JPH0931535A - クリープ特性に優れた耐熱厚鋼板の製造方法 - Google Patents
クリープ特性に優れた耐熱厚鋼板の製造方法Info
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- JPH0931535A JPH0931535A JP18741895A JP18741895A JPH0931535A JP H0931535 A JPH0931535 A JP H0931535A JP 18741895 A JP18741895 A JP 18741895A JP 18741895 A JP18741895 A JP 18741895A JP H0931535 A JPH0931535 A JP H0931535A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高温クリープ、靱性に優れた高温耐熱部材用
の厚肉材の製造方法を開発する。 【構成】C:0.03〜0.14%、 Si:0.7 %以下、 Mn:
0.1 〜0.7 %、Cr:1.5 〜3.5 %、 Mo:0.01〜0.4
%、W:1〜3%、V:0.05〜0.3 %、 Nb:0.01〜0.
1 %、Al:0.005 〜0.05%、N:0.005 〜0.05%、残部
は鉄および不可避的不純物から成る鋼組成を有する鋼片
を1050〜900 ℃で仕上圧延を行った後、850 ℃から600
℃までの温度範囲を平均5℃/sec以上の冷却速度で冷却
する。
の厚肉材の製造方法を開発する。 【構成】C:0.03〜0.14%、 Si:0.7 %以下、 Mn:
0.1 〜0.7 %、Cr:1.5 〜3.5 %、 Mo:0.01〜0.4
%、W:1〜3%、V:0.05〜0.3 %、 Nb:0.01〜0.
1 %、Al:0.005 〜0.05%、N:0.005 〜0.05%、残部
は鉄および不可避的不純物から成る鋼組成を有する鋼片
を1050〜900 ℃で仕上圧延を行った後、850 ℃から600
℃までの温度範囲を平均5℃/sec以上の冷却速度で冷却
する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、550 ℃以上の高温での
クリープ強度が高く、火力発電プラント、ボイラ、化学
工業、原子力などの分野で熱交換器、配管用管、主蒸気
管として使用される低Cr−Mo−W系耐熱厚鋼板の製造方
法に関する。
クリープ強度が高く、火力発電プラント、ボイラ、化学
工業、原子力などの分野で熱交換器、配管用管、主蒸気
管として使用される低Cr−Mo−W系耐熱厚鋼板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ボイラ、化学工業、原子力用
の高温耐熱耐圧部材としては、オーステナイトステンレ
ス鋼、9〜12Cr系の高Crフェライト鋼、Cr量3.5 %以下
のCr−Mo系低合金鋼、さらには炭素鋼が用いられてい
る。これらは対象となる部品の使用温度、圧力などの使
用環境と経済性とを考慮して適宜選択されている。
の高温耐熱耐圧部材としては、オーステナイトステンレ
ス鋼、9〜12Cr系の高Crフェライト鋼、Cr量3.5 %以下
のCr−Mo系低合金鋼、さらには炭素鋼が用いられてい
る。これらは対象となる部品の使用温度、圧力などの使
用環境と経済性とを考慮して適宜選択されている。
【0003】上記のような材料の中、Cr含有量3.5 %以
下 (本明細書において、合金成分についての%は全て重
量%を意味する) の低合金鋼の特徴は、炭素鋼に比べCr
含有による耐酸化性、高温耐食性および高温強度に優れ
ること、オーステナイトステンレス鋼に比べ格段に安価
でかつ熱膨張係数が小さく、応力腐食割れを起こさない
こと、高Crフェライト鋼に比べても安価で靱性、熱伝導
性、溶接性に優れることにある。
下 (本明細書において、合金成分についての%は全て重
量%を意味する) の低合金鋼の特徴は、炭素鋼に比べCr
含有による耐酸化性、高温耐食性および高温強度に優れ
ること、オーステナイトステンレス鋼に比べ格段に安価
でかつ熱膨張係数が小さく、応力腐食割れを起こさない
こと、高Crフェライト鋼に比べても安価で靱性、熱伝導
性、溶接性に優れることにある。
【0004】このような低合金鋼の代表鋼として、2・
1/4Cr−1Mo鋼 (STBA24) 、STBA22、STBA20などが規格
化され、通常Cr−Mo鋼と総称されている。一方、高温強
度を向上させる目的で析出強化元素としてV、Nb、Ti、
TaやBを添加した材料が、特開昭57−131349号、特開昭
57−131350号、特開昭62−54062号、特開昭63−62848
号などの各公報に提案されている。
1/4Cr−1Mo鋼 (STBA24) 、STBA22、STBA20などが規格
化され、通常Cr−Mo鋼と総称されている。一方、高温強
度を向上させる目的で析出強化元素としてV、Nb、Ti、
TaやBを添加した材料が、特開昭57−131349号、特開昭
57−131350号、特開昭62−54062号、特開昭63−62848
号などの各公報に提案されている。
【0005】また、タービンロータやケーシング材料で
は、1Cr−1Mo−0.25V鋼がよく知られており、高速増
殖炉用構造材料では、2・1/4Cr−1Mo−Nb鋼などが開
発されている。
は、1Cr−1Mo−0.25V鋼がよく知られており、高速増
殖炉用構造材料では、2・1/4Cr−1Mo−Nb鋼などが開
発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれらの
低合金鋼は、550 ℃以上の高温での使用に関して、2つ
の点で問題がある。
低合金鋼は、550 ℃以上の高温での使用に関して、2つ
の点で問題がある。
【0007】第1点は、耐酸化性、高温耐食性に関し
て、高Crフェライト鋼やオーステナイトステンレス鋼に
劣ること、第2点は、550 ℃以上の高温強度がV、Nb析
出強化型の高Crフェライト鋼やオーステナイトステンレ
ス鋼に比べ、著しく低いことである。
て、高Crフェライト鋼やオーステナイトステンレス鋼に
劣ること、第2点は、550 ℃以上の高温強度がV、Nb析
出強化型の高Crフェライト鋼やオーステナイトステンレ
ス鋼に比べ、著しく低いことである。
【0008】鋼の耐酸化性、高温耐食性は、主としてCr
含有量に依存するから、その含有量を高めるのが改良法
の一つであるが、低合金鋼としての高い熱伝導性、良好
な溶接性、経済性を生かすには、既存の低Cr鋼の範疇で
の成分改良が望ましい。また、特に耐酸化性、耐食性が
問題にならない環境で使用するのであれば、前述の第1
の問題点はそれほど重要とは言えなくなる。
含有量に依存するから、その含有量を高めるのが改良法
の一つであるが、低合金鋼としての高い熱伝導性、良好
な溶接性、経済性を生かすには、既存の低Cr鋼の範疇で
の成分改良が望ましい。また、特に耐酸化性、耐食性が
問題にならない環境で使用するのであれば、前述の第1
の問題点はそれほど重要とは言えなくなる。
【0009】一方、高温強度は、耐圧部材の設計上極め
て重要であり、使用温度の如何を問わず高強度であるこ
とが望ましい。特に、ボイラ、化学工業、原子力用など
の耐熱耐圧鋼管では、高温強度により管の肉厚が決定さ
れる。このような背景を考慮して、低合金鋼を高強度化
した場合の利点を挙げれば、次のとおりである。
て重要であり、使用温度の如何を問わず高強度であるこ
とが望ましい。特に、ボイラ、化学工業、原子力用など
の耐熱耐圧鋼管では、高温強度により管の肉厚が決定さ
れる。このような背景を考慮して、低合金鋼を高強度化
した場合の利点を挙げれば、次のとおりである。
【0010】 従来、高温腐食のそれほど厳しくなか
った使用環境でも、高温強度の確保のためにオーステナ
イト系ステンレス鋼、高Crフェライト鋼を使用していた
分野、言い換えれば低合金鋼の使用が制限されていた部
材に低合金鋼が使えるようになり、経済性が向上すると
ともに低合金鋼の特性、例えば優れた溶接性、を生かす
ことができる。
った使用環境でも、高温強度の確保のためにオーステナ
イト系ステンレス鋼、高Crフェライト鋼を使用していた
分野、言い換えれば低合金鋼の使用が制限されていた部
材に低合金鋼が使えるようになり、経済性が向上すると
ともに低合金鋼の特性、例えば優れた溶接性、を生かす
ことができる。
【0011】 部材の肉厚そのものを薄くできること
になり、熱伝達性が向上し、プラントの熱効率そのもの
を改善できるとともに、プラントの起動・停止による熱
疲労負荷を軽減できる。
になり、熱伝達性が向上し、プラントの熱効率そのもの
を改善できるとともに、プラントの起動・停止による熱
疲労負荷を軽減できる。
【0012】 部材の軽量化による低コスト化とプラ
ントのコンパクト化が可能である。
ントのコンパクト化が可能である。
【0013】前掲の特開昭63−62848 号公報には高強度
低合金鋼が開示されているが、そこに開示されている鋼
は、高温強度が向上する反面、靱性が低くなることにお
いて改善の余地がある。特に、肉厚配管材料では、プラ
ントの起動・停止による熱応力が大きく、靱性と高温強
度の両方にすぐれた材料が必要である。
低合金鋼が開示されているが、そこに開示されている鋼
は、高温強度が向上する反面、靱性が低くなることにお
いて改善の余地がある。特に、肉厚配管材料では、プラ
ントの起動・停止による熱応力が大きく、靱性と高温強
度の両方にすぐれた材料が必要である。
【0014】従来の低合金鋼において、高強度化と高靱
性化が両立しないのは次のような理由による。すなわ
ち、既存規格鋼STBA24、STBA22等のCr−Mo系材料では主
にMoの固溶強化と微細なCr、Fe、Moの炭化物による強化
を利用している。その場合、靱性には優れる反面、特に
550 ℃以上の高温では、炭化物の成長粗大化が著しいこ
とから高温強度が低くなる。
性化が両立しないのは次のような理由による。すなわ
ち、既存規格鋼STBA24、STBA22等のCr−Mo系材料では主
にMoの固溶強化と微細なCr、Fe、Moの炭化物による強化
を利用している。その場合、靱性には優れる反面、特に
550 ℃以上の高温では、炭化物の成長粗大化が著しいこ
とから高温強度が低くなる。
【0015】一方、高温強度改善に対しては固溶強化元
素であるMoの増量が考えられるが、その効果はそれほど
大きくはなく、かえって靱性、加工性の劣化が著しく実
用的でない。また、析出強化元素としてV、Nb、B、Ti
の添加が有効であるが、これらは強度を改善する反面、
材料を硬化させ、特にフェライト地に析出した場合、靱
性低下が大きい。さらに、良好な溶接性を確保するため
に、これらの元素の添加が制限される場合が多い。
素であるMoの増量が考えられるが、その効果はそれほど
大きくはなく、かえって靱性、加工性の劣化が著しく実
用的でない。また、析出強化元素としてV、Nb、B、Ti
の添加が有効であるが、これらは強度を改善する反面、
材料を硬化させ、特にフェライト地に析出した場合、靱
性低下が大きい。さらに、良好な溶接性を確保するため
に、これらの元素の添加が制限される場合が多い。
【0016】特公平6−2926号公報に開示される発明
は、Crが3.5 %以下の低合金鋼の有する先に述べたよう
な利点を生かしつつ、その高温 (実用温度範囲として
は、およそ550 〜625 ℃) での高温クリープ強度を大幅
に改善することを課題としてなされたものである。すな
わち、靱性、加工性、溶接性においては既存の低合金鋼
と同等以上の性能を持ちながら高温強度が高く、これま
で強度の点から低合金鋼の使用が制限されていた分野に
おいて、高Crフェライト鋼、オーステナイト系ステンレ
ス鋼に代替して使用できる新しい耐熱鋼を提供するもの
である。
は、Crが3.5 %以下の低合金鋼の有する先に述べたよう
な利点を生かしつつ、その高温 (実用温度範囲として
は、およそ550 〜625 ℃) での高温クリープ強度を大幅
に改善することを課題としてなされたものである。すな
わち、靱性、加工性、溶接性においては既存の低合金鋼
と同等以上の性能を持ちながら高温強度が高く、これま
で強度の点から低合金鋼の使用が制限されていた分野に
おいて、高Crフェライト鋼、オーステナイト系ステンレ
ス鋼に代替して使用できる新しい耐熱鋼を提供するもの
である。
【0017】しかし上記発明は肉厚の薄い鋳鍛鋼品であ
り、板厚20mm超、一般的には板厚25mm以上の厚鋼板への
適用は困難である。板厚が厚くなればなるほど高温クリ
ープ強度を改善するのに合金成分を添加する必要があ
り、上述した低合金鋼の特性が失われてしまうからであ
る。肉厚材ほど合金元素を添加しなければならないの
は、これらのほとんどが焼ならし (ノルマライジング)
+焼戻し (テンパリング)処理により製造されているた
めである。
り、板厚20mm超、一般的には板厚25mm以上の厚鋼板への
適用は困難である。板厚が厚くなればなるほど高温クリ
ープ強度を改善するのに合金成分を添加する必要があ
り、上述した低合金鋼の特性が失われてしまうからであ
る。肉厚材ほど合金元素を添加しなければならないの
は、これらのほとんどが焼ならし (ノルマライジング)
+焼戻し (テンパリング)処理により製造されているた
めである。
【0018】特公平6−2926号公報にも実施例として合
金元素を添加した場合、焼ならし温度、焼戻し温度を上
昇させるという手段をとっているが、製造実績としては
20mmまでであり、厚肉材への適用には改善の余地が
多い。今後のプラントの大型化を考えると厚肉材への適
用が必須となる。本発明の目的は、このような厚肉材に
対し、高温クリープ、靱性に優れた高温耐熱部材を製造
する方法を提供することにある。
金元素を添加した場合、焼ならし温度、焼戻し温度を上
昇させるという手段をとっているが、製造実績としては
20mmまでであり、厚肉材への適用には改善の余地が
多い。今後のプラントの大型化を考えると厚肉材への適
用が必須となる。本発明の目的は、このような厚肉材に
対し、高温クリープ、靱性に優れた高温耐熱部材を製造
する方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、低合金鋼の
高温強度、特に550 ℃以上でのクリープ強度を向上させ
るために、VとNb (必要に応じてさらに、Ti、B等) に
よる析出強化と、MoとWによる固溶強化および微細炭化
物析出強化とを利用することを考え、多数の試験を繰り
返した結果、次のような知見を得た。
高温強度、特に550 ℃以上でのクリープ強度を向上させ
るために、VとNb (必要に応じてさらに、Ti、B等) に
よる析出強化と、MoとWによる固溶強化および微細炭化
物析出強化とを利用することを考え、多数の試験を繰り
返した結果、次のような知見を得た。
【0020】すなわち、MoとWは複合添加するのが効果
的であるが、Moに較べて原子半径が大きく拡散係数の小
さいWを多量に使用することにより格段の固溶強化が図
れるのに加えて、クリープ強度に寄与する微細炭化物を
高温でも長時間安定に保持できること、この効果を厚肉
材でも飛躍的に発揮するためには加熱温度、圧延条件、
冷却条件が非常に重要であることが研究により判明し
た。
的であるが、Moに較べて原子半径が大きく拡散係数の小
さいWを多量に使用することにより格段の固溶強化が図
れるのに加えて、クリープ強度に寄与する微細炭化物を
高温でも長時間安定に保持できること、この効果を厚肉
材でも飛躍的に発揮するためには加熱温度、圧延条件、
冷却条件が非常に重要であることが研究により判明し
た。
【0021】したがって、本発明にあっては、クリープ
強度、靱性を厚肉材で低合金で達成すべく、圧延冷却過
程でより多くの固溶Mo、Wを確保し、多くのV、Nb析出
物を析出させるための鋼構成および製造条件を規定する
のである。
強度、靱性を厚肉材で低合金で達成すべく、圧延冷却過
程でより多くの固溶Mo、Wを確保し、多くのV、Nb析出
物を析出させるための鋼構成および製造条件を規定する
のである。
【0022】ここに、本発明は、重量%で、C:0.03〜
0.14%、 Si:0.7 %以下、 Mn:0.1 〜0.7 %、Cr:
1.5 〜3.5 %、 Mo:0.01〜0.4 %、W:1〜3%、
V:0.05〜0.3 %、 Nb:0.01〜0.1 %、Al:0.005 〜
0.05%、N:0.005 〜0.05%、残部は鉄および不可避的
不純物から成る鋼組成を有する鋼片を熱間圧延、1050〜
900 ℃で仕上圧延を行った後、850 ℃から600 ℃までの
温度範囲を平均5℃/sec以上の冷却速度で冷却すること
を特徴とするクリープ特性に優れた耐熱厚鋼板の製造方
法である。
0.14%、 Si:0.7 %以下、 Mn:0.1 〜0.7 %、Cr:
1.5 〜3.5 %、 Mo:0.01〜0.4 %、W:1〜3%、
V:0.05〜0.3 %、 Nb:0.01〜0.1 %、Al:0.005 〜
0.05%、N:0.005 〜0.05%、残部は鉄および不可避的
不純物から成る鋼組成を有する鋼片を熱間圧延、1050〜
900 ℃で仕上圧延を行った後、850 ℃から600 ℃までの
温度範囲を平均5℃/sec以上の冷却速度で冷却すること
を特徴とするクリープ特性に優れた耐熱厚鋼板の製造方
法である。
【0023】好適態様にあっては、前記鋼組成が、さら
に、B:0.0001〜0.02重量%およびMg:0.0005〜0.5 %
重量%を含有してもよい。さらに別の好適態様にあって
は、前記鋼組成が、さらに、La、Ce、Y、Ca、Tiのうち
1種以上を、それぞれ、0.005 〜0.2 重量%含有しても
よい。
に、B:0.0001〜0.02重量%およびMg:0.0005〜0.5 %
重量%を含有してもよい。さらに別の好適態様にあって
は、前記鋼組成が、さらに、La、Ce、Y、Ca、Tiのうち
1種以上を、それぞれ、0.005 〜0.2 重量%含有しても
よい。
【0024】
【作用】次に、本発明において製造条件および鋼組成を
上述のように規定した理由についてその作用ともに詳述
する。
上述のように規定した理由についてその作用ともに詳述
する。
【0025】まず、添付図面についてであるが、図1
は、後述する実施例の本発明例No. 1の鋼組成の鋼板を
用い、各温度に保持後、空冷してそのときのMo、W の析
出量(合計) を調べ、グラフにまとめたもので、850 〜6
00 ℃の温度領域で析出する析出物が多く、この温度域
が重要であることが分かった。
は、後述する実施例の本発明例No. 1の鋼組成の鋼板を
用い、各温度に保持後、空冷してそのときのMo、W の析
出量(合計) を調べ、グラフにまとめたもので、850 〜6
00 ℃の温度領域で析出する析出物が多く、この温度域
が重要であることが分かった。
【0026】図2は、図1と同様の例について圧延仕上
げ温度を母材靱性、クリープ破断強度との関係を示すグ
ラフであり、仕上げ温度1150℃〜900 ℃でそれらの特性
が共に改善されることが分かる。
げ温度を母材靱性、クリープ破断強度との関係を示すグ
ラフであり、仕上げ温度1150℃〜900 ℃でそれらの特性
が共に改善されることが分かる。
【0027】図3は、図1と同様の例について冷却速度
とクリープ破断強度との関係を示すグラフであり、冷却
速度を変えることによって、析出が抑えられ、クリープ
強度がさらに向上することが分かる。
とクリープ破断強度との関係を示すグラフであり、冷却
速度を変えることによって、析出が抑えられ、クリープ
強度がさらに向上することが分かる。
【0028】以下、これらについてさらに説明する。本
発明にあっては前記鋼組成の鋼片を熱間圧延して、例え
ば厚さ20mm超、一般には25mm以上の厚鋼板とするのであ
る。
発明にあっては前記鋼組成の鋼片を熱間圧延して、例え
ば厚さ20mm超、一般には25mm以上の厚鋼板とするのであ
る。
【0029】熱間圧延に先立って行う加熱温度は特に制
限はないが、合金元素の固溶は1100℃以上から始ま
り高温ほど多いため、合金元素量が飽和し、かつ経済的
にも有利な1200〜1250℃が望ましい。
限はないが、合金元素の固溶は1100℃以上から始ま
り高温ほど多いため、合金元素量が飽和し、かつ経済的
にも有利な1200〜1250℃が望ましい。
【0030】このような所定温度に加熱してから熱間圧
延を開始するが、このときの圧延温度は本発明のポイン
トの1つであり固溶Mo、Wの確保の点からは、これが析
出する温度以上で圧延する必要があり、高温ほどよい。
しかし、あまり高温で圧延するとオーステナイト (以下
γ) 粒が粗大であるため、特に厚肉材では靱性の劣化を
招く。実験を繰り返した結果、上述の図2に示すように
γの未再結晶域で圧延を終了させることが、靱性改善、
合金元素固溶確保の点で重要であることが判明した。
延を開始するが、このときの圧延温度は本発明のポイン
トの1つであり固溶Mo、Wの確保の点からは、これが析
出する温度以上で圧延する必要があり、高温ほどよい。
しかし、あまり高温で圧延するとオーステナイト (以下
γ) 粒が粗大であるため、特に厚肉材では靱性の劣化を
招く。実験を繰り返した結果、上述の図2に示すように
γの未再結晶域で圧延を終了させることが、靱性改善、
合金元素固溶確保の点で重要であることが判明した。
【0031】このように圧延温度は、固溶Mo、Wを確保
し、高温クリープを向上させ、かつ厚肉靱性の劣化がな
いように仕上温度をオーステナイト未再結晶域1050〜90
0 ℃で終了させるように設定する。この範囲で終了させ
ないと高温では靱性劣化、低温では高温クリープ劣化が
起こる。
し、高温クリープを向上させ、かつ厚肉靱性の劣化がな
いように仕上温度をオーステナイト未再結晶域1050〜90
0 ℃で終了させるように設定する。この範囲で終了させ
ないと高温では靱性劣化、低温では高温クリープ劣化が
起こる。
【0032】圧延終了後は、図1、図3に示す結果から
分かるように、冷却条件を規定する必要があり、Mo、W
析出温度域、つまり850 〜600 ℃の範囲を平均5.0 ℃/s
ec以上の冷却速度で強冷却するのである。好ましくは冷
却速度は7.0 ℃/sec以上である。この温度範囲の冷却速
度が平均5.0 ℃/sec未満と遅いとMo、Wの炭化物が析出
してしまい高温クリープが劣化する。冷却速度の上限は
本発明の原理上からは特に制限ないが、例えば強冷却と
いうように、通常の操業条件から決定される。図示結果
からは10℃/sec 〜100 ℃/sec の間でその効果は飽和
するのが分かる。
分かるように、冷却条件を規定する必要があり、Mo、W
析出温度域、つまり850 〜600 ℃の範囲を平均5.0 ℃/s
ec以上の冷却速度で強冷却するのである。好ましくは冷
却速度は7.0 ℃/sec以上である。この温度範囲の冷却速
度が平均5.0 ℃/sec未満と遅いとMo、Wの炭化物が析出
してしまい高温クリープが劣化する。冷却速度の上限は
本発明の原理上からは特に制限ないが、例えば強冷却と
いうように、通常の操業条件から決定される。図示結果
からは10℃/sec 〜100 ℃/sec の間でその効果は飽和
するのが分かる。
【0033】この850 〜600 ℃という析出温度域以外の
冷却については特に制限なく、そのまま強冷、放冷を行
っても支障はない。本発明においてV、Nbの微細炭化物
析出強化をも利用するが、これらの析出挙動と上述の処
理条件との関連は、V、Nbの炭化物は900 ℃前後であ
り、これらが微細析出した後850 〜600 ℃で冷却するた
め、これらV、Nbの炭化物の粗大化も防止できることで
ある。
冷却については特に制限なく、そのまま強冷、放冷を行
っても支障はない。本発明においてV、Nbの微細炭化物
析出強化をも利用するが、これらの析出挙動と上述の処
理条件との関連は、V、Nbの炭化物は900 ℃前後であ
り、これらが微細析出した後850 〜600 ℃で冷却するた
め、これらV、Nbの炭化物の粗大化も防止できることで
ある。
【0034】次に、本発明にかかる製造方法の対象とな
る耐熱鋼は、それを構成する各成分の相互作用によっ
て、後述するような総合的に優れた特性を持つに到るの
であるが、以下に各成分の作用効果とその含有量の選定
理由を説明する。
る耐熱鋼は、それを構成する各成分の相互作用によっ
て、後述するような総合的に優れた特性を持つに到るの
であるが、以下に各成分の作用効果とその含有量の選定
理由を説明する。
【0035】C:Cは、Cr、Fe、Mo、W、V、Nb、Ti等
と結合して炭化物を形成し高温強度の改善に寄与すると
ともに、それ自身がオーステナイト相安定化元素として
組織を安定化する作用を有する。本発明にあっては、焼
ならし−焼戻し処理によってフェライト相とマルテンサ
イト相、ベイナイト相およびパーライト相の混合した組
織が得られるが、C含有量はこれらの組織のバランス制
御のためにも重要である。
と結合して炭化物を形成し高温強度の改善に寄与すると
ともに、それ自身がオーステナイト相安定化元素として
組織を安定化する作用を有する。本発明にあっては、焼
ならし−焼戻し処理によってフェライト相とマルテンサ
イト相、ベイナイト相およびパーライト相の混合した組
織が得られるが、C含有量はこれらの組織のバランス制
御のためにも重要である。
【0036】C含有量が0.03%未満では、炭化物の析出
量が不足し充分な強度が得られず、またフェライト量が
多くなり過ぎて靱性を損なう。一方、0.14%を超えると
炭化物が過剰に析出し、得られる鋼が硬化し加工性、溶
接性を損なう。従って、Cの適正含有量は0.03〜0.14%
であり、特に0.05〜0.08%の範囲とするのが好ましい。
量が不足し充分な強度が得られず、またフェライト量が
多くなり過ぎて靱性を損なう。一方、0.14%を超えると
炭化物が過剰に析出し、得られる鋼が硬化し加工性、溶
接性を損なう。従って、Cの適正含有量は0.03〜0.14%
であり、特に0.05〜0.08%の範囲とするのが好ましい。
【0037】Si:Siは脱酸剤として添加され、鋼の耐水
蒸気酸化性を高める元素でもある。特にその下限は規定
されないが、好ましくは0.1 %以上である。一方、その
含有量が0.7 %を超えると鋼の靱性および加工性が低下
し、強度低下を招く。特に20mm超の厚肉部材では焼戻し
脆化を起こす原因にもなるから、Siの含有量は0.7 %ま
でとする。好ましくは0.5 %以下である。
蒸気酸化性を高める元素でもある。特にその下限は規定
されないが、好ましくは0.1 %以上である。一方、その
含有量が0.7 %を超えると鋼の靱性および加工性が低下
し、強度低下を招く。特に20mm超の厚肉部材では焼戻し
脆化を起こす原因にもなるから、Siの含有量は0.7 %ま
でとする。好ましくは0.5 %以下である。
【0038】Mn:Mnは鋼の熱間加工性を改善し、組織の
安定化にも寄与する。この効果は0.1 %未満では期待で
きない。しかし、Mnの含有量が0.7 %を超えると鋼の硬
化を招き加工性、溶接性を損なう。また、Siと同様に焼
戻し脆化感受性を高める元素でもあるから、上限を0.7
%とする。好ましくは、0.4 〜0.6 %である。
安定化にも寄与する。この効果は0.1 %未満では期待で
きない。しかし、Mnの含有量が0.7 %を超えると鋼の硬
化を招き加工性、溶接性を損なう。また、Siと同様に焼
戻し脆化感受性を高める元素でもあるから、上限を0.7
%とする。好ましくは、0.4 〜0.6 %である。
【0039】Cr:低合金鋼の耐酸化性および高温耐食性
の改善のために不可欠な元素である。本発明が製造する
鋼は、特に、550 〜625 ℃の高温クリープ強度の高い耐
熱鋼であるが、耐酸化性や耐食性の点から用途が制約さ
れないように、Crを添加してこれらの改善を行う。Crの
含有量は、1.5 %未満では上記の目的が達成できない。
一方、本発明は低合金鋼の特性を最大限に利用すること
も目的としており、その点から、Cr含有量の上限は3.5
%に抑える。3.5 %を超えるCr含有量になると、靱性、
溶接性、熱伝導性が悪くなる。本発明の場合、特に、好
ましくは、2.0 〜2.6 %である。
の改善のために不可欠な元素である。本発明が製造する
鋼は、特に、550 〜625 ℃の高温クリープ強度の高い耐
熱鋼であるが、耐酸化性や耐食性の点から用途が制約さ
れないように、Crを添加してこれらの改善を行う。Crの
含有量は、1.5 %未満では上記の目的が達成できない。
一方、本発明は低合金鋼の特性を最大限に利用すること
も目的としており、その点から、Cr含有量の上限は3.5
%に抑える。3.5 %を超えるCr含有量になると、靱性、
溶接性、熱伝導性が悪くなる。本発明の場合、特に、好
ましくは、2.0 〜2.6 %である。
【0040】Mo:MoはWと複合添加されて固溶強化およ
び微細炭化物析出強化の働きをする元素としてクリープ
強度の向上に有効である。しかし、その含有量が0.01%
未満では十分な効果が得られず、一方、0.4 %を超える
場合、もはや強度向上効果は飽和するとともに、靱性、
加工性を損なう。そこで、後述するWと複合添加するこ
とを前提としてMo含有量は0.01〜0.4 %とした。好まし
くは、0.05〜0.15%である。
び微細炭化物析出強化の働きをする元素としてクリープ
強度の向上に有効である。しかし、その含有量が0.01%
未満では十分な効果が得られず、一方、0.4 %を超える
場合、もはや強度向上効果は飽和するとともに、靱性、
加工性を損なう。そこで、後述するWと複合添加するこ
とを前提としてMo含有量は0.01〜0.4 %とした。好まし
くは、0.05〜0.15%である。
【0041】W:Wは、上記のMoと複合添加されて固溶
強化および微細炭化物析出強化元素としてクリープ強度
の向上に寄与する。Wは1.0 %未満では十分な効果が得
られず、3.0 %を超えると鋼を著しく硬化させ靱性、溶
接性、加工性を損なう。W量はMoとの複合添加を前提と
して1.0 〜3.0 %とした。好ましくは、1.5 〜1.7 %で
ある。
強化および微細炭化物析出強化元素としてクリープ強度
の向上に寄与する。Wは1.0 %未満では十分な効果が得
られず、3.0 %を超えると鋼を著しく硬化させ靱性、溶
接性、加工性を損なう。W量はMoとの複合添加を前提と
して1.0 〜3.0 %とした。好ましくは、1.5 〜1.7 %で
ある。
【0042】V:VはC、Nと結合して炭窒化物V
(C、N) の微細析出物を形成する。この析出物は高温
長時間クリープ強度の向上に寄与する。V含有量0.05%
以上でその効果が現れ、0.3 %を超える場合には、かえ
ってクリープ強度を損なうとともに、靱性、溶接性も低
下する。よってVの適正含有量は0.05〜0.3 %である。
好ましくは、0.20〜0.25%である。
(C、N) の微細析出物を形成する。この析出物は高温
長時間クリープ強度の向上に寄与する。V含有量0.05%
以上でその効果が現れ、0.3 %を超える場合には、かえ
ってクリープ強度を損なうとともに、靱性、溶接性も低
下する。よってVの適正含有量は0.05〜0.3 %である。
好ましくは、0.20〜0.25%である。
【0043】Nb:NbもVと同様にC、Nと結合してNb
(C、N) を形成し、クリープ強度向上に寄与する。特
に625 ℃以下では安定な微細析出物を形成してクリープ
強度を著しく改善する効果がある。0.01%未満では上記
の効果が得られず、0.1 %を超えると鋼を著しく硬化さ
せ靱性、加工性、溶接性を損なう。Nbの適正含有量は0.
01〜0.1 %である。好ましくは、0.03〜0.08%である。
(C、N) を形成し、クリープ強度向上に寄与する。特
に625 ℃以下では安定な微細析出物を形成してクリープ
強度を著しく改善する効果がある。0.01%未満では上記
の効果が得られず、0.1 %を超えると鋼を著しく硬化さ
せ靱性、加工性、溶接性を損なう。Nbの適正含有量は0.
01〜0.1 %である。好ましくは、0.03〜0.08%である。
【0044】Al:Alは鋼の脱酸剤として必須であり、0.
005 %未満では効果がなく、0.05%を超える場合はクリ
ープ強度と加工性を損なう。よってAlの含有量は0.005
〜0.05%とする。好ましくは、0.01〜0.04%である。
005 %未満では効果がなく、0.05%を超える場合はクリ
ープ強度と加工性を損なう。よってAlの含有量は0.005
〜0.05%とする。好ましくは、0.01〜0.04%である。
【0045】N (窒素):NはV、Nbとの炭窒化物形成に
必要であるが、0.005 %未満ではその効果がない。しか
しNの含有量が0.05%を超えると鋼の組織が著しく細粒
化するとともに、窒化物が粗大化し強度、靱性、溶接
性、加工性を損なう。よってNの含有量は0.005 〜0.05
%、好ましくは0.005 〜0.015 %と低めがよい。
必要であるが、0.005 %未満ではその効果がない。しか
しNの含有量が0.05%を超えると鋼の組織が著しく細粒
化するとともに、窒化物が粗大化し強度、靱性、溶接
性、加工性を損なう。よってNの含有量は0.005 〜0.05
%、好ましくは0.005 〜0.015 %と低めがよい。
【0046】本発明が対象としている鋼組成は、上記の
各成分の外、残部は鉄(Fe)と不可避不純物からなるもの
である。その鋼組成に対して、本発明の好適態様にあっ
てはさらに必要に応じ、下記合金成分を含有させること
ができる。
各成分の外、残部は鉄(Fe)と不可避不純物からなるもの
である。その鋼組成に対して、本発明の好適態様にあっ
てはさらに必要に応じ、下記合金成分を含有させること
ができる。
【0047】Mg:Mgは微量添加で靱性、加工性、溶接性
を顕著に改善する。この効果は従来知られていたS等の
形態制御による不純物清浄化作用だけでなく、材質その
ものに作用すると考えられる。特にWを多く含み、V、
Nbを添加した鋼組成の場合において、この作用効果は著
しい。
を顕著に改善する。この効果は従来知られていたS等の
形態制御による不純物清浄化作用だけでなく、材質その
ものに作用すると考えられる。特にWを多く含み、V、
Nbを添加した鋼組成の場合において、この作用効果は著
しい。
【0048】上記Mgの効果は、その含有量が0.0005%未
満では不十分で、一方、0.5 %を超えるとその効果は飽
和し、かえって加工性の低下を招く。したがってMgの含
有量は0.0005〜0.5 %の範囲とする。
満では不十分で、一方、0.5 %を超えるとその効果は飽
和し、かえって加工性の低下を招く。したがってMgの含
有量は0.0005〜0.5 %の範囲とする。
【0049】B:Bは極く微量の添加により炭化物を分
散、安定化させる効果がある。0.0001%未満ではその効
果が小さく、0.02%を超えると溶接性と加工性を損なう
ことからBを添加する場合、その含有量の適正範囲は0.
0001〜0.02%である。
散、安定化させる効果がある。0.0001%未満ではその効
果が小さく、0.02%を超えると溶接性と加工性を損なう
ことからBを添加する場合、その含有量の適正範囲は0.
0001〜0.02%である。
【0050】La、Ce、Y、Ca、Ti:これらの元素は不純
物元素 (P、S、O) とそれらの析出物 (介在物) の形
態制御を目的として必要に応じて添加される。これらの
元素のうち少なくとも1種を、それぞれの元素について
0.05%以上添加することによって前記の不純物を安定で
無害な析出物として固定し、強度と靱性を向上させる。
0.05%未満ではその効果がなく、一方、それぞれ0.2 %
を超えると介在物が増加し、かえって靱性を損なうので
各々の含有量は0.05〜0.2 %とする。好ましくは、0.10
〜0.15%である。
物元素 (P、S、O) とそれらの析出物 (介在物) の形
態制御を目的として必要に応じて添加される。これらの
元素のうち少なくとも1種を、それぞれの元素について
0.05%以上添加することによって前記の不純物を安定で
無害な析出物として固定し、強度と靱性を向上させる。
0.05%未満ではその効果がなく、一方、それぞれ0.2 %
を超えると介在物が増加し、かえって靱性を損なうので
各々の含有量は0.05〜0.2 %とする。好ましくは、0.10
〜0.15%である。
【0051】不可避不純物の中では、PとSの上限を抑
えることが大切である。これらはいずれも鋼の靱性、加
工性、溶接性を損なう有害元素であり、特にWを多量に
含有する鋼組成の場合においては、靱性改善のためにも
これらを少なくして清浄化しておくのが望ましい。Pは
0.025 %以下、Sは0.015 %以下にそれぞれ抑えること
が好ましい。
えることが大切である。これらはいずれも鋼の靱性、加
工性、溶接性を損なう有害元素であり、特にWを多量に
含有する鋼組成の場合においては、靱性改善のためにも
これらを少なくして清浄化しておくのが望ましい。Pは
0.025 %以下、Sは0.015 %以下にそれぞれ抑えること
が好ましい。
【0052】
【実施例】本例では、表1に示す鋼組成の鋼片を用意
し、同じく表1に示す圧延条件で熱間圧延を行い、冷却
を行った。このようにして得られた一連の熱間圧延鋼材
について機械的特性の評価を行った。結果は、表2にま
とめて示す。
し、同じく表1に示す圧延条件で熱間圧延を行い、冷却
を行った。このようにして得られた一連の熱間圧延鋼材
について機械的特性の評価を行った。結果は、表2にま
とめて示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明にかかる
方法によれば、550 〜625 ℃程度の高温でのクリープ強
度が著しく高い厚肉低合金耐熱鋼が得られる。この鋼
は、高強度材でありながら靱性、延性、溶接性でも既存
の低合金鋼と同等以上であり、その経済性と相俟って、
先に述べた多方面の用途に、耐熱耐圧厚肉鋼管その他の
製品として広く利用できるものである。
方法によれば、550 〜625 ℃程度の高温でのクリープ強
度が著しく高い厚肉低合金耐熱鋼が得られる。この鋼
は、高強度材でありながら靱性、延性、溶接性でも既存
の低合金鋼と同等以上であり、その経済性と相俟って、
先に述べた多方面の用途に、耐熱耐圧厚肉鋼管その他の
製品として広く利用できるものである。
【図1】温度とMo、W析出量の関係を示すグラフであ
る。
る。
【図2】圧延仕上温度と母材靱性、クリープ破断強度の
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
【図3】冷却速度とクリープ破断強度の関係を示すグラ
フである。
フである。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.03〜0.14%、 Si:0.7 %以下、 Mn:0.1 〜0.
7 %、 Cr:1.5 〜3.5 %、 Mo:0.01〜0.4 %、W:1〜3
%、 V:0.05〜0.3 %、 Nb:0.01〜0.1 %、Al:0.005 〜
0.05%、 N:0.005 〜0.05%、 残部は鉄および不可避的不純物から成る鋼組成を有する
鋼片を熱間圧延、1050〜900 ℃で仕上圧延を行った後、
850 ℃から600 ℃までの温度範囲を平均5℃/sec以上の
冷却速度で冷却することを特徴とするクリープ特性に優
れた耐熱厚鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 前記鋼組成が、さらに、B:0.0001〜0.
02重量%およびMg:0.0005〜0.5 %重量%を含有する請
求項1記載のクリープ特性に優れた耐熱厚鋼板の製造方
法。 - 【請求項3】 前記鋼組成が、さらに、La、Ce、Y、C
a、Tiのうち1種以上を、それぞれ、0.005 〜0.2 重量
%含有する請求項1または2記載のクリープ特性に優れ
た耐熱厚鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18741895A JPH0931535A (ja) | 1995-07-24 | 1995-07-24 | クリープ特性に優れた耐熱厚鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18741895A JPH0931535A (ja) | 1995-07-24 | 1995-07-24 | クリープ特性に優れた耐熱厚鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0931535A true JPH0931535A (ja) | 1997-02-04 |
Family
ID=16205704
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18741895A Withdrawn JPH0931535A (ja) | 1995-07-24 | 1995-07-24 | クリープ特性に優れた耐熱厚鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0931535A (ja) |
-
1995
- 1995-07-24 JP JP18741895A patent/JPH0931535A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20021001 |