JPH09310281A - 改質モノフィラメントおよびその製造法 - Google Patents
改質モノフィラメントおよびその製造法Info
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- JPH09310281A JPH09310281A JP8150357A JP15035796A JPH09310281A JP H09310281 A JPH09310281 A JP H09310281A JP 8150357 A JP8150357 A JP 8150357A JP 15035796 A JP15035796 A JP 15035796A JP H09310281 A JPH09310281 A JP H09310281A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 乾時および湿潤時における直線強力および結
節強力が極めて良好で、かつ撥水性、防水性、滑り性、
防汚性、撥油性、耐摩耗性、耐候性などの性質が改良さ
れたポリアミド製の改質モノフィラメントを提供するこ
と、およびその工業的に有利な製造法を提供することを
目的とする。 【解決手段】 数平均分子量10000〜25000の
ポリアミド(A) と、数平均分子量30000以上のポリ
アミド(B) と、微量のフッ素系樹脂(C) との樹脂組成物
を溶融成形してモノフィラメントを得、ついで得られた
モノフィラメントをフッ素系樹脂(C) の分散液と接触さ
せる。得られた改質モノフィラメントにあっては、微量
のフッ素系樹脂(C) が、内部側が疎で表面側が密となる
ように疎密状態に分布している。
節強力が極めて良好で、かつ撥水性、防水性、滑り性、
防汚性、撥油性、耐摩耗性、耐候性などの性質が改良さ
れたポリアミド製の改質モノフィラメントを提供するこ
と、およびその工業的に有利な製造法を提供することを
目的とする。 【解決手段】 数平均分子量10000〜25000の
ポリアミド(A) と、数平均分子量30000以上のポリ
アミド(B) と、微量のフッ素系樹脂(C) との樹脂組成物
を溶融成形してモノフィラメントを得、ついで得られた
モノフィラメントをフッ素系樹脂(C) の分散液と接触さ
せる。得られた改質モノフィラメントにあっては、微量
のフッ素系樹脂(C) が、内部側が疎で表面側が密となる
ように疎密状態に分布している。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乾時および湿潤時
における直線強度および結節強度が極めて良好で、かつ
撥水性、滑り性、耐摩耗性などの諸性質が改良されたポ
リアミド製の改質モノフィラメントおよびその製造法に
関するものである。
における直線強度および結節強度が極めて良好で、かつ
撥水性、滑り性、耐摩耗性などの諸性質が改良されたポ
リアミド製の改質モノフィラメントおよびその製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】釣糸は、材質から見て、ハリスでは、ポ
リアミド、ポリエステル、フロロカーボン系ポリマーが
用いられている。ミチイトでは、ポリアミド、フロロカ
ーボン系ポリマーが用いられ、一部ポリエステル製のも
のもあり、最近では超高分子量ポリエチレン製のものも
見られる。
リアミド、ポリエステル、フロロカーボン系ポリマーが
用いられている。ミチイトでは、ポリアミド、フロロカ
ーボン系ポリマーが用いられ、一部ポリエステル製のも
のもあり、最近では超高分子量ポリエチレン製のものも
見られる。
【0003】釣糸は、乾時はもとより、湿潤時における
直線強度および結節強度が高いことが要求されるが、従
来の材質の釣糸ではこれらの強度の点でおのずから限界
があった。また釣糸は、水中劣化防止、遠投に際しての
飛距離向上、根ずれ・岩ずれによる損傷を防止するため
に、撥水性、滑り性、耐摩耗性などの諸性質が良いこと
も要求される。
直線強度および結節強度が高いことが要求されるが、従
来の材質の釣糸ではこれらの強度の点でおのずから限界
があった。また釣糸は、水中劣化防止、遠投に際しての
飛距離向上、根ずれ・岩ずれによる損傷を防止するため
に、撥水性、滑り性、耐摩耗性などの諸性質が良いこと
も要求される。
【0004】このうち後者の撥水性、滑り性、耐摩耗性
などの諸性質の改善要求に対しては、ナイロンモノフィ
ラメントを有機ケイ素系樹脂やフッ素系樹脂の分散液と
接触させて表面から樹脂成分を浸透させる方法(たとえ
ば本出願人の出願にかかる特開昭60−224885号
公報)が提案されている。
などの諸性質の改善要求に対しては、ナイロンモノフィ
ラメントを有機ケイ素系樹脂やフッ素系樹脂の分散液と
接触させて表面から樹脂成分を浸透させる方法(たとえ
ば本出願人の出願にかかる特開昭60−224885号
公報)が提案されている。
【0005】また、ポリエステルモノフィラメントに関
しかつ抄紙網等の抄紙用・ろ過布用・コンベアベルト用
のモノフィラメントにかかるものであるが、モノフィラ
メントの防汚性を改善するものとして、ポリエステルモ
ノフィラメントの成形時に有機ケイ素系樹脂(シリコー
ン)を配合して成形する方法(たとえば特開昭60−8
1313号公報)が提案されており、シリコーンをコー
ティングする方法よりも良好な結果が得られるとしてい
る。
しかつ抄紙網等の抄紙用・ろ過布用・コンベアベルト用
のモノフィラメントにかかるものであるが、モノフィラ
メントの防汚性を改善するものとして、ポリエステルモ
ノフィラメントの成形時に有機ケイ素系樹脂(シリコー
ン)を配合して成形する方法(たとえば特開昭60−8
1313号公報)が提案されており、シリコーンをコー
ティングする方法よりも良好な結果が得られるとしてい
る。
【0006】本出願人の出願にかかる特開平2−269
877号公報には、熱可塑性樹脂にフッ素系樹脂または
/および有機ケイ素系樹脂からなる改質樹脂の分散液を
少量内添して成形すると共に、得られた成形物をフッ素
系樹脂または/および有機ケイ素系樹脂からなる改質樹
脂の分散液と接触させることにより、成形物の内部側が
疎で表面側が密となるように成形物中に改質樹脂が疎密
状態に分布しているモノフィラメントなどの成形物を製
造する方法が示されている。
877号公報には、熱可塑性樹脂にフッ素系樹脂または
/および有機ケイ素系樹脂からなる改質樹脂の分散液を
少量内添して成形すると共に、得られた成形物をフッ素
系樹脂または/および有機ケイ素系樹脂からなる改質樹
脂の分散液と接触させることにより、成形物の内部側が
疎で表面側が密となるように成形物中に改質樹脂が疎密
状態に分布しているモノフィラメントなどの成形物を製
造する方法が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】モノフィラメントの成
形時に有機ケイ素系樹脂を配合して成形する方法は、該
樹脂の添加量が少ないときには期待するほどの撥水性、
滑り性、耐摩耗性などの諸性質の改善効果が得られず、
一方これらの性質が発現するほどに該樹脂の添加量を増
すと、成形操作が困難になるのみならず、製品モノフィ
ラメントの強度が低下して糸切れを生じやすいという問
題が生ずる。
形時に有機ケイ素系樹脂を配合して成形する方法は、該
樹脂の添加量が少ないときには期待するほどの撥水性、
滑り性、耐摩耗性などの諸性質の改善効果が得られず、
一方これらの性質が発現するほどに該樹脂の添加量を増
すと、成形操作が困難になるのみならず、製品モノフィ
ラメントの強度が低下して糸切れを生じやすいという問
題が生ずる。
【0008】この点、モノフィラメントを有機ケイ素系
樹脂やフッ素系樹脂の分散液と接触させてモノフィラメ
ント表面から樹脂成分を浸透させる方法は、モノフィラ
メントの強度を低下させずに撥水性、滑り性、耐摩耗性
などの諸性質を付与することができるが、モノフィラメ
ントに対する分散液の浸透が必ずしも充分になされない
上、浸透させた樹脂成分が実際の使用時に失われやす
く、持続性が不足する傾向があった。
樹脂やフッ素系樹脂の分散液と接触させてモノフィラメ
ント表面から樹脂成分を浸透させる方法は、モノフィラ
メントの強度を低下させずに撥水性、滑り性、耐摩耗性
などの諸性質を付与することができるが、モノフィラメ
ントに対する分散液の浸透が必ずしも充分になされない
上、浸透させた樹脂成分が実際の使用時に失われやす
く、持続性が不足する傾向があった。
【0009】これに対し、特開平2−269877号公
報に開示の方法によれば、モノフィラメントの成形時に
内添したフッ素系樹脂または有機ケイ素系樹脂からなる
改質樹脂が、改質樹脂の分散液との接触に際し分散液中
の改質樹脂のモノフィラメントへの浸透を促進する作用
を示すため、糸強度を低下させることなくモノフィラメ
ントに撥水性、滑り性、耐摩耗性などの諸性質を付与す
ることができるが、この方法によっても、釣糸が従来の
ポリアミド等の樹脂材料でできているときは、乾時およ
び湿潤時における直線強度および結節強度に限界があっ
た。
報に開示の方法によれば、モノフィラメントの成形時に
内添したフッ素系樹脂または有機ケイ素系樹脂からなる
改質樹脂が、改質樹脂の分散液との接触に際し分散液中
の改質樹脂のモノフィラメントへの浸透を促進する作用
を示すため、糸強度を低下させることなくモノフィラメ
ントに撥水性、滑り性、耐摩耗性などの諸性質を付与す
ることができるが、この方法によっても、釣糸が従来の
ポリアミド等の樹脂材料でできているときは、乾時およ
び湿潤時における直線強度および結節強度に限界があっ
た。
【0010】本発明者は、かねてより分子量がたとえば
30000以上というように高いポリアミドに着目し、
これをモノフィラメントとすることによって直線強度お
よび結節強度を向上させることを試みたが、そのような
分子量の高いポリアミドは高価である上に円滑な押出成
形を行いにくく、そのままでは釣糸素材等として用いる
ことができなかった。
30000以上というように高いポリアミドに着目し、
これをモノフィラメントとすることによって直線強度お
よび結節強度を向上させることを試みたが、そのような
分子量の高いポリアミドは高価である上に円滑な押出成
形を行いにくく、そのままでは釣糸素材等として用いる
ことができなかった。
【0011】本発明は、このような背景下において、乾
時および湿潤時における直線強度および結節強度が極め
て良好で、かつ撥水性、防水性、滑り性、防汚性、撥油
性、耐摩耗性、耐候性などの性質が改良されたポリアミ
ド製の改質モノフィラメントを提供すること、およびそ
の工業的に有利な製造法を提供することを目的とするも
のである。
時および湿潤時における直線強度および結節強度が極め
て良好で、かつ撥水性、防水性、滑り性、防汚性、撥油
性、耐摩耗性、耐候性などの性質が改良されたポリアミ
ド製の改質モノフィラメントを提供すること、およびそ
の工業的に有利な製造法を提供することを目的とするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の改質モノフィラ
メントは、数平均分子量10000〜25000のポリ
アミド(A) と、数平均分子量30000以上のポリアミ
ド(B) と、微量のフッ素系樹脂(C) との樹脂組成物から
成形されたモノフィラメントであって、フッ素系樹脂
(C) がそのモノフィラメントの内部側が疎で表面側が密
となるように疎密状態に分布していることを特徴とする
ものである。
メントは、数平均分子量10000〜25000のポリ
アミド(A) と、数平均分子量30000以上のポリアミ
ド(B) と、微量のフッ素系樹脂(C) との樹脂組成物から
成形されたモノフィラメントであって、フッ素系樹脂
(C) がそのモノフィラメントの内部側が疎で表面側が密
となるように疎密状態に分布していることを特徴とする
ものである。
【0013】また本発明の改質モノフィラメントの製造
法は、数平均分子量10000〜25000のポリアミ
ド(A) および数平均分子量30000以上のポリアミド
(B)にさらに微量のフッ素系樹脂(C) を含有させた樹脂
組成物を溶融成形することを特徴とするものである。
法は、数平均分子量10000〜25000のポリアミ
ド(A) および数平均分子量30000以上のポリアミド
(B)にさらに微量のフッ素系樹脂(C) を含有させた樹脂
組成物を溶融成形することを特徴とするものである。
【0014】この場合、溶融成形したモノフィラメント
をフッ素系樹脂(C) の分散液と接触させて、モノフィラ
メントの外周にフッ素系樹脂(C) を含む被覆層を形成さ
せることが特に好ましい。
をフッ素系樹脂(C) の分散液と接触させて、モノフィラ
メントの外周にフッ素系樹脂(C) を含む被覆層を形成さ
せることが特に好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0016】ここで数平均分子量Mは、メタクレゾール
を溶媒として用いて25℃で測定した固有粘度[η]か
ら、M=14110[η]1.369 の関係式により求めた
ものであると定義する。
を溶媒として用いて25℃で測定した固有粘度[η]か
ら、M=14110[η]1.369 の関係式により求めた
ものであると定義する。
【0017】本発明においては、モノフィラメントのマ
トリックスを構成する素材樹脂として、数平均分子量1
0000〜25000のポリアミド(A) と、数平均分子
量30000以上のポリアミド(B) とを用いる。
トリックスを構成する素材樹脂として、数平均分子量1
0000〜25000のポリアミド(A) と、数平均分子
量30000以上のポリアミド(B) とを用いる。
【0018】前者のポリアミド(A) としては、釣糸用モ
ノフィラメント素材として従来より使われているナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体などが
用いられる。
ノフィラメント素材として従来より使われているナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体などが
用いられる。
【0019】ポリアミド(A) の数平均分子量は、100
00〜25000、好ましくは15000〜24000
の範囲から選ばれる。数平均分子量が上記の範囲よりも
小さいときはモノフィラメントの強度が不足し、数平均
分子量が上記の範囲よりも大きいときは押出成形性が損
なわれる。
00〜25000、好ましくは15000〜24000
の範囲から選ばれる。数平均分子量が上記の範囲よりも
小さいときはモノフィラメントの強度が不足し、数平均
分子量が上記の範囲よりも大きいときは押出成形性が損
なわれる。
【0020】後者のポリアミド(B) は、分子量の高いポ
リアミドを得る任意の方法によって製造することができ
る。そのような製造法の一例はよく知られている固相重
合である。ポリアミドの固相重合については、たとえ
ば、米国特許第3420804号明細書、米国特許第3
548584号明細書、米国特許第3551548号明
細書、米国特許第3562206号明細書、ヨーロッパ
特許第98616号明細書、特開平1−284525号
公報、特開平1−284526号公報、特開平3−19
3911号公報、特開平5−156568号公報をはじ
めとする多くの文献がある。固相重合のほか、ポリアミ
ドを鎖連結剤と共に溶融混練機中で反応させて高重合度
化する方法もある。たとえば、特公平6−27191号
公報(特開平1−197526号公報)においては2官
能N−アシルラクタム型の鎖連結剤を用い、特開昭61
−171732号公報においてはカルバモイルラクタム
型の鎖連結剤を用い、これらの鎖連結剤をポリアミドに
添加して溶融混練機中で反応させることが記載されてい
る。
リアミドを得る任意の方法によって製造することができ
る。そのような製造法の一例はよく知られている固相重
合である。ポリアミドの固相重合については、たとえ
ば、米国特許第3420804号明細書、米国特許第3
548584号明細書、米国特許第3551548号明
細書、米国特許第3562206号明細書、ヨーロッパ
特許第98616号明細書、特開平1−284525号
公報、特開平1−284526号公報、特開平3−19
3911号公報、特開平5−156568号公報をはじ
めとする多くの文献がある。固相重合のほか、ポリアミ
ドを鎖連結剤と共に溶融混練機中で反応させて高重合度
化する方法もある。たとえば、特公平6−27191号
公報(特開平1−197526号公報)においては2官
能N−アシルラクタム型の鎖連結剤を用い、特開昭61
−171732号公報においてはカルバモイルラクタム
型の鎖連結剤を用い、これらの鎖連結剤をポリアミドに
添加して溶融混練機中で反応させることが記載されてい
る。
【0021】ポリアミド(B) の数平均分子量は3000
0以上、好ましくは35000以上、殊に40000以
上に設定される。上限は80000程度まで、好ましく
は60000程度までである。数平均分子量が3000
0未満ではモノフィラメント強度の向上効果が不足す
る。一方、数平均分子量が許容限度を越えて極端に大き
いときは、上記のポリアミド(A) との併用によっても押
出成形性が損なわれる。
0以上、好ましくは35000以上、殊に40000以
上に設定される。上限は80000程度まで、好ましく
は60000程度までである。数平均分子量が3000
0未満ではモノフィラメント強度の向上効果が不足す
る。一方、数平均分子量が許容限度を越えて極端に大き
いときは、上記のポリアミド(A) との併用によっても押
出成形性が損なわれる。
【0022】フッ素系樹脂(C) としては、ポリテトラフ
ルオロエチレンが特に好適である。そのほか、テトラフ
ルオロエチレンのコポリマー、クロロトリフルオロエチ
レン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライドの
ホモまたはコポリマー、パーフルオロアルキル基を有す
るアクリル共重合体、なども使用できる。
ルオロエチレンが特に好適である。そのほか、テトラフ
ルオロエチレンのコポリマー、クロロトリフルオロエチ
レン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライドの
ホモまたはコポリマー、パーフルオロアルキル基を有す
るアクリル共重合体、なども使用できる。
【0023】本発明においては、まず、上に述べた数平
均分子量10000〜25000のポリアミド(A) およ
び数平均分子量30000以上のポリアミド(B) に、さ
らに微量のフッ素系樹脂(C) を含有させた樹脂組成物を
溶融成形に供する。溶融成形法としては押出成形法が採
用され、押出後は常法により一段または数段階の延伸を
行う。溶融成形に際しては、揮発分を除去するためにベ
ント式の押出機を用いることも望ましい。
均分子量10000〜25000のポリアミド(A) およ
び数平均分子量30000以上のポリアミド(B) に、さ
らに微量のフッ素系樹脂(C) を含有させた樹脂組成物を
溶融成形に供する。溶融成形法としては押出成形法が採
用され、押出後は常法により一段または数段階の延伸を
行う。溶融成形に際しては、揮発分を除去するためにベ
ント式の押出機を用いることも望ましい。
【0024】フッ素系樹脂(C) の含有のさせ方は特に制
限されるものではないが、後述のような分散液の形態で
行うことが有利である。フッ素系樹脂(C) の分散液の配
合にあたっては、予めポリアミド(A), (B)の少なくとも
一方の少なくとも一部に分散液を付着させることが便利
である。
限されるものではないが、後述のような分散液の形態で
行うことが有利である。フッ素系樹脂(C) の分散液の配
合にあたっては、予めポリアミド(A), (B)の少なくとも
一方の少なくとも一部に分散液を付着させることが便利
である。
【0025】樹脂組成物中のポリアミド(A) とポリアミ
ド(B) との合計量に占めるポリアミド(A) の割合は、好
ましくは95〜30重量%、さらに好ましくは90〜4
0重量%、特に好ましくは85〜50重量%、最も好ま
しくは80〜60重量%であり、ポリアミド(B) の割合
は、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10
〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%、最も
好ましくは20〜40重量%である。ポリアミド(A) の
過多、ポリアミド(B) の過少は、モノフィラメントの強
度および撥水性、滑り性、耐摩粍性の不足を招き、ポリ
アミド(A) の過少、ポリアミド(B) の過多は、押出成形
性の不足を招く。
ド(B) との合計量に占めるポリアミド(A) の割合は、好
ましくは95〜30重量%、さらに好ましくは90〜4
0重量%、特に好ましくは85〜50重量%、最も好ま
しくは80〜60重量%であり、ポリアミド(B) の割合
は、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10
〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%、最も
好ましくは20〜40重量%である。ポリアミド(A) の
過多、ポリアミド(B) の過少は、モノフィラメントの強
度および撥水性、滑り性、耐摩粍性の不足を招き、ポリ
アミド(A) の過少、ポリアミド(B) の過多は、押出成形
性の不足を招く。
【0026】溶融成形に供する樹脂組成物中のフッ素系
樹脂(C) の割合は、ポリアミド(A)とポリアミド(B) と
の合計量100重量部に対して好ましくは 0.00001〜
0.1重量部、さらに好ましくは0.0001〜0.05重量部、特
に好ましくは0.0005〜0.01重量部とするのが適当であ
る。フッ素系樹脂(C) の割合が余りに少ないときは、撥
水性、滑り性、耐摩耗性などの諸性質の改善効果が不足
し、フッ素系樹脂(C) の割合が余りに多い時は、得られ
るモノフィラメントの強度の不足を招く。
樹脂(C) の割合は、ポリアミド(A)とポリアミド(B) と
の合計量100重量部に対して好ましくは 0.00001〜
0.1重量部、さらに好ましくは0.0001〜0.05重量部、特
に好ましくは0.0005〜0.01重量部とするのが適当であ
る。フッ素系樹脂(C) の割合が余りに少ないときは、撥
水性、滑り性、耐摩耗性などの諸性質の改善効果が不足
し、フッ素系樹脂(C) の割合が余りに多い時は、得られ
るモノフィラメントの強度の不足を招く。
【0027】このようにして得られたモノフィラメント
にあっては、成形時に樹脂の極性の差および分子量の異
なるポリアミドの成形機内の流動性の差などに起因して
組成物中のフッ素系樹脂(C) が表面側に分布する傾向が
あるので、そのままでも釣糸などのモノフィラメントと
して用いることも可能ではあるが、このモノフィラメン
トをさらにフッ素系樹脂(C) の分散液と接触させて、モ
ノフィラメントの外周にフッ素系樹脂(C) を含む被覆層
を形成させることが特に好ましい。
にあっては、成形時に樹脂の極性の差および分子量の異
なるポリアミドの成形機内の流動性の差などに起因して
組成物中のフッ素系樹脂(C) が表面側に分布する傾向が
あるので、そのままでも釣糸などのモノフィラメントと
して用いることも可能ではあるが、このモノフィラメン
トをさらにフッ素系樹脂(C) の分散液と接触させて、モ
ノフィラメントの外周にフッ素系樹脂(C) を含む被覆層
を形成させることが特に好ましい。
【0028】組成物中に含有させ、またモノフィラメン
ト外周に被覆層を形成させるフッ素系樹脂(C) の分散液
としては、フッ素系樹脂(C) を水または/および有機溶
剤中に分散したものが用いられ、殊に、水を主たる媒体
として用い、必要に応じ適当な量の有機溶剤を併用した
水性分散液がよい。分散液の調製にあたっては、各種の
アニオン系、ノニオン系、カチオン系あるいは両性界面
活性剤を配合して、フッ素系樹脂(C) の均一分散を図る
ことができる。分散液には、そのほか、有機ケイ素系化
合物、ワックス、光沢剤、安定剤、紫外線吸収剤、pH
調節剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調節剤などを配
合することができる。
ト外周に被覆層を形成させるフッ素系樹脂(C) の分散液
としては、フッ素系樹脂(C) を水または/および有機溶
剤中に分散したものが用いられ、殊に、水を主たる媒体
として用い、必要に応じ適当な量の有機溶剤を併用した
水性分散液がよい。分散液の調製にあたっては、各種の
アニオン系、ノニオン系、カチオン系あるいは両性界面
活性剤を配合して、フッ素系樹脂(C) の均一分散を図る
ことができる。分散液には、そのほか、有機ケイ素系化
合物、ワックス、光沢剤、安定剤、紫外線吸収剤、pH
調節剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調節剤などを配
合することができる。
【0029】分散液中の固形分の濃度は 0.2〜70重量
%程度の範囲に設定し、分散液中のフッ素系樹脂(C) の
濃度は 0.2〜50重量%程度の範囲に設定するのが有利
であるが、必ずしもこれらの範囲に限られるものではな
い。モノフィラメント製造後に接触を行う際の接触方法
としては、浸漬法、コーティング法などが採用される。
オンラインで接触できるコーティング法を採用すること
もできる。接触時の分散液の温度は、常温ないし70℃
程度が適当である。接触を加圧または減圧条件下に行う
こともできる。接触を複数回行うこともできる。分散液
に染料を添加して、染色を同時に行うこともできる。
%程度の範囲に設定し、分散液中のフッ素系樹脂(C) の
濃度は 0.2〜50重量%程度の範囲に設定するのが有利
であるが、必ずしもこれらの範囲に限られるものではな
い。モノフィラメント製造後に接触を行う際の接触方法
としては、浸漬法、コーティング法などが採用される。
オンラインで接触できるコーティング法を採用すること
もできる。接触時の分散液の温度は、常温ないし70℃
程度が適当である。接触を加圧または減圧条件下に行う
こともできる。接触を複数回行うこともできる。分散液
に染料を添加して、染色を同時に行うこともできる。
【0030】接触処理後の改質モノフィラメントにあっ
ては、先にも述べたように組成物に含有させたフッ素系
樹脂(C) が成形時に極性の差や分子量の異なるポリアミ
ドの流動性の差などにより表面側に集まりやすい上、表
面側に集まったフッ素系樹脂(C) が、次の接触処理によ
って形成させるフッ素系樹脂(C) を含む被覆層の剥離を
防止し、本発明の効果の永続性を促進することができ
る。
ては、先にも述べたように組成物に含有させたフッ素系
樹脂(C) が成形時に極性の差や分子量の異なるポリアミ
ドの流動性の差などにより表面側に集まりやすい上、表
面側に集まったフッ素系樹脂(C) が、次の接触処理によ
って形成させるフッ素系樹脂(C) を含む被覆層の剥離を
防止し、本発明の効果の永続性を促進することができ
る。
【0031】本発明の改質モノフィラメントは、釣糸
(ハリスやミチイト)として特に有用であり、ラケット
のガット用のモノフィラメントとしても有用である。ま
た、そのモノフィラメントをネットや工業用のフィルタ
ーなどとすることもできる。
(ハリスやミチイト)として特に有用であり、ラケット
のガット用のモノフィラメントとしても有用である。ま
た、そのモノフィラメントをネットや工業用のフィルタ
ーなどとすることもできる。
【0032】〈作用〉本発明の改質モノフィラメント
は、基本的には、数平均分子量10000〜25000
のポリアミド(A) と、数平均分子量30000以上のポ
リアミド(B) と、微量のフッ素系樹脂(C) との樹脂組成
物から成形されたものであるので、ポリアミド(B) によ
り乾時および湿潤時のすぐれた直線強度および結節強度
が得られ、またポリアミド(A) によりポリアミド(B) の
存在にかかわらず円滑な押出成形が可能とされる。
は、基本的には、数平均分子量10000〜25000
のポリアミド(A) と、数平均分子量30000以上のポ
リアミド(B) と、微量のフッ素系樹脂(C) との樹脂組成
物から成形されたものであるので、ポリアミド(B) によ
り乾時および湿潤時のすぐれた直線強度および結節強度
が得られ、またポリアミド(A) によりポリアミド(B) の
存在にかかわらず円滑な押出成形が可能とされる。
【0033】加えて、この改質モノフィラメントにあっ
ては、フッ素系樹脂(C) の組成物中の含有量を少なくで
きるので、成形操作に支障を与えず、強度にもほとんど
影響を与えない。またフッ素系樹脂(C) が、モノフィラ
メントの内部側が疎で表面側が密となるように疎密状態
に分布しているので、表面側のフッ素系樹脂(C) は内部
側のフッ素系樹脂(C) の存在により引き寄せられて容易
には消失せず、また過酷な条件下での使用(たとえば水
中での使用)によりたとえ表面側のフッ素系樹脂(C) が
徐々に失われることがあっても、それに応じて内部側の
フッ素系樹脂(C) が表面側に移行し、効果が永続する。
つまり、表面側に密に分布しているフッ素系樹脂(C) と
内部側に疎に分布しているフッ素系樹脂(C) とは互いに
連係作用を示し、両者の協力関係により効果の永続性が
保たれる。さらに、モノフィラメト外周にフッ素系樹脂
(C) を含む被覆層を形成させることによって、その効果
が促進される。そのため、改質モノフィラメントは、撥
水性、防水性、滑り性、防汚性、撥油性、耐摩耗性、耐
侯性が良好である。このように、本発明の改質モノフィ
ラメントは、本質的にはポリアミド系のモノフィラメン
トであるにかかわらず、表面のみにフロロカーボン系ポ
リマーライクな性質が付与されている。
ては、フッ素系樹脂(C) の組成物中の含有量を少なくで
きるので、成形操作に支障を与えず、強度にもほとんど
影響を与えない。またフッ素系樹脂(C) が、モノフィラ
メントの内部側が疎で表面側が密となるように疎密状態
に分布しているので、表面側のフッ素系樹脂(C) は内部
側のフッ素系樹脂(C) の存在により引き寄せられて容易
には消失せず、また過酷な条件下での使用(たとえば水
中での使用)によりたとえ表面側のフッ素系樹脂(C) が
徐々に失われることがあっても、それに応じて内部側の
フッ素系樹脂(C) が表面側に移行し、効果が永続する。
つまり、表面側に密に分布しているフッ素系樹脂(C) と
内部側に疎に分布しているフッ素系樹脂(C) とは互いに
連係作用を示し、両者の協力関係により効果の永続性が
保たれる。さらに、モノフィラメト外周にフッ素系樹脂
(C) を含む被覆層を形成させることによって、その効果
が促進される。そのため、改質モノフィラメントは、撥
水性、防水性、滑り性、防汚性、撥油性、耐摩耗性、耐
侯性が良好である。このように、本発明の改質モノフィ
ラメントは、本質的にはポリアミド系のモノフィラメン
トであるにかかわらず、表面のみにフロロカーボン系ポ
リマーライクな性質が付与されている。
【0034】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「部」、「%」とあるのは、重量基準で表わし
たものである。
る。以下「部」、「%」とあるのは、重量基準で表わし
たものである。
【0035】実施例1 数平均分子量58000のポリアミド(B) (ナイロン6
/66共重合体由来のもの)のペレット25部を混合機
に入れ、ポリテトラフルオロエチレン30%、添加剤
(フッ素系誘導体、界面活性剤、粘度調節剤、パラフィ
ン系中沸点溶剤)4%および水66%の組成を有するフ
ッ素系樹脂(C) の水性分散液 0.005部を噴霧した後、混
合した。
/66共重合体由来のもの)のペレット25部を混合機
に入れ、ポリテトラフルオロエチレン30%、添加剤
(フッ素系誘導体、界面活性剤、粘度調節剤、パラフィ
ン系中沸点溶剤)4%および水66%の組成を有するフ
ッ素系樹脂(C) の水性分散液 0.005部を噴霧した後、混
合した。
【0036】上記操作によりフッ素系樹脂(C) が付着し
たポリアミド(B) のペレット25部と、数平均分子量2
2000のポリアミド(A) (ナイロン6/66共重合
体)のペレット75部とを混合し、押出機に供給して溶
融混練し、ダイからストランド状に押し出し、ついで常
法により数段階の延伸を行って、直径 0.235mm(2号)
の釣糸用モノフィラメントを得た。
たポリアミド(B) のペレット25部と、数平均分子量2
2000のポリアミド(A) (ナイロン6/66共重合
体)のペレット75部とを混合し、押出機に供給して溶
融混練し、ダイからストランド状に押し出し、ついで常
法により数段階の延伸を行って、直径 0.235mm(2号)
の釣糸用モノフィラメントを得た。
【0037】続いて、このモノフィラメントを走行させ
る間に、ポリテトラフルオロエチレン3%、添加剤(フ
ッ素系誘導体、界面活性剤、粘度調節剤、パラフィン系
中沸点溶剤)12%および水85%の組成を有する温度
40〜45℃のフッ素系樹脂(C) の水性分散液の槽中を
通した後、不織布に接当させて表面に付着している分散
液を拭き取り、温度60〜70℃の熱風乾燥機中を通過
させて乾燥した。
る間に、ポリテトラフルオロエチレン3%、添加剤(フ
ッ素系誘導体、界面活性剤、粘度調節剤、パラフィン系
中沸点溶剤)12%および水85%の組成を有する温度
40〜45℃のフッ素系樹脂(C) の水性分散液の槽中を
通した後、不織布に接当させて表面に付着している分散
液を拭き取り、温度60〜70℃の熱風乾燥機中を通過
させて乾燥した。
【0038】得られた改質モノフィラメントの断面を染
色して顕微鏡で観察したところ、フッ素系樹脂(C) が、
成形物の内部側が疎で表面側が密となる疎密状態に分布
していた。さらにそのモノフィラメト外周には、フッ素
系樹脂(C) を含む被覆層が形成されていた。この改質モ
ノフィラメントの乾時の直線強度は11.6g/d 、結節強度
は9.5g/dであった。またこの改質モノフィラメントの水
浸漬時の結節強度保持率は、後述の図1の通りであっ
た。この改質モノフィラメントの滑り性、防汚性、耐摩
耗性は、後述の比較例1および2のモノフィラメントに
比し明らかに向上していた。
色して顕微鏡で観察したところ、フッ素系樹脂(C) が、
成形物の内部側が疎で表面側が密となる疎密状態に分布
していた。さらにそのモノフィラメト外周には、フッ素
系樹脂(C) を含む被覆層が形成されていた。この改質モ
ノフィラメントの乾時の直線強度は11.6g/d 、結節強度
は9.5g/dであった。またこの改質モノフィラメントの水
浸漬時の結節強度保持率は、後述の図1の通りであっ
た。この改質モノフィラメントの滑り性、防汚性、耐摩
耗性は、後述の比較例1および2のモノフィラメントに
比し明らかに向上していた。
【0039】比較例1 直径 0.235mm(2号)のナイロン6/66モノフィラメ
ントからなる市販の釣糸を用いた。このモノフィラメン
トの乾時の直線強度は8.5g/d、結節強度は6.8g/dであっ
た。水浸漬時の結節強度保持率は、後述の図1の通りで
あった。なお、市販のほとんどの釣糸用ナイロン系モノ
フィラメント(2号)の乾時の直線強度は 6.0〜9.5g/
d、結節強度は 5.2〜7.5g/dの範囲内にある。
ントからなる市販の釣糸を用いた。このモノフィラメン
トの乾時の直線強度は8.5g/d、結節強度は6.8g/dであっ
た。水浸漬時の結節強度保持率は、後述の図1の通りで
あった。なお、市販のほとんどの釣糸用ナイロン系モノ
フィラメント(2号)の乾時の直線強度は 6.0〜9.5g/
d、結節強度は 5.2〜7.5g/dの範囲内にある。
【0040】比較例2 実施例1のポリアミド(A) のペレットを単独で用いて溶
融押出成形を行うことにより、直径 0.235mm(2号)の
釣糸用モノフィラメントを得た。このモノフィラメント
の乾時の直線強度は8.5g/d、結節強度は6.5g/dであっ
た。水浸漬時の結節強度保持率は、後述の図1の通りで
あった。
融押出成形を行うことにより、直径 0.235mm(2号)の
釣糸用モノフィラメントを得た。このモノフィラメント
の乾時の直線強度は8.5g/d、結節強度は6.5g/dであっ
た。水浸漬時の結節強度保持率は、後述の図1の通りで
あった。
【0041】実施例2 実施例1において、モノフィラメント成形後のフッ素系
樹脂(C) 水性分散液による処理を省略したほかは実施例
1と同様にしてモノフィラメントを成形した。このモノ
フィラメントの乾時の直線強度は 11.6/d 、結節強度は
9.4g/d であって、実施例1の場合と同等であった。水
浸漬時の結節強度保持率は、後述の図1のように比較例
1および2に比しすぐれていた。
樹脂(C) 水性分散液による処理を省略したほかは実施例
1と同様にしてモノフィラメントを成形した。このモノ
フィラメントの乾時の直線強度は 11.6/d 、結節強度は
9.4g/d であって、実施例1の場合と同等であった。水
浸漬時の結節強度保持率は、後述の図1のように比較例
1および2に比しすぐれていた。
【0042】〈湿潤時の結節強力保持率〉実施例1およ
び2で得た改質モノフィラメントおよび比較例1〜2の
モノフィラメントにつき、水浸漬時間と結節強度保持率
との関係を求めた。引張速度は200mm/min、チャック
間距離は200mmとした。結果を図1に示す。図1か
ら、実施例1および2の改質モノフィラメントは湿潤時
の結節強度がすぐれていることがわかる。
び2で得た改質モノフィラメントおよび比較例1〜2の
モノフィラメントにつき、水浸漬時間と結節強度保持率
との関係を求めた。引張速度は200mm/min、チャック
間距離は200mmとした。結果を図1に示す。図1か
ら、実施例1および2の改質モノフィラメントは湿潤時
の結節強度がすぐれていることがわかる。
【0043】実施例3 数平均分子量23000のポリアミド(A) (ナイロン
6)のペレット20部を混合機に入れ、ポリテトラフル
オロエチレン25%、添加剤(界面活性剤、粘度調節
剤、パラフィン系中沸点溶剤)8%および水67%の組
成を有するフッ素系樹脂(C) の水性分散液 0.005部を噴
霧した後、混合した。
6)のペレット20部を混合機に入れ、ポリテトラフル
オロエチレン25%、添加剤(界面活性剤、粘度調節
剤、パラフィン系中沸点溶剤)8%および水67%の組
成を有するフッ素系樹脂(C) の水性分散液 0.005部を噴
霧した後、混合した。
【0044】上記操作によりフッ素系樹脂(C) が付着し
たポリアミド(A) のペレット20部と、フッ素系樹脂
(C) を付着させる前のポリアミド(A) のペレット58部
と、数平均分子量45000のポリアミド(B) (ナイロ
ン6)22部とを混合し、押出機に供給して溶融混練
し、ダイからストランド状に押し出し、ついで常法によ
り数段階の延伸を行って、直径 0.235mm(2号)の釣糸
用モノフィラメントを得た。
たポリアミド(A) のペレット20部と、フッ素系樹脂
(C) を付着させる前のポリアミド(A) のペレット58部
と、数平均分子量45000のポリアミド(B) (ナイロ
ン6)22部とを混合し、押出機に供給して溶融混練
し、ダイからストランド状に押し出し、ついで常法によ
り数段階の延伸を行って、直径 0.235mm(2号)の釣糸
用モノフィラメントを得た。
【0045】続いて、このモノフィラメントを走行させ
る間に、ポリテトラフルオロエチレン3%、添加剤(シ
リコーン系化合物、界面活性剤、パラフィン系中沸点溶
剤)12%および水85%の組成を有する温度40〜4
5℃のフッ素系樹脂(C) の水性分散液の槽中を通した
後、不織布に接当させて表面に付着している分散液を拭
き取り、温度60〜70℃の熱風乾燥機中を通過させて
乾燥した。
る間に、ポリテトラフルオロエチレン3%、添加剤(シ
リコーン系化合物、界面活性剤、パラフィン系中沸点溶
剤)12%および水85%の組成を有する温度40〜4
5℃のフッ素系樹脂(C) の水性分散液の槽中を通した
後、不織布に接当させて表面に付着している分散液を拭
き取り、温度60〜70℃の熱風乾燥機中を通過させて
乾燥した。
【0046】得られた改質モノフィラメントの断面を染
色して顕微鏡で観察したところ、フッ素系樹脂(C) が、
成形物の内部側が疎で表面側が密となる疎密状態に分布
していた。さらにそのモノフィラメト外周には、フッ素
系樹脂(C) を含む被覆層が形成されていた。この改質モ
ノフィラメントの乾時の直線強度は11.1g/d 、結節強度
は 9.2g/d であった。この改質モノフィラメントの水浸
漬時の結節強度保持率を図1に併せて示す。この改質モ
ノフィラメントの滑り性、防汚性、耐摩耗性は、前述の
比較例1および2のモノフィラメントに比し明らかに向
上していた。
色して顕微鏡で観察したところ、フッ素系樹脂(C) が、
成形物の内部側が疎で表面側が密となる疎密状態に分布
していた。さらにそのモノフィラメト外周には、フッ素
系樹脂(C) を含む被覆層が形成されていた。この改質モ
ノフィラメントの乾時の直線強度は11.1g/d 、結節強度
は 9.2g/d であった。この改質モノフィラメントの水浸
漬時の結節強度保持率を図1に併せて示す。この改質モ
ノフィラメントの滑り性、防汚性、耐摩耗性は、前述の
比較例1および2のモノフィラメントに比し明らかに向
上していた。
【0047】実施例4 実施例3において、モノフィラメント成形後のフッ素系
樹脂(C) 水性分散液による処理を省略したほかは実施例
3と同様にしてモノフィラメントを成形した。このモノ
フィラメントの乾時の直線強度は 11.0g/d、結節強度は
9.2g/d であって、実施例3の場合と同等であった。水
浸漬時の結節強度保持率は、図1のように比較例1およ
び2に比しすぐれていた。
樹脂(C) 水性分散液による処理を省略したほかは実施例
3と同様にしてモノフィラメントを成形した。このモノ
フィラメントの乾時の直線強度は 11.0g/d、結節強度は
9.2g/d であって、実施例3の場合と同等であった。水
浸漬時の結節強度保持率は、図1のように比較例1およ
び2に比しすぐれていた。
【0048】
【発明の効果】本発明の改質モノフィラメントは、乾時
および湿潤時の直線強度および結節強度がすぐれている
上、撥水性、防水性、滑り性、防汚性、撥油性、耐摩耗
性、耐侯性などの性質がすぐれており、従って水中劣化
防止、傷付き防止、飛距離延長、あたりの敏感性の点で
好ましく、またそれらの効果が永続するので、釣糸用、
ガット用、その他の用途のポリアミド製のモノフィラメ
ントとして極めて有用である。
および湿潤時の直線強度および結節強度がすぐれている
上、撥水性、防水性、滑り性、防汚性、撥油性、耐摩耗
性、耐侯性などの性質がすぐれており、従って水中劣化
防止、傷付き防止、飛距離延長、あたりの敏感性の点で
好ましく、またそれらの効果が永続するので、釣糸用、
ガット用、その他の用途のポリアミド製のモノフィラメ
ントとして極めて有用である。
【図1】実施例1〜4および比較例1〜2における水浸
漬時間と結節強度保持率との関係を示したグラフであ
る。
漬時間と結節強度保持率との関係を示したグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽我 敏春 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内
Claims (8)
- 【請求項1】数平均分子量10000〜25000のポ
リアミド(A) と、数平均分子量30000以上のポリア
ミド(B) と、微量のフッ素系樹脂(C) との樹脂組成物か
ら成形されたモノフィラメントであって、フッ素系樹脂
(C) がそのモノフィラメントの内部側が疎で表面側が密
となるように疎密状態に分布していることを特徴とする
改質モノフィラメント。 - 【請求項2】樹脂組成物中のポリアミド(A) とポリアミ
ド(B) との合計量に占めるポリアミド(A) の割合が95
〜30重量%で、ポリアミド(B) の割合が5〜70重量
%である請求項1記載の改質モノフィラメント。 - 【請求項3】モノフィラメントの外周にフッ素系樹脂
(C) を含む被覆層が形成されている請求項1または2記
載の改質モノフィラメント。 - 【請求項4】樹脂組成物中のフッ素系樹脂(C) の割合
が、ポリアミド(A) とポリアミド(B)との合計量100
重量部に対して 0.00001〜 0.1重量部である請求項1、
2または3のいずれかに記載の改質モノフィラメント。 - 【請求項5】数平均分子量10000〜25000のポ
リアミド(A) および数平均分子量30000以上のポリ
アミド(B) にさらに微量のフッ素系樹脂(C) を含有させ
た樹脂組成物を溶融成形することを特徴とする改質モノ
フィラメントの製造法。 - 【請求項6】樹脂組成物中のポリアミド(A) とポリアミ
ド(B) との合計量に占めるポリアミド(A) の割合が95
〜30重量%で、ポリアミド(B) の割合が5〜70重量
%である請求項5記載の改質モノフィラメントの製造
法。 - 【請求項7】溶融成形したモノフィラメントをフッ素系
樹脂(C) の分散液と接触させて、モノフィラメントの外
周にフッ素系樹脂(C) を含む被覆層を形成させることを
特徴とする請求項5または6記載の改質モノフィラメン
トの製造法。 - 【請求項8】樹脂組成物中のフッ素系樹脂(C) の割合
が、ポリアミド(A) とポリアミド(B)との合計量100
重量部に対して 0.00001〜 0.1重量部である請求項5、
6または7のいずれかに記載の改質モノフィラメントの
製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8150357A JPH09310281A (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | 改質モノフィラメントおよびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8150357A JPH09310281A (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | 改質モノフィラメントおよびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09310281A true JPH09310281A (ja) | 1997-12-02 |
Family
ID=15495227
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8150357A Pending JPH09310281A (ja) | 1996-05-21 | 1996-05-21 | 改質モノフィラメントおよびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09310281A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004058184A (ja) * | 2002-07-26 | 2004-02-26 | Toray Monofilament Co Ltd | 研磨ブラシ用毛材 |
JP2008266843A (ja) * | 2007-04-23 | 2008-11-06 | Ygk:Kk | ポリオレフィン糸条およびその製造方法 |
JP2020070536A (ja) * | 2018-10-29 | 2020-05-07 | ユニチカ株式会社 | 耐摩耗性に優れた熱可塑性繊維およびその製造方法 |
-
1996
- 1996-05-21 JP JP8150357A patent/JPH09310281A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004058184A (ja) * | 2002-07-26 | 2004-02-26 | Toray Monofilament Co Ltd | 研磨ブラシ用毛材 |
JP2008266843A (ja) * | 2007-04-23 | 2008-11-06 | Ygk:Kk | ポリオレフィン糸条およびその製造方法 |
JP2020070536A (ja) * | 2018-10-29 | 2020-05-07 | ユニチカ株式会社 | 耐摩耗性に優れた熱可塑性繊維およびその製造方法 |
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