JP6136249B2 - スポット溶接用電極、スポット溶接方法およびスポット溶接部材 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の鋼板を重ね合わせた組鋼板をスポット溶接する際に用いられるスポット溶接用電極と、その電極を用いたスポット溶接方法等に関する。
複数の素材を接合する場合、低コストで高強度を確保できる溶接が用いられる。特に自動車の車体等では、被溶接物である重ね合わせた鋼板(組鋼板)を複数の点(スポット)で溶接するスポット溶接が多用されている。
スポット溶接は、被溶接物の両側に対向配置した一対の電極を被溶接物の各外表面に圧接し、その電極へ大電流を短時間供給することにより、被溶接物の内部(溶接部)を溶融、凝固させて被溶接物を接合する抵抗溶接の一つである。
スポット溶接は、アーク溶接等と異なり、溶接部が被溶接物の内部に位置するため、その溶接状況を目視等により直接的に観察することは困難である。また、その溶接点(スポット)数は、一般的に膨大であるため、各々のスポットについて溶接状況を確認することも現実的には困難である。従って、スポット溶接を行う場合、被溶接物の材質等に応じた適切な溶接条件を設定し、高強度な溶接部が安定的に形成されるようにすることが非常に重要となる。
溶接条件には種々あるが、一般的には、電極間に流す溶接電流値、被溶接物に圧接される電極へ加える加圧力および溶接電流の通電時間(溶接時間)が重要といわれている。このうち、加圧力は設備や電極の剛性・強度等の観点から、また通電時間は生産性等の観点から、それぞれ自ずと限界がある。そこで、被溶接物の材質や形態等に応じて溶接電流値を調整することにより、スポット溶接の最適化が図られることが多い。
一般的に、溶接電流値を大きくすると、ナゲット(被溶接物の溶融凝固部)の大きさ(ナゲットの形状を問わずに、便宜上、単に「ナゲット径」という。)を増大でき、各スポットにおける溶接強度(継手強度)の増大を図れる。しかし、溶接電流値が過大になると、溶融金属がスポットの周囲に飛散するチリ(またはスパッタ)という現象を生じる。チリの発生は、作業環境の悪化や被溶接物の汚染等を招くのみならず、ナゲット内に空洞(ブローホール)を生じさせ、溶接強度の低下を招く。このため、溶接電流値は、通常、チリが発生しない限界値(チリ発生限界電流値)未満に設定される。
ちなみに、チリには、通電初期に生じる表面チリ等の初期チリと、主に通電中期から通電後期にかけて生じる中チリ等の後期チリがある。表面チリは、被溶接物の表面と電極の間におけるなじみの悪さから生じるが、被溶接物の表面状態や電極の加圧力等を調整することにより、その発生を抑制できるため、現実的にはあまり問題とはならない。
一方、中チリは、通電により加熱された被溶接物が内部(鋼板間)で溶融するにつれて、コロナボンド(被溶接物の圧接部分)が減少すると共に溶融金属が熱膨張して高圧となり、その溶融金属がシール作用をしていたコロナボンド(被溶接物の圧接部分)を破って噴出、飛散することにより生じる。現実的に問題になるのは、この中チリである。従って本明細書では特に断らない限り、その後期チリ、特に中チリを適宜単に「チリ」という。
被溶接物が低剛性または低強度であると、電極による加圧によって大きなコロナボンドが形成され易いため、溶接電流値を大きくしても中チリはあまり発生せず、ナゲット径を増大させることが比較的容易である。しかし、高張力鋼板を重ね合わせた組鋼板等のように、被溶接物が高剛性、高強度であると、大きなコロナボンドが形成され難くなるため、溶接電流値を大きくすると中チリが発生し易くなり、被溶接物の強度等に対応させた大きなナゲットの形成(つまり溶接強度の確保)が困難であった。
そこで、上述した溶接条件の調整以外に、被溶接物に圧接される電極の先端部の形状を変更して、中チリの発生を抑制する提案がされている。これに関する記載が下記の特許文献にある。
特開2000−94217号公報 特開2008−93707号公報 特開2005−193298号公報
特許文献1および特許文献2は共に、一方の電極の先端部中央に窪みを設けることを提案している。特許文献3は、一方の電極の先端部に、端面を球状凹面とした放射溝を設けることを提案している。いずれも、通電中に被溶接物の内部で生じた溶融金属の熱膨張分を電極に設けた窪みまたは溝へ回避させて、中チリの発生を抑制することを意図している。また、それら電極と被溶接物の接触状態は、従来の点状接触から環状接触または放射状接触となるため、電極間を流れる電流経路または密度分布も従来よりも広範囲となり、チリの発生を抑制しつつ、より大きなナゲットの形成が可能となり得る。
ナゲットの形成は、被溶接物内の電流密度(i)やジュール発熱密度(j)に大きく影響され、これらは通電面積、ひいては電極の先端部と被溶接物との接触面積(S)に大きく影響される。ところが、上記の特許文献では、電極の先端部の形状を漠然と特定しているに過ぎず、それに関して具体的な指標を実質的に示していない。このため、上記の特許文献に記載されたような電極を単に用いても、実際にナゲットの大径化やスポット溶接継手の高強度化を図ることは容易ではなかった。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、種々の鋼板に対してナゲットの大径化や継手の高強度化等を容易に図れ得るスポット溶接用電極およびそれを用いたスポット溶接方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、電極の先端部の略中央に凹部を設けると共に、被溶接物(組鋼板)に接触する電極先端部の外形から求まる全面積に対してその凹部の面積を所定範囲内とすることにより、高張力鋼板からなる組鋼板をスポット溶接する場合でも、ナゲットの大径化や継手の高強度化を十分に図れることを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成させるに至った。
《スポット溶接用電極》
(1)本発明のスポット溶接用電極は、引張強度が440MPa以上ある高張力鋼板を少なくとも含む複数の鋼板を重ね合わせた組鋼板の一方側の外表面に圧接される先端部を備える凹状電極と該組鋼板の他方側の外表面に圧接される先端部を備える凸状電極とを備えてなり、該凹状電極の先端部と該凸状電極の先端部からの通電により該組鋼板をスポット状にジュール加熱して溶接するスポット溶接に用いられるスポット溶接用電極であって、前記凹状電極の凹状先端部は、略中央に形成された窪みからなる凹部と該凹部を囲繞し前記組鋼板の外表面に接し得る環状縁部とを有し、該環状縁部の外形から求まる外形面積(So)に対する該環状縁部の内形から求まる内形面積(Si)の比である凹部面積比(Si/So)が0.09〜0.19であることを特徴とする。
(2)本発明のスポット溶接用電極(以下、適宜単に「電極」という。)を用いてスポット溶接を行えば、例えば、高張力鋼板を重ねた組鋼板等のように塑性変形し難い被溶接物であっても、溶接電流のチリ発生限界電流値が高まり、十分に大きなナゲットの形成が可能となり、被溶接物の特性に応じた高強度な継手を得ることができる。
一例を挙げると、高張力鋼板(厚さ:tmm)を重ね合わせた組鋼板をスポット溶接する場合に本発明の電極を用いれば、ナゲット径を4√t以上、5√t以上さらには7√t以上とすることも可能となり得る。このように本発明の電極を用いることにより、被溶接物の高特性を十分に活用し得るスポット溶接継手(部材、製品)の形成が可能となる。
(3)本発明の電極が、そのような優れた効果を発揮するメカニズムは必ずしも定かではない。現状では次のように考えられる。先ず、本発明の電極は、被溶接物である組鋼板に接触する先端部の略中央に凹部を備える。これにより、凹部を設けない場合に比べて電極と鋼板との接触面積が減少し、その凹部の周縁を流れる電流密度が増加する。このため、電極の先端部の外周縁部分で、組鋼板は優先的かつ急速に発熱し、環状に溶融され始める。この通電が継続されることにより、溶接部における金属溶融が外周縁から中央部へ拡張し、未凝固のナゲットが成長する。
この際、溶融金属が液体膨張し、溶接部の内圧が上昇して、チリが発生し易い状況となる。しかし本発明の電極では、その先端部の略中央に設けられた凹部が、溶融金属の膨張逃げとして作用し、溶接部の内圧の上昇を抑制するため、組鋼板の合わせ面間からチリが飛散し難くなる。こうして本発明の電極によれば、チリ発生限界電流値が高まり、チリを発生させない範囲内で溶接電流値をより大きくすることが可能となり、ナゲットの大径化ひいてはスポット溶接継手の高強度化を図ることが可能になったと考えられる。
ところで、上述したような本発明の優れた効果は、電極の先端部の略中央に任意の凹部を単に設けただけで得られた訳ではない。すなわち、本発明の電極は、前述したように先端部の凹部面積比が極限られた狭い特定範囲内となるときにだけ、上述したような優れた効果が安定的に発揮される。
逆にいうと、凹部面積比が過小ではチリが発生し易いなど凹部を設けない電極と大差なく、組鋼板が高張力鋼板等からなる場合にナゲットの大径化や継手の高強度化を図れなかった。また凹部面積比が過大では、ナゲットが小径化になったりして、正常なナゲットの形成が困難となり、やはり継手の高強度化を図れなかった。そして本発明者が試行錯誤を繰り返したところ、上述したように電極の先端部の凹部面積比を、0.09〜0.19(特に0.09超0.19以下)、0.1〜0.18さらには0.11〜0.17とすることにより、ナゲットの大径化や継手の高強度化を図れることが明らかとなった。
(4)なお、本発明でいう「環状縁部の外形」とは、加圧された電極の先端部が組鋼板の外表面に接触し得る領域(接触領域)の外延からなる最外殻形状である。一方、本発明でいう「環状縁部の内形」とは、その外形内にあり、加圧された電極の先端部が組鋼板の外表面に接触しない領域(非接触領域)の外延からなる最外殻形状である。換言するなら、「環状縁部の内形」は、上記接触領域の最内殻形状ともいい得る。なお、接触領域または非接触領域(つまり環状縁部の外形および内形)の特定は、電極単体として、その先端部の形状から特定される。換言するなら、環状縁部の外形および内形は、スポット溶接時における電極の先端部と被溶接物との実際の接触状況を厳密に反映させて特定されるものではない。
環状縁部の外形と環状縁部の内形の代表例は、直径の異なる円である。この場合、環状縁部の外形を外径(Do)の円とし、環状縁部の内形を内径(Di)の円とすると、上述した凹部面積比は(Di/Do) と表されることになる。
《スポット溶接方法等》
本発明は、上述した電極としてのみならず、それを用いたスポット溶接方法としても把握できる。すなわち本発明は、鋼板を重ね合わせた組鋼板を、上述したスポット溶接用電極を用いてスポット溶接することを特徴とするスポット溶接方法でもよい。この他、本発明は上述した電極を備えたスポット溶接装置等としても把握できる。さらに、本発明の電極を用いてスポット溶接した溶接継手(スポット溶接部材、スポット溶接製品)等としても把握できる。
《その他》
(1)溶接継手は、通常、引張剪断試験法(JIS Z3136)により剪断強度が評価され、また十字引張試験法(JIS Z3137)により剥離強度が評価される。組鋼板のスポット溶接では、特に後者の剥離強度が重要となる。この剥離強度は、ナゲットが正常に形成されている場合、ナゲット径(厳密にはナゲットの周長)と相関があり、ナゲット径が大きくなるほど剥離強度も大きくなることが知られている。
なお、溶接継手の破断形態には、ナゲット内へ破面が進展せずに母材(鋼板)部分で破断するプラグ破断と、ナゲット界面部(溶接部)で破断する界面破断と、ナゲット内に破面が一部進展してから母材部分で破断する部分プラグ破断がある。本発明では溶接継手の破断形態までは問題としないが、本発明の電極を用いると、大径であるのみならず正常なナゲットが安定的に形成されるため、溶接継手が破断する場合は主にプラグ破断になると考えられる。
(2)本明細書でいう「電極」は、電極単体の場合のみならず、被溶接物を挟持する一対の電極対をも含み得る。電極対の場合、そのうちの少なくとも一方が上述した本発明の電極であればよい。
(3)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
従来のDR型電極の一例を示す模式図である。 本発明の電極の一例を示す模式図である。 本発明の電極とDR型電極からなる電極対を用いてスポット溶接を行う様子を示す説明図である。 十字引張試験に用いる試験片(溶接継手)を示す斜視図である。 凹部の面積率(凹部面積比の百分率)と十字引張破断荷重の関係を示す分散図である。
本明細書で説明する内容は、本発明の電極のみならず、それを用いたスポット溶接方法等にも適宜該当し得る。方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセスクレームとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《被溶接物》
本発明に係る被溶接物は、複数の鋼板を重ね合わせた組鋼板である。鋼板の種類は問わないが、その鋼板の少なくとも一枚が高張力鋼板である場合に、本発明の電極は特に効果的である。高張力鋼板は、その種類を問わず、析出強化鋼板、DP鋼板、加工誘起変態(TRIP)鋼板、熱間プレス鋼板等のいずれでもよい。敢えて定義するなら、高張力鋼板は引張強度(破断強度)が440MPa以上である鋼板である。鋼板は、その形態を問わないが、車体等で多用されている板厚0.4〜4mmの鋼板を重ね合わせた組鋼板が本発明に係る被溶接物の代表例である。
被溶接物である組鋼板は、異種の鋼板(例えば、高張力鋼板、軟鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板等の二種以上)を重ね合わせたものでも、さらには鋼板以外の異質な板材(例えば、アルミニウム系板材、銅系板材、ニッケル系板材等の一種以上)を含むものでもよい。
《電極》
(1)本発明の凹状電極は、先端部の略中央に形成された凹部とその外周囲に形成された環状縁部とからなり、凹部面積比が前述した範囲内にある限り、その具体的な形態を問わない。電極の先端部の基本形状は、JIS C9304(1999)に多数規定されており、例えば、平面形(F形)、ラジアス形(R形)、ドーム形(D形)、ドームラジアス形(DR形)、円錐台形(CF形)、円錐台ラジアス形(CR形)等がある。本発明の凹状電極は、例えば、いずれかの基本形状の電極の略中央に適切なサイズの窪み(凹部)を設けることにより、容易に形成され得る。
このような凹部を有する本発明の電極を適宜「凹状電極」といい、逆に、従来型の電極のように凹部を有さず鋼板の外表面に圧接される(平滑な)連続した曲面(平面を含む)からなる先端部を有する電極を適宜「凸状電極」という。本発明に係る電極対は、前述したように一方が本発明の凹状電極であり、他方が凸状電極である。この場合、凸状電極の外形は、本発明の電極(凹状電極)の環状縁部の外形と略同一とすると、組鋼板の板厚方向に安定なナゲットが形成されて好ましい。
(2)電極の材質は問わないが、導電性や熱伝導性等を考慮して、銅製または銅合金製であると好ましい。また電極は、冷却水等が内部に供給される筒状であると、電極の損耗等が抑制されて好ましい。
《溶接条件》
本発明の電極を用いてスポット溶接するときの溶接条件は問わない。一例を挙げると、溶接電流値は5〜10kAさらには6〜8kAであると好ましい。溶接電流が過小ではナゲットの大径化を図れず、十分な継手強度を確保できない。溶接電流が過大ではチリが発生し易くなりナゲットの安定した形成が困難となる。溶接電流は交流でも直流でもよい。また、溶接電流の電源は定電流電源でも定電圧電源でもよいが、定電流電源の方が所望のナゲットを安定的に形成し易い。
通電時間も問わないが、例えば、20〜800msさらには100〜400msとすると好ましい。通電時間が過短ではナゲットの大径化やナゲットの安定形成を図れず、通電時間が過長では生産性が低下する。
電極の加圧力も問わないが、例えば、1〜5kNさらには2〜4kNとすると好ましい。加圧力が過小ではチリが発生し易くなる。加圧力が過大では電極の変形や消耗の増大等を招く。
《試料の製造》
(1)電極
スポット溶接を行う電極として、図1Aに示すDR形(JIS C9304)電極(凸状電極)と、そのDR形電極の先端部の中央を軸方向に穿孔した図1Bに示す電極(凹状電極)を用意した。被溶接物に圧接される各電極の先端部は、外形がφDoの円状をした平坦部からなる。但し、凹状電極は、内形がφDiの円状で深さh(=4mm)のドリル孔(凹部)を先端部の中央に有するため、その先端部は環状の平坦部(環状縁部)となっている。スポット溶接の初期を観ると、ほぼ、そのドリル孔部分が凹状電極と被溶接物の非接触部分となり、その環状の平坦部が被溶接物の接触部分となる。
スポット溶接は、図2に示すように、外形(φDo)が同じ凸状電極と凹状電極を組合わせて一対として行った。この際、両電極のφDoと、凹状電極のφDiを表1に示すように種々変更した。なお、凹状電極はいずれも、ドリル孔の深さh(=4)を一定とした。また、各電極の胴部は外径:φC(=16mm)の有底円筒状とした。その胴部の内側へは冷却水が誘導されるようになっている。さらに各電極は全てクロム銅製とした。
(2)被溶接物
被溶接物として、図3に示すように、板厚1mmの高張力鋼板からなる短冊状片を十字状に重ね合わせた組鋼板を用意した。供試材とした高張力鋼板は、フェライト母相中に硬質なマルテンサイト相を分散させた二相(Dual Phase)からなる引張強度980MPa級の変態強化鋼(新日鉄住金株式会社製、SPC980DU)である。
(3)スポット溶接
図3に示すように、上記の組鋼板の中央(短冊状片が重なる部分)をスポット溶接して、十字引張試験片(JIS Z3137)を製作した。このときの溶接条件は、溶接電流値:7.5kA、電極加圧力:3kN、通電時間(溶接時間):10サイクル(1サイクル=1/60秒)とした。なお、各スポット溶接を行う際に、中チリの発生の有無も観察した。
《試験》
上記の各十字引張試験片を用いて十字引張試験(JISZ3137)を行った。こうして各試料について測定した十字引張破断荷重(CTS)を表1に併せて示した。なお、表1に示したCTSは、各試料毎に製作した2つの試験片について測定したCTSを平均した値である。
《評価》
表1に基づいて算出した面積率(R:%)と十字引張破断荷重(CTS:kN)の関係をプロットした分散図を図4に示した。なお、面積率(R)は、凹状電極の環状縁部の外形面積(So)に対する内形面積(Si)の比(Si/So:凹部面積比)を百分率にしたものである。具体的にはR=(Di/Do) ×100(%)として求めた。
表1および図4を観ると明らかなように、凹状電極に係る面積率が特定範囲内であると、十字引張破断荷重(継手強度)が急激に向上していることがわかる。逆に、面積率がその好適な範囲から逸脱して過小または過大であると、十分な継手強度が得られなくなり、表1に示すように特に過小の場合はスポット溶接中にチリが発生することもわかった。
こうして、面積率が特定範囲内となる凹状電極を用いてスポット溶接を行うことにより、チリの発生を抑制しつつ、ナゲットの大径化や継手の高強度化を図れることが明らかとなった。
Figure 0006136249

Claims (5)

  1. 引張強度が440MPa以上ある高張力鋼板を少なくとも含む複数の鋼板を重ね合わせた組鋼板の一方側の外表面に圧接される先端部を備える凹状電極と該組鋼板の他方側の外表面に圧接される先端部を備える凸状電極とを備えてなり、該凹状電極の先端部と該凸状電極の先端部からの通電により該組鋼板をスポット状にジュール加熱して溶接するスポット溶接に用いられるスポット溶接用電極であって、
    前記凹状電極の凹状先端部は、略中央に形成された窪みからなる凹部と該凹部を囲繞し前記組鋼板の外表面に接し得る環状縁部とを有し、
    該環状縁部の外形から求まる外形面積(So)に対する該環状縁部の内形から求まる内形面積(Si)の比である凹部面積比(Si/So)が0.09〜0.19であることを特徴とするスポット溶接用電極。
  2. 前記凹部面積比は、0.1〜0.18である請求項1に記載のスポット溶接用電極。
  3. 前記環状縁部の外形は外径(Do)の円であり、
    前記環状縁部の内形は内径(Di)の円であり、
    前記凹部面積比は(Di/Do) により表される請求項1または2に記載のスポット溶接用電極。
  4. 前記凸状電極の外形は、前記凹状電極の環状縁部の外形と略同一である請求項1〜3のいずれかに記載のスポット溶接用電極。
  5. 鋼板を重ね合わせた組鋼板を、請求項1〜のいずれかに記載のスポット溶接用電極を用いてスポット溶接することを特徴とするスポット溶接方法。
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