JPH093220A - 表面改質装置及び有機物質表面への薄膜形成方法及び薄膜形成物 - Google Patents

表面改質装置及び有機物質表面への薄膜形成方法及び薄膜形成物

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JPH093220A
JPH093220A JP7305981A JP30598195A JPH093220A JP H093220 A JPH093220 A JP H093220A JP 7305981 A JP7305981 A JP 7305981A JP 30598195 A JP30598195 A JP 30598195A JP H093220 A JPH093220 A JP H093220A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 管理や処理プロセスが容易であるとともに、
設備的にも安価な装置を用いて、例えば複雑な3次元形
状を有するフッ素樹脂製品等に対してもその表面に安定
且つ強固に所望の薄膜を堆積形成する。 【解決手段】 真空容器1は、排気装置2を通じて所定
の真空状態に保たれる。また真空容器1内にはイオン源
3が配設され、その発生されるイオンが照射される部位
に被改質材料であるフッ素樹脂容器基板4が装着され
る。イオン源3には最初不活性ガス導入口7から不活性
ガスを導入し、そのイオン化された不活性イオンによっ
て基板4の表面を洗浄する。次いで水蒸気導入口9から
水蒸気をイオン源3に導入し、そのイオン化された水蒸
気イオンを同基板表面に照射して親水性に改質する。そ
の後、加熱機構12を通じて基板表面に付着した水分子
を除去し、蒸着器10によって基板表面にアルミニウム
等からなる薄膜14を蒸着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、疎水性の表面を
有し且つ化学的に安定な有機物質からなる被改質材料の
表面を親水性に改質する表面改質装置、及び該装置を用
いた有機物質表面への薄膜形成方法、及び該方法によっ
て形成される薄膜形成物に関する。
【0002】
【従来の技術】有機物質、特に耐腐食性の極めて高いフ
ッ素樹脂は、腐食性の強い溶液などの容器材料や、腐食
性ガス或いは腐食性溶液中で動作させるセンサ若しくは
構造物の保護層材料として多く用いられている。
【0003】しかし、これらのフッ素樹脂製品はその表
面の疎水性が非常に高く、成型後、任意の部位に蒸着や
メッキによって薄膜を堆積させ、装飾を施したり、或い
は表面熱伝導性や光反射性、表面導電性、等々を付与し
たりすることが極めて困難であった。
【0004】そこで従来より、テフロンなどの表面への
薄膜堆積を目的として、その疎水性表面を改質する各種
の方法が提案され、試みられている。例えば、特開平4
−365875号公報にはナトリウム(Na)とアンモ
ニア水を用いて化学的にフッ素樹脂の表面を改質する方
法が記載されている。
【0005】しかし、被改質材料を溶液中に浸漬するこ
うした方法においては、それら溶液の濃度や汚染の管理
等が極めて煩雑である上、被改質材料が微小な突起や梁
等の微細構造を有している場合には、溶液の表面張力で
これら微細構造が破壊されてしまう懸念がある。また、
被改質材料の形状が複雑である場合には、溶液の流れに
依存した処理むらが発生する恐れもある。
【0006】一方、溶液を使わない表面改質方法として
はプラズマ法なども提案されている(例えば特開昭63
−308920号公報参照)。この方法は、プラズマの
エネルギを利用して、有機物質表面層を物理的、且つ化
学的に改質しようとするものであり、プラズマの生成ガ
スとしては、アルゴンなどの不活性ガスが用いられる。
【0007】こうした方法によれば、物理的には、被改
質材料表面がプラズマ中に存在するイオンによりエッチ
ングされて清浄化されるとともに、その清浄化過程で同
材料表面に微小凹凸が形成され、結果として、堆積され
る薄膜の密着面積が増大され、付着力の向上が図られる
ようになる。
【0008】もっともこの方法では、薄膜の付着力発現
の元となる原子間結合がファンデルワールス力(結合エ
ネルギ;約0.leV)であるので、その付着力増大効
果は小さい。
【0009】また、酸素プラズマによるテフロンの化学
的改質効果としては、その表面層が酸化によって親水化
するとの報告がなされている。また、アルゴンプラズマ
処理によってテフロン表面の親水性が向上し、結果とし
て、薄膜の付着力が増大したとの報告もある。この付着
力は基本的に、表面酸素原子に誘起される極性に依存す
ると考えられる。
【0010】しかしこの場合、酸素原子と薄膜原子との
電子の共有はあり得ない。したがってこの方法では、化
学的にも、結合力の増大効果は小さいと考えられる。ま
たさらに、プラズマの形状は、プラズマを発生させる電
極形状及び位置関係に左右されるものの、球形や楕円体
が一般的である。そして、該プラズマ形状を厳密にコン
トロールすることは困難である。このため、被改質材料
が微小であったり複雑な形状を有している場合には、プ
ラズマがその材料形状に追従できず、上述した溶液中処
理の場合と同様、処理むらが発生する恐れもある。
【0011】また一方、レーザを用いて、酸素よりも親
水化効果(分子極性)の大きい水酸(OH)基を被改質
材料の表面に選択的に吸着させ、これによってメッキな
どの薄膜を強固に付着させる方法も提案されている(例
えば特開平2−196834号公報参照)。
【0012】これは、水酸基または親油基を含むガス中
で、被改質材料表面の改質しようとする部分のみにレー
ザを照射し、その光化学反応を利用して同材料表面に水
酸基を吸着させるとともに、その親水効果によって選択
的にメッキ膜等を付着させる方法である。
【0013】ただしこの方法では、処理のために特別な
ガスや溶液を用いる必要があることから、その流量や純
度の管理が煩雑である上、前処理としての材料の洗浄等
は別途に行う必要があるなど、処理プロセスも複雑にな
らざるを得ない。
【0014】また、レーザを照射する都合上、例えば被
改質材料が複雑な形状を有している場合には、焦点をあ
る特定の一点に合わせるとそれ以外の部位は焦点から外
れてしまう。このため、同材料表面の複数の部位にレー
ザを照射しようとすると、それら複数の部位毎に逐次、
こうした焦点合わせが必要になり、その操作も極めて煩
雑なものとなる。
【0015】しかもこの方法では、こうした処理を実現
するための装置設備も非常に高価なものとなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来よ
り、テフロンなどの表面への薄膜堆積を目的として、そ
の疎水性表面を改質する各種の方法が提案され、試みら
れてはいるものの、 (i)管理や処理プロセスが極めて煩雑である。 (ii)薄膜の十分な付着力が得られない。 (iii)被改質材料が微細若しくは複雑な構造を有し
ている場合には破壊若しくは処理むらが発生する懸念も
ある。 (iv)設備が高価である。 等々、実用上は、尚多くの問題を抱えている。
【0017】この発明は、こうした実情に鑑みてなされ
たものであり、管理や処理プロセスが容易であるととも
に、フッ素樹脂等の疎水性表面であっても薄膜の強固な
付着を得るための十分な親水性を呈し、しかも被改質材
料の如何なる形状に対してもその表面を安定且つ容易に
改質することができて設備的にも安価な表面改質装置を
提供することを目的とする。
【0018】またこの発明は、こうした表面改質装置を
用いて、フッ素樹脂等の疎水性表面に対しても安定且つ
強固に所望の薄膜を堆積形成することのできる有機物質
表面への薄膜形成方法を提供することを目的とする。
【0019】またこの発明は、こうした薄膜形成方法に
基づき形成され、たとえ疎水性表面を有するフッ素樹脂
製品等にあっても、安定且つ強固な薄膜堆積構造を有し
て、その表面への装飾、或いは熱伝導性や光反射性、導
電性等々の付与を容易とする薄膜形成物を提供すること
を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】表面改質装置として、請
求項1記載の発明によるように、(a)被改質材料が装
着される真空容器、(b)被改質材料の装着された真空
容器内に親水基を含むガス若しくは水蒸気を導入する親
水基導入手段、(c)真空容器内に配設され、該導入さ
れた親水基を含むガス若しくは水蒸気をイオン化するイ
オン源、(d)該イオン化された親水基のイオンを被改
質材料の表面に照射するイオン照射手段、をそれぞれ具
える構成によれば、上記親水基を含むガス若しくは水蒸
気のイオンが被改質材料表面に直接照射されるのみで、
その物理的なエネルギによる表面原子と水酸(OH)基
との置換或いは表面の酸素原子に水素が結合されること
に基づく同水酸基の吸着が起こるようになる。すなわ
ち、前記レーザや特殊なガス等を用いなくとも、被改質
材料の表面は水酸基が置換或いは吸着された状態(親水
性の向上された状態)に改質されることとなる。そして
このため、その後メッキや蒸着等によって薄膜材料が堆
積される場合には、該薄膜材料の原子と上記被改質材料
の原子とが水素結合によって結合される極めて強固な付
着が得られるようにもなる。
【0021】また、表面改質装置としての同構成によれ
ば、広がり具合や収束態様等が容易に制御されるイオン
によって被改質材料の表面が改質される(水酸基が置換
或いは吸着された状態となる)ことから、該被改質材料
がたとえ複雑な形状を有している場合でも、それら形状
に応じた均一な表面改質が実現されることとなる。
【0022】しかも、こうしたイオン照射によれば、同
被改質材料の表面に損傷等を与える懸念もない。そし
て、表面改質装置としての同構成は、管理や処理プロセ
スが簡易であるとともに、前述したレーザ等を用いる装
置に比べて設備的に安価でもある。
【0023】また、請求項2記載の発明によるように、
上記イオン照射手段を、 ・前記被改質材料の表面に照射されるイオンを中性化す
る熱電子放出用フィラメント(ニュートラライザ)を具
えるもの。として構成すれば、上記イオンは中性イオン
として被改質材料表面に照射されるようになり、同被改
質材料がフッ素樹脂等の絶縁物からなる場合であって
も、その表面がチャージアップされることはなくなる。
すなわち、上述した被改質材料表面での水酸基の置換或
いは吸着が安定して実行されるようになる。
【0024】また、請求項3記載の発明によるように、
上記イオン照射手段を、 ・前記被改質材料の3次元形状に沿うように配設された
イオン引き出しグリッドを具えるもの。として構成すれ
ば、上記広がり具合や収束態様等を容易に制御すること
のできるイオンの照射を、被改質材料の3次元形状に応
じて更に好適に制御することができるようになる。すな
わち、3次元的に複雑な形状を有する被改質材料であ
れ、その表面改質が更に均一に行われるようになる。
【0025】また、請求項4記載の発明によるように、
上記イオン照射手段を、 ・前記被改質材料の表面を部分的にマスク(遮蔽)し、
このマスクした領域以外の領域に前記親水基の(親水基
を含むガス若しくは水蒸気の)イオンを選択的に照射せ
しめるマスク手段を具えるもの。として構成すれば、被
改質材料の表面の所望の部分のみを選択的に親水性に改
質し、ひいては該改質した部分に堆積される薄膜のみを
同被改質材料表面に対して強固に付着させることができ
るようになる。換言すれば、同被改質材料が例えばフッ
素樹脂等である場合、その表面の上記改質した部分以外
に堆積される薄膜は、殆ど付着力が与えられず、粘着テ
ープや適宜の治具を用いて引き剥がすことで同材料表面
から容易に剥離されるようになる。このため、例えば該
フッ素樹脂等の疎水性表面に薄膜による装飾や配線パタ
ーンを施すことも容易となる。
【0026】また、特に請求項5記載の発明によるよう
に、マスク手段を具える場合、これをアース電位に保持
された導電性マスクとして構成するようにすれば、必ず
しも上述した熱電子放出用フィラメント(ニュートララ
イザ)を具えずとも、イオンの中性化が実現されるよう
になる。すなわち、被改質材料が絶縁物からなる場合で
あってもその表面がチャージアップされることはなく、
同材料表面での水酸基の置換或いは吸着が安定して実行
されるようになる。
【0027】また、請求項6記載の発明によるように、
表面改質装置としてのこれらの構成において、(e)前
記真空容器内に装着された被改質材料の表面に高エネル
ギビームを照射してこれを清浄化する清浄化手段。を具
える構成とすれば、上記被改質材料の表面に塵や不純物
が付着している場合であってもこれを好適に除去するこ
とができ、その後、上述した親水基を含むガス若しくは
水蒸気のイオンの照射を行うものとすれば、同材料表面
での上記水酸基の置換或いは吸着も好適に行われるよう
になる。
【0028】なおこの場合、該清浄化手段は、請求項7
記載の発明によるように、 ・不活性ガス若しくは前記水蒸気をイオン化したイオン
エッチングにて前記被改質材料の表面を清浄化するも
の。として構成することができる。
【0029】特に、親水基を含むガス若しくは水蒸気を
イオン化したイオンエッチングにて被改質材料の表面を
清浄化する構成の場合には、請求項1〜5記載の発明に
かかる上記構成をそのまま用いて該清浄化にかかる処理
を併せ実行することができるようになる。
【0030】また、不活性ガスをイオン化したイオンエ
ッチングにて被改質材料の表面を清浄化する構成の場合
には、請求項8記載の発明によるように、 ・前記被改質材料の装着された真空容器内に不活性ガス
を導入する不活性ガス導入手段と、同真空容器内に配設
されてこの導入された不活性ガスをイオン化するイオン
源と、このイオン化された不活性イオンを前記被改質材
料の表面に照射するイオン照射手段とを具えるもの。と
して、同清浄化手段を構成することができる。
【0031】この場合も、上述した被改質材料の表面に
対する水蒸気イオン照射の前処理として、同一の装置内
で該清浄化にかかる処理を行うことができるようにな
る。そして、この場合には更に、これら処理が同時に実
行されることはないことに鑑みて、請求項9記載の発明
によるように、 ・前記不活性ガスをイオン化するイオン源は前記親水基
を含むガス若しくは水蒸気をイオン化するイオン源が流
用され、前記不活性イオンを前記被改質材料の表面に照
射するイオン照射手段は前記親水基のイオンを前記被改
質材料の表面に照射するイオン照射手段が流用される。
といった構成を採用すれば、こうした不活性イオンによ
る清浄化を併せ実行する装置でありながら、極めて簡素
な装置として同表面改質装置を実現することができるよ
うにもなる。なお、上記不活性ガスとしてはアルゴン
(Ar)ガス等が用いられる。
【0032】また、同清浄化手段は他に、請求項10記
載の発明によるように、 ・前記被改質材料をターゲットとするスパッタエッチン
グにて同被改質材料の表面を清浄化するもの。として構
成することもできる。この場合、上記ターゲットとなる
被改質材料に対して外部から直流若しくは高周波電力を
供給する必要はあるものの、やはり同一の装置内で、上
記被改質材料表面に対する水蒸気イオン照射の前処理と
して、該清浄化にかかる処理を行うことはできる。
【0033】一方、上記水蒸気イオンの照射によって被
改質材料の表面に付着した水分子は、上記水素結合によ
って結合される薄膜材料の被改質材料に対する付着力を
低減させるように作用する。
【0034】そこで、請求項11記載の発明によるよう
に、表面改質装置としてのこれらの構成において、
(f)前記イオン照射された被改質材料の表面から水分
子を除去する水分子除去手段。を更に具える構成とすれ
ば、上記水素結合によって結合される薄膜材料の被改質
材料に対する付着を更に強固なものとすることができる
ようになる。
【0035】なお、この水分子除去手段は、例えば請求
項12記載の発明によるように、 ・被改質材料の表面を加熱する加熱手段。或いは、請求
項13記載の発明によるように、 ・被改質材料の表面にプラズマビーム若しくはマイクロ
波若しくは超音波を照射するもの。或いは、請求項14
記載の発明によるように、 ・被改質材料に高周波電力若しくは直流電力を供給する
もの。として構成することができる。これら何れの構成
であれ、水分子を好適に蒸発若しくは分解して、水酸基
のみを、上記イオン照射された被改質材料の表面に残留
させることができるようになる。
【0036】また、表面改質装置としてのこれらの構成
において、請求項15記載の発明によるように、(g)
前記真空容器内に装着された被改質材料に任意の運動を
付与する運動付与手段。を具える構成とすれば、上記被
改質材料の如何なる形状に対しても均一なイオン照射が
実現されるようになる。すなわち、同被改質材料が、例
えば瓶状の形状を有するものであったとしても、該運動
付与手段を通じてこれに回転等の運動を与えるようにす
れば、上記イオン源やイオン照射手段を何ら操作せずと
も、この被改質材料の全面に亘り均一にイオンを照射す
ることができるようになる。
【0037】他方、疎水性の表面を有し且つ化学的に安
定な有機物質材料の表面に薄膜を形成する方法として、
請求項16記載の発明によるように、(A)前記有機物
質材料の表面に真空雰囲気中で親水基を含むガス若しく
は水蒸気のイオンを照射するイオン照射工程、(B)こ
のイオン照射された有機物質材料の表面に所望の薄膜を
形成する薄膜形成工程、をそれぞれ具える方法によれ
ば、上述した親水基を含むガス若しくは水蒸気のイオン
の照射に基づく有機物質材料(被改質材料)表面の改
質、すなわち水酸基が置換或いは吸着された状態への改
質に伴い、その後この有機物質材料表面に堆積形成され
る薄膜は、その原子と同有機物質材料表面の原子(水酸
基)との水素結合に基づき極めて強固に付着されるよう
になる。
【0038】また、同薄膜形成方法として、請求項17
記載の発明によるように、(C)前記有機物質材料の表
面を真空雰囲気中で清浄化する清浄化工程、(A)この
清浄化された有機物質材料の表面に同じく真空雰囲気中
で親水基を含むガス若しくは水蒸気のイオンを照射する
イオン照射工程、(B)このイオン照射された有機物質
材料の表面に所望の薄膜を形成する薄膜形成工程、をそ
れぞれ具える方法によれば、上記有機物質材料の表面に
塵や不純物が付着している場合であってもこれが好適に
除去された後、上述した親水基を含むガス若しくは水蒸
気のイオンの照射が行われることとなり、同材料表面で
の上記水酸基の置換或いは吸着がより的確に行われるよ
うになる。したがって、その後この有機物質材料の表面
に堆積形成される薄膜は、更にその密着性が向上される
ことともなる。
【0039】さらに、同薄膜形成方法として、請求項1
8記載の発明によるように、(C)前記有機物質材料の
表面を真空雰囲気中で清浄化する清浄化工程、(A)こ
の清浄化された有機物質材料の表面に同じく真空雰囲気
中で親水基を含むガス若しくは水蒸気のイオンを照射す
るイオン照射工程、(D)このイオン照射された有機物
質材料の表面から水分子を除去する水分子除去工程、
(B)この水分子の除去された有機物質材料の表面に所
望の薄膜を形成する薄膜形成工程、をそれぞれ具える方
法によれば、上記方法に加え、有機物質材料の表面に対
する親水基を含むガス若しくは水蒸気のイオンの照射に
よって同材料表面に付着する水分子が除去された後、上
記薄膜の堆積形成が行われるようになる。したがって、
それら薄膜と有機物質材料表面との接着力を低減せしめ
る因子は予め取り除かれ、同薄膜の有機物質材料表面に
対するより強固な付着が得られるようになる。
【0040】なお、請求項19記載の発明によるよう
に、これらの薄膜形成方法において、その各薄膜形成工
程としては、蒸着、若しくはメッキ、若しくは塗布によ
る薄膜の堆積手法を採用することができる。
【0041】また、特に請求項20記載の発明によるよ
うに、上記(A)のイオン照射工程が、(A−1)前記
有機物質材料の表面を部分的にマスクする工程、(A−
2)該マスクした領域以外の領域に前記親水基を含むガ
ス若しくは水蒸気のイオンを選択的に照射せしめる工
程、をそれぞれ有してなり、また上記(B)の前記薄膜
形成工程が、(B−1)蒸着若しくはメッキ若しくは塗
布によって前記有機物質材料の表面全体に薄膜を形成す
る工程、(B−2)該形成した薄膜の表面に粘着テープ
を貼り付ける工程、(B−3)該張り付けた粘着テープ
を引き剥がす工程、をそれぞれ有してなるものとすれ
ば、上記有機物質材料が例えばフッ素樹脂等の疎水性材
料からなる場合であれ、その表面への薄膜による装飾や
配線パターンの敷設が確実且つ簡単に実現されるように
なる。
【0042】すなわち、上記マスク(遮蔽板)を通じて
例えばフッ素樹脂表面へのイオン照射が選択的になされ
る場合、該イオン照射された部分のみは親水性に改質さ
れるが、マスクされたその他の部分は疎水性に維持され
る。このため、同フッ素樹脂の表面に堆積形成された薄
膜に上記粘着テープを貼り付けるとともに、これを引き
剥がした場合には、上記親水性に改質された部分に堆積
されている薄膜のみが樹脂表面に残り、その他の部分
は、該粘着テープに貼り付いたまま、同樹脂表面から剥
離されるようになる。
【0043】また、請求項21記載の発明によるよう
に、上記(B)の薄膜形成工程としては他に、 ・前記有機物質材料の表面を部分的にマスクする工程
と、該マスクした領域以外の領域に蒸着若しくはメッキ
若しくは塗布によって薄膜を形成する工程とを有してな
るもの。であってもよく、こうした薄膜形成工程によっ
ても、有機物質材料表面に強固に付着される薄膜を選択
的に形成することはできる。
【0044】また一方、請求項22記載の発明によるよ
うに、 ・有機物質材料の表面の一部若しくは全部に任意の蒸着
膜若しくはメッキ膜若しくは塗布膜が水素結合にて被着
されてなるもの。或いは、請求項23記載の発明による
ように、 ・真空容器内に導入され且つイオン化された親水基を含
むガス若しくは水蒸気のイオンによってその表面が親水
性に改質された有機物質材料の表面の一部若しくは全部
に任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しくは塗布膜が水素
結合にて被着されてなるもの。として薄膜形成物を構成
すれば、従来、極めて困難であった例えば複雑な3次元
形状を有するフッ素樹脂製品に蒸着やメッキ、塗布等に
よる薄膜を施して装飾したり、その表面熱伝導性や光反
射性、或いは表面導電性等を付与したりすることが容易
に実現されるようになる。
【0045】そして、特にこうして表面熱伝導性や光反
射性、或いは表面導電性を付与したもののそれら性能
(特性)は、例えば接着剤等によって同所望とする薄膜
を付着形成したものに比べて、化学的にも安定した高い
性能を示すようにもなる。
【0046】また、こうした薄膜形成物として、請求項
24記載の発明によるように、 ・前記任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しくは塗布膜が
水素結合にて被着される有機物質材料は、円筒形のフッ
素樹脂材料である。といった構成によれば、例えば高周
波用のケーブルとして利用されているフッ素樹脂ケーブ
ルなどにあっても、その流入熱量を極めて少なく抑える
ことができるようになる。
【0047】因みに従来、こうしたフッ素樹脂ケーブル
は、中心導体としての適宜の金属線材料を円筒形のフッ
素樹脂材料にて被ったものを、外導体としての金属パイ
プに挿入する構造となっている。この場合、外導体とし
ての金属パイプはその厚さが数10μm〜数100μm
と厚いため、その流入熱量も自ずと多いものとなってい
る。
【0048】この点、上記円筒形のフッ素樹脂材料の表
面に、上記外導体として適宜の金属材料からなる蒸着膜
若しくはメッキ膜若しくは塗布膜を水素結合にて被着せ
しめるようにすれば、該外導体が極めて薄く、且つ化学
的、電気的にも安定して形成されることとなり、同程度
のケーブル挿入損失を持つフッ素樹脂ケーブルとしての
流入熱量は大幅に軽減されるようになる。
【0049】また、これらの薄膜形成物において、請求
項25記載の発明によるように、 ・前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結
合にて被着された任意の蒸着膜の更に表面に、該蒸着膜
と同一材料からなるメッキ膜若しくは塗布膜が更に被着
されてなる。といった構造によれば、その被着せしめる
膜の膜厚を増大せしめることも容易となる。
【0050】例えば、上記高周波用ケーブルとして利用
されるフッ素樹脂ケーブルにあっては、その使用される
周波数域に応じて上記外導体の厚さも調整されることが
望ましい。この点、薄膜形成物としてのこうした構造に
よれば、該周波数域に応じた外導体の厚さ調整も容易に
実現されるようになる。
【0051】一方、上記薄膜形成物において、請求項2
6記載の発明によるように、 ・前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結
合にて被着された任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しく
は塗布膜の更に表面に、その保護膜としての有機物質材
料からなる膜が積層形成されてなる。といった構造によ
れば、上記被着せしめた薄膜の耐腐食性等が向上される
こととなり、例えば上記フッ素樹脂ケーブルなど、該薄
膜形成部分が露出している必要のない薄膜形成物にとっ
ては、その耐環境性が大きく向上されるようになる。
【0052】またこの場合、更に請求項27記載の発明
によるように、 ・前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結
合にて被着された任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しく
は塗布膜、及び前記保護膜としてその表面に積層形成さ
れる有機物質材料膜が、それら膜を対として多層形成さ
れてなる。といった構造によれば、例えば回路基板等に
あってはその制御回路層と配線層とを同時に備えたり、
或いは上記高周波用ケーブル等にあってもその多数の配
線層を同時に備えるなど、より複雑な構造体を容易且つ
高精度に実現することができるようにもなる。
【0053】
【発明の実施の形態】はじめに、この発明の原理につい
て説明する。被改質材料を溶液中に浸漬する方法、或い
はプラズマのエネルギを利用して同被改質材料の表面層
を物理的且つ化学的に改質する方法、また或いはレーザ
照射により被改質材料の表面に水酸基を選択的に吸着さ
せてその表面を改質する方法など、従来の表面改質方法
にあっては、 (i)管理や処理プロセスが極めて煩雑である。 (ii)薄膜の十分な付着力が得られない。 (iii)被改質材料が微細若しくは複雑な構造を有し
ている場合には破壊若しくは処理むらが発生する懸念も
ある。 (iv)設備が高価である。 等々の問題が残ることは前述した通りである。
【0054】そこで発明者等は、真空槽中に親水基を含
むガス好ましくは水蒸気を導入してこれをイオン化する
とともに、真空雰囲気中でこの水蒸気イオンを被改質材
料の表面に照射することによって該材料表面を親水性に
改質する方法を検討した。
【0055】こうした方法によれば、上記水蒸気イオン
が被改質材料表面に直接照射されるのみで、その物理的
なエネルギによる表面原子と水酸(OH)基との置換或
いは表面の酸素原子に水素が結合されることに基づく同
水酸基の吸着が起こるようになる。すなわち、前記レー
ザや特殊なガス等を用いなくとも、被改質材料の表面は
水酸基が置換或いは吸着された状態に改質されることと
なる。そしてこのため、その後メッキや蒸着等によって
薄膜材料が堆積される場合には、該薄膜材料の原子と上
記被改質材料の原子とが水素結合によって結合される極
めて強固な付着が得られるようにもなる。
【0056】また、同方法によれば、広がり具合や収束
態様等が容易に制御されるイオンによって被改質材料の
表面が改質されることから、被改質材料がたとえ複雑な
形状を有している場合でも、それら形状に応じた均一な
表面改質が実現されることとなる。
【0057】しかも、こうしたイオン照射によれば、同
被改質材料の表面に損傷等を与える懸念もない。そし
て、こうした態様にて表面改質或いは薄膜形成を実現す
るための装置は、管理や処理プロセスが簡易であるとと
もに、前述したレーザ等を用いる装置に比べて設備的に
安価でもある。
【0058】(第1実施形態)図1に、こうした原理に
基づいて構成したこの発明にかかる表面改質装置の第1
の実施形態を示す。
【0059】この第1の実施形態の装置は、任意の形状
を有するフッ素樹脂容器の疎水性表面全面を親水性に改
質する装置として構成されている。併せて同装置では、
該親水性に改質したフッ素樹脂容器の表面全面に光反射
膜としてのアルミニウム蒸着膜をコーティングし、光化
学的に活性で且つ冷所保存が必要な腐食性薬品等の保存
容器を安価に提供する。
【0060】まず、同図1を参照して、この実施形態の
装置の構成について説明する。この第1の実施形態の装
置において、真空容器1は、例えば真空ポンプを具える
排気装置2によって、その内部が所望の真空度に設定さ
れる容器である。この真空容器1の内部にはイオンビー
ムを発生加速するイオン源3が設けられるとともに、そ
の発生されるイオンビームが照射される位置に被改質材
料としてのフッ素樹脂容器基板4が基板固定治具5によ
り装着固定されている。なおこの基板固定治具5は、真
空容器1の外部に設けられた回転機構6に連結されてお
り、該回転機構6の駆動に基づき、図中矢印にて示され
る態様で、上記フッ素樹脂容器基板4を等速回転させる
よう機能する。
【0061】一方、同実施形態の装置において、上記真
空容器1の外部には、アルゴン(Ar)ガス等の不活性
ガスを該真空容器1内に導入するための不活性ガス導入
口7、水蒸気を発生する水蒸気発生器8、及び該発生さ
れる水蒸気を同真空容器1内に導入するための水蒸気導
入口9が設けられている。これら導入される不活性ガス
及び水蒸気は何れも、上記イオン源3を通じてイオン化
され、それら各イオンが上記フッ素樹脂容器基板4の表
面に対して照射される。
【0062】なお、イオン源3におけるイオンの出口近
傍には、フッ素樹脂容器基板4に対するイオン照射手段
の一部として、イオン引き出しグリッド10及び熱電子
放出用フィラメント(ニュートラライザ)11が設けら
れている。これら要素の給電手段についてはその図示を
割愛するが、特に上記熱電子放出用フィラメント11に
よれば、その発生される熱電子によってイオンが中性化
され、上記フッ素樹脂容器基板4がイオン照射によって
チャージアップされるといったような不都合は好適に回
避されるようになる。
【0063】また、真空容器1の内部において、このイ
オン照射されるフッ素樹脂容器基板4の近傍には、同基
板4の表面に付着された水分子を蒸発させてこれを除去
するための加熱機構12が設けられており、さらにイオ
ン源3の反対側には、改質され且つ水分子の除去された
フッ素樹脂容器基板4の表面全面に光反射膜としてのア
ルミニウム薄膜を蒸着するための蒸着器13が設けられ
ている。
【0064】次に、この第1の実施形態の装置を用いた
上記フッ素樹脂容器基板4の表面改質方法、並びに該改
質されたフッ素樹脂容器基板4表面へのアルミニウム薄
膜蒸着方法について説明する。
【0065】同第1の実施形態の装置を用いての表面改
質並びに薄膜形成は、以下に列記する手順に従って実行
される。 (1)まず、上記フッ素樹脂容器基板4を真空容器1内
の基板固定治具5に取り付け、排気装置2によって真空
度5×10^ (-6)Torr(ここで、「^ 」はべき乗を
表すものとする)程度まで排気する。なお上述の如く、
基板固定治具5はこれ以降、容器基板4の全面が一様に
イオン照射されるように、回転機構5の駆動に基づき、
同容器基板4を一定の速度で回転せしめるようになる。
【0066】(2)こうして、フッ素樹脂容器基板4を
回転させながら、イオン源2から不活性イオンを極短時
間(30秒程度)、表面の不純物が除去でき、且つ材料
表面に損傷を与えないような照射条件を選んで清浄化を
行う。好ましくは、不活性ガス導入口7からアルゴンガ
スを2×10^ (-4)Torr程度導入し、これをイオン
源2内でイオン化し、100〜300Vの加速電圧で約
30秒程、フッ素樹脂容器基板4の表面に照射する。
【0067】(3)その後、同容器基板4の表面改質
(親水化)のために水蒸気をイオン源2内に導入する。
この水蒸気は、真空容器1の外部に設けた上記水蒸気発
生器8において水を蒸発させることによって得る。ま
た、該水蒸気の導入においては、高密度のイオン照射が
可能となる条件で行う。このときの圧力は3×10^ (-
4)Torr程度である。この水蒸気をイオン源2を通じ
てイオン化し、フッ素樹脂容器基板4に照射する。また
このとき、容器基板4がイオン照射によってチャージア
ッブしないように、上述した熱電子放出用フィラメント
11に通電を行って熱電子を発生させ、これによって該
照射されるイオンを中性化する。なお、このときのイオ
ンの加速電圧は、被改質材料である上記フッ素樹脂容器
基板4の表面にダメージを与えない程度の電圧、好まし
くは100〜300Vである。また、照射時間は10数
秒(約15秒)〜10分程度とする。このように、フッ
素樹脂容器基板4の表面に直接水酸(OH)基を照射す
ることで、その物理的なエネルギーにより、同表面のフ
ッ素原子(F)が水酸基と置換されるようになる。
【0068】(4)そしてその後、蒸着器13によっ
て、この親水化されたフッ素樹脂容器基板4の表面にア
ルミニウム薄膜を所定の膜厚だけ堆積させる。なおこの
とき、該薄膜の蒸着前に、加熱機構12を通じて上記親
水化されたフッ素樹脂容器基板4を120℃程度に加熱
し、水酸基に吸着した水分子を除去しておくことで、そ
の後堆積される薄膜の極めて強固な付着を得ることがで
きるようになる。
【0069】図2は、こうして得られるフッ素樹脂容器
の断面構造を模式的に示したものであり、このうち図2
(a)は、上記実施形態の装置に装着される前の該容器
基板4の構造を示し、図2(b)は、同実施形態の装置
を通じて上記アルミニウム薄膜が薄膜14として堆積形
成された後の同容器の構造を示している。
【0070】図2(a)に示されるように、3次元的に
複雑な形状に加工されているフッ素樹脂容器基板4であ
れ、上記処理を通じて親水性表面に改質され、水素結合
にて同表面に薄膜14が被着されることにより、極めて
密着性が高く、化学的にも安定した光反射膜が得られる
ようになる。
【0071】しかも、同第1の実施形態の装置の上記構
成によれば、こうした薄膜を形成するための処理プロセ
スや管理が簡易であり、また装置設備も安価であるた
め、上述した光化学的に活性で且つ冷所保存が必要な腐
食性薬品等の保存容器自体も安価に提供することができ
るようになる。
【0072】以上説明したように、同第1の実施形態に
かかる表面改質装置によれば、 (イ)レーザや特殊なガス等を用いなくとも、被改質材
料の表面は水酸基が置換或いは吸着された状態(親水性
の向上された状態)に改質されることとなる。 (ロ)そしてこのため、その後メッキや蒸着等によって
薄膜材料が堆積される場合には、該薄膜材料の原子と上
記被改質材料の原子とが水素結合によって結合される極
めて強固な付着が得られるようにもなる。 (ハ)また、広がり具合や収束態様等が容易に制御され
るイオンによって被改質材料の表面が改質される(水酸
基が置換或いは吸着された状態となる)ことから、該被
改質材料がたとえ複雑な形状を有している場合でも、そ
れら形状に応じた均一な表面改質が実現されることとな
る。 (ニ)しかも、こうしたイオン照射によれば、同被改質
材料の表面に損傷等を与える懸念もない。 (ホ)そして同表面改質装置は、管理や処理プロセスが
簡易であるとともに、レーザ等を用いる装置に比べて設
備的に安価でもある。等々、多くの優れた効果が奏せら
れるようになる。
【0073】(第2実施形態)図3に、上記原理に基づ
いて構成したこの発明にかかる表面改質装置の第2の実
施形態を示す。
【0074】この第2の実施形態の装置は、例えば上記
フッ素樹脂からなる基板が3次元的に更に複雑な形状を
有している場合でも、その表面全面をより均一にイオン
照射してこれを親水性に改質する装置として構成されて
いる。
【0075】なお同図3において、先の図1に示した要
素と同一若しくは対応する要素にはそれぞれ同一の符号
を付して示しており、それら要素についての重複する説
明は割愛する。
【0076】さてこの第2の実施形態の装置は、基本的
には図3に示されるように、イオン源3に配されるイオ
ン引き出しグリッド10の形状を上記基板4の被改質面
を覆うようにアレンジしたものである。
【0077】同第2の実施形態の装置としてのこうした
構成により、治具5に固定されている基板4を再配置す
ることなく、その表面全面に均一にイオン照射を施して
これを改質することができるようになる。
【0078】なお、こうして表面改質された基板4に対
するその後の薄膜形成処理は、例えば同図3に併せ示さ
れるように、 ・図示しない適宜の移動機構により矢印F1の如く基板
固定治具5を移動せしめて、基板4の表面に付着してい
る水分子を加熱機構12によって除去する。 ・該水分子の除去された基板4の表面に、蒸着器13に
よって上記アルミニウム等の薄膜14を堆積形成する。
なおこの際、矢印F2として示すように、上記移動機構
を通じて、基板4の固定されている治具5を小刻みに移
動せしめるようにしてもよい。といった態様で実行され
ることとなる。
【0079】このように、第2の実施形態の装置によっ
ても、第1の実施形態の装置による前記(イ)〜(ホ)
と同様、極めて簡易なプロセスや管理を通じて例えばフ
ッ素樹脂からなる基板4の表面を親水性に均一に改質す
ることができ、更には該改質に基づき同基板4表面への
強固な薄膜形成を行うことができるようになる。
【0080】しかも、同第2の実施形態の装置によれ
ば、 (ヘ)上記基板4が3次元的に如何に複雑な形状を有し
ていようとも、これに極めて容易に対応することができ
る。 といった効果が併せ奏せられることともなる。
【0081】なお、同第2の実施形態の装置の図3に例
示した構成では、熱電子放出用フィラメント11が基板
4の形状に拘わりなく平面状に配設されるものとしてい
るが、該熱電子放出用フィラメント11についても上記
イオン引き出しグリッド10と同様、基板4の被改質面
を覆う形状にアレンジするようにしてもよい。
【0082】また、同図3に例示した構成では、基板固
定治具5を矢印F1の如く移動して基板4の表面に薄膜
を形成するようにしたが、この態様も任意である。他に
例えば、蒸着器13を上記治具5を挟んでイオン源3と
対向する位置に配設し、上記改質処理の後、同治具5を
180°だけ回転せしめて上記薄膜形成にかかる処理を
行う構成とすることもできる。
【0083】(第3実施形態)図4に、上記原理に基づ
いて構成したこの発明にかかる表面改質装置の第3の実
施形態を示す。
【0084】この第3の実施形態の装置は、テフロンな
どのフッ素樹脂からなる基板の表面に例えば電気配線を
目的とした導電性の薄膜を選択的に形成するのに適した
装置として構成されている。
【0085】前述の如く耐腐食性の極めて高いフッ素樹
脂を、このような配線基板とすると同時に保護層として
利用すれば、各種の半導体センサやIC回路を極めてコ
ンパクトに実装できるとともに、強酸雰囲気や各種腐食
性ガス雰囲気中でもこれらのデバイスを安定に動作させ
ることが可能となる。またこうしたフッ素樹脂は、その
誘電率等の特性から、高周波回路の基板材料としても優
れている。
【0086】なお、同図4においても、先の図1或いは
図3に示した要素と同一若しくは対応する要素にはそれ
ぞれ同一の符号を付して示しており、それら要素につい
ての重複する説明は割愛する。
【0087】さて、この第3の実施形態の装置は、その
イオン照射手段の一部として、被改質材料であるフッ素
樹脂基板4の表面を部分的にマスクし、このマスクした
領域以外の領域にイオン源3から発せられるイオンを選
択的に照射せしめる金属マスク15を具えて構成されて
いる。
【0088】なおこの金属マスク15は、イオン照射時
にチャージアッブがあると水酸基の置換・吸着が妨げら
れて基板4の表面を親水性に改質できないため、真空容
器1と電気的に接続されてアース電位に保持されてい
る。これにより同第3の実施形態の装置にあっては、前
記熱電子放出用フィラメント(ニュートラライザ)11
の配設は割愛される。
【0089】以下、同第3の実施形態の装置を用いて行
われる配線材料を成膜するための表面親水化処理、並び
に配線のパターニング処理についてその手順を列記す
る。 (1)金属マスク15によってフッ素樹脂基板4の表面
近傍を覆った状態で、前述した第1の実施形態の装置を
通じて行った処理と基本的に同様の処理を行って同基板
4の表面を選択的に清浄化し、また親水化する。このと
き、所望とされる配線パターンに対応して、同パターン
に対応した部分のみが選択的に清浄化され且つ親水化さ
れるよう、上記金属マスク15のマスク形状が設定され
ていることはいうまでもない。図4においては、上記基
板4の表面の該所望の配線パターンに対応して親水化さ
れた部分に符号16を付して示している。
【0090】(2)こうしてフッ素樹脂基板4の表面に
対する選択的な改質処理を終えると、図示しない適宜の
移動機構により矢印Fの如く基板固定治具5を移動せし
めて、同基板4の表面に付着している水分子を加熱機構
12によって除去する。そして該水分子の除去された基
板4の表面に、蒸着器13によってアルミニウム等の導
電性薄膜14を成膜する。
【0091】(3)次いで、この成膜されたフッ素樹脂
基板4を真空容器1から取り出し、同基板4の成膜面全
面に、図5(a)に示される態様で、粘着テープ17を
貼り付ける。
【0092】(4)その後、この貼り付けた粘着テープ
17を引き剥がす。これにより図5(b)に示されるよ
うに、フッ素樹脂基板4の表面の上記選択的に親水化さ
れた部分、すなわち選択改質面16に対応する薄膜14
のみが同基板4上に残り、該選択改質面16に対応した
配線パターンの敷設が実現されるようになる。すなわ
ち、上記マスク15を通じてフッ素樹脂基板4へのイオ
ン照射が選択的になされる場合、該イオン照射された部
分のみは親水性に改質されるが、マスクされたその他の
部分は疎水性に維持される。このため、同基板4の表面
に成膜された薄膜14に上記粘着テープ17を貼り付け
るとともに、これを引き剥がした場合には、上記親水性
に改質された部分に成膜されている薄膜のみが基板4の
表面に残り、その他の部分は、該粘着テープに貼り付い
たまま、同基板4の表面から剥離されるようになる。
【0093】図6に、上記表面改質に必要とされる水蒸
気(H2 O)イオンの照射量を評価した結果を示す。こ
の図6によれば、水蒸気イオンを6×10^(15) ion
s/cm^(2)(加速電圧300Vで約15秒のイオン照
射量)ほど照射することで、十分に親水性に改質できる
ようになることがわかる。
【0094】因みに図6中、水の接触角が0度になって
いない領域では、薄膜を堆積しても付着力が弱く、その
引っ張り強度は約4MPa(メガパスカル)程度であっ
た。このとき、該薄膜は上記粘着テープによって容易に
剥離した。
【0095】これに対し、図6中の水の接触角が0度に
なっている領域では、上記堆積した薄膜の付着力も向上
しており、その引っ張り強度は8.2MPaに達してい
た。そしてこのとき、該薄膜が上記粘着テープによって
剥離することはなかった。
【0096】このように、第3の実施形態の装置並びに
上記パターニング方法によれば、 (ト)耐腐食性の極めて高いフッ素樹脂を配線基板とす
ると同時に保護層とする電気回路若しくは半導体センサ
等を容易に、しかも能率的に生産することができる。と
いった効果が更に奏せられることとなる。
【0097】なお、上記第3の実施形態の装置では、真
空容器1に電気的に接続されてアース電位に保持される
金属マスク15を使用したが、先の第1或いは第2の実
施形態の装置のような熱電子放出用フィラメント11を
用いて照射イオンを中性化することもできる。そしてこ
の場合には、金属のような導電性のマスクではなく、樹
脂製のマスクであっても、基板14のチャージアッブを
防ぎ、その表面を選択的に改質することができるように
なる。
【0098】また、上述した配線パターンに限らず、フ
ッ素樹脂基板等に薄膜による装飾を施すような場合に
も、同第3の実施形態の装置、並びに上述したパターニ
ング処理は有効である。
【0099】また、上記第3の実施形態では、フッ素樹
脂等の有機物質材料の表面に選択的に薄膜を形成するの
に、その表面改質の段階でマスク処理を施すようにした
が、他に例えば、表面改質は上記材料表面の全面に行
い、上記蒸着等の成膜の段階で、上記に準じたマスク処
理を施すようにすることもできる。こうした薄膜形成手
法によっても、有機物質材料表面に強固に付着される薄
膜を選択的に形成することはできる。
【0100】(第4実施形態)図7に、この発明の第4
の実施形態として、例えば先の図1に例示した装置を通
じて薄膜形成されるフッ素樹脂ケーブルについてその一
例を示す。
【0101】フッ素樹脂は前述のように、その誘電率等
の特性から、高周波用材料として特に優れており、従来
より、高周波用ケーブルとして該フッ素樹脂をその同軸
線のセパレータとして用いたフッ素樹脂ケーブルが多く
用いられている。
【0102】ところで、こうした高周波用ケーブルにあ
っては一般に、高周波の伝搬損失を少なくする必要があ
り、そのためには同フッ素樹脂ケーブルとしても径の大
きなケーブルを用いることが有利となる。例えば、数G
(ギガ)〜数10GHz程度の高周波を伝送するケーブ
ルを考えた場合、直径3mm程度のケーブルを用いるこ
とで、長さ150mmの線路長に対し、0.1dB程度
の損失に抑えることが可能となる。
【0103】一方、こうしたケーブルの接続によって熱
の流入が問題となる場合には、上記セパレータであるフ
ッ素樹脂の外周並びに中心の導体が熱の伝搬路となるた
め、その断面積を小さくする必要が生じる。
【0104】しかし従来、こうしたフッ素樹脂ケーブル
は、中心導体としての適宜の金属線材料を円筒形のフッ
素樹脂材料にて被ったものを、外導体としての金属パイ
プに挿入する構造となっている。そしてこの場合、外導
体としての金属パイプはその厚さが数10μm〜数10
0μmと厚いため、その流入熱量も自ずと多いものとな
っている。因みに、上記円筒形のフッ素樹脂材料の直径
が3mm程度のケーブルの場合、この流入熱量は2Wに
も及んでいる。
【0105】そこで、この第4の実施形態としてのフッ
素樹脂ケーブルでは、例えば図1に例示した装置を用い
て上記円筒形のフッ素樹脂材料の表面(外周)を改質す
るとともに、該改質したフッ素樹脂材料表面(外周)に
銅等からなる金属薄膜を例えば6μmほど蒸着形成する
ことで、同ケーブルとしての断面積を小さくし、ひいて
はその流入熱量を大幅に軽減するようにしている。
【0106】以下、図7に基づき、同第4の実施形態と
してのフッ素樹脂ケーブルの構造を更に詳述する。同図
7に示されるように、このフッ素樹脂ケーブルは、上記
セパレータとして円筒形状を有する例えばテフロン等の
フッ素樹脂18、その円筒内部に配される中心導体1
9、同円筒の外周部に配される外導体20、及び該外導
体20を保護するポリイミド等の樹脂材料からなる保護
材21を有して構成されている。
【0107】ここで、上記フッ素樹脂18の外径は2.
98mmであり、内径は0.912mmである。上述し
た高周波の伝搬損失を低減するためには該フッ素樹脂1
8の表皮面積を大きくする必要があり、この程度の外径
並びに内径が好ましいものとなっている。なお、利用す
る周波数域やデバイスによっては、数mm〜数10mm
の外径を選ぶことも可能である。
【0108】また同フッ素樹脂ケーブルにおいて、上記
中心導体19としては、銅で覆った鋼線に銀メッキを施
したものが用いられている。このような線材は、フッ素
樹脂ケーブルの中心導体材料として、従来からよく使用
されている。
【0109】一方、上記外導体20は、例えば図1に例
示した装置を通じて表面(外周)が親水性に改質された
フッ素樹脂18に対し、同じく例えば図1に例示した装
置を通じて蒸着された銅薄膜からなり、その膜厚は約6
μmとなっている。因みに、上記約3mm程度の外径を
有するフッ素樹脂ケーブルにて例えば1.5GHzの高
周波信号を伝送するものとすると、該外導体20が銅か
らなる場合には、その膜厚としても最低2μm程度の膜
厚が必要である。そして、通常利用する場合には、高周
波の漏洩を防ぐために、その3倍の6μm程度の膜厚が
必要となる。該外導体20として、このような6μm程
度の膜厚であれば、上記流入熱量も、従来の金属パイプ
が用いられる場合に比べて大幅に軽減されるようにな
る。なお、外導体20としての最低膜厚は、その利用さ
れる周波数域に応じて異なったものとなる。
【0110】また、上記保護材21は、上記外導体20
としての銅薄膜形成後、上記ポリイミド等の樹脂材料溶
液に浸漬し、加熱処理することで着膜され、その膜厚は
数10μmとなっている。このような保護材21が設け
られることで、当該フッ素樹脂ケーブルとしての耐腐食
性、耐環境性が大幅に向上されることとなる。
【0111】図8に、従来のフッ素樹脂ケーブルとこの
第4の実施形態にかかるフッ素樹脂ケーブルとにおけ
る、主に伝搬損失と流入熱量との関係について示す。こ
の図8において、図8(a)〜(c)は、従来の各種フ
ッ素樹脂ケーブルにおける寸法や導体材料とともにそれ
らケーブルの伝搬損失と流入熱量との関係を示し、また
図8(d)は、上記第4の実施形態にかかるフッ素樹脂
ケーブルにおける寸法や導体材料とともに同ケーブルの
伝搬損失と流入熱量との関係を示している。
【0112】この図8からも明らかなように、同実施形
態にかかるフッ素樹脂ケーブルによれば、同程度の伝搬
損失を有する従来のケーブル(例えば図8(a))に比
べ、その流入熱量を、例えば「1.98W→0.066
W」と大幅に軽減することができるようになる。なお、
従来のケーブルにあって、流入熱量が該「0.066
W」より少ないものもあるが(例えば図8(c))、そ
の場合には高周波の伝搬損失が極めて大きなものとなっ
ている。
【0113】以上説明したように、同第4の実施形態に
よれば、 (チ)高周波用のフッ素樹脂ケーブルとして、流入熱量
が少なく且つ、伝搬損失も少ない、従来にない高性能な
ケーブルが得られる。といった極めて意義ある効果が更
に奏せられることとなる。
【0114】なお、同実施形態にあっては、上記約3m
m程度の外径を有するフッ素樹脂ケーブルにて例えば
1.5GHzの高周波信号を伝送するものとして、その
外導体20の膜厚を約6μmに設定したが、例えば0.
5GHz等、より低い周波数域で用いられる場合には、
同外導体20の膜厚としても例えば50μm程度必要と
されることもある。
【0115】そしてそのような場合には、同フッ素樹脂
ケーブルとしても、 ・円筒形フッ素樹脂18の表面に水素結合にて被着され
た銅蒸着膜の更に表面に銅メッキ膜若しくは銅塗布膜が
更に被着される。といった構造が有効となる。このよう
な構造によれば、上記外導体20としての銅膜の膜厚を
50μm程度に増大せしめることも容易となる。
【0116】そして、薄膜形成物としても、一般的に
は、 ・前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結
合にて被着された任意の蒸着膜の更に表面に、該蒸着膜
と同一材料からなるメッキ膜若しくは塗布膜が更に被着
されてなる。といった構造によって、その被着せしめる
膜の膜厚を増大せしめることが容易となる。
【0117】また、同第4の実施形態にあっては、上記
保護材21を設けることで、当該ケーブルとしての耐腐
食性、耐環境性の向上を図ることとしたが、このように
金属薄膜形成部分が露出していると問題となる薄膜形成
物であれば、一般に ・前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結
合にて被着された任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しく
は塗布膜の更に表面に、その保護膜としての有機物質材
料からなる膜が積層形成されてなる。といった構造によ
って、それら薄膜形成物としての耐腐食性、耐環境性の
向上を図ることができるようになる。
【0118】またこの場合、同薄膜形成物としての更
に、 ・前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結
合にて被着された任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しく
は塗布膜、及び前記保護膜としてその表面に積層形成さ
れる有機物質材料膜が、それら膜を対として多層形成さ
れてなる。といった構造によれば、例えば回路基板等に
あってはその制御回路層と配線層とを同時に備えたり、
或いは上記高周波用ケーブル等にあってもその多数の配
線層を同時に備えるなど、より複雑な構造体を容易且つ
高精度に実現することができるようにもなる。
【0119】ところで、上記各実施形態では、フッ素樹
脂からなる容器若しくは基板若しくはケーブル材料に対
してアルミニウム薄膜や銅薄膜を蒸着する場合について
述べた。しかし、その他の容器、基板、ケーブル材料、
等々においてもその表面に水酸基を形成することは可能
であり、またそれら材料に堆積させる薄膜の種類(材
料)も、目的に応じて適宜選択することができる。
【0120】すなわち、この発明の水素結合を利用した
薄膜形成方法は、ここで述べたフッ素樹脂からなる容器
若しくは基板若しくはケーブル材料へのアルミニウムや
銅薄膜コーティングに限らず、従来、成膜が極めて困難
であった材料で、しかも複雑な形状を有する材料に対す
る装飾、或いは表面伝熱特性や光反射特性の改善、更に
は表面導電性の付与等を目的とした各種材料への薄膜形
成にも有効である。
【0121】また、薄膜の堆積手法も上述した蒸着法に
限られることはなく、スパッタ法等も適宜採用すること
ができる。これら蒸着法やスバッタ法などのいわゆるド
ライプロセスでの成膜法には、表面親水化処理と同じ真
空雰囲気中で成膜を実施することができる利点がある。
【0122】また、同薄膜の堆積手法としては他に、メ
ッキ法などのウエットプロセスによる成膜法も採用可能
である。もっともこの場合には、上記親水化処理の後、
基板4を一旦真空容器1から取り出してメッキ槽へ移す
必要がある。
【0123】また、上記実施形態においては何れも、熱
電子放出用フィラメント11等によりイオンを中性化し
て被改質材料基板に照射するようにしたが、同被改質材
料基板がイオンビームに対して十分に小さい場合には、
このような中性化を実施しなくとも表面改質が可能であ
る。
【0124】またさらに、上記の各実施形態では、不活
性イオンによる清浄化を行った後、表面改質のためのイ
オン照射を行うこととしたが、上記被改質材料基板表面
の清浄が十分に保たれる環境等にあっては、同清浄化を
割愛することもできる。また、水蒸気イオンの照射によ
っても、ある程度の清浄化は実現される。
【0125】また、上記不活性イオンによる清浄化を行
う場合には、そのためのイオン源やイオン照射手段を同
一真空容器内に別途に設ける構成とすることもできる。
もっとも、装置の簡素化、低価格化を考慮する場合に
は、上記実施形態のように、それらを兼用する構成が望
ましいことはいうまでもない。
【0126】また、こうした被改質材料基板の清浄化
は、同被改質材料をターゲットとするスパッタエッチン
グにて行うこともできる。この場合、該ターゲットとな
る被改質材料に対して外部から直流若しくは高周波電力
を供給する必要はあるものの、やはり同一の装置内で、
当該被改質材料表面に対する水蒸気イオン照射の前処理
として、該清浄化にかかる処理を行うことはできる。
【0127】また上記各実施形態では、被改質材料の改
質面に付着する水分子を加熱機構12によって除去した
後、薄膜の堆積を行うこととしたが、こうした水分子が
付着が少ない場合、若しくはその存在が無視できる環境
にあっては、該水分子除去処理を割愛することもでき
る。
【0128】また、同水分子除去処理を実行する場合で
あれ、その手段は上記加熱機構12には限られない。す
なわち、該水分子除去手段としては他に、 ・被改質材料の表面にプラズマビーム若しくはマイクロ
波若しくは超音波を照射するもの。 ・被改質材料に高周波電力若しくは直流電力を供給する
もの。等々も適宜採用することができる。これら何れの
構成であれ、水分子を好適に分解して、水酸基のみを上
記イオン照射された被改質材料の表面に残留させること
ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる表面改質装置の第1実施形態
の構成を示す略図。
【図2】フッ素樹脂容器基板とその表面への薄膜形成態
様を示す断面図。
【図3】この発明にかかる表面改質装置の第2実施形態
の構成を示す略図。
【図4】この発明にかかる表面改質装置の第3実施形態
の構成を示す略図。
【図5】第3実施形態による薄膜配線基板の形成プロセ
スを示す断面図。
【図6】照射イオン量による表面改質特性を示すグラ
フ。
【図7】この発明にかかる薄膜形成物の他の例を示す断
面斜視図。
【図8】各種高周波ケーブルの主に伝搬損失−流入熱量
特性を示す略図。
【符号の説明】
1…真空容器、2…排気装置、3…イオン源、4…フッ
素樹脂容器基板(フッ素樹脂基板)、5…基板固定治
具、6…回転機構、7…不活性ガス導入口、8…水蒸気
発生器、9…水蒸気導入口、10…イオン引き出しグリ
ッド、11…熱電子放出用フィラメント(ニュートララ
イザ)、12…加熱機構、13…蒸着器、14…薄膜
(蒸着膜)、15…金属マスク、16…選択改質面、1
7…粘着テープ、18…円筒形フッ素樹脂、19…中心
導体、20…外導体、21…外導体保護材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 11/00 4232−5L H01B 11/00 Z // H01L 21/203 H01L 21/203 S H05K 3/18 6921−4E H05K 3/18 A

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】疎水性の表面を有し且つ化学的に安定な有
    機物質からなる被改質材料の表面を親水性に改質する表
    面改質装置であって、 前記被改質材料が装着される真空容器と、 この被改質材料の装着された真空容器内に親水基を含む
    ガス若しくは水蒸気を導入する親水基導入手段と、 同真空容器内に配設され、この導入された親水基を含む
    ガス若しくは水蒸気をイオン化するイオン源と、 このイオン化された親水基のイオンを前記被改質材料の
    表面に照射するイオン照射手段と、 を具えることを特徴とする表面改質装置。
  2. 【請求項2】前記イオン照射手段は、前記被改質材料の
    表面に照射されるイオンを中性化する熱電子放出用フィ
    ラメントを具えて構成される請求項1記載の表面改質装
    置。
  3. 【請求項3】前記イオン照射手段は、前記被改質材料の
    3次元形状に沿うように配設されたイオン引き出しグリ
    ッドを具えて構成される請求項1または2記載の表面改
    質装置。
  4. 【請求項4】前記イオン照射手段は、前記被改質材料の
    表面を部分的にマスクし、このマスクした領域以外の領
    域に前記親水基のイオンを選択的に照射せしめるマスク
    手段を具えて構成される請求項1または2または3記載
    の表面改質装置。
  5. 【請求項5】前記マスク手段は、アース電位に保持され
    た導電性マスクである請求項4記載の表面改質装置。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5の何れかに記載の表面改質
    装置において、 前記真空容器内に装着された被改質材料の表面に高エネ
    ルギビームを照射してこれを清浄化する清浄化手段を具
    えることを特徴とする表面改質装置。
  7. 【請求項7】前記清浄化手段は、不活性ガス若しくは前
    記親水基を含むガス若しくは水蒸気をイオン化したイオ
    ンエッチングにて前記被改質材料の表面を清浄化するも
    のである請求項6記載の表面改質装置。
  8. 【請求項8】前記清浄化手段は、前記被改質材料の装着
    された真空容器内に不活性ガスを導入する不活性ガス導
    入手段と、同真空容器内に配設されてこの導入された不
    活性ガスをイオン化するイオン源と、このイオン化され
    た不活性イオンを前記被改質材料の表面に照射するイオ
    ン照射手段とを具えて構成される請求項7記載の表面改
    質装置。
  9. 【請求項9】前記不活性ガスをイオン化するイオン源は
    前記親水基を含むガス若しくは水蒸気をイオン化するイ
    オン源が流用され、前記不活性イオンを前記被改質材料
    の表面に照射するイオン照射手段は前記親水基のイオン
    を前記被改質材料の表面に照射するイオン照射手段が流
    用される請求項8記載の表面改質装置。
  10. 【請求項10】前記清浄化手段は、前記被改質材料をタ
    ーゲットとするスパッタエッチングにて同被改質材料の
    表面を清浄化するものである請求項6記載の表面改質装
    置。
  11. 【請求項11】請求項1乃至10の何れかに記載の表面
    改質装置において、 前記イオン照射された被改質材料の表面から水分子を除
    去する水分子除去手段を更に具えることを特徴とする表
    面改質装置。
  12. 【請求項12】前記水分子除去手段は、前記被改質材料
    の表面を加熱する加熱手段である請求項11記載の表面
    改質装置。
  13. 【請求項13】前記水分子除去手段は、前記被改質材料
    の表面にプラズマビーム若しくはマイクロ波若しくは超
    音波を照射するものである請求項11記載の表面改質装
    置。
  14. 【請求項14】前記水分子除去手段は、前記被改質材料
    に高周波電力若しくは直流電力を供給するものである請
    求項11記載の表面改質装置。
  15. 【請求項15】請求項1乃至15の何れかに記載の表面
    改質装置において、 前記真空容器内に装着された被改質材料に任意の運動を
    付与する運動付与手段を更に具えることを特徴とする表
    面改質装置。
  16. 【請求項16】疎水性の表面を有し且つ化学的に安定な
    有機物質材料の表面に薄膜を形成する方法であって、 前記有機物質材料の表面に真空雰囲気中で親水基を含む
    ガス若しくは水蒸気のイオンを照射するイオン照射工程
    と、 このイオン照射された有機物質材料の表面に所望の薄膜
    を形成する薄膜形成工程と、 を具えることを特徴とする有機物質表面への薄膜形成方
    法。
  17. 【請求項17】疎水性の表面を有し且つ化学的に安定な
    有機物質材料の表面に薄膜を形成する方法であって、 前記有機物質材料の表面を真空雰囲気中で清浄化する清
    浄化工程と、 この清浄化された有機物質材料の表面に同じく真空雰囲
    気中で親水基を含むガス若しくは水蒸気のイオンを照射
    するイオン照射工程と、 このイオン照射された有機物質材料の表面に所望の薄膜
    を形成する薄膜形成工程と、 を具えることを特徴とする有機物質表面への薄膜形成方
    法。
  18. 【請求項18】疎水性の表面を有し且つ化学的に安定な
    有機物質材料の表面に薄膜を形成する方法であって、 前記有機物質材料の表面を真空雰囲気中で清浄化する清
    浄化工程と、 この清浄化された有機物質材料の表面に同じく真空雰囲
    気中で親水基を含むガス若しくは水蒸気のイオンを照射
    するイオン照射工程と、 このイオン照射された有機物質材料の表面から水分子を
    除去する水分子除去工程と、 この水分子の除去された有機物質材料の表面に所望の薄
    膜を形成する薄膜形成工程と、 を具えることを特徴とする有機物質表面への薄膜形成方
    法。
  19. 【請求項19】請求項16または17または18記載の
    有機物質表面への薄膜形成方法において、 前記薄膜形成工程は、蒸着若しくはメッキ若しくは塗布
    によって前記有機物質材料の表面に所望の薄膜を形成す
    るものであることを特徴とする有機物質表面への薄膜形
    成方法。
  20. 【請求項20】請求項16または17または18記載の
    有機物質表面への薄膜形成方法において、 前記イオン照射工程は、前記有機物質材料の表面を部分
    的にマスクする工程と、該マスクした領域以外の領域に
    前記親水基を含むガス若しくは水蒸気のイオンを選択的
    に照射せしめる工程とを有してなり、 前記薄膜形成工程は、蒸着若しくはメッキ若しくは塗布
    によって前記有機物質材料の表面全体に薄膜を形成する
    工程と、該形成した薄膜の表面に粘着テープを貼り付け
    る工程と、該張り付けた粘着テープを引き剥がす工程と
    を有してなることを特徴とする有機物質表面への薄膜形
    成方法。
  21. 【請求項21】請求項16または17または18記載の
    有機物質表面への薄膜形成方法において、 前記薄膜形成工程は、前記有機物質材料の表面を部分的
    にマスクする工程と、該マスクした領域以外の領域に蒸
    着若しくはメッキ若しくは塗布によって薄膜を形成する
    工程とを有してなることを特徴とする有機物質表面への
    薄膜形成方法。
  22. 【請求項22】有機物質材料の表面の一部若しくは全部
    に任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しくは塗布膜が水素
    結合にて被着されてなる薄膜形成物。
  23. 【請求項23】真空容器内に導入され且つイオン化され
    た親水基を含むガス若しくは水蒸気のイオンによってそ
    の表面が親水性に改質された有機物質材料の表面の一部
    若しくは全部に任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しくは
    塗布膜が水素結合にて被着されてなる薄膜形成物。
  24. 【請求項24】前記任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若し
    くは塗布膜が水素結合にて被着される有機物質材料は、
    円筒形のフッ素樹脂材料である請求項22または23記
    載の薄膜形成物。
  25. 【請求項25】請求項22乃至24の何れかに記載の薄
    膜形成物において、 前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結合
    にて被着された任意の蒸着膜の更に表面に、該蒸着膜と
    同一材料からなるメッキ膜若しくは塗布膜が更に被着さ
    れてなることを特徴とする薄膜形成物。
  26. 【請求項26】請求項22乃至24の何れかに記載の薄
    膜形成物において、 前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結合
    にて被着された任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しくは
    塗布膜の更に表面に、その保護膜としての有機物質材料
    からなる膜が積層形成されてなることを特徴とする薄膜
    形成物。
  27. 【請求項27】請求項26記載の薄膜形成物において、 前記有機物質材料の表面の一部若しくは全部に水素結合
    にて被着された任意の蒸着膜若しくはメッキ膜若しくは
    塗布膜、及び前記保護膜としてその表面に積層形成され
    る有機物質材料からなる膜がそれら膜を対として多層形
    成されてなることを特徴とする薄膜形成物。
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