JPH09317417A - エンジンのバルブ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、コッタの挿入時におけるリテーナ
とバルブとの偏心を軟質性介在部材を介在して防止する
ことを目的としている。 【構成】 このため、エンジンのシリンダヘッドに開閉
用バルブを設けるとともにこのバルブのバルブステムの
端部近傍にバルブスプリングを支持するリテーナを設
け、バルブのバルブステムの端部にロッカアームを接触
させカムシャフトに応じて揺動するロッカアームにより
バルブを開閉動作させるエンジンのバルブ装置におい
て、バルブのバルブステムの端部近傍にリテーナを設け
る際にリテーナとバルブステムの端部近傍間にはリテー
ナとバルブとの偏心を防止すべく軟質性介在部材を設け
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はエンジンのバルブ
装置に係り、特にコッタの挿入時におけるリテーナとバ
ルブとの偏心を軟質性介在部材を介在して防止するエン
ジンのバルブ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジンのバルブ装置は、エンジンのシ
リンダヘッドとシリンダヘッドカバーとによって形成さ
れる動弁室と称される空間部内に配設され、クランクシ
ャフトに連動するカムシャフトの回転動作をロッカアー
ムによって吸気バルブあるいは排気バルブとして使用さ
れる開閉用バルブのバルブステムの端部に伝達させ、開
閉用バルブを開閉動作させるものである。

【０００３】前記エンジンのバルブ装置としては、特開
昭６１−２９１７０８号公報に開示されるものがある。
この公報に開示されるエンジンのバルブ装置は、バルブ
の軸端環状溝とバルブスプリングリテーナとの間に一対
の半環状コッタを介在させて、バルブスプリングリテー
ナをバルブに保持させてなるエンジンのバルブ装置にお
いて、コッタとバルブスプリングリテーナとの圧接面
を、上部のテーパ角がθ１、下部のテーパ角がθ２（θ
２＜θ１）のテーパ面によって形成し、重量を増大させ
ることなく、リテーナの強度を確保している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のエン
ジンのバルブ装置においては、図５及び図６に示す如
く、リテーナ１２２の当たり面１３０をテーパ状に形成
するとともに、コッタ１２８の断面形状を当たり面１３
０に合致し且つ下方が小となるテーパ状に形成し、コッ
タ１２８上部にバルブ１０８のバルブステム１１８に形
成される環状溝部１３８に係合する凸部１４０を形成し
ている。

【０００５】そして、コッタ１２８の挿入時には、図５
に示す如く、コッタ１２８の一方の円弧状部材１３２−
１を挿入すると、リテーナ１２２が偏心し、コッタ１２
８の他方の円弧状部材１３２−２を挿入してリテーナ１
２２の偏心を修正し、図６に示す如く、リテーナ１２２
を降下させてバルブ１０８の環状溝部１３８にコッタ１
２８上部の凸部１４０を係合させ、コッタ１２８の挿入
作業が完了する。

【０００６】この結果、コッタの挿入時にリテーナがバ
ルブセンタに対して偏心し易く、リテーナの偏心によっ
てコッタの取付性が悪く、実用上不利であるという不都
合がある。

【０００７】また、コッタの挿入時に、コッタにつまみ
として使用できる箇所がないことにより、より一層コッ
タの取付性を悪くしているという不都合がある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述不都合を除去するために、エンジンのシリンダヘッド
に開閉用バルブを設けるとともにこのバルブのバルブス
テムの端部近傍にバルブスプリングを支持するリテーナ
を設け、前記バルブのバルブステムの端部にロッカアー
ムを接触させカムシャフトに応じて揺動するロッカアー
ムにより前記バルブを開閉動作させるエンジンのバルブ
装置において、前記バルブのバルブステムの端部近傍に
リテーナを設ける際にこのリテーナとバルブステムの端
部近傍間にはリテーナとバルブとの偏心を防止すべく軟
質性介在部材を設けたことを特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】上述の如く発明したことにより、
コッタの挿入時には、リテーナとバルブステムの端部近
傍間に軟質性介在部材を介在しており、リテーナとバル
ブとの偏心を防止している。

【００１０】

【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
に説明する。

【００１１】図１〜図４はこの発明の実施例を示すもの
である。図４において、２は図示しない車両用のエンジ
ン、４はシリンダヘッド、６はシリンダヘッドカバー、
８は吸気バルブあるいは排気バルブとして使用される開
閉用バルブである。

【００１２】前記エンジン２は、図示しないシリンダブ
ロックと、シリンダブロックの上部に載置されるシリン
ダヘッド４と、このシリンダヘッド４上部に装着される
シリンダヘッドカバー６と、前記シリンダブロックの下
部に装着されるオイルパン（図示せず）と、前記開閉用
バルブ８とを有している。

【００１３】そして、前記シリンダヘッド４とシリンダ
ヘッドカバー６とによって形成される空間部１０内に、
バルブ装置１２を配設している。

【００１４】また、このバルブ装置１２は、シリンダヘ
ッド４上部にカムシャフトハウジング１４によって軸支
されるカムシャフト１６と、前記バルブ８のバルブステ
ム１８の端部近傍にバルブスプリング２０を支持すべく
設けたリテーナ２２と、前記バルブ８のバルブステム１
８の端部に接触するとともにカムシャフト１６に応じて
揺動するロッカアーム２４とからなる。

【００１５】更に、前記バルブ８のバルブステム１８の
端部近傍にリテーナ２２を設ける際に、このリテーナ２
２とバルブステム１８の端部近傍間には、リテーナ２２
とバルブ８との偏心を防止すべく軟質性介在部材２６を
設ける構成とする。

【００１６】詳述すれば、図１及び図２に示す如く、リ
テーナ２２を逆截頭円錐形状に形成し、このリテーナ２
２下部且つ内周面部位に形成したストレート形状部位と
バルブ８のバルブステム１８の端部近傍の外周部位との
間に軟質性介在部材２６を設けるものである。

【００１７】また、前記リテーナ２２は、介設されるコ
ッタ２８の当たり面３０形状、つまりリテーナ２２上部
且つ内周面部位に位置する当たり面３０をテーパ状且つ
球面状に形成する。

【００１８】更に、前記リテーナ２２の当たり面３０に
介設されるコッタ２８は、図３に示す如く、少なくとも
２個、例えば２個の円弧状部材３２−１、３２−２によ
って構成されるとともに、断面円形状を有する環状に形
成され、上部にはコッタ２８形状に沿って形成した円弧
状リブ３４−１、３４−２によって構成される環状リブ
３６を有している。

【００１９】更にまた、前記バルブ８のバルブステム１
８の端部近傍に、コッタ２８を係合させる環状溝部３８
を形成する。

【００２０】次に作用について説明する。

【００２１】前記コッタ２８の挿入時には、リテーナ２
２の当たり面３０上方に、環状リブ３６を摘んで２個の
円弧状部材３２−１、３２−２からなるコッタ２８を位
置させる。

【００２２】このとき、リテーナ２２とバルブステム１
８の端部近傍間に軟質性介在部材２６を介在しており、
リテーナ２２とバルブ８との偏心が防止されている。

【００２３】また、前記リテーナ２２の当たり面３０上
方にコッタ２８を位置させた後に、図２に示す如く、リ
テーナ２２を下方、つまり図２において下側方向に移動
させると、コッタ２８はリテーナ２２のテーパ状且つ球
面状に形成される当たり面３０を滑り落ち、前記バルブ
８のバルブステム１８の端部近傍に形成した環状溝部３
８に係合し、コッタ２８の挿入作業が完了する。

【００２４】これにより、前記軟質性介在部材２６によ
ってリテーナ２２とバルブ８との偏心を防止することが
でき、コッタ２８の取付性を向上し得て、実用上有利で
ある。

【００２５】また、前記リテーナ２２の当たり面３０形
状をテーパ状且つ球面状に形成したことにより、この当
たり面３０形状によってコッタ２８の挿入作業が容易と
なり、取付性を向上させることができる。

【００２６】更に、前記リテーナ２２の当たり面３０に
介設されるコッタ２８を、２個の円弧状部材３２−１、
３２−２によって構成するとともに、断面円形状を有す
る環状に形成し、上部にはコッタ２８形状に沿って形成
した円弧状リブ３４−１、３４−２によって構成される
環状リブ３６を有していることにより、リテーナ２２の
当たり面３０形状と断面円形状のコッタ２８とによって
リテーナ２２をある位置まで降下させると、自然にコッ
タ２８が取り付けられることとなり、コッタ２８の取付
性を向上し得る。

【００２７】更にまた、前記コッタ２８上部に形成した
環状リブ３６により、環状リブ３６をコッタ２８挿入時
のつまみとして使用することができ、使い勝手を向上し
得るとともに、コッタ２８の剛性を向上し得るものであ
る。

【００２８】なお、この発明は上述実施例に限定される
ものではなく、種々の応用改変が可能である。

【００２９】例えば、この発明の実施例においては、車
両用のエンジンとして説明したが、車両の代わりに、オ
ートバイや船外機等に使用されるエンジンとすることも
可能である。

【００３０】

【発明の効果】以上詳細に説明した如くこの発明によれ
ば、エンジンのシリンダヘッドに開閉用バルブを設ける
とともにこのバルブのバルブステムの端部近傍にバルブ
スプリングを支持するリテーナを設け、バルブのバルブ
ステムの端部にロッカアームを接触させカムシャフトに
応じて揺動するロッカアームによりバルブを開閉動作さ
せるエンジンのバルブ装置において、バルブのバルブス
テムの端部近傍にリテーナを設ける際にこのリテーナと
バルブステムの端部近傍間にリテーナとバルブとの偏心
を防止すべく軟質性介在部材を設けたので、軟質性介在
部材によってリテーナとバルブとの偏心を防止すること
ができ、コッタの取付性を向上し得て、実用上有利であ
る。

【００３１】また、前記リテーナの当たり面形状をテー
パ状且つ球面状に形成すれば、この当たり面形状によっ
てコッタの挿入作業が容易となり、取付性を向上させる
ことができる。

【００３２】更に、前記リテーナの当たり面に介設され
るコッタを、少なくとも２個の円弧状部材によって構成
するとともに、断面円形状を有する環状に形成し、上部
にはコッタ形状に沿って形成した円弧状リブによって構
成される環状リブを有する構成とすれば、リテーナの当
たり面形状と断面円形状のコッタとによってリテーナを
ある位置まで降下させると、自然にコッタが取り付けら
れることとなり、コッタの取付性を向上し得るととも
に、前記コッタ上部の環状リブをコッタ挿入時のつまみ
として使用することができ、使い勝手を向上し得て、し
かもコッタの剛性を向上し得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示すコッタの挿入開始時の
状態を示す拡大断面図である。

【図２】コッタの挿入時の状態を示す拡大断面図であ
る。

【図３】コッタの円弧状部材の概略斜視図である。

【図４】エンジンのバルブ装置の概略拡大断面図であ
る。

【図５】この発明の従来の技術を示すコッタの挿入開始
時の状態を示す拡大断面図である。

【図６】コッタの挿入時の状態を示す拡大断面図であ
る。

【符号の説明】 ２ エンジン ４ シリンダヘッド ６ シリンダヘッドカバー ８ 開閉用バルブ １０ 空間部 １２ バルブ装置 １４ カムシャフトハウジング １６ カムシャフト １８ バルブステム ２０ バルブスプリング ２２ リテーナ ２４ ロッカアーム ２６ 軟質性介在部材 ２８ コッタ ３０ 当たり面 ３２−１、３２−２ 円弧状部材 ３４−１、３４−２ 円弧状リブ ３６ 環状リブ ３８ 環状溝部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンのシリンダヘッドに開閉用バル
   ブを設けるとともにこのバルブのバルブステムの端部近
   傍にバルブスプリングを支持するリテーナを設け、前記
   バルブのバルブステムの端部にロッカアームを接触させ
   カムシャフトに応じて揺動するロッカアームにより前記
   バルブを開閉動作させるエンジンのバルブ装置におい
   て、前記バルブのバルブステムの端部近傍にリテーナを
   設ける際にこのリテーナとバルブステムの端部近傍間に
   はリテーナとバルブとの偏心を防止すべく軟質性介在部
   材を設けたことを特徴とするエンジンのバルブ装置。
2. 【請求項２】 前記リテーナは、介設されるコッタの当
   たり面形状をテーパ状且つ球面状に形成したリテーナで
   ある特許請求の範囲の請求項１に記載のエンジンのバル
   ブ装置。
3. 【請求項３】 前記リテーナの当たり面に介設されるコ
   ッタは、少なくとも２個の円弧状部材によって構成され
   るとともに、断面円形状を有する環状に形成され、上部
   にはコッタ形状に沿って形成した円弧状リブによって構
   成される環状リブを有するコッタである特許請求の範囲
   の請求項２に記載のエンジンのバルブ装置。