JPH09310492A - 自昇式型枠装置及びその装置の上昇方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、構造物躯体表面のアンカ−跡の補
修作業や、形鋼材の埋め殺しなどが不要であり、作業能
率の向上とコストの低減を図ることができる自昇式型枠
装置及びその装置の上昇方法を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 上記課題を解決するための手段として、
本発明は、中空の塔状コンクリ−ト構造物のコンクリ−
ト打設用型枠装置において、鉛直方向に配備された軸フ
レ−ムの上部に、周囲に水平方向に張り出す架台フレ−
ムを設け、この架台フレ−ムの周縁部には外周フレ−ム
を懸吊し、前記軸フレ−ムと外周フレ−ムとの間に構造
物躯体のコンクリ−ト打設空間を設けて構成したメイン
フレ−ムと、前記軸フレ−ム内に昇降自在に収納した、
軸フレ−ムより全長の長い昇降フレ−ムと、前記昇降フ
レ−ムの昇降手段と、前記軸フレ−ム及び外周フレ−ム
の下端部に水平方向に配備した作業足場と、前記コンク
リ−ト打設空間内に対向させて鉛直方向に配備したコン
クリ−ト打設用型枠とよりなることを特徴とした、自昇
式型枠装置及びこの装置の上昇方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自昇式型枠装置及
びその装置の上昇方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】煙突や橋脚等の塔状コンクリ−ト構造物
を構築する方法として、従来は、足場を組み立てながら
クレ−ン等を利用して、鉄筋組立て、型枠組立て、コン
クリ−ト打設、型枠解体等の作業を行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、最近では、山
間部などの道路橋においては１００ｍを越える橋脚が予
定され、この様な高橋脚を上記従来方法で施工するの
は、非常に大変であり、労力及び施工コストが多大なも
のとなり、また安全性や施工精度の点でも多くの問題を
有している。

【０００４】そこで、上記のような問題点を克服するた
め、スリップフォ−ム工法やジャンプフォ−ム工法等の
自昇式型枠装置を用いた工法が採用されている。しか
し、これらの方法は、橋脚等の構造物躯体の表面に、型
枠装置上昇用のアンカ−を設けたり、または躯体内に上
昇反力用として形鋼材を挿入設置していた。そのため、
構造物躯体表面のアンカ−跡の補修作業や、形鋼材の埋
め殺しなどに余分な手間とコストを要していた。

【０００５】

【発明の目的】本発明は、上記のような問題点を解決す
るためになされたもので、構造物躯体表面のアンカ−跡
の補修作業や、形鋼材の埋め殺しなどが不要であり、作
業能率の向上とコストの低減を図ることができる自昇式
型枠装置及びその装置の上昇方法を提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明は請求項１として、中空の塔状コ
ンクリ−ト構造物のコンクリ−ト打設用型枠装置におい
て、鉛直方向に配備された軸フレ−ムの上部に、周囲に
水平方向に張り出す架台フレ−ムを設け、この架台フレ
−ムの周縁部には外周フレ−ムを懸吊し、前記軸フレ−
ムと外周フレ−ムとの間に構造物躯体のコンクリ−ト打
設空間を設けて構成したメインフレ−ムと、前記軸フレ
−ム内に昇降自在に収納した、軸フレ−ムより全長の長
い昇降フレ−ムと、前記昇降フレ−ムの昇降手段と、前
記軸フレ−ム及び外周フレ−ムの下端部に水平方向に配
備した作業足場と、前記コンクリ−ト打設空間内に対向
させて鉛直方向に配備したコンクリ−ト打設用型枠とよ
りなることを特徴とした、自昇式型枠装置を提供する。

【０００７】また、請求項２として、請求項１に記載の
自昇式型枠装置において、前記昇降フレ−ムの昇降手段
は、昇降フレ−ムに沿って鉛直方向に張設したワイヤ−
と、このワイヤ−を貫通させて前記メインフレ−ムに固
定したセンタ−ホ−ルジャッキとよりなることを特徴と
した、自昇式型枠装置である。

【０００８】また、請求項３として、請求項１又は２に
記載の自昇式型枠装置において、前記軸フレ−ム下端部
の作業足場には、構造物躯体内面の補修用足場を懸吊し
たことを特徴とする、自昇式型枠装置である。

【０００９】また、請求項４として、請求項１乃至３の
いずれかに記載の自昇式型枠装置の上昇方法において、
前記昇降フレ−ムを上昇させて前記軸フレ−ムの上端か
ら突出させ、昇降フレ−ムの下端を、軸フレ−ムの下端
が既に係止されている構造物躯体内面に取り付けたブラ
ケットに係止する工程と、前記昇降フレ−ムをガイドと
して前記メインフレ−ムを上昇させ、メインフレ−ムの
下端を前記ブラケットの上方に取り付けたブラケットに
係止する工程とを繰り返して行うことを特徴とした、自
昇式型枠装置の上昇方法である。

【００１０】さらに、請求項５として、請求項４に記載
の自昇式型枠装置の上昇方法において、前記昇降フレ−
ムを上昇させた後に、前記補修用足場より使用済みの前
記ブラケットの撤去作業を行うことを特徴とした、自昇
式型枠装置の上昇方法である。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の一実施の形態について説明する。 ＜イ＞自昇式型枠装置の構造（図１） （１）メインフレ−ム メインフレ−ム100 は、鉛直方向に配備された軸フレ−
ム110 の上部に、周囲に水平方向に張り出す架台フレ−
ム120 を設け、この架台フレ−ム120 の周縁部には外周
フレ−ム130 を懸吊し、前記軸フレ−ム110 と外周フレ
−ム130 との間に構造物躯体200 のコンクリ−ト打設空
間140 を設けて構成されている。

【００１２】軸フレ−ム110 の構造は、例えば、鉛直方
向に配した４本の中空の鞘管111 と、それらを横方向に
連結する横材112 及び斜め方向に連結する補強材113 と
により、角柱状に形成するものが考えられる。

【００１３】（２）昇降フレ−ム 昇降フレ−ム300 は、軸フレ−ム110 内に昇降自在に収
納され、軸フレ−ム110 より長い全長を有している。具
体的には、軸フレ−ム110 の４隅の鞘管111 内に昇降自
在に収納される縦材301 と、これらの縦材301 の上端部
間を連結する上部横材302 、下端部間を連結する下部横
材303 とより構成される。上部横材302と下部横材303
が軸フレ−ム110 の上下端部に衝合するため、昇降フレ
−ム300は軸フレ−ム110 内から抜け出ることはない。

【００１４】（３）昇降フレ−ムの昇降手段 昇降フレ−ム300 の昇降手段は、昇降フレ−ム300 の各
縦材301 に沿って鉛直方向に張設し、両端を昇降フレ−
ム300 に固定したワイヤ−400 と、このワイヤ−400 を
貫通させて架台フレ−ム120 上に固定したセンタ−ホ−
ルジャッキ401とよりなる。センタ−ホ−ルジャッキ401
によりワイヤ−400 を昇降させることによって、架台
フレ−ム120 に反力を取って昇降フレ−ム300 のみを昇
降させることができる。

【００１５】（４）作業足場 作業足場は、軸フレ−ム110 及び外周フレ−ム130 の下
端部にそれぞれ水平方向に配備した内側作業足場500 と
外側作業足場501 とよりなる。これらの作業足場上で型
枠の組立・解体作業や、コンクリ−トの打設作業等を行
う。

【００１６】（５）型枠 コンクリ−ト打設空間140 内には、コンクリ−ト打設用
型枠600 を対向させて鉛直方向に配備する。型枠600 は
構造物躯体の形状に合わせてその内外面に沿って配置さ
れる。

【００１７】（６）補修用足場 内側作業足場500 には、構造物躯体内面の補修用足場50
2 を懸吊する。この足場上では使用済みのブラケットの
撤去を行う。なお、構造物躯体表面の仕上げ用足場503
を、外側作業足場501 に懸吊してもよい。

【００１８】＜ロ＞型枠装置の上昇方法（図２〜５） （１）コンクリ−ト打設・養生 図２は、昇降フレ−ム300 の下端の下部横材303 を、構
造物躯体200 の内面に取り付けたブラケット700aに係止
し、メインフレ−ム100 は上昇させた状態で、軸フレ−
ム110 の下端の内側作業足場500 を、ブラケット700 ａ
の上部に設けたブラケット700 b 上に係止した状態を示
している。

【００１９】そして、この状態で型枠600 間にコンクリ
−ト800 を打設し、次段階の鉄筋801 を組立てて、コン
クリ−トの養生を待つ。なお、コンクリ−ト800 中の躯
体内面側には、ブラケットを取り付けるためのアンカ−
部材802 を予め埋設しておく。

【００２０】（２）型枠脱型・昇降フレ−ム上昇 コンクリ−ト800 の養生後、図３に示すように、型枠60
0 を脱型する。また、センタ−ホ−ルジャッキ401 によ
りワイヤ−400 を上方に送り、昇降フレ−ム300 のみを
上昇させる。そして、昇降フレ−ム300 の下端の下部横
材303 を、軸フレ−ム110 の下端の内側作業足場500 が
既に係止されているブラケット700bに係止する。

【００２１】なお、図５に示すように、各ブラケットは
一対の板体701 を対向させた構造等からなる。そして、
内側作業足場500 はそれらの板体701 の上部に組み付け
られて係止され、下部横材303 はそれらの板体701 間に
嵌め込まれ、その下部をピン穴702 及び304 内に貫通さ
せた係止ピン703 により支持することによって係止され
る。昇降フレ−ム300 を上昇させる時は係止ピン703 は
抜いた後に行う。

【００２２】（３）ブラケットの撤去 昇降フレ−ム300 を上昇させた後は、下方のブラケット
700aは不要となるため、補修用足場502 上から撤去作業
を行う。この場合の撤去作業は、躯体表面ほど念入りに
する必要がないため、迅速かつ容易に行える。

【００２３】（４）メインフレ−ムの上昇 図４に示すように、センタ−ホ−ルジャッキ401 により
ワイヤ−400 を上方によじ登るようにして、昇降フレ−
ム300 をガイドとしてメインフレ−ム100 、内外作業足
場500 、501 、型枠600 を同時に上昇させる。内側作業
足場500 が次段階のブラケット取付け用アンカ−部材80
2 の上部まで来たら、撤去した下段のブラケット700aを
アンカ−部材802 に取付け、内側作業足場500 をその上
に組み付ける。

【００２４】この際に、メインフレ−ム100 の上昇反力
は、コンクリ−トの十分な強度が発現している２段前の
構造物躯体200 に取り付けたブラケット700aにとること
ができる。そして、鉄筋801 、型枠600 を組立てた後
に、型枠600 内にコンクリ−ト800 を打設する。以上の
（１）〜（４）の工程を繰り返して、所定の高さまで構
造物躯体200 の構築を行う。

【００２５】

【発明の効果】以上のように本発明は、型枠上昇用の反
力を、構造物躯体の内面に設けたブラケットに取ること
ができる。従って、構造物躯体内面に取り付けたブラケ
ットの補修は、躯体表面ほど念入りにする必要がないた
め、補修作業を迅速かつ容易に行うことができ、作業能
率の向上及びコストの低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の装置の説明図

【図２】 上昇方法の説明図

【図３】 上昇方法の説明図

【図４】 上昇方法の説明図

【図５】 ブラケットの説明図

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 亀喜 愛知県名古屋市中川区運河町３番３号 株 式会社日衡内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空の塔状コンクリ−ト構造物のコンク
   リ−ト打設用型枠装置において、 鉛直方向に配備された軸フレ−ムの上部に、周囲に水平
   方向に張り出す架台フレ−ムを設け、この架台フレ−ム
   の周縁部には外周フレ−ムを懸吊し、前記軸フレ−ムと
   外周フレ−ムとの間に構造物躯体のコンクリ−ト打設空
   間を設けて構成したメインフレ−ムと、 前記軸フレ−ム内に昇降自在に収納した、軸フレ−ムよ
   り全長の長い昇降フレ−ムと、 前記昇降フレ−ムの昇降手段と、 前記軸フレ−ム及び外周フレ−ムの下端部に水平方向に
   配備した作業足場と、 前記コンクリ−ト打設空間内に対向させて鉛直方向に配
   備したコンクリ−ト打設用型枠とよりなることを特徴と
   した、 自昇式型枠装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の自昇式型枠装置におい
   て、前記昇降フレ−ムの昇降手段は、昇降フレ−ムに沿
   って鉛直方向に張設したワイヤ−と、このワイヤ−を貫
   通させて前記メインフレ−ムに固定したセンタ−ホ−ル
   ジャッキとよりなることを特徴とした、自昇式型枠装
   置。
3. 【請求項３】 請求項１又は２に記載の自昇式型枠装置
   において、前記軸フレ−ム下端部の作業足場には、構造
   物躯体内面の補修用足場を懸吊したことを特徴とする、
   自昇式型枠装置。
4. 【請求項４】 請求項１乃至３のいずれかに記載の自昇
   式型枠装置の上昇方法において、 前記昇降フレ−ムを上昇させて前記軸フレ−ムの上端か
   ら突出させ、昇降フレ−ムの下端を、軸フレ−ムの下端
   が既に係止されている構造物躯体内面に取り付けたブラ
   ケットに係止する工程と、 前記昇降フレ−ムをガイドとして前記メインフレ−ムを
   上昇させ、メインフレ−ムの下端を前記ブラケットの上
   方に取り付けたブラケットに係止する工程とを繰り返し
   て行うことを特徴とした、 自昇式型枠装置の上昇方法。
5. 【請求項５】 請求項４に記載の自昇式型枠装置の上昇
   方法において、前記昇降フレ−ムを上昇させた後に、前
   記補修用足場より使用済みの前記ブラケットの撤去作業
   を行うことを特徴とした、自昇式型枠装置の上昇方法。