JPH09316359A - スルホン酸基含有無機粉末の製造方法 - Google Patents

スルホン酸基含有無機粉末の製造方法

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JPH09316359A
JPH09316359A JP13004296A JP13004296A JPH09316359A JP H09316359 A JPH09316359 A JP H09316359A JP 13004296 A JP13004296 A JP 13004296A JP 13004296 A JP13004296 A JP 13004296A JP H09316359 A JPH09316359 A JP H09316359A
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JP
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powder
inorganic powder
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ozone
sulfonic acid
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JP13004296A
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Akira Nishihara
明 西原
Yukiya Yamashita
行也 山下
Hideaki Sakurai
英章 桜井
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に乾式法で製造された無機粉末の表面に、
乾式法による処理のみでスルホン酸基を導入して、金属
イオンの吸着能およびイオン交換能を持つ、スルホン酸
基含有無機粉末を製造する。 【解決手段】 無機粉末を、チオール基またはスルフィ
ド基を含有する加水分解性シラン化合物またはシリコー
ン油で表面処理した後、粉末をオゾン含有ガスで処理す
るか、粉末に酸素含有ガス中で紫外線を照射して、チオ
ール基またはスルフィド基をスルホン酸基に酸化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面にスルホン酸
基を有する無機粉末を乾式法で製造することができる、
スルホン酸基含有無機粉末の製造方法に関する。
【0002】本発明の方法により製造されたスルホン酸
基含有無機粉末は、表面に金属イオンを結合させて固定
化できるので、金属イオンの固定化材または吸着材、さ
らには無機系イオン交換体としても使用可能である。ま
た、この無機粉末は、本発明の方法を乾式法で実施した
場合には、水や有機溶媒中で高い分散性を示すので、水
中または有機溶媒中で吸着材やイオン交換体として利用
し易い。
【0003】
【従来の技術】表面にスルホン酸基を有する無機粉末
は、無機イオン交換体として使用できることが知られて
いる。この表面にスルホン基を有する無機粉末は、これ
まで湿式法で合成されてきた。
【0004】例えば、無機粉末をチオール基(−SH)
を含有する加水分解性シラン化合物(シランカップリン
グ剤)(例、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン)で表面処理した後、無機粉末表面に導入されたチオ
ール基をアルカリ性条件下で過酸化水素水により酸化し
てスルホン酸基に変える方法がある。
【0005】また、フェニル基を有する加水分解性シラ
ン化合物 (例、ジクロロジフェニルシラン、フェニルト
リメトキシシラン) で無機粉末を表面処理した後、濃硫
酸を作用させてフェニル基をスルホン化することによっ
ても、無機粉末の表面にスルホン酸基を導入することが
できる。
【0006】このような方法では、第1工程の加水分解
性シラン化合物による表面処理は、このシラン化合物を
有機溶媒に溶解させた溶液を無機粉末に噴霧または滴下
するといった方法を採用すれば乾式法により実施するこ
とができるが、過酸化水素水または濃硫酸による処理は
湿式法で実施せざるを得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】高純度で微細な各種の
無機粉末が乾式法で製造されている。例えば、酸化ケイ
素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物の
微細粉末が、対応する金属塩化物の酸素存在下での気相
分解により製造されている。乾式法で製造された微細な
無機粉末は、高純度で実質的に無水である上、分散性に
優れているという特徴があり、この特徴を活かして、充
填材を始めとする多様な用途に使用されている。
【0008】乾式法で製造された無機粉末の表面に、上
記のような湿式法によりスルホン酸基を導入すると、湿
式処理中に粉末の凝集を生じ、乾式法で製造された粉末
が持つ高度の分散性等の有利な特性が損なわれてしま
う。また、過酸化水素や濃硫酸といった腐食性の高い酸
を使用するため、湿式処理用に特別な反応装置が必要で
あるという問題もある。
【0009】過酸化水素での処理に対しては、乾式法で
過酸化水素水を作用させる (例、噴霧する) ことも考え
られるが、反応を完結させるには過剰の過酸化水素水が
必要であり、その蒸発のために爆発の危険性がある。ま
た、少量であっても水分を使用することにより粉末の凝
集が避けられない。さらに、過酸化水素水を使用した場
合には反応を完結させるのにアルカリ性にする必要があ
り、アルカリが無機粉末表面に残留するという問題があ
る。
【0010】よって、本発明の目的は、無機粉末の表面
に乾式法によってスルホン酸基を導入することが可能
で、かつアルカリの添加の必要がない、スルホン酸基含
有無機粉末の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の達成を目指して検討を重ねた結果、オゾンまたは酸素
含有ガス中で紫外線照射によりチオール基またはスルフ
ィド基を酸化すると、アルカリを使用せずに乾式法でス
ルホン酸基を無機粉末の表面に導入することができるこ
とを見出し、本発明に到達した。
【0012】ここに、本発明は、無機粉末を、チオール
基またはスルフィド基を含有する有機ケイ素化合物で表
面処理した後、粉末をオゾン含有ガスで処理するか、
または粉末に酸素含有ガス中で紫外線を照射する、こ
とを特徴とする表面にスルホン酸基を有する無機粉末の
製造方法である。
【0013】好適態様においては、無機粉末が乾式法に
より製造された酸化ケイ素、酸化チタンまたは酸化アル
ミニウムであり、有機ケイ素化合物が加水分解性有機シ
ラン化合物またはシリコーンである。
【0014】オゾンガスは殺菌、脱臭などに使用されて
おり、悪臭物質であるメチルメルカプタンをオゾンガス
により分解する試みも知られている。しかし、本発明の
ように無機粉末の表面に結合させた有機ケイ素化合物中
のチオール基またはスルフィド基にオゾンを作用させる
と、選択的にスルホン酸基に酸化させることができるこ
とは知られていなかった。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の方法により、表面にスル
ホン酸基が導入される無機粉末の種類は特に制限されな
い。化合物の形態としては、酸化物、水酸化物、元素単
体 (例、炭素、ケイ素、金属粉末等) 、塩 (例、硫酸
塩、炭酸塩等) などが可能であるが、好ましいのは酸化
物および水酸化物である。
【0016】具体的な化合物を例示すると、酸化ケイ
素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫
などの酸化物、ならびに水酸化アルミニウムなどの水酸
化物が挙げられる。
【0017】本発明の方法は、後述するように乾式法で
実施することができるため、使用する無機粉末も乾式法
で製造されたものが特に好ましい。それにより、乾式法
で製造された無機粉末の本来の特性 (例、高分散性) を
損なわずに、その表面にスルホン酸基を導入することが
できる。
【0018】乾式法で製造される無機粉末の例として
は、対応する塩化物を酸素存在下で気相において分解す
ることにより製造される酸化ケイ素、酸化チタン、酸化
アルミニウム等がある。
【0019】無機粉末の粒径も特に制限されず、無機粉
末の用途に応じて、適当に選択すればよい。一般に、乾
式法で製造された無機粉末は、粒径がサブミクロン、例
えば、10〜200 nmの範囲内と非常に微細であるが、この
ような微細な無機粉末にも、或いはミクロンオーダーま
たはそれ以上の比較的粗大な無機粉末にも、本発明の方
法を適用することができる。
【0020】この無機粉末を、チオール基 (−SH) ま
たはスルフィド基を含有する有機ケイ素化合物で表面処
理する。スルフィド基は、モノスルフィド (−S−) と
ジスルフィド基 (−S−S−) のいずれでもよい。
【0021】有機ケイ素化合物は、無機粉末の表面に化
学的にまたは分子間力により結合可能なものであればよ
いが、代表的にはシランカップリング剤とも呼ばれる加
水分解性の有機シラン化合物、およびシリコーン (即
ち、オルガノポリシロキサン型のポリマー) であり、そ
の分子の末端または側鎖にチオール基を有するか、或い
は分子中にスルフィド基を有するものを使用する。
【0022】加水分解性の有機シラン化合物は、Si原子
に少なくとも1つの加水分解性の基(例、アルコキシ基
またはハロゲン) が結合した有機化合物である。好まし
い加水分解性有機シラン化合物は、Si原子に3個の低級
アルコキシ基とチオールまたはスルフィド含有低級アル
キレン基が結合したものである。
【0023】このような有機シラン化合物の例を次に示
すが、これに限定されるものではない。 (CH3O)3Si(CH2)3SH [(C25O)3Si(CH2)3]2S [(C25O)3Si(CH2)3S]2 シリコーンとしては、シリコーンオイル (シリコーン
油) と呼ばれる液状のものが好ましいが、室温で固形の
シリコーン樹脂も使用できる。本発明で使用できるシリ
コーンの具体例を次に示すが、やはりこれに限られるも
のではない。
【0024】
【化1】
【0025】nおよびmは0または1以上の整数であ
る。上に示すように− (CH2)3 SH基は全てのSi原子
に結合している必要はなく、一部のSi原子のみ、或いは
末端のSi原子のみに結合していてもよい。
【0026】チオール基またはスルフィド基を有する有
機ケイ素化合物による表面処理は、湿式法と乾式法のい
ずれでも実施することができる。しかし、無機粉末が乾
式法で製造されたものである場合には、その特性を損な
わないように、この表面処理も乾式法により行うことが
好ましい。
【0027】湿式法による表面処理は、例えば、有機ケ
イ素化合物を適当な溶媒中に溶解した溶液中で無機粉末
を攪拌するといった浸漬処理により実施できる。溶媒
は、使用する有機ケイ素化合物を溶解できれば特に限定
されないが、通常はアルコール、ケトン、炭化水素など
の有機溶媒が好ましい。無機粉末と有機ケイ素化合物と
の結合をより強固にするため、少量の酸またはアルカ
リ、および/または水を溶液中に添加してもよい。
【0028】湿式法による表面処理の温度は特に制限さ
れず、常温でも加熱下でもよい。また、浸漬時間も、粉
末表面に有機ケイ素化合物が付着すればよいので、ごく
短時間でよい。浸漬処理後、濾過または蒸発 (好ましく
は減圧下で) により粉末と溶液とを分離する。
【0029】乾式法による表面処理は、例えば、無機粉
末を攪拌その他の手段で流動状態に保持し、この状態の
無機粉末に、有機ケイ素化合物それ自体 (液状の場合)
またはその溶液を滴下または噴霧して、粉末表面に有機
ケイ素化合物を均一に付着させることにより実施でき
る。乾式法で製造されたサブミクロンの微細無機粉末
は、攪拌だけで容易に流動状態にすることができる。こ
の処理も常温でも加熱下でも実施できる。
【0030】乾式法による表面処理は、乾式法で製造さ
れた無機粉末の特性を損なわないという利点に加えて、
表面処理に用いる有機ケイ素化合物の量が少量でよく、
その付着量の制御が容易であり、さらに湿式法では必要
な処理後の粉末の分離が不要であるという利点もある。
【0031】湿式法と乾式法のいずれの場合も、表面に
有機ケイ素化合物が付着した無機粉末を次いで加熱する
ことが好ましい。それにより、有機ケイ素化合物を粉末
表面に強固に結合ないし密着させることができる。有機
ケイ素化合物が加水分解性シラン化合物である場合に
は、この加熱中にシラン化合物が加水分解し、粉末表面
の水酸基等との化学反応を経てシラン化合物が粉末表面
に化学結合する。有機ケイ素化合物がシリコーンである
場合も、加熱によりシリコーンが粉末表面により強固に
密着する。
【0032】加熱条件は特に制限されないが、一般には
不活性ガス雰囲気中で100 ℃以上の温度に加熱する。有
機ケイ素化合物がシリコーンである場合の方が高い加熱
温度とすることが好ましく、この場合の加熱温度は通常
は 150〜250 ℃の範囲内がよい。
【0033】この表面処理により、無機粉末の表面にチ
オール基またはスルフィド基が導入される。本発明によ
れば、この無機粉末をさらにオゾン含有ガスで処理する
か、或いはこの無機粉末に酸素含有ガス中に紫外線を照
射することにより、チオール基またはスルフィド基を酸
化してスルホン酸基に変換させる。これらのオゾンまた
は紫外線照射による酸化処理は、いずれも乾式法により
実施できる。
【0034】表面処理した無機粉末をオゾン含有ガスで
処理する場合、市販のオゾン発生機を用いて得たオゾン
含有ガスを、粉末を入れた反応容器中に導入することに
より処理すればよい。粉末は、上記の乾式法による表面
処理と同様に、装置内で攪拌して流動状態に保持してお
くことが好ましい。
【0035】このオゾン処理に用いるオゾン含有ガス中
のオゾン濃度、混合する他のガス、ガス流量などの条件
は特に限定されないが、一般的な例としては、酸素、窒
素、または空気との混合ガスを用いることができる。ガ
ス中のオゾン濃度が高い方が、スルホン酸基が効率的に
生成する。オゾン処理の温度も特に限定されず、−50℃
〜200 ℃の広範囲の温度でよいが、室温から100 ℃の間
が好ましい。オゾン処理の時間は、処理温度やオゾン含
有ガス中のオゾン濃度やガス流量によっても異なるが、
通常は1〜10時間の範囲である。
【0036】有機ケイ素化合物で表面処理した無機粉末
に酸素含有ガス中で紫外線を照射する場合、照射する紫
外線の波長、強度は特に限定されないが、一般的には強
度が強い方がスルホン酸基の生成に効果的である。ま
た、照射雰囲気は酸素含有ガスであればよく、純酸素、
空気、酸素と不活性ガスの混合ガス等のいずれも可能で
あるが、一般的には空気中での紫外線照射で十分であ
る。
【0037】紫外線の効果についてはその正確なところ
は不明であるが、酸素が存在しないと反応効率が低下す
ることから、酸素含有ガス中での紫外線照射により、酸
素からオゾンが発生し、発生したオゾンが粉末表面でチ
オール基またはスルフィド基の酸化反応に寄与している
ものと推測される。
【0038】紫外線照射は、例えば、表面処理した無機
粉末を紫外線透過性の容器内で攪拌し、これに外部から
紫外線を照射することにより実施できる。紫外線の照射
条件も、照射によってスルホン酸基が生成する限り特に
制限されない。温度は室温でよいが、それより低温また
は高温でもよい。紫外線源としては高圧水銀ランプ、低
圧水銀ランプ等が使用できる。紫外線の照射強度は特に
限定されないが、数百mW以上が好ましく、より好適に
は数十W以上である。
【0039】本発明の方法で製造された無機粉末の表面
にスルホン酸基が生成していることは、この粉末の強塩
基 (例、NaOH) による酸塩基滴定とカルシウムイオン吸
着量の測定によって確認することができる。スルホン酸
基の生成量は、無機粉末の粒度、表面処理に用いた有機
化合物の種類や表面処理条件などに応じて大きく変動す
るが、例えばNaOH滴定量が 0.1〜10 mL/g といった酸性
度を示す、スルホン酸基含有無機粉末を製造することが
できる。
【0040】チオール基は弱酸性であるが、酸性度が高
くないため、強塩基による滴定では明瞭な中和点を示さ
ない。スルフィド基は実質的に中性であるので、この滴
定では中和点を示さない。一方、本発明の方法で製造さ
れた無機粉末では、表面に酸性度の高いスルホン酸基が
存在するため、強塩基による滴定で明瞭な中和点を示
す。従って、強塩基による滴定で粉末表面にスルホン酸
基が生成していることを確認できる。
【0041】一方、この無機粉末のカルシウムイオン吸
着量の測定により、この無機粉末の表面に存在する有機
化合物が粉末表面に固定されているかどうかを確認する
ことができる。これは、有機化合物が粉末表面に固定さ
れていないと、カルシウムイオンと反応した有機化合物
が粉末表面から離脱してしまい、カルシウムイオンを粉
末表面に吸着することができないからである。
【0042】また、カルシウムイオンは、粉末表面に存
在する酸基がカルボン酸基といったより酸性度の低いも
のである場合には、それがキレート形成可能といった特
別な構造を持たない限り吸着されないため、このカルシ
ウムイオンの吸着性の測定は、スルホン酸基の定性的な
確認にも利用できる。
【0043】本発明の方法により製造された、表面にス
ルホン酸基を有する無機粉末は、スルホン酸基に由来す
る高い酸性を示し、それにより金属イオンを吸着できる
ので、金属イオンの固体化材もしくは吸着材、または無
機系イオン交換体として有用である。
【0044】また、有機ケイ素化合物による表面処理を
乾式法で実施した場合には、本発明の工程全体が乾式法
で行われる。その結果、特に乾式法で製造された無機粉
末の高分散性その他の特性を著しく損なうことなく、本
発明の無機粉末を製造することができるので、得られた
スルホン酸基含有無機粉末は、水や有機溶媒に対する高
い分散性等を示し、イオン交換体や吸着材もしくは固定
化材としての利用が容易である。さらに、樹脂その他へ
の添加剤などとしても有用であり、分散性が高いため、
樹脂等の材料中に容易に均一分散させることができる。
【0045】
【実施例】
(実施例1)乾式法で製造された酸化ケイ素粉末 (アエ
ロジル#200:日本アエロジル社製、平均粒径12 nm) 20
gをミキサー内で室温で攪拌して流動状態に保持し、こ
の粉末にチオール基含有シラン化合物であるγ−メルカ
プトプロピルトリメトキシシラン [(CH3O)3Si(CH2)3SH]
4.0gをヘキサン 4.0gに溶解した溶液を滴下した。滴
下終了後、粉末を1リットルのセパラブルフラスコに移
し、窒素気流下で120℃に2時間加熱して、シラン化合
物による表面処理を終了した。
【0046】次いで、このフラスコ中の粉末を機械攪拌
しながら、これにオゾンガスを酸素ガスで希釈したオゾ
ン含有ガスを140 L/hrの流量で3時間吹き込むことによ
り、粉末を室温でオゾン処理して酸化させた。オゾン含
有ガス中のオゾン濃度は、オゾン供給量が0.02 g/hr と
なる量であった。
【0047】オゾン処理の終了後、得られた酸化ケイ素
粉末は、粉末を水中に分散させた分散液の酸性度をpH
試験紙で測定した時に強酸性を示した。また、この粉末
の赤外吸収スペクトルを測定すると、カルボニルの吸収
は見られず、カルボン酸生成による酸性を示しているの
ではないことが確認された。
【0048】この粉末の表面酸性基の割合を評価するた
め、粉末約0.2 gを秤量して、0.1NNaOH 水溶液により
滴定することにより、NaOH滴定量を求めたところ、6.8
mL/gであった。
【0049】また、この粉末の金属イオン吸着能および
イオン交換能を評価するため、粉末約1.0 gを秤量し、
Ca2+イオン濃度が0.1 wt%の塩化カルシウム水溶液50 m
L 中に添加して十分に攪拌した後、濾過して、濾液中の
カルシウムイオン濃度をキレート滴定法により定量する
ことにより、無機粉末が吸着したカルシウムイオン量
(以下、Ca吸着量という) を測定したところ、Ca吸着量
は7.2 mg/gであった。
【0050】(実施例2)有機ケイ素化合物として、ス
ルフィド基を含有するシラン化合物であるジ (γ−トリ
エトキシシリルプロピル) スルフィド{[(C2H5O)3Si(CH
2)3]2S} 2.0gをヘキサン4.0 gに溶解して使用し、オ
ゾン含有ガスによる酸化処理時間を6時間とした以外
は、実施例1と同様の操作を行った。得られた粉末のNa
OH滴定量とCa吸着量を表1に示す。
【0051】(実施例3)無機粉末として、乾式法で製
造された酸化チタン粉末 (P-25:日本アエロジル社製、
平均粒径21 nm)を使用し、有機ケイ素化合物としては、
スルフィド基を含有するシラン化合物であるジ (γ−ト
リエトキシシリルプロピル) ジスルフィド{[(C2H5O)3S
i(CH2)3S]2} 6.0gをヘキサン4.0 gに溶解して使用
し、オゾン含有ガスによる酸化処理時間を8時間とした
以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた粉末
のNaOH滴定量とCa吸着量を表1に示す。
【0052】(実施例4)乾式法で製造された酸化アルミ
ニウム粉末 (Aluminum Oxide C:日本アエロジル社製、
平均粒径13 nm) 20gを室温で攪拌して流動状態に保持
し、この粉末に
【0053】、前記
【化1】式で示されるチオール基含有シリコーン油 5.2
gをヘキサン 4.0gに溶解した溶液を滴下した。滴下終
了後、粉末を1リットルのセパラブルフラスコに移し、
窒素気流下150 ℃に3時間加熱して、表面処理を終了し
た。
【0054】その後、この粉末を実施例1と同様にして
オゾン含有ガスにより酸化処理した。ただし、処理温度
は室温ではなく100 ℃とした (処理時間は3時間) 。得
られた粉末のNaOH滴定量とCa吸着量を表1に示す。
【0055】(実施例5)実施例1と同様にして酸化ケイ
素粉末をチオール基含有シラン化合物で表面処理した
後、空気中で紫外線を照射して酸化処理を行った。紫外
線照射は、セパラブルフラスコを開放系にし、その中に
粉末を入れて攪拌した状態で、フラスコ上部から粉末に
高圧水銀ランプからの紫外線を照射することにより行っ
た。照射強度は1.2 W/cm2 、照射時間は6時間であっ
た。得られた粉末のNaOH滴定量とCa吸着量を表1に示
す。
【0056】(実施例6)実施例2と同様にして酸化ケ
イ素粉末をチオール基含有シラン化合物で表面処理した
後、空気中で紫外線を照射して酸化処理を行った。紫外
線照射は実施例5と同様に実施した。得られた粉末のNa
OH滴定量とCa吸着量を表1に示す。
【0057】(比較例1〜4)実施例1〜4と同様に無機
粉末を有機ケイ素化合物で表面処理したが、その後の酸
化処理は実施しなかった。得られた各粉末のNaOH滴定量
とCa吸着量を表1に示す。
【0058】(比較例5)実施例1で用いた、未処理の酸
化ケイ素粉末 (アエロジル#200) のNaOH滴定量とCa吸着
量を測定した。測定結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1からわかるように、チオール基または
スルフィド基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理し
ただけでは (比較例1〜4) 、強塩基 (NaOH) による滴
定で明瞭な中和点を示さず、またCa吸着量も測定不能
(0mg/g) であって、未処理の無機粉末 (比較例5) と
同じ測定結果であった。
【0061】これに対し、上記の表面処理の後、オゾン
含有ガスで処理するか、または酸素含有ガス中で紫外線
を照射することにより酸化処理すると (実施例1〜6)
、強塩基 (NaOH) により明瞭な中和点を示し、かつCa
吸着量も測定可能な粉末が得られた。即ち、無機粉末の
表面に存在するチオール基またはスルフィド基がスルホ
ン酸基に選択的に酸化されたことを意味する。
【0062】
【発明の効果】本発明の方法によれば、無機粉末をチオ
ール基またはスルフィド基を含有する有機ケイ素化合物
により表面処理して、無機粉末の表面にチオール基また
はスルフィド基を導入した後、オゾン含有ガスで処理す
るか、または酸素含有ガス中で紫外線照射することによ
り、粉末表面のチオール基またはスルフィド基を選択的
にスルホン酸基に酸化させることができ、それにより表
面にスルホン酸基を有する無機粉末が製造される。
【0063】本発明の製造方法は、上記有機ケイ素化合
物による表面処理と、その後の酸化処理のいずれも乾式
法で実施することができる。それにより、原料粉末とし
て、乾式法で製造された高分散性の無機粉末を使用した
場合に、この粉末の持つ高分散性その他の望ましい特性
を損なわずに、乾式法のみによる処理によって、スルホ
ン酸基含有無機粉末を製造することができる。こうして
製造された無機粉末は、金属イオンの吸着材もしくは固
定化材、或いはイオン交換体などとして有用であり、ま
た液中での分散性に優れているため使用が容易である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機粉末を、チオール基またはスルフィ
    ド基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理した後、粉
    末をオゾン含有ガスで処理することを特徴とする、表面
    にスルホン酸基を有する無機粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 無機粉末を、チオール基またはスルフィ
    ド基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理した後、粉
    末に酸素含有ガス中で紫外線を照射することを特徴とす
    る、表面にスルホン酸基を有する無機粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機粉末が乾式法により製造された酸化
    ケイ素、酸化チタンまたは酸化アルミニウムである、請
    求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 有機ケイ素化合物が加水分解性有機シラ
    ン化合物またはシリコーンである、請求項1ないし3の
    いずれか1項に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100784631B1 (ko) * 2006-11-20 2007-12-12 한일이화주식회사 금속안료를 첨가한 합성수지 조성물
JP2008031458A (ja) * 2006-06-30 2008-02-14 Sumitomo Chemical Co Ltd 表面疎水化金属酸化物粉末およびその製造方法
JP2017529410A (ja) * 2014-06-30 2017-10-05 クーパー タイヤ アンド ラバー カンパニーCooper Tire & Rubber Company ゴム配合のための修飾充填剤及びそれに由来するマスターバッチ

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