JP2912627B2 - 釣り糸用の改質モノフィラメントの製造法 - Google Patents
釣り糸用の改質モノフィラメントの製造法Info
- Publication number
- JP2912627B2 JP2912627B2 JP1088718A JP8871889A JP2912627B2 JP 2912627 B2 JP2912627 B2 JP 2912627B2 JP 1088718 A JP1088718 A JP 1088718A JP 8871889 A JP8871889 A JP 8871889A JP 2912627 B2 JP2912627 B2 JP 2912627B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- monofilament
- fishing line
- aqueous dispersion
- modified
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、釣り現場における遠投性およびその持続性
(繰り返し遠投性)を顕著に改良した釣り糸用の改質モ
ノフィラメントの製造法に関するものである。
(繰り返し遠投性)を顕著に改良した釣り糸用の改質モ
ノフィラメントの製造法に関するものである。
従来の技術 釣り糸は、遠投に際しての飛距離を上げたり、根ずれ
・岩ずれによる損傷を防止したりするために、滑り性、
耐摩耗性等が良いことが望まれる。
・岩ずれによる損傷を防止したりするために、滑り性、
耐摩耗性等が良いことが望まれる。
従来釣り糸としては、ナイロンモノフィラメントが汎
用されており、そのほかポリエステルモノフィラメン
ト、フロロカーボン系ポリマーモノフィラメントなども
使われているが、これらの素材でできた釣り糸自体は滑
り性や耐摩耗性が不足している。
用されており、そのほかポリエステルモノフィラメン
ト、フロロカーボン系ポリマーモノフィラメントなども
使われているが、これらの素材でできた釣り糸自体は滑
り性や耐摩耗性が不足している。
そこで釣り糸に滑り性や耐摩耗性を付与する方法とし
て、釣り糸用のモノフィラメントの成形時に有機ケイ素
系樹脂を配合して成形する方法(たとえば特開昭60−81
313号公報)、釣り糸用のモノフィラメントを有機ケイ
素系樹脂やフッ素系樹脂の分散液と接触させて表面から
樹脂成分を浸透させる方法(たとえば特開昭60−190266
号公報、特開昭60−224885号公報)が提案されている。
て、釣り糸用のモノフィラメントの成形時に有機ケイ素
系樹脂を配合して成形する方法(たとえば特開昭60−81
313号公報)、釣り糸用のモノフィラメントを有機ケイ
素系樹脂やフッ素系樹脂の分散液と接触させて表面から
樹脂成分を浸透させる方法(たとえば特開昭60−190266
号公報、特開昭60−224885号公報)が提案されている。
発明が解決しようとする課題 モノフィラメントの成形時に有機ケイ素系樹脂(ある
いはフッ素系樹脂)等の改質樹脂を配合して成形する方
法は、これらの樹脂の添加量が少ないときには期待する
ほどの滑り性等の改良効果が得られず、一方滑り性等が
発現するほどに改質樹脂の添加量を増すと、成形操作が
困難になるのみならず、製品モノフィラメントの強度が
低下して糸切れを生じやすいという問題が生ずる。
いはフッ素系樹脂)等の改質樹脂を配合して成形する方
法は、これらの樹脂の添加量が少ないときには期待する
ほどの滑り性等の改良効果が得られず、一方滑り性等が
発現するほどに改質樹脂の添加量を増すと、成形操作が
困難になるのみならず、製品モノフィラメントの強度が
低下して糸切れを生じやすいという問題が生ずる。
この点、モノフィラメントを有機ケイ素系樹脂やフッ
素系樹脂の分散液と接触させて表面から樹脂成分を浸透
させる方法は、モノフィラメントの強度を低下させずに
滑り性等を付与することが期待できる。
素系樹脂の分散液と接触させて表面から樹脂成分を浸透
させる方法は、モノフィラメントの強度を低下させずに
滑り性等を付与することが期待できる。
ところが、このような接触法を採用する場合、その浸
透速度は必ずしも速くないので、モノフィラメントを連
続的に上記分散液でコーティングする方法によっては分
散液の浸透が充分になされず、その結果、所期の滑り性
等が得られないか、あるいはたとえ滑り性等が得られて
も、実際に釣り糸に使用すると短時間の使用(たとえば
1日の使用)で効果が消失してしまうという事態を招
く。
透速度は必ずしも速くないので、モノフィラメントを連
続的に上記分散液でコーティングする方法によっては分
散液の浸透が充分になされず、その結果、所期の滑り性
等が得られないか、あるいはたとえ滑り性等が得られて
も、実際に釣り糸に使用すると短時間の使用(たとえば
1日の使用)で効果が消失してしまうという事態を招
く。
所期の滑り性等を付与するためには、モノフィラメン
トを有機ケイ素系樹脂やフッ素系樹脂の分散液の浴に含
浸すると共に、浴温を常温よりはかなり高い温度に設定
し、かつ含浸時間を長くするというバッチ法を採用しな
ければならないが、このことはモノフィラメントをオン
ラインで処理することが難しいことを意味する。
トを有機ケイ素系樹脂やフッ素系樹脂の分散液の浴に含
浸すると共に、浴温を常温よりはかなり高い温度に設定
し、かつ含浸時間を長くするというバッチ法を採用しな
ければならないが、このことはモノフィラメントをオン
ラインで処理することが難しいことを意味する。
本発明は、このような背景下において、釣り現場にお
いてすぐれた遠投性が得られると共に、長時間にわたる
繰り返しの遠投によっても遠投性が低下しがたい釣り糸
用の改質モノフィラメントを製造する方法を提供するこ
とを目的とするものである。
いてすぐれた遠投性が得られると共に、長時間にわたる
繰り返しの遠投によっても遠投性が低下しがたい釣り糸
用の改質モノフィラメントを製造する方法を提供するこ
とを目的とするものである。
課題を解決するための手段 本発明の釣り糸用の改質モノフィラメントの製造法
は、釣り糸製造用の熱可塑性樹脂に、テトラフルオロエ
チレンのホモポリマーまたはコポリマーを含むフッ素系
樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を少量内添
してモノフィラメントに成形すると共に、得られたモノ
フィラメントを、テトラフルオロエチレンのホモポリマ
ーまたはコポリマーを含むフッ素系樹脂を必須成分とす
る改質樹脂の水性分散液と接触させることを特徴とする
ものである。
は、釣り糸製造用の熱可塑性樹脂に、テトラフルオロエ
チレンのホモポリマーまたはコポリマーを含むフッ素系
樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を少量内添
してモノフィラメントに成形すると共に、得られたモノ
フィラメントを、テトラフルオロエチレンのホモポリマ
ーまたはコポリマーを含むフッ素系樹脂を必須成分とす
る改質樹脂の水性分散液と接触させることを特徴とする
ものである。
以下本発明を詳細に説明する。
釣り糸製造用の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、
ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、フロ
ロカーボン系ポリマーなどがあげられる。
ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、フロ
ロカーボン系ポリマーなどがあげられる。
テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリ
マーを含むフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−
エチレン共重合体などがあげられる。
マーを含むフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−
エチレン共重合体などがあげられる。
改質樹脂は、上記特定のフッ素系樹脂を必須成分とす
るものであり、上記特定のフッ素系樹脂と共に、他のフ
ッ素系樹脂(ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロ
トリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリ
デンフルオライド、ポリビニルフルオライド、フッ素系
ゴム等)、有機ケイ素系樹脂(ポリジメチルシリコー
ン、ポリメチルフェニルシリコーン、ポリメチルビニル
シリコーン、ポリメチルフェニルビニルシリコーン、ア
ルキル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーン、エ
ポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、ポリ
エステル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、
メラミン変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等)
などを含んでいてもよい。
るものであり、上記特定のフッ素系樹脂と共に、他のフ
ッ素系樹脂(ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロ
トリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリ
デンフルオライド、ポリビニルフルオライド、フッ素系
ゴム等)、有機ケイ素系樹脂(ポリジメチルシリコー
ン、ポリメチルフェニルシリコーン、ポリメチルビニル
シリコーン、ポリメチルフェニルビニルシリコーン、ア
ルキル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーン、エ
ポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、ポリ
エステル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、
メラミン変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等)
などを含んでいてもよい。
上記特定のフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂
は、水を主たる媒体として用いた水性分散液の形態で、
内添用および接触用に用いられる。
は、水を主たる媒体として用いた水性分散液の形態で、
内添用および接触用に用いられる。
水性分散液の調製にあたっては、各種のアニオン系、
ノニオン系、カチオン系あるいは両性海面活性剤を配合
して改質樹脂を均一に分散させる。水性分散液であって
も適当な量の有機溶剤を併用することが好ましい。界面
活性剤および溶媒を最適なものに設定することにより、
水性分散液中における改質樹脂の均一かつ安定な分散が
図られる上、内添、接触いずれの場合にも、釣り糸用の
モノフィラメント中への改質樹脂の分散、浸透が円滑と
なり、しかも内添した改質樹脂と表面側から浸透した改
質樹脂との相互作用を生ずるようになる。
ノニオン系、カチオン系あるいは両性海面活性剤を配合
して改質樹脂を均一に分散させる。水性分散液であって
も適当な量の有機溶剤を併用することが好ましい。界面
活性剤および溶媒を最適なものに設定することにより、
水性分散液中における改質樹脂の均一かつ安定な分散が
図られる上、内添、接触いずれの場合にも、釣り糸用の
モノフィラメント中への改質樹脂の分散、浸透が円滑と
なり、しかも内添した改質樹脂と表面側から浸透した改
質樹脂との相互作用を生ずるようになる。
水性分散液には、そのほか、ワックス、光沢剤、安定
剤、紫外線吸収剤、pH調節剤、多価アルコール、柔軟
剤、粘度調節剤などを配合することができる。
剤、紫外線吸収剤、pH調節剤、多価アルコール、柔軟
剤、粘度調節剤などを配合することができる。
内添目的、つまり釣り糸製造用の熱可塑性樹脂に上記
改質樹脂の水性分散液を配合して成形に供するときに
は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、上記改質樹脂の水
性分散液を0.0001〜1重量部程度(好ましくは0.0002〜
0.2重量部程度)配合する。
改質樹脂の水性分散液を配合して成形に供するときに
は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、上記改質樹脂の水
性分散液を0.0001〜1重量部程度(好ましくは0.0002〜
0.2重量部程度)配合する。
水性分散液の添加量が余りに少ないときは所期の遠投
性改善効果が得られず、一方水性分散液の添加量が余り
に多いときは、成形性を阻害したり、モノフィラメント
の強度を低下させたりするおそれがある。
性改善効果が得られず、一方水性分散液の添加量が余り
に多いときは、成形性を阻害したり、モノフィラメント
の強度を低下させたりするおそれがある。
水性分散液中の固形分の濃度は0.2〜70重量%の程度
の範囲に設定し、水性分散液中の改質樹脂の濃度は0.2
〜50重量%程度の範囲に設定するのが有利であるが、必
ずしもこの範囲に限られるものではない。
の範囲に設定し、水性分散液中の改質樹脂の濃度は0.2
〜50重量%程度の範囲に設定するのが有利であるが、必
ずしもこの範囲に限られるものではない。
水性分散液の内添にあたっては、予め水性分散液の添
加濃度の高いマスターバッチを作っておき、これを水性
分散液を添加していない熱可塑性樹脂に配合することが
有利である。
加濃度の高いマスターバッチを作っておき、これを水性
分散液を添加していない熱可塑性樹脂に配合することが
有利である。
成形法としては、通常は押出成形法が採用される。押
出成形(マスターバッチ製造のための溶融成形を含む)
に際しては、水性分散液の配合に基く揮発分を除去する
ために、ベント式の押出機や混練機を用いることが望ま
しい。
出成形(マスターバッチ製造のための溶融成形を含む)
に際しては、水性分散液の配合に基く揮発分を除去する
ために、ベント式の押出機や混練機を用いることが望ま
しい。
接触目的、つまり、上記水性分散液を内添して成型し
て得た釣り糸用のモノフィラメントを上記水性分散液と
接触させるときも、水性分散液中の固形分の濃度は0.2
〜70重量%程度の範囲に設定し、水性分散液中の改質樹
脂の濃度は0.2〜50重量%程度の範囲に設定するのが有
利であるが、必ずしもこの範囲に限られるものではな
い。
て得た釣り糸用のモノフィラメントを上記水性分散液と
接触させるときも、水性分散液中の固形分の濃度は0.2
〜70重量%程度の範囲に設定し、水性分散液中の改質樹
脂の濃度は0.2〜50重量%程度の範囲に設定するのが有
利であるが、必ずしもこの範囲に限られるものではな
い。
接触方法としては、含浸法、コーティング法などが採
用される。オンラインで接触できるコーティング法を採
用することもできる点が本発明の特長の一つでもある。
接触後は付着している水性分散液を拭き取ることが望ま
しい。
用される。オンラインで接触できるコーティング法を採
用することもできる点が本発明の特長の一つでもある。
接触後は付着している水性分散液を拭き取ることが望ま
しい。
接触時の水性分散液の温度は、常温ないし70℃程度が
適当である。接触を加圧または減圧条件下に行うことも
できる。
適当である。接触を加圧または減圧条件下に行うことも
できる。
接触を複数回行うこともできる。水性分散液に染料を
添加して、染色を同時に行うこともできる。
添加して、染色を同時に行うこともできる。
作用および発明の効果 上記のようにして得られた釣り糸用の改質モノフィラ
メントにあっては、テトラフルオロエチレンのホモポリ
マーまたはコポリマーを含むフッ素系樹脂を必須成分と
する改質樹脂が、釣り糸用のモノフィラメントの内部側
が疎で表面側が密となるように該モノフィラメント中に
疎密状態に分布している。
メントにあっては、テトラフルオロエチレンのホモポリ
マーまたはコポリマーを含むフッ素系樹脂を必須成分と
する改質樹脂が、釣り糸用のモノフィラメントの内部側
が疎で表面側が密となるように該モノフィラメント中に
疎密状態に分布している。
第1図は本発明の方法により得られる釣り糸用の改質
モノフィラメントの模式的断面図であり、(1)はモノ
フィラメント、散点で示した(2)は改質樹脂異であ
る。(2)のうち(2a)は、モノフィラメント(1)の
内部側の疎に分布した改質樹脂であり、内添した水性分
散液に由来している。(2)のうち(2b)は、モノフィ
ラメント(1)の表面側の密に分布した改質樹脂であっ
て、接触した水性分散液の浸透に由来するものを主と
し、内添した水性分散液に由来するものも加わってい
る。
モノフィラメントの模式的断面図であり、(1)はモノ
フィラメント、散点で示した(2)は改質樹脂異であ
る。(2)のうち(2a)は、モノフィラメント(1)の
内部側の疎に分布した改質樹脂であり、内添した水性分
散液に由来している。(2)のうち(2b)は、モノフィ
ラメント(1)の表面側の密に分布した改質樹脂であっ
て、接触した水性分散液の浸透に由来するものを主と
し、内添した水性分散液に由来するものも加わってい
る。
なお、第2図は内添法によるモノフィラメントの模式
的断面図、第3図は接触法によるモノフィラメントの模
式的断面図である。
的断面図、第3図は接触法によるモノフィラメントの模
式的断面図である。
本発明の釣り糸用のモノフィラメントの製造法によれ
ば、内添量を少なくしているので成形操作に支障を与え
ず、強度にもほとんど影響を与えない。また本発明の方
法により得られる改質モノフィラメントにあっては、滑
り性(遠投性)に直接の影響を与える表面側は、改質樹
脂が密に分布しているので、すぐれた滑り性を備えてい
る。
ば、内添量を少なくしているので成形操作に支障を与え
ず、強度にもほとんど影響を与えない。また本発明の方
法により得られる改質モノフィラメントにあっては、滑
り性(遠投性)に直接の影響を与える表面側は、改質樹
脂が密に分布しているので、すぐれた滑り性を備えてい
る。
そして、水性分散液由来の上記特定のフッ素系樹脂を
必須成分とする改質樹脂がこのような特殊の疎密状態に
分布しているので、表面側の改質樹脂は内部側の改質樹
脂の存在により引き寄せられて容易には消失せず、また
繰り返しの遠投により摩擦の機会が多くなりかつ水面に
ぶつかるときの衝撃や水中での浸漬時間も多くなること
に起因して、たとえ表面側の改質樹脂が徐々に失われる
ことがあっても、それに応じて内部側の改質樹脂が表面
側に移行するので、効果が永続する。つまり、表面側に
密に分布している改質樹脂と内部側に疎に分布している
改質樹脂とは互いに連係作用を示し、両者の協力関係に
より効果の永続性が保たれるのである。
必須成分とする改質樹脂がこのような特殊の疎密状態に
分布しているので、表面側の改質樹脂は内部側の改質樹
脂の存在により引き寄せられて容易には消失せず、また
繰り返しの遠投により摩擦の機会が多くなりかつ水面に
ぶつかるときの衝撃や水中での浸漬時間も多くなること
に起因して、たとえ表面側の改質樹脂が徐々に失われる
ことがあっても、それに応じて内部側の改質樹脂が表面
側に移行するので、効果が永続する。つまり、表面側に
密に分布している改質樹脂と内部側に疎に分布している
改質樹脂とは互いに連係作用を示し、両者の協力関係に
より効果の永続性が保たれるのである。
本発明の方法により得られる釣り糸用の改質モノフィ
ラメントは、すぐれた遠投性を有し、しかもその効果が
長時間にわたる繰り返しの遠投によっても永続するの
で、極めて有用である。繰り返し遠投性が確保されるこ
とは、根ずれや岩ずれによる損傷も防止され、海水への
浸漬によってもモノフィラメントの強度が保たれること
を意味する。
ラメントは、すぐれた遠投性を有し、しかもその効果が
長時間にわたる繰り返しの遠投によっても永続するの
で、極めて有用である。繰り返し遠投性が確保されるこ
とは、根ずれや岩ずれによる損傷も防止され、海水への
浸漬によってもモノフィラメントの強度が保たれること
を意味する。
実 施 例 次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。以下
「部」、「%」とあるのは、重量基準で表わしたもので
ある。
「部」、「%」とあるのは、重量基準で表わしたもので
ある。
〈実施例1、比較例1〜3〉 実施例1(内添+コーティング品) ナイロン6パウダー100部をタンブラーに投入し、そ
の上から下記の組成のフッ添系樹脂水性分散液0.03部を
噴霧した。
の上から下記の組成のフッ添系樹脂水性分散液0.03部を
噴霧した。
タンブラーの雰囲気を170〜180℃に保って約5分間混
合を行い、ついでこの混合物を押出機に供給して溶融混
練し、ダイからストランド状に押し出すと共にペレタイ
ザーに導いてペレット化した。
合を行い、ついでこの混合物を押出機に供給して溶融混
練し、ダイからストランド状に押し出すと共にペレタイ
ザーに導いてペレット化した。
このようにして得られたマスターバッチペレット10部
をナイロン6のナチュラルペレット90部と混合して、常
法により溶融押出および延伸を行い、直径0.28mm(3
号)の釣り糸用のモノフィラメントを成形した。成形性
は極めて良好であった。
をナイロン6のナチュラルペレット90部と混合して、常
法により溶融押出および延伸を行い、直径0.28mm(3
号)の釣り糸用のモノフィラメントを成形した。成形性
は極めて良好であった。
続いて、このモノフィラメントを走行させる間に下記
組成の温度40〜45℃のフッ素系樹脂水性分散液をコーテ
ィングし、不織布に接当させて表面に付着している水性
分散液を拭き取り、温度60〜70℃の熱風乾燥機中を通過
させて乾燥した。
組成の温度40〜45℃のフッ素系樹脂水性分散液をコーテ
ィングし、不織布に接当させて表面に付着している水性
分散液を拭き取り、温度60〜70℃の熱風乾燥機中を通過
させて乾燥した。
得られたモノフィラメントの断面を染色して顕微鏡で
観察したところ、第1図に示したように、改質樹脂が、
成形物の内部側が疎で表面側が密となる疎密状態に分布
していた。
観察したところ、第1図に示したように、改質樹脂が、
成形物の内部側が疎で表面側が密となる疎密状態に分布
していた。
比較例1(無改質品) 直径0.28mmのナイロン6モノフィラメントからなる市
販の釣り糸を用いた。
販の釣り糸を用いた。
比較例2(内添品) 実施例1におけるフッ素系樹脂水性分散液コーティン
グ前のモノフィラメントを用いた。
グ前のモノフィラメントを用いた。
得られたモノフィラメントの断面を染色して顕微鏡で
観察したところ、改質樹脂は第2図に示したように分布
していた。
観察したところ、改質樹脂は第2図に示したように分布
していた。
比較例2(コーティング品) 直径0.28mmのナイロン6モノフィラメントからなる市
販の釣り糸に、実施例1と同様にしてフッ素系樹脂水性
分散液をコーティングした(コーティング後は水性分散
液を拭き取り)。
販の釣り糸に、実施例1と同様にしてフッ素系樹脂水性
分散液をコーティングした(コーティング後は水性分散
液を拭き取り)。
得られたモノフィラメントの断面を染色して顕微鏡で
観察したところ、改質樹脂は第3図に示したように分布
していた。
観察したところ、改質樹脂は第3図に示したように分布
していた。
〈評価方法および結果〉 海釣り歴25年の甲および20年の乙の2名により、下記
の実験を行った。
の実験を行った。
実施例1および比較例1〜3の釣り糸を用い、まずラ
ンダムな順序で地上で各10回遠投して平均飛距離を求め
た。ついで海水に向けてランダムな順序で各10回ずつ計
40回遠投し、最初の1〜10回の平均飛距離と31〜40回の
平均飛距離を測定した。なお実施例1の釣り糸について
は、日を変えてさらに計200回海水に向けての遠投を行
い、最後の20回の平均飛距離を測定した。
ンダムな順序で地上で各10回遠投して平均飛距離を求め
た。ついで海水に向けてランダムな順序で各10回ずつ計
40回遠投し、最初の1〜10回の平均飛距離と31〜40回の
平均飛距離を測定した。なお実施例1の釣り糸について
は、日を変えてさらに計200回海水に向けての遠投を行
い、最後の20回の平均飛距離を測定した。
また、各段階の釣り糸を指で触って、傷のつき具合
を、A:傷なし、B:傷ほぼなし、C:傷あり、D:著しい傷あ
り、の4段階で評価した。
を、A:傷なし、B:傷ほぼなし、C:傷あり、D:著しい傷あ
り、の4段階で評価した。
1.当初品の傷の程度 甲 乙 実施例1 A A 比較例1〜3 A A 2.地上での遠投距離(10回の平均) 甲 乙 実施例1 90m 84m 比較例1 76m 70m 比較例2 76m 71m 比較例3 88m 80m 3.上記2終了後の傷の程度 甲 乙 実施例1 A A 比較例1 A〜B A〜B 比較例2 A〜B A〜B 比較例3 A A 4.海水への遠投距離(1〜10回の平均) 甲 乙 実施例1 89m 82m 比較例1 71m 66m 比較例2 72m 66m 比較例3 80m 74m 5.上記4終了後の傷の程度 甲 乙 実施例1 A A 比較例1 B〜C B〜C 比較例2 B〜C B〜C 比較例3 B B 6.海水への遠投距離(31〜40回の平均) 甲 乙 実施例1 88m 80m 比較例1 65m 57m 比較例2 66m 56m 比較例3 68m 57m 7.上記6終了後の傷の程度 甲 乙 実施例1 A A 比較例1 C C 比較例2 C C 比較例3 B〜C B〜C 8.海水への遠投距離(追加の181〜200回目の平均) 甲 乙 実施例1 84m 74m 9.上記8終了後の傷の程度 甲 乙 実施例1 A〜B A 上記の結果から、実施例1の釣り糸は滑り性がすぐれ
ている上、傷がつきにくく、6日間程度の使用が可能で
あることがわかる。
ている上、傷がつきにくく、6日間程度の使用が可能で
あることがわかる。
これに対し比較例1および2の釣り糸は、滑り性が不
足し、1日程度しか使用できない。一方比較例3の釣り
糸は、使用当初の滑り性は良好であるが、効果の持続性
が不足することがわかる。
足し、1日程度しか使用できない。一方比較例3の釣り
糸は、使用当初の滑り性は良好であるが、効果の持続性
が不足することがわかる。
実施例2〜3 ポリエステルモノフィラメント(実施例2)およびフ
ロロカーボン系ポリマーモノフィラメント(実施例3)
についても、実施例1と同様にしてフッ素系樹脂水性分
散液の内添およびコーティングを行い、水中浸漬後の滑
り性を測定したところ、未改質品、内添品、コーティン
グ品に比し顕著にすぐれた滑り性の持続効果が得られ
た。
ロロカーボン系ポリマーモノフィラメント(実施例3)
についても、実施例1と同様にしてフッ素系樹脂水性分
散液の内添およびコーティングを行い、水中浸漬後の滑
り性を測定したところ、未改質品、内添品、コーティン
グ品に比し顕著にすぐれた滑り性の持続効果が得られ
た。
第1図は本発明の方法により得られる改質モノフィラメ
ントの模式的断面図である。 第2図は内添法によるモノフィラメントの模式的断面図
である。 第3図は接触法によるモノフィラメントの模式的断面図
である。 (1)……モノフィラメント、 (2)……改質樹脂、 (2a)……内部側の疎に分布した改質樹脂、 (2b)……表面側の密に分布した改質樹脂
ントの模式的断面図である。 第2図は内添法によるモノフィラメントの模式的断面図
である。 第3図は接触法によるモノフィラメントの模式的断面図
である。 (1)……モノフィラメント、 (2)……改質樹脂、 (2a)……内部側の疎に分布した改質樹脂、 (2b)……表面側の密に分布した改質樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D01F 6/60 311 D01F 6/62 302E 6/62 302 6/90 311D 6/90 311 6/92 307D 6/92 307 A01K 91/00 F (56)参考文献 特開 昭60−81313(JP,A) 特開 昭60−224874(JP,A) 特開 昭60−224885(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D06M 15/256 D01F 6/00 - 6/96
Claims (1)
- 【請求項1】釣り糸製造用の熱可塑性樹脂に、テトラフ
ルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリマーを含む
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を
少量内添してモノフィラメントに成形すると共に、得ら
れたモノフィラメントを、テトラフルオロエチレンのホ
モポリマーまたはコポリマーを含むフッ素系樹脂を必須
成分とする改質樹脂の水性分散液と接触させることを特
徴とする釣り糸用の改質モノフィラメントの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1088718A JP2912627B2 (ja) | 1989-04-07 | 1989-04-07 | 釣り糸用の改質モノフィラメントの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1088718A JP2912627B2 (ja) | 1989-04-07 | 1989-04-07 | 釣り糸用の改質モノフィラメントの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02269877A JPH02269877A (ja) | 1990-11-05 |
JP2912627B2 true JP2912627B2 (ja) | 1999-06-28 |
Family
ID=13950685
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1088718A Expired - Fee Related JP2912627B2 (ja) | 1989-04-07 | 1989-04-07 | 釣り糸用の改質モノフィラメントの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2912627B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3246026B2 (ja) * | 1992-04-23 | 2002-01-15 | ダイキン工業株式会社 | 撥水撥油性繊維 |
JP4673598B2 (ja) | 2004-10-25 | 2011-04-20 | 株式会社サンライン | 釣糸及びその製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0643644B2 (ja) * | 1983-10-05 | 1994-06-08 | 東レ・モノフィラメント株式会社 | 防汚性ポリエステルモノフィラメント |
JPS60224874A (ja) * | 1984-04-20 | 1985-11-09 | ユニチカ株式会社 | 防汚性合成繊維 |
JPS60224885A (ja) * | 1984-04-21 | 1985-11-09 | 東亜ストリング株式会社 | 釣り糸用の改質ナイロン線条体の製造法 |
-
1989
- 1989-04-07 JP JP1088718A patent/JP2912627B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02269877A (ja) | 1990-11-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH07508059A (ja) | 防曇性を有する親水性組成物 | |
US6706313B1 (en) | Aqueous coating composition and method | |
JP2002530459A (ja) | 繊維強化製品のための高吸収性耐水性コーティング | |
DE4138382A1 (de) | Verfahren zur verbesserung der schmutz- und fleckenresistenz von polyamid- und wollstoffen, so behandelte stoffe, und mittel zur durchfuehrung des verfahrens | |
NO146527B (no) | Innretning med et antall i flukt liggende roerbearbeidelsesstasjoner | |
EP0585312A1 (en) | Soil resistant fibers | |
CA1189750A (en) | Coated polyamide monofilament | |
US2658879A (en) | Acrylonitrile polymers dissolved in solvent mixtures comprising nitromethane and water | |
JP2912627B2 (ja) | 釣り糸用の改質モノフィラメントの製造法 | |
EP1299477A1 (fr) | Compositions polyamides a antistaticite et hydrophilie ameliorees | |
DE1595029A1 (de) | Faserbildende synthetische lineare Polycarbonamide und Verfahren zu deren Herstellung | |
US2404724A (en) | Preparing solutions of polymers | |
US2404727A (en) | Dissolving of polymers | |
JP7076426B2 (ja) | フライフィッシングラインおよびフライフィッシングラインの製造方法 | |
US2404725A (en) | Polymer solutions | |
JPH09310281A (ja) | 改質モノフィラメントおよびその製造法 | |
JPS59112023A (ja) | 高結節強力モノフイラメントの製造方法 | |
JP2005002517A (ja) | 熱可塑性合成繊維の製造方法 | |
US3306955A (en) | Bacteriostatic acrylonitrile polymers | |
JP3605840B2 (ja) | 新規な撥水撥油剤組成物 | |
JPH08112052A (ja) | 釣糸およびその製造方法 | |
CN115262251A (zh) | 一种具有耐洗涤的防蚊水性印花胶浆及其制备方法和应用 | |
Chapurina et al. | Fabrication of antimicrobial viscose materials with antiadhesive properties | |
JPS5898480A (ja) | 繊維布帛の防水加工方法 | |
JPH02251590A (ja) | 表面改質材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |