JPH062926B2 - 高温クリープ強度の高い耐熱綱 - Google Patents

高温クリープ強度の高い耐熱綱

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JPH062926B2
JPH062926B2 JP1040737A JP4073789A JPH062926B2 JP H062926 B2 JPH062926 B2 JP H062926B2 JP 1040737 A JP1040737 A JP 1040737A JP 4073789 A JP4073789 A JP 4073789A JP H062926 B2 JPH062926 B2 JP H062926B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、550℃以上の高温でのクリープ強度が高
く、ボイラ、化学工業、原子力用などの分野で熱交換器
等、配管用管、耐熱バルブ、接続継手等の鋳鍛鋼品とし
て使用される低Cr−Mo−W系耐熱鋼に関する。
(従来の技術) ボイラ、化学工業、原子力用の高温耐熱耐圧部材として
は、オーステナイトステンレス鋼、9〜12Cr系高Crフェ
ライト鋼、Cr量3.5%以下のCr-Mo系低合金鋼と炭素鋼が
用いられている。これらは対象となる部品の使用温度、
圧力などの使用環境と経済性を考慮して適宜選択されて
いる。
上記のような材料の中、Cr含有量3.5%(本明細書にお
いて、合金成分についての%は全て重量%を意味する)
以下の低合金鋼の特徴は、炭素鋼に比べCr含有による耐
酸化性、高温耐食性および高温強度に優れること、オー
ステナイトステンレス鋼に比べ格段に安価でかつ熱膨張
係数が小さく、応力腐食割れをおこさないこと、高Crフ
ェライト鋼に比べても安価で靭性、熱伝導性、溶接性に
優れることにある。低合金鋼の代表鋼として、2・1/4Cr
−1Mo鋼(STBA24)、STBA22、STBA20などが規格化さ
れ、通常Cr-Mo鋼と総称されている。
一方、高温強度を向上させる目的で析出強化元素V、N
b、Ti、TaやBを添加した材料が、特開昭57−131349
号、特開昭57-131350号、特開昭62-54062号、特開昭63-
62848号などの各公報に提案されている。
また、タービンロータやケーシング材料では、1Cr−1
Mo−0.25V鋼がよく知られており、高速増殖炉用構造材
料では、2・1/4Cr−1Mo−Nb鋼などが開発されてい
る。
しかしながらこれらの低合金鋼は、550℃以上の高温で
の使用に関して、2つの点で問題がある。
第1点は、耐酸化性、高温耐食性に関して、高Crフェラ
イト鋼やオーステナイトステレンス鋼に劣ること、第2
点は、550℃以上の高温強度がV、Nb析出強化型の高Crフ
ェライト鋼やオーステナイトステンレス鋼に比べ、著し
く低いことである。
鋼の耐酸化性、高温耐食性は、主としてCr含有量に依存
するから、その含有量を高めるのが改良法の一つである
が、低合金鋼としての高い熱伝導性、良好な溶接性、経
済性を生かすには、既存の低Cr鋼の範疇での成分改良が
望ましい。また、特に耐酸化性、耐食性が問題にならな
い環境で使用するのであれば、第1点はそれほど重要と
は言えなくなる。
一方、高温強度は、耐圧部材の設計上極めて重要であ
り、使用温度の如何を問わず高強度であることが望まし
い。特に、ボイラ、化学工業、原子力用などの耐熱耐圧
鋼管では、高温強度により管の肉厚が決定される。この
ような背景を考慮して、低合金鋼を高強度化した場合の
利点を挙げれば、次のとおりである。
従来、高温腐食のそれほど厳しくなかった使用環境
でも、高温強度の確保のためにオーステナイトステンレ
ス鋼、高Crフェライト鋼を使用していた分野、言い換え
れば低合金鋼の使用が制限されていた部材に低合金鋼が
使えるようになり、経済性が向上するとともに低合金鋼
の特性、例えば優れた溶接性、を生かすことができる。
部材の肉厚そのものを薄くできることになり、熱伝
達性が向上し、プラントの熱効率そのものを改善できる
とともに、プラントの起動・停止による熱疲労負荷を軽
減できる。
部材の軽量化による低コスト化とプラントのコンパ
クト化が可能である。
前掲の特開昭63-62848号公報には高強度低合金鋼が開示
されているが、そこに開示されている鋼は、高温強度が
向上する反面、靭性が低くなることにおいて改善の余地
がある。特に、肉厚配管材料では、プラントの起動・停
止による熱応力が大きく、靭性と高温強度の両方にすぐ
れた材料が必要である。
従来の低合金鋼において、高強度化と高靭性化が両立し
ないのは次のような理由による。すなわち、既存規格鋼
STBA24、STBA22等のCr−Mo系材料では主にMoの固溶強化
と微細なCr、Fe、Moの炭化物による強化を利用してい
る。その場合、靭性には優れる反面、特に550℃以上の
高温では、炭化物の成長粗大化が著しいことから高温強
度が低くなる。一方、高温強度改善に対しては固溶強化
元素であるMoの増量が考えられるが、その効果はそれほ
ど大きくはなく、かえって靭性、加工性の劣化が著しく
実用的でない。また、析出強化元素としてV、Nb、B、Ti
の添加が有効であるが、これらは強度を改善する反面、
材料を硬化させ、特にフェライト地に析出した場合、靭
性低下が大きい。更に、良好な溶接性を確保するため
に、これらの元素の添加が制限される場合が多い。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、Crが3.5%以下の低合金鋼の先に述べたよう
な利点を生かしつつ、その高温(実用温度範囲として
は、およそ550〜625℃)での高温クリープ強度を大幅に
改善することを課題としてなされたものである。即ち、
靭性、加工性、溶接性においては既存の低合金鋼と同等
以上の性能を持ちながら高温強度が高く、これまで強度
の点から低合金鋼の使用が制限されていた分野におい
て、高Crフェライト鋼、オーステナイトステンレス鋼に
代替して使用できる新しい耐熱鋼を提供するのが、本発
明の目的である。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、低合金鋼の高温強度、特に550℃以上で
のクリープ強度を向上させるために、VとNb(必要に応
じてさらにTi、B等)による析出強化と、MoとWによる
固溶強化および微細炭化物析出強化とを利用することを
考え多数の試験を繰り返した結果、次のような知見を得
た。即ち、MoとWは複合添加するのが効果的であるが、
Moに較べて原子半径が大きく拡散係数の小さいWを多量
に使用することにより格段の固溶強化が図れるのに加え
て、クリープ強度に寄与する微細炭化物を高温でも長時
間安定に保持できること、および上記の諸成分の添加に
よる靭性、加工性、溶接性の低下は、微量のMgの添加に
よって防止できること、である。かかる知見を基礎とす
る本発明は、下記の組成を持つ高温クリープ強度の高い
耐熱鋼を要旨とする。
(1) C:0.03〜0.14%、 Si:0.7:以下、 Mn:0.1〜1.5%、 Ni:0.8%以下、 Cr:1.5〜3.5%、 Mo:0.01〜0.4%、 W:1〜3%(但し、MoとWの重量比W/Mo≧6)、 V:0.05〜0.3%、 Nb:0.01〜0.1%、 N:0.005〜0.05%、 Al:0.005〜0.05%、 Mg:0.0005〜0.5% 残部:鉄および不可避的不純物。
(2) 上記(1)の成分に加えて、B:0.0001〜0.02%を含
有する高温クリープ強度の高い耐熱鋼。
(3) 上記(1)の成分に加えて、それぞれ0.01〜0.2%のL
a、Ce、Y、Ca、Ti、Zr、Taのうちの1種以上を含有す
る高温クリープ強度の高い耐熱鋼。
(4) 上記(1)の成分に加えて、B:0.0001〜0.02%と、
それぞれ0.01〜0.2重量%のLa、Ce、Y、Ca、Ti、Zr、T
aのうちの1種以上を含有する高温クリープ強度の高い
耐熱鋼。
上記の本発明の耐熱鋼は、それを構成する各成分の相互
作用によって、後述するような総合的に優れた特性を持
つに到るのあるが、以下に各成分の作用効果とその含有
量の選定理由を説明する。
(作用) C: Cは、Cr,Fe、Mo、W、V、Nb、Ti等と結合して炭化物
を形成し高温強度に寄与するとともに、それ自身がオー
ステナイト安定化元素として組織を安定化する。本発明
鋼は、焼ならし−焼戻し処理によってフェライトとマル
テンサイト、ベイナイトおよびパーライトの混合した組
織になるが、C含有量はこれらの組織のバランス制御の
ためにも重要である。
C含有量が0.03%未満では、炭化物の析出量が不足し充
分な強度が得らず、またフェライト量が多くなり過ぎて
靭性を損なう。一方、0.14%を超えると炭化物が過剰に
析出し、鋼が硬化し加工性、溶接性を損なう。従って、
Cの適正含有量は0.03〜0.14%であり、特に0.06〜0.10
%の範囲とするのが好ましい。
Cr: 低合金鋼の耐酸化性および高温耐食性の改善のために不
可欠な元素である。本発明鋼は、特に、550〜625℃の高
温クリープ強度の高い耐熱鋼であるが、耐酸化性や耐食
性の点から用途が制約されないように、Crを添加してこ
れらの改善を行う。Crの含有量は、1.5%未満では上記
の目的が達成できない。一方、本発明は低合金鋼の特性
を最大限に利用することも目的としており、その点か
ら、Cr含有量の上限は3.5%に抑える。3.5%を超えるCr
含有量になると、靭性、溶接性、熱伝導性が悪くなる。
Si: Siは脱酸剤として添加され、鋼の耐水蒸気酸化性を高め
る元素でもある。ただし、その含有量が0.7%を超える
と鋼の靭性および加工性が低下し、強度低下を招く。特
に厚肉部材では焼戻し脆化を起こす原因にもなるから、
Siの含有量は0.7%までとする。
Mn: Mnは鋼の熱間加工性を改善し、組織の安定化にも寄与す
る。この効果は0.1%未満では期待できない。しかし、M
nの含有量が1.5%を超えると鋼の硬化を招き加工性、溶
接性を損なう。また、Siと同様に焼戻し脆化感受性を高
める元素でもあるから、上限を1.5%とする。
Ni: Niはオーステナイト安定化元素であり、かつ靭性改善に
寄与するが、0.8%を超えて含有させると高温クリープ
強度を損なう。また経済性の点からも多量添加は好まし
くない、従って、Ni含有量は0.8以下とする。
Mo: MoはWと複合添加されて固溶強化および微細炭化物析出
強化の働きをする元素としてクリープ強度の向上に有効
である。しかし、その含有量が0.01%未満では十分な効
果が得られず、一方、0.4%を超える場合、もはや強度
向上効果は飽和するとともに、靭性、加工性を損なう。
そこで、後述するWと複合添加することを前提としてMo
含有量は0.01〜0.4%とした。
W: Wは、上記のMoと複合添加されて固溶強化および微細炭
化物析出強化元素としてクリープ強度の向上に寄与す
る。Wは1%未満では十分な効果が得られず、3%を超
えると鋼を著しく硬化させ靭性、溶接性、加工性を損な
う。W量はMoとの複合添加を前提として1〜3%とし
た。
さらに、MoとWの含有量に関しては、W/Moの重量比で
6以上とすることが重要で、この点が本発明鋼の特徴の
一つである。即ち、従来の類似の鋼に比較して、本発明
鋼はWの多量添加を特徴とする。
第1図が、本発明鋼におけるMoとWの含有量の範囲を図
示したものである。
MoとWの複合添加は高Crフェライト鋼によくみられる
が、低合金鋼においてはその例が少ない。その理由は、
同じ強化元素でもWはMoに比べ重量比で2倍添加する必
要があるといわれているため、同じ効果であればMo単独
添加とする方が経済的に有利と考えられてきたからであ
る。しかし本発明者らは、550℃以上の高温で使用され
る鋼では、Moを微量とし、かつW量を増量することによ
って著しい強度改善効果があることを初めて確認した。
この効果を利用すれば、高温強度を持たせるための材料
重量(設計肉厚)を軽減できるから、必ずしもW添加に
よる不利は生じない。さらに、従来、強度の点で低合金
鋼の使用が制限され、高価な高Crフェライト鋼やオース
テナイトステンレス鋼の使用を余儀なくされていた部材
に代替することを考えれば、W添加によるわずかなコス
トアップがあったとしても、本発明鋼を使用する経済上
の利益は大きい。
更に、本発明者らの多数の試験結果によれば、上記Mo、
Wの含有量の範囲内でW/Mo比を6以上とすることによ
って、Mo、Wのそれぞれの単独添加以上の相乗効果によ
り、クリープ強度が改善する。その相乗効果はW/Mo比
6未満では、十分に得られない。好ましくはW/Mo比は
7〜12である。
V: VはC、Nと結合して炭窒化物V(C、N)の微細析出
物を形成する。この析出物は高温長時間クリープ強度の
向上に寄与する。V含有量0.05%以上でその効果が現
れ、0.3%を超える場合には、かえってクリープ強度を
損なうとともに、靭性、溶接性も低下する。よってVの
適正含有量は0.05〜0.3%である。
Nb: NbもVと同様にC、Nと結合してNb(C、N)を形成
し、クリープ強度向上に寄与する。特に625℃以下では
安定な微細析出物を形成してクリープ強度を著しく改善
する効果がある。0.01%未満では上記の効果が得られ
ず、0.1%を超えると鋼を著しく硬化させ靭性、加工
性、溶接性を損なう。Nbの適正含有量は0.01〜0.1%で
ある。
Al: Alは鋼の脱酸剤として必須であり、0.005%未満では
効果がなく、0.05%を超える場合はクリープ強度と加工
性を損なう。よってAlの含有量は0.005〜0.05%とす
る。
N(窒素): NはV、Nbとの炭窒化物形成に必要であるが、0.005%
未満ではその効果がない。しかしNの含有量が0.05%を
超えると鋼の組織が著しく細粒化するとともに、窒化物
が粗大化し強度、靭性、溶接性、加工性を損なう。よっ
てNの含有量は0.005〜0.05%、好ましくは0.005〜0.01
5%の低めがよい。
Mg: Mgを含有することも本発明鋼の大きな特徴の一つであ
る。本発明者らの試験結果によれば、Mgは微量添加で靭
性、加工性、溶接性を顕著に改善する。この効果は従来
知られていたS等の形態制御による不純物清浄化作用だ
けではなく、材質そのものに作用すると考えられる。特
にWを多く含み、V、Nbを添加した本発明鋼において、
この効果が著しい。
上記のMgの効果は、その含有量が0.0005%未満では不十
分で、一方、0.5%を超えるとその効果は飽和し、かえ
って加工性の低下を招く。したがってMgの含有量は0.00
05〜0.5%の範囲とする。
本発明鋼の一つは、上記の各成分の外、残部は鉄(Fe)
と不可避不純物からなるものである。その鋼に対して、
更に下記の合金成分を含有させることができる。
B: Bは極微量の添加により炭化物を分散、安定化させる効
果がある。0.0001%未満ではその効果が小さく、0.02%
を超えると溶接性と加工性を損なうことからBを添加す
る場合、その含有量の適正範囲は0.0001〜0.02%であ
る。
La、Ce、Y、Ca、Ti、Zr、Ta: これらの元素は不純物元素(P、S、O)とそれらの析
出物(介在物)の形態制御を目的として必要に応じて添
加される。これらの元素のうち少なくとも一種を、それ
ぞれの元素について0.01%以上添加することによって前
記の不純物を安定で無害な析出物として固定し、強度と
靭性を向上させる。0.01%未満ではその効果がなく、0.
2%を超えると介在物が増加し、かえって靭性を損なう
ので各々の含有量は0.01〜0.2%とする。
不可避不純物の中では、PとSの上限を抑えることが大
切である。これらはいずれも鋼の靭性、加工性、溶接性
を損なう有害元素であり、特にWを多量に含有する本発
明鋼においては、靭性改善のためにもこれらを少なくし
て清浄化しておくのが望ましい。Pは0.025%以下、S
は0.015%以下にそれぞれ抑えるべきである。
(実施例) 第1表に示す化学組成の各鋼を50kg真空溶解炉で溶解
し、インゴットを1150〜950℃で鍛造して厚さ20mmの板
とした。
A鋼はSTBA22、B鋼はSTBA24でいずれも代表的な既存低
合金鋼である。C鋼は2・1/4Cr−1Moを基本成分と
し、V、Nbを添加した析出強化鋼(比較鋼)である。D
鋼〜G鋼は、従来の2・1/4Cr−1Moを基本成分とし、
Wを複合添加したもの、H鋼はW単独添加鋼(Moを含ま
ない)である。
I鋼〜Z鋼が本発明鋼で、いずれも前述の合金成分を規
定量だけ含有している。
熱処理は、A鋼、B鋼が規格どおりに920℃×1時間、
空冷の後、720℃×1時間、空冷とした。
一方、C鋼〜Z鋼は析出強化元素としてV、Nbを含むた
め1050℃×1時間、空冷の後、750℃×1時間、空冷と
した。
引張試験は、φ6mm×GL30mmの試験片を用い、常温およ
び600℃において行った。クリープ破断試験は、同じφ
6mm×GL30mm試験片を用い、600℃にて最長10,000時間
程度実施した後、600℃×104時間クリープ破断強度を求
めた。
シャルピー衝撃試験はJIS4号試験片を用い、熱処理まま
材および600℃×3000時間加熱処理材について延性−脆
性破断遷移温度を求めた。更に、溶接性試験として、斜
めy字拘束溶接割れ試験(JIS Z3158)を実施し、割れ
を防止できる予熱温度を求めた。
これらの試験結果を第2表にまとめて示す。
第2図は、600℃×104時間クリープ破断強度を第1表の
鋼種別に示したものである。この図から、本発明鋼の高
い強度が明らかで、既存のSTBA24鋼に較べるとその著し
い向上がわかる。更に、高Crフェライト鋼の代表鋼X20
CrMoWV121鋼(12Cr−1Mo−0.5W−0.3V−N)
以上である。
Wを多量添加したE鋼〜G鋼も高い強度を示すが、次に
述べるように靭性、溶接性が著しく低いのが欠点であ
る。
第3図は、長時間加熱試験(600℃×3000時間)後のシ
ャルピー試験遷移温度を示す。既存のA鋼、B鋼に比
べ、Wを添加した比較鋼E鋼〜H鋼は靭性がきわめて悪
くなる。一方、本発明鋼はすべて既存鋼と同等以上の靭
性を示している。これは、前述の微量Mgによる効果と考
えられる。
次に、第2表に示した溶接割れ防止の予熱温度をみれ
ば、析出強化とW添加を行った比較鋼のE鋼〜H鋼で
は、予熱を175〜250℃以上としなければ溶接割れを防止
できないことがわかる。これに対して、本発明鋼では、
いずれも75〜125℃の予熱で溶接割れが防止でき、高強
度でありながら優れた溶接性も備えていることが明らか
である。この特徴も微量Mgの含有と、他の合金成分の適
正なバランスの結果である。特に比較鋼のW単独添加の
H鋼は、高度は高いが靭性、溶接性が不十分で、総合性
能では本発明鋼に劣る。第2表に示す引張試験結果で
も、本発明鋼は、比較鋼E〜Hに比べて伸びが高く、加
工性、延性に優れているといえる。
以上の試験結果によって、本発明鋼がきわめて高い高温
クリープ強度をもつだけでなく、加工性、溶接性、靭性
においても従来の低合金鋼と同等以上であることが実証
されている。
(発明の効果) 本発明は、550〜625℃程度の高温でのクリープ強度が著
しく高い低合金耐熱鋼を提供する。この鋼は、高強度材
でありながら靭性、延性、溶接性でも既存の低合金鋼と
同等以上であり、その経済性と相俟って、先に述べた多
方面の用途に、耐熱耐圧鋼管その他の製品として広く利
用できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明鋼のMoとWの適正含有量の範囲を示す
図、 第2図は、本発明鋼(●)と従来鋼および比較鋼(○)
の600℃×104時間クリープ破断強度を比較した図、 第3図は、本発明鋼(●)と従来鋼および比較鋼(○)
の600℃×3000時間加熱後のシャルピー衝撃試験による
延性−脆性遷移温度を比較した図、である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.03〜0.14%、Si:0.7%
    以下、Mn:0.1〜1.5%、Ni:0.8%以下、Cr:1.5〜3.5
    %、Mo:0.01〜0.4%、W:1〜3%、V:0.05〜0.3
    %、Nb:0.01〜0.1%、N:0.005〜0.05%、Al:0.005
    〜0.05%、Mg:0.0005〜0.5%を含み残部は鉄および不
    可避的不純物からなり、WのMoに対する重量比(W/Mo)
    が6以上である高温クリープ強度の高い耐熱鋼。
  2. 【請求項2】請求項(1)の成分に加えて、B:0.0001〜
    0.02重量%を含有する高温クリープ強度の高い耐熱鋼。
  3. 【請求項3】請求項(1)の成分に加えて、それぞれ0.01
    〜0.2重量%のLa、Ce、Y、Ca、Ti、Zr、Taのうちの1
    種以上を含有する高温クリープ強度の高い耐熱鋼。
  4. 【請求項4】請求項(1)の成分に加えて、B:0.0001〜
    0.02重量%と、それぞれ0.01〜0.2重量%のLa、Ce、
    Y、Ca、Ti、Zr、Taのうちの1種以上を含有する高温ク
    リープ強度の高い耐熱鋼。
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