JP4088535B2 - スポット溶接用電極検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スポット溶接用電極検出装置に関するものであり、さらに詳しくは、スポット溶接に用いられる電極の先端形状を検出するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スポット溶接機は、図5に示されるように、溶接ガンに取り付けられた一対の電極(チップ)1,1の先端で被溶接物2,3(例えば、自動車のボディパネルなど)を挟み、溶接電流を流すことによって高熱を発生させ、被溶接物2,3同士の溶接を行うものである。
これらの電極1,1の先端形状は、何度も繰り返して使用されているうちに、高熱によって溶けたり、削られたりして磨耗し徐々に広がってしまう。電極1,1の先端が磨耗し広がると、被溶接物2,3に対する接合面積が拡大され、流れる電気量が変化してしまうので不十分な溶接となってしまうことがある。そこで、先端形状が広がった電極1,1の形状を整えておく必要がある。
【0003】
従来、電極1,1の先端は、スポット溶接回数が予め設定された回数に達したときに、例えば、チップカッターを用いて清掃及び研磨がなされていた。
そして、研磨された電極1,1は、以下のような電極検出装置によって研磨状態の良否が判断されていた。すなわち、電極検出装置は、図6(a)に示されるように、薄板状の絶縁体4の上下面をフラットバー(金属製)5,5によって挟み込んだガイド部材6を備え、このガイド部材6には、絶縁体4及びフラットバー5,5を貫通し、電極1,1の先端のみが挿入可能な検出孔7が形成されている。そして、この検出孔7に研磨された電極1,1を加圧して挟ませて、所定の溶接電流、例えば、2000〜3000Aを流し、電極1,1の先端形状が検出孔7内の絶縁体4に形成された所望のスポット点径8よりも小さいときのみ両電極1,1の先端が接触して通電されることによって、電極1,1の研磨状態を確認していた。
【0004】
また、上述した電極検出装置のように、電極1,1の研磨状態を溶接電流の通電状態から判断するのではなく、図6(b)に示されるように、電極1,1の先端のみを突き出すことのできるガイド部材9,9に電極1,1を挿入して、先端検出部材10,10を押し動かした際の突出量から判断するように構成された電極検出装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
実開平05−24175号公報
【0006】
ところで、上述したように、電極1,1の先端は、実際の電極1,1の磨耗状態に関わらず定期的に研磨が行われ、研磨後に電極検出装置によって先端形状が確認されるようになっている。したがって、磨耗度合いの低い電極1,1も定期的に研磨されてしまうので非効率的であるばかりか、研磨毎に電極1,1の磨耗が促進されることとなり、電極1,1の交換頻度が増加してしまうだけでなく、電極研磨時における研磨カスも増加してしまうという問題があった。また、定期的な研磨が行われるよりも早く電極1,1が磨耗してしまうことがあり、そのような場合には、次回の研磨が行われるまでの間、溶接が不十分となってしまうという虞もある。
【0007】
また、従来の電極検出装置は、そのガイド部材6或いは9から所定径の電極1,1の先端のみを突き出させることによって電極1,1の研磨状態の良否が判断されるように構成されている。そのため、電極径が所定径とは異なった大径、或いは小径の電極に適用することは全くできないものであり、例え適用したとしても、電極の研磨状態の良否を正確に判断することはできないという問題がある。さらに、前者の電極検出装置にあっては、フラットバー5,5よりも相対的に薄い板厚の絶縁体4を使用しているため、電極1,1で繰り返し加圧するとスポット点径8周りの消耗が激しく、頻繁に検出を行うことはできないという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、上述したような従来の電極検出装置の問題点を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、研磨する必要のある電極を容易に見極めることができること、電極の先端形状を検出する際、電極径が異なる電極でも容易に対処できること、電極の先端形状の検出を繰り返し行うことができること、等が可能なスポット溶接用電極検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記目的を達成するために、可動側及び固定側溶接ガンに取り付けられたスポット溶接用電極の先端形状を検出するスポット溶接用電極検出装置において、
前記スポット溶接用電極検出装置は、導電体から形成された本体プレートに、スポット溶接で必要とされるスポット点径とほぼ同径とされた絶縁体からなる可動側及び固定側電極用絶縁チップが備えられ、前記可動側及び固定側電極用絶縁チップの上下端面が前記本体プレートの上下面とほぼ同一平面とされると共に、前記可動側電極用絶縁チップの上下端面のうち、前記固定側溶接ガンの電極によって加圧される端面側が導電体から形成された固定側ガン加圧受けプレートによって閉塞され、前記固定側電極用絶縁チップの上下端面のうち、前記加圧側溶接ガンの電極によって加圧される端面側が導電体から形成された加圧側ガン加圧受けプレートによって閉塞されていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記スポット溶接用電極検出装置は、前記可動側電極用絶縁チップの一端面を前記可動側溶接ガンの電極で加圧し、且つ前記固定側ガン加圧受けプレートを前記固定側溶接ガンの電極で加圧した状態で流した検出電流が遮断されると、前記可動側溶接ガンの電極の先端形状が良好であると判断し、前記検出電流が流れると、前記可動側溶接ガンの電極の先端形状の研磨が必要であると判断することを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記スポット溶接用電極検出装置は、前記固定側電極用絶縁チップの一端面を前記固定側溶接ガンの電極で加圧し、且つ前記加圧側ガン加圧受けプレートを前記加圧側溶接ガンの電極で加圧した状態で流した電流が遮断されると、前記固定側溶接ガンの電極の先端形状が良好であると判断し、前記電流が流れると、前記固定側溶接ガンの電極の先端形状の研磨が必要であると判断することを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、上記1乃至3の発明の構成に加えて、前記可動側及び固定側電極用絶縁チップは、セラミックであることを特徴とする。
【0013】
この第1乃至4の発明によるスポット溶接用電極検出装置は、絶縁体としてのセラミックからなる可動側、或いは固定側電極用絶縁チップの上下方向から、可動側、或いは固定側加圧受けプレートを介して、可動側及び固定側溶接ガンの電極を挟み込ませて加圧し、両電極間に電流を流した際に、その電流が遮断されたならば、可動側、或いは固定側溶接ガンの電極が、可動側、或いは固定側電極用絶縁チップの一端面からはみ出しておらず、本体プレートと非接触状態を保っている場合であることから、可動側、或いは固定側溶接ガンの電極は、所望のスポット点径が得られる先端形状を有しているものと判断する。また、両電極間に電流を流した際に、その電流が遮断されずに通電されたならば、可動側、或いは固定側溶接ガンの電極が、可動側、或いは固定側電極用絶縁チップの一端面からはみ出しており、本体プレートと接触している場合であることから、可動側、或いは固定側溶接ガンの電極は、磨耗により所望のスポット点径よりも広がった先端形状を有しているものであり、電極の先端の研磨(調整)が必要と判断する。
【0014】
このように、第1乃至4の発明によれば、スポット溶接で必要なスポット点径を基準にして電極の先端径そのものの良否を判断しているので、磨耗及び研磨後を問わず、電極の先端形状をより正確でしかも確実に判断することができるようになり、研磨する必要のある電極を容易に見極めることができる。
また、第1乃至4の発明によれば、電極の先端径で良否を判断するように構成されているため、電極径に依存することなく判断可能になり、異なる電極径を有する電極にも容易に適用することが可能になる。
さらに、第1乃至4の発明によれば、可動側、或いは固定側溶接ガンの何れかに取り付けられた電極の先端形状を片方ずつ独立して検出することができるため、より正確で的確な判断を常に行うことができる。
しかも、セラミックを用いた可動側及び固定側電極用絶縁チップによれば、両電極の先端形状の検出を繰り返し行うことができるうえ、絶縁チップ交換作業のインターバルが長期化されてメンテナンスフリー化が促進される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の最も好適と思われる実施形態について図1〜3を参照しながら詳細に説明を行う。
図1(a)は、本発明のスポット溶接用電極検出装置を説明するための平面図、(b)は、(a)中のA−A断面図、(c)は、(a)中のB−B断面図、図2は、同例のスポット溶接用電極検出装置の一配置例を示した配置図、図3(a)は、同例の要部における拡大斜視図、(b)は、(a)の下方からの拡大斜視図である。なお、従来と同様の構成部材については同一の符号を付して説明する。
【0016】
まず、スポット溶接用電極検出装置(以下、電極検出装置という)20の構造を説明する。図1(a)〜(c)に示されるように、電極検出装置20は、磨耗及び研磨した電極1,1の先端形状の良否を判断するものであり、絶縁材で形成された可動側、固定側電極用絶縁チップ21,22と、導電材で形成された可動側、固定側ガン加圧受けプレート23,24、及び、これら可動側、固定側電極用絶縁チップ21,22、可動側、固定側ガン加圧受けプレート23,24が取り付けられる本体プレート25を備えて構成されている。
【0017】
本体プレート25の中央部には、図1(b)に示されるように、可動側及び固定側電極用絶縁チップ21,22が挿入される貫通孔26,26が2つ並列して形成されている。これらの貫通孔26,26に挿入配置される可動側及び固定側電極用絶縁チップ21,22は、スポット溶接で必要とされるスポット点径(ナゲット)とほぼ同径となるように形成された円筒状の絶縁体、好ましくはセラミックであって、図1(c)に示されるように、横穴状に形成されたネジ穴27から挿入されたイモネジ28が、チップ外周面の切り欠き部29に係合することによって可動側電極用絶縁チップ21の抜け止めがなされていると共に、可動側電極用絶縁チップ21の上下端面が、本体プレート25の上下面とほぼ同一平面となるように高さ距離が設定されている。
【0018】
さらに、説明の都合上、図示はしていないが、固定側電極用絶縁チップ22も同様の態様により抜け止めがなされていると共に、その上下端面が、図1(b)に示されるように、本体プレート25の上下面とほぼ同一平面となるように高さ距離が設定されている。
【0019】
これにより、両絶縁チップ21,22の上下端面に電極1,1が繰り返し加圧、通電したとしても、絶縁チップ21,22の長寿命化が図られると共に、絶縁チップ21,22の交換作業の容易化が図られている。
【0020】
さらに、図1(a),(b)に示されるように、可動側電極用絶縁チップ21の下端面側の本体プレート25には、可動側電極用絶縁チップ21の下端面を塞ぐための板状の固定側ガン加圧受けプレート(フラットバー)24が、導電性を有する一対の埋め込み式の固定ボルト30,30によって一体的に取り付けられている。また、固定側電極用絶縁チップ22の上端面側の本体プレート25には、固定側電極用絶縁チップ22の上端面を塞ぐための板状の可動側ガン加圧受けプレート(フラットバー)23が、導電性を有する一対の固定ボルト30,30によって一体的に取り付けられている。
【0021】
つまり、可動側電極用絶縁チップ21は、その上端面を除いた全ての部位が導電材によって囲まれた状態で本体プレート25に配置されると共に、固定側電極用絶縁チップ22は、その下端面を除いた全ての部位が導電材によって囲まれた状態で本体プレート25に配置される。
【0022】
そして、このように構成された電極検出装置20は、図2に示されるように、溶接用ロボット31の可動側及び固定側溶接ガン32,33に取り付けられた一対の電極1,1を研磨する際に使用される電極研磨機34に、本体プレート25の中央部とは異なる位置が接合された状態で図示しない固定手段により脱着可能に取り付けられる。
【0023】
つまり、この本体プレート25は、その一側端部が電極研磨機34に片持ち支持された状態で取り付けられることによって、図3(a),(b)に示されるように、その中央部が、電極研磨機34から適宜張り出されて、可動側及び固定側溶接ガン32,33によって上下方向から挟み込まれるようになっている。
したがって、可動側電極用絶縁チップ21の上端面及び可動側ガン加圧受けプレート23の上面側は、可動側溶接ガン32の電極1によって加圧可能とされると共に、固定側電極用絶縁チップ22の下端面及び固定側ガン加圧受けプレート24の下面側は、固定側溶接ガン33の電極1によって加圧可能とされる。
【0024】
なお、本体プレート25の可動側及び固定側電極用絶縁チップ21,22と、可動側及び固定側ガン加圧受けプレート23,24との位置情報(座標)は、溶接用ロボット31を数値制御する図示しない溶接ロボット制御盤に予め記憶格納されている。
【0025】
次に、この電極検出装置20の使用手順について図4を用いて説明する。図4は、同例の電極検出装置20の使用手順を示したフローチャートである。
【0026】
まず、ステップ100において、工作機械を統括制御する図示しない数値制御装置から、ロボット側インターロック制御により溶接ロボット制御盤に電極研磨指示が出力され、それまで行われていた溶接作業が区切りの良いところで一時中断される。
【0027】
そして、次のステップ101では、電極研磨指示を受けた溶接ロボット制御盤が予め記憶格納されている電極研磨プログラムを起動させる。そして、ステップ102に移行すると、電極研磨プログラムにしたがって、溶接ロボット制御盤は、溶接ロボット31の溶接ガン32,33を電極検出装置20に位置合わせをする。すなわち、まず、可動側溶接ガン32の電極1が可動側電極用絶縁チップ21の上端面のほぼ同軸上に位置合わせされると共に、固定側溶接ガン33の電極1が固定側ガン加圧受けプレート24の下方側に位置合わせされる。
【0028】
それぞれの溶接ガン32,33の位置合わせがなされると、ステップ103において、溶接ロボット制御盤から正加圧信号が出力され、可動側溶接ガン32の電極1が可動側電極用絶縁チップ21の上端面を加圧すると同時に、固定側溶接ガンの電極1が固定側ガン加圧受けプレート24の下面側を加圧して本体プレート25を挟み込むと共に、両電極1,1間に、微弱な検出用電流が流される(図1(b)参照)。
【0029】
次のステップ104では、両電極1,1間に流された検出用電流が遮断されたか否かが判断される。これは、可動側溶接ガン32の電極1が、可動側電極用絶縁チップ21の上端面からはみ出しておらず、本体プレート25と非接触状態を保っている場合には、可動側電極用絶縁チップ21によって検出用電流が遮断される。そのことによって、可動側溶接ガン32の電極1は、所望のスポット点径が得られる先端形状を有しているものであるから、ステップ105において電極磨耗なしと判断される。
【0030】
これに対し、可動側溶接ガン32の電極1が、可動側電極用絶縁チップ21の上端面からはみ出して本体プレート25と接触している場合には、両電極1,1間に検出用電流が流れる。そのことによって、可動側溶接ガン32の電極1は、所望のスポット点径よりも広がった先端形状を有しているものであるから、ステップ106において電極磨耗ありと判断される。
【0031】
このようにして可動側溶接ガン32の電極1の磨耗が判断されると、次は、固定側溶接ガン33の電極1の磨耗が同様の手順により判断される。
【0032】
すなわち、ステップ107において、可動側溶接ガン32の電極1が可動側ガン加圧受けプレート23の上方側に位置合わせされると共に、固定側溶接ガン33の電極1が固定側電極用絶縁チップ22の下端面のほぼ同軸上に位置合わせされる。
【0033】
それぞれの溶接ガン32,33の位置合わせがなされると、ステップ108において、溶接ロボット制御盤から正加圧信号が出力され、可動側溶接ガン32の電極1が可動側ガン加圧受けプレート23の上面側を加圧すると同時に、固定側電極用絶縁チップ22の下端面を固定側溶接ガン33の電極1が加圧して本体プレート25を挟み込むと共に、両電極1,1間に、微弱な検出用電流が流される(図1(b)参照)。
【0034】
そして、次のステップ109において、両電極1,1間に流された検出用電流が遮断されたか否かが判断される。すなわち、固定側溶接ガン33の電極1が、固定側電極用絶縁チップ22の下端面からはみ出しておらず、本体プレート25と非接触状態を保っている場合には、固定側電極用絶縁チップ22によって検出用電流が遮断される。そのことによって、固定側溶接ガン33の電極1は、所望のスポット点径が得られる先端形状を有しているものであるから、ステップ110において電極磨耗なしと判断される。
【0035】
これに対し、固定側溶接ガン33の電極1が、固定側電極用絶縁チップ22の下端面からはみ出して本体プレート25と接触している場合には、両電極1,1間に検出用電流が流れる。そのことによって、固定側溶接ガン33の電極1は、所望のスポット点径よりも広がった先端形状を有しているものであるから、ステップ111において電極磨耗ありと判断される。
【0036】
以上のようにして可動側及び固定側溶接ガン32,33の電極1,1の磨耗状態が判断されると、次のステップ112で、可動側、或いは固定側溶接ガン32,33の電極1,1の磨耗があるか否かが判断される。ここで、可動側及び固定側溶接ガン32,33の電極1,1の何れにも磨耗がなく、所定のスポット点径を有していると判断されると、この電極研磨プログラムは終了され、溶接用ロボット31が溶接作業に復帰するように制御される。
【0037】
また、このステップ112において、可動側、或いは固定側溶接ガン32,33の電極1,1の何れかに磨耗があると判断されると、ステップ113に移行して、磨耗している可動側、或いは固定側溶接ガン32,33の電極1,1の先端形状を整えるための電極研磨が電極研磨機34によって実施される。なお、この場合、磨耗している側の電極1のみを研磨するように構成されているが、両電極1,1を同時に研磨処理するように構成してもよい。
【0038】
そして、電極研磨機34による電極研磨が実施され、可動側、或いは固定側溶接ガン32,33の電極1,1の先端が研磨されて整えられると、ステップ102にリターンされて、ステップ102〜ステップ106において可動側溶接ガン32の電極1の先端形状の再確認がなされると共に、ステップ107〜111において固定側溶接ガン33の電極1の先端形状の再確認がなされる。そして、これらの再確認作業により、研磨された電極1,1の先端形状が、所望のスポット点径が得られる先端形状を有していると判断されると、ステップ112によってこの電極研磨プログラムは終了され、溶接用ロボット31が溶接作業に復帰するように制御される。
【0039】
また、再度の電極研磨が実施されても、ステップ102〜111における再確認作業によって可動側、或いは固定側溶接ガン32,33の電極1,1の先端形状が整っていないと判断されると、ステップ114に移行して、所定時間の間、警報が発せられて電極異常が知らされる。この場合には、溶接用ロボット31が溶接作業に復帰することはないように制御される。
【0040】
以上説明したように、本発明のスポット溶接用電極検出装置によれば、導電体から形成された本体プレート25に配置された絶縁体からなる可動側及び固定側電極用絶縁チップ21,22は、スポット溶接で必要とされるスポット点径とほぼ同径とされ、且つそれぞれの上下端面が、本体プレート25の上下面とほぼ同一平面となるように形成されている。さらに、可動側電極用絶縁チップ21は、可動側溶接ガン32の電極1によって加圧される端面側とは異なる端面側、つまり固定側溶接ガン33の電極1によって加圧される端面側に、導電体から形成された固定側ガン加圧受けプレート24が接合された状態で本体プレート25に配置されている。また、固定側電極用絶縁チップ22は、固定側溶接ガン33の電極1によって加圧される端面側とは異なる端面側、つまり加圧側溶接ガン22の電極1によって加圧される端面側に、導電体から形成された加圧側ガン加圧受けプレート23が接合された状態で本体プレート25に配置されている。
【0041】
それらのことによって、可動側、或いは固定側電極用絶縁チップ21,22の上下方向から、可動側、或いは固定側加圧受けプレート23,24を介して、可動側及び固定側溶接ガンの電極1,1を挟み込ませて加圧し、両電極1,1間に検出電流を流した際に、その検出電流が遮断されたならば、可動側、或いは固定側溶接ガン31,32の電極1が、可動側、或いは固定側電極用絶縁チップ21,22の一端面からはみ出しておらず、本体プレート25と非接触状態を保っていることから、可動側、或いは固定側溶接ガン32の電極1は、所望のスポット点径が得られる先端形状を有しているものと判断することができる。
【0042】
また、両電極1,1間に検出用電流を流した際に、その検出用電流が遮断されずに通電されたならば、可動側、或いは固定側溶接ガン31,32の電極1が、可動側、或いは固定側電極用絶縁チップ21,22の一端面からはみ出して本体プレート25と接触している場合であることから、可動側、或いは固定側溶接ガン31,32の電極1は、磨耗により所望のスポット点径よりも広がった先端形状を有しているものであり、電極1の先端の研磨(調整)が必要と判断することができる。
【0043】
その結果、従来では、電極1,1の先端とは異なる部位で判断していたため、研磨後の電極1,1の先端形状しか判断できなかったが、本発明によれば、スポット溶接で必要なスポット点径を基準にして電極1,1の先端径そのもので判断しているため、磨耗及び研磨後の電極1,1の先端形状をより正確でしかも確実に判断することができるようになり、研磨する必要のある電極1,1を容易に見極めることができるようになる。
また、本発明は、電極1,1の先端径で判断するように構成されているため、電極径に依存することなく判断可能になり、異なる電極径を有する電極にも容易に適用することが可能になる。
【0044】
さらに、本発明は、可動側、或いは固定側溶接ガン32,33の何れかに取り付けられた電極1,1の先端径を片方ずつ独立して検出することができるため、より正確で的確な判断を常に行うことができるようになる。
しかも、本発明のセラミックを用いた可動側及び固定側電極用絶縁チップ21,22によれば、両電極1,1の先端形状の検出を繰り返し行うことができるうえ、絶縁チップ交換作業のインターバルが長期化されてメンテナンスフリー化が促進されると共に、イモネジ28によって係合されているだけであるから、絶縁チップ21,22の交換作業が容易化される。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のスポット溶接用電極検出装置によれば、研磨する必要のある電極を容易に見極めることができること、電極の先端形状を検出する際、電極径が異なる電極でも容易に対処できること、電極の先端形状の検出を繰り返し行うことができること、等が可能なスポット溶接用電極検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明のスポット溶接用電極検出装置を説明するための平面図、(b)は、(a)中のA−A断面図、(c)は、(a)中のB−B断面図である。
【図2】同例のスポット溶接用電極検出装置の一配置例を示した配置図である。
【図3】(a)は、同例の要部における拡大斜視図、(b)は、(a)の下方からの拡大斜視図である。
【図4】同例のスポット溶接用電極検出装置の使用手順を示したフローチャートである。
【図5】スポット溶接用電極を説明するための説明図である。
【図6】(a)、(b)は、従来の電極検出装置の一例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 電極
20 スポット溶接用電極検出装置
21 可動側電極用絶縁チップ
22 固定側電極用絶縁チップ
23 可動側ガン加圧受けプレート
24 固定側ガン加圧受けプレート
25 本体プレート
32 可動側溶接ガン
33 固定側溶接ガン

Claims (4)

  1. 可動側及び固定側溶接ガンに取り付けられたスポット溶接用電極の先端形状を検出するスポット溶接用電極検出装置において、
    前記スポット溶接用電極検出装置は、導電体から形成された本体プレートに、スポット溶接で必要とされるスポット点径とほぼ同径とされた絶縁体からなる可動側及び固定側電極用絶縁チップが備えられ、前記可動側及び固定側電極用絶縁チップの上下端面が前記本体プレートの上下面とほぼ同一平面とされると共に、前記可動側電極用絶縁チップの上下端面のうち、前記固定側溶接ガンの電極によって加圧される端面側が導電体から形成された固定側ガン加圧受けプレートによって閉塞され、前記固定側電極用絶縁チップの上下端面のうち、前記加圧側溶接ガンの電極によって加圧される端面側が導電体から形成された加圧側ガン加圧受けプレートによって閉塞されていることを特徴とするスポット溶接用電極検出装置。
  2. 前記スポット溶接用電極検出装置は、前記可動側電極用絶縁チップの一端面を前記可動側溶接ガンの電極で加圧し、且つ前記固定側ガン加圧受けプレートを前記固定側溶接ガンの電極で加圧した状態で流した電流が遮断されると、前記可動側溶接ガンの電極の先端形状が良好であると判断し、前記電流が流れると、前記可動側溶接ガンの電極の先端の研磨が必要であると判断することを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接用電極検出装置。
  3. 前記スポット溶接用電極検出装置は、前記固定側電極用絶縁チップの一端面を前記固定側溶接ガンの電極で加圧し、且つ前記加圧側ガン加圧受けプレートを前記加圧側溶接ガンの電極で加圧した状態で流した電流が遮断されると、前記固定側溶接ガンの電極の先端形状が良好であると判断し、前記電流が流れると、前記固定側溶接ガンの電極の先端の研磨が必要であると判断することを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接用電極検出装置。
  4. 前記可動側及び固定側電極用絶縁チップは、セラミックであることを特徴とする請求項1乃至3に記載のスポット溶接用電極検出装置。
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