JPH09323191A - ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ - Google Patents
ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤInfo
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- JPH09323191A JPH09323191A JP14147396A JP14147396A JPH09323191A JP H09323191 A JPH09323191 A JP H09323191A JP 14147396 A JP14147396 A JP 14147396A JP 14147396 A JP14147396 A JP 14147396A JP H09323191 A JPH09323191 A JP H09323191A
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Abstract
用し、かつ高電流の溶接条件で溶接される場合において
も、送給ローラでスリップがなく、かつ摩擦抵抗が少な
くワイヤ送給性が良好で、さらにワイヤ表面の潤滑剤が
剥離しにくくチップ詰まりの生じないガスシールドアー
ク溶接用鋼ワイヤを提供すること。 【解決手段】 ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ表面
に二硫化モリブデンおよび二硫化タングステンの1種ま
たは2種を5〜50%と酸化チタン1〜15%を含有す
る潤滑剤をワイヤ10kg当たり0.2〜1.8g有す
ることを特徴とする。また、二硫化モリブデンおよび二
硫化タングステンの粒径は15μm以下、酸化チタンの
粒径は1μm以下であることも特徴とする。
Description
ク溶接用鋼ワイヤに係り、特に軟質でかつ長尺のコンジ
ットケーブルを使用して溶接する場合においてもワイヤ
送給性の優れたガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤに関
する。
下、ワイヤという。)は、ワイヤ径が0.8〜2.0m
mの細径で、ソリッドワイヤとフラックス入りワイヤの
2種類があり、その内フラックス入りワイヤにはめっき
や湿式伸線を行って製造可能なシーム部のないシームレ
スフラックス入りワイヤと帯鋼の中にフラックスを充填
し、包み込んで乾式伸線で製造される合わせ目有りのフ
ラックス入りワイヤとがある。
ムレスフラックス入りワイヤは、シーム部がないため、
溶接トーチ先端に付けられるチップでの通電性やワイヤ
の耐錆性に有利な銅めっきができ、またシーム部がない
ためにワイヤに方向性がつきにくく、溶接トーチ先端で
のワイヤ振れが少なく、ビード蛇行が少ないのでロボッ
トでの溶接に適し、好んで使用されている。
化が進むとともに、さらに多く使用される傾向にある
が、最近、さらに能率を上げるために自動、半自動溶接
を問わず、より高電流密度の溶接条件が採用される方向
にあり、その結果必然的にワイヤの送給速度が大とな
る。また、対象となる構造物によっては溶接が狭隘部で
行われる場合も多く、それらの場所での使い易さの点か
ら、溶接機のワイヤ送給装置から溶接トーチまでのコン
ジットケーブルは曲げて使いやすくするため、軟らか
く、かつ長くなる傾向にある。
ともに、長くてかつ曲げやすいコンジットケーブルを使
用すると、ワイヤ送給時そのコンジットケーブル内のコ
ンジットチューブ内をワイヤが通るときに摩擦抵抗が大
きくなり、溶接時のワイヤ送給に支障をきたし、アーク
が不安定となって溶接ができなくなるという問題が生じ
る。これらのワイヤの送給性の問題に対して、従来例え
ば特公昭50−3256号公報に代表されるようなワイ
ヤ表面に油性潤滑剤を塗布する方法、特開昭58−18
4095号公報に記載されているグラファイト、二硫化
モリブデン、ガラス粉末などの固形潤滑剤を混合したも
のをワイヤ表面に塗布したワイヤが提案されている。
前述した軟質で長尺のコンジットケーブルを曲げて用
い、かつ高電流の溶接条件で溶接されるような苛酷な条
件下では、ワイヤ送給装置の送給ローラ部でワイヤがス
リップしたりコンジットチューブ内での摩擦抵抗が大き
くなり、溶接時ワイヤの送給に支障をきたし、アークが
不安定となる。さらに図1に示すように金属線1を螺旋
状に巻いてなるコンジットチューブ2内でワイヤ3表面
の潤滑剤が螺旋状の金属線1に接触して剥離し、図2に
示すように長時間溶接すると螺旋状の金属線1の間に潤
滑剤4が蓄積されてワイヤがコンジットチューブ2内面
との接触面積が多くなり、摩擦抵抗が大きくなってワイ
ヤ送給抵抗が大きくなるとともに、チップ内壁へ潤滑剤
が持ち込まれて、ついにはワイヤがチップに詰まって溶
接できなくなる場合も生じる。
質で長尺のコンジットケーブルを曲げて使用し、かつ高
電流の溶接条件で溶接される場合においても、送給ロー
ラでスリップがなく、かつ摩擦抵抗が少なくワイヤ送給
性が良好で、さらにワイヤ表面の潤滑剤が剥離しにくく
チップ詰まりの生じないガスシールドアーク溶接用鋼ワ
イヤを提供することを目的とする。
とするところは、ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ表
面に二硫化モリブデンおよび二硫化タングステンの1種
または2種を5〜50%と酸化チタン1〜15%を含有
する潤滑剤をワイヤ10kg当たり0.2〜1.8g有
することを特徴とするガスシールドアーク溶接用鋼ワイ
ヤ。また、二硫化モリブデンおよび二硫化タングステン
の粒径は15μm以下、酸化チタンの粒径は1μm以下
であることも特徴とするガスシールドアーク溶接用鋼ワ
イヤにある。
ヤは、その表面に二硫化モリブデンおよび二硫化タング
ステンの1種または2種と酸化チタンを含有する潤滑剤
を適量含有することにより、軟質で長尺のコンジットケ
ーブルを曲げて使用し、かつ高電流の溶接条件で溶接さ
れる場合においても、送給ローラでスリップがなく、か
つ摩擦抵抗が少ないのでワイヤ送給性が良好となる。ま
た、潤滑剤に含まれる二硫化モリブデンおよび二硫化タ
ングステンの粒径を限定することにより、コンジットチ
ューブ内での摩擦抵抗をさらに少なくし、前述の苛酷な
溶接環境においてもワイヤ送給性は極めて良好である。
さらに、酸化チタンの粒径を限定することにより、ワイ
ヤ表面の潤滑剤の剥離を少なくし、長時間溶接において
もコンジットチューブの螺旋状の金属線間への潤滑剤の
蓄積が少なく、これによる摩擦抵抗が少ないのでワイヤ
送給性は良好で、チップ内壁へ潤滑剤が持ち込まれるこ
とがないので、ワイヤがチップに詰まることがない。
存効果、相乗効果によりなし得たものであるが、各々組
成物の含有量、粒径の限定理由について以下に述べるま
ず、二硫化モリブデンおよび二硫化タングステンの1種
または2種で5〜50%とする。二硫化モリブデンおよ
び二硫化タングステンはコンジットチューブ内でのワイ
ヤ摩擦抵抗を低減する効果がある。二硫化モリブデンお
よび二硫化タングステンの1種または2種が5%未満で
あると、ワイヤ表面はコンジットチューブ表面との直接
接触状態が多くなり、即ち摩擦係数が小さくならず、摩
擦力が大きくなりワイヤの送給性が不良となる。逆に5
0%を超えるとワイヤ送給ローラ部でワイヤがスリップ
して送給むらが生じてアークが不安定となる。
離し、長時間溶接すると潤滑剤がコンジットチューブの
螺旋状の金属線間へ蓄積されてワイヤ表面とコンジット
チューブ内面との接触面積が多くなり、摩擦抵抗が大き
くなってさらにワイヤ送給が不良になるとともに、チッ
プ内壁へ潤滑剤が持ち込まれてワイヤがチップに詰まる
場合も生じる。また、二硫化モリブデンおよび二硫化タ
ングステンの粒径が15μm以下であるとさらにコンジ
ットチューブ内でのワイヤ摩擦抵抗を低減する。粒径が
15μmを超えると、ワイヤ表面の摩擦力がやや大きく
なってアークがやや不安定となる。
化チタンは分散性が良好でワイヤ表面への被覆性、吸着
性および展性が優れ、二硫化モリブデンおよび二硫化タ
ングステンや他の潤滑剤をワイヤ表面に均一にかつ強固
に付着させコンジットチューブ内での潤滑剤の剥離を防
止するとともに、送給ローラ部でのワイヤのスリップを
防ぐ。酸化チタンが1%未満であると、二硫化モリブデ
ンおよび二硫化タングステンや他の潤滑剤が凝集して、
送給ローラ部でワイヤがスリップして送給むらが生じ、
ワイヤ送給性が不良となる。
離し、長時間溶接すると潤滑剤がコンジットチューブの
螺旋状の金属線間へ蓄積されてワイヤ表面とコンジット
チューブ内面との接触面積が多くなり、摩擦抵抗が大き
くなってさらにワイヤ送給が不良になるとともに、チッ
プ内壁へ潤滑剤が持ち込まれてワイヤがチップに詰まる
場合も生じる。酸化チタンが15%を超えると、コンジ
ットチューブ内での摩擦抵抗がやや大きくなって、アー
クがやや不安定となる。
る。粒径が1μmを超えると、被覆性、吸着性および展
性が劣化し、ワイヤ表面へ二硫化モリブデンおよび二硫
化タングステンや他の潤滑剤を強固に付着することがで
きなくなり、コンジットチューブ内で潤滑剤が剥離し、
長時間溶接すると潤滑剤がコンジットチューブの螺旋状
の金属線間へ蓄積されてワイヤ摩擦抵抗が大きくなって
さらにワイヤ送給が不良になるとともに、チップ内壁へ
潤滑剤が持ち込まれてワイヤがチップに詰まる場合も生
じる。
なのでワイヤ表面に均一に油性潤滑剤をも保持すること
ができ、送給性をさらに向上することができる。酸化チ
タンにはアナターゼ型結晶とルチル型結晶構造のものが
あるが、本発明においてはいずれを用いても同様の効果
が得られる。前記二硫化モリブデンおよび二硫化タング
ステンの1種または2種と酸化チタンを含む潤滑剤はワ
イヤ10kg当たり0.2〜1.8%である必要があ
る。0.2%未満であるとコンジットチューブ内で摩擦
抵抗が大きくなりワイヤ送給性が不良となる。逆に1.
8%を超えるとワイヤ送給ローラ部でワイヤがスリップ
して送給にむらが生じてアークが不安定となる。
グステンの1種または2種と酸化チタンを含む潤滑剤は
液体潤滑剤である動植物油、鉱物油等を基本に構成し、
さらにグラファイト、四弗化エチレン、炭酸カルシウ
ム、各種ろう等の固体潤滑剤を含有することができる。
本発明のガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤはJIS
Z3312、Z3315、Z3317等に規定されるS
i−Mn系、Si−Mn−Ti系などのソリッドワイ
ヤ、JIS Z3313、Z3318、Z3319、Z
3320等に規定されるフラックス入りワイヤを示す。
明する。まず、ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ表面
の二硫化モリブデン、二硫化タングステンおよび酸化チ
タンの粒径と量を種々変化したワイヤ径1.2〜1.6
mmのJIS Z3312に規定されるYGW11のソ
リッドワイヤおよびJIS Z3313に規定されるY
FW−C50DRのシームレスフラックス入りワイヤ
(フラックス充填率15%)を試作し、スプール巻きワ
イヤとした。ワイヤ送給性の調査は図3に示す装置を用
いた。すなわち、コンジットチューブ内での摩擦力を大
きくし、ワイヤ送給抵抗を高める目的で直径150mm
のループ2回転を設けた6mのコンジットケーブル5に
スプール6から引き出されたワイヤ3を送給モータ7に
よって送給して溶接トーチ8に送り、各試験ともワイヤ
15kgを溶接した。その時の溶接条件は表1のとおり
である。
流の測定により調べた。なお、ワイヤ送給性は電機子電
流の変動が大きくなるとアーク長が変動してアークが不
安定となる。ワイヤ送給ローラ部でのワイヤのスリップ
は、送給ローラの周速と送給ローラ出口側のワイヤ速度
を測定し、下記式でスリップ率を算出して調べた。ワイ
ヤのスリップ率は5%を超えると、ワイヤ送り速度に緩
急が生じてワイヤの送給むらによってアークが不安定と
なる。 スリップ率=(送給ローラの周速)−(送給ローラ出口
のワイヤ速度)/(送給ローラの周速)×100 また、コンジットチューブは各試作ワイヤ毎に未使用の
ものを用い、溶接終了後コンジットチューブのループ部
を切断して螺旋状の金属線の間の潤滑剤の蓄積状況を調
べた。それらの結果を表2にまとめて示す。
例のガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ、試験No.7
〜14が比較例である。本発明例の試験No.1〜6
は、ワイヤ表面の二硫化モリブデンおよび二硫化タング
ステンと酸化チタンの量および粒径、さらに潤滑剤含有
量が適量であるので、溶接時ワイヤ送給ローラでのスリ
ップ率や送給モータの電機子電流が低くアークが安定
し、さらにコンジットチューブ内に潤滑剤の剥離が少な
いなど極めて満足な結果であった。
テンの量が、また試験No.13は潤滑剤含有量が少な
いので、いずれも送給モータの電機子電流の変動が大き
くなりアークが不安定であった。試験No.8は二硫化
モリブデンの量が多く、また試験No.10は酸化チタ
ンの量が少ないので、いずれもワイヤ送給ローラでのス
リップ率が高くなりアークが不安定となった。また、コ
ンジットチューブ内に剥離した潤滑剤が多く見られた。
大きく、試験No.11は酸化チタンの量が多いので、
いずれも送給モータの電機子電流の変動が大きくなりア
ークがやや含安定となった。試験No.12は、酸化チ
タンの粒径が大きいので、送給モータの電機子電流の変
動がやや大きくなりアークがやや不安定であった。ま
た、コンジットチューブ内に剥離した潤滑剤が多く見ら
れた。試験No.14は潤滑剤量が多いので、ワイヤ送
給ローラでのスリップ率が高くなりアークが不安定とな
った。
ルドアーク溶接用鋼ワイヤによれば、軟質で長尺のコン
ジットケーブルを曲げて使用し、かつ高電流の溶接条件
で溶接される場合においても、送給ローラでスリップが
なく、かつ摩擦抵抗が少なくワイヤ送給性が良好で安定
した溶接が可能である。また、ワイヤ表面の潤滑剤が剥
離しにくくコンジットチューブ内に潤滑剤の蓄積やチッ
プ内壁への持ち込みが少ないので、長時間溶接してもワ
イヤ送給性が良好でチップ詰まりが生じることなく、チ
ップやコンジットチューブの交換頻度も少なくなる。
る状態を示す断面図である。
された状態を示す断面図である。
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ表面
に二硫化モリブデンおよび二硫化タングステンの1種ま
たは2種を5〜50%と酸化チタン1〜15%を含有す
る潤滑剤をワイヤ10kg当たり0.2〜1.8g有す
ることを特徴とするガスシールドアーク溶接用鋼ワイ
ヤ。 - 【請求項2】 二硫化モリブデンおよび二硫化タングス
テンの粒径は15μm以下、酸化チタンの粒径は1μm
以下であることを特徴とする請求項1記載のガスシール
ドアーク溶接用鋼ワイヤ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP14147396A JP3445061B2 (ja) | 1996-06-04 | 1996-06-04 | ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14147396A JP3445061B2 (ja) | 1996-06-04 | 1996-06-04 | ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09323191A true JPH09323191A (ja) | 1997-12-16 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14147396A Expired - Fee Related JP3445061B2 (ja) | 1996-06-04 | 1996-06-04 | ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3445061B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6906286B2 (en) | 2002-09-12 | 2005-06-14 | Kiswel Ltd. | Solid wire for arc welding |
EP1739202A1 (en) * | 2005-06-28 | 2007-01-03 | General Electric Company | Titanium treatment to minimize fretting |
JP2008018469A (ja) * | 2006-07-13 | 2008-01-31 | Kiswel Ltd | ガスシールドアーク溶接用メッキなしソリッドワイヤの組立体 |
US8395071B2 (en) | 2010-04-02 | 2013-03-12 | Lincoln Global, Inc. | Feeding lubricant for cored welding electrode |
US8901455B2 (en) | 2008-06-18 | 2014-12-02 | Lincoln Global, Inc. | Welding wire for submerged arc welding |
US8952295B2 (en) | 2008-06-18 | 2015-02-10 | Lincoln Global, Inc. | Welding wire with perovskite coating |
-
1996
- 1996-06-04 JP JP14147396A patent/JP3445061B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US8395071B2 (en) | 2010-04-02 | 2013-03-12 | Lincoln Global, Inc. | Feeding lubricant for cored welding electrode |
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