JPH093640A - スパッタリング装置 - Google Patents

スパッタリング装置

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JPH093640A
JPH093640A JP17154095A JP17154095A JPH093640A JP H093640 A JPH093640 A JP H093640A JP 17154095 A JP17154095 A JP 17154095A JP 17154095 A JP17154095 A JP 17154095A JP H093640 A JPH093640 A JP H093640A
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JP
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target
magnetron
magnet assembly
substrate
sputtering
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JP17154095A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Nakamura
均 中村
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板上スパッタリングによって多層膜を形成
する場合に、装置規模を小型化し、かつ低コスト化を図
ることが可能である。 【構成】 このスパッタリング装置は、基板1を所定位
置に保持する基板ホルダ部2と、基板1上に多層膜とし
て例えば4層(4種類の材料)のものを成膜する場合、4
種類の材料の各々からなる4つのターゲットT1〜T4
それぞれ保持するターゲットホルダ部TH1〜TH4と、
4つのターゲットT1〜T4のうちの1つのターゲットを
スパッタ駆動する1つのスパッタ駆動部3とを有し、各
ターゲットホルダ部TH1〜TH4は、それぞれアームA
1〜AM4により1つの回転軸5に連結されており、回
転軸5の回転を制御することによって、各ターゲットホ
ルダ部TH1〜TH4を所定位置に回転移動させるように
制御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ディスクやハードデ
ィスクなどのメディアや薄膜デバイス等の作製に使用可
能なスパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクやハードディスクなどの媒体
や薄膜デバイスなどを作製する場合に、一般的に、基板
上に多層膜をスパッタリングにより形成するスパッタリ
ング装置が用いられる。図10には、基板上に多層膜を
形成するための従来のスパッタリング装置の構成例が示
されている。図10を参照すると、このスパッタリング
装置は、マグネトロン放電によってスパッタリングを行
なうマグネトロンスパッタリング装置として構成されて
おり、基板101を保持し、基板101を所定位置に回
転位置決めする基板ホルダ機構102と、基板101上
に多層膜として例えば4層(4種類の材料)のものを成膜
する場合、4種類の材料の各々からなる4つのターゲッ
トPT1〜PT4をそれぞれ保持するターゲットホルダ部
PTH1〜PTH4と、4つのターゲットPT1〜PT4
各々に対応して設けられた4つのマグネトロン用磁石ア
センブリM1〜M4とを有している。なお、マグネトロン
用磁石アセンブリM4については、図示を省略してい
る。
【0003】このような構成のスパッタリング装置で
は、基板101上に多層膜(例えば4層膜)を成膜する場
合、図11に示すように、基板ホルダ機構102によっ
て、基板101を最初、例えばターゲットPT1に対向
した位置に位置決めし、マグネトロン用磁石アセンブリ
1を駆動してマグネトロン放電によりターゲットPT1
からの材料を基板101上にスパッタさせて、基板10
1上に第1層目の薄膜を形成し、次いで、図12に示す
ように、基板ホルダ機構102によって、基板101を
例えばターゲットPT2に対向した位置まで回転移動し
て位置決めし、マグネトロン用磁石アセンブリM2を駆
動してマグネトロン放電によりターゲットPT2からの
材料を基板101上にスパッタさせて、基板101上に
第2層目の薄膜を形成するというように、基板101を
順次にターゲットPT1,PT2,PT3,PT4に対向す
る位置に移動させながら、基板101上に多層膜(4層
膜)を形成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たスパッタリング装置では、マグネトロン放電を可能に
するマグネトロン用磁石アセンブリM1〜M4は、ターゲ
ットPT1〜PT4の個数分だけ必要となり、装置規模が
大きくなるとともに、高コストになるという問題があっ
た。すなわち、4種のターゲットPT1〜PT4と4個の
磁石アセンブリM1〜M4とのうち、実際に放電が生じて
いるのは、4個中の1つであり、残りは、待ちの状態で
あり、経済的ではない。
【0005】本発明は、基板上スパッタリングによって
多層膜を形成する場合に、装置規模を小型化し、かつ低
コスト化を図ることの可能なスパッタリング装置を提供
することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために、請求項1乃至請求項6記載の発明では、
基板上に多層膜をスパッタリングにより形成するスパッ
タリング装置において、多層膜の材料となるターゲット
を複数個有し、複数個のターゲットを所定位置に回転移
動させる機構が設けられている。これにより、基板上に
多層膜をスパッタリングにより形成するのに、ターゲッ
トを必要に応じて回転させれば、1つのスパッタ駆動手
段(マグネトロン用磁石アセンブリ)だけで済み、かつ基
板も移動させずに済むので、装置規模を小型化し、か
つ、装置の低コスト化を図ることができる。
【0007】特に、請求項3記載の発明では、前記スパ
ッタ駆動手段が、マグネトロン用磁石アセンブリであっ
て、該マグネトロン用磁石アセンブリを回転駆動するた
めの回転駆動機構がさらに設けられている。これによ
り、磁石アセンブリを回転させることによって、ターゲ
ット表面の磁界分布が均一となり、アーク等の異常放電
の発生などを有効に防止でき、基板上に成膜される被膜
の膜厚分布が均一になる。すなわち、良好な被膜を形成
することができる。
【0008】また、請求項4記載の発明では、前記マグ
ネトロン用磁石アセンブリは、磁石からの漏れ磁界強度
がターゲット表面において調節可能なように、ターゲッ
トに対して移動可能である。これにより、ターゲットご
とに、その材料に合わせて漏れ磁界の強度を最適なもの
に簡単に調整し、基板上に成膜される被膜の膜厚を確実
に制御することができる。
【0009】また、請求項5記載の発明では、マグネト
ロン用磁石アセンブリを回転駆動するための回転駆動機
構は、前記マグネトロン用磁石アセンブリを偏心回転さ
せることが可能に構成されている。これにより、ターゲ
ット表面の磁界分布をより一層均一なものにすることが
でき、ターゲットが削れ消耗する(エロージョン)領域を
拡げることができて、ターゲットの使用効率をより向上
させ、基板上に成膜される被膜の膜厚分布の均一性をよ
り一層向上させることができる。
【0010】また、請求項6記載の発明では、請求項5
記載のスパッタリング装置において、前記マグネトロン
用磁石アセンブリを偏心回転させる場合に、偏心回転時
の回転ムラを防止するために、前記マグネトロン用磁石
アセンブリには重心安定のバランサー手段が取付け可能
となっている。これにより、アセンブリを偏心回転する
場合にも、アセンブリ全体の重心を中心に移動させ、回
転ムラを防ぐことができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明に係るスパッタリング装置の一実施
例の斜視図である。図1を参照すると、このスパッタリ
ング装置は、基板1を所定位置に保持する基板ホルダ部
2と、基板1上に多層膜として例えば4層(4種類の材
料)のものを成膜する場合、4種類の材料の各々からな
る4つのターゲットT1〜T4をそれぞれ保持するターゲ
ットホルダ部TH1〜TH4と、4つのターゲットT1
4のうちの1つのターゲットをスパッタ駆動する1つ
のスパッタ駆動部3とを有している。
【0012】ここで、各ターゲットホルダ部TH1〜T
4は、それぞれアームAM1〜AM4により1つの回転
軸5に連結されており、回転軸5の回転を制御すること
によって、各ターゲットホルダ部TH1〜TH4を所定位
置に回転移動させるように制御することができる。すな
わち、例えば、基板1上にターゲットT1の材料をスパ
ッタさせたいときには、基板1および基板ホルダ部2と
対向する位置にターゲットT1が位置決められるよう、
ターゲットホルダ部TH1〜TH4を回転制御することが
できる。
【0013】また、スパッタ駆動部3は、基板1および
基板ホルダ部2と対向する位置に1つのターゲットが位
置決めされるときに、この1つのターゲットをスパッタ
駆動するようになっている。スパッタリング装置をマグ
ネトロンスパッタリング装置として構成する場合、上記
1つのスパッタ駆動部3は、1つのマグネトロン用磁石
アセンブリMとして構成することができる。
【0014】図2は図1のスパッタリング装置のより具
体的な構成例を示す図(断面図)であり、図2の例では、
スパッタリング装置は、マグネトロンスパッタリング装
置として構成されている。すなわち、図2の例では、ス
パッタ駆動部3は、基板101と対向した位置に配置さ
れ、基板1との間に1つのターゲット,例えばターゲッ
トT1が位置決めされるとき、このターゲットT1からマ
グネトロン放電によって材料を基板1に向けて放出させ
るマグネトロン用磁石アセンブリMとして構成されてい
る。
【0015】なお、マグネトロン用磁石アセンブリ自体
は、例えば特開昭63−259078号に示されてお
り、基本的には、ヨーク11と、例えばヨーク11の外
縁部に沿ってドーナツ状に配置された一の極性(例えば
S極)の永久磁石列12と、例えばヨーク11の中央部
に配置された他の極性(例えばN極)の永久磁石13とを
備えている。このようなマグネトロン用磁石アセンブリ
Mでは、N極の磁石13からS極の磁石12に向かっ
て、すなわち、中央部から外側へ向かって磁界がループ
を描き、その漏れ磁界(マグネトロン磁界)がターゲット
の表面にも達し、マグネトロン放電が可能となる。
【0016】また、図2の構成例では、基板1上に多層
膜を形成するとき、基板1および基板ホルダ部2,各タ
ーゲットT1〜T4および各ターゲットホルダ部TH1
TH4は、真空容器(真空チャンバ)21内に配置される
ようになっている。また、ターゲットホルダ部TH1
TH4を回転制御するための回転軸5は、真空容器21
内から真空容器21の外壁の設けられた穴25を貫通し
て真空容器21の外部,すなわち大気中に延びており、
真空容器21の外部から回転軸5を回すことにより、タ
ーゲットを所定の回転位置に移動させることができる。
【0017】なお、上記回転軸5と真空容器21の外壁
の穴25との間には、ハーメチックシール(密封シール)
26が施されており、このシール26によって、真空容
器21内を真空に維持することができる。
【0018】また、真空容器21は、基板1および基板
ホルダ部2と対向するところに、マグネトロン用磁石ア
センブリMを嵌入させるための嵌入部22を有し、嵌入
部22にマグネトロン用磁石アセンブリMを配置するこ
とで、ターゲットに近接させてマグネトロン用磁石アセ
ンブリMを設けることができる。
【0019】このような構成のスパッタリング装置で
は、基板1上に多層膜(例えば4層膜)を成膜する場合、
図3に示すように、回転軸5の回転制御によって、最
初、例えばターゲットT1を基板1に対向した位置に位
置決めし、マグネトロン用磁石アセンブリMを駆動して
マグネトロン放電によりターゲットT1からの材料を基
板1上にスパッタさせて、基板1上に第1層目の薄膜を
形成し、次いで、図4に示すように、回転軸5の回転制
御によって、例えばターゲットT2を基板1に対向した
位置まで回転移動して位置決めし、マグネトロン用磁石
アセンブリMを駆動してマグネトロン放電によりターゲ
ットT2からの材料を基板1上にスパッタさせて、基板
1上に第2層目の薄膜を形成するというように、ターゲ
ットT1,T2,T3,T4を順次に基板1に対向する位置
に回転移動させながら、基板1上に多層膜(4層膜)を形
成することができる。
【0020】このように、基板1上に多層膜(例えば4
層膜)を形成する場合にも、本発明の実施例では、ター
ゲットを所定位置に必要に応じて回転移動させることが
できるので、基板1を回転移動させずに済み(すなわち
基板ホルダ部2を回転駆動する機構を何ら必要とせずに
済み)、また、スパッタ駆動部(例えばマグネトロン用磁
石アセンブリ)としては、1つのスパッタ駆動部3(例え
ば1つのマグネトロン用磁石アセンブリM)だけで済み
(すなわち、各ターゲットについて1つのスパッタ駆動
部3を共用することができ)、これによって、従来に比
べて、装置規模を小型化し、かつ低コスト化させること
ができる。
【0021】さらに、図2の構成例では、複数のターゲ
ットを真空容器21内に設ける場合にも、これらを、ア
ームを介して1本の回転軸5に連結し、1本の回転軸5
のところにおいてのみ、シール25を施すだけで真空容
器21内を真空に維持することができて、従来のよう
な、複雑な真空隔離機構は必要なく、従来に比べて装置
の設計を容易にし、かつ信頼性を向上させることができ
る。
【0022】また、図2の構成例においてマグネトロン
用磁石アセンブリMについては、これを変形,改良する
ことができる。図5は図2の変形例(改良例)を示す図で
あり、図5の構成例では、マグネトロン用磁石アセンブ
リMを回転駆動するための回転駆動機構がさらに設けら
れている。すなわち、マグネトロン用磁石アセンブリM
は、回転軸41を介してモーター42に連結され、モー
ター42によって回転可能に構成されている。
【0023】このように、マグネトロン用磁石アセンブ
リMを回転可能な構造にすることによって、複数個ある
ターゲットのうち、比較的比抵抗の高い材料(例えばS
iなど)のターゲットにおける放電を容易にすることが
可能となる。すなわち、磁石アセンブリMが固定されて
いる場合には、ターゲットの材料に応じてマグネトロン
磁界強度や分布を変えることができず、最適化を図るこ
とに制約があった。例えばSiターゲットから窒素ガス
雰囲気下でSiN膜を形成する場合や、酸素雰囲気下で
SiOやSiO2膜を形成する場合、さらには、Alタ
ーゲットからAl23などの酸化物膜を形成する場合な
どにおいて、磁石アセンブリとして固定された磁石を用
いるときは、ターゲット表面の磁界分布が不均等とな
り、放電しているターゲット面は常に清浄面が出ている
が、その周辺部は窒化していたり酸化したりして、絶縁
膜が形成され、アーク等の異常放電が発生し、基板1上
に成膜される被膜の膜厚分布が不均等になることがあ
る。
【0024】これに対し、磁石アセンブリMを回転可能
な構造のものにし、磁石アセンブリMを回転させること
によって、ターゲット表面の磁界分布が均一となり、ア
ーク等の異常放電の発生などを有効に防止でき、基板1
上に成膜される被膜の膜厚分布が均一になる。すなわ
ち、良好な被膜を形成することができる。
【0025】さらに、図5の構成例において、モーター
42は、真空容器21に対して矢印Aの方向に可動に取
り付けられており、モーター42を矢印Aの方向に移動
させると、回転軸41を介してモーター42に連結され
ているマグネトロン用磁石アセンブリMも、モーター4
2の移動量分だけ移動し、これによって、ターゲットと
アセンブリMとの間の間隔距離を調整し、ターゲット表
面における漏れ磁界の強度を調整することが可能とな
る。
【0026】前述したように、一般には、ターゲット材
料に合わせて漏れ磁界の強度(マグネトロン磁界の強度)
の最適値を見つけることが必要である。例えば、ターゲ
ットがFe,Ni,Coやこれらの合金である場合に
は、材料自体が磁化しやすい強磁性体であるため、漏れ
磁界は、ターゲット内部に収束し、ターゲットの表面に
漏れ磁界を発生しないことがある。すなわち、ターゲッ
トがこのような強磁性体材料のものである場合、漏れ磁
界の強度が弱いとマグネトロン放電が発生しないことも
あり、従って、ターゲットがこの種の強磁性体材料であ
る場合には、非磁性体材料の場合に比べてマグネトロン
磁界を強くするため、一般には、磁石アセンブリの永久
磁石そのものを大きくしたり、強い磁石に交換せざるを
得ない。前述の従来例では、複数の各ターゲットごと
に、それぞれに対応させて、磁石アセンブリを設けるよ
うになっているので、強磁性体のターゲットの場合に
は、これに対応した磁石アセンブリについては、漏れ磁
界の強度を非磁性ターゲットの場合に比べて強くしてお
く必要があった。
【0027】これに対し、本発明では、4つのターゲッ
トに対して、1つの磁石アセンブリMを共用させるた
め、例えば強磁性体ターゲットの場合には、磁石アセン
ブリMをターゲットに近づけてターゲットにおける漏れ
磁界の強度が大きくなるように、モーター42(磁石ア
センブリM)を移動させ、また、漏れ磁界の強度を差程
強くする必要がないターゲット,例えば非磁性体ターゲ
ットの場合には、磁石アセンブリMをターゲットから遠
ざけてターゲットにおける漏れ磁界の強度が所定のもの
となるようにモータ42を移動させることができる。換
言すれば、1つの磁石アセンブリMだけで、各種のター
ゲットに対応できる。
【0028】図6には、磁石アセンブリMの矢印A方向
への移動距離に対するターゲット上での磁界強度が示さ
れている。なお、図6では、それぞれ強度が異なる4種
類の永久磁石の磁石アセンブリを用い、4種類の各磁石
アセンブリのそれぞれについて、磁界の距離依存性を測
定した結果が示されている。すなわち、図中、R1
2,R3,R4は、4種類の磁石アセンブリのそれぞれ
を示している。また、図6において、移動距離“0”
は、図5において磁石アセンブリMが真空容器21の外
壁と接触している位置を表わしており、移動距離xは、
この状態から磁石アセンブリMが真空容器21の外壁か
ら遠ざかる方向への距離である。図6の結果から、ター
ゲット表面への漏れ磁界の強度は、距離とともに減少
し、このことから、ターゲットごとに漏れ磁界の強度を
磁石アセンブリの移動距離でコントロールすることがで
きることがわかる。
【0029】実際、標準的な強度の磁石を用いる場合に
も、その距離を“0”に接近させることによって、純鉄
のターゲット(必要とされるマグネトロン磁界700G)
や純Siのターゲット(必要とされるマグネトロン磁界
300G)についても、マグネトロン放電を生じさせる
ことができた。
【0030】このように、磁石アセンブリを矢印Aの方
向に移動させることで、ターゲットごとにその材料に合
わせて漏れ磁界の強度を最適なものに簡単に調整し、成
膜ごとに膜厚の制御を確実に行なうことができて、従来
のように種々の強度をもつ磁石を交換する必要もなくな
るので、効率化を図り、膜厚の管理を容易に行なうこと
ができる。
【0031】さらに、図5の構成例において、マグネト
ロン用磁石アセンブリMを回転駆動するための回転駆動
機構は、マグネトロン用磁石アセンブリMを偏心回転さ
せることが可能に構成されている。すなわち、マグネト
ロン用磁石アセンブリMを、モーター42の回転軸41
に対して、その中心から偏心させて取付けることができ
るよう構成されている。図7には、マグネトロン用磁石
アセンブリMのヨーク11に偏心量を制御するための取
付孔(モーター42の回転軸41を取付けるための孔)を
複数個,例えば61a,61b,61c,61d,61
eのように設けた状態が示されている。
【0032】図8(a),(b)には、モーター42の回転
軸41をヨーク11の中心孔61aに取付けてヨーク1
1を中心回転させた場合,モーター42の回転軸41を
ヨーク11の例えば孔61cに取付けてヨーク11を偏
心回転させた場合がそれぞれ示されている。図8(b)を
図8(a)と比べればわかるように、偏心回転させる場合
(図8(b))には、中心回転の場合(図8(a))よりも広い
ターゲット面を放電させることができる。
【0033】すなわち、図8(a)のようにターゲットを
中心回転させる場合、ターゲットの消耗状態は、磁界の
作用しているドーナツ状の狭い部分D1のみに集中し、
膜厚の分布などに悪影響を及ぼす恐れがあるが、図8
(b)のようにターゲットを偏心回転させることによっ
て、ターゲットの消耗を、より広い部分D2に分散さ
せ、膜厚の良好な分布(より均一な分布)を得ることがで
き、性能を大幅に向上させることができる。
【0034】なお、比較的重いマグネトロン用磁石アセ
ンブリを偏心回転させるときには重心が中心にないため
に、回転ムラが生じ、一定の回転が得られないことがあ
る。このような事態を防止するため、マグネトロン用磁
石アセンブリMには、重心安定のバランサー手段を取付
けることもできる。図9には、重心を安定させるための
バランサー71を取付けるための孔72をヨーク11に
設けた状態が示されている。この場合には、偏心量に応
じた量のバランサー71を孔72に取り付けることによ
って、アセンブリM全体の重心を中心に移動させ、回転
ムラを防ぐことができる。
【0035】実際に、偏心回転を生じさせるため、磁石
アセンブリMをモーター42の回転軸41に対して20
mmの偏心量でずらしてモーター42を回転させた時、
重心が偏っているために60rpm以下ではトルクが大
きくなり回転しなかったが、重心を中心に移すために直
方体状のバランサー71を5個、ヨーク11の孔72に
取付けたところ、回転トルクが小さくなり、低速10r
pmでも、磁石アセンブリMをバランス良く回転させる
ことができた。
【0036】このように、マグネトロン用磁石アセンブ
リの回転駆動機構としては、マグネトロン放電がターゲ
ット全面をカバーできる位置まで偏心量を可変にする構
造のものが用いられるのが良い。偏心量を適切なものに
設定することにより、ターゲット表面の磁界分布をより
一層均一なものにすることができ、ターゲットが削れ消
耗する(エロージョン)領域を拡げることができて、ター
ゲットの使用効率をより向上させ、基板1上に成膜され
る被膜の膜厚分布の均一性をより一層向上させることが
できる。
【0037】以上のように、従来のスパッタリング装置
により本発明のような性能を得るためには非常に大きな
規模の装置構成が必要であるが、本発明によれば、上記
のような各構成のものとすることによって、小型でかつ
高効率なスパッタリング装置を安価に提供することがで
きる。
【0038】なお、上述の実施例では、スパッタ駆動部
3がマグネトロン用磁石アセンブリであるとし、スパッ
タリング装置がマグネトロンスパッタリング装置として
構成されているとしたが、スパッタ駆動部3としては、
ターゲットから材料をスパッタリングされるものであれ
ば良く、マグネトロン用磁石アセンブリ以外のものを用
いることもできる。すなわち、本発明は、マグネトロン
スパッタリング装置以外の任意のスパッタリング装置に
も適用可能であり、基板上に多層膜を形成する場合に、
複数のターゲットに対して1つのスパッタ駆動部を設け
ることを特徴とし、これにより、スパッタリング装置の
規模を小型化し、低コストのものにすることができる。
【0039】また、上述の実施例では、基板1上に成膜
される多層膜が4層のものであるとし、4個のターゲッ
トが設けられているとしたが、ターゲットの個数は、多
層膜の組成に応じて任意の個数に設定でき、すなわち2
個,3個,5個でも良く、空間的に配置可能であれば、
必要な個数分だけ取付け可能である。また、上述の実施
例では、4層の多層膜のそれぞれが異なった組成のもの
であるとし、4層に対応させて4つのターゲットを用い
たが、4層のうちで、共通の組成のものがある場合、例
えば第1層目と第4層目とが同じ組成のものである場
合、第1層目と第4層目を形成するのに、1つのターゲ
ットを共用することができる。すなわち、この場合、タ
ーゲットは3個設けるだけで良い。
【0040】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1乃至請
求項6記載の発明によれば、基板上に多層膜をスパッタ
リングにより形成するスパッタリング装置において、多
層膜の材料となるターゲットを複数個有し、複数個のタ
ーゲットを所定位置に回転移動させる機構が設けられて
いるので、基板上に多層膜をスパッタリングにより形成
するのに、ターゲットを必要に応じて回転させれば、1
つのスパッタ駆動手段(マグネトロン用磁石アセンブリ)
だけで済み、かつ基板も移動させずに済み、装置規模を
小型化し、かつ、装置の低コスト化を図ることができ
る。
【0041】特に、請求項3記載の発明では、前記スパ
ッタ駆動手段が、マグネトロン用磁石アセンブリであっ
て、該マグネトロン用磁石アセンブリを回転駆動するた
めの回転駆動機構がさらに設けられているので、磁石ア
センブリを回転させることによって、ターゲット表面の
磁界分布が均一となり、アーク等の異常放電の発生など
を有効に防止でき、基板上に成膜される被膜の膜厚分布
が均一になる。すなわち、良好な被膜を形成することが
できる。
【0042】また、請求項4記載の発明では、前記マグ
ネトロン用磁石アセンブリは、磁石からの漏れ磁界強度
がターゲット表面において調節可能なように、ターゲッ
トに対して移動可能であるので、ターゲットごとに、そ
の材料に合わせて漏れ磁界の強度を最適なものに簡単に
調整し、基板上に成膜される被膜の膜厚を確実に制御す
ることができる。
【0043】また、請求項5記載の発明では、マグネト
ロン用磁石アセンブリを回転駆動するための回転駆動機
構は、前記マグネトロン用磁石アセンブリを偏心回転さ
せることが可能に構成されているので、ターゲット表面
の磁界分布をより一層均一なものにすることができ、タ
ーゲットが削れ消耗する(エロージョン)領域を拡げるこ
とができて、ターゲットの使用効率をより向上させ、基
板上に成膜される被膜の膜厚分布の均一性をより一層向
上させることができる。
【0044】また、請求項6記載の発明では、請求項5
記載のスパッタリング装置において、前記マグネトロン
用磁石アセンブリを偏心回転させる場合に、偏心回転時
の回転ムラを防止するために、前記マグネトロン用磁石
アセンブリには重心安定のバランサー手段が取付け可能
となっているので、アセンブリを偏心回転する場合に
も、アセンブリ全体の重心を中心に移動させ、回転ムラ
を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスパッタリング装置の一実施例を
示す図である。
【図2】図1のスパッタリング装置のより具体的な構成
例を示す図である。
【図3】図1のスパッタリング装置の動作を説明するた
めの図である。
【図4】図1のスパッタリング装置の動作を説明するた
めの図である。
【図5】図2のスパッタリング装置の変形例を示す図で
ある。
【図6】磁石アセンブリの移動距離に対するターゲット
上での磁界強度を示す図である。
【図7】磁石アセンブリのヨークの構成例を示す図であ
る。
【図8】ヨークを回転させたときのターゲットの放電面
を説明するための図である。
【図9】ヨークの他の構成例を示す図である。
【図10】従来のスパッタリング装置の構成例を示す図
である。
【図11】図10のスパッタリング装置の動作を説明す
るための図である。
【図12】図10のスパッタリング装置の動作を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 基板 2 基板ホルダ
部 3 スパッタ駆
動部 5 回転軸 21 真空容器 41 回転軸 42 モーター 11 ヨーク 61 取付孔 71 バランサ 72 バランサ取
付孔 25 シール T1〜T4 ターゲット TH1〜TH4 ターゲット
ホルダ部 M マグネトロ
ン用磁石アセンブリ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に多層膜をスパッタリングにより
    形成するスパッタリング装置において、多層膜の材料と
    なるターゲットを複数個有し、複数個のターゲットを所
    定位置に回転移動させる機構が設けられていることを特
    徴とするスパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスパッタリング装置にお
    いて、前記複数のターゲットのうち、所定の位置に位置
    決めされたターゲットから材料を放出させるように該タ
    ーゲットをスパッタ駆動する1つのスパッタ駆動手段が
    さらに設けられていることを特徴とするスパッタリング
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のスパッタリング装置にお
    いて、前記スパッタ駆動手段は、マグネトロン用磁石ア
    センブリであって、該マグネトロン用磁石アセンブリを
    回転駆動するための回転駆動機構がさらに設けられてい
    ることを特徴とするスパッタリング装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のスパッタリング装置にお
    いて、前記マグネトロン用磁石アセンブリは、磁石から
    の漏れ磁界強度がターゲット表面において調節可能なよ
    うに、ターゲットに対して移動可能であることを特徴と
    するスパッタリング装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のスパッタリング装置にお
    いて、前記マグネトロン用磁石アセンブリを回転駆動す
    るための回転駆動機構は、前記マグネトロン用磁石アセ
    ンブリを偏心回転させることが可能に構成されているこ
    とを特徴とするスパッタリング装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のスパッタリング装置にお
    いて、前記マグネトロン用磁石アセンブリを偏心回転さ
    せる場合に、偏心回転時の回転ムラを防止するために、
    前記マグネトロン用磁石アセンブリには重心安定のバラ
    ンサー手段が取付け可能となっていることを特徴とする
    スパッタリング装置。
JP17154095A 1995-06-14 1995-06-14 スパッタリング装置 Pending JPH093640A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019178348A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 Jfeスチール株式会社 ターゲット供給装置および表面処理設備
CN115976477A (zh) * 2022-12-12 2023-04-18 佛山市博顿光电科技有限公司 靶材安装结构及真空镀膜机

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JP2019178348A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 Jfeスチール株式会社 ターゲット供給装置および表面処理設備
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