JPH09330133A - 振動制御装置 - Google Patents

振動制御装置

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JPH09330133A
JPH09330133A JP8146239A JP14623996A JPH09330133A JP H09330133 A JPH09330133 A JP H09330133A JP 8146239 A JP8146239 A JP 8146239A JP 14623996 A JP14623996 A JP 14623996A JP H09330133 A JPH09330133 A JP H09330133A
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JP
Japan
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control
gain
differential
differentiating
torque
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Application number
JP8146239A
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English (en)
Inventor
Masaharu Ishiguro
正治 石黒
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Shinko Electric Co Ltd
Original Assignee
Shinko Electric Co Ltd
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Publication date
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  • Control Of Electric Motors In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械系の特性を再設定するだけで、自動的に
微分ゲインを再設定する。 【解決手段】 フーリエ逆変換器3は、振幅A*および
周波数F*に基づいて、操作値b*(交流信号)を作成す
る。この操作値b*は、インバータ11へ供給され、モ
ータ12のトルクが制御される。また、微分ゲイン演算
器82は、定数Cに基づいて微分器80´の微分ゲイン
D´を算出する。微分器80´は、上記微分ゲインD´
に従って、上記モータ12からフィードバックされる制
御量aTを微分し、偏差検出点81に供給する。したが
って、インバータ11に供給される操作値は(b*−D
´s・TK/KT)となる。そして、この検出トルクの微
分値のフィードバックにおける微分ゲインによって、系
全体の共振ゲインを調整することができ、機械系の共振
の抑制が可能になるとともに、制御対象を変えても、自
動的に微分器80´の微分ゲインD´が再設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、自動車
の駆動系を試験する際に用いて好適な振動制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車の設計段階においては、エンジン
の振動に対する車体の強度や乗り心地などを評価する必
要がある。この場合、一つの手段としては、油圧加振機
を用いてエンジンと同様の振動を発生させ、この振動を
車体等に伝達させる方法がある。また、他の手段として
は、実際にエンジンを制作して車体に組み込んで試験す
る方法がある。
【0003】しかしながら、前者においては、装置が大
型になって設置場所や騒音などの問題が生じるととも
に、振動の制御が思うようにできないという問題があっ
た。また、後者においては、エンジンを制作した後でな
いと、車体等の試験ができず、このため、総合的な開発
期間が長くなってしまうという問題が生じた。
【0004】そこで、出願人は、上記欠点を解消するた
めに、モータによって加振を行う振動制御装置を開発し
た(特願平6−76453号)。この装置は、モータへ
の供給電流を制御する際に、トルクや回転数の指令値
を、交流的に与えるのではなく、直流的に与えるように
したものである。すなわち、時々刻々変動するトルクや
回転数を直接的に与えるのではなく、その周波数と振幅
を指令値として与えるようにしたものである。しかも、
駆動系の挙動を決める定数などを演算するシミュレータ
を有しているため、制御系の応答が周波数に依存しない
という利点を有している。したがって、この装置におい
ては、加振周波数が高くなっても高精度の振動制御を行
うことができるとともに、加振周波数に関係なく制御系
の応答を最適化できる。
【0005】しかしながら、上述した従来装置にあって
は、加振周波数成分のねじり振動のみを制御しているだ
けなので、外乱が機械系の共振周波数に同期すると、わ
ずかな外乱でも無視できない共振が発生するという問題
があった。そこで、出願人は、上記欠点を解消するため
に、モータによって加振を行う振動制御装置を開発した
(特願平6−245507号)。この装置は、図13に
示す構成であり、振幅A*および周波数F*が制御装置1
に供給されると、これに対応した操作値b*(交流信
号)をフーリエ逆変換器3において作成し、上記操作値
*を、インバータ11に供給することで、モータ12
のトルクを制御する。一方、モータ12からフィードバ
ックされる検出トルク信号TKに係数KTを乗算するとと
もに、微分器80によって微分した後に偏差検出点81
に供給し、インバータ11に供給される操作値を(b*
−D´s・TK/KT)とする。そして、この検出トルク
の微分値のフィードバックにおける微分ゲインによっ
て、系全体の共振ゲインを調整することで、機械系の共
振を抑制するようにしている。なお、図示する振動制御
装置の動作原理については、後述する発明の実施の形態
で詳細に説明する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の振動制御装置では、微分器80を図14に示す構成
としていたため、その特性は、VOUT/VIN=R・C・
sとなり、微分ゲインD´は、R・Cで決定される。こ
こで、制御対象である被試験体を変えると、機械系の特
性(共振周波数Fn、共振倍率Q、慣性モーメント比
0)が変わる。このとき、微分補償時の共振倍率Q´
を任意の設定値にするためには、後述する数26に基づ
いて微分器80における微分ゲインD´を再設定する必
要がある。このため、従来の振動制御装置では、図14
に示す抵抗RやコンデンサCを取り替えることにより、
微分ゲインD´を変更しなければならず、手間がかかる
という問題があった。
【0007】この発明は、上述した事情に鑑みてなされ
たもので、機械系の特性を再設定するだけで、自動的に
微分ゲインを再設定することができる振動制御装置を提
供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決す
るために、請求項1記載の発明においては、トルク指令
値に応じた駆動電流を振動発生用モータに供給する振動
制御装置において、前記振動発生用モータに接続された
制御対象からトルクを制御量として検出するトルク検出
手段と、微分ゲインに従って前記制御量を微分する微分
手段と、トルク指令値から前記微分手段の出力信号を減
算する微分偏差検出手段と、制御対象の特性に基づい
て、前記微分手段の微分ゲインを算出し、前記微分手段
に供給する微分ゲイン演算手段とを具備し、前記微分偏
差検出手段において得られる制御信号に応じた駆動電流
を前記振動発生用モータに供給することを特徴とする。
【0009】また、請求項2に記載の発明においては、
振幅指令値と周波数指令値に対応した交流制御信号を発
生し、この交流制御信号に応じた駆動電流を振動発生用
モータに供給する振動制御装置において、前記振動発生
用モータに接続された制御対象からトルクを制御量とし
て検出するトルク検出手段と、前記制御量の振幅を算出
するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段が算出
した振幅と前記振幅指令値との偏差を検出する偏差検出
手段と、前記周波数指令値および前記偏差検出手段の偏
差に対応した交流制御信号を発生するフーリエ逆変換手
段と、微分ゲインに従って前記制御量を微分する微分手
段と、前記フーリエ逆変換手段の出力信号から前記微分
手段の出力信号を減算する微分偏差検出手段と、前記制
御対象の特性に基づいて、前記微分手段の微分ゲインを
算出し、前記微分手段に供給する微分ゲイン演算手段と
を具備し、前記微分偏差検出手段において得られる交流
制御信号に対応した駆動電流を前記振動発生用モータに
供給することを特徴とする。
【0010】また、請求項3に記載の発明においては、
振幅指令値と周波数指令値に対応した交流制御信号を発
生し、この交流制御信号に応じた駆動電流を振動発生用
モータに供給する振動制御装置において、前記振動発生
用モータに接続された制御対象からトルクを制御量とし
て検出するトルク検出手段と、前記制御量の振幅を算出
するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段が算出
した振幅と前記振幅指令値との偏差を検出する偏差検出
手段と、前記周波数指令値および前記偏差検出手段の偏
差に対応した交流制御信号を発生するフーリエ逆変換手
段と、微分ゲインに従って前記制御量を微分する微分手
段と、前記フーリエ逆変換手段の出力信号から前記微分
手段の出力信号を減算する微分偏差検出手段と、前記制
御対象の前記周波数指令値に応じた利得特性の変化を打
ち消すように、当該装置の利得を制御する利得制御手段
と、前記制御対象の特性に基づいて、前記微分手段の微
分ゲインを算出し、前記微分手段に供給する微分ゲイン
演算手段とを具備し、前記微分偏差検出手段において得
られる交流制御信号に対応した駆動電流を前記振動発生
用モータに供給することを特徴とする。
【0011】請求項4に記載の発明においては、請求項
3記載の振動制御装置において、前記利得制御手段は、
前記制御対象の動作を決める定数と前記周波数指令値と
から前記制御対象の利得を算出し、該制御対象の利得に
よって当該装置の利得を制御する制御対象模擬手段を有
することを特徴とする。
【0012】請求項5に記載の発明においては、請求項
2〜4いずれかに記載の振動制御装置において、前記制
御対象の速度を検出する速度検出手段と、前記トルク検
出手段および前記速度検出手段のいずれかの出力信号を
選択して前記フーリエ変換手段に供給する選択手段とを
有することを特徴とする。
【0013】この発明では、微分手段および微分偏差検
出手段によって、検出トルクの微分値のフィードバック
制御が行われる。この結果、微分手段の微分ゲインによ
って、制御対象全体の共振倍率が調整される。また、微
分手段の微分ゲインは、制御対象の特性に基づいて、微
分ゲイン演算手段によって算出される。この結果、機械
系の特性を再設定するだけで、自動的に微分ゲインが再
設定される(請求項1〜3)。
【0014】
【発明の実施の形態】
A・制御対象についての解析 始めに、本実施例が制御対象とする機械系について解析
する。本実施例においては、ねじり振動制御を行う機械
系、すなわち、モータおよびこれに接続される被試験装
置(例えば、自動車のトランスミッション)を、2慣性
ねじり振動系として扱っている。
【0015】この場合、2慣性ねじり振動系は、図11
に示すようにモデル化される。ただし、この図における
各記号は以下の意味を持つ。 JM,JL ;慣性モーメント[kgm2] D ;粘性減衰係数[Nms/rad] K ;バネ定数[Nm/rad] ωM,ωL ;角速度[rad/s] TM,TL ;トルク[Nm]
【0016】また、図11に示す機械系を制御ブロック
図化すると図12に示すようになる。以下、図12を参
照しつつ、機械系を解析する。まず、解析のために負荷
トルクTL=0とすると、以下に示す関係が成立する。
【0017】
【数1】
【0018】
【数2】
【0019】
【数3】
【0020】
【数4】 そして、モータ発生トルクTMに対する負荷伝達トルク
Oは、数1に数3、数4を代入し、これを整理するこ
とによって得られる。
【0021】
【数5】
【0022】
【数6】 また、数6を変形すると次のようになる。
【0023】
【数7】 ただし、
【0024】
【数8】 である。次に、モータ発生トルクTMに対する検出軸ト
ルクTKを求める。始めに、数1、数2から(ωM
ωL)を消去して整理すると、
【0025】
【数9】 となり、この数9と数6とから次の関係が得られる。
【0026】
【数10】
【0027】また、数10は次のように変形できる。
【数11】 なお、本出願人が先に出願した特願平6−76453号
の明細書においては、検出軸トルクをTOとして機械系
を解析したが、検出軸トルクは、ひずみゲージ式トルク
センサによって検出されるので、正確に言えばTKとな
る。しかし、機械系の粘性減衰係数Dが非常に小さいの
で、加振運転域(10・Fn以下:Fnは共振周波数[H
z])では、数7の第1項が無視できるためTK≒TOと近
似できるのである。
【0028】次に、モータ発生トルクTMに対するモー
タ角速度ωMの関係を求める。まず、数3を変形する
と、
【0029】
【数12】 となり、上記式に数5を代入して整理すると次式にな
る。
【0030】
【数13】 また、数13を変形して次式を得る。
【0031】
【数14】 機械系のねじり振動では、粘性減衰係数Dが非常に小さ
いため、共振倍率Qが数十倍になってしまう。これは、
数7、数8、数11、数14から明らかである。したが
って、外乱が小さくても共振周波数に同期すると、無視
できない共振が発生してしまう。これが本実施例の制御
対象の性質である。
【0032】(振動制御装置の原理的構成)次に図面を
参照して振動制御装置の原理的構成について説明する。
図1はこの振動制御装置の原理的構成を示すブロック図
である。図に示すA*、F*は、各々トルク指令値a*の
振幅および周波数を表している。すなわち、これらは次
式のように表される。
【0033】
【数15】
【0034】
【数16】 この振幅A*および周波数F*が制御装置1に供給される
と、フーリエ逆変換器3において、振幅がA*で周波数
がF*の操作値b*(交流制御信号)が作成され、これが
インバータ11へ供給される。この結果、インバータ1
1の出力電圧波形が制御され、モータ12のトルク振幅
*と周波数F*に応じて制御される。
【0035】一方、モータ12の駆動力が伝達される駆
動系(自動車の駆動系)14は、モータ12によって発
生される振動(トルクリップル)に応じた挙動を示し、
その挙動が検出器13によって検出軸トルクTKとして
検出され、また、検出器15によって角速度ωMとして
検出される。この検出軸トルクTKは、係数KTが乗じら
れて制御量aTとなる。また、モータ12の角速度ω
Mは、係数Kωが乗じられて制御量aωとなる。これら
2つの制御量aT,aωは、スイッチSW2によってい
ずれかが選択され、制御量aとして制御装置1にフィー
ドバックされる。
【0036】次に、制御量aは、フーリエ変換器2にお
いて振幅値Aに変換され、偏差検出器4において振幅A
*との偏差が検出される。そして、この偏差が新たな指
令値B*としてフーリエ逆変換器3に供給され、操作値
*となる。
【0037】以上のフィードバックループにより、偏差
検出器4における偏差が最小となるように制御が行わ
れ、これによって、モータ12のトルクは、指令値a*
に一致する。すなわち、直流的な指令値(A*、F*)に
よって制御量aを交流的に制御することができ、任意の
周波数で任意の振幅をもつトルク変動を制御対象に与え
ることができる。この場合、スイッチSW2は、トルク
制御を行うときは値aTを選択し、速度制御を行うとき
は値aωを選択する。
【0038】また、この実施例においては、偏差増幅器
5のゲインをシミュレータ40によって制御している。
このシミュレータ40は、制御対象に関する定数Cと周
波数F*とに基づいて、制御対象のゲイン特性を模擬す
ることによって、制御対象のゲインG(=A/B*)の
変化を打ち消すように、その逆数である1/Gを乗算器
41の一方の入力端へ供給する。
【0039】上記乗算器41の他方の入力端には、予め
設定されたゲインGcが供給されており、該ゲインGcと
上記ゲインGの逆数(1/G)とを乗算し、Gc/Gを
偏差増幅器5へ供給する。偏差増幅器5は、Gc/Gを
ゲインとして偏差検出器4の出力である偏差を増幅し、
新たな指令値B*としてフーリエ逆変換器3へ供給する
ようになっている。このとき、周波数F*の振幅Aは、
【0040】
【数17】 であり、ゆえに、振幅Aと振幅A*との比は、
【0041】
【数18】 となる。すなわち、制御系のゲイン特性は、制御対象の
ゲインGに関係なく、予め設定されたゲインGcによっ
てのみ決定される。したがって、周波数F*に関係な
く、制御系の応答を設定できる。
【0042】次に、外乱による共振防止の制御について
説明する。まず、80´は微分器であり、入力信号aT
を微分して出力する(微分ゲインはD´)。81は偏差
検出点であり、トルク指令値T*(すなわち、操作値
*)から微分器80´の出力値を減算し、トルク指令
値T**として出力する。本実施例の特徴は、微分器80
´と偏差検出点81を設け、検出軸トルクTKの微分値
をフィードバックしたことろにある。以下においては、
このフィードバックの機能について説明する。
【0043】まず、加振トルク指令T*(=b*)に対す
る検出軸トルクTKは、インバータ11およびモータ1
2における単位系変換係数をKTとした場合に、次のよ
うに表せる。
【0044】
【数19】 この式を変形して次式を得る。
【0045】
【数20】 この数20に数11を代入すると、
【0046】
【数21】 となる。ただし、
【0047】
【数22】 である。次に、加振トルク指令T*に対するモータ角速
度ωMの関係は、数19から次式のようになる。
【0048】
【数23】 上記式に数11を代入して整理すると、
【0049】
【数24】 となる。上記式の両辺に数14を乗算して整理すると、
【0050】
【数25】 となる。
【0051】そして、上述の数21、数22、数25か
ら明かなように、機械系の共振倍率は、軸トルクの微分
補償によって調整できることが解る。まず、伝達関数の
分母を取り出し、これを0とおいた方程式(特性方程
式)の根を求めることによって動的挙動が明らかになる
から、数21(数25でも同様)の分母を0とおいた特
性方程式を作れば、本実施例の挙動が明らかになる。そ
して、数21の分母を0とする特性方程式から、本実施
例における共振倍率は、機械系の共振倍率Qそのもので
はなく、数22によって示されるQ´であることが判
る。そして、数22から明らかなように、共振倍率Q´
は微分ゲインD´によって調整できる。したがって、微
分ゲインD´は、要求される共振倍率Q´に応じて設定
すればよい。その計算式は、数22を変形すれば得るこ
とができ、次の通りとなる。
【0052】
【数26】 なお、共振倍率Q´は、共振抑制の目的のために、1、
または1を若干超えた値に設定するのが望ましい。ま
た、シミュレータ40に設定する共振倍率はQ´とす
る。
【0053】B.実施例の具体的構成 次に、本実施例における制御系の具体的な構成を図2を
参照して説明する。図2は前述した2慣性ねじり振動系
のモデルに基づく、本実施例の振動制御装置のブロック
線図である。
【0054】図において、シミュレータ40には、共振
周波数Fn、共振倍率Q´、慣性モーメントの比H0、お
よび周波数F0が供給されている。なお、周波数F0は、
モータ12を定格で回転させたときに、回転変動がどれ
だけ生じるかを示すパラメータであり、言い換えると制
御系の能力を示すパラメータである。この実施例では、
周波数F0は、モータ単体のとき、定格トルク振幅で定
格速度振幅に加振させる値としている。
【0055】一般に、図示のバネ定数K,粘性減衰係数
Dにより制御対象をシミュレーションできるが、このバ
ネ定数K,粘性減衰係数Dを数値として与えることは困
難であるため、本実施例では、モータイナーシャJM,
負荷イナーシャJL,バネ定数K,粘性減衰係数Dに代
えて、上記共振周波数Fn、慣性モーメント比H0、周波
数F0によって制御対象をシミュレーションするように
なっている。ここで、上記共振周波数Fn、共振倍率
Q、慣性モーメント比H0、周波数F0と、モータイナー
シャJM,負荷イナーシャJL,バネ定数K,粘性減衰係
数Dとの関係を示す。
【0056】
【数27】
【0057】
【数28】
【0058】
【数29】
【0059】
【数30】 なお、上記共振周波数Fnは実測により求めた値であ
る。また、共振倍率Q´は、前述のように1または1を
若干超えた値に設定し、共振倍率Q=Q´とする。シミ
ュレータ40は、上記共振周波数Fn、共振倍率Q´、
慣性モーメント比H0、周波数F0、および周波数F*
ら次式に従って、トルク加振時の制御対象ゲインG
T´、速度加振時の制御対象ゲインGω´の逆数である
1/Gω´、および1/GT´を算出し、切り換えスイ
ッチSW1に供給する。
【0060】
【数31】
【0061】
【数32】 切り換えスイッチSW1には、トルク加振を行うか、あ
るいは速度加振を行うかを決定する切り換え信号SSが
供給されており、該切り換え信号SSに応じて上記ゲイ
ンGω´の逆数(1/Gω´)、またはゲインGT´の
逆数(1/GT´)のいずれか一方(総称して逆数1/
Gという)を偏差増幅器5へ供給する。
【0062】また、本実施例では、偏差増幅器5をPI
(比例積分)制御による偏差増幅器から構成している。
具体的には、偏差増幅器5は、乗算器5a,5b、乗算
器5c,5d、積分器5e、および加算器5fから構成
されている。乗算器5aには、その一方の入力端に上記
シミュレータからの逆数(1/G)が供給されており、
他方の入力端に比例項のパラメータPが供給されてい
る。該乗算器5aは、逆数(1/G)とパラメータPと
を乗算することにより、パラメータPを制御対象が周波
数F*に応じてとり得るゲインに応じて制御し、これを
パラメータP´として乗算器5cの一方の入力端へ供給
する。
【0063】また、乗算器5bには、その一方の入力端
に上記逆数(1/G)が供給されており、他方の入力端
に積分項のパラメータIが供給されている。該乗算器5
bは、逆数(1/G)とパラメータIとを乗算すること
により、パラメータIを制御対象が周波数F*に応じて
とり得るゲインに応じて制御し、これをパラメータI´
として乗算器5dの一方の入力端へ供給する。
【0064】次に、上記乗算器5cには、その他方の入
力端に偏差検出器4からの偏差が供給されており、該偏
差を上記パラメータP´により制御して加算器5fの一
方の入力端へ供給する。また、乗算器5dには、上記乗
算器5cと同様に、その他方の入力端に偏差検出器4か
らの偏差が供給されており、該偏差を上記パラメータI
´により制御して積分器5eへ供給する。積分器5e
は、制御された偏差を1/sにし(ラプラス変換におけ
る積分)、加算器5fの他方の入力端へ供給する。
【0065】上記加算器5fは、偏差に応じてパラメー
タP´およびパラメータI´によりゲイン調整された新
たな指令値B*を算出し、これをフーリエ逆変換器3に
供給するようになっている。すなわち、シミュレータ4
0は、制御対象に関する容易に設定可能な定数C(共振
周波数Fn、共振倍率Q´、慣性モーメント比H0、周波
数F0)と周波数F*とから、制御対象がとるであろうゲ
インG(GT´,Gω´)の逆数(1/G)を算出し、
該逆数(1/G)によって偏差増幅器5におけるパラメ
ータP,Iを制御することにより、偏差増幅器5のゲイ
ンを変更するようになっている。したがって、当該振動
制御装置は、周波数F*に関係なく、制御系の応答を最
適化できる。
【0066】また、図中の45におけるブロックの符号
TもしくはKωは、これらブロックの左側と右側との
間で、双方の単位系を変換する係数であり、TK、ω
Mは、各々前述のように、制御量aT、aωとなる。そし
て、図示の符号46は、自動車のトランスミッション等
の駆動系を示している。
【0067】次に、図に示す微分ゲイン演算器82は、
共振周波数Fn、共振倍率Q、共振倍率Q´から微分ゲ
インD´(またはWD´)を算出し、微分器80´に供
給する。ここで、微分ゲインD´の算出方法について説
明する。微分ゲインD´は、上述した数26において、
n=2πFnとすると、次式となる。
【数33】
【0068】WD´は、数27において、WD´=1/D
´とすると、次式となる。
【数34】
【0069】すなわち、微分器80´は、上記微分ゲイ
ン演算器82によって計算された微分ゲインD´(また
はWD´)に基づいて、入力信号aTを微分して出力す
る。本実施例では、回転角速度ωMとモータ発生トルク
Kとを制御対象からフィードバックしており、いずれ
か一方を制御量aとして取り出すべく、切り換えスイッ
チSW2によって切り換える。切り換えスイッチSW2
は、前述した切り換え信号SSに応じて、切り換えスイ
ッチSW1と連動するようになっており、トルク加振を
行う場合には、制御量aT(モータ発生トルクTKに対
応)をフィードバックし、速度加振を行う場合には制御
量aω(回転角速度ωMに対応)をフィードバックし
て、フーリエ変換器2へ供給するようになっている。ま
た、制御量aTは、微分器80´によって微分され(微
分ゲインはD´)、さらに、スイッチSW3を介して偏
差検出点81に減算信号T´Dとして供給される。
【0070】また、本実施例では、微分補償を行うか否
かを選択できるようになっており、スイッチSW3によ
って微分器80´の出力である減算信号T´Dを偏差検
出点81に供給するか否かを切り換える。また、このと
き、微分補償を行うか否かでシミュレータに供給する共
振倍率(QまたはQ´)をスイッチSW4によって切り
換える。微分補償を行うか否かは、共振抑制ON/OFF信号
によって選択できるようになっており、該スイッチSW
3およびSW4は、共振抑制ON/OFF信号に応じて、連動
するようになっている。微分補償を行う場合には、共振
抑制ON/OFF信号をオンとし、スイッチSW4によってシ
ミュレータに入力する共振倍率をQ´とするとともに、
スイッチSW3を閉とする。これに対して、微分補償を
行わない場合には、共振抑制ON/OFF信号をオフとし、ス
イッチSW4によってシミュレータに入力する共振倍率
をQとし、スイッチSW3を開とする。
【0071】C.微分器の構成 次に、上述した微分器80´の構成について図3を参照
して説明する。図3は微分器の構成を示すブロック図で
ある。図において、微分器80´は、オペアンプ85
と、該オペアンプ85の反転入力端(−)に直列接続さ
れたコンデンサCと、反転入力端子(−)と出力端子間
にラダー状に接続された抵抗R、2R、22R、……、
6R、27RおよびスイッチSWa7、SWa6、…
…、SWa1、SWa0とから構成されている。各スイ
ッチSWa0〜SWa7は、コントロール信号C0〜C
7がハイレベルにて閉、ローレベルにて開となる。コン
トロール信号C0〜C7を8ビットのデジタル値とする
と、このデジタル値と微分ゲインは、図4に示す関係と
なる。すなわち、微分器80´の微分ゲインD´をコン
トロール信号C0〜C7のデジタル値に基づいて変更で
きるようになっている。なお、図示するKDは、WD´を
コントロール信号C0〜C7のデジタル値に変換するた
めの係数である。
【0072】D.シミュレータの構成 次に、上述したシミュレータ40の構成について図5を
参照して説明する。図5はシミュレータの構成を示すブ
ロック図である。図において、乗算器50は共振周波数
nを2乗して「Fn 2」とし、減算器52の一方の入力
端(+側)へ供給するとともに、乗算器64および乗算
器69の一方の入力端へ供給する。次に、乗算器51は
周波数F*を2乗して「F*2」とし、減算器52の他方
の入力端(−側)へ供給するとともに、減算器70の一
方の入力端(−側)へ供給する。減算器52は、上記
「Fn 2」から「F*2」を減算し、この結果を乗算器53
の入力端の双方に供給する。乗算器53は「Fn 2
*2」を2乗して、これを「(Fn 2−F*22」として
加算器60の一方の入力端へ供給する。
【0073】また、乗算器54は、共振周波数Fnと周
波数F*とを乗算し、これを除算器55の被除算入力端
に供給する。該除算器55には、共振倍率Q´が供給さ
れており、上記「Fn・F*」を共振倍率Q´によって除
算し、「Fn・F*/Q´」を算出して、この結果を乗算
器56および乗算器72の一方の入力端へ供給する。乗
算器56は上記「Fn・F*/Q´」を2乗して、これを
「(Fn・F*/Q´)2」として上述した加算器60の他
方の入力端へ供給する。
【0074】加算器60は、上記「(Fn 2−F*22
と、「(Fn・F*/Q´)2」とを加算し、「(Fn 2
*22+(Fn・F*/Q´)2」を算出し、これを平方
根算出器62へ供給する。平方根算出器62は、上記
「(Fn 2−F*22+(Fn・F*/Q´)2」の平方根を
とることにより、前述した数31の分母、すなわち「√
{(Fn 2−F*22+(Fn・F*/Q´)2}」を算出し
て、これを除算器65および乗算器77の一方の入力端
へ供給する。
【0075】次に、乗算器64は、慣性モーメント比H
0と、上述した乗算器50の出力である「Fn 2」とを乗
算し、数31の分子、すなわち「H0・Fn 2」を算出し
て、これを除算器65の他方の入力端(x側)へ供給す
る。除算器65は、上記「√{(Fn 2−F*22+(Fn
・F*/Q´)2}」を「H0・Fn 2」によって除算するこ
とにより、制御対象のゲインGT´の逆数(1/GT´)
を算出して出力する。
【0076】次に、減算器66は、一方の入力端(+
側)に供給される定数、「1」から慣性モーメント比H
0を減算して「1−H0」を算出し、これを乗算器69の
他方の入力端に供給するとともに、乗算器72の他方の
入力端へ供給する。乗算器69は、上述した「Fn 2」と
上記「1−H0」とを乗算して「(1−H0)Fn 2」を算
出し、これを減算器70の他方の入力端(+側)に供給
する。
【0077】減算器70は、上記「(1−H0)Fn 2」か
ら上述した「F*2」を減算することにより、「(1−H
0)Fn 2−F*2」を算出し、これを乗算器71の双方の入
力端へ供給する。乗算器71は、上記「(1−H0)Fn 2
−F*2」を2乗することにより、前述した数32に示す
分子の平方根内の左辺、すなわち「{(1−H0)Fn 2
*22」を算出し、これを加算器74の一方の入力端
へ供給する。
【0078】また、乗算器72は、上記「(1−H0)」
と「Fn・F*/Q´」とを乗算することにより、「(1
−H0)・Fn・F*/Q´」を算出し、これを乗算器73
の双方の入力端へ供給する。乗算器73は上記「(1−
0)・Fn・F*/Q´」を2乗して、数32に示す分子
の平方根内の右辺、すなわち「{(1−H0)・Fn・F*
/Q´}2」を算出し、これを加算器74の他方の入力
端へ供給する。加算器74は、上記「{(1−H0)Fn 2
−F*22」と「{(1−H0)・Fn・F*/Q´}2」と
を加算し、「{(1−H0)Fn 2−F*22+{(1−
0)・Fn・F*/Q´}2」を算出して平方根算出器7
5へ供給する。
【0079】平方根算出器75は、上記「{(1−H0)
n 2−F*22+{(1−H0)・Fn・F*/Q´}2」の
平方根をとることにより、数32の分子、すなわち「√
{{(1−H0)Fn 2−F*22+{(1−H0)・Fn・F
*/Q´}2}」を算出して、これを乗算器76の一方の
入力端へ供給する。乗算器76の他方の入力端には、周
波数F0が供給されており、該乗算器76は周波数F0
「√{{(1−H0)Fn 2−F*22+{(1−H0)・Fn
・F*/Q´}2}」とを乗算し、これを除算器78の一
方の入力端(x側)へ供給する。
【0080】一方、前述した乗算器77は、「√{(F
n 2−F*22+(Fn・F*/Q´)2}」、すなわち数3
2の右側の分母と、周波数F*とを乗算し、これを上記
除算器78の他方の入力端(y側)へ供給する。除算器
78は、上記乗算結果である「F*・√{(Fn 2
*22+(Fn・F*/Q´)2}」を、上記「F0・√
{{(1−H0)Fn 2−F*22+{(1−H0)・Fn・F
*/Q´}2}」により除算することにより、制御対象の
ゲインGω´の逆数(1/Gω´)を算出して出力す
る。
【0081】このように、本実施例におけるシミュレー
タ40は、共振周波数Fn、共振倍率Q´(または共振
倍率Q)、慣性モーメント比H0、周波数F0、および周
波数F*に従って、ゲインGT´の逆数(1/GT´)、
およびゲインGω´の逆数(1/Gω´)を算出するよ
うになっている。
【0082】E.実施例の動作 (1)シミュレータの動作 まず、微分補償を行う場合には、共振抑制ON/OFF信号を
オンとすることで、スイッチSW3が閉され、共振倍率
Q´がスイッチSW4を介してシミュレータ40に入力
される。さらに、振幅指令値A*、ゲインGc、制御対象
の定数C(共振周波数Fn、共振倍率Q´、慣性モーメ
ント比H0、周波数F0)、周波数F*、およびトルク加
振、速度加振のいずれの制御を行うかを示す切り換え信
号SSが制御装置1へ供給される。例えば、トルク加振
を行う場合には、切り換えスイッチSW1は1/GT´
側へ投入され、切り換えスイッチSW2は制御量aT
へ投入される。したがって、制御装置1へフィードバッ
クされる制御量aは「aT」、すなわち検出軸トルクと
なる。
【0083】そして、シミュレータ40では、制御対象
の定数Cとして供給される共振周波数Fn、共振倍率Q
´、慣性モーメント比H0、周波数F0、および指令値と
しての周波数F*に応じて、前述した数31に基づいて
制御対象のゲインGT´の逆数(1/GT´)を算出する
とともに、数32に基づいて制御対象のゲインGω´の
逆数(1/Gω´)を算出し、切り換えスイッチSW1
へ送出する。
【0084】この場合、切り換えスイッチSW1は1/
T´側へ投入されているので、偏差増幅器5へは逆数
(1/GT´)が供給される。そして、偏差増幅器5で
は、比例項のパラメータPおよび積分項のパラメータI
を、制御対象が周波数F*に応じてとり得るゲインGの
逆数(1/GT´)により制御し、これを乗算器5c,
5dへ供給する。したがって、偏差増幅器5のゲイン
は、シミュレータ40によって算出した逆数(1/GT
´)に応じて変更されるため、制御系の応答は、周波数
*に依存しない。
【0085】一方、速度加振を行う場合には、切り換え
信号SSによって、切り換えスイッチSW1は1/Gω
´側へ投入され、切り替えスイッチSW2は制御量aω
側へ投入される。したがって、制御装置1へフィードバ
ックされる制御量aは「aω」、すなわち検出軸角速度
となる。
【0086】一方、シミュレータ40では、制御対象の
定数Cとして供給される共振周波数Fn、共振倍率Q
´、慣性モーメント比H0、周波数F0、および指令値と
しての周波数F*に応じて、前述した数31に基づいて
制御対象のゲインGT´の逆数(1/GT´)を算出する
とともに、数32に基づいて制御対象のゲインGω´の
逆数(1/Gω´)を算出し、切り換えスイッチSW1
へ送出する。
【0087】この場合、切り換えスイッチSW1は1/
Gω´側へ投入されているので、偏差増幅器5へは逆数
(1/Gω´)が供給される。そして、偏差増幅器5で
は、比例項のパラメータPおよび積分項のパラメータI
を、制御対象が周波数F*に応じてとり得るゲインGω
の逆数(1/Gω´)により制御し、これを乗算器5
c,5dへ供給する。したがって、偏差増幅器5のゲイ
ンは、シミュレータ40によって算出した逆数(1/G
ω´)に応じて変更されるため、制御系の応答は、加振
周波数F*に依存しない。
【0088】(2)フィードバックの動作 共振倍率Q´を1または1を僅かに超える値となるよう
に微分ゲインD´を設定しているので、機械系の本来の
共振倍率Qに関わらず、制御系全体の共振倍率をほぼ1
にすることができ、これにより、機械系の共振が抑制さ
れる。
【0089】(3)具体的動作例 次に、機械系の定数が以下のような環境における具体的
な動作例について説明する。 モータ慣性モーメント JM=0.1875[Kgm2] うず電流計負荷慣性モーメント JL=0.525[Kgm2] 慣性モーメント比 HO=0.737 共振周波数 ωn=2π×85[rad/sec] 共振倍率 Q=10 ここで、数11、数14から計算した機械系の周波数応
答を図6、図8に示す。また、数21、数25から計算
した共振抑制系の周波数応答を図7、図9に示す。この
場合、共振倍率Q´=1とした。図6と図7の比較、お
よび図8と図9の比較から明らかなように、図6、図8
において示される共振部分は、図7、図9においては抑
制されている。
【0090】ところで、図9におけるゼロ点(加振が吸
収される点であり、この図の場合は43.6Hz)にお
いては、図8と較べて特性はほとんど変化していない。
これは、数25の分子に機械系の共振倍率Qが残ってい
るためである。したがって、シミュレータ40の演算で
ある数32において、Q=Q´とする設定が許容される
かどうか検討する必要がある。
【0091】ここで、数25においてQ=Q´=1と仮
定したときの周波数特性を図10に示す。これはシミュ
レータ40が認識する周波数特性であり、この周波数特
性は、図9と較べれば明らかであるが、ゼロ点付近の誤
差が大きく、この部分のゲインが大きくなっている。す
なわち、シミュレータ40が計算するゲインの方が実際
よりも大きくなっている。一方、偏差増幅器5(振幅抑
制アンプ)のゲインは(1/Gω´)に比例するから、
ゼロ点付近におけるゲインは小さくなる。したがって、
ゼロ点付近においては、振幅制御のループゲインが低下
するため、応答も低下する。そこで、この応答の低下が
許容できれば、Q´=Qと設定することができる。
【0092】通常、ゼロ点の速度加振は、加振が吸収さ
れるため不能となるから、この部分において振幅制御の
ループゲインが低下してもあまり問題はない。したがっ
て、Q´=Qと設定しても、実用上全く問題はなく、こ
のため、この実施例においては、Q=Q´として制御を
行っている。なお、ゼロ点において、速度加振を正確に
行うためには、数32の分子におけるQ´をQとする必
要がある。
【0093】(4)微分ゲインの算出 また、微分ゲイン演算器82では、共振周波数Fn、共
振倍率Q、共振倍率Q´から微分ゲインD´(またはW
D´)が数33(または数34)に従って算出され、微
分器80´に供給される。微分器80´では、上記微分
ゲイン演算器82によって計算された微分ゲインD´
(またはWD´)に基づいて、入力信号aTが微分され、
減算信号T´Dとして偏差検出点81にフィードバック
される。したがって、被試験体を変えた場合でも、微分
器80´の回路構成を変更することなく、自動的的に微
分ゲインD´(またはWD´)が変更できるので、容易
に再設定することができる。
【0094】一方、微分補償を行わない場合には、共振
抑制ON/OFF信号をオフとすることで、スイッチSW3が
開とされ、共振倍率QがスイッチSW4を介してシミュ
レータ40に入力される。この場合、シミュレータ40
では、共振倍率Q´に代えて、共振周波数Fn、共振倍
率Q、慣性モーメント比H0、周波数F0、および指令値
としての周波数F*に応じて、制御対象のゲインGT´の
逆数(1/GT´)を算出するとともに、制御対象のゲ
インGω´の逆数(1/Gω´)を算出する。また、微
分器80´から出力される減算信号T´Dは偏差検出点
81にフィードバックされないので、微分補償は行われ
ない。
【0095】F.実施例の変形例 (1)シミュレータは、実施例において示した構成に限
らない。例えば、本出願人が特願平6−76453号で
示した種々の構成が可能であり、要は、制御対象のゲイ
ン変化に応じてループゲインを調整できればよい。
【0096】(2)本実施例においては、図2に示すよ
うに、微分器80´の出力信号をスイッチを介して偏差
検出点81に供給しているので、スイッチSW3のオン
/オフにより、微分補償の有無を切り換えているが、切
換が不要な場合は、図1に示すように、スイッチを省略
してもよい。
【0097】(3)共振ゲインQ´は、1または1を若
干上回る値が好適であるが、制御系によっては他の値に
してもよい。
【0098】(4)制御系の応答が周波数によって変化
しない場合、あるいは、変化しても制御に悪影響がない
場合には、シミュレータを省略してもよい。図1に示す
構成においては、シミュレータ40、偏差増幅器5、乗
算器41を省いた構成にすればよい。
【0099】(5)微分補償による外乱防止だけを行う
こともできる。この場合には、図2に示す符号45,4
6,80´,81だけの構成とし、制御信号である操作
値b*(すなわち、T*)を何らかの手段によって作成し
て、偏差検出点81に与えればよい。
【0100】(6)実施例においては、トルク指令値と
して振幅指令値と周波数指令値に対応したトルク指令値
を用いたが、これに代えて、直流的なトルク指令値ある
いは直流と交流が混合されたトルク指令値を用いてもよ
い。
【0101】(7)また、上述した微分器80´はソフ
トウエアによって実現してもよい。このとき、微分ゲイ
ンを数33で示すD´とすると、(微分ゲインを数34
で示すWD´に比べて)、微分器80´に除算器を用い
なくてもよいので、演算速度を向上させることができ
る。
【0102】(8)微分器80´における微分ゲインW
D´は、コントロール信号C0〜C7のデジタル値に比
例しているので(図4参照)、図3に示すスイッチの数
を増やして、ビット数を多くすることにより、分解能を
上げるようにしてもよい。この結果、よりきめ細かく微
分ゲインを制御することができる。
【0103】
【発明の効果】以上、説明したように、この発明によれ
ば、機械系の特性を再設定するだけで、自動的に微分ゲ
インを再設定することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の原理的構成を示すブロッ
ク図である。
【図2】 本発明の一実施例の具体的構成を示すブロッ
ク線図である。
【図3】 同実施例の微分器の具体的構成を示す回路図
である。
【図4】 同実施例の微分器におけるコントロール信号
と微分ゲイン関係を示す概念図である。
【図5】 同実施例のシミュレータ40の構成を示すブ
ロック図である。
【図6】 同実施例の機械系の周波数特性を示す図であ
る。
【図7】 同実施例の共振抑制系の周波数特性を示す図
である。
【図8】 同実施例の機械系の周波数特性を示す図であ
る。
【図9】 同実施例の共振抑制系の周波数特性を示す図
である。
【図10】 同実施例においてQ=Q´としたときのシ
ミュレータの周波数特性を示す図である。
【図11】 2慣性ねじり振動系のモデル構成を示す概
念図である。
【図12】 図11に示す2慣性ねじり振動系の制御系
の構成を示すブロック図である。
【図13】 従来の振動制御装置の構成を示すブロック
図である。
【図14】 従来の振動制御装置の微分器の構成を示す
回路図である。
【符号の説明】
2 フーリエ変換器(フーリエ変換手段) 3 フーリエ逆変換器(フーリエ逆変換手段) 4 偏差検出器(偏差検出手段) 12 モータ(振動発生用モータ) 13 検出器(制御量検出手段) 14 駆動系(制御対象) 40 シミュレータ(利得制御手段、制御対象模擬手
段) 80´ 微分器(微分手段) 81 偏差検出点(微分偏差検出手段) 82 微分ゲイン演算器(微分ゲイン演算手段) SW2 スイッチ(選択手段)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トルク指令値に応じた駆動電流を振動発
    生用モータに供給する振動制御装置において、 前記振動発生用モータに接続された制御対象からトルク
    を制御量として検出するトルク検出手段と、 微分ゲインに従って前記制御量を微分する微分手段と、 トルク指令値から前記微分手段の出力信号を減算する微
    分偏差検出手段と、 制御対象の特性に基づいて、前記微分手段の微分ゲイン
    を算出し、前記微分手段に供給する微分ゲイン演算手段
    とを具備し、 前記微分偏差検出手段において得られる制御信号に応じ
    た駆動電流を前記振動発生用モータに供給することを特
    徴とする振動制御装置。
  2. 【請求項2】 振幅指令値と周波数指令値に対応した交
    流制御信号を発生し、この交流制御信号に応じた駆動電
    流を振動発生用モータに供給する振動制御装置におい
    て、 前記振動発生用モータに接続された制御対象からトルク
    を制御量として検出するトルク検出手段と、 前記制御量の振幅を算出するフーリエ変換手段と、 前記フーリエ変換手段が算出した振幅と前記振幅指令値
    との偏差を検出する偏差検出手段と、 前記周波数指令値および前記偏差検出手段の偏差に対応
    した交流制御信号を発生するフーリエ逆変換手段と、 微分ゲインに従って前記制御量を微分する微分手段と、 前記フーリエ逆変換手段の出力信号から前記微分手段の
    出力信号を減算する微分偏差検出手段と、 前記制御対象の特性に基づいて、前記微分手段の微分ゲ
    インを算出し、前記微分手段に供給する微分ゲイン演算
    手段とを具備し、 前記微分偏差検出手段において得られる交流制御信号に
    対応した駆動電流を前記振動発生用モータに供給するこ
    とを特徴とする振動制御装置。
  3. 【請求項3】 振幅指令値と周波数指令値に対応した交
    流制御信号を発生し、この交流制御信号に応じた駆動電
    流を振動発生用モータに供給する振動制御装置におい
    て、 前記振動発生用モータに接続された制御対象からトルク
    を制御量として検出するトルク検出手段と、 前記制御量の振幅を算出するフーリエ変換手段と、 前記フーリエ変換手段が算出した振幅と前記振幅指令値
    との偏差を検出する偏差検出手段と、 前記周波数指令値および前記偏差検出手段の偏差に対応
    した交流制御信号を発生するフーリエ逆変換手段と、 微分ゲインに従って前記制御量を微分する微分手段と、
    前記フーリエ逆変換手段の出力信号から前記微分手段の
    出力信号を減算する微分偏差検出手段と、 前記制御対象の前記周波数指令値に応じた利得特性の変
    化を打ち消すように、当該装置の利得を制御する利得制
    御手段と、 前記制御対象の特性に基づいて、前記微分手段の微分ゲ
    インを算出し、前記微分手段に供給する微分ゲイン演算
    手段とを具備し、 前記微分偏差検出手段において得られる交流制御信号に
    対応した駆動電流を前記振動発生用モータに供給するこ
    とを特徴とする振動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記利得制御手段は、前記制御対象の動
    作を決める定数と前記周波数指令値とから前記制御対象
    の利得を算出し、該制御対象の利得によって当該装置の
    利得を制御する制御対象模擬手段を有することを特徴と
    する請求項3記載の振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御対象の速度を検出する速度検出
    手段と、前記トルク検出手段および前記速度検出手段の
    いずれかの出力信号を選択して前記フーリエ変換手段に
    供給する選択手段とを有することを特徴とする請求項2
    〜4いずれかに記載の振動制御装置。
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RU2748326C1 (ru) * 2020-02-11 2021-05-24 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования Иркутский государственный университет путей сообщения (ФГБОУ ВО ИрГУПС) Система и способ управления амплитудой колебаний вибрационной технологической машины

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