JPH09323089A - 水処理装置の洗浄方法 - Google Patents

水処理装置の洗浄方法

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JPH09323089A
JPH09323089A JP16532296A JP16532296A JPH09323089A JP H09323089 A JPH09323089 A JP H09323089A JP 16532296 A JP16532296 A JP 16532296A JP 16532296 A JP16532296 A JP 16532296A JP H09323089 A JPH09323089 A JP H09323089A
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water
metal particles
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iron metal
packed bed
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JP16532296A
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Tsutomu Ogose
勤 生越
Hiroshi Kurobe
洋 黒部
Shin Hodozawa
伸 保土沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鉄金属粒子の充填層に通水して排水中の不純物
を還元処理する水処理装置において、鉄金属粒子の表面
に付着した汚染物質を容易に剥離、除去することがで
き、長期間にわたり安定して排水中の有害物質を除去す
ることができる水処理装置の洗浄方法を提供する。 【解決手段】鉄金属粒子の充填層に通水して排水中の不
純物を還元処理する水処理装置において、充填層に洗浄
水及び窒素ガスの混合流を上向流で供給し、鉄金属粒子
の充填層内の汚染物質を除去することを特徴とする水処
理装置の洗浄方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水処理装置の洗浄
方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、鉄金属粒子
の充填層に通水して水中の不純物を還元処理する水処理
装置において、洗浄水の使用量が少なく、洗浄に要する
時間が短く、しかも鉄金属粒子の表面に付着した汚染物
質を効率よく除去することができる水処理装置の洗浄方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】石炭又は石油を燃焼した際に発生する排
ガスの脱硫装置から排出される排煙脱硫排水は、重金
属、非金属類などの種々の有害物質を含有するので、排
煙脱硫排水よりこれらの有害物質を除去する必要があ
る。排煙脱硫排水の水質は、燃料の燃焼の効率化や、排
煙脱硫方式の改良により変化し、水質の変化に対応した
排煙脱硫排水の処理方法が必要とされている。排水にペ
ルオキソ硫酸、ヨウ素酸、セレン酸などが含まれている
場合は、これらの除去は容易ではなかったが、本発明者
らは先に、これらの有害物質を含む排水のpHを5以下に
調整して鉄金属と接触させたのち、凝集処理及び固液分
離を行うことにより、排水中のペルオキソ硫酸、ヨウ素
酸、セレン酸などが溶出した2価の鉄イオンによって還
元され、さらに、凝集処理により水中に溶解している鉄
イオンを水不溶性の水酸化鉄として沈殿させるとき、重
金属、フッ素などの有害物質も同時に効率的に除去され
ることを見いだした。排水を鉄金属と接触させる方法と
しては、米国特許第4,405,464号明細書、米国特
許第5,200,082号明細書などに提案されている、
反応槽において排水に鉄金属微粒子を添加して撹拌する
撹拌接触法と、特開平7−2502号公報などに提案さ
れている、排水を鉄金属の充填層に通水する通水接触法
が知られている。撹拌接触法は、充填層の洗浄操作は不
要であるが、還元反応が十分でなく、排水中の有害物質
の除去が通水接触法にくらべて劣る上に、鉄金属微粒子
の添加量や、鉄金属微粒子を均一に分散させるための撹
拌強度を管理したり、分散した鉄金属微粒子の流出を防
止するなど、運転管理上の問題が多い。これに対して、
鉄金属粒子の充填層に通水する通水接触法は、運転管理
が比較的容易であり、通水初期には排水中の有害物質が
効率的に除去されるが、長期間通水を続けると鉄金属の
表面に汚染物質が付着したり、目詰まりを生じたりし
て、排水処理効率が低下するという問題がある。長期間
の通水による汚染の問題を回避するために、鉄線材を繊
維状に束ねたものを用いる試みがなされているが、還元
反応を十分に行うためには排水を循環させる必要がある
など、実用化は困難である。このため、本発明者らは、
鉄金属粒子表面に付着した汚染物質を容易に除去し、安
定した排水処理を継続して行うことを可能とする水処理
装置の洗浄方法の研究を行った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉄金属粒子
の充填層に通水して排水中の不純物を還元処理する水処
理装置において、鉄金属粒子の表面に付着した汚染物質
を容易に剥離、除去することができ、長期間にわたり安
定して排水中の有害物質を除去することができる水処理
装置の洗浄方法を提供することを目的としてなされたも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、鉄金属粒子の充
填層に洗浄水及び窒素ガスの混合流を上向流で供給して
洗浄することにより、鉄金属粒子の表面に付着した汚染
物質を効率的に剥離、除去し得ることを見いだし、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、(1)鉄金属粒子の充填層に通水して排水中
の不純物を還元処理する水処理装置において、充填層に
洗浄水及び窒素ガスの混合流を上向流で供給し、鉄金属
粒子の充填層内の汚染物質を除去することを特徴とする
水処理装置の洗浄方法、を提供するものである。さら
に、本発明の好ましい態様として、(2)洗浄水の通水
速度が、LV=30〜150m・hr-1である第(1)項記
載の水処理装置の洗浄方法、(3)窒素ガスの供給量
が、鉄金属粒子の充填層に対し、体積比で1分間に0.
1〜10倍量である第(1)項又は第(2)項記載の水処理
装置の洗浄方法、(4)洗浄水及び窒素ガスの混合流に
よる洗浄を行ったのち、さらに洗浄水のみによる洗浄を
行う第(1)項、第(2)項又は第(3)項記載の水処理装置
の洗浄方法、(5)洗浄水及び窒素ガスの混合流の供給
を、1〜5分間行う第(1)項、第(2)項、第(3)項又は
第(4)項記載の水処理装置の洗浄方法、及び、(6)洗
浄水のみによる洗浄を、1〜5分間行う第(4)項又は第
(5)項記載の水処理装置の洗浄方法、を挙げることがで
きる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明方法は、排水を鉄金属粒子
の充填層に通水して、排水中の不純物を還元処理する水
処理装置の洗浄に使用することができる。排水のpHを5
以下に調整し、鉄金属と接触させると、鉄金属より次式
にしたがって2価の鉄イオンが水中に溶出する。 Fe+2H+ → Fe2++H2 排水中に含まれるペルオキソ硫酸、ヨウ素酸及びセレン
酸は、それぞれ以下に示す式にしたがって2価の鉄イオ
ンと反応し、還元処理される。 S28 2-+2Fe2+ → 2SO4 2-+2Fe3+ 2IO3 -+10Fe2++12H+ → I2+10Fe3+
6H2O SeO4 2-+6Fe2++8H+ → Se0+6Fe3++4
2O さらに、酸化還元電位が−400〜−100mVの場合
は、次式にしたがって鉄金属とセレン酸の反応が起こ
る。 SeO4 2-+3Fe+8H+ → Se0+3Fe2++4H2
O このようにして排水中に含まれる不純物を鉄金属と接触
して還元処理したのち、被処理水にアルカリ剤を添加し
てpHを7以上とすると、水中の鉄イオンは、例えば、下
記の式のように水不溶性の水酸化鉄となってフロックを
形成する。 Fe2++2NaOH → Fe(OH)2+2Na+ Fe3++3NaOH → Fe(OH)3+3Na+ このとき、還元されたセレンのほか、排水中に含まれる
重金属類、懸濁物質、フッ素、COD成分なども同時に
凝集、沈降して分離することができる。pHを5以下に調
整した排水を接触させる鉄金属粒子としては、純鉄、粗
鋼、合金鋼、その他の鉄合金などの粒子を挙げることが
できる。鉄金属が鉄合金であるときは、鉄の含有率が8
5重量%以上であることが好ましい。
【0006】排水と鉄金属粒子の接触は、排水を鉄金属
粒子を充填したカラムなどに通水することにより、効率
的に行うことができる。しかし、鉄金属粒子の充填層に
排水の通水を続けると、鉄金属粒子の表面への汚染物質
の付着や、鉄金属粒子の充填層の目詰まりなどが生じ、
排水中の不純物の除去効率が次第に低下してくる。この
ような汚染物質には、鉄金属又は鉄イオンの反応により
生成する酸化鉄、炭化鉄、硫化鉄や、排水中の懸濁物質
などがある。本発明方法においては、鉄金属粒子の充填
層に排水を通水し、不純物の還元処理を続けたのち、鉄
金属粒子の充填層に洗浄水及び窒素ガスの混合流を上向
流で供給し、鉄金属粒子の表面に付着した汚染物質を剥
離、除去し、あるいは、鉄金属粒子の充填層に目詰まり
を起こしている汚染物質を除去する。洗浄水及び窒素ガ
スの混合流を上向流として供給することにより、鉄金属
粒子の充填層は展開、流動化するとともに、窒素ガスの
気泡を含む混合流により激しく撹拌され、鉄金属粒子表
面から付着した汚染物質が剥離され、目詰まりを起こし
ている汚染物質とともに水流に伴われて排出される。洗
浄水及び窒素ガスの混合流とすることなく、洗浄水のみ
による洗浄では、鉄金属粒子の充填層が展開しても、汚
染物質の剥離効果が小さく、多量の洗浄水を消費しても
洗浄効果は上がらない。本発明方法においては、ガスと
して窒素ガスを使用する。窒素ガスを使用することによ
り、鉄金属粒子の充填層を不活性雰囲気に維持すること
ができ、充填層中に存在する溶解した鉄イオンが酸化さ
れて酸化鉄となり、鉄金属粒子の表面に再付着するおそ
れがない。
【0007】本発明方法において、鉄金属粒子の充填層
に洗浄水を通水するときの流れ方向には特に制限はな
く、上向流又は下向流のいずれともすることができる。
しかし、pHを5以下に調整した排水の通水は、水素ガス
が発生するため通常は上向流で行い、洗浄水及び空気の
混合流の供給も上向流で行うので、設備設計及び運転管
理上からは、鉄金属粒子の充填層への洗浄水の通水も上
向流とすることが好ましい。本発明方法において、洗浄
水の通水速度は、LV=30〜150m・hr-1とするこ
とが好ましい。洗浄水の通水速度は、鉄金属粒子の大き
さなどに応じて選択することができるが、洗浄水及び窒
素ガスの混合流を供給したとき、鉄金属粒子の充填層が
10〜50%展開する程度とすることが好ましい。洗浄
水の通水速度が30m・hr-1未満であると、鉄金属粒子
の充填層の展開が少なく、鉄金属粒子の表面に付着した
汚染物質が十分に剥離しないおそれがある。洗浄水の通
水速度が150m・hr-1を超えると、消費する洗浄水の
量が多くなる上に、鉄金属粒子が流出するおそれがあ
る。本発明方法において、窒素ガスの供給量は、鉄金属
粒子の充填層に対し、体積比で1分間に0.1〜10倍
量であることが好ましい。窒素ガスの供給量が、鉄金属
粒子の充填層に対し体積比で1分間に0.1倍量未満で
あると、撹拌力が弱く洗浄効果が十分に向上しないおそ
れがある。窒素ガスの供給量は、通常は鉄金属粒子の充
填層に対し体積比で1分間に10倍量で十分であり、そ
れ以上の窒素ガスを供給しても、窒素ガスの供給量の増
加に見合って洗浄効果は向上しない。 本発明方法においては、洗浄水及び窒素ガスの混合流を
供給して洗浄を行ったのち、洗浄水のみによる洗浄を行
うことが好ましい。洗浄水のみによる洗浄により、洗浄
水及び窒素ガスの混合流によって剥離した汚染物質を洗
い流すとともに、鉄金属粒子の充填層から気泡を追い出
すことができ、さらに、鉄金属粒子の充填層を均一に形
成することができる。本発明方法においては、洗浄水及
び窒素ガスの混合流の供給を1〜5分間行うことが好ま
しい。混合流の供給が1分間未満であると、鉄金属粒子
の充填層の洗浄が不十分となるおそれがある。混合流の
供給は、通常は5分間以内で十分であり、それ以上混合
流を供給しても洗浄効果は向上しない。本発明方法にお
いては、洗浄水及び窒素ガスの混合流の供給後の洗浄水
のみによる洗浄は、1〜5分間行うことが好ましい。洗
浄水のみによる洗浄時間が1分間未満であると、剥離し
た汚染物質の洗い流し及び気泡の追い出しが不十分とな
るおそれがある。洗浄水のみによる洗浄は、通常は5分
間以内で十分であり、それ以上洗浄水のみによる洗浄を
継続しても洗浄効果は向上しない。洗浄水のみによる洗
浄を終了したのち、洗浄水の供給を停止して沈静化する
ことにより、鉄金属粒子の充填層をふたたび形成する。
【0008】図1は、本発明の水処理装置の洗浄方法の
説明図である。本図に示す水処理装置は、円筒状のカラ
ム1の底部に排水、洗浄水及び窒素ガスの導入口2を備
え、上部に還元処理水及び洗浄水のための水排出口3を
備えている。カラムの下部には砂利を充填して支持床4
とし、支持床の上に多孔板5を取り付け、さらにその上
に鉄金属粒子を充填して鉄金属粒子の充填層6を形成す
る。カラムの頭部には多孔板7を取り付け、還元処理時
に発生する水素ガス及び洗浄時に供給する窒素ガスの排
出口とする。排水の還元処理においては、pHを5以下、
好ましくはpHを2〜3に調整した排水を導入口より供給
し、鉄金属粒子の充填層において、排水中に含まれるペ
ルオキソ硫酸、ヨウ素酸、セレン酸などの不純物を還元
処理する。排水は上向流として導入されるので、還元処
理に際して発生する水素ガスは、水流とともに上方へ移
動し、カラム頭部の多孔板より排出される。水排出口よ
り流出する還元処理水は、さらに凝集沈澱設備に導き、
アルカリ剤を添加してpH7以上に調整し、必要に応じて
さらに高分子凝集剤などを添加して凝集沈澱処理を行っ
て処理水を得る。一定時間経過後、あるいは、処理水中
の不純物が増加する傾向が認められたとき、水処理装置
の洗浄を行う。水処理装置の洗浄を行うためには、排水
の供給を停止し、導入口から洗浄水及び窒素ガスの混合
流を供給することにより、鉄金属粒子の充填層を展開、
流動化する。鉄金属粒子の充填層の展開、流動化によ
り、鉄金属粒子の表面に付着した汚染物質は剥離され、
目詰まりを起こしていた汚染物質とともに、水流に伴わ
れて水排出口より排出される。洗浄水及び窒素ガスの混
合流を所定時間供給したのち、窒素ガスの供給を停止
し、洗浄水のみによる洗浄を行うことにより、剥離した
汚染物質を完全に洗い流すとともに、鉄金属粒子の充填
層から気泡を追い出す。洗浄水のみによる洗浄を所定時
間行ったのち、洗浄水の供給を停止し、鉄金属粒子を沈
静化して充填層を形成する。その後、pH調整を行った排
水を導入口より供給し、還元処理を再開する。本発明方
法によれば、少ない量の洗浄水及び窒素ガスを用いて、
鉄金属粒子の充填層の洗浄を効率的に行うことができ、
長期間にわたって安定して排水中の不純物の還元処理を
行うことができる。
【0009】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 内径28mm、高さ600mmのアクリル樹脂製カラム下部
に、直径5〜10mmの砂利を100mmの高さに充填して
支持床とし、この支持床の上に、孔径3mm、ピッチ10
mmの多孔板を取り付けた。多孔板上に、粒子径0.6mm
の均一な球状の鉄金属粒子200ml(約1kg)を充填
し、図1に示す形状の鉄金属粒子の充填層を有するカラ
ムを作製した。セレン0.7mg/リットルを含有する排
水に塩酸を添加してpHを2〜3に調整し、カラム下部に
設けた導入口から、上向流で通水速度SV=20hr-1
通水し、還元処理を行った。カラム上部に設けた水排出
口から流出する還元処理水に、水酸化ナトリウム水溶液
を添加してpHを9〜9.5に調整して凝集処理を行い、
沈殿を分離して処理水を得た。処理水中のセレン濃度
は、通水5時間後、15時間後、24時間後及び30時
間後においては、いずれも0.02mg/リットルであ
り、48時間後において0.03mg/リットルとなっ
た。ここで排水の通水を止め、カラムの洗浄を行った。
工業用水を導入口から上向流で通水速度LV=50m・h
r-1で通水を始め、同時に窒素ガスを導入口から1リッ
トル/分で工業用水とともに送り込んだ。2分後に窒素
ガスの供給を止めて、工業用水のみの通水を2分間行
い、合計4分間でカラムの洗浄を終えた。ふたたびpH調
整を行ったセレン含有排水の通水に切り替え、上と同様
に処理を続けたところ、処理水中のセレン濃度は、通水
54時間後0.02mg/リットル、72時間後0.02mg
/リットル、96時間後0.03mg/リットルであった。 ここで、ふたたび排水の通水を止め、上と同様にして4
分間の工業用水の通水と、2分間の窒素ガスの導入を組
み合わせたカラムの洗浄を行った。さらにpH調整を行っ
たセレン含有排水の通水に切り替え、同様に処理を続け
たところ、処理水中のセレン濃度は、通水105時間後
0.02mg/リットル、130時間後0.02mg/リット
ル、144時間後0.04mg/リットルであった。 比較例1 実施例1に用いたものと同じ鉄金属粒子を充填したカラ
ムに、工業用水の通水及び窒素ガスの導入による洗浄を
行うことなく、実施例1と同じセレン0.7mg/リット
ルを含有し塩酸によりpHを2〜3に調整した排水を連続
して144時間通水して還元処理を行った。還元処理水
は、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9〜9.5
に調整して凝集処理を行い、沈殿を分離して処理水を得
た。処理水中のセレン濃度は、通水5時間後、15時間
後、24時間後及び30時間後においては、いずれも
0.02mg/リットルであり、48時間後において0.0
3mg/リットルであったが、通水54時間後0.15mg
/リットル、72時間後0.22mg/リットル、96時
間後0.25mg/リットル、105時間後0.35mg/リ
ットル、130時間後0.40mg/リットル、144時
間後0.45mg/リットルと上昇した。 比較例2 実施例1に用いたものと同じ鉄金属粒子を充填したカラ
ムに、実施例1と同じセレン0.7mg/リットルを含有
し塩酸によりpHを2〜3に調整した排水を通水して還元
処理を行った。さらに還元処理水に、水酸化ナトリウム
水溶液を添加してpHを9〜9.5に調整して凝集処理を
行い、沈殿を分離して処理水を得た。処理水中のセレン
濃度は、通水5時間後、15時間後、24時間後及び3
0時間後においては、いずれも0.02mg/リットルで
あり、48時間後において0.03mg/リットルとなっ
た。ここで工業用水のみを用い、窒素ガスを供給するこ
となく、カラムの洗浄を行った。すなわち、排水の通水
を止め、工業用水を導入口から上向流で通水速度LV=
50m・hr-1で8分間通水し、カラムの洗浄を終えた。
ふたたびpH調整を行ったセレン含有排水の通水に切り替
え、上と同様に処理を続けたところ、処理水中のセレン
濃度は、通水54時間後0.09mg/リットル、72時
間後0.11mg/リットル、96時間後0.12mg/リッ
トルであった。 比較例3 実施例1に用いたものと同じ鉄金属粒子を充填したカラ
ムに、実施例1と同じセレン0.7mg/リットルを含有
し塩酸によりpHを2〜3に調整した排水を通水して還元
処理を行った。さらに還元処理水に、水酸化ナトリウム
水溶液を添加してpHを9〜9.5に調整して凝集処理を
行い、沈殿を分離して処理水を得た。処理水中のセレン
濃度は、通水5時間後、15時間後、24時間後及び3
0時間後においては、いずれも0.02mg/リットルで
あり、48時間後において0.03mg/リットルとなっ
た。ここで窒素ガスのみを供給するカラムの洗浄と、工
業用水のみを用いるカラムの洗浄を逐次的に行った。す
なわち、排水の通水を止め、窒素ガスを導入口から1リ
ットル/分で4分間供給し、続いて窒素ガスの供給を止
めて、工業用水を導入口から上向流で通水速度LV=5
0m・hr-1で8分間通水し、カラムの洗浄を終えた。ふ
たたびpH調整を行ったセレン含有排水の通水に切り替
え、上と同様に処理を続けたところ、処理水中のセレン
濃度は、通水54時間後0.08mg/リットル、72時
間後0.10mg/リットル、96時間後0.12mg/リッ
トルであった。 実施例1及び比較例1〜3の結果を、第1表及び図2に
示す。
【0010】
【表1】
【0011】第1表及び図2の結果から、鉄金属粒子の
充填層に洗浄水及び窒素ガスの混合流を供給して洗浄し
た実施例1においては、処理水中のセレン濃度が0.0
2〜0.04mg/リットルと安定して低いことが分か
る。これに対して、全く洗浄を行わない比較例1におい
ては、通水時間が50時間を超えると処理水中のセレン
濃度は急速に上昇し、通水時間が105時間を超えると
排水中のセレンの除去率は50%以下となっしまう。ま
た、洗浄を洗浄水のみを用いて行った比較例2と、洗浄
を窒素ガス及び洗浄水を用いて逐次的に行った比較例3
は結果には大差はなく、いずれも通水時間72時間で処
理水中のセレン濃度は、規制値である0.1mg/リット
ル以上となる。これらの結果から、鉄金属粒子の充填層
に洗浄水及び窒素ガスの混合流を供給して洗浄する本発
明方法が、排水中のセレンを安定して除去する上で、非
常に有効であることが分かる。
【0012】
【発明の効果】本発明方法によれば、排水中の不純物を
還元処理するための鉄金属粒子の充填層の洗浄を、少な
い量の洗浄水及び窒素ガスを用いて効率的に行うことが
でき、ペルオキソ硫酸、ヨウ素酸、セレン酸などの酸化
性物質を不純物として含有する排水の還元処理を、長期
間にわたって安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の水処理装置の洗浄方法の説明
図である。
【図2】図2は、通水時間と処理水中のセレン濃度の関
係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 カラム 2 導入口 3 水排出口 4 支持床 5 多孔板 6 鉄金属粒子の充填層 7 多孔板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄金属粒子の充填層に通水して排水中の不
    純物を還元処理する水処理装置において、充填層に洗浄
    水及び窒素ガスの混合流を上向流で供給し、鉄金属粒子
    の充填層内の汚染物質を除去することを特徴とする水処
    理装置の洗浄方法。
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