JP4139375B2 - 抵抗溶接用電極及び抵抗溶接方法 - Google Patents

抵抗溶接用電極及び抵抗溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、スポット溶接の改良技術に関するものである。
溶接法は各種のものが実用化されてきた。その中でスポット溶接は、薄板同士を迅速に接合することができるため、自動車の車体の製造に広く採用されている。
スポット溶接法は、一対の電極で被溶接材を挟み、加圧しながら通電することで、金属板間に溶融部を発生し、この溶融部を凝固させることで、金属板同士を接合するという、抵抗溶接法の一種である。
しかし、スポット溶接では、溶接時に火花が四方へ飛ぶ、チリ(散り)と称する現象が発生する。このチリ現象は、短い時間に極小さな面積に大電流を集中させて溶融を進行させるため、膨張作用とナゲット成長とのバランスが崩れ、溶融金属の一部が飛散すると推定される。であれば、投入した電気エネルギーの一部が無駄になるとともに、溶接ナゲットの形状が安定しないという不具合が発生する。
この様なチリ対策として、電極の形状を工夫した技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−342477号公報(図3)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図21は従来の技術の基本原理を説明する図であり、下部電極101を凸形状にし、上部電極102を凹形状にし、一対の電極101、102間に、鋼板103とアルミニウム板104を重ねて配置し、一対の電極101、102に直流電源105を接続して通電する。上部電極102が凹形状であるため、上位のアルミニウム板104が局部的に上へ膨出して、隙間106が板103、104間に生じる。チリが発生しても、このチリを隙間106に封じ込めることができる(特許文献1段落番号[0017]参照)。
特許文献1は、それの請求項1に示されたとおり、アルミニウムと鋼のように融点の異なる板同士を接合することを目的とした発明である。
そのため、鋼同士の接合には不適である。
また、隙間にチリを封じ込めるため、溶接構造体は健全に見える。しかし、チリが発生すれば溶接ナゲットの形状は不安定となり、強度が低下する。
本発明は、チリの発生を良好に防止することのできる抵抗溶接技術を提供することを課題とする。
請求項に係る抵抗溶接用電極は、金属板を重ね合わせて被溶接材とし、この被溶接材を一対の電極により圧接した状態で前記電極に通電することで前記被溶接材を溶接するときに使用する抵抗溶接用電極であって、この抵抗溶接用電極は、一方の電極の先端面が球面形状の凹面であり、この凹面に溶接電流を分流させる溝を備え、他方の電極の先端面が凸形状であることを特徴とする。
請求項に係る抵抗溶接用電極では、溝は、凹面の底の中心を通る放射溝であることを特徴とする。
請求項に係る抵抗溶接方法は、先端面が球面形状の凹面で且つ凹面に放射溝を備える一方の電極と、先端が凸形状である他方の電極からなる一対の電極と、一方の電極を他方の電極に相対的に押圧する押圧手段と、前記電極に溶接電流を供給する給電手段と、金属板を重ね合わせた被溶接材とを準備する工程と、
前記被溶接材を一対の電極で挟み、被溶接材を球面形状の凹面に倣って塑性変形させる工程と、
電極間に所定の押圧を掛けつつ通電することで溶接を実施する工程と、からなり、溶接電流を溝により分流させながら溶接することを特徴とする。
請求項に係る発明では、電極の先端に球面形状の凹面を設けると共に、この凹面に溝を設けた。
従来のスポット溶接では一対の電極間に1箇所の溶融部が発生し、成長し、溶接ナゲットになるがその過程でチリが発生する
発明では、溶接電極を溝で分流するため、一対の電極間で、複数箇所の溶融部が発生し、成長し、成長後に一体化して、溶接ナゲットにする。そのため、チリは発生せず、溶接強度を高めることができる。
請求項に係る発明では、溝は凹面の中心を通る放射溝とした。放射溝であれば、曲面を対称に分割することができ、溶接電流をより均等に分流させることができる。
請求項に係る発明では、溶接工程の前に被溶接材を球面形状の凹面に倣って塑性加工する工程を加えた。塑性加工を施すことで、金属板同士の密着性を高めることができるため連続打点間に生じる板同士の隙間が無くなるので、特に多打点から構成される溶接構造体の溶接強度を高める上で有効になる。
加えて、先端が球面形状の凹面で且つこの凹面に溝を備える電極を採用した溶接を実施する。溶接電極を溝で分流することができるため、チリは発生せず、溶接強度を高めることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
なお、請求項1の発明は図2や図20、請求項は図2や図20(b)、請求項は図3で説明する。
図1は本発明に係る抵抗溶接装置の原理図であり、抵抗溶接装置10は、ロボットのアームに取付けることのできるコ字フレーム11と、このコ字フレーム11に固定した一方の電極としての下部電極12と、コ字フレーム11に図面上下移動可能に取付けた他方の電極としての上部電極13と、この上部電極13を下部電極12に向かって押し出す押圧手段15と、一対の電極12、13へ給電する給電手段16とからなる。
上部電極13は、先端が凸形状の通常の電極である。これに対して、下部電極12は先端が凹面である特殊な電極である。下部電極12の形状を詳しく説明する。
図2は本発明に係る下部電極の詳細図である。
(b)は断面図であり、下部電極12は、先端面(図では上面)が球面形状の凹面17であり、この凹面17に溶接電流を分流させる溝18を備えたことを特徴とする。
(a)は平面図であり、溝18は凹面17の中心19を通る十文字溝である。この溝18の存在により、凹面17は4個の弧面21・・・(・・・は複数個を示す。以下同様)に分割される。
溝18は中心19を通り、径外方へ直線的に延びるために放射溝という。中心19を通る放射溝は、I、Y、十、*のごとく溝の本数は任意に選択できる。
溝18は溶接電流を分流させることを主目的とするため、その断面は矩形溝、U溝、V溝の何れであっても良い。
図3は本発明に係る抵抗溶接方法の工程図である。
(a)にて、下部電極12に2枚の金属板23、24を重ねて載せる。そして、上部電極13を強く押し下げる。
(b)に示すとおりに、金属板23、24は凹面17に倣って塑性変形する。
(c)において、通電を開始すると、電流は弧面21aと弧面21bとに分かれて流れる。その結果、溶融部25a、25bは複数(本例では4個)発生する。
通電が進むと(d)に示すように溶融部25a、25bが成長し、合体して溶融部25になる。
溶融部25a、25b、25は金属板における抵抗に電流値の二乗を乗じて得るジュール熱が、金属の融点を超えたことにより発生する。そのため、溶融部25は局部的に高温になる。
ところで、温度に比例して金属板23、24が膨張するため、従来のスポット溶接では溶融部を拘束する作用が働き、溶融部25が高圧化し、想像線で示す矢印yのごとくチリが発生し、溶融部25の一部が飛散すると考えられる。
この点、本実施例では凹凸の塑性変形により、高圧化した溶融部を封じ込め、溶融部の飛散を抑制することができる。それに加えて溝を付けた場合、(d)に示すとおりに、溝18に金属板23を膨出させることができる。いわゆる、膨張逃がし作用を溝18は発揮する。
この作用により、通電初期の複数の溶融部は互いに一つにまとまるように流動するので、溶融部の高圧化が緩和される。
(e)では、溶接終了に伴って上部電極13を上昇させる。金属板23、24間では、溝18に金属板23の一部が張り出す。この結果、溶融部25((d)参照)は、破裂する程には高圧にならず、破裂することなく凝固し、溶接ナゲット26になったことを示す。
以上の工程を整理すると次の通りになる。
図1、2及び3(a)に示す通り、先端面が凹面17で且つ凹面17に放射溝18を備える一方の電極12と、先端が凸形状である他方の電極13からなる一対の電極と、一方の電極12を他方の電極13に相対的に押圧する押圧手段15と、前記電極12、13に溶接電流を供給する給電手段16と、金属板23、24を重ね合わせた被溶接材とを準備する工程と、
前記被溶接材を一対の電極12、13で挟み、金属板23、24を塑性変形させる工程(図3(a)、(b)参照)と、
電極12、13間に所定の押圧を掛けつつ通電することで溶接を実施する工程(図3(c)、(d)参照)と、からなり、
溶接電流を前記溝により分流させながら溶接することを特徴とする。
図4は本発明の抵抗溶接方法で製造した溶接構造体の斜視図であり、溶接構造体30は、金属板23の外面に、凸部31ができるとともに、この凸部31から更に十文字の突条部32が突起していることを示す。
すなわち、溶接構造体30は、金属板23、24を重ね合わせた被溶接材と、この被溶接材を接合する溶接ナゲット26(図3(e)に示す。)と、被溶接材の一方の外面に且つ溶接ナゲットに対応した部位に突起させた突条部32と、からなることを特徴とする。
二枚の金属板23、24の曲げ強度を考えた場合、曲げ中心から離れた部位にリブが存在すると、断面係数や断面二次モーメントが増加する。
本発明では、二枚の金属板23、24の接合面から十分に離れた位置に、十文字の突状部32が形成できたため、溶接部の曲げ強度や引張強度、剛性を高めることができる。
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。実験に先立ち、実験に用いる電極及び試験片の形状を説明する。
図5は溶接実験のために準備した電極の形状図である。
(a)に示す上部電極13は直径16mmの丸棒の下部に半径8mmの半球を形成してなり、下部電極12も直径16mmの丸棒の上部に半径8mmの半球を形成したものであり、普通の一対の電極に相当する。
(b)に示す上部電極13は直径16mmの丸棒の下部に半径20mmの球面を形成した。下部電極12は、直径16mmの丸棒の上部に縁の径が10mmで半径30mmの球状凹部を形成し、その底に十文字の溝を形成した。
(c)に示す上部電極13は直径16mmの丸棒の下部に半径25mmの球面を形成した。下部電極12は、直径16mmの丸棒の上部に縁の径が10mmで半径30mmの球状凹部を形成し、その底に十文字の溝を形成した。
(d)に示す上部電極13は直径16mmの丸棒の下部に半径8mmの半球を形成し、この半球に更に縁の径が10mmで半径が15mmの球面を形成した。
下部電極12は、直径16mmの丸棒の上部に縁の径が10mmで半径30mmの球状凹部を形成し、その底に十文字の溝を形成した。
(e)に示す上部電極13は直径16mmの丸棒の下部に半径8mmの半球を形成し、この半球に更に縁の径が10mmで半径が20mmの球面を形成した。
下部電極12は、直径16mmの丸棒の上部に縁の径が10mmで半径20mmの球状凹部を形成し、その底に十文字の溝を形成した。
(f)に示す上部電極13は直径16mmの丸棒の下部に半径15mmの球面を形成した。
下部電極12は、直径16mmの丸棒の上部に縁の径が10mmで半径20mmの球状凹部を形成し、その底に十文字の溝を形成した。
図6は剪断強度を測定するための試験片の斜視図であり、試験片35は、40mm幅の金属板23、24を、40mmラップさせた状態で、溶接し、溶接ナゲット26で接合する。白抜き矢印のように引張り、溶接ナゲット26が剪断破壊したときの力を、「剪断強度」と定義する。
一般に剪断強度は、力を断面積で割った値とされるが、溶接ナゲット26の断面積が特定できないので、スポット溶接では、便宜上、剪断力を剪断強度と呼ぶ。
図7は十字強度を測定するための試験片及び試験治具の斜視図であり、試験片37は、50mm幅の金属板23、24を、クロスさせ、その交点に溶接を施し、溶接ナゲット26で接合したものである。
試験治具40は、50mm幅で把持片41を備えた下部板42と、50mm幅で把持片43を備えた上部板44と、50mm×50mmの抑えピース45〜48と、止めねじ49・・・とからなる。
下部板42に金属板23を載せ、この金属板23に抑えピース45、46を載せ、これらの抑えピース45、46を止めねじ49・・・で下部板42に連結する。
次に、試験片37の金属板24に上部板44を載せ、この金属板24の下面に抑えピース47、48を当て、これらの抑えピース47、48を止めねじ49・・・で上部板44に連結する。
図8は図7の作用説明図である。
(a)にて、把持片41を下へ、把持片43を上へ引く。引張力を増加すると、溶接ナゲット26が破断する。
(b)は溶接ナゲット26が破断したため、金属板23と金属板24とが上下に分かれたことを示す。
抑えピース45〜48は溶接ナゲット26に干渉していないため、溶接ナゲット26を破断させたときの力を正確に求めることができる。十字形試験片を対象としたので、このときの破断力を、「十字強度」と呼ぶ。力を便宜上、強度と呼称する理由は上述したとおりである。
以上に述べた電極を用いて、複数の剪断強度測定用試験片35・・・及び十字強度測定用試験片37・・・を製造する。その溶接条件、測定強度は次の通りである。
○比較例1、実施例1〜実施例5:
・金属板の種類:270N鋼
・金属板の厚さ:1.6mm
・溶接時の加圧力:400kgf
・溶接電流:表に示す。
表1は、比較例1及び実施例1〜5について、使用した電極形状(図5参照)、溶接電流、試験片から得られた剪断強度、十字強度を一覧表にしたものである。
この剪断強度、十字強度をグラフ化する。
Figure 0004139375
図9は比較例1及び実施例1〜5についての剪断強度比較図であり、比較例1よりも実施例1〜5は10〜30%強度アップが認められた。
したがって、270N鋼でスポット溶接を実施した場合、本発明の電極を採用したことにより、剪断強度の大幅な増加が認められた。
図10は比較例1及び実施例1〜5についての十字強度比較図であり、比較例1よりも実施例1〜5は10〜20%強度アップが認められた。
したがって、270N鋼でスポット溶接を実施した場合、本発明の電極を採用したことにより、十字強度の大幅な増加が認められた。
○比較例2、実施例6〜実施例10:
・金属板の種類:600N鋼
・金属板の厚さ:1.6mm
・溶接時の加圧力:400kgf
・溶接電流:表に示す。
表2は、比較例2及び実施例6〜10について、使用した電極形状(図5参照)、溶接電流、試験片から得られた剪断強度、十字強度を一覧表にしたものである。
この剪断強度、十字強度をグラフ化する。
Figure 0004139375
図11は比較例2及び実施例6〜10についての剪断強度比較図であり、比較例2よりも実施例6〜10は20%程度の強度アップが認められた。
したがって、600N鋼でスポット溶接を実施した場合、本発明の電極を採用したことにより、剪断強度の大幅な増加が認められた。
図12は比較例2及び実施例6〜10についての十字強度比較図であり、実施例6〜9は比較例2よりも十字強度が小さい。実施例10は比較例2と同等であった。
600N鋼は溶接条件の変化に敏感であると言われており、電極形状、加圧力、溶接電流の因子を調整することにより、十字強度向上を目指す必要がある。
変更実施例、及びその実験について説明する。
図13は本発明に係る電極の変更実施例図である。
(a)は比較実験のために準備した比較例3の下部電極12B、上部電極13Bを示し、下部電極12Bと上部電極13Bは同形状物であり、電極径が16mm、先端中央が6mm径で曲率半径が40mmの緩い凸面であり、この緩い凸面の縁を曲率半径が8mmのアールで丸めた電極である。すなわち、比較例3での電極12B、13Bは従来から知られている通常電極である。
(b)は本発明に係る実施例11の下部電極12、上部電極13を示す。上部電極13は(a)に示す上部電極13Bと同形状物である。下部電極12は、電極径が16mm、先端中央が6mm径で曲率半径が20mmの凹面17である電極である。
(c)は(b)に示す下部電極12の斜視図であり、先端中央に凹面17を設けたことが分かる。
図14は加圧力測定法の原理図であり、金属板23と金属板24との間に感圧フィルム51を挟み、下部電極12と上部電極13とで加圧する。
金属板23、24は、1.6mm厚さの600N鋼板である。
感圧フィルム51は感圧紙ともいい、加えられた圧力に応じて異なる色に発色する。そのため、色によって加圧力を計測することができる。
図15は測定した加圧力のグラフであり、横軸は電極中心からの距離(右をプラス、左をマイナスとした。)を示し、縦軸は加圧力を示す。
細い実線で示す比較例3、すなわち図13(a)の電極12B、13Bによる加圧力分布は、頂の幅d1が小さく、裾の幅d2は10mm未満であった。比較例3では中心から5mm以上離れた部位では加圧力が「0」になることが分かる。
太い実線で示す実施例11、すなわち図13(b)の電極12、13による加圧力分布は、頂の幅D1が大きく、裾の幅D2は約20mmであった。実施例11では中心から10mm離れた部位まで加圧作用が有効であることが分かる。
図16は接触面積の模式図であり、図15から模式図を作成した。
(a)は比較例3における接触面52Bを示し、接触面52Bの径d3は小さい。
(b)は実施例11における接触面52を示し、接触面52の径D3は十分に大きい。
図17は溶接ナゲットの比較図であり、比較例3及び実施例11の電極を用い、加圧力1kN、溶接電流7kAの条件で、溶接を実施し、その溶接ナゲット断面を観察した。
(a)は比較例3における溶接ナゲット26Bの断面を示し、大きさd4は2.85mmであった。
(b)は実施例11における溶接ナゲット26の断面を示し、大きさD4は4.43mmであった。
溶接強度は図表裏方向に延びる溶接ナゲット26B又は26の断面積で評価することができる。断面積は、比較例3では2.85、実施例11では4.43と見なす。すると、実施例11の溶接強度/比較例3の溶接強度=4.43/2.85=2.4の計算により、実施例11によれば、比較例3の2.4倍の溶接強度が得られることになる。
すなわち、実施例11の抵抗溶接用電極12、13は、金属板23、24を重ね合わせて被溶接材とし、この被溶接材を一対の電極により圧接した状態で電極に通電することで被溶接材を溶接するときに使用する抵抗溶接用電極であって、この抵抗溶接用電極12、13は、少なくとも一方の電極の先端面が凹面17(図13(b)、(c)参照)であることを特徴とする。
そして、実施例11は、以上に説明したとおりに、溶接強度を高めることができた。これは、大面積の接触面(図16(b)の符号52参照)で電流の過度な集中を抑えることができるためと考えられる。
図18は得られた溶接構造体の斜視図であり、溶接構造体30は、金属板23の外面に、凸部31が突起していることを示す。
図19は図18の要部断面図であり、溶接構造体30は、金属板23、24を重ね合わせた被溶接材と、この被溶接材を接合する溶接ナゲット26と、被溶接材の一方の外面に突起させた凸部31と、からなることを特徴とする。
二枚の金属板23、24の曲げ強度を考えた場合、曲げ中心から離れた部位に凸部31が存在すると、断面係数や断面二次モーメントが増加する。
本発明では、二枚の金属板23、24の接合面から十分に離れた位置に、凸部31が形成できたため、溶接部の曲げ強度や引張強度、剛性を高めることができる。
次にさらなる変更実施例を説明する。
図20は本発明に係る電極のさらなる変更実施例図である。
(a)は実験のために準備した実施例12の下部電極12、上部電極13を示し、上部13は、電極径が16mm、先端中央が6mm径で曲率半径が40mmの緩い凸面であり、この緩い凸面の縁を曲率半径が8mmのアールで丸めた電極である。
下部電極12は、電極径が16mm、先端中央が6mm径で曲率半径が20mmの凹面17とし、さらに複数の溝18を設けた電極である。
(b)は下部電極12の斜視図であり、凹部の中心19から放射状に延びた8本の溝18を設けたことを示す。
以上の電極を用いてチリ発生実験を行った。なお、比較のために実施例11(図13(b)参照)で用いた電極についても実験を行った。
○実験1及び実験2:
・金属板の種類:600N鋼
・金属板の厚さ:1.6mm
・溶接時の加圧力:表に示す。
・溶接電流:10.5kA
Figure 0004139375
実験1では、図13(b)の電極を用い、電流10.5kAとし、加圧力を段階的に変えながら溶接実験を行ったところ、1kN及び2kNでチリが発生した。加圧力不足が原因である。そこで、2.9kNに加圧力を増加したところ、チリの発生が収まった。
実験2では、図20(a)の電極を用い、電流10.5kAとし、加圧力を段階的に変えながら溶接実験を行ったところ、1kNでチリが発生した。そこで、2kNに加圧力を増加したところ、チリの発生が収まった。
実験1の下部電極は溝なし電極、実験2の下部電極は溝付き電極であるため、溝を設けたことにより、必要加圧力を2.9kNから2kNに下げることができといえる。
○実験3及び実験4:
・金属板の種類:600N鋼
・金属板の厚さ:1.6mm
・溶接時の加圧力:3.9kN
・溶接電流:表に示す。
Figure 0004139375
実験3では、図13(b)の電極を用い、加圧力3.9kNとし、溶接電流を段階的に変えながら溶接実験を行ったところ、11kA及び11.5kAではチリが発生しなかったが、12kAでチリが発生した。
実験4では、図20(a)の電極を用い、加圧力3.9kNとし、溶接電流を段階的に変えながら溶接実験を行ったところ、12kAまでチリが発生しなかった。
実験3の下部電極は溝なし電極、実験4の下部電極は溝付き電極であるため、溝を設けたことにより、溶接電流を11.5kAから12kAに上げることができといえる。
金属板の溶接において、溶接電流が低いほど電気エネルギーの節約ができると共に、溶接部における熱歪の発生を抑えることがきて、溶接後の変形を少なくすることができる。また、必要な加圧力が小さいほど溶接装置の小型、軽量化が図れる。
したがって、先端に凹部を備えた電極に溝を付加すれば、低溶接電流化と低加圧力化の双方を達成することができると言える。
尚、金属板は2枚重ね基準とするが、3枚以上を重ねることは差し支えない。
本発明は、スポット溶接用電極、同溶接方法に好適である。
本発明に係る抵抗溶接装置の原理図である。 本発明に係る下部電極の詳細図である。 本発明に係る抵抗溶接方法の工程図である。 本発明の抵抗溶接方法で製造した溶接構造体の斜視図である。 溶接実験のために準備した電極の形状図である。 剪断強度を測定するための試験片の斜視図である。 十字強度を測定するための試験片及び試験治具の斜視図である。 図7の作用説明図である。 比較例1及び実施例1〜5についての剪断強度比較図である。 比較例1及び実施例1〜5についての十字強度比較図である。 比較例2及び実施例6〜10についての剪断強度比較図である。 比較例2及び実施例6〜10についての十字強度比較図である。 本発明に係る電極の変更実施例図である。 加圧力測定法の原理図である。 測定した加圧力のグラフである。 接触面積の模式図である。 溶接ナゲットの比較図である。 得られた溶接構造体の斜視図である。 図18の要部断面図である。 本発明に係る電極のさらなる変更実施例図である。 従来の技術の基本原理を説明する図である。
符号の説明
10…抵抗溶接装置、12…一方の電極(下部電極)、13…他方の電極(上部電極)、15…押圧手段、16…給電手段、17…凹面、18…溝、19…凹面の中心、23、24…金属板、26…溶接ナゲット、30…溶接構造体、31…凸部、32…突条部。

Claims (3)

  1. 金属板を重ね合わせて被溶接材とし、この被溶接材を一対の電極により圧接した状態で前記電極に通電することで前記被溶接材を溶接するときに使用する抵抗溶接用電極であって、この抵抗溶接用電極は、一方の電極の先端面が球面形状の凹面であり、この凹面に溶接電流を分流させる溝を備え、他方の電極の先端面が凸形状であることを特徴とする抵抗溶接用電極。
  2. 前記溝は、前記凹面の底の中心を通る放射溝であることを特徴とする請求項1記載の抵抗溶接用電極。
  3. 先端面が球面形状の凹面で且つ凹面に放射溝を備える一方の電極と、先端が凸形状である他方の電極からなる一対の電極と、一方の電極を他方の電極に相対的に押圧する押圧手段と、前記電極に溶接電流を供給する給電手段と、金属板を重ね合わせた被溶接材とを準備する工程と、
    前記被溶接材を一対の電極で挟み、被溶接材を球面形状の凹面に倣って塑性変形させる工程と、
    電極間に所定の押圧を掛けつつ通電することで溶接を実施する工程と、からなり、
    溶接電流を前記溝により分流させながら溶接することを特徴とする抵抗溶接方法。
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