JPH09324352A - 伸縮性不織布およびその製造方法 - Google Patents

伸縮性不織布およびその製造方法

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JPH09324352A
JPH09324352A JP8147599A JP14759996A JPH09324352A JP H09324352 A JPH09324352 A JP H09324352A JP 8147599 A JP8147599 A JP 8147599A JP 14759996 A JP14759996 A JP 14759996A JP H09324352 A JPH09324352 A JP H09324352A
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nonwoven fabric
woven fabric
folds
fiber
fibers
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JP8147599A
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Inventor
Shigeki Hayashi
茂樹 林
Seiji Tanaka
晴士 田中
Shinji Ota
信次 太田
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Ube Exsymo Co Ltd
Original Assignee
Ube Nitto Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弾性繊維を利用した従来の伸縮性不織布は製
造コストが高く、材料繊維の塑性変形を利用した従来の
伸縮性不織布は、目付を概ね20〜30g/m2まで低
くすると地合が悪くなる。 【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる繊維を主要な材料
繊維として用いて第1の不織布を得、この第1の不織布
を構成している前記熱可塑性樹脂からなる繊維を所定の
温度下で塑性変形させて、一定方向に延びる高さ0.5
〜3mm,ピッチ0.01〜0.3cmの多数の襞を該
襞の長手方向と直交する方向についての不織布の伸長回
復率が80%以上となるように前記第1の不織布に形成
し、これによって伸縮性不織布を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伸縮性不織布およ
びその製造方法に係り、特に、弾性繊維を利用したもの
ではなく、材料繊維の塑性変形を利用して伸縮性を付与
した伸縮性不織布およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、スポーツ衣料,芯地,衛生材料,
パップ材の基布等の用途に使用される不織布については
フィット性,柔軟性,伸縮性等が求められており、これ
らの要望を満足し得る伸縮性不織布の開発が進められて
いる。上記の伸縮性不織布は、弾性繊維を利用したもの
と、材料繊維の塑性変形を利用して伸縮性を付与したも
のとに大別することができる。
【0003】弾性繊維を利用した伸縮性不織布は、一般
に、ポリウレタン,エステル系エラストマー,スチレン
系エラストマー等からなる弾性繊維を主にメルトブロー
法によって得、この弾性繊維を捕集して不織布としたも
のである。この伸縮性不織布は通気性,透湿性,耐水性
等が比較的バランス良く維持されているものではある
が、製造設備および材料繊維が共に特殊なものであるこ
とから製造コストが高い。そして、この製造コストが高
いという理由から、衛生材料やパップ剤の基布等、使い
捨ての用途の伸縮性不織布としては不向きである。
【0004】一方、材料繊維の塑性変形を利用して伸縮
性を付与した伸縮性不織布は、低融点ポリマーセグメン
トと高融点ポリマーセグメントとが互いに貼り合わさっ
た断面形状を有する並列型複合繊維、または、高融点ポ
リマーを芯成分とし、低融点ポリマーを鞘成分とする偏
心鞘芯型複合繊維を材料繊維として用い、不織布化前ま
たは不織布化時に所定の熱処理を施すことによって材料
繊維に生じる塑性変形(スパイラル状の自然捲縮の発
現)を利用して伸縮性を付与した不織布である。この伸
縮性不織布は、材料繊維を汎用ポリマーによって作製す
ることができること等から、弾性繊維を利用した上記の
伸縮性不織布に比べて製造コストが低いという利点を有
している。したがって、衛生材料やパップ剤の基布等、
使い捨ての用途に使用する伸縮性不織布としても好適で
ある。
【0005】また、伸縮性不織布との説明は無いが、特
開平6−128853号公報には、高収縮性の繊維シー
トと低収縮性または非収縮性の不織布とをニードルパン
チ法等によって一体化した後、当該一体化された高収縮
性の繊維シートと低収縮性または非収縮性の不織布とを
前記の繊維シートが十分に収縮できる条件で収縮熱処理
することによって前記の不織布に皺を形成し、この後、
必要に応じて前記の皺が形成された不織布を前記の繊維
シートから剥離することによって得た衛生材料用不織布
が開示されている。この衛生材料用不織布のうちで、皺
の形成後に前記の繊維シートから剥離された不織布は、
その材料繊維の種類および前記の皺の形成条件によって
は、ある程度の伸縮性を有しているものと推察される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、材料繊
維にスパイラル状の自然捲縮を発現させることによって
得る従来の伸縮性不織布においては、スパイラル状の自
然捲縮の発現時に繊維の縮みが生じるため、当該スパイ
ラル状の自然捲縮を発現させる前の不織布またはウエッ
ブの目付を低くすると、スパイラル状の自然捲縮を発現
させたときに繊維の収縮ムラが目立ち易くなり、その結
果として、前記の目付を概ね20〜30g/m2 にまで
低くすると、得られる伸縮性不織布の地合が悪くなる。
【0007】また、特開平6−128853号公報に開
示されている衛生材料用不織布においては、低目付品を
得るためには低収縮性または非収縮性の不織布として低
目付品を使用し、かつ、当該不織布に皺を形成した後に
この不織布を高収縮性の繊維シートから剥離する必要が
あるが、ニードルパンチ法等によって前記の繊維シート
と一体化されている不織布を当該繊維シートから剥離す
ることは極めて困難である。
【0008】本発明の目的は、低コストで製造すること
ができ、かつ、目付を低くした場合でも地合が良好なも
のをより容易に得ることができる伸縮性不織布およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の伸縮性不織布は、熱可塑性樹脂からなる繊維を主
要な材料繊維とする不織布であり、前記熱可塑性樹脂か
らなる繊維を塑性変形させることによって形成された高
さ0.5〜3mm、ピッチ0.01〜0.3cmの多数
の襞が一定方向に延びていて、該襞の長手方向と直交す
る方向についての伸長回復率が80%以上であることを
特徴とするものである。
【0010】また、上記の目的を達成する本発明の伸縮
性不織布の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる繊維を主
要な材料繊維とする第1の不織布を得た後、前記熱可塑
性樹脂からなる繊維の原料樹脂のうちで融点が最も低い
原料樹脂の融点よりも30〜80℃低い温度に前記第1
の不織布を加熱しながら前記熱可塑性樹脂からなる繊維
を塑性変形させて、一定方向に延びる高さ0.5〜3m
m,ピッチ0.01〜0.3cmの多数の襞を該襞の長
手方向と直交する方向についての不織布の伸長回復率が
80%以上となるように前記第1の不織布に形成する襞
付け処理を行うことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず本発明の伸縮性不織布について
説明すると、この伸縮性不織布は、上述のように熱可塑
性樹脂からなる繊維を主要な材料繊維とする不織布であ
る。ここで、上記の「熱可塑性樹脂からなる繊維」とし
ては、熱によって塑性変形させることが可能な熱可塑性
樹脂からなる繊維であれば単一繊維および複合繊維のい
ずれをも単独使用または併用することができ、その繊度
は問わない。
【0012】前記の単一繊維の具体例としては、ポリプ
ロピレン単一系接着繊維,ポリエチレン単一系接着繊維
等が挙げられ、前記の複合繊維の具体例としては、ポリ
エチレン/ポリプロピレン系複合繊維,ポリエチレン/
ポリエチレンテレフタレート系複合繊維,エチレン・プ
ロピレン共重合体/ポリプロピレン系複合繊維等が挙げ
られる。そして、複合繊維を材料繊維として用いる場
合、複合様式から見た当該複合繊維の種類は特に限定さ
れるものではなく、並列型,同心鞘芯型,偏心鞘芯型,
多層接合型等、種々の複合繊維を用いることができる。
【0013】本発明の伸縮性不織布は、上記の「熱可塑
性樹脂からなる繊維」を主要な材料繊維とするものであ
れば、当該「熱可塑性樹脂からなる繊維」のみからなる
ものであってもよいし、当該「熱可塑性樹脂からなる繊
維」とレーヨン,綿,ポリエステル繊維,ナイロン繊
維,ポリプロピレン繊維等との混綿であってよい。材料
繊維として混綿を使用する場合に前記「熱可塑性樹脂か
らなる繊維」と併用される繊維の種類は、目的とする伸
縮性不織布の用途等に応じて適宜選択可能である。
【0014】ただし、材料繊維として上記の混綿を使用
する場合、当該混綿に占める前記「熱可塑性樹脂からな
る繊維」の割合があまりに低いと、「熱可塑性樹脂から
なる繊維」を塑性変形させることによって襞を形成しも
当該襞が経時的にとれ易くなるので、その割合は概ね5
0wt%以上とすることが好ましい。したがって、本発明
でいう「熱可塑性樹脂からなる繊維を主要な材料繊維と
する不織布」とは、「熱可塑性樹脂からなる繊維」を概
ね50wt%以上含有する材料繊維からなる不織布を意味
する。材料繊維に占める前記「熱可塑性樹脂からなる繊
維」の割合は70wt%以上であることが特に好ましい。
【0015】本発明の伸縮性不織布は、熱可塑性樹脂か
らなる繊維を塑性変形させることによって形成された高
さ0.5〜3mm、ピッチ0.01〜0.3cmの多数
の襞が一定方向に延びていて、当該襞の長手方向と直交
する方向についての伸長回復率が80%以上であるもの
であれば、ニードルパンチ不織布,水流絡合不織布およ
び熱融着不織布のいずれであってもよいが、前記の伸長
回復率についての耐久性(持続性)が高いものを得易
い,低目付品を得易い,地合の良好なものを得易い等の
観点から熱融着不織布が好ましい。熱融着不織布はポイ
ントシール不織布,カレンダーロール不織布,熱風融着
不織布等に分類することができるが、本発明においては
いずれのタイプの熱融着不織布であってもよい。
【0016】上記の襞の垂直断面形状(長手方向と直交
する方向の垂直断面形状。以下同じ。)は鋸歯状,櫛歯
状等、特に限定されるものではないが、その高さが0.
5mm未満では不織布の伸縮性が低くなり、3mmを超
えると不織布の触感が悪くなる。襞の高さは0.7〜2
mmであることがより好ましい。また、襞と襞のピッチ
が0.3cmを超えると不織布の触感が悪くなり、0.
01cm未満では不織布の伸縮性が低くなる。襞と襞の
ピッチは、0.02〜0.1cmであることがより好ま
しい。
【0017】襞の高さおよびピッチは、襞の長手方向と
直交する方向についての伸長回復率が目的とする値とな
るように、材料繊維の種類,不織布化方法,目付,不織
布強さ等に応じて適宜選択可能である。例えば同心鞘芯
型の熱接着性複合繊維のみを材料繊維として用いた熱風
融着不織布の場合には、襞の高さを0.7〜1.5m
m,ピッチを0.03〜0.1cmとすることにより、
前記の伸長回復率を容易に80%以上にすることができ
る。また、前記の伸長回復率は、目的とする伸縮性不織
布の用途等に応じて適宜選択可能である。例えば、目的
とする伸縮性不織布が紙おむつ等の衛生材料に使用され
るものである場合には、前記の伸長回復率を概ね80〜
95%とすることが好ましい。
【0018】また、材料繊維ならびに襞の高さおよびピ
ッチが同じ伸縮性不織布同士であっても、後述するよう
に襞の形成条件の差異によってその伸長回復率,地合,
触感が異なってくる。本発明の伸縮性不織布を紙おむつ
等の衛生材料に使用する場合には、当該伸縮性不織布の
平均表面摩擦係数(MIU)が概ね0.10〜0.3
5、表面摩擦係数の平均偏差(MMD)が概ね0.05
以下となるように、前記の襞を形成することが好まし
い。MIUが概ね0.35を超えると不織布に粘り感が
でてき、逆に、MIUが概ね0.10以下になると不織
布の触感がペーパーライクになる。MIUは、0.15
〜0.30であることが特に好ましい。また、MMDが
概ね0.05を超えると不織布の凹凸感が大きくなり、
ザラザラした触感となる。MMDは、0.03以下であ
ることが特に好ましい。
【0019】上記の襞を有する本発明の伸縮性不織布の
見掛けの比容積は、概ね5〜14cm3 /gとなる。こ
こで、本発明でいう伸縮性不織布の「見掛けの比容積」
とは、本発明の伸縮性不織布から5×5cmの大きさの
試料を5枚切り出し、こらを積層した積層物の上に5×
5cmのアルミニウムプレート(重量2g)を重ね、当
該アルミニウムプレートの中央部上に498gの重りを
置いてこのときの前記積層物の厚さを測定し、当該測定
結果からこのときの試料1枚当たりの厚さ(見掛けの厚
さ)を求め、この値と、試料1枚当たりの見掛けの目付
(試料に何等負荷をかけない状態で測定した目付)とか
ら、次式によって算出したのもを意味する。
【0020】
【数1】
【0021】なお、本発明の伸縮性不織布に形成されて
いる多数の襞のそれぞれは、厳密な意味での「一定方
向」に延びていなくてもよく、形成されている全ての襞
全体をみたときに一定方向に長手方向が存在しさえすれ
ば、個々の襞の長手方向は互いに平行でなくてもよい。
また、個々の襞は直線的である必要もない。
【0022】上記の襞および伸長回復率を有する本発明
の伸縮性不織布においては、真の目付が10g/m2
満では均一な地合のものを得ることが困難になり、10
0g/m2 を超えると上述した襞を形成することが困難
になる。したがって、本発明の伸縮性不織布の真の目付
は10〜100g/m2 であることが好ましく、20〜
50g/m2 であることがより好ましい。当該真の目付
は、目的とする伸縮性不織布の用途等に応じて適宜選択
可能である。なお、本発明でいう伸縮性不織布の「真の
目付」とは、本発明の伸縮性不織布を当該不織布に形成
されている襞が見掛け上消失するように伸長させ、この
状態下で測定した目付を意味する。
【0023】上述した多数の襞を有し、当該襞の長手方
向と直交する方向についての伸長回復率が80%以上で
ある本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維ではなく汎用ポ
リマーによって製造することができる繊維を材料繊維と
して用いて製造することができ、しかも、その製造設備
は、通常の不織布を製造するための設備に一部改良を加
えることで得ることができるので、低コストで製造する
ことが可能である。さらに、前述した襞を形成すること
によって伸縮性が付与されたものであることから、真の
目付が30g/m2 以下程度の低目付品とした場合でも
地合がよく、風合が良好なものを得ることができる。
【0024】上述した特徴を有する本発明の伸縮性不織
布は、紙おむつのウエストギャザー,サイドギャザー,
バックシートおよびサイドテープの支持体等、使い捨て
用途の衛生材料において伸縮性が要求される箇所の材料
として特に好適である他、包帯,パップ材,マスク等と
しても好適である。
【0025】本発明の伸縮性不織布は、例えば、以下に
詳述する本発明の伸縮性不織布の製造方法によって製造
することができる。本発明の伸縮性不織布の製造方法
は、前述したように、熱可塑性樹脂からなる繊維を主要
な材料繊維とする第1の不織布を得た後、前記熱可塑性
樹脂からなる繊維の原料樹脂のうちで融点が最も低い原
料樹脂の融点よりも30〜80℃低い温度に前記第1の
不織布を加熱しながら前記熱可塑性樹脂からなる繊維を
塑性変形させて、一定方向に延びる高さ0.5〜3m
m,ピッチ0.01〜0.3cmの多数の襞を当該襞の
長手方向と直交する方向についての不織布の伸長回復率
が80%以上となるように前記第1の不織布に形成する
襞付け処理を行うことを特徴とするものである。
【0026】上記第1の不織布は、「熱可塑性樹脂から
なる繊維」を主要な材料繊維とするものであればよく、
「熱可塑性樹脂からなる繊維」の具体例および当該「熱
可塑性樹脂からなる繊維」以外の材料繊維の具体例とし
ては、本発明の伸縮性不織布についての説明の中で例示
したものと同じものがそれぞれ挙げられる。また、第1
の不織布はニードルパンチ不織布,水流絡合不織布およ
び熱融着不織布のいずれであってもよいが、本発明の伸
縮性不織布についての説明の中で述べたように熱融着不
織布であることが好ましい。
【0027】第1の不織布に対して行う襞付け処理は、
前述のように、当該第1の不織布を所定の温度、すなわ
ち、前記熱可塑性樹脂からなる繊維の原料樹脂のうちで
融点が最も低い原料樹脂の融点(以下、「T1 」とい
う。)よりも30〜80℃低い温度に加熱しながら行
う。このときの加熱温度がT1 より80℃低い温度未満
であると、前記熱可塑性樹脂からなる繊維を塑性変形さ
せることが困難になり、襞付け処理によって形成した襞
の形状が固定されにくくなることから、目的とする伸縮
性不織布を得ることが困難になる。一方、前記の加熱温
度がT1 より30℃低い温度を超えて高いと、前記熱可
塑性樹脂からなる繊維を塑性変形させて伸縮性不織布を
得ることができるものの、その触感がゴワゴワしたもの
となる。前記の加熱温度は、T1 より30〜60℃低い
温度であることが特に好ましい。
【0028】襞の形成方法は、目的とする高さ,ピッチ
および形状を有する多数の襞を形成することができる方
法であれば特に限定されるものではないが、前述したよ
うに、襞の高さは0.5〜3mm,襞と襞のピッチは
0.01〜0.3cmとする。襞の高さおよび襞と襞の
ピッチをそれぞれ前記の範囲とする理由は、本発明の伸
縮性不織布についての説明の中で述べた通りであり、当
該高さおよびピッチについての好ましい範囲も、本発明
の伸縮性不織布についての説明の中で述べた範囲と同じ
である。
【0029】襞の形成方法の具体例としては、例えば下
記(a) 〜(c) の方法が挙げられる。 (a) 所定の温度に加熱した第1の不織布をスタッフィン
グボックス内に押し込んで九十九折り状に変形させ、こ
れによって、スタッフィングボックスへの第1の不織布
の押し込み方向と概ね直交する方向に延びる多数の襞を
形成し、この後、襞の形状を固定するために冷却する。
この方法によって形成される襞の垂直断面形状は、概ね
鋸歯状ないし櫛歯状になる。
【0030】(b) 所定の温度に加熱した第1の不織布を
ロール,コンベア等によって搬送しつつ当該第1の不織
布の上面からその搬送方向とは逆方向の応力を加えると
共に厚さ方向に荷重を加えて当該第1の不織布を形成し
ている繊維を座屈させ、これによって、第1の不織布の
搬送方向と概ね直交する方向に延びる多数の襞を形成
し、この後、襞の形状を固定するために冷却する。この
方法によって形成される襞の垂直断面形状も、概ね鋸歯
状ないし櫛歯状になる。
【0031】(c) 所定温度に加熱した第1の不織布を、
当該第1の不織布の幅と同等以上の歯幅を有し、所定の
頂隙を保ちながら互いに逆方向に回転している一対のギ
アに通し、これによって、第1の不織布の搬送方向と概
ね直交する方向に延びる多数の襞を形成し、この後、襞
の形状を固定するために冷却する。この方法によって形
成される襞の垂直断面形状も、概ね鋸歯状ないし櫛歯状
になる。
【0032】上記(a) 〜(c) の方法等によって形成する
ことができる襞の高さおよびピッチは、本発明の伸縮性
不織布の説明の中で述べたように、襞の長手方向と直交
する方向についての伸長回復率が目的とする値となるよ
うに、材料繊維の種類,不織布化方法,目付,不織布強
さ等に応じて適宜選択可能である。例えば同心鞘芯型の
熱接着性複合繊維のみを材料繊維として用いた熱風融着
不織布の場合には、襞の高さを0.7〜1.5mm,ピ
ッチを0.03〜0.1cmとすることにより、前記の
伸長回復率を容易に80%以上にすることができる。
【0033】また、本発明の方法によって得られる伸縮
性不織布の見掛けの比容積は、上記の襞の高さおよびピ
ッチ等によって異なってくるが、当該襞の高さおよびピ
ッチが上記の範囲内であれば、概ね5〜14cm3 /g
となる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 (1)第1の不織布の作製 熱可塑性樹脂からなる繊維として、繊度2de,長さ51
mmの同心鞘芯型の熱接着性複合繊維からなるステープ
ルファイバ(宇部日東化成株式会社製のUCファイバー
PR−P)を用意した。この同心鞘芯型複合繊維は、高
融点ポリマー(芯成分)としてポリプロピレンを使用
し、低融点ポリマー(鞘成分)としてエチレン・プロピ
レン共重合体を使用したものであり、低融点ポリマーの
融点は136℃である。このステープルファイバーをカ
ード機にかけて幅270mm,目付20g/m2 のウェ
ッブを得、フラットロールと133℃に加熱したエンボ
スロールとを用いて当該ウェッブを不織布化して、ポイ
ントシール不織布からなる第1の不織布を得た。
【0035】(2)襞付け処理 まず、幅(内寸)270mmのクリンパーを用意した。
図1に示すように、このクリンパー1は、各々のローラ
ー径が200mmである一対のニップロール2a,2b
と、これらのニップロール2a,2bによって第1の不
織布3が押し込まれるスタッフィングボックス4とを備
えており、一対のニップロール2a,2bとスタッフィ
ングボックス4とは、スタッフィングボックス4がニッ
プロール2a,2bの下流側(第1の不織布3の搬送方
向についての下流側)に位置するように配置されてい
る。
【0036】ニップロール2aは、図示を省略したエア
ーシリンダーによってニップロール2bに対して近接,
離間自在であり、ニップロール2a,2bは所定の圧力
(以下「ニップ圧」という。)を第1の不織布3に与え
る。これらのニップロール2a,2bの温度は、当該ス
タッフィングボックス4の外側に配置されている加熱手
段(図示せず。)によって、所定温度に制御される。
【0037】スタッフィングボックス4は、上エッジ
5,下エッジ6および図示されていない側壁とを有する
筒体であり、上エッジ5のニップロール2a側にはナイ
フエッジ7が、また下エッジ6のニップロール2b側に
はナイフエッジ8がそれぞれ設けられている。上エッジ
5の一部は仕切板9となっており、仕切板9の一端はク
レビス10を介してエアシリンダー11に接続されてい
る。この仕切板9は、軸12を支点にしてエアーシリン
ダー11によって上下動されて、スタッフィングボック
ス4に押し込まれた第1の不織布3に所定の圧力(以下
「スタッフィング圧」という。)を与える。ニップロー
ル2a,2bによってスタッフィングボックス4に押し
込まれた第1の不織布3は、当該スタッフィングボック
ス4内で九十九折り状に折り畳まれ、この状態で出口1
3から押し出される。
【0038】上記の構造のクリンパー1を用いて、上記
(1)で作製した第1の不織布3に襞付け処理を施し
た。このとき、ニップロール2a,2bの温度は90℃
に、またニップ圧は3kg/cm2 にし、当該ニップロ
ール2a,2bによって上記(1)で作製した第1の不
織布3を38m/分の送り出し速度でスタッフィングボ
ックス4に押し込んだ。また、スタッフィング圧は3k
g/cm2 とした。
【0039】上記の襞付け処理により、第1の不織布3
の材料繊維である同心鞘芯型の熱接着性複合繊維が塑性
変形し、当該第1の不織布3には高さ1mm,ピッチ
0.05cmの多数の襞が形成された。すなわち、目的
とする伸縮性不織布が得られた。この伸縮性不織布に形
成されている襞は、スタッフィングボックス4への第1
の不織布3の押し込み方向と概ね直交する方向に延びて
いる。なお、当該伸縮性不織布の真の目付は23g/m
2 、見掛けの目付は49.4g/m2 、見掛けの厚さは
0.38mm、見掛けの比容積は7.7cm3 /gであ
った。
【0040】(3)物性の測定 上記(2)で得られた伸縮性不織布について、その破断
強度,破断伸度,伸長回復率,平均表面摩擦係数(MI
U),表面摩擦係数の平均偏差(MMD)および表面の
ザラザラ感を求めた。これらの結果を表1に示す。な
お、上記の項目はそれぞれ下記のようにして求めた。
【0041】・破断強度および破断伸度 得られた伸縮性不織布から幅50mm,長さ100mm
の試料を5枚切り出し、これらの試料について、その長
手方向(MD方向に相当:この方向は、襞の長手方向と
概ね直交している。)と同じ方向に引張速度50mm/
分の条件で引張応力をかけて測定し、これらの平均値を
求めた。
【0042】・伸長回復率 得られた伸縮性不織布から幅50mm,長さ140mm
の試料を5枚切り出し、これらの試料について、チャッ
ク間距離100mm,初荷重=(試料の目付)×10-1
g,引張速度200mm/分,戻り速度200mm/
分,伸長率40%,伸長保持時間なしの条件でその長手
方向(MD方向に相当:この方向は、襞の長手方向と概
ね直交している。)の伸長回復率を測定し、これらの平
均値を求めた。
【0043】・平均表面摩擦係数(MIU) 得られた伸縮性不織布について、摩擦感テスター(カト
ーテック社製のKES−SE)を用いて測定した。この
MIUが大きい不織布ほど粘り感があり、小さい不織布
ほどペーパーライクな触感になる。
【0044】・表面摩擦係数の平均偏差(MMD) 得られた伸縮性不織布について、摩擦感テスター(カト
ーテック社製のKES−SE)を用いて測定した。この
MMDが大きい(概ね0.05以上)不織布ほど凹凸感
が大きく、ザラザラする。また、MMDが小さい不織布
ほど触感および外観が良好になる。
【0045】・ザラザラ感 得られた伸縮性不織布の表面を指先でなぞったときのザ
ラザラ感を「なし」,「少し有り」,「有り」に分類し
て10人のパネラーに聞き、最も回答数の多かったもの
をとった。
【0046】実施例2 実施例1(1)と同様にして第1の不織布を得た後、ニ
ップロールの温度を60℃とした以外は実施例1(2)
と同様にして襞付け処理を施して、真の目付22g/m
2 、見掛けの目付36.8g/m2 、見掛けの厚さ0.
32mm、見掛けの比容積8.7cm3 /gの伸縮性不
織布を得た。この伸縮性不織布には、高さ1mm,ピッ
チ0.1cmの多数の襞が形成されており、これらの襞
は、スタッフィングボックスへの第1の不織布の押し込
み方向と概ね直交する方向に延びている。上記の伸縮性
不織布について、実施例1(3)で測定したと同じ物性
を実施例1(3)と同様にして測定した。これらの結果
を表1に示す。
【0047】比較例1 実施例1(1)と同様にして第1の不織布を得た後、ニ
ップロールの温度を20℃とした以外は実施例1(2)
と同様にして襞付け処理を施して、真の目付22g/m
2 、見掛けの目付28.0g/m2 、見掛けの厚さ0.
23mm、見掛けの比容積8.2cm3 /gの不織布を
得た。この不織布には、高さ1mmの多数の襞が形成さ
れてはいるが、襞と襞のピッチは本発明の限定範囲外の
0.35cmであった。これらの襞は、スタッフィング
ボックスへの第1の不織布の押し込み方向と概ね直交す
る方向に延びている。上記の不織布について、実施例1
(3)で測定したと同じ物性を実施例1(3)と同様に
して測定した。これらの結果を表1に示す。
【0048】比較例2 実施例1(1)と同様にして第1の不織布を得、襞付け
処理を施さずに、当該第1の不織布について実施例1
(3)で測定したと同じ物性を実施例1(3)と同様に
して測定した。これらの結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】実施例1〜実施例2で得た各伸縮性不織布
は、汎用ポリマーによって作製された繊維を材料繊維と
して用い、通常のポイントシール不織布の製造設備にク
リンパーを付加しただけの製造設備によって製造するこ
とができるものであるにも拘わらず、表1に示したよう
に、その伸長回復率は94%または88%と高く、伸縮
性に優れている。さらに、これらの実施例1〜実施例2
で得た各伸縮性不織布は、真の目付が23g/m2 また
は22g/m2 と低いにも拘わらずザラザラ感が少しあ
る程度で、その地合および触感は良好である。これに対
し、比較例1〜比較例2で得た各不織布は、伸長回復率
が47%または45%と低い。したがって、伸縮性不織
布としては不適である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
真の目付を低くした場合でも地合が良好な伸縮性不織布
を低コストで容易に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いたクリンパーの概略を示す部分
断面側面図である。
【符号の説明】
1…クリンパー、 2a,2b…ニップロール、 3…
第1の不織布、 4…スタッフィングボックス。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる繊維を主要な材料
    繊維とする不織布であり、前記熱可塑性樹脂からなる繊
    維を塑性変形させることによって形成された高さ0.5
    〜3mm、ピッチ0.01〜0.3cmの多数の襞が一
    定方向に延びていて、該襞の長手方向と直交する方向に
    ついての伸長回復率が80%以上であることを特徴とす
    る伸縮性不織布。
  2. 【請求項2】 見掛けの比容積が5〜14cm3 /gで
    ある、請求項1に記載の伸縮性不織布。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂からなる繊維を主要な材料
    繊維とする第1の不織布を得た後、前記熱可塑性樹脂か
    らなる繊維の原料樹脂のうちで融点が最も低い原料樹脂
    の融点よりも30〜80℃低い温度に前記第1の不織布
    を加熱しながら前記熱可塑性樹脂からなる繊維を塑性変
    形させて、一定方向に延びる高さ0.5〜3mm,ピッ
    チ0.01〜0.3cmの多数の襞を該襞の長手方向と
    直交する方向についての不織布の伸長回復率が80%以
    上となるように前記第1の不織布に形成する襞付け処理
    を行うことを特徴とする伸縮性不織布の製造方法。
  4. 【請求項4】 襞付け処理が、第1の不織布をスタッフ
    ィングボックス内に押し込んで九十九折り状に変形させ
    ることによってなされる、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 見掛けの比容積が5〜14cm3 /gの
    伸縮性不織布を得る、請求項3または請求項4に記載の
    方法。
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