JPH0932573A - チェーンガイド構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 チェーンガイド構造を簡素化する。 【構成】 チェーン４の張り側部分４ａに摺接するチェ
ーンガイド５を備え、シリンダブロック１にチェーンガ
イド５を嵌合させる支持溝３０を形成し、フロントカバ
ー２にチェーンガイド５に当接する当接面３７を形成
し、チェーンガイド５が支持溝３０から抜けないように
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、チェーンガイド構
造の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エンジン等に備えられるチェーンガイド
構造は、チェーンの張り側部分に摺接する樹脂製チェー
ンガイドをチャンネル部材やボルト等を介してエンジン
本体に締結している(特開昭５８−７４９４０号公報、
参照)。

【０００３】従来のエンジンに備えられるチェーンガイ
ド構造として、例えば図７に示すようなものがある。

【０００４】これについて説明すると、チェーン６６
は、クランクスプロケット６３とカムスプロケット６４
に掛け回されて、クランクシャフトの回転力をカムシャ
フトに伝達する。

【０００５】チェーン６６のクランクスプロケット６３
から送られる緩み側部分６６ｂに摺接する可動チェーン
ガイド６９が設けられる。可動チェーンガイド７０はチ
ェーンテンショナ７０を介してチェーン６６に圧し当て
られ、チェーン６６に所定の張力を付与する。チェーン
６６のクランクスプロケット６３に向かう張り側部分６
６ａに摺接するチェーンガイド６８が設けられ、チェー
ン６６の循環軌道を規制している。

【０００６】チェーンガイド６８の支持構造としては、
例えば図８に示すように、チェーンガイド６８が固定さ
れるチャンネル部材７２が設けられ、このチャンネル部
材７２が複数のボルト７３を介してシリンダブロック６
０に締結される。

【０００７】シリンダブロック６０にフロントカバー６
７が複数のボルト６５を介して締結され、チェーン室７
１を画成している。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のチェーンガイド構造にあっては、チェーン６
６の張り側部分６６ａからチェーンガイド６８に作用す
る荷重に対して十分な支持剛性を確保する必要があり、
チェーンガイド６８を支持するチャンネル部材７２等が
大型化して、エンジンの重量増大を招くという問題点が
ある。

【０００９】また、チェーンガイド６８の組み立て時
に、ボルト７３等をシリンダブロック６０に螺合させる
必要があり、組み立て分解作業性に改善の余地がある。

【００１０】本発明は上記の問題点を解消し、チェーン
ガイド構造を簡素化することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載のチェー
ンガイド構造は、複数のスプロケットに掛け回されて回
転力を伝達するチェーンと、スプロケットおよびチェー
ンが配設される本体と、本体に取付けられてチェーンを
収装するチェーン室を画成するカバーと、チェーンの張
り側部分に摺接するチェーンガイドと、チェーンガイド
を嵌合させるように本体に凹状に窪んで形成される支持
溝と、チェーンガイドが支持溝から抜けないようにチェ
ーンガイドに対峙するカバーの当接面と、を備える。

【００１２】請求項２に記載のチェーンガイド構造は、
エンジンの回転力を取り出すクランクシャフトと、弁を
開閉駆動するカムシャフトと、クランクシャフトの回転
力をカムシャフトに伝達するチェーンと、エンジン本体
に取付けられてチェーン室を画成するフロントカバー
と、チェーンのクランクシャフト側に向かう張り側部分
に摺接するチェーンガイドと、を備えるエンジンにおい
て、前記チェーンガイドを嵌合させるようにエンジン本
体に凹状に窪んで形成される支持溝と、チェーンガイド
が支持溝から抜けないようにチェーンガイドに対峙する
フロントカバーの当接面と、を備える。

【００１３】請求項３に記載のチェーンガイド構造は、
請求項１または２に記載の発明において、前記チェーン
ガイドは、チェーンに摺接するシュー壁部と、チェーン
に間隙をもって対峙するガイド壁部と、シュー壁部とガ
イド壁部をコの字形の断面をもって結ぶビーム部とを有
し、これらを樹脂を材質として一体形成する。

【００１４】請求項４に記載のチェーンガイド構造は、
請求項１から３のいずか一つに記載の発明において、前
記シュー壁部の肉厚をガイド壁部より大きく形成する。

【００１５】請求項５に記載のチェーンガイド構造は、
請求項１から４のいずか一つに記載の発明において、前
記シュー壁部が当接する支持溝の溝壁面をチェーンのロ
ーラ幅を二等分する走行中心線と交差するように形成す
る。

【００１６】請求項６に記載のチェーンガイド構造は、
請求項１から５のいずか一つに記載の発明において、前
記チェーンガイドのシュー壁部に支持溝の溝壁面に向け
て突出する突起を形成し、支持溝の底壁面に突起を嵌合
させる凹部を形成する。

【００１７】請求項７に記載のチェーンガイド構造は、
請求項１から６のいずか一つに記載の発明において、前
記本体にフロントカバーを接合させる取付座を一体形成
し、シュー壁部が当接する支持溝の溝壁面を取付座に連
接して一体形成する。

【００１８】請求項８に記載のチェーンガイド構造は、
請求項１から７のいずか一つに記載の発明において、前
記本体に支持溝の開口端に連接するガイドリブを突出さ
せ、ガイドリブの上面を支持溝の開口端に向けて次第に
下降するように傾斜させる。

【００１９】請求項９に記載のチェーンガイド構造は、
請求項８に記載の発明において、前記支持溝のチェーン
に間隙を持って対峙するガイド壁面がガイドリブの下端
に連接するように、ガイド壁部の上端部をテーパ状に形
成する。

【００２０】

【作用】請求項１に記載のチェーンガイド構造におい
て、各スプロケットに掛け回されて循環するチェーン
は、その張り側部分がチェーンガイドに摺接することに
より、その循環軌道が本体に対して規制される。

【００２１】チェーンガイドが本体に凹状に窪んだ支持
溝に嵌合することにより、チェーンからチェーンガイド
に働く荷重に対する支持剛性は、本体の剛性に依存して
十分に確保される。

【００２２】チェーンガイドはカバーに対峙して支持溝
から抜けない構造のため、チェーンガイドと本体の間に
チャンネル部材やボルト等を設ける必要がなく、構造の
簡素化がはかれるとともに、組み立て分解作業性を改善
することができる。

【００２３】請求項２に記載のチェーンガイド構造にお
いて、エンジン運転中は、クランクシャフトの回転に伴
い、クランクスプロケットに掛け回されるチェーンが循
環してカムシャフトを回転し、カムシャフトの回転によ
って吸・排気弁が開閉駆動される。

【００２４】チェーンは、その張り側部分がチェーンガ
イドに摺接することにより、循環軌道がエンジン本体に
対して規制される。

【００２５】チェーンガイドがエンジン本体に凹状に窪
んだ支持溝に嵌合することにより、チェーンからチェー
ンガイドに働く荷重に対する支持剛性は、エンジン本体
の剛性に依存して十分に確保される。

【００２６】チェーンガイドはフロントカバーに対峙し
て支持溝から抜けない構造のため、チェーンガイドとエ
ンジン本体の間にチャンネル部材やボルト等を設ける必
要がなく、構造の簡素化がはかれるとともに、組み立て
分解作業性を改善することができる。

【００２７】請求項３に記載のチェーンガイド構造にお
いて、チェーンガイドは、シュー壁部とガイド壁部およ
びビーム部材をコの字形の断面をもって一体形成する構
造により、チェーンガイドを構成する部品点数を最小限
に抑えられる。

【００２８】シュー壁部が支持溝の溝壁面に当接するこ
とにより、チェーンからチェーンガイドに働く荷重はシ
ュー壁部の圧縮応力として作用するため、ビーム部やガ
イド壁部に作用する曲げ応力および引張応力を低減し、
樹脂製チェーンガイドの強度が十分に確保される。

【００２９】請求項４に記載のチェーンガイド構造にお
いて、チェーンからの荷重が働くシュー壁部の肉厚をガ
イド壁部より大きく形成することにより、チェーンガイ
ドの大型化を抑えつつ、樹脂製チェーンガイドの強度を
確保できる。

【００３０】請求項５に記載のチェーンガイド構造にお
いて、シュー壁部が当接する支持溝の溝壁面をチェーン
のローラ幅を二等分する走行中心線と交差させる構造に
より、チェーンの半分以上の部位がシュー壁部を介して
本体の溝壁面に支持され、チェーンからチェーンガイド
に働く荷重は、シュー壁部の圧縮応力として作用し、ビ
ーム部やガイド壁部に作用する曲げ応力および引張応力
を低減し、樹脂製チェーンガイドの強度を十分に確保で
きる。

【００３１】請求項６に記載のチェーンガイド構造にお
いて、チェーンガイドの突起が支持溝の凹部に嵌合する
ことにより、チェーンガイドが支持溝に対してチェーン
の摺動方向に移動することが規制され、チェーンガイド
とシリンダブロックの間に位置決め用のピン等を設ける
必要がなく、構造の簡素化がはかれる。

【００３２】シュー壁部に突起が形成されることによ
り、チェーンからチェーンガイドに働く荷重はシュー壁
部の圧縮応力として作用するため、ビーム部やガイド壁
部に作用する曲げ応力および引張応力を低減し、樹脂製
チェーンガイドの強度が十分に確保される。

【００３３】請求項７に記載のチェーンガイド構造にお
いて、シュー壁部を当接させる溝壁面は、剛性の高い本
体の取付座に連接して一体形成される構造により、チェ
ーンからチェーンガイドに働く荷重に対する支持剛性
は、取付座の剛性に依存して、本体の重量増加を抑えつ
つ、チェーンガイドに対する支持剛性を十分に確保する
ことができる。

【００３４】請求項８に記載のチェーンガイド構造にお
いて、チェーン室を通って流下するオイルの一部は、チ
ェーン室に突出したガイドリブの上面に沿って支持溝へ
と流下し、支持溝に収装されたチェーンガイドに導か
れ、チェーンガイドとチェーンの摺接部を潤滑し、フリ
クションの低減がはかれる。

【００３５】請求項９に記載のチェーンガイド構造にお
いて、ガイド壁部の上端部をテーパ状に形成され、支持
溝のチェーンに間隙を持って対峙するガイド壁面がガイ
ドリブの下端に連接するため、オイルが支持溝からガイ
ド壁面に沿って流下し、ガイドリブとチェーンの間に導
かれることを促し、チェーンとチェーンガイドの摺接部
に対するオイルの供給量が十分に確保され、フリクショ
ンの低減がはかれるとともに、チェーンガイドの摩耗を
抑えられる。

【００３６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。

【００３７】図１に示すように、シリンダブロック１に
はエンジン回転力を取り出すクランクシャフトが回転自
在に支承され、クランクシャフトの前端にはクランクス
プロケット３が連結される。

【００３８】シリンダヘッド９上には吸気弁を開閉駆動
するカムシャフトと、排気弁を開閉駆動するカムシャフ
トがそれぞれ回転自在に支承され、各カムシャフトの前
端にはカムスプロケット１３,１４が連結される。

【００３９】各スプロケット３,１３,１４に渡ってチェ
ーン４が掛け回される。チェーン４は、図中白抜き矢印
で示すように、クランクスプロケット３から吸気弁側カ
ムスプロケット１３、排気弁側カムスプロケット１４へ
と循環し、クランクシャフトの回転力を１/２の回転速
度に減速して各カムシャフトに伝達する。

【００４０】チェーン４はクランクスプロケット３から
吸気カムスプロケット１３に送られ緩み側部分４ｃと、
吸気カムスプロケット１３から排気カムスプロケット１
４に向かう張り側部分４bと、排気カムスプロケット１
４からクランクスプロケット３に向かう張り側部分４ａ
とに区分される。

【００４１】排気カムスプロケット１４とクランクスプ
ロケット３の間に位置するチェーン４の張り側部分４a
を挿通させるチェーンガイド５が設けられる。

【００４２】チェーンガイド５は、チェーン４に摺接す
るシュー壁面６と、チェーン４に所定の間隙をもって対
峙するガイド壁面７とが互いに向かい合い、チェーン４
の軌道を限定する。

【００４３】シュー壁面６は所定の曲率Ｒを持って湾曲
し、その中央部が両端部より強くチェーン４に押し付け
られようになっている。

【００４４】クランクスプロケット２と吸気カムスプロ
ケット１３の間に位置するチェーン４の緩み側部分４c
に押し付けられる可動チェーンガイド１０が設けられ、
チェーン４に所定の張力を付与している。可動チェーン
ガイド１０は弓状に湾曲し、その下端が軸１６を介して
回動可能にシリンダブロック１に連結される。可動チェ
ーンガイド１０は図示しないチェーンテンショナによっ
てチェーン４に押し付けられる。

【００４５】シリンダブロック１の前壁には、エンジン
冷却水を吐出するウォータポンプのポンプハウジング２
９が、可動チェーンガイド４の外側に位置して形成され
る。

【００４６】弓状に湾曲する可動チェーンガイド１０を
介してチェーン４の緩み側部分４ｃを、直線状に張られ
るチェーン４の張り側部分４ａに近付けることにより、
シリンダブロック１におけるチェーン４の緩み側部分４
ｃの背面側にウォータポンプのポンプハウジング２９を
設けるスペースを確保することが可能となり、ウォータ
ポンプがシリンダブロック１の側方に大きく突出するこ
とを回避できる。

【００４７】また、チェーン４の緩み側４ｃを張り側４
ａに近付けることにより、フロントカバー２の上部横巾
を小さくして、エンジンの軽量化および小型化がはかれ
るとともに、フロントカバー２自体の剛性を高めてエン
ジン運転中にフロントカバー２に発生する振動や騒音を
低減できる。

【００４８】シリンダヘッド９上には、図示しないヘッ
ドカバーを介して動弁室が画成される。動弁室に各カム
シャフトおよび吸・排気弁等の動弁機構が収装される。

【００４９】シリンダブロック１の下部に図示しないオ
イルパンが取付けられる。オイルパンにはエンジンの各
部を循環するオイルが貯溜される。

【００５０】図２に示すように、シリンダブロック１の
前壁にはチェーン室１５を画成するフロントカバー２が
取付けられる。シリンダブロック１にはフロントカバー
２を接合させる取付座２３が一体形成される。取付座２
３にはフロントカバー２を締結するボルト２５を螺合さ
せる複数のネジ孔２４が形成される。

【００５１】図４、図５、図６に示すように、コの字形
断面を持つチェーンガイド５は、シュー壁面６を有する
シュー壁部４１と、ガイド壁面７を有するガイド壁部４
２と、両者をその前端で結ぶビーム部４３とを有し、こ
れらが合成樹脂を材質として一体形成される。

【００５２】そして本発明の要旨とするところである
が、シリンダブロック１の前壁にはチェーンガイド８を
嵌合させる支持溝３０が形成され、チェーンガイド５は
フロントカバー２に当接して支持溝３０からの抜け止め
がはかられる。

【００５３】支持溝３０は、チェーンガイド５のシュー
壁部４１に当接する左溝壁面３１と、チェーンガイド５
のガイド壁部４２に当接する右溝壁面３２と、シュー壁
部４１およびガイド壁部４２の後端面に当接する底壁面
３３とを有する。

【００５４】シュー壁面６の背後に位置してチェーンガ
イド５のシュー壁部４１を当接させる左溝壁面３１は、
シリンダブロック１のフロントカバー２に対する取付座
２３に連接して一体形成される。

【００５５】チェーンガイド５は、シュー壁面６を有す
るシュー壁部４１の肉厚を、ガイド壁面７を有するガイ
ド壁部４２の肉厚より大きく形成する。

【００５６】図２において、線分Ｄはチェーン４の走行
中心線であり、チェーン４のローラ幅を二等分する。支
持溝３０の左溝壁面３１は、チェーン４の走行中心線Ｄ
より前方に位置するように形成される。すなわち、チェ
ーン４の半分以上の部位がチェーンガイド５を介してシ
リンダブロック１の左溝壁面３１に支持されるようにな
っている。

【００５７】支持溝３０の左溝壁面３１と右溝壁面３２
とは、互いに平行に延びる平面状に形成される。

【００５８】チェーンガイド５にはシュー壁部４１の後
端面から円柱状に突出する突起３５が形成される一方、
支持溝３０の底壁面３３に突起３５を嵌合させる凹部
（穴）３６が形成される。これによりチェーンガイド５
が支持溝３０に対してチェーン４の摺動方向に移動する
ことが規制される。

【００５９】チェーンガイド５のビーム部４３の前面に
フロントカバー２が接合する。フロントカバー２にはチ
ェーンガイド５に対する当接面３７が一体形成される。
当接面３７がチェーンガイド５に当接することにより、
チェーンガイド５が支持溝３０から抜ける前方に移動す
ることが規制される。

【００６０】チェーンガイド５の前方角部を削除するよ
うに長手方向に延びる凹部３８が形成される。これによ
り、フロントカバー２がチェーンガイド５の前方角部に
当たってシリンダブロック１の取付座２３から浮き上が
ることを回避する。

【００６１】図３にも示すように、シリンダヘッド９の
前壁にはガイドリブ５１が前方に突出して形成され、ガ
イドリブ５１を介してオイルをチェーンガイド５の支持
溝３０に導くようになっている。

【００６２】ガイドリブ５１はシリンダヘッド１の前壁
から三角形の板状に突出する。ガイドリブ５１の上面５
２は、支持溝３０に向けて次第に下降するように傾斜し
て形成される。

【００６３】支持溝３０のガイド壁面７は、シリンダヘ
ッド１のガイドリブ５１の下端に連接するように湾曲し
て形成される。したがって、ガイド壁部４２の上端部４
６はテーパ状に形成されている。

【００６４】以上のように構成され、次に作用について
説明する。

【００６５】エンジン運転中は、クランクシャフトの回
転に伴い、チェーン４が各カムスプロケット１３，１４
に渡って循環し、各カムシャフトが回転駆動される。

【００６６】エンジン運転中は、オイルポンプから吐出
するオイルが各カムシャフト等の動弁機構に供給され、
動弁機構を潤滑した後にシリンダヘッド９上に流下す
る。シリンダヘッド９上に流下したオイルの一部は、チ
ェーン室１５と図示しないオイル落とし穴を通ってオイ
ルパンへと戻される。

【００６７】チェーン室１５を通って流下するオイルの
一部は、チェーン室１５に突出したガイドリブ５１の上
面５２に沿って流下して、支持溝３０に導かれる。

【００６８】ガイド壁部４２の上端部４６はテーパー状
に形成され、ガイド壁面７はシリンガイドリブ５１の下
端に連接するように湾曲して形成されているため、オイ
ルがガイドリブ５１からガイド壁面７とチェーン４の間
に流下することを促し、チェーン４とチェーンガイド５
の摺接部に対するオイルの供給量が十分に確保され、フ
リクションの低減がはかれるとともに、チェーンガイド
５の摩耗が抑えられる。

【００６９】チェーンガイド５は、シリンダブロック１
の前壁に形成された支持溝３０に嵌合し、そのビーム部
４３がフロントカバー２の当接面３７に当接して支持溝
３０から抜けない構造により、チェーンガイド５をシリ
ンダヘッド９に締結するためのチャンネル部材やボルト
等が不要となり、構造の簡素化がはかれ、組み立て分解
作業性を改善することができる。

【００７０】チェーンガイド５の後端面から突出する突
起３５が、支持溝３０の底壁面３３に窪む凹部３６に嵌
合することにより、チェーンガイド５が支持溝３０に対
してチェーン４の摺動方向に移動することが規制され、
チェーンガイド５とシリンダブロック１の間に位置決め
用のピン等を設ける必要がなく、構造の簡素化がはかれ
る。

【００７１】シュー壁部４１に突起３５が形成されるこ
とにより、チェーン４からチェーンガイド５に働く荷重
はシュー壁部６の圧縮応力として作用するため、ビーム
部４３やガイド壁部４２に作用する引張応力および曲げ
応力を低減し、樹脂製チェーンガイド５の強度が十分に
確保される。

【００７２】シュー壁面６の背後に位置してチェーンガ
イド５のシュー壁部４１を当接させる左溝壁面３１は、
剛性の高いフロントカバー２に対する取付座２３に連接
して一体形成される構造により、シリンダブロック１の
重量増加を抑えつつ、チェーンガイド５に対する支持剛
性を十分に確保することができる。

【００７３】チェーンガイド５は、シュー壁面６を有す
るシュー壁部４１の肉厚を、ガイド壁面７を有するガイ
ド壁部４２の肉厚より大きく形成することにより、チェ
ーンガイド５の大型化を抑えつつ、十分な強度を確保す
ることができる。

【００７４】チェーン４の張り側部分４ａからチェーン
ガイド５のシュー壁面６に作用する荷重が、チェーン４
の走行中心線Ｄに沿ってチェーン４の法線方向に作用す
る。

【００７５】支持溝３０の左溝壁面３１は、チェーン４
の走行中心線Ｄと交差するように形成され、チェーン４
の半分以上の部位がシュー壁部４１を介してシリンダブ
ロック１の左溝壁面３１に支持される構造により、チェ
ーン４からチェーンガイド５に働く荷重は、シュー壁部
４１の圧縮応力として作用し、ビーム部４３やガイド壁
部４２に作用する曲げ応力および引張応力を低減し、樹
脂製チェーンガイド５の強度が十分に確保される。

【００７６】

【発明の効果】以上説明したように請求項１に記載のチ
ェーンガイド構造は、チェーンガイドが本体に凹状に窪
んだ支持溝に嵌合する構造により、チェーンからチェー
ンガイドに働く荷重に対する支持剛性が十分に確保され
るとともに、チェーンガイドがカバーに対峙して支持溝
から抜けない構造により、チェーンガイドと本体の間に
チャンネル部材やボルト等を設ける必要がなく、構造の
簡素化がはかれるとともに、組み立て分解作業性を改善
することができる。

【００７７】請求項２に記載のチェーンガイド構造は、
チェーンガイドがエンジン本体に凹状に窪んだ支持溝に
嵌合する構造により、チェーンからチェーンガイドに働
く荷重に対する支持剛性が十分に確保されるとともに、
チェーンガイドがフロントカバーに対峙して支持溝から
抜けない構造のため、チェーンガイドとエンジン本体の
間にチャンネル部材やボルト等を設ける必要がなく、構
造の簡素化がはかれるとともに、組み立て分解作業性を
改善することができる。

【００７８】請求項３に記載のチェーンガイド構造は、
チェーンガイドにシュー壁部とガイド壁部およびビーム
部材をコの字形の断面をもって一体形成する構造によ
り、チェーンガイドを構成する部品点数を最小限に抑え
られる。また、チェーンからチェーンガイドに働く荷重
はシュー壁部の圧縮応力として作用するため、ビーム部
やガイド壁部に作用する曲げ応力および引張応力を低減
し、樹脂製チェーンガイドの強度が十分に確保される。

【００７９】請求項４に記載のチェーンガイド構造は、
チェーンからの荷重が働くシュー壁部の肉厚をガイド壁
部より大きく形成することにより、チェーンガイドの大
型化を抑えつつ、樹脂製チェーンガイドの強度を確保で
きる。

【００８０】請求項５に記載のチェーンガイド構造は、
シュー壁部が当接する支持溝の溝壁面をチェーンのロー
ラ幅を二等分する走行中心線と交差させる構造により、
チェーンの半分以上の部位がシュー壁部を介して本体の
溝壁面に支持され、樹脂製チェーンガイドの強度を十分
に確保できる。

【００８１】請求項６に記載のチェーンガイド構造は、
チェーンガイドのシュー壁部から突出する突起が支持溝
の凹部に嵌合することにより、チェーンガイドが支持溝
に対してチェーンの摺動方向に移動することが規制さ
れ、チェーンガイドとシリンダブロックの間に位置決め
用のピン等を設ける必要がなく、構造の簡素化がはかれ
る。

【００８２】請求項７に記載のチェーンガイド構造は、
シュー壁部を当接させる溝壁面が、剛性の高い本体の取
付座に連接して一体形成される構造により、本体の重量
増加を抑えつつ、チェーンガイドに対する支持剛性を十
分に確保することができる。

【００８３】請求項８に記載のチェーンガイド構造は、
チェーン室を通って流下するオイルの一部が、チェーン
室に突出したガイドリブの上面に沿って支持溝へと流下
し、支持溝に収装されたチェーンガイドに導かれ、チェ
ーンガイドとチェーンの摺接部を潤滑し、フリクション
の低減がはかれる。

【００８４】請求項９に記載のチェーンガイド構造は、
ガイド壁部の上端部をテーパ状に形成され、支持溝のチ
ェーンに間隙を持って対峙するガイド壁面がガイドリブ
の下端に連接するため、オイルが支持溝からガイド壁面
に沿って流下し、ガイドリブとチェーンの間に導かれる
ことを促し、チェーンとチェーンガイドの摺接部に対す
るオイルの供給量が十分に確保され、フリクションの低
減がはかれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示すエンジンの略正面
図。

【図２】同じく図１のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【図３】同じく図１の矢印Ｃ方向から見た平面図。

【図４】同じくチェーンガイドの正面図。

【図５】同じくチェーンガイドの側面図。

【図６】同じくチェーンガイドの背面図。

【図７】従来例を示すエンジンの正面図。

【図８】同じくチェーンガイド等の断面図。

【符号の説明】

１ シリンダブロック ２ フロントカバー ３ クランクスプロケット ４ チェーン ４ａ張り側部分 ５ チェーンガイド ６ シュー壁面 ７ ガイド壁面 ９ シリンダヘッド １５ チェーン室 ２３ 取付座 ３０ 支持溝 ３１ 左溝壁面 ３２ 右溝壁面 ３３ 底壁面 ３５ 突起 ３６ 凹部 ３７ 当接面 ４１ シュー壁部 ４２ ガイド壁部 ４３ ビーム部 ４６ 上端部 ５１ ガイドリブ ５２ ガイドリブ上面

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のスプロケットに掛け回されて回転力
   を伝達するチェーンと、 スプロケットおよびチェーンが配設される本体と、 本体に取付けられてチェーンを収装するチェーン室を画
   成するカバーと、 チェーンの張り側部分に摺接するチェーンガイドと、 チェーンガイドを嵌合させるように本体に凹状に窪んで
   形成される支持溝と、 チェーンガイドが支持溝から抜けないようにチェーンガ
   イドに対峙するカバーの当接面と、 を備えたことを特徴とするチェーンガイド構造。
2. 【請求項２】エンジンの回転力を取り出すクランクシャ
   フトと、 弁を開閉駆動するカムシャフトと、 クランクシャフトの回転力をカムシャフトに伝達するチ
   ェーンと、 エンジン本体に取付けられてチェーン室を画成するフロ
   ントカバーと、 チェーンのクランクシャフト側に向かう張り側部分に摺
   接するチェーンガイドと、 を備えるエンジンにおいて、 前記チェーンガイドを嵌合させるようにエンジン本体に
   凹状に窪んで形成される支持溝と、 チェーンガイドが支持溝から抜けないようにチェーンガ
   イドに対峙するフロントカバーの当接面と、 を備えたことを特徴とするチェーンガイド構造。
3. 【請求項３】前記チェーンガイドは、チェーンに摺接す
   るシュー壁部と、チェーンに間隙をもって対峙するガイ
   ド壁部と、シュー壁部とガイド壁部をコの字形の断面を
   もって結ぶビーム部とを有し、これらを樹脂を材質とし
   て一体形成したことを特徴とする請求項１または２に記
   載のチェーンガイド構造。
4. 【請求項４】前記シュー壁部の肉厚をガイド壁部より大
   きく形成したことを特徴とする請求項３に記載のチェー
   ンガイド構造。
5. 【請求項５】前記シュー壁部が当接する支持溝の溝壁面
   をチェーンのローラ幅を二等分する走行中心線と交差す
   るように形成したことを特徴とする請求項１から４のい
   ずれか一つに記載のチェーンガイド構造。
6. 【請求項６】前記チェーンガイドのシュー壁部に支持溝
   の溝壁面に向けて突出する突起を形成し、 支持溝の底壁面に突起を嵌合させる凹部を形成したこと
   を特徴とする請求項１から５のいずれか一つに記載のチ
   ェーンガイド構造。
7. 【請求項７】前記本体にフロントカバーを接合させる取
   付座を一体形成し、 シュー壁部が当接する支持溝の溝壁面を取付座に連接し
   て一体形成したことを特徴とする請求項１から６のいず
   れか一つに記載のチェーンガイド構造。
8. 【請求項８】前記本体に支持溝の開口端に連接するガイ
   ドリブを突出させ、 ガイドリブの上面を支持溝の開口端に向けて次第に下降
   するように傾斜させたことを特徴とする請求項１から７
   のいずれか一つに記載のチェーンガイド構造。
9. 【請求項９】前記支持溝のチェーンに間隙を持って対峙
   するガイド壁面がガイドリブの下端に連接するように、
   ガイド壁部の上端部をテーパ状に形成したことを特徴と
   する請求項８に記載のチェーンガイド構造。