JPH09330695A - 溶接の良否判定方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】集電体に接続された金属リードと電池缶との溶
接状態を容易かつ確実に検出することができ、高精度な
溶接作業を効率的に遂行可能にする。 【解決手段】良否判定装置７０は、抵抗溶接機５０によ
る抵抗溶接時に、上溶接棒５４の変位を測定する距離セ
ンサ７２と、この距離センサ７２によって測定された変
位を基準値と比較することにより、負極リード２４と電
池缶１２との溶接状態の良否を判定する判定回路７４と
を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、集電体に接続され
た金属リードと電池缶とが有効に溶接されているか否か
を検出するための溶接の良否判定方法および装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】例えば、リチウム電池のような二次電池
を製造する際、先ず、正極板と負極板をセパレータを介
して巻回した極板群が形成された後、この極板群が有底
電池缶内に挿入される。その際、極板群の負極リード
（金属リード）が電池缶の内底面に当接する一方、正極
リード（金属リード）が前記電池缶の開口から外方に突
出している。

【０００３】次いで、電池缶が第１溶接電極に載置され
るとともに、極板群の中央開口に棒状の第２溶接電極が
挿入され、前記第１および第２溶接電極を介して負極リ
ードが前記電池缶の内底面にスポット溶接される。

【０００４】この場合、負極リードと電池缶の内底面と
の溶接強度が弱いと、特に携帯使用時の振動等により溶
接が破壊されるおそれがある。そこで、特開平６−２７
５２５３号公報に開示されているように、リード板の電
池缶内面との溶接部分に複数の突起を設ける技術が知ら
れている。

【０００５】ところが、上記の従来技術では、リード板
と電池缶内面との溶接状態、すなわち、前記リード板が
前記電池缶内面に対して確実に溶接されているか否かを
検出することができない。このため、一般的には、抵抗
溶接機の溶接電流値をオンラインで測定する方法（以
下、第１方法という）や、リード板の有無を一方の溶接
電極の絶対的な変位によって判定する方法（以下、第２
方法という）等により、溶接状態の判定を行うことが考
えられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
第１方法では、一対の溶接電極間にリード板が挟持され
ているか否かの判断ができず、このリード板が介在して
いない場合にも、溶接電流値を測定することにより正常
と判定してしまうおそれがある。従って、溶接の良否判
定作業を確実に遂行することができないという問題が指
摘されている。

【０００７】また、上記の第２方法では、リード板の厚
さが電池缶の溶接部位（缶底）の厚さのばらつきに比べ
て十分に大きくないと、このリード板の有無判定が不可
能となってしまう。しかも、溶接電極の先端の磨耗や変
形により前記溶接電極の絶対位置が変化し易く、該溶接
電極の先端状況を常時監視する必要がある。さらに、第
２方法は、リード板の有無を検出するだけであり、この
リード板と電池缶とが確実に溶接されたか否かを判定す
ることはできない。

【０００８】本発明は、この種の問題を解決するもので
あり、集電体に接続された金属リードと電池缶との溶接
状態を容易かつ確実に検出することができ、高精度な溶
接作業を効率的に遂行可能な溶接の良否判定方法および
装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明は、集電体に接続された金属リードの突起
部と電池缶とが、一対の溶接電極で加圧されて抵抗溶接
が行われる。その際、溶接の進行に伴って、金属リード
の突起部が潰されて平坦化されていく。

【００１０】この抵抗溶接時における突起部の変形状態
が、一方の溶接電極の実際の変位を測定することにより
検出され、この測定された変位が基準値と比較されるこ
とによって、前記金属リードと前記電池缶とが有効に溶
接されているか否かが確実に判定される。具体的には、
測定された変位が基準値よりも大きい場合、良好な溶接
が行われたと判定する一方、この基準値よりも小さい場
合、金属リードが介在しなかった、または良好な溶接が
行われなかったと判定する。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の実施形態に係る
溶接の良否判定方法が実施される電池１０の概略構成図
である。この電池１０は、有底円筒形状を有する電池缶
１２と、この電池缶１２内に電解液と共に封入される極
板群１４とを備える。

【００１２】極板群１４は、正極板１６と負極板１８を
セパレータ２０を介して巻回して構成されており、この
正極板１６の端部に金属リードである正極リード２２が
設けられる一方、この負極板１８の端部に金属リードで
ある負極リード２４が設けられる。

【００１３】正極リード２２は、極板群１４の巻回中心
部側から電池缶１２の開口１２ａ側に延在するととも
に、封口板２６が溶接されており、この封口板２６を含
む封口部品２８がガスケット３０を介して前記電池缶１
２の開口１２ａ側端部に固定される。負極リード２４
は、極板群１４の外周側から電池缶１２の内底部１２ｂ
側に延在してこの内底部１２ｂに溶接される。

【００１４】図２に示すように、負極リード２４の溶接
部位３２には、１以上の突起部３４が設けられる。具体
的には、溶接部位３２の厚さＴが０. １ｍｍであり、内
周側半径Ｒが０. １ｍｍ（従って、高さＨが０. ２ｍｍ
となる）の突起部３４がプレス加工により形成されてい
る。

【００１５】図１に示すように、電池缶１２には、開口
１２ａの近傍に位置して環状溝部３６が形成されるとと
もに、この電池缶１２内では、極板群１４に対して下部
絶縁板３８と上部絶縁板４０とが配設されている。

【００１６】図３には、抵抗溶接機５０の概略構成図が
示されている。抵抗溶接機５０は、電池缶１２を載置す
る下溶接棒（溶接電極）５２と、この電池缶１２内に極
板群１４の中央部を通って挿入される上溶接棒（溶接電
極）５４と、この上溶接棒５４を鉛直方向に進退させる
昇降手段５６とを備える。

【００１７】昇降手段５６は、鉛直下方向に指向するエ
アシリンダ５８を有し、このエアシリンダ５８から下方
に延びるロッド６０にスプリング６２を介して溶接ヘッ
ド６４が係合する。溶接ヘッド６４は、リニアガイド６
６を介して鉛直方向に進退自在に支持されるとともに、
この溶接ヘッド６４に上溶接棒５４が装着される。上溶
接棒５４は、具体的には、直径Ｄ１が２ｍｍに設定され
ており、その先端部の直径Ｄ２が１. ５ｍｍに縮径され
ている。

【００１８】抵抗溶接機５０に、本実施形態に係る良否
判定装置７０が組み込まれている。この良否判定装置７
０は、抵抗溶接機５０による抵抗溶接時に、上溶接棒５
４の変位を測定する距離センサ（測定手段）７２と、こ
の距離センサ７２によって測定された変位を基準値と比
較することにより、負極リード２４と電池缶１２との溶
接状態の良否を判定する判定回路（判定手段）７４とを
備える。距離センサ７２は、溶接ヘッド６４の底面６４
ａに対向して配置されており、判定回路７４は、実質的
にマイコンで構成されている。

【００１９】このように構成される抵抗溶接機５０およ
び良否判定装置７０の動作について、本実施形態に係る
良否判定方法との関連で以下に説明する。

【００２０】先ず、正極板１６と負極板１８をセパレー
タ２０を介して巻回した極板群１４が形成された後、こ
の負極板１８の負極リード２４が、下部絶縁板３８を介
装して前記極板群１４の中心側に折り曲げられる。この
極板群１４は、電池缶１２内に挿入されるとともに、前
記電池缶１２の開口１２ａ側に上部絶縁板４０が配設さ
れる。

【００２１】その際、極板群１４の負極リード２４は、
図２に示すように、溶接部位３２に突起部３４が予め形
成されている。そして、負極リード２４が電池缶１２の
内底部１２ｂに当接する一方、正極リード２２が前記電
池缶１２の開口１２ａから外方に突出している。

【００２２】次いで、図３に示すように、抵抗溶接機５
０を構成する下溶接棒５２上に電池缶１２が載置された
後、昇降手段５６を構成するエアシリンダ５８が駆動さ
れる。このため、ロッド６０が下降し、スプリング６２
の押圧作用下に溶接ヘッド６４に装着されている上溶接
棒５４が電池缶１２内に極板群１４の中央部を通って挿
入される。

【００２３】図４に示すように、下溶接棒５２と上溶接
棒５４とで、負極リード２４の溶接部位３２と電池缶１
２の内底部１２ｂとが挟持された後、抵抗溶接機５０に
よって、４０Ｎの加圧作用下に、１. ４ｋＡの溶接電流
が１０ｍｓｅｃだけ供給される。その際、上溶接棒５４
は、スプリング６２を介して鉛直方向に移動可能な状態
で溶接ヘッド６４に装着されており、負極リード２４の
溶接部位３２に対して一定圧力で押し付けられている。

【００２４】ここで、図５中、（ａ）に示すように、下
溶接棒５２と上溶接棒５４とにより負極リード２４と電
池缶１２とが加圧されたことが検出されると、溶接電流
が流れて抵抗溶接作業が開始される。そして、上記の溶
接条件下で抵抗溶接が行われると、負極リード２４の突
起部３４に潰れが発生して平坦化され、この突起部３４
の高さＨが高さＨ１に変化する（図５中、（ｂ）参
照）。

【００２５】突起部３４が潰れると、その潰れ量ΔＨ
（高さＨ−高さＨ１）に相当する距離だけ溶接ヘッド６
４が上溶接棒５４と一体的に下降する。従って、溶接ヘ
ッド６４の底面６４ａに対向する距離センサ７２は、こ
の溶接ヘッド６４の変位（潰れ量ΔＨ）を測定し、その
測定結果を判定回路７４に送る。

【００２６】判定回路７４では、測定された変位を基準
値、例えば、０. ０５ｍｍと比較し、この測定された変
位が０. ０５ｍｍ以上であれば「良」と判定する一方、
前記測定された変位が０. ０５ｍｍ以下であれば「否」
と判定する。正常な溶接作業の前後では、上溶接棒５４
の変位が約０. １ｍｍとなるため、この上溶接棒５４の
変位が０. ０５ｍｍ以下であれば、負極リード２４が介
在しなかった、または溶接作業が行われなかったことに
なる。

【００２７】このように、本実施形態では、負極リード
２４の溶接部位３２に設けられた突起部３４と電池缶１
２の内底部１２ｂとが、下溶接棒５２と上溶接棒５４と
により加圧されて抵抗溶接が行われる際、抵抗溶接の進
行に伴って前記突起部３４が潰れて平坦化されていくこ
とを、前記上溶接棒５４の変位から直接検出することが
できる。従って、負極リード２４と電池缶１２との実際
の溶接状態が正確かつ容易に検出され、溶接の良否を高
精度に判定することが可能になり、前記溶接作業全体の
効率化が遂行されるという効果が得られる。

【００２８】しかも、良否判定装置７０は、上溶接棒５
４の変位を実際に測定する距離センサ７２と、この距離
センサ７２によって測定された変位を基準値と比較する
ことにより、負極リード２４と電池缶１２との溶接状態
の良否を判定する判定回路７４とを備えている。これに
より、良否判定装置７０自体の構成が容易に簡素化され
るという利点がある。

【００２９】なお、本実施形態では、距離センサ７２を
介して上溶接棒５４の変位を実際に測定する場合につい
て説明したが、これに代替して、またはこれと共に下溶
接棒５２の変位を測定するように構成してもよい。ま
た、負極リード２４を電池缶１２の内底部１２ｂに溶接
する構成の他、正極リード２２をこの内底部１２ｂに溶
接する構成にも容易に対応することができる。

【００３０】

【発明の効果】本発明に係る溶接の良否判定方法および
装置では、集電体に接続された金属リードの突起部と電
池缶とが、一対の溶接電極で加圧されて抵抗溶接が行わ
れる際、溶接の進行に伴って前記金属リードの突起部が
平坦化されていくことを、一方の溶接電極の変位から直
接検出する。これにより、簡単な構成で、溶接の良否を
容易かつ正確に判定することができ、前記溶接作業全体
の効率化が遂行される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る溶接の良否判定方法が
実施される電池の概略構成図である。

【図２】前記電池を構成する負極リードの一部拡大説明
図である。

【図３】前記良否判定方法を実施する良否判定装置を組
み込む抵抗溶接機の概略構成図である。

【図４】前記抵抗溶接機の動作説明図である。

【図５】前記負極リードと電池缶との溶接状態の説明図
である。

【符号の説明】

１０…電池 １２…電池缶 １２ａ…開口 １２ｂ…内底部 １４…極板群 １６…正極板 １８…負極板 ２０…セパレー
タ ２２…正極リード ２４…負極リー
ド ３２…溶接部位 ３４…突起部 ５０…抵抗溶接機 ５２、５４…溶
接棒 ５６…昇降手段 ６４…溶接ヘッ
ド ７０…良否判定装置 ７２…距離セン
サ ７４…判定回路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】集電体に接続された金属リードの溶接部位
   に突起部を設ける工程と、 一対の溶接電極で前記突起部と電池缶の溶接部位とを加
   圧して抵抗溶接を行う工程と、 前記抵抗溶接時に、前記溶接電極のいずれか一方の変位
   を測定する工程と、 前記測定された変位を基準値と比較し、前記金属リード
   と前記電池缶とが有効に溶接されているか否かを判定す
   る工程と、 を有することを特徴とする溶接の良否判定方法。
2. 【請求項２】集電体に接続された金属リードの溶接部位
   に予め設けられている突起部と電池缶の溶接部位とを一
   対の溶接電極で加圧して抵抗溶接する際、前記金属リー
   ドと前記電池缶とが有効に溶接されているか否かを判定
   する溶接の良否判定装置であって、 前記抵抗溶接時に、前記溶接電極のいずれか一方の変位
   を測定する測定手段と、 前記測定された変位を基準値と比較することにより、前
   記金属リードと前記電池缶との溶接状態の良否を判定す
   る判定手段と、 を備えることを特徴とする溶接の良否判定装置。