JPH0933420A - 無機粉末と有機バインダーの混練状態または顆粒状態の評価方法、および混練方法 - Google Patents

無機粉末と有機バインダーの混練状態または顆粒状態の評価方法、および混練方法

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JPH0933420A
JPH0933420A JP20408595A JP20408595A JPH0933420A JP H0933420 A JPH0933420 A JP H0933420A JP 20408595 A JP20408595 A JP 20408595A JP 20408595 A JP20408595 A JP 20408595A JP H0933420 A JPH0933420 A JP H0933420A
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inorganic powder
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kneaded
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JP20408595A
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English (en)
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Kazuyuki Yamada
山田一幸
Tomoyoshi Kuroishi
黒石知義
Yuji Saito
斉藤祐司
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料ロット、異種原料、人為的なバラツキを
排除し、確実に無機粉末と有機バインダーの混練状態ま
たは顆粒状態を評価することのできる方法、および無機
粉末に対する有機バインダーの添加量の最適値を容易に
判断することにより、効率的に混練を行う方法を提供す
る。 【構成】 有機バインダーを用いた無機粉末の成形法に
おいて、無機粉末と有機バインダーを主体とする混練物
または顆粒について、透過型顕微鏡を用いて観察し、観
察された無機粉末に対する有機バインダーの被覆状態に
より評価する無機粉末と有機バインダーの混練状態また
は顆粒状態の評価方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機バインダーを
用いた無機粉末の成形法において、有機バインダーの無
機粉末への混練状態または顆粒状態を評価する方法、お
よび無機粉末と有機バインダーの混練方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、無機粉末を用いて成形品を製
造する際に、無機粉末と有機バインダーを混練して得ら
れた混練物や、噴霧乾燥により得られた顆粒を成形し、
得られた成形体を脱バインダー後、焼結する方法が知ら
れている。この方法を採用した場合、無機粉末が有機バ
インダーにより均一かつ充分に混練されていないコンパ
ウンドを用いて成形すると、得られる成形体の特性(成
形体強度、成形体ヤング率など)にバラツキが発生し成
形性が安定しない。しかし、混練を充分に行おうとする
あまり、その工程に長時間を費やしていたのでは、成形
品の製造にかかる時間がいきおい増加する。混練が充分
に行われたことが確実に判断できれば、必要最小限の時
間で工程を終了することができることから、確実に無機
粉末と有機バインダーの混練状態の評価のできる方法の
開発が望まれている。
【0003】これを受けて、混練のトルク曲線の経時的
変化、コンパウンドの粘性、コンパウンドの電気抵抗値
などにより混練状態を評価する方法が提案されている。
しかし、トルク曲線の経時的変化の傾向から混練状態を
判断することは容易ではなく、判断者による評価のバラ
ツキが生じるという問題があり、一方、コンパウンドの
粘性、電気抵抗値により混練状態を評価する方法では、
粘性・電気抵抗値が同一でも混練状態が異なる場合があ
り、確実な方法ではない。
【0004】さらに、これらの方法では判断が難しく、
ある程度の経験が必要であるうえ、定性的な判断しか得
られず、一定の目安とはなり得ても、無機粉末と有機バ
インダーの混練状態を確実に判断する最適の方法とはな
り得ていない。そこで、本発明者らは、無機粉末と有機
バインダーが充分に混練した状態とは、一般に、無機粉
末が有機バインダー中に均一に分散し、かつその無機粉
末が有機バインダーで均一に濡れている状態であること
から、無機粉末が有機バインダーに被覆している状態を
目視により直接観察することは、混練状態、ひいては顆
粒状態を評価する上で重要な手掛かりとなり得ると考
え、本発明の混練状態または顆粒状態の評価方法を完成
した。
【0005】ところで、無機粉末と有機バインダーの混
練をする際、有機バインダーの添加量には、最適値の範
囲がある。すなわち、有機バインダーの添加量が、この
範囲外であると、長時間の混練を行ってもなかなか混練
を充分に行うことができない。また、添加量の最適値
は、無機粉末と有機バインダーの種類などにより異なる
ものである。このため、無機粉末と有機バインダーの混
練をするに際し、あらかじめ、有機バインダーの添加量
の最適値を知っておく必要がある。しかし、従来は、添
加した有機バインダーが最適値の範囲であるか否かの判
断、すなわちその添加量で混練が充分に行われるかの判
断は、その混練物を用いた成形体を焼成してクラックな
どが発生するか否かで判断していたため、かなりの手間
と時間がかかっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの欠
点を解決するため、原料ロット、異種原料、人為的なバ
ラツキを排除し、確実に無機粉末と有機バインダーの混
練状態または顆粒状態を評価することのできる方法、お
よび無機粉末に対する有機バインダーの添加量の最適値
を容易に判断することにより、効率的に混練を行うこと
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機バインダ
ーを用いた無機粉末の成形法において、無機粉末と有機
バインダーを主体とする混練物または顆粒(以下、単に
「混練物または顆粒」ともいう)について、透過型顕微
鏡を用いて観察し、観察された無機粉末に対する有機バ
インダーの被覆状態により評価する無機粉末と有機バイ
ンダーの混練状態または顆粒状態の評価方法を提供する
ものである。また、本発明は、有機バインダーを用いた
無機粉末の成形法において、有機バインダーの無機粉末
への添加を2回以上の複数回に分けて行う場合の初回の
添加量の最適値を、請求項3項記載の無機粉末と有機バ
インダーの混練状態の評価方法により決定することを特
徴とする無機粉末と有機バインダーの混練方法を提供す
るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明が、適用されるのは無機粉
末と有機バインダーを主体とする混練物または顆粒であ
る。混練される無機粉末としては、セラミックス粉末、
金属粉末などであり、例えばセラミックス粉末として
は、MgO、Al2 3 、SiO2 、TiO2 、ZrO
2 、ZnO、Fe2 3 、SiO、Si3 4 、Si
C、BN、TiC、WCなどの単独または複合したもの
の粉末が、金属粉末としては、Si、Fe、Al、Mg
などの単独または複合したものの粉末が挙げられる。
【0009】本発明に用いられるセラミック粉末、金属
粉末は、粉砕工程を経たものである。粉砕に用いる装置
は、ボールミル、攪拌ミル、ジェットミルなどであり、
湿式粉砕、乾式粉砕のいずれでもよい。湿式粉砕を行う
際の媒液としては、エチルアルコール、メチルアルコー
ルその他の有機溶媒が用いられる。このとき、粉砕によ
る粒子径は、特に限定されないが、0.1〜50μmが
好ましい。
【0010】一方、これらの無機粉末と混練する有機バ
インダーは、特に限定されず、無機粉末との関係で選択
することができるが、例えばパラフィンワックス、マイ
クロクリスタリンワックス、流動パラフィン、酸化ワッ
クス、マレイン化ワックス、ステアリン酸、オレイン酸
などが挙げられる。
【0011】混練に用いられる装置は、双腕型加圧ニー
ダー、バンバリーミキサーなどであり、一方、造粒に用
いられる装置は、回転円盤型、圧力噴霧ノズル型、二流
体ノズル型などの噴霧方式による噴霧乾燥装置である。
【0012】本発明において、このような混練物または
顆粒を透過型顕微鏡で観察する意義は、有機バインダー
が無機粉末を被覆している状態が、透過型顕微鏡の画像
などで目視できるので、無機粉末表面が均一に被覆され
ている状態か否か、所望の被覆状態か否かを目視により
判断し、その結果、混練状態または顆粒状態を評価する
ことにある。
【0013】また、有機バインダー皮膜の形状だけでな
く、有機バインダー皮膜の膜厚を測定する意義は、有機
バインダー皮膜の膜厚は、無機粉末の各粒子間の粒子間
距離に直接影響することから、粒子間の相互による粒子
と粒子の凝集性または分散性を判断をすることにある。
【0014】すなわち、一般に、粒子間相互作用とし
て、ファン・デル・ワールスの引力ポテンシャルV
A (Η)(以下、単に「ファン・デル・ワールス引力V
A 」ともいう)と電気二重層どうしの静電気的斥力ポテ
ンシャルVR (Η)(以下、単に「静電斥力エネルギー
R 」ともいう)があり、粒子間全ポテンシャルエネル
ギーVt (Η)は、これらの総和で与えられる。
【0015】ここで、半径aの2個の等価な球状粒子間
に働くファン・デル・ワールス引力VA (Η)は、下式
(I)で表されることから、粒子間の距離を大きくすれ
ば、ファン・デル・ワールス引力VA が小さくなり、粒
子の凝集が困難になる。 VA (Η)=Aa/12H ・・・・・(I) 〔式(I)中、AはHamaker定数、Hは粒子間距
離を表す。〕 一方、静電斥力エネルギーVR は、粒子間の距離が小さ
くなればなるほど、各粒子の静電荷による反発力が増加
する。
【0016】そして、粒子間全ポテンシャルエネルギー
t を粒子間表面間距離に対して表すと、粒子間距離の
小さいところに谷の深い第1極小、粒子間距離の比較的
遠いところに谷の浅い第2極小が現れ、これらの間に
は、エネルギー障壁Vmax が存在するという特徴が見出
される。以上のように、有機バインダー皮膜の形状や膜
厚により、粒子間距離を調整する重要な役割を持ってい
る。
【0017】従って、本発明の評価方法は、無機粉末に
対する有機バインダーの被覆状態、具体的には、有機バ
インダー皮膜の形状および膜厚値により、混練物または
顆粒における無機粉末の凝集性または分散性、すなわち
無機粉末と有機バインダーの混練状態または顆粒状態を
評価することに特徴を有するものである。
【0018】ここで、有機バインダー皮膜を観察する装
置としては、常用に供する透過型の顕微鏡であればどの
ようなものでもよく、例えば、透過型電子顕微鏡(以下
「TEM」ともいう)を用いることができる。観察の方
法としては特に限定されないが、例えば観察の対象とな
る混練物または顆粒の一部に水を添加して超音波を当
て、粒子を分散させたのち、TEMで観察する方法が挙
げられる。
【0019】ここで、混練が充分に行われた状態とは、
一般に無機粉末が有機バインダー中に均一に分散し、そ
の無機粉末が有機バインダーで均一に濡れている状態を
いう。従って、混練が充分であると評価されるための要
件は、透過型顕微鏡による観察で、無機粉末に対して有
機バインダーが均一に被覆している状態が観察されるこ
とである。透過型顕微鏡の画像では、電子線を通過させ
にくい無機粉末の粒子の部分と、これらを通し易い有機
バインダー皮膜の部分は明確に区別できるため、無機粉
末に対して有機バインダーが均一に被覆している状態
は、無機粉末の表面を有機バインダーがほぼ一定の厚さ
で覆っている状態として観察される。
【0020】本発明において、透過型顕微鏡による観察
を行うのは、混練物または顆粒の一部分についてであ
る。ただし、前記混練装置などによれば、混練物または
顆粒は全体が隈なく攪拌されることから、混練物または
顆粒の一部分についての評価は、混練物または顆粒の全
体についての評価とみなすことができる。
【0021】ここで、透過型顕微鏡を用いて観察するこ
とによる判断の確実性を更に向上させるために、無機粉
末に被覆する有機バインダー皮膜の厚さが、所定の厚さ
であることを確認することが好ましい。
【0022】所定の厚さとは、添加した有機バインダー
の全量が無機粉末の各粉末粒に均一に被覆されたと仮定
したときの有機バインダーの膜厚値T(以下「理論膜厚
値T」という)にほぼ等しい値であり、具体的には、T
±15%が該当する。具体的には、理論膜厚値Tは、下
記式(I)により算出される。 T=V/(S×W)・・・・・・(I) 〔式中、Vは添加した有機バインダーの体積、Sは無機
粉末の比表面積、Wは無機粉末の総重量を表し、S×W
は無機粉末の総表面積を示す。〕
【0023】そして、均一に被覆する有機バインダー皮
膜の膜厚が、理論膜厚値Tにほぼ等しいことが判れば、
混練物または顆粒の全体について、無機粉末が有機バイ
ンダーで均一に濡れている状態であるとの判断は、さら
に確実となる。
【0024】無機粉末の比表面積の測定の方法は、特に
限定されないが、例えばチッ素ガスの吸着による1点吸
着法により測定することができる。また、有機バインダ
ーの体積とは、一次混練の室温における体積である。2
種以上の有機物を混合して用いる場合は、これらの混合
物の前記温度における体積を示す。
【0025】本発明の方法を、無機粉末と有機バインダ
ーの混練物に適用する場合、有機バインダーの添加を一
度に行う混練方法により得られた混練物にも、添加を2
回以上の複数回に分けて行う混練方法により得られた混
練物にも適用することができる(以下、後者の混練方法
において、初回添加時の混練を「一次混練」、次回以降
の混練を「二次混練」という)。また、後者の場合に
は、一次混練による混練物にも二次混練による混練物に
も適用することができる。
【0026】有機バインダーの添加を2回以上の複数回
に分けて行う混練方法において、一次混練が充分に行わ
れていると、二次混練も極めて容易に完了することか
ら、混練を効率的に行うためには、一次混練による混練
物について混練状態を評価し、充分に混練されているこ
とを確認した上で二次混練を行うことが好ましい。
【0027】このように有機バインダーの添加を複数回
に分けて行う混練方法においては、一次混練の際の有機
バインダーの添加量(以下「初回添加量」ということが
ある)は、二次混練を充分に行う上で重要な要素であ
る。すなわち、有機バインダーの初回添加量には、最適
値の範囲があり初回添加量を最適値の範囲内で行わない
と、二次混練での混練を充分に行うことができない。
【0028】そこで、本発明の混練状態の評価方法を、
有機バインダーの添加を2回以上の複数回に分けて行う
場合の有機バインダーの初回添加量の最適値を決定する
ことに利用する。すなわち、有機バインダーの添加量が
好ましい量か否かの判断を、所定の時間、混練した混練
物を、本発明の混練状態の評価方法により評価すること
により行う。所定の時間とは、無機粉末および有機バイ
ンダーの種類や量により異なるが、その目安としては、
混練トルクの安定する2〜4時間前後である。そして、
透過型顕微鏡により、無機粉末は有機バインダーに均一
に被覆されている状態(B)が観察され、混練が充分で
あると評価された場合には、有機バインダーの初回添加
量は、最適値であったと判断される。
【0029】これに対し、有機バインダーが充分に無機
粉末を被覆せず、有機バインダーが偏折している状態
(A)が観察され、混練が充分でないと評価された場合
には、有機バインダーの添加量が好ましい量よりも少な
いと判断される。また、有機バインダーが充分に無機粉
末の粒子を被覆しているものの、有機バインダーが過剰
に過ぎ、有機バインダーの塊がところどころに見られる
状態(C)が観察され、混練が充分でないと評価された
場合には、有機バインダーの添加量が、好ましい量より
も多いと判断される。
【0030】このように、透過型顕微鏡により混練物を
観察し、直接に有機バインダーの被覆状態を知ることに
より、有機バインダーの添加量の適否が判明する。TE
Mにより観察される混練物の各混練状態を示す模式図を
図1に示す。
【0031】
【作用】無機粉末と有機バインダーの混合物を透過型顕
微鏡で観察することにより、無機粉末の粒子部分と有機
バインダー皮膜部分が識別できるとともに、無機粉末と
有機バインダーが明確に分別できる。また、透過型顕微
鏡で観察することにより、有機バインダー皮膜の形状な
どから、有機バインダーによる無機粉末への被覆状態が
目視で確認できる上、透過型顕微鏡の画像から有機バイ
ンダー皮膜の膜厚が判明することから、有機バインダー
皮膜が所定の膜厚となっているか否かが確認できる。
【0032】そして、有機バインダー皮膜が、無機粉末
に対して均一である場合には、充分な混練状態または顆
粒状態であると評価できる。さらに、有機バインダー皮
膜が所定の膜厚である場合には、充分な混練状態または
顆粒状態であるとの評価の確実性が担保される。この方
法は、無機粉末と有機バインダーの混練物の混練状態、
噴霧乾燥による顆粒の有機バインダー皮膜の被覆状態の
評価に適用される。本発明の方法を混練物、特に有機バ
インダーを無機粉末に対して2回以上の複数回に分けて
添加する方法に適用する場合に、一次混練による混練物
を本発明の方法で充分な混練状態であると評価されるま
で混練すると、二次混練による混練は容易に充分な混練
ができる。
【0033】本発明の混練状態の評価方法を、有機バイ
ンダーの無機粉末への添加を2回以上の複数回に分けて
行う混練方法の、初回添加量の最適値を求めることに適
用すると、確実かつ正確に添加量の最適値が決定でき
る。
【0034】
【実施例】以下、具体例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるもの
ではない。
【0035】実施例1〜3、比較例1〜2 本実施例では、無機粉末と有機バインダーの体積比を、
最終的に64:36となる混練物について行ったもので
ある。表1の無機粉末Xを、ボールミルを用いてエタノ
ール中で湿式粉砕し、乾燥したのち、90℃に加熱した
双腕型加圧ニーダーにより、無機粉末X896g(総表
面積は7,329.28m2 )に対し、表1の有機バイ
ンダーをそれぞれ、13.66×10-53 (実施例
1)、13.78×10-53 (実施例2)、14.0
1×10-53 (実施例3)、14.42×10-53
(比較例1)、16.71×10-53 (比較例2)添
加して一次混練を2時間行った。各混練物について試料
を調整し、拡大倍率を400,000倍にして、TEM
で観察した。実施例1、比較例1の混練物のTEM写真
を図2〜3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】ここで、実施例1の混練物について、TE
M画像で無機粉末と見られる中心部分と、有機バインダ
ー皮膜部分と見られる部分について、それぞれ、エネル
ギー分散型X線分析装置を用いて、元素分析を行った。
分析の結果を図4〜5に示す。分析結果により、無機粉
末と見られた中心部分が実際に無機粉末であり、有機バ
インダーと見られた周縁部分が実際に有機バインダーで
あることが確認され、透過型顕微鏡を用いて目視によ
り、無機粉末と有機バインダーが明確に区別できること
が確認された。次いで、各混練物について、有機バイン
ダー皮膜の形状と膜厚を調べた。その結果を表2に示
す。
【0038】そののち、残りの有機バインダーを加えて
二次混練を2時間行い、最終混練物を作成し、再度、各
混練物をTEMで観察した。最終混練物を用いて、低圧
射出成形によりφ16×50の成形体を製造して、その
特性の試験を行った。以上の結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】図2によると、実施例1の混練物は、有機
バインダー皮膜が、無機粉末に対して均一に被覆してお
り、充分に混練されていると評価された。また、TEM
写真から、有機バインダー皮膜の膜厚を算出したとこ
ろ、膜厚理論値Tとほぼ一致したことからも、混練が充
分に行われていると評価された。実施例2〜3の混練物
についても同様の結果が得られた。一方、図3による
と、比較例1の混練物は、有機バインダーが塊って厚く
被覆している部分と、薄く辛うじて被覆している部分が
混在しており、混練は不充分であると評価された。比較
例2の混練物についても同様の結果が得られた。
【0041】さらに、TEM写真により混練が充分であ
ると評価された実施例1〜3の混練物による成形体に
は、ウェルド、クラックが発生せず、その特性は非常に
優れたものであったことから、実際に混練が充分だった
ことが明らかとなった。一方、TEM写真により混練が
不充分であると評価された比較例1〜2の混練物による
成形体は、そのウェルド、クラックが発生し、その特性
が悪いことから、実際に混練が不充分であったことが判
明した。
【0042】また、表2によると、無機粉末と有機バイ
ンダーの最終的な配合割合が同じであっても、有機バイ
ンダーの初回の添加量によって、混練物の混練状態など
が左右されるが、本実施例および本比較例における有機
バインダーの初回の添加量の最適値は、13.66×1
-5〜14.01×10-53 の範囲であると評価され
た。
【0043】実施例4〜6、比較例3〜4 原料ロットを変えたこと以外は、実施例1〜3、比較例
1〜2と同様に、一次混練物の有機バインダーの膜厚の
測定、成形体の性能の試験を行った。その結果を表3に
示す。
【0044】
【表3】
【0045】実施例4〜6の混練物は、TEM写真によ
り充分に混練されているとの評価がなされた。また、こ
の混練物を用いた成形体も特性が優れることから、実際
に混練物の混練が充分であったことが明らかとなった。
一方、比較例3〜4の混練物は、TEM写真により混練
が不充分であるであるとの評価がなされた。また、この
混練物を用いた成形体は、ウェルドやクラックが発生
し、特性が悪いことから、実際に混練が不充分であった
ことが判った。また、有機バインダーの初回添加量を、
実施例1〜3および比較例1〜2で、有機バインダーの
初回添加量の最適値の範囲内とした実施例4〜6は、混
練が充分であり、範囲外とした比較例3〜4は、混練が
充分に行えなかった。従って、本発明の方法により、有
機バインダーの初回添加量の最適値を決定する方法は、
有用であることが明らかとなった。
【0046】実施例7、比較例5 無機原料として表4の金属粉末Yを乾式混合し、この金
属粉末Yを910.15g(総表面積は3,249.2
4m2 )に対し、それぞれ、11.05×10-5
3 (実施例7)、14.95×10-53 (比較例5)
添加して、90℃に加熱した双腕型加圧ニーダーによ
り、一次混練を2時間行い、透過型電子顕微鏡で有機バ
インダーの皮膜を観察し、膜厚を測定した。次いで、残
りの有機バインダーを加えて二次混練を2時間行った。
この最終混練物を用いて、低圧射出成形によりφ16×
50の成形体を製造して特性の試験を行った。結果を表
5に示す。
【0047】
【表4】
【0048】*1)金属粉末Yは、♯600の金属シリ
コンに、焼結助剤としてAlNおよびY2 3 を添加し
たものである。
【0049】
【表5】
【0050】TEM写真により、混練が充分であるとの
評価が得られた実施例7の混練物は、その成形体におい
ても特性が優れており、実際に混練が充分であったこと
が判明した。一方、TEM写真により、混練が不充分で
あるとの評価が得られた比較例5の混練物は、その成形
体においても特性が劣っていることから、混練物の混練
が不充分であったことが判った。このように、金属粉末
と有機バインダーとの混練物においても、本発明による
混練状態の評価と実施の混練状態が一致した。
【0051】
【発明の効果】無機粉末と有機バインダーの混合物を透
過型顕微鏡で観察することにより、無機粉末の粒子部分
と有機バインダー皮膜部分が識別できるとともに、無機
粉末と有機バインダーが明確に分別できることから、有
機バインダー皮膜の形状などから、有機バインダーによ
る無機粉末の被覆状態が目視で確認できるため、有機バ
インダーが無機粉末に均一に被覆していることを直接、
確認することができるため、混練が充分になされたこと
を確実に判断することができる。
【0052】さらに、透過型顕微鏡の画像による有機バ
インダー皮膜の膜厚実測値と、理論膜厚値Tがほぼ一致
することを確認することにより、混練が充分であるとの
評価がさらに確実なものとなる。このように、本発明の
方法による評価は確実であるから、本発明の方法により
混練が充分であるとの評価が得られた後は、いつでも混
練を終了することができる。このため、混練工程にかか
る時間は必要最小限とすることが可能となる。
【0053】従って、本発明により混練が充分であると
の評価が得られた混練物を成形した成形体は、混練不足
によるウェルドやクラックを発生することのない優れた
特性の成形体となる。また、噴霧乾燥による顆粒の有機
バインダー皮膜の被覆状態の評価に適用すれば、皮膜の
最適化が容易になり、流動性、つぶれ性に優れた顆粒が
得られる。
【0054】このように、本発明の混練状態または顆粒
状態の評価方法により、確実に有機バインダー皮膜の混
練状態または顆粒状態を評価することができるので、原
料ロット、異種原料、人為的なバラツキが排除されると
ともに、この混合物により製造された成形体は、常に優
れた特性を有するものが得られる。
【0055】また、本発明の混練状態の評価方法を、有
機バインダーの添加を2回以上の複数回に分けて行う混
練方法の初回の添加量の最適値を決定することに利用す
ることにより、従来のように成形体を作成することな
く、容易に最適値を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機バインダーの添加量による、無機粉末に対
する有機バインダーの被覆状態を表す模式図である。
【図2】実施例1の一次混練による混練物の粒子構造を
表すTEM写真である。
【図3】比較例1の一次混練による混練物の粒子構造を
表すTEM写真である。
【図4】実施例1の一次混練による混練物の中心部分の
元素分析のチャートである。
【図5】実施例1の二次混練による混練物の周縁部分の
元素分析のチャートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機バインダーを用いた無機粉末の成形
    法において、無機粉末と有機バインダーを主体とする混
    練物または顆粒について、透過型顕微鏡を用いて観察
    し、観察された無機粉末に対する有機バインダー皮膜の
    被覆状態により評価する無機粉末と有機バインダーの混
    練状態または顆粒状態の評価方法。
  2. 【請求項2】 透過型顕微鏡により観察された無機粉末
    に対する有機バインダー皮膜の膜厚値が、添加した有機
    バインダーの全量が無機粉末の各粉末粒に均一に被覆さ
    れたと仮定したときの有機バインダーの膜厚値にほぼ等
    しいときに充分な混練状態または顆粒状態であると判断
    する、請求項1項記載の無機粉末と有機バインダーの混
    練状態または顆粒状態の評価方法。
  3. 【請求項3】 無機粉末と有機バインダーを主体とする
    混練物が、有機バインダーの無機粉末への添加を2回以
    上の複数回に分けて行う場合の、初回添加時の混練によ
    る混練物である請求項1〜2のいずれか1項記載の無機
    粉末と有機バインダーの混練状態の評価方法。
  4. 【請求項4】 有機バインダーを用いた無機粉末の成形
    法において、有機バインダーの無機粉末への添加を2回
    以上の複数回に分けて行う場合の初回の添加量の最適値
    を、請求項3項記載の無機粉末と有機バインダーの混練
    状態の評価方法により決定することを特徴とする無機粉
    末と有機バインダーの混練方法。
JP20408595A 1995-07-19 1995-07-19 無機粉末と有機バインダーの混練状態または顆粒状態の評価方法、および混練方法 Withdrawn JPH0933420A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101822957A (zh) * 2010-04-07 2010-09-08 昆明理工大学 基于统计学及遍历性理论的判断多相混合均匀性的方法
EP2228639A1 (en) 2009-03-09 2010-09-15 NGK Insulators, Ltd. Method for evaluating kneaded clay, and method for manufacturing kneaded clay
JP2015133986A (ja) * 2006-05-24 2015-07-27 株式会社明治 液状食品増粘化剤及びその製造法

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