JPH09327286A - 合成無機高分子系人工培地 - Google Patents

合成無機高分子系人工培地

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JPH09327286A
JPH09327286A JP15134096A JP15134096A JPH09327286A JP H09327286 A JPH09327286 A JP H09327286A JP 15134096 A JP15134096 A JP 15134096A JP 15134096 A JP15134096 A JP 15134096A JP H09327286 A JPH09327286 A JP H09327286A
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JP
Japan
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synthetic
medium
synthetic saponite
water
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Pending
Application number
JP15134096A
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English (en)
Inventor
Keisuke Kato
啓介 加藤
Touhou Kuwabara
東方 桑原
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Kunimine Industries Co Ltd
Original Assignee
Kunimine Industries Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性が高く、低濃度の合成サポナイトで高
いゲル強度を示し、チクソトロピー性が高い人工培地を
提供する。 【解決手段】 3−八面体型スメクタイト構造を有する
合成サポナイトを水性媒体中にコロイド状に分散させて
なる合成無機高分子系人工培地。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無菌培養や組織培
養に必要な人工培地の床材に関し、より詳細には、合成
サポナイトを水性媒体中にコロイド状に分散させた合成
無機高分子系人工培地に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、動物あるいは植物の組織培養
に使用されてきた固定床人工培地の床材としては、寒天
が一般に多用されてきた。また、寒天以外にも種々の有
機系化合物や無機系化合物があり、例えば、海草より精
製したカラギーナンとガラクトマンナンの組み合わせや
水酸化アルミニウム、水酸化鉄、ベントナイト、合成ヘ
クトライト、合成スチブンサイト等を人工培地として使
用することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】寒天は古くより人工培
地として、一般的に使用されてきた。しかし、寒天を人
工培地として用いる時は、透明度、溶解性、経時変化
(酸化や腐敗など)、価格等の点で問題があり、特に透
明性のある培地を必要とする時は苦慮しており、バイオ
テクノロジーの進歩とともにその改良が求められてい
た。また、他の有機系の化合物を用いた人工培地では、
培地の熱処理として高温高圧下で行われる滅菌操作が必
要であり、この条件に有機系化合物は弱く、また、酸化
や腐敗などに対しても劣化が激しく、さらに乾燥等の条
件下における保水性にも劣る。したがって、これら有機
物系化合物には長期にわたる安定した人工培地を期待す
ることはできない。
【0004】一方、ベントナイトは、天然に産出する鉱
物であり、膨潤性のある無機系化合物として知られてい
るが、天然品であるがためにさまざまな不特定な不純物
の混入は避けられない。しかも、このベントナイトを水
に分散させる時は、ベントナイトに水不溶性化合物が含
有されていることから水不溶性化合物が懸濁してしま
い、透明性のある培地床材が得られず、しかも色調の点
でも劣る。さらに、ベントナイトの水分散液は比較的大
きい増粘性は示すが、レオロジー特性の一つであるチク
ソトロピー性にやや劣るという問題がある。
【0005】一方、保水性に優れた無機系化合物として
ヘクトライトやスチブンサイトおよびサポナイト等の層
状化合物が知られている。これら層状化合物であるスメ
クタイト鉱物の水分散液は、透明性およびチクソトロピ
ー特性では優れているが、天然に産出するため、鉄やマ
ンガン等の着色成分を含有しており、培地に対する不純
成分の混入やそれに伴う着色性の点で満足の行くもので
はない。スメクタイトを主成分とする天然ベントナイト
は、特異な性質を有しているが、白色度が劣り、不純物
を含有し、化学組成が一定でない欠点がある。また、合
成スメクタイトとしては既に種々の方法で合成された鉱
物が知られている。例えば、セピオライト−水系を熱処
理して、スチブンサイトが合成されるが、この合成法で
は未反応のセピオライトがかなりの量で含まれており、
人工培地としては適当でない。しかも、これら合成スメ
クタイトは1価金属成分としてリチウムやカリウム、な
らびにアニオン成分としてフッ素イオンを必須成分とし
て含有している。これらリチウム、カリウム、フッ素等
のイオンは培養しようとする生物体もしくは組織体へ悪
影響を及ぼすことが一般に知られており、人工培地に使
用することは有効でない。したがって、人工培地に採用
する材料としては、こうした生物体もしくは組織体へ悪
影響を及ぼすような元素成分を含有していない安全で安
定した、上記の問題点を解決した無機系化合物が求めら
れていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
事実に鑑み、鋭意研究した結果、実質上、ナトリウム、
マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、水素および酸素
原子のみから構成される層状化合物を水にコロイド状に
分散せしめ、人工培地の床材とすることによって、透明
性に優れ、上述した従来の人工培地の問題点が解決さ
れ、安全な合成無機高分子系人工培地が得られることを
見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は (1)3−八面体型スメクタイト構造を有する合成サポ
ナイトを水性媒体中にコロイド状に分散させてなること
を特徴とする合成無機高分子系人工培地、及び (2)合成サポナイトが一般式 [(OH)4(Si8-a Ala)(Mg6-b Alb)・O20]-
・Na+ (a-b) (式中、aは7以下の数を、bは5以下の数を示し、a
−b>0である。)で表わされる化学組成を有する請求
項1記載の合成無機高分子系人工培地を提供するもので
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる合成サポナイトは
理想的には、一般式 [(OH)4(Si8-a Ala)(Mg6-b Alb)・O20]-
・Na+ (a-b) (式中、aは7以下の数を、bは5以下の数を示し、a
−b>0である。)で表わされる化学組成を有する3−
八面体型スメクタイト鉱物粉末として提供される。本発
明による3−八面体型スメクタイト構造を有する合成サ
ポナイトのX線回折スペクトルを図1に示す。図1のX
線回折スペクトルから合成サポナイトは典型的な3−八
面体スメクタイトの反射ピークを示しており、他の結晶
性夾雑物の存在は認められないことが分かる。本発明に
おいて合成サポナイトを水または水混和性有機溶媒を用
いて通常、濃度0.5重量%以上、好ましくは1〜10
重量%に調製したものを人工培地とする。
【0008】合成サポナイトを水あるいは水混和性有機
溶媒と混合させ、チクソトロピー特性を発揮させるため
には、これらの水性媒体と十分混合し、コロイド状分散
液とすることが重要である。コロイド状分散液とするに
は、常温または加熱下で、攪拌等の常法手段を用いて行
うことができる。また、培地に要求される加熱加圧下で
の滅菌操作と同時に行うこともできる。一般的に攪拌の
温度は常温から250℃の範囲が好ましく、攪拌時間は
5分から180分の範囲がよい。コロイド状分散液は、
5分以上静置しておくことにより、ゲル状態にすること
ができる。合成サポナイトの水または水混和性有機溶媒
の分散液は、スメクタイト特有のカードハウス構造によ
り著しいチクソトロピー性を呈し、例えば3.5重量%
の分散液で25,000cp以上の高粘性を発揮するた
め、培地用としては使用量が少量で済み、より経済的で
ある。
【0009】本発明において、合成サポナイトを水ある
いは水混和性有機溶媒の混合液と混合する際、水溶性重
合体を組み合わせて使用すると、チクソトロピー特性を
高めることもできる。合成サポナイトと水溶性重合体と
の組み合わせ比率は、自由に変化させることができる
が、一般には10:0〜3:7、好ましくは9:1〜
4:6である。また、本発明の合成無機高分子系人工培
地は、無菌培養や組織培養の床材として用いる時には、
必要に応じて他のゲル化剤、増量剤、栄養成分等を含有
することができる。この合成サポナイトを水あるいは水
混和性有機溶剤のような水性媒体中に混合分散したコロ
イド状分散液は、ゲル状人工培地として、透明性に優
れ、かつ、ゲル状態が安定していることから、各種の細
菌、酵母、かび類の培養および保存用、動物および植物
の細胞培養、植物の育生、胚、器官、組織等の培養や各
種病理研究用等の床材として、使用することができる。
【0010】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。なお、実施例及び比較例で得られた培地に
ついて、次の方法に従って、透明度、経時変化及びチク
ソトロピー性を試験した。 [経時変化]人工培地を10日間25℃で放置した時
の、培地におけるひび割れの有無をみた。ひび割れが発
生しないものを○、発生したものを×とした。 [透明度]合成サポナイト1.0gを100mlの蒸留
水に分散させた後、分光光度計(U−3200型、日立
製作所(株)製)で、波長500nmの透過度を測定し
た。 [チクソトロピー性]合成サポナイト3.0gを100
mlの蒸留水に分散させた時の流動性と30分放置後の
ゲル状態、およびゲルに振動を与えて流動性が可逆的に
回復するかを観察した。
【0011】実施例1 水100mlに合成サポナイト(クニミネ工業(株)
製、商品名スメクトンSA)4gを加え攪拌し、さらに
リン酸(和光純薬工業(株)製)0.2gを加えて人工
培地とした。得られた人工培地について、透明度、経時
変化、チクソトロピー性を調べた。その結果を表1に示
す。ゲルの状態および透明性とも優れていることがわか
る。さらに攪拌し、30分放置後は、組織培養培地とし
て良好なゲルを有することが確認できた。この人工培地
を10日間25℃に保持して組織培養を行い、その培養
状態を観察した。その結果、培地がひび割れせず、透明
であるため、根の発育状態の観察が細部まで容易であ
り、合成サポナイトからなる人工培地の優位性が認めら
れた。
【0012】実施例2 実施例1の合成サポナイト3gを100mlの水に加え
攪拌した後、水溶性重合体(第一工業製薬社製、商品名
DK−ハイポリマー300)1gを加え、攪拌し、さら
にリン酸(和光純薬工業(株)製)0.2gを加えて人
工培地を得た。実施例1と同様にゲル状態と液状態を可
逆的に選択して形成することが確認された。さらに攪拌
し、30分放置後は種発芽用培地として良好なゲル強度
を有することが確認できた。この人工培地にかいわれ大
根の種子を蒔き、8日間20℃に保持してかいわれ大根
の発芽状態を確認した。発芽した葉は、人工培地上で約
6cmに生育し、生長しても倒れることなく、順調に生
育していく状態がよく観察できた。この人工培地の物性
を試験し、その結果を表1に示した。
【0013】比較例 粉末状寒天(和光純薬工業(株)製)10gに水150
mlを加え、加熱攪拌し、均一に溶解した。さらに水を
加えて全量を250mlとして、比較培地とした。この
人工培地の物性を試験し、その結果を表1に示した。
【0014】
【表1】
【0015】実施例3 水100mlに実施例1で用いたと同様の合成サポナイ
ト2.5gを加え攪拌して人工培地とした。比較のため
に合成サポナイトの代りに合成ヘクトライト(市販品、
A社製品)又は合成スチブンサイト(市販品、B社製
品)を用いた以外は上記と全く同様にして人工培地を調
製した。これらのレオロジー特性を測定し、この結果を
表2に示した。
【0016】
【表2】
【0017】表2の結果より明らかなように、本発明の
培地は従来品に比べ、見掛け粘度及びゲル強度ともに著
しく優れている。
【0018】
【発明の効果】本発明の人工培地は透明性が高く、低濃
度の合成サポナイトで高いゲル強度を示し、また、チク
ソトロピー性が高いという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる3−八面体型スメクタイト
構造を有する合成サポナイトのX線回折スペクトルであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−八面体型スメクタイト構造を有する
    合成サポナイトを水性媒体中にコロイド状に分散させて
    なることを特徴とする合成無機高分子系人工培地。
  2. 【請求項2】 合成サポナイトが一般式 [(OH)4(Si8-a Ala)(Mg6-b Alb)・O20]-
    ・Na+ (a-b) (式中、aは7以下の数を、bは5以下の数を示し、a
    −b>0である。)で表わされる化学組成を有する請求
    項1記載の合成無機高分子系人工培地。
JP15134096A 1996-06-12 1996-06-12 合成無機高分子系人工培地 Pending JPH09327286A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006325461A (ja) * 2005-05-25 2006-12-07 Kawamura Inst Of Chem Res クレイヒドロゲルからなる細胞培養基材
JP2017536135A (ja) * 2014-11-25 2017-12-07 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 微生物を増殖又は貯蔵するためのデバイス及びキット、並びにその製造及び使用方法

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