JPH09310138A - 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート

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JPH09310138A
JPH09310138A JP14665596A JP14665596A JPH09310138A JP H09310138 A JPH09310138 A JP H09310138A JP 14665596 A JP14665596 A JP 14665596A JP 14665596 A JP14665596 A JP 14665596A JP H09310138 A JPH09310138 A JP H09310138A
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layer
aluminum alloy
heat exchanger
brazing sheet
noble
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JP14665596A
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Toshiki Muramatsu
俊樹 村松
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性、特に板厚方向への腐食の進行に対す
る耐食性が優れていて、腐食寿命を従来よりも大幅に延
長させることができ、かつ薄肉化を図ることができる熱
交換器用ブレージングシートを提供する。 【解決手段】 板厚方向に隣り合いかつ電位差が20m
V以上でしかもそれぞれ厚みが1〜30μmの範囲内の
電位的に貴な層および卑な層を1対とし、その貴層−卑
層対を2対以上備えた積層芯材を用い、その積層芯材の
片面もしくは両面にろう材をクラッドした。また積層芯
材として、2対以上の貴層−卑層対にさらに別の補強層
を積層した構成とする。さらには、ろう材が片面側の場
合に、ろう材に対し反対側の面に犠牲防食層をクラッド
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車用
熱交換器のヘッダープレート、ドローンカップ、ラジェ
ータチューブの如き熱交換器のろう付け構造体におい
て、水やフレオンガス等の流体の通路を構成する材料と
して用いられるアルミニウム合金製ブレージングシート
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金からなる芯材の両面も
しくは片面にアルミニウム合金ろう付け用ろう材をクラ
ッドしてなるブレージングシートは、種々のろう付け構
造体に使用されているが、近年は特に自動車用熱交換器
における流体通路を構成するためのろう付け構造体に多
用されるようになっている。なおこの種の自動車用熱交
換器としては、オイルクーラ、インタークーラ、ラジェ
ータ、エアコンのエバポレータやコンデンサ等がある。
【0003】ところで熱交換器に使用されるアルミニウ
ム合金製ブレージングシートの芯材としては、一般にA
l−Mn系合金、Al−Mn−Cu系合金、Al−Mn
−Mg−Cu系合金などの主としてMnを含有するアル
ミニウム合金、具体的にはJIS 3003合金や30
05合金などが使用されており、また高強度ブレージン
グシートの芯材としては、Al−Mg−Si系の695
1合金などが使用されている。一方ろう材としては、一
般にAl−Si系合金、Al−Si−Mg系合金、Al
−Si−Mg−Bi系合金など、主としてSiを添加し
たアルミニウム合金が用いられている。なお従来のブレ
ージングシートとしては、芯材の両面にろう材をクラッ
ドした3層構造、あるいは芯材の片面にろう材をクラッ
ドした2層構造、さらには芯材の一方の片面にろう材
を、他方の片面に犠牲陽極材をクラッドした3層構造が
一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のようなアルミニ
ウム合金製熱交換器のろう付け構造体における流体通路
用材料としては、優れた耐食性が要求されるが、流体通
路としては通路の内外に流体が漏洩しないことが絶対条
件であることから、このような用途における耐食性とし
ては、板厚方向へ腐食が進行しにくいことが最も重視さ
れる。そしてこの場合の腐食寿命としては板厚方向に腐
食が進行して腐食が全板厚を貫通してしまうまでの期間
で評価される。
【0005】従来からこの種の熱交換器用ブレージング
シートの芯材に使用されている3003合金や6951
合金は、比較的耐食性が良好とされてはいるが、自動車
等に使用される熱交換器としては軽量化の要求が一層強
まっており、そのため熱交換器用ブレージングシートと
しても、現状よりもさらに薄肉でも早期に腐食が貫通し
ないような優れた耐食性が望まれている。
【0006】また例えば東南アジアの如く、高温多湿で
しかも酸性雨の降るような地域で使用される自動車向け
の熱交換器用ブレージングシートとしては、従来のブレ
ージングシートでは必ずしも満足できる状況にはなかっ
たのが実情である。
【0007】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、ろう付け後の耐食性が著しく優れ、薄肉化を
図った場合や腐食しやすい環境下においても腐食が早期
に貫通しないような熱交換器用ブレージングシートを提
供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するため、この発明においては、基本的にはブレージン
グシートにおける芯材部分を、電位が貴な層と電位が卑
な層とを1対として貴層と卑層を合計で2対以上有する
積層構造とした。
【0009】具体的には、請求項1の発明の熱交換器用
ブレージングシートは、積層芯材の片面もしくは両面に
アルミニウム合金ろう材がクラッドされており、かつ前
記積層芯材は、その厚み方向の少なくとも一部に、相互
に電位差が20mV以上でかつそれぞれの厚みが1〜3
0μmの範囲内の異種のアルミニウム合金からなる板厚
方向に隣り合う貴層および卑層を1対とする貴層−卑層
対を合計で2対以上有する構成とされていることを特徴
とするものである。
【0010】請求項2の発明の熱交換器用ブレージング
シートは、請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシートにおいて、前記卑層として、Si
量が0.5wt%以下、Fe量が0.5wt%以下、C
u量が0.05wt%以下、Mn量が0.05wt%以
下にそれぞれ規制され、かつAl含有量が99.0%以
上で残部が不可避的不純物よりなる純アルミニウム系合
金が用いられているものである。
【0011】請求項3の発明の熱交換器用ブレージング
シートは、請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシートにおいて、前記貴層として、Si
量が0.5wt%以下、Fe量が0.5wt%以下、C
u量が0.05wt%以下、Mn量が0.05wt%以
下にそれぞれ規制され、かつZn0.05〜0.5wt
%、Mg0.05〜0.5wt%、In0.004〜
0.1wt%、Sn0.004〜0.1wt%、Ga
0.004〜0.1wt%のうちの1種または2種を含
有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミ
ニウ合金が用いられているものである。
【0012】請求項4の発明の熱交換器用ブレージング
シートは、請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシートにおいて、前記貴層として、Mn
0.1〜1.5wt%、Cr0.06〜0.3wt%、
Zr0.06〜0.3wt%、Ti0.06〜0.3w
t%、W0.03〜0.3wt%、Co0.03〜0.
3wt%、Mo0.03〜0.3wt%のうちの1種ま
たは2種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不純物
よりなるアルミニウ合金が用いられているものである。
【0013】請求項5の発明の熱交換器用ブレージング
シートは、請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシートにおいて、前記積層芯材が、前記
2対以上の貴層−卑層対のほか、1対の貴層−卑層対の
厚みより厚いアルミニウム合金からなる補強層を有する
構成とされているものである。
【0014】請求項6の発明の熱交換器用ブレージング
シートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシートにおいて、前記補強層として、M
n0.5〜1.5wt%を含有し、残部がAlおよび不
可避的不純物よりなるアルミニウム合金が用いられてい
るものである。
【0015】請求項7の発明の熱交換器用ブレージング
シートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシートにおいて、前記補強層として、M
n0.5〜1.5wt%を含有し、かつCu0.06〜
0.8wt%、Ti0.06〜0.3wt%、W0.0
3〜0.3wt%、Co0.03〜0.3wt%、Mo
0.03〜0.3wt%のうちから選ばれた1種以上を
含み、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミ
ニウム合金が用いられているものである。
【0016】請求項8の発明の熱交換器用ブレージング
シートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシートにおいて、前記補強層として、M
n0.5〜1.5wt%を含有し、かつMg0.06〜
0.5wt%、Cr0.06〜0.3wt%、Zr0.
03〜0.3wt%のうちから選ばれた1種以上を含
み、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニ
ウム合金が用いられているものである。
【0017】請求項9の発明の熱交換器用ブレージング
シートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム合
金ブレージングシートにおいて、前記補強層として、M
n0.5〜1.5wt%を含有し、かつCu0.06〜
0.8wt%、Ti0.06〜0.3wt%、W0.0
3〜0.3wt%、Co0.03〜0.3wt%、Mo
0.03〜0.3wt%のうちから選ばれた1種以上
と、Mg0.06〜0.5wt%、Cr0.06〜0.
3wt%、Zr0.03〜0.3wt%のうちから選ば
れた1種以上とを含有し、残部がAlおよび不可避的不
純物よりなるアルミニウム合金が用いられているもので
ある。
【0018】請求項10の発明の熱交換器用ブレージン
グシートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム
合金ブレージングシートにおいて、ろう材が積層芯材の
片面にクラッドされており、かつ積層芯材が、前記2対
以上の貴層−卑層対を補強層に対しろう材に近接する側
の片面に積層した構成とされているものである。
【0019】請求項11の発明の熱交換器用ブレージン
グシートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム
合金ブレージングシートにおいて、ろう材が積層芯材の
両面にクラッドされており、かつ積層芯材が、補強層に
対しその両面側にそれぞれ2対以上の貴層−卑層対を積
層した構成とされているものである。
【0020】請求項12の発明の熱交換器用ブレージン
グシートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム
合金ブレージングシートにおいて、ろう材が積層芯材の
両面にクラッドされており、かつ積層芯材が、補強層に
対し一方のろう材に近接する側の片面に2対以上の貴層
−卑層対を積層した構成とされているものである。
【0021】請求項13の発明の熱交換器用ブレージン
グシートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム
合金ブレージングシートにおいて、ろう材が積層芯材の
片面にクラッドされており、かつ積層芯材が、補強層の
両面側にそれぞれ2対以上の貴層−卑層対を積層した構
成とされているものである。
【0022】請求項14の発明の熱交換器用ブレージン
グシートは、請求項5に記載の熱交換器用アルミニウム
合金ブレージングシートにおいて、ろう材が積層芯材の
片面にクラッドされており、かつ積層芯材が、補強層に
対しろう材に近接する側の片面に2対以上の貴層−卑層
対を積層した構成とされ、さらに積層芯材におけるろう
材から離れた側の片面に犠牲防食層が積層されているも
のである。
【0023】
【発明の実施の形態】図1にこの発明のブレージングシ
ートの積層構造の第1の例を示す。この第1の例は、ろ
う材が片面側にのみ存在しかつ補強層を有する場合の代
表的な積層構造例であって、請求項1、請求項5、請求
項10の発明に対応する。
【0024】図1において、板厚方向に隣り合う相対的
に電位が貴な層(貴層)1Aと相対的に電位が卑な層
(卑層)1Bを1対とする貴層−卑層対1が、合計で2
対(したがって貴層1A、卑層1Bのトータルの層数と
しては4層)、相対的に厚い補強層2の片面側に積層さ
れ、これらの2対の貴層−卑層対1および補強層2によ
って積層芯材3が構成されている。そしてその積層芯材
3における片面側、すなわち2対の貴層−卑層対1が位
置する側の面にろう材4がクラッドされて、全体として
ブレージングシートが形成されている。
【0025】ここで、貴層1Aおよび卑層1Bとして
は、相互の電位差が20mV以上であって、かつ厚みが
それぞれ1〜30μmの範囲内の異種のアルミニウム合
金が用いられる。また補強層2の厚みは、要はブレージ
ングシートの芯材として必要な強度を積層芯材3に与え
るべく、貴層−卑層対1で不足する強度を補うように貴
層−卑層対1の厚みよりも厚ければ良く、具体的な厚み
は貴層1Aおよび卑層1Bの厚みとその積層層数に応じ
て厚みを定めれば良いが、通常は100μm以上、望ま
しくは200〜500μm程度とする。なおろう材4の
厚みは、従来の通常のブレージングシートの場合と同様
に30〜90μm程度とすれば良い。
【0026】以上のような図1に示されるブレージング
シートの積層構造例においては、ろう材4の内側に電位
差のある貴層−卑層対1が2対、すなわち2層の貴層1
Aと2層の卑層1Bが交互に積層されているため、ろう
材4の側からの腐食に対して貴層1Aを卑層1Bが両層
間の犠牲陽極効果によって防食し、板厚方向への腐食の
進行が抑制されて、腐食が全板厚貫通に至るまでの寿命
(腐食寿命)が延長される。すなわち、ろう材4側から
腐食が進行しても、隣り合う貴層1Aと卑層1Bとの電
位差によって板厚方向に対し直交する方向(面方向)に
卑層1Bが優先的に層状に腐食され、かつその面方向の
層状腐食は各貴層−卑層対1ごとに順次繰返されるた
め、板厚方向への腐食の進行が遅れ、優れた腐食寿命を
得ることができる。
【0027】一方積層芯材3における補強層2は、熱交
換器用ブレージングシートとして必要な厚み、強度を確
保する役割を果たしている。但しこの補強層2は、後述
する図6の例で示すように、多数対の貴層−卑層対1を
積層することによって芯材に必要な厚み、強度が確保さ
れる場合には省くことも可能である。
【0028】ここで、貴層1Aおよび卑層1Bとして
は、相互の電位差が20mV以上のものを用いなければ
ならず、また貴層1A、卑層1Bの厚みはいずれも1〜
30μmの範囲内とする必要があるが、その理由は次の
通りである。
【0029】すなわち、熱交換器用ブレージングシート
は流体通路に用いられることから、既に述べたように耐
食性は主として板厚方向に孔食が貫通して流体の漏洩が
生じるまでの耐食寿命で評価され、したがって板厚方向
の孔食が進行しにくい場合に耐食性が優れると言うこと
ができる。この発明のブレージングシートの積層構造の
場合、隣り合う貴層1Aと卑層1Bとの電位差が20m
V以上あれば、腐食が生じても犠牲陽極効果によって板
厚方向に対し直交する面方向に優先的に卑層1Bが層状
に腐食され、そのため板厚方向への孔食が進行しにく
く、ブレージングシート全体として板厚方向への腐食が
遅れ、優れた耐食寿命を越えることができるが、貴層1
Aと卑層1Bとの電位差が20mV未満では、上述のよ
うな犠牲陽極効果が充分に得られず、孔食が発生して板
厚方向に腐食が進行し、腐食寿命が短くなってしまう。
したがって貴層1A、卑層1Bの電位差は20mV以上
とする必要がある。
【0030】また卑層1Bの厚みが1μm未満では、犠
牲陽極効果を有していても短時間で卑層全厚みが腐食さ
れてしまい、効果的な犠牲防食を図ることができない。
一方卑層1Bを30μmを越えて厚くしても、犠牲防食
効果は飽和し、また機械的強度の点で問題が生じる。す
なわち卑層1Bとしては、それ自体の耐孔食性が良好で
かつ電位的に卑な合金とするため、純アルミニウムもし
くは純アルミニウム系合金の如く、合金元素を実質的に
含有しないかまたは含有しても極く微量の材料を用いる
のが通常であるが、このような材料は一般に強度が低
く、したがって全板厚に占める卑層の部分の厚み割合を
大きくすれば、機械的な強度が低下してしまう。したが
って卑層1Bの厚みは1〜30μmの範囲内とする必要
がある。
【0031】貴層1Aについては、その厚みが1μm未
満では、卑層1Bの犠牲腐食が完了した場合に直ちに孔
食により貴層1Aが板厚方向へ貫通して腐食され、その
次の卑層(犠牲層)の腐食が始まってしまい、腐食寿命
の充分な延長を図ることができなくなる。一方貴層1A
の厚みを30μmを越えて厚くしても、貴層1A自体は
犠牲防食効果を有しないため腐食寿命の延長にはほとん
ど効果がなく、ブレージングシート全体の厚みの制約を
考慮すれば卑層1Bの合計厚みを厚くした方が腐食寿命
の延長に有効である。したがって貴層1Aの厚みも卑層
1Bと同様に1〜30μmの範囲内とした。
【0032】さらに積層芯材3中における貴層−卑層対
の合計対数は、2対以上とする必要がある。貴層−卑層
対が1対のみの場合、ろう付け時のろうの溶融によるエ
ロージョンによって貴層、卑層が直ちに侵されてしま
い、犠牲防食効果を発揮できなくなるおそれがある。ま
た貴層−卑層対を2対以上設けていることによって、1
対の貴層−卑層対間での電位差による卑層の面方向層状
優先腐食による板厚貫通方向への孔食の進行の抑制が2
回以上繰返されることになり、したがって貴層−卑層対
の対数を増加した方が全体として板厚方向への孔食の進
行抑制効果が大きくなる。したがって犠牲防食による腐
食寿命の延長の信頼性を高め、しかも板厚方向の孔食の
進行の抑制効果を大きくして、腐食寿命を大幅に延長す
るすために、貴層−卑層対の合計を2対以上と定めた。
【0033】なお図1の例では貴層1A、卑層1Bの積
層順序について、ろう材4に貴層1Aが接し、補強層2
の側に卑層1Bが位置するように積層しており、この場
合通常はろう材4の電位がそれに接する貴層1Aの電位
よりも卑となるため、ろう材4に犠牲陽極効果を与える
ことができる。但し、場合によっては逆に卑層1Bがろ
う材4に接するように積層して、ろう材4よりもその内
側の卑層1Bが優先的に腐食するようにしても良い。
【0034】さらに、図1においては、補強層2とろう
材4との間の貴層−卑層対1を2対積層しているが、3
対以上でも良いことはもちろんである。また貴層1A、
卑層1Bのうちいずれか一方の層数を偶数、他方の層数
を奇数として、2.5対あるいは3.5対などとしても
良い。
【0035】図2には、この発明のブレージングシート
の積層構造の第2の例を示す。この第2の例は、ろう材
が両面側に位置しかつ補強層を有する場合の代表的な積
層構造例であって、請求項1、請求項5、請求項11の
発明に対応する。
【0036】図2においては、補強層2の両面側にそれ
ぞれ2対の貴層1−卑層対1が積層されて積層芯材3が
構成され、その積層芯材3の両面側にろう材4がクラッ
ドされ、全体としてブレージングシートが構成されてい
る。このような図2に示される構造例では、両面のろう
材4のそれぞれの内側に各々2対の貴層−卑層対1が接
しているから、一方の面のろう材4の側からの腐食、他
方のろう材4の側の面からの腐食のいずれに対しても図
1の積層構造例と同様な作用効果を得ることができる。
【0037】なお図2の例における各層の厚みは既に図
1について述べたと同様である。なお図2では補強層2
の各片面側につきそれぞれ2対の貴層−卑層対1が設け
られているが、補強層2のいずれか一方の側または両側
の貴層−卑層対を3対以上としても良く、また既に述べ
たように2.5対あるいは3.5対などとしても良い。
また図2の例では卑層1Bがろう材4に接するように配
置されているが、逆に貴層1Aがろう材に接するように
配置することもできる。
【0038】さらに図3には、この発明のブレージング
シートの第3の積層構造例を示す。この図3の例も、図
2の例と同様に両面にろう材が存在しかつ補強層を有す
る場合の積層構造例であり、請求項1、請求項5、請求
項12の発明に対応する。
【0039】図3の例において補強層2の片面に2対の
貴層−卑層対1が積層されて積層芯材3が構成されてお
り、この積層芯材3の両面側に、それぞれろう材4がク
ラッドされて、全体としてブレージングーシートが構成
されている。したがってこの例の場合には、両面側のろ
う材4のうち、片側のろう材の内側にのみ2対の貴層−
卑層対1が存在することになる。このような積層構造例
は、エバポレータの如くフレオンガスなどの腐食性の少
ない流体が内部を流れる場合において、もっぱら外側か
らの腐食に対して耐食性を高めるために用いられる。
【0040】なおこの図3の例の場合も、図1の例と同
様に貴層1A、卑層1Bの対数は2.5対以上であって
も良いことはもちろんであり、また貴層1A−卑層1B
の積層方向(ろう材4に対する位置関係)も逆転できる
ことはもちろんである。
【0041】図4には、この発明のブレージングシート
の積層構造の第4の例を示す。この例は、ろう材が片面
側にのみ存在しかつ補強層を有する場合の積層構造例で
あり、請求項1、請求項5、請求項13の発明に対応す
る。
【0042】図4において、補強層3の一方の面の側に
2対の貴層−卑層対1が積層され、同じく補強層3の他
方の面の側に合計で6層の貴層1Aおよび卑層1Bが交
互に積層(したがって3対の貴層−卑層対1が積層)さ
れて、積層芯材3が構成され、その積層芯材3における
2対の貴層−卑層対1が位置する側にろう材4がクラッ
ドされて、全体としてブレージングシートが形成されて
いる。したがってこの例の場合は、ブレージングシート
におけるろう材4が表面に存在しない側の面にも、貴層
1Aおよび卑層1Bの積層構造が存在することになる。
このような積層構造例は、ラジェータのチューブやヘッ
ダープレートの如く、熱媒体として水を用いる場合に有
効であり、ろう材4に対し反対側の面が水の通路とな
る。この場合、ろう材4側からの腐食のみならず、水に
接する通路側からの腐食に対しても板厚方向の孔食の進
行を抑制し、腐食寿命の延長を図ることができる。なお
ろう材4に対して反対側の貴層−卑層対1は、表面側
(水に接する側)を卑層1Bとする方が耐食性向上には
有利である。
【0043】なおこの図4の例では、補強層2とろう材
4との間は2対の貴層−卑層対1を設けているが、2.
5対以上でも良いことはもちろんであり、またろう材4
が位置しない側の貴層1Aおよび卑層1Bも、図示の3
対に限らず、2対以上の任意の積層数とすることができ
る。
【0044】図5には、この発明のブレージングシート
の第5の積層構造例を示す。この図5の例は、図1に示
される構造例をベースとし、さらに別の犠牲防食層を設
けたものであって、請求項1、請求項5、請求項14の
発明に対応する。
【0045】図5において、補強層2の片面側に2対の
貴層−卑層対1が積層されて積層芯材3が形成され、そ
の積層芯材3における貴層−卑層対1が位置する側の表
面にろう材4がクラッドされ、さらに積層芯材3におけ
る貴層−卑層対1が位置しない側の表面に、後述するよ
うなAl−Zn系合金もしくはAl−Zn−Mg系合金
からなる犠牲防食層5が積層されている。このような図
5の積層構造例は、図4の例と同様に、ラジェータのチ
ューブやヘッダープレートの如く、熱媒体として水を用
いる場合に、水と接触する通路側に犠牲防食層5を設け
た構造として使用するのが適当である。なおこの犠牲防
食層5の厚みは、通常は20〜100μm程度とすれば
良い。
【0046】さらに図6には、この発明のブレージング
シートの第6の積層構造例を示す。この例は、両面側に
ろう材が存在し、かつ補強層を用いていない積層構造例
である。
【0047】図6において、積層芯材3は、13層の貴
層1Aおよび卑層1Bを交互に積層して6.5対の貴層
−卑層対1とした構造とされている。そしてその積層芯
材3の両面にろう材4がクラッドされている。
【0048】このような図6の例は、積層芯材3におけ
る貴層1Aおよび卑層1Bの積層数を多くした場合に有
効である。すなわち、貴層1A、卑層1Bの積層数を多
くした場合には、図1〜図5における補強層2を設けな
くても熱交換器用ブレージングシートとして必要な厚
み、強度を得ることが可能である。
【0049】なお図6のさらに変形例として、図6の構
造における一方の側のろう材4を除去して、片側にのみ
ろう材4が存在する構造とすることもできる。
【0050】さらにこの発明における各層に用いるアル
ミニウム合金について説明する。
【0051】先ず卑層は、貴層との電位差によって優先
的に層状腐食される層であるが、板厚方向の孔食が進行
すれば層状に優先腐食させる効果が得られなくなるか
ら、それ自体の耐食性、特に耐孔食性が優れていること
が必要であり、またもちろん電位が卑であることが必要
である。そこで卑層1Bとしては、例えばAl純度が9
9.0%以上の純アルミニウム、あるいは電位を卑にす
る作用を有する合金元素を少量だけ含有するアルミニウ
ム合金を用いる。具体的には、請求項2に記載したよう
に、Si量が0.5wt%以下、Fe量が0.5wt%
以下、Cu量が0.05wt%以下、Mn量が0.05
wt%以下にそれぞれ規制され、かつAl含有量が9
9.0wt%以上で残部が不可避的不純物よりなる純ア
ルミニウム、あるいは請求項3に記載したように、Si
量が0.5wt%以下、Fe量が0.5wt%以下、C
u量が0.05wt%以下、Mn量が0.05wt%以
下にそれぞれ規制され、かつZn0.05〜0.5wt
%、Mg0.05〜0.5wt%、In0.004〜
0.1wt%、Sn0.004〜0.1wt%、Ga
0.004〜0.1wt%のうちの1種または2種を含
有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミ
ニウム合金が最適である。
【0052】ここで、前述のような卑層の成分組成限定
理由を説明する。
【0053】Al:一般に純アルミニウムの不純物とし
てはFe,Siが代表的であるが、Fe,Siが多けれ
ば孔食が生じやすくなって卑層の腐食が激しくなり、腐
食寿命が短くなるから、アルミニウムの純度は99.0
%以上とする。
【0054】Fe:Feは前述のように孔食を発生しや
すく、特に0.5wt%を越えれば卑層の腐食が激しく
なるから、Feは0.5wt%以下に規制することとし
た。
【0055】Si:SiはFeと化合物を形成して孔食
を発生しやすくするばかりでなく、アルミニウムの電位
を貴にする作用があり、したがってSiは可及的に少な
くすることが望ましい。Siが0.5wt%以下であれ
ばこの発明による所期の性能を損なうことはないから、
Siは0.5wt%以下に規制することとした。
【0056】Cu:Cuはアルミニウムに添加された場
合にその電位を貴にする作用を有し、またCu量が多く
なれば均一な腐食ではなく孔食が発生しやすくなり、腐
食寿命が短くなってしまう。Cuが0.05wt%以下
であればこれらの問題の発生を防止でき、したがってC
u量は0.05wt%以下に規制することとした。
【0057】Mn:Mnはアルミニウムに添加された場
合にその電位を貴にする作用を有するから、Mn量は
0.05wt%以下に規制することとした。
【0058】Zn,Mg,In,Sn,Ga:これらの
元素はいずれもアルミニウムに添加された場合に電位を
卑にする作用を有するため、請求項3の発明の場合に卑
層の合金に添加することとした。しかしながら、Zn,
Mgがそれぞれ0.5%を越えれば、またIn,Sn,
Gaがそれぞれ0.1%を越えれば、電位が卑になり過
ぎて腐食速度が速まり、腐食寿命が逆に短くなってしま
うから、Zn,Mgは0.5%以下、In,Sn,Ga
は0.1%以下に限定した。またこれらの元素のうち、
Zn,In,Sn,Gaは、アルミニウム中での拡散速
度が速いため、ろう付け加熱中に接している隣の貴層に
拡散して貴層の電位を低下させ、貴層と卑層との電位差
を小さくして貴層−卑層の組合せによる犠牲防食効果が
充分に得られなくなり、腐食寿命を短くするおそれがあ
るが、それぞれ上限値以下であればこのような問題が生
じるおそれは少ない。またこれらの元素のうちMgが
0.5wt%を越えて含有されれば、クラッド圧延のた
めの加熱時に表面にMgの酸化皮膜が形成されてクラッ
ド接合性が著しく低下し、クラッド接合が困難となるか
ら、Mgを添加する場合のMg量は0.5wt%以下と
する必要がある。
【0059】一方貴層としては、前述のように卑層より
も20mV以上電位が貴であってしかも卑層の強度の低
さを補うべく高強度を有し、しかもそれ自体の耐食性も
優れたアルミニウム合金を用いれば良い。具体的には、
例えば請求項4に記載したように、前記貴層として、M
n0.1〜1.5wt%、Cr0.06〜0.3wt
%、Zr0.06〜0.3wt%、Ti0.06〜0.
3wt%、W0.03〜0.3wt%、Co0.03〜
0.3wt%、Mo0.03〜0.3wt%のうちの1
種または2種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不
純物よりなるアルミニウム合金を用いることが望まし
い。請求項4における貴層用アルミニウム合金の成分限
定理由は次の通りである。
【0060】Mn:Mnは強度を向上させるとともに耐
孔食性および耐エロージョン性を向上させて、さらには
アルミニウムに添加されてその電位を貴にする作用を有
する。Mnの添加量が0.1wt%未満ではこれらの効
果が少なく、一方1.5wt%を越えて添加してもその
効果が飽和するばかりでなく、圧延性や成形加工性を著
しく損なう。したがってMnの添加量は0.1〜1.5
wt%の範囲内とした。
【0061】Cr,Zr:Cr,Zrの添加もMnと同
様に強度の向上、耐孔食性および耐エロージョン性の向
上に効果があり、また電位を貴にする作用を示す。その
添加量がそれぞれ0.06wt%未満ではこれらの効果
が充分に得られない。一方これらの添加量がそれぞれ
0.3wt%を越えれば、その効果が飽和し、また鋳造
時に巨大な金属間化合物を生成して圧延性や成形性を著
しく低下させる。そこでCr,Zrの添加量はいずれも
0.06〜0.3wt%の範囲内とした。
【0062】Ti:Tiは耐エロージョン性の向上に効
果があるとともに、アルミニウムに添加されて電位を貴
にする作用を有する。Tiの添加量が0.06wt%未
満ではこれらの効果が充分に得られず、一方0.3wt
%を越えればこれらの効果は飽和し、また巨大な金属間
化合物が多量に晶出して圧延性や成形加工性を低下させ
る。したがってTiの添加量は0.06〜0.3wt%
の範囲内とした。
【0063】W,Co,Mo:これらの元素はアルミニ
ウムに添加されてその電位を貴にする効果を有する。こ
れらの元素の添加量がそれぞれ0.03wt%未満では
上記の効果が充分に得られず、一方それぞれ0.3wt
%を越えれば上記の効果が飽和し、また鋳造時に巨大な
金属間化合物を生成して、圧延性や成形加工性を損な
う。そこでW,Co,Moの添加量はそれぞれ0.03
〜0.3wt%の範囲内とした。
【0064】請求項4の発明の場合の貴層は、以上のよ
うな電位を貴にする作用を有する合金元素のうちの1種
または2種以上を含有していれば良い。そのほか通常の
アルミニウム合金においては不可避的不純物としてF
e,Siが含有されるが、FeSiがそれぞれ0.5w
t%を越えて含有されれば孔食が生じて耐食性が低下す
るから、それぞれ0.5wt%以下に規制することが望
ましい。その他の不可避的不純物もそれぞれ0.05w
t%以下に規制することが望ましい。
【0065】さらに図1〜図5の積層構造材の場合は、
積層芯材が、2対以上の貴層−卑層対と補強層とを積層
した構成とされているが、この場合の補強層としては、
基本的には従来一般のブレージングシートに用いられて
いる合金と同様な合金、例えばAl−Mn系合金等を用
いれば良い。具体的な補強層の合金としては、例えば請
求項6に記載したように、Mn0.5〜1.5wt%を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアル
ミニウム合金、あるいは請求項7に記載したように、M
n0.5〜1.5wt%を含有し、かつCu0.06〜
0.8wt%、Ti0.06〜0.3wt%、W0.0
3〜0.3wt%、Co0.03〜0.3wt%、Mo
0.03〜0.3wt%のうちから選ばれた1種以上を
含み、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミ
ニウム合金、あるいは請求項8に記載したように、Mn
0.5〜1.5wt%を含有し、かつMg0.06〜
0.5wt%、Cr0.06〜0.3wt%、Zr0.
03〜0.3wt%のうちから選ばれた1種以上を含
み、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニ
ウム合金、さらには請求項9に記載したように、Mn
0.5〜1.5wt%を含有し、かつCu0.06〜
0.8wt%、Ti0.06〜0.3wt%、W0.0
3〜0.0wt%、Co0.03〜0.3wt%、Mo
0.03〜0.3wt%のうちから選ばれた1種以上
と、Mg0.06〜0.5wt%、Cr0.06〜0.
3wt%、Zr0.03〜0.3wt%のうちから選ば
れた1種以上とを含有し、残部がAlおよび不可避的不
純物よりなるアルミニウム合金などを好適に用いること
ができる。
【0066】これらの請求項6〜請求項9における補強
層用アルミニウム合金の成分組成限定理由について説明
する。
【0067】Mn:Mnは強度を高めるとともに耐孔食
性を向上させる元素であって、補強層の基本的な合金元
素である。Mn含有量が0.5wt%未満ではこれらの
効果が充分に得られず、一方1.5wt%を越えて添加
されれば巨大な金属間化合物が生成されて圧延性や成形
加工性が低下するとともに耐食性が低下し、また粒界腐
食感受性が高くなる。そこでMnは0.5〜1.5wt
%の範囲内とした。
【0068】さらに請求項7、請求項9で規定する補強
層用アルミニウム合金は、耐食性向上のために次のC
u,Ti,W,Co,Moのうちの1種または2種以上
が添加される。
【0069】Cu:Cuは芯材の電位を貴にして耐食性
を向上させるとともに、ろう付け後の強度を高めるため
に有効な元素である。Cu量が0.06wt%未満では
これらの効果が少ない。一方、0.8wt%を越えてC
uを添加すれば自己耐食性が低下し、また粒界腐食が激
しくなって、結果的に耐食性が低下する。そこでCuの
添加量は0.06〜0.8wt%の範囲内に限定した。
【0070】Ti:Tiの添加は電位を貴にするととも
に、ピット状の腐食形態を層状に変化させ、これにより
最大腐食深さを小さくさせて耐食性を向上させるのに有
効である。Tiの添加量が0.06wt%未満ではこれ
らの効果が充分に発揮されず、一方0.3wt%を越え
ればこれらの効果も飽和するため、これ以上添加するの
は経済的でない。またTi量が0.3wt%を越えれば
Al3 Tiの巨大金属間化合物が生成されやすくなって
圧延性や成形加工性が低下する。そこでTiの添加量は
0.06〜〜0.3wt%の範囲内に限定した。
【0071】W:Wの添加も、芯材の電位を貴にすると
ともに、ピット状の腐食形態を層状に変化させて最大腐
食深さを小さくし、これにより耐食性を向上させるため
に有効である。W量が0.03wt%未満ではこれらの
効果が少なく、一方0.3wt%を越えて添加すれば、
巨大金属間化合物を生成して成形性を低下させる。そこ
でWの添加量は0.03〜0.3wt%の範囲内に限定
した。
【0072】Co:Coの添加も、芯材の電位を貴にす
るとともに、ピット状の腐食形態を層状に変化させて最
大腐食深さを低下させることを通じて、耐食性向上に有
効である。Co量が0.03wt%未満ではこれらの効
果が少なく、一方0.5wt%を越えてCoを添加すれ
ば、巨大金属間化合物を生成して成形性を低下させる。
そこでCoの添加量は0.03〜0.3wt%の範囲内
に限定した。
【0073】Mo:Moの添加も、芯材の電位を貴にす
るとともに、ピット状の腐食形態を層状に変化させて最
大腐食深さを低下させることを通じて、耐食性向上に有
効である。Mo量が0.03wt%未満ではこれらの効
果が少なく、一方0.3wt%を越えてMoを添加すれ
ば、巨大金属間化合物を生成して成形性を低下させる。
そこでMo添加量は0.03〜0.3wt%の範囲内に
限定した。
【0074】一方請求項8、請求項9で規定する補強層
用アルミニウム合金は、強度向上のために次のMg,C
r,Zrのうちの1種以上が添加される。
【0075】Mg:Mgはろう付け加熱後の強度を高め
るために最も有効な元素であるが、Mg量が0.06w
t%未満ではその効果は少なく、一方0.5wt%を越
えて添加されれば芯材の電位を卑にして耐食性が低下す
る。そこでMgの添加量は0.06〜0.5wt%の範
囲内とした。
【0076】Cr,Zr:Cr,Zrは、いずれもろう
付け加熱後の強度を高めるために有効な元素であるが、
これらの元素の添加量がそれぞれ0.06%未満ではそ
の効果が少なく、一方0.3wtを越えてこれらの元素
を添加すれば巨大な金属間化合物が生成されて加工性が
低下する。このためCr,Zrの添加量はそれぞれ0.
06〜0.3wt%の範囲内に限定した。
【0077】以上の各元素のほか、不可避的不純物とし
てFe,Siが含有されるのが通常であるが、これらは
一般に耐食性を低下させるところから、可及的に少ない
ことが望ましい。具体的には、Feは0.7wt%以
下、Siは0.6wt%以下が好ましく、より望ましく
はFe0.30wt%以下、Si0.20wt%以下と
する。
【0078】なお図6に示される積層構造例の場合は、
貴層−卑層対の多数対を積層することによって芯材とし
て必要な厚みを確保する構成としており、したがってこ
の場合は積層芯材に上述の補強層を用いていない。この
ように多数対の貴層−卑層対のみを積層する構成は、耐
食性向上の点からは有利であるが、数多くの層をクラッ
ドすることは製造技術上困難なことであり、また通常の
クラッド材製造プロセスでは1回のクラッド圧延でクラ
ッドできる層数が限られるため、多数層をクラッドする
ためにはクラッド圧延を2回以上行なわなければなら
ず、そのため製造コストが増大することもある。そこで
実際上は図1〜図5に示したように2対以上の貴層−卑
層対に厚い補強層を組合せることによってブレージング
シートの芯材として必要な厚みを確保することが望まし
い。
【0079】さらに図5に示される積層構造例に用いら
れる犠牲防食層5は、前述のように通常はラジェータの
チューブやヘッダープレートにおける水と接触する側に
設けるのが一般的であり、この犠牲防食層5は、従来か
ら水側の犠牲層として使用されている合金と同様なもの
を用いれば良い。具体的には、水に対する耐食性の観点
から、7072合金やAl−2%Zn合金などのAl−
Zn系合金、さらには強度向上のためにMgを添加した
Al−Zn−Mg系合金を使用すれば良い。
【0080】一方、各積層構造例におけるろう材として
は、一般のブレージングシートに用いられているものと
同様な合金を用いれば良い。具体的には例えばJIS
Z3263による4343合金、4045合金、404
7合金などのAl−Si系合金、4004合金、4N0
4合金などのAl−Si−Mg系合金、4104合金な
どのAl−Si−Mg−Bi系合金が用いられる。この
ほか、これらの合金にさらにBe,Sr,Sb等を添加
したろう材も用いることができる。さらには、これらの
Al−Si系、Al−Si−Mg系、Al−Si−Bi
系合金にZnもしくはCu系を添加してろう付け温度を
低下させた公知の合金を用いても良い。
【0081】なおまた、各積層構造例におけるろう材の
クラッド率は特に限定せず、具体的にはブレージングシ
ートの板厚によって異なるが、通常は片面当り5〜20
%程度であれば良好なろう付け性を確保することができ
る。
【0082】なおこの発明のブレージングシートの製造
方法としては、通常のクラッド材の製造方法などに用い
られている方法を適用すれば良く、特に限定されるもの
ではない。
【0083】具体的には、例えば各合金材料をそれぞれ
鋳造して、必要に応じて均熱処理を施してから熱間圧延
を行なって所定の板厚とするか、あるいは熱間圧延を行
なわずに面削のみによって所定の厚さとし、その後各板
を重ね併せて熱間圧延によりクラッド圧延を行ない、必
要に応じて中間焼鈍を施してから冷間圧延を行なって最
終板厚とすれば良く、また冷間圧延の中途で必要に応じ
て中間焼鈍を行なったり、また最終の冷間圧延後に必要
に応じて最終焼鈍を施しても良い。ここで、鋳造方法と
しては一般的な半連続鋳造法を用いれば良い。また鋳造
後には、貴層や補強層については溶融ろうによる耐エロ
ージョン性を考慮して、均熱処理を行なうことが望まし
く、この場合の均熱温度としては450〜620℃が適
当であるが、耐エロージョン性をより向上させるために
は高い温度で均熱処理を施すことが望ましい。クラッド
圧延は、前述のように熱間圧延を適用するのが通常であ
るが、積層数が多い場合には2回以上のクラッド圧延を
組合せても良いことはもちろんである。なおクラッド圧
延時には接合性を良好にするため、事前にクラッド合せ
面について酸洗もしくはアルカリ洗、溶剤脱脂などによ
って酸化皮膜の除去や脱脂を行ない、表面を清浄化して
おくことが望ましい。最終のテンパー状態は、ブレージ
ングシートを用いる熱交換器部品の種類や熱交換器の用
途などによって定めれば良いが、例えばエバポレータ用
コアプレートの場合はプレス成形を行なうためにO材
(完全焼鈍材)とする必要があり、またラジェータのチ
ューブ材では通常はH1nの加工材が使用されるなど、
それぞれのテンパー状態に応じて冷間圧延、焼鈍の有
無、焼鈍の条件などを定めれば良い。
【0084】
【実施例】
実施例1 表1に示される合金No.1〜No.11を、表2、表
3の積層板符号A〜Sに示すようにクラッドしたブレー
ジングシートを用い、それぞれエバポレータ用コアプレ
ートをシュミレートしたミニコアプレートを製作した。
なお表2、表3においては、卑層をW、貴層をX、補強
層をY、ろう材をZとし、これらの符号を用いて積層順
序を示している。また各層のクラッド率、厚みを併せて
示す。
【0085】各ミニコアプレートに対し、ASTM G
35に準拠してSWAAT腐食試験を行なった。なおこ
のSWAAT腐食試験では、貴層−卑層対が積層されて
いる側(表2、表3中の「組合せ順」における左側)を
外側として、その面に腐食液がかかるようにして外部腐
食試験を行ない、板厚方向に腐食が貫通するまでの腐食
寿命を調べた。その結果を表4に示す。また表4には、
卑層、貴層の各電位、および両層の電位差を併せて示
す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】表4において、積層板符号Aは貴層−卑層
対を持たない従来の一般的な両面ろう材クラッドのブレ
ージングシート(現行材)であり、これと比較して本発
明例(積層板符号C〜F,K〜M,Q〜S)の場合は腐
食寿命が著しく延長されていることが明らかである。な
お積層板符号Bは貴層−卑層対が1対のみの比較例、積
層板符号Gは卑層の厚みが1.0μm未満の比較例、積
層板符号Hは貴層の厚みが1.0μm未満の比較例、積
層板符号Jは卑層の厚み、貴層の厚みがともに1.0μ
m未満の比較例、積層板符号N,Oはいずれも貴層と卑
層との電位差が20mV未満の比較例であり、これらの
場合はいずれも充分な腐食寿命が得られなかった。また
積層板符号Iは卑層厚みが30μmを越える比較例であ
り、この場合は腐食寿命の点では優れているが、積層板
符号Aの現行材と比べて元板強度、ろう付け加熱後強度
ともに約20N/mm2 低く、熱交換器材料として好ま
しくないことが判明した。さらに積層板符号Pは、卑
層、貴層ともにその厚みが30μmを越えている比較例
であるが、この場合は圧延性が悪く、そのため表4中に
も記載したように1回の熱間圧延でクラッド化すること
ができず、圧延を中止した。
【0091】実施例2 表5に示される合金No.13〜No.26を、表6の
積層板符号AA〜AJに示すように組合せてクラッドし
たブレージングシートを用い、それぞれエバポレータ用
コアプレートをシュミレートしたミニコアプレートを製
作した。その後、真空炉中にて5×10-5Torrの真
空度で600℃×3分のろう付け加熱を行ない、さらに
実施例1と同様にしてSWAAT腐食試験を行ない、腐
食寿命を調べた。その結果を、卑層、貴層の電位、電位
差と併せて表7に示す。
【0092】
【表5】
【0093】
【表6】
【0094】
【表7】
【0095】表7において、積層板符号AAは貴層−卑
層対を持たない従来の通常の両面ろう材クラッドの比較
例(現行材)であるが、これと比べて積層板符号AB〜
AIの本発明例の場合はいずれも腐食寿命が著しく延長
されていることが判る。なお積層板符号AJは、芯材と
してMn含有量が1.5wt%を越える合金No.24
を用いた例であり、この場合は成形加工性が劣るため、
ミニコアプレートを成形する際に割れが発生してしまっ
た。
【0096】実施例3 表8〜表10に示される合金No.27〜No.79の
合金を、表11〜表14の積層板符号BA〜COに示す
ように組合せてクラッドしたブレージングシートを用
い、エバポレータ用コアプレートをシュミレートしたミ
ニコアプレートを作製した。その後、真空炉中にて5×
10-5Torrの真空度で600℃×3分のろう付け加
熱を行ない、さらに実施例1と同様にしてSWAAT腐
食試験を行ない、腐食寿命を調べた。その結果を、卑
層、貴層の電位、電位差とともに表15、表16に示
す。
【0097】
【表8】
【0098】
【表9】
【0099】
【表10】
【0100】
【表11】
【0101】
【表12】
【0102】
【表13】
【0103】
【表14】
【0104】
【表15】
【0105】
【表16】
【0106】表15、表16において、積層板符号BA
は、貴層−卑層対を持たない両面ろう材クラッドの現行
材の比較例であるが、これと比べて積層板符号BB〜B
D,BF〜BQ,BX〜CG,CN,COの本発明例の
場合は、いずれも腐食寿命が大幅に延長されていること
が判る。なお積層板符号BEは卑層としてMg含有量が
0.5wt%を越える合金No.35を用い、また貴層
および補強層としてMn含有量が1.5wt%を越える
合金No.76を用いた比較例であるが、この場合はク
ラッド接合性および圧延性が悪いため、クラッド圧延に
より接合することができなかった。また積層板符号BR
〜BWは、貴層としてCr,Zr,Ti,W,Mo,C
oのいずれかが0.3wt%を越える合金No.49〜
No.54を用いた比較例であり、この場合は成形性が
劣るため、ミニコアプレート成形時に割れが発生し、腐
食試験は行なえなかった。そしてまた積層板符号CH〜
CMは、芯材としてCr,Zr,Ti,W,Mo,Co
のいずれかが0.3wt%を越える合金No.49〜N
o.54を用いた比較例であり、この場合も積層板符号
BR〜BWの場合と同様に成形性に劣るため、ミニコア
プレート成形時に割れが発生し、腐食試験に至らなかっ
た。
【0107】実施例4 表17に示される合金No.80〜No.89を、表1
8の積層板符号DA〜DFに示すように組合せてクラッ
ドしたブレージングシートを用意した。なおこれらは、
いずれもろう材が片側のみにクラッドされ、かつろう材
の反対側に別の犠牲防食層がクラッドされた例である。
これらにフッ化物系フラックスを塗布して200℃で乾
燥後、不活性ガス中にて600℃×3分のろう付け加熱
を行なった。その後、積層板符号DA〜DDについて
は、ろう材側にSWAAT腐食液がかかるようにして実
施例1と同様に外部腐食試験としてSWAAT腐食試験
を行ない、腐食が板厚方向に貫通するまでの腐食寿命を
調べた。一方積層板符号DE,DFについては、ろう材
に対し反対側(犠牲防食層の側)に腐食液が接触するよ
うにして、犠牲防食層側(内側)からの腐食寿命を調べ
た。この際の腐食液としてはOY水(Cl- 195pp
m,SO4 2+60ppm,Fe3+30ppm,Cu2+
ppm;PH3)を用い、88℃×8hr→空冷×16
hrの温度サイクルで浸漬して腐食寿命を調べた。これ
は熱交換用材料に対する内部腐食試験の1つとして知ら
れている方法である。これらの結果を表19に示す。
【0108】
【表17】
【0109】
【表18】
【0110】
【表19】
【0111】表19において、積層板符号DAは貴層−
卑層対を持たない現行材の比較例であり、また積層板符
号DBは貴層−卑層対が1対のみの比較例であるが、こ
れらと比較して本発明材(積層板符号DC,DD)はS
WAAT腐食試験による外部からの腐食寿命が格段に優
れていることが判る。さらにOY水による内部腐食試験
の結果についても、貴層−卑層対を持たない現行材の比
較例(積層材符号DE)と比べて、本発明材(積層板符
号DF)の腐食寿命が著しく改善されていることが明ら
かである。
【0112】
【発明の効果】この発明の熱交換器用ブレージングシー
トは、電位差が20mV以上でかつ厚みが1〜30μm
の範囲内の貴な層および卑な層を1対とし、その貴層−
卑層対を2対以上備えているため、耐食性、特に板厚方
向への孔食の進行に対する耐食性が著しく優れており、
熱交換器用材料として従来の材料と比較して腐食寿命を
著しく延長させることが可能となり、特に過酷な腐食環
境下でも充分な耐食性を示すことができる。また上述の
ように板厚方向の腐食寿命が長いため、従来よりもブレ
ージングシートを薄肉化することが可能であり、そのた
め従来よりもさらに熱交換器の軽量化を図ることが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による熱交換器用アルミニウム合金製
ブレージングシートの第1の積層構造例を示す模式的な
断面図である。
【図2】この発明による熱交換器用アルミニウム合金製
ブレージングシートの第2の積層構造例を示す模式的な
断面図である。
【図3】この発明による熱交換器用アルミニウム合金製
ブレージングシートの第3の積層構造例を示す模式的な
断面図である。
【図4】この発明による熱交換器用アルミニウム合金製
ブレージングシートの第4の積層構造例を示す模式的な
断面図である。
【図5】この発明による熱交換器用アルミニウム合金製
ブレージングシートの第5の積層構造例を示す模式的な
断面図である。
【図6】この発明による熱交換器用アルミニウム合金製
ブレージングシートの第6の積層構造例を示す模式的な
断面図である。
【符号の説明】
1 貴層−卑層対 1A 貴層 1B 卑層 2 補強層 3 積層芯材 4 ろう材 5 犠牲防食層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B32B 15/01 B32B 15/01 F

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積層芯材の片面もしくは両面にアルミニ
    ウム合金ろう材がクラッドされており、かつ前記積層芯
    材は、その厚み方向の少なくとも一部に、相互に電位差
    が20mV以上でかつそれぞれの厚みが1〜30μmの
    範囲内の異種のアルミニウム合金からなる板厚方向に隣
    り合う貴層および卑層を1対とする貴層−卑層対を合計
    で2対以上有する構成とされていることを特徴とする熱
    交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム合金ブレージングシートにおいて、 前記卑層として、Si量が0.5wt%以下、Fe量が
    0.5wt%以下、Cu量が0.05wt%以下、Mn
    量が0.05wt%以下にそれぞれ規制され、かつAl
    含有量が99.0%以上で残部が不可避的不純物よりな
    る純アルミニウム系合金が用いられている熱交換器用ア
    ルミニウム合金ブレージングシート。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム合金ブレージングシートにおいて、 前記卑層として、Si量が0.5wt%以下、Fe量が
    0.5wt%以下、Cu量が0.05wt%以下、Mn
    量が0.05wt%以下にそれぞれ規制され、かつZn
    0.05〜0.5wt%、Mg0.05〜0.5wt
    %、In0.004〜0.1wt%、Sn0.004〜
    0.1wt%、Ga0.004〜0.1wt%のうちの
    1種または2種を含有し、残部がAlおよび不可避的不
    純物よりなるアルミニウ合金が用いられている熱交換器
    用アルミニウム合金ブレージングシート。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム合金ブレージングシートにおいて、 前記貴層として、Mn0.1〜1.5wt%、Cr0.
    06〜0.3wt%、Zr0.06〜0.3wt%、T
    i0.06〜0.3wt%、W0.03〜0.3wt
    %、Co0.03〜0.3wt%、Mo0.03〜0.
    3wt%のうちの1種または2種以上を含み、残部がA
    lおよび不可避的不純物よりなるアルミニウ合金が用い
    られている熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシ
    ート。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム合金ブレージングシートにおいて、 前記積層芯材が、前記2対以上の貴層−卑層対のほか、
    1対の貴層−卑層対の厚みより厚いアルミニウム合金か
    らなる補強層を有する構成とされている熱交換器用アル
    ミニウム合金ブレージングシート。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム合金ブレージングシートにおいて、 前記補強層として、Mn0.5〜1.5wt%を含有
    し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニ
    ウム合金が用いられている熱交換器用アルミニウム合金
    ブレージングシート。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム合金ブレージングシートにおいて、 前記補強層として、Mn0.5〜1.5wt%を含有
    し、かつCu0.06〜0.8wt%、Ti0.06〜
    0.3wt%、W0.03〜0.3wt%、Co0.0
    3〜0.3wt%、Mo0.03〜0.3wt%のうち
    から選ばれた1種以上を含み、残部がAlおよび不可避
    的不純物よりなるアルミニウム合金が用いられている熱
    交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム合金ブレージングシートにおいて、 前記補強層として、Mn0.5〜1.5wt%を含有
    し、かつMg0.06〜0.5wt%、Cr0.06〜
    0.3wt%、Zr0.03〜0.3wt%のうちから
    選ばれた1種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不
    純物よりなるアルミニウム合金が用いられている熱交換
    器用アルミニウム合金ブレージングシート。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニウ
    ム合金ブレージングシートにおいて、 前記補強層として、Mn0.5〜1.5wt%を含有
    し、かつCu0.06〜0.8wt%、Ti0.06〜
    0.3wt%、W0.03〜0.3wt%、Co0.0
    3〜0.3wt%、Mo0.03〜0.3wt%のうち
    から選ばれた1種以上と、Mg0.06〜0.5wt
    %、Cr0.06〜0.3wt%、Zr0.03〜0.
    3wt%のうちから選ばれた1種以上とを含有し、残部
    がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金
    が用いられている熱交換器用アルミニウム合金ブレージ
    ングシート。
  10. 【請求項10】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニ
    ウム合金ブレージングシートにおいて、 ろう材が積層芯材の片面にクラッドされており、かつ積
    層芯材が、前記2対以上の貴層−卑層対を、補強層に対
    しろう材に近接する側の片面に積層した構成とされてい
    る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
  11. 【請求項11】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニ
    ウム合金ブレージングシートにおいて、 ろう材が積層芯材の両面にクラッドされており、かつ積
    層芯材が、補強層に対しその両面側にそれぞれ2対以上
    の貴層−卑層対を積層した構成とされている熱交換器用
    アルミニウム合金ブレージングシート。
  12. 【請求項12】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニ
    ウム合金ブレージングシートにおいて、 ろう材が積層芯材の両面にクラッドされており、かつ積
    層芯材が、補強層に対し一方のろう材に近接する側の片
    面に2対以上の貴層−卑層対を積層した構成とされてい
    る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
  13. 【請求項13】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニ
    ウム合金ブレージングシートにおいて、 ろう材が積層芯材の片面にクラッドされており、かつ積
    層芯材が、補強層の両面側にそれぞれ2対以上の貴層−
    卑層対を積層した構成とされている熱交換器用アルミニ
    ウム合金ブレージングシート。
  14. 【請求項14】 請求項5に記載の熱交換器用アルミニ
    ウム合金ブレージングシートにおいて、 ろう材が積層芯材の片面にクラッドされており、かつ積
    層芯材が、補強層に対しろう材に近接する側の片面に2
    対以上の貴層−卑層対を積層した構成とされ、さらに積
    層芯材におけるろう材から離れた側の片面に犠牲防食層
    が積層されている熱交換器用アルミニウム合金ブレージ
    ングシート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001001179A (ja) * 1999-06-23 2001-01-09 Denso Corp 耐食性が良好な真空ろう付け用アルミニウム合金ブレージングシート及びこれを使用した熱交換器
KR102155804B1 (ko) * 2019-10-11 2020-09-15 구일공조(주) 열교환기의 제조방법

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