度
1.5m/分で熱圧着し、厚さ90μmの各層が融着し
た積層シートを得た。この積層シートをB5サイズに裁
断し、40ccのイオン交換水を含ませたB5サイズの
コツトン製不織布(目付重量150g/m2 )の上に重
ね、25℃×60%RHの雰囲気下に放置し、放置時間
と吸水量(g)の関係を求めた。これは鮮魚からの脱水
を想定したものである。
【0025】(比較例)実施例におけるセロフアンに代
えて、ポリビニルアルコールフイルム(厚さ15μm)
を用いて同様の評価を実施した。それらの結果を表1に
示す。
【0026】
【表1】
【0027】この結果から明らかなように、本発明吸水
用シートは、ポリビニルアルコールフイルムを用いたも
のよりも吸水速度が大きいことが確認された。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、吸水性、吸水速度が十
分高い吸水用シートが得られ、食品用の吸水用シートと
して特に優れている。特に、吸水性フイルムと、その両
面に配した2枚の半透膜性セロフアンとを、周縁部にお
いて融着して積層したものは、シート全体の柔軟性に優
れ、取扱いも容易で好ましい。さらに本発明品は、全体
が偏平な積層シート状なので、流通、保管などに便利で
あり、また外観も良好である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンオキサイドを主たる繰り返し単
    位とする重合体からなる吸水性フイルムを、半透膜性セ
    ロフアンに積層してなる吸水用シート。
  2. 【請求項2】 エチレンオキサイドを主たる繰り返し単
    位とする重合体からなる吸水性フイルムと、その両面に
    配した2枚の半透膜性セロフアンとを、周縁部において
    融着して積層してなる吸水用シート。
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