JPH09309842A - 新規な生理活性物質、その製造方法及び医薬組成物 - Google Patents

新規な生理活性物質、その製造方法及び医薬組成物

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JPH09309842A
JPH09309842A JP8148693A JP14869396A JPH09309842A JP H09309842 A JPH09309842 A JP H09309842A JP 8148693 A JP8148693 A JP 8148693A JP 14869396 A JP14869396 A JP 14869396A JP H09309842 A JPH09309842 A JP H09309842A
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JP
Japan
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glycoprotein
hydrophobic
protein
glucan
extract
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JP8148693A
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English (en)
Inventor
Minoru Ohara
稔 大原
Tsutomu Konno
勉 金野
Yoshiharu Oguchi
義春 小口
Kenichi Matsunaga
謙一 松永
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬理活性が顕著に上昇する、酵素処理糖タン
パク質及び疎水性糖タンパク質を提供する。 【解決手段】 酵素処理糖タンパク質は、化学処理及び
酵素処理して得られ、疎水性糖タンパク質は、更に分画
処理して得られる。疎水性糖タンパク質は、分子量が
5,000〜1,000,000の範囲であり、タンパ
ク質/糖質比が6〜40であり、タンパク質部分の疎水
性パラメーターが−10〜−500であり、疎水性糖タ
ンパク質中に含まれるβ−1,3−グルカン量が0.0
01mg/g以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規の生理活性物質、
その製造方法、及びその生理活性物質を有効成分とする
医薬組成物、特には抗腫瘍剤又は増殖因子阻害剤に関す
る。本発明の生理活性物質は、悪性腫瘍又は増殖因子が
関与する種々の疾患の治療や予防に利用することができ
る。
【0002】
【従来の技術】担子菌由来の種々の多糖体やタンパク多
糖体が、抗腫瘍効果を示すことが知られている(Chihar
a G : Revista Espanda de Entomologia, 4:85-96, 198
4)。このうち、サルノコシカケ科のカワラタケ属に属す
る担子菌由来のタンパク多糖体であるクレスチン(商品
名:三共:一般名=PSK)は、すでに臨床的に用いら
れており、癌患者の生存期間を延長させる効果のあるこ
とが実証されている (Nakazato H, et al.: The Lance
t, 343:1122-1126, 1994)。最近、PSKが、増殖因
子、例えばトランスフォーミング成長因子β1(Transf
orming Growth Factorβ1:TGF−β1)及び血小板
由来増殖因子(Platelet Derived Growth Factor:PD
GF)の作用を阻害する活性を有することが報告された
(松永謙一他:日本癌学会総会,第53回総会記事,p.
455, 1994) 。また、カワラタケ属に属する担子菌の菌
糸体、培養物、又は子実体の抽出物を化学処理すること
により、抗腫瘍作用や増殖因子阻害作用が顕著に上昇す
ることが見出された(特願平7−41230号明細
書)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記の担
子菌由来のタンパク多糖体の各種誘導体とその生理活性
について鋭意研究を重ねた結果、そのタンパク多糖体
に、化学処理(特に過ヨウ素酸による酸化処理)及び酵
素処理(特にβ−1,3−グルカナーゼ処理)等を施す
ことによって得られた、酵素処理糖タンパク質が、強い
抗腫瘍作用及び増殖因子阻害作用を示すことを見出し
た。また、その酵素処理糖タンパク質を更に分画して得
られる疎水性糖タンパク質が、更に強い抗腫瘍作用及び
増殖因子阻害作用を示すことを見出した。本発明はこう
した知見に基づくものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、カワ
ラタケ属に属する担子菌の菌糸体、培養物、又は子実体
の抽出物を、過ヨウ素酸又はその塩類により酸化した
後、還元剤で還元し、続いて、酸性条件下で緩和水解
し、そこで生じた低分子化合物を除去した後、β−1,
3−グルカナーゼで酵素処理して得られる酵素処理糖タ
ンパク質に関する。また、本発明は、カワラタケ属に属
する担子菌の菌糸体、培養物、又は子実体の抽出物を、
過ヨウ素酸又はその塩類により酸化した後、還元剤で還
元し、続いて、酸性条件下で緩和水解し、そこで生じた
低分子化合物を除去した後、β−1,3−グルカナーゼ
で酵素処理し、更に疎水性クロマトグラフィーで分画し
て得られる疎水性糖タンパク質にも関する。更に、本発
明は、前記の酵素処理糖タンパク質又は疎水性糖タンパ
ク質を有効成分として含有することを特徴とする医薬組
成物、特には抗腫瘍剤又は増殖因子阻害剤にも関する。
【0005】本明細書において、「タンパク多糖体」と
は、カワラタケ属に属する担子菌の菌糸体、培養物、又
は子実体から抽出して得られる、タンパク質部と糖質部
とを有する化合物であって、前記抽出工程後にその他の
化学処理又は酵素処理を施していない化合物を意味す
る。また、本明細書において、「糖タンパク質」とは、
前記タンパク多糖体を化学処理することにより得られる
化合物であって、前記化学処理工程後にその他の酵素処
理を施していない化合物を意味する。また、本明細書に
おいて、「酵素処理糖タンパク質」とは、前記糖タンパ
ク質を酵素処理することにより得られる化合物であっ
て、前記酵素処理工程後にその他の分画処理を施してい
ない化合物を意味する。また、本明細書において、「疎
水性糖タンパク質」とは、前記酵素処理糖タンパク質
を、更に分画することにより得られる化合物を意味す
る。なお、「疎水性糖タンパク質」の「疎水性」とは、
この糖タンパク質のタンパク質部分の疎水性パラメータ
ー(具体的な計算方法は後述)が疎水性の値を示すこと
を意味し、この「疎水性糖タンパク質」それ自体は水に
可溶である。更に、前記酵素処理糖タンパク質と前記疎
水性糖タンパク質とを併せて、「本発明の生理活性物
質」と称することがある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酵素処理糖タンパク質又は疎水性糖タンパク質
を製造する際に用いる出発材料、すなわち、担子菌由来
のタンパク多糖体は、例えば、特公昭46−17149
号、特公昭51−36322号、特公昭56−1427
4号、特公昭56−14275号及び特公昭56−14
276号各公報などに記載されている。前記タンパク多
糖体は、担子菌の一種であるカワラタケ属(Coriolus)
に属する菌類を培養して得られる菌糸体、培養物(Br
oth)、又は子実体から抽出して得られるタンパク多
糖体である。前記抽出物であるタンパク多糖体は、約5
〜60%、特には約18〜38%のタンパク質を含み、
分子量(超遠心分離測定法)が5,000以上、好まし
くは5,000〜1,000,000である。
【0007】前記タンパク多糖体の代表例はPSKとも
呼称されているものであって、クレスチンという商品名
で三共株式会社から市販されている。前記タンパク多糖
体については最近の新薬、第28集第14〜16頁、1
977年及び第29集第96〜101頁、1978年、
薬事新報社発行や、医薬品要覧、第1346頁、昭和5
4年5月第6版、薬業時報社発行等にも記載されてい
る。その性状の一端を示せば次のとおりである。
【0008】PSKは、カワラタケ菌CM101株〔F
ERM−P No.2412(ATCC20547)〕
の菌糸体を水系溶媒、例えば、熱水又はアルカリ溶液
(例えば、アルカリ金属の水酸化物、特には水酸化ナト
リウムの水溶液)で抽出し、精製した後に乾燥して得る
ことができる。主要画分の糖部分はβ−D−グルカン
で、このグルカン部分の構造は、β−1,3−結合、β
−1,4−結合、及びβ−1,6−結合を含む分枝構造
であり、生化学工業株式会社製の(1→3)−β−D−
グルカン比色定量用試薬グルスペシーで測定した場合の
β−1,3−グルカン量は1mg/g以上である。主な
構成単糖はグルコースやマンノースであり、約18〜3
8%のタンパク質を含む。タンパク質の構成アミノ酸
は、アスパラギン酸やグルタミン酸等の酸性アミノ酸
と、バリンやロイシン等の中性アミノ酸が多く、リジン
やアルギニン等の塩基性アミノ酸は少ない。水に可溶で
あるが、メタノール、ピリジン、クロロホルム、ベンゼ
ン、又はヘキサンには殆ど溶けない。約120℃から徐
々に分解する。
【0009】なお、本発明の出発材料に関しては、前記
のカワラタケ菌CM101株のみならず、カワラタケ属
に属する他のカワラタケ菌株(例えば、FERM−P
No.2413〜2426)やニクウスバタケ〔Coriol
us consors (Berk.) Imaz.〕、ヤキフタケ
【外1】 ミノタケ〔Corilous biformis (Klotz.) Pat. 〕、アラ
ゲカワラタケ
【外2】 サカズキカワラタケ〔Coriolus conchifer (Schw.) Pa
t. 〕、ハカワラタケ〔Coriolus pargamenus (Fr.) Pa
t.〕等の担子菌菌株も使用可能である。
【0010】前記抽出物、すなわち、前記タンパク多糖
体を以下のように化学処理及び酵素処理することによっ
て、本発明の酵素処理糖タンパク質を得ることができ
る。化学処理は、例えば、酸化処理、還元、緩和水解、
及び生成低分子化合物の除去の各工程からなる。前記抽
出物の酸化処理は、グリコールの開裂処理を伴うもので
あり、特には過ヨウ素酸又はその塩類を用いて実施する
ことができる。具体的には、例えば、0.01〜0.2
Mメタ過ヨウ素酸ナトリウムを含む水溶液又は中性領域
pHの緩衝液に前記の抽出物を溶解し、0〜40℃で2
4時間〜60日間処理することにより糖質部の酸化を行
う。次に、還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウムで
還元して得られるタンパク多糖体ポリアルコールを4〜
80℃にて0.01〜1規定濃度の無機酸(例えば、硫
酸、塩酸)又は有機酸(例えば、シュウ酸、ギ酸)を用
いて1時間〜96時間程度の緩和水解を行い、酸化をう
けた糖鎖部分を除去する。こうしたメタ過ヨウ素酸ナト
リウムによる酸化から緩和水解に至る一連の操作を一回
〜数回繰り返して行い、1,4−結合及び1,6−結合
した糖質部を減少させた後、生成した分子量3500以
下の低分子化合物を除去する。
【0011】酵素処理としては、例えば、β−1,3−
グルカナーゼ処理を挙げることができる。β−1,3−
グルカナーゼ処理を実施することによって、前記の過ヨ
ウ素酸酸化処理後も糖質部に残存するβ−1,3−グル
カンを除去することができる。こうして得られる本発明
の酵素処理糖タンパク質に含まれるβ−1,3−グルカ
ン量は、0.001mg/g以下である。β−1,3−
グルカナーゼとしては、例えば、β−1,3−グルカン
ラミナリペンタオヒドロラーゼ(β−1,3−gluc
an laminaripentaohydrolas
e)〔例えば、ザイモリアーゼ100T(Arthro
bacter luteus由来)の商品名で生化学工
業社から市販〕などを使用することができる。
【0012】前記タンパク多糖体を化学処理及び酵素処
理することによって得られる本発明の酵素処理糖タンパ
ク質は、前記タンパク多糖体(例えば、PSK)と比較
して、抗腫瘍効果、TGF−β1阻害能、及びPDGF
阻害能が上昇する。すなわち、本発明の酵素処理糖タン
パク質は、高い抗腫瘍効果及び増殖因子阻害効果を示
す。
【0013】前記酵素処理糖タンパク質を、更に分画・
精製することによって、更に高い生物活性を示す本発明
の疎水性糖タンパク質を得ることができる。分画・精製
の方法としては、例えば、疎水性クロマトグラフィー、
好ましくはメタルキレートクロマトグラフィーを挙げる
ことができる。メタルキレートクロマトグラフィーは、
ほとんどすべてのタンパク質に含有されるヒスチジン、
システイン、及びトリプトファンが、種々の遷移金属イ
オンと複合体を形成する現象を利用するものであり、例
えば、ゲルクロマトグラフィー用担体にイミノジ酢酸を
親水性のスペーサーを介して安定なエーテル結合でカッ
プリングして調製されたゲル〔例えば、キレーティング
セファロース6B(Chelating Sephar
ose6B);ファルマシア社製〕を用いて実施するこ
とができる。前記ゲルを用いるメタルキレートクロマト
グラフィーは、ファルマシア社パンフレット(Affi
nity Chromatography princ
iples&methods)5.17項に従って、実
施することができる。
【0014】前記ゲル自体は、金属イオンを含まないの
で、メタルキレートクロマトグラフィーを実施する際に
は、適当な金属イオン、例えば、Cu2+、Zn2+、Ni
2+、Co2+、又はCa2+などを添加する必要がある。本
発明の疎水性糖タンパク質の精製には、Cu2+、Z
2+、又はCa2+が好ましく、Cu2+が最適である。カ
ラムの平衡化に使用することのできるバッファーとして
は、例えば、トリス−塩酸バッファー(pH7.5)、
又はトリス−酢酸バッファー(pH7.5)などを挙げ
ることができ、目的とする疎水性糖タンパク質のカラム
への吸着性を高める点で、トリス−酢酸バッファー(p
H7.5)が好ましい。目的の疎水性糖タンパク質のカ
ラムからの溶出は、例えば、溶出液のpHを下げるか、
あるいは溶出液に拮抗剤を加えることによって実施する
ことができる。回収率及び精製効率の点で、拮抗剤とし
てグリシンを用いて溶出することが好ましい。
【0015】本発明の疎水性糖タンパク質は、以下の理
化学的性状を有する。すなわち、ゲルクロマトグラフィ
ー〔例えば、デキストランゲル又はアガロースゲル(S
uperose 6:ファルマシア)を用いたゲルクロ
マトグラフィー〕による測定で5,000〜1,00
0,000、好ましくは10,000〜500,000
の範囲の分子量を示し、フェノール硫酸法(J.E.Hodge,
B.T.Hofreiter, "Methods in carbohydrate chemistry
" Vol. 1 ed. by R.L.Whistler, M.I.Wolfrom, Academi
c Press, Inc., New York, N.Y., 1962 p388)で定量し
た糖質量に対するローリー−フォーリン(Lowry−
Folin)法〔O.H.Lowry, N.J.Rosebrough, A.L.Far
r, and R.J.Randall, J.Randall, J.Biol.Chem., 193,
265(1951)〕で定量したタンパク質の量(タンパク質/
糖質)が6〜40、好ましくは10〜40であって、タ
ンパク質部分の疎水性パラメーター〔M.Levit
t,J.Mol.Biol.,104,59(197
6)〕が−10〜−500、好ましくは−30〜−50
0である。疎水性パラメーターは、レビット(Levi
tt)の算出式(1): Ph=(Cp/Cs)×Σ(Pa×Ra) (1) (式中、Phは疎水性パラメーターを、Cpはタンパク
質含量を、Csは、糖質含量を、Paは「レビットの各
アミノ酸パラメーター」を、そしてRaはアミノ酸組成
を表す)によって算出する。なお、レビットの算出式に
おけるアミノ酸組成の値としては、アミノ酸のモル%の
値を使用する。また、本発明の酵素処理糖タンパク質に
含まれるβ−1,3−グルカン量は、グルスペシー測定
における検出感度以下の量(0.001mg/g以下)
である。
【0016】本発明の疎水性糖タンパク質は、塩酸加水
分解物のアミノ酸分析により、アスパラギン酸、スレオ
ニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、ア
ラニン、システイン、バリン、メチオニン、イソロイシ
ン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、リジン、
ヒスチジン、及びアルギニンが検知され、その中でアス
パラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、グリ
シン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、イソロイ
シン、及びロイシンの占める含量が検知全アミノ酸量の
70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。更
に、硫酸加水分解後の糖質分析により、フコース、キシ
ロース、マンノース、ガラクトース、及びグルコースが
検知され、その中でグルコース、マンノース、及びキシ
ロースの占める含量が検知全糖質量の80重量%以上、
好ましくは95重量%以上、より好ましくは97重量%
以上である。
【0017】本発明の疎水性糖タンパク質は、前記タン
パク多糖体(例えば、PSK)と比較して、抗腫瘍効
果、TGF−β1阻害能、及びPDGF阻害能に関し
て、2.3〜4.4倍以上の活性の上昇が認められる。
すなわち、本発明の疎水性糖タンパク質は、高い抗腫瘍
効果及び増殖因子阻害効果を示す。
【0018】本発明による前記の酵素処理糖タンパク質
を、前記のようにして分画、例えば、銅イオンを吸着さ
せたキレーティングセファロース6Bゲルを用い、グリ
シンを加えた溶出液で溶出するメタルキレートクロマト
グラフィーにより分画すると、抗腫瘍効果及び増殖因子
阻害効果に関して高い活性を示す2本のピーク、すなわ
ち、第1分画疎水性糖タンパク質及び第2分画疎水性糖
タンパク質が一般的に得られる。第1分画疎水性糖タン
パク質は、フェノール硫酸法で定量した糖質量に対する
ローリー−フォーリン法で定量したタンパク質の量(タ
ンパク質/糖質比)が10〜20であり、タンパク質部
分の疎水性パラメーターが−40〜−100である。第
2分画疎水性糖タンパク質は、タンパク質/糖質比が1
5〜30であり、タンパク質部分の疎水性パラメーター
が−110〜−250である。
【0019】分子量、疎水性糖タンパク質中に含まれる
β−1,3−グルカン量、アミノ酸組成、及び糖組成に
関しては、第1分画疎水性糖タンパク質及び第2分画疎
水性糖タンパク質は、疎水性糖タンパク質と同様の理化
学的性状を有する。すなわち、ゲルクロマトグラフィー
による測定で5,000〜1,000,000、好まし
くは10,000〜500,000の範囲の分子量を示
し、疎水性糖タンパク質中に含まれるβ−1,3−グル
カン量がグルスペシーを用いた測定で0.001mg/
g以下であり、塩酸加水分解物のアミノ酸分析により、
アスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、
プロリン、グリシン、アラニン、システイン、バリン、
メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェ
ニルアラニン、リジン、ヒスチジン、及びアルギニンが
検知され、その中でアスパラギン酸、スレオニン、セリ
ン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、フェニルアラ
ニン、バリン、イソロイシン、及びロイシンの占める含
量が、検知全アミノ酸量の70モル%以上、好ましくは
80モル%以上であり、そして、硫酸加水分解後の糖質
分析により、フコース、キシロース、マンノース、ガラ
クトース、及びグルコースが検知され、その中でグルコ
ース、マンノース、及びキシロースの占める含量が検知
全糖質量の80重量%以上、好ましくは95重量%以
上、より好ましくは97重量%以上である。
【0020】PSKは、多くの疾患に対する有効性が示
唆されており、本発明の生理活性物質は、PSKよりも
低用量でPSKと同等の活性を示すことから、PSKが
有効である各種疾患に、本発明の生理活性物質を適用す
ることができる。例えば、悪性腫瘍、細菌、真菌、ウイ
ルス、若しくは原虫等の感染症、自己免疫疾患、種々の
免疫抑制状態、肺線維症、肝線維化、糸球体腎炎、汎発
性強皮症、又は動脈硬化などである。
【0021】本発明の生理活性物質を、抗悪性腫瘍剤、
又は増殖因子阻害剤(例えば、TGF−β1阻害剤又は
PDGF阻害剤)としてヒト又は動物に使用する場合に
は、任意慣用の方法で各種経路の投与用、すなわち、舌
下投与を含む経口投与用、皮下、静脈内、若しくは筋肉
内等への注射用、又は経直腸投与用(座剤)等に調製す
ることができる。経口投与は、それに適用される錠剤、
顆粒剤、散剤、又はカプセル剤などである。それらの組
成物中に結合剤、包含剤、賦形剤、潤滑剤、崩壊剤、又
は湿潤剤を含有していてもよい。また、経口用液体製剤
は、内用水剤、振とう合剤、懸濁液剤、乳剤、又はシロ
ップ剤の形態であってもよく、あるいは使用する前に再
溶解させる乾燥生成物の形態であってもよい。更に、こ
のような液体製剤は、添加剤又は保存剤のいずれを含有
していてもよい。注射剤、座剤、又は軟膏等の非経口投
与剤においては、その組成物が安定剤、緩衝剤、保存
剤、又は等張化剤などの添加剤を含んでいてもよい。な
お、上記組成物は、水溶液、懸濁液、溶液、油性又は水
性ビヒクル中の乳液のような形態であってもよく、一
方、活性成分は使用する前に適当なビヒクル(例えば、
発熱物質不含の滅菌した水)で再溶解させる粉末であっ
てもよい。投与量は、投与方式、並びに年齢、個人差、
及び疾患の程度によって異なるが、一般には体重1k
g、一日当たり0. 01〜500mg、経口投与の場合
は0.5〜500mgを1回から3回に分けて投与す
る。
【0022】
【作用】担子菌カワラタケ属由来のタンパク多糖体、特
にPSKは、糖質部とタンパク質部とを有している。そ
の主要構成糖はグルコースであり、糖質とタンパク質と
はO−グリコシド結合及びN−グリコシド結合で互いに
結合していると考えられている。グルカン部のNMRに
よる分析の結果、β−1,3−結合、β−1,4−結
合、β−1,6−結合等の種々の結合様式を含むポリマ
ーであることが明らかになっており、しかもタンパク質
部を構成するポリペプチドも単一ではない。すなわち、
タンパク多糖体(PSK)は、種々の構造を含む複合体
であると考えられる。この中で、抗腫瘍作用をはじめと
するタンパク多糖体(PSK)の作用が、いずれの構造
に由来するのかは、現在のところ充分には解明されてい
ないが、タンパク多糖体(PSK)を化学処理及び酵素
処理することにより得られる酵素処理糖タンパク質、あ
るいは、必要に応じて更に分画・精製することによって
得られる疎水性糖タンパク質が、高い生物活性を示すこ
とから、本発明の生理活性物質は、タンパク多糖体(P
SK)の生物活性を担っている重要な構造単位を含んで
いるものと考えられる。従って、PSKでは臨床的には
通常1日あたり3gを1〜3回に分けて内服するのに対
し、本発明の生理活性物質では、その投与量を減少させ
ることができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:酵素処理糖タンパク質の調製 PSK(商品名クレスチン)5gを0. 04Mメタ過ヨ
ウ素酸ナトリウム(NaIO4 :213.9)水溶液2
リットルに溶解し、4℃で暗所にて14日間、時々撹拌
しながら、糖質部の過ヨウ素酸酸化を行った後、エチレ
ングリコール20gを添加して数時間撹拌することによ
り、過剰のメタ過ヨウ素酸ナトリウムを分解して反応を
停止させた。得られた反応液に希酢酸を加えて中和した
後、水素化ホウ素ナトリウム5gを加えて還元反応を一
夜行わせることにより、アルデヒド・タンパク多糖体を
安定なタンパク多糖体ポリアルコールに変換させた後、
スペクトルポア透析チューブを用いて流水中で透析し、
分子量3500以下の低分子化合物を除去した。その
後、透析内液に硫酸を加えてその濃度が0. 1Nになる
ようにし、室温にて24時間緩和加水分解を行うことに
より開裂糖鎖部分を除去した。水酸化ナトリウム水溶液
で中和し、再度透析を行って分子量3500以下の低分
子化合物を除去し、次いで凍結乾燥を行い、分解産物
(以下、緩和スミス分解産物と称する)を1.7g得
た。得られた緩和スミス分解産物のβ−1,3−グルカ
ン量を、生化学工業株式会社製の(1→3)−β−D−
グルカン比色定量用試薬グルスペシーを用いて測定した
ところ、0.4〜0.9mg/gであった。
【0024】緩和スミス分解産物1.7gを0.1Mの
KH2 PO4 −NaOH(pH7.0)緩衝液170m
lに溶解し、β−1,3−グルカナーゼ(ザイモリアー
ゼ100T;Arthrobacter luteus
由来;生化学工業社製)42.5mgを加えた。37℃
で16時間酵素分解を行うことによって、糖質部の過ヨ
ウ素酸酸化処理後も残存するβ−1,3−グルカンを更
に除去した。100℃で5分間加熱することによって反
応を停止し、濃縮後、セファデックスG25カラムを用
いたゲル濾過により分子量3500以下の低分子化合物
を除き、次いで凍結乾燥を行い、本発明の酵素処理糖タ
ンパク質1.0gを得た。得られた酵素処理糖タンパク
質のβ−1,3−グルカン量を、前記と同様にして測定
したところ、0.001mg/g以下であった。
【0025】実施例2:疎水性糖タンパク質P1及びP
2の調製 担体として用いるキレーティングセファロースファース
トフロー(Chelating Sepharose
Fast Flow;ファルマシア社製)ゲル50g
と、硫酸銅10mg/ml溶液100mlとを混合し、
ゲルに銅イオンを吸着させた。銅イオンを吸着させたゲ
ルをカラム(1.5×30cm)に充填し、0.5M塩
化ナトリウムを含む0.05Mトリス−酢酸(pH7.
5)バッファー(以下、第1バッファーと称する)で予
め平衡化した。実施例1で得られた酵素処理糖タンパク
質250mgを第1バッファー5mlに溶解し、前記カ
ラムに吸着させた。第1バッファーによって溶出される
成分(主ピーク2本が現れた)を溶出させた後、グリシ
ン濃度0.12Mになるまでリニアグラジエント溶出を
行った。グリシン濃度約0.1M前後で溶出されたピー
ク2本をそれぞれ分取し、分取した液をセファデックス
G25カラムによって脱塩精製し、凍結乾燥することに
よって、本発明の疎水性糖タンパク質P1(25mg)
及びP2(75mg)を得た。なお、グリシン濃度約
0.1M前後で溶出されたピーク2本の内、先に溶出さ
れたピークから得られた生成物を疎水性糖タンパク質P
1、その後に溶出されたピークから得られた生成物を疎
水性糖タンパク質P2と称する。
【0026】実施例3:疎水性糖タンパク質P1及びP
2の理化学分析 (1)元素分析 Yanaco CHN コーダーMT−3型を用いて、
実施例2で得られた本発明の疎水性糖タンパク質P1及
びP2の元素分析を行った。 (2)タンパク質/糖質比 実施例2で得られた本発明の疎水性糖タンパク質P1及
びP2を蒸留水に溶解した後、そのタンパク質量をLo
wry−Folin法(アルブミンを標準物質)で、そ
の糖質量をフェノール硫酸法(グルコースを標準物質)
で各々測定した。 (3)糖組成 実施例2で得られた本発明による疎水性糖タンパク質P
1及びP2を1規定硫酸中にて100℃で16時間加水
分解を行い、生成物についてDIONEX社製のBio
−LCを用いた陽イオン交換(AS6カラム)クロマト
グラフィーを行い、パルスアンペロメトリー検出器によ
り糖の検出・同定及び定量を行った。結果を重量%で示
した。 (4)アミノ酸組成 実施例2で得られた本発明による疎水性糖タンパク質P
1及びP2を6規定の塩酸中にて110℃で22時間加
水分解し、分解生成物についてアミノ酸分析計(日立L
−8500) を用いニンヒドリン発色法により測定し
た。モル%で算出した。 (5)疎水性パラメーター レビットの算出式〔J.Mol.Biol.,104,
59(1976)〕によって算出した。算出式は、
〔(タンパク質含量)/(糖質含量)〕×Σ〔(レビッ
トの各アミノ酸パラメーター)×(アミノ酸組成)〕で
ある。なお、アミノ酸組成の値としては、アミノ酸のモ
ル%の値を使用した。 (6)β−1,3−グルカン量 生化学工業株式会社製の(1→3)−β−D−グルカン
比色定量用試薬グルスペシーを用いて、実施例2で得ら
れた本発明による疎水性糖タンパク質P1及びP2のβ
−1,3−グルカン量を測定した。 (7)分子量の測定 実施例2で得られた本発明による疎水性糖タンパク質P
1及びP2を蒸留水に溶解し、Superose 6
(ファルマシア)を用いたゲルクロマトグラフィーを行
い、その溶出位置から算出した。本発明の疎水性糖タン
パク質P1及びP2の測定値を表1及び表2に示す。
【0027】
【表1】 測定値 測定項目 P1 P2 1.元素分析 C% 44.1 46.6 H% 5.8 6.2 N% 10.0 10.9 2.タンパク質/糖質比 13.0 21.0 3.糖組成 a.ク゛ルコース % 22 15 b.マンノース % 75 84 c.カ゛ラクトース% 1 (痕跡量) d.キシロース % 1 (痕跡量) e.フコース% 1 1 a+b+d/総計% 98 99
【0028】
【表2】 測定値 測定項目 P1 P2 4.アミノ酸組成 a.アスハ゜ラキ゛ン酸% 12.1 11.0 b.スレオニン % 4.8 5.0 c.セリン % 4.3 5.2 d.ク゛ルタミン 酸% 11.7 11.2 e.ク゛リシン% 11.4 12.5 f.アラニン% 12.3 12.4 g.ハ゛リン % 8.2 8.1 h.1/2シスチン% 0.4 0.2 i.メチオニン % 1.0 0.9 j.イソロイシン% 6.0 6.0 k.ロイシン% 10.2 10.2 l.チロシン% 1.6 1.5 m.フェニルアラニン% 5.1 4.7 n.リシ゛ン % 2.4 2.2 o.ヒスチチ゛ン % 0.5 0.8 p.アルキ゛ニン % 1.3 1.3 q.フ゜ロリン% 6.8 6.7 a+b+c+d+e+f+g+j+k+m/総計% 81.0 81.2 5.疎水性パラメーター −66.3 −170.1 6.β−1,3 −グルカン量 <0.001mg/g 同左 7.分子量 5,000 − 1,000,000 同左
【0029】実施例4:増殖因子阻害活性 0.2%牛血清アルブミン添加リン酸緩衝液 (pH7.
4) にヒト由来遺伝子組換えTGF−β1(Research a
nd Diagnostic System社製)又はPDGF(Research a
nd Diagnostic System社製)を加え、100ng/ml
になるように調整した。試験管に上記溶液を0.2m
l、次いで実施例1で得られた本発明の酵素処理糖タン
パク質、又は実施例2で得られた本発明の疎水性糖タン
パク質P1若しくはP2の一定量を0.2%牛血清アル
ブミン添加リン酸緩衝液に溶解させた溶液0.2mlを
加え、22℃で3時間反応させた。反応終了後、市販の
酵素免疫測定キット(TGF−β1測定用にはアマシャ
ム社製、PDGF測定用にはResearch and Diagnostic
System社製)を用いて、反応液中のTGF−β1又はP
DGFを定量した。検体のTGF−β1又はPDGF結
合活性は式(2): Ab=100×(Dc−Ds)/Dc (2) 〔式中、Abは結合活性(%)を、Dcはコントロール
群の測定値(ng/ml)を、そしてDsは検体添加群
の測定値(ng/ml)をそれぞれ表す〕から算出し
た。
【0030】本発明の酵素処理糖タンパク質又は疎水性
糖タンパク質P1若しくはP2を5μg/mlになるよ
うに添加した場合の、それぞれのTGF−β1結合活性
及びPDGF結合活性を表3に示す。併せて、本発明の
酵素処理糖タンパク質又は疎水性糖タンパク質P1若し
くはP2の代わりに、PSKを添加した場合の比較例の
結果を示す。表3において、TGF−β1結合活性及び
PDGF結合活性の直後に示す括弧内の値は、PSKの
TGF−β1結合活性又はPDGF結合活性を100と
した場合の、TGF−β1結合活性又はPDGF結合活
性の相対値である。表3に示すように、本発明の酵素処
理糖タンパク質並びに疎水性糖タンパク質P1及びP2
のTGF−β1直接結合能又はPDGF直接結合能は、
PSKに比べ、明らかに高かった。
【0031】
【表3】 TGF−β1 PDGF P1 52%(226) 54%(257) P2 88%(383) 92%(438) 酵素処理糖タンパク質 43%(187) 40%(190) PSK 23%(100) 21%(100)
【0032】実施例5:抗腫瘍活性 8週齢の雌BALB/cマウス(日本チャールズリバー
社より購入;一群10匹)にペントバルビタール50m
g/匹を静脈内に注射して麻酔を施した後、開腹し、盲
腸部にマウス大腸癌細胞colon26(インビトロで
継代維持している細胞株を九州大学から入手)を1×1
6 個/50μl移植し、手術用の縫合糸で閉腹した。
実施例1で得られた本発明の酵素処理糖タンパク質、又
は実施例2で得られた本発明の疎水性糖タンパク質P1
若しくはP2を25mg/mlとなるように生理食塩水
に溶解し、移植3日目から連日10日間、1日当たりマ
ウス体重10g当たり0.1mlの量を経口投与した。
なお、コントロール群の担癌マウスには、生理食塩水
を、マウス体重10g当たり0.1mlの量で経口投与
した。移植14日目にマウスをと殺し、腫瘍を取り出
し、その重量を天秤で測定した。検体の抗腫瘍活性は下
記の式(3): Aa=100×(Wc−Ws)/Wc (3) 〔式中、Aaは抗腫瘍活性(%)を、Wcはコントロー
ル群の平均腫瘍重量(g)を、そしてWsは検体投与群
の平均腫瘍重量(g)を表す〕から算出した。
【0033】本発明の酵素処理糖タンパク質又は疎水性
糖タンパク質P1若しくはP2を250mg/kg経口
投与した場合の、それぞれの抗腫瘍活性を表4に示す。
併せて、本発明の酵素処理糖タンパク質又は疎水性糖タ
ンパク質P1若しくはP2の代わりに、PSKを添加し
た場合の比較例の結果と、コントロール群の結果とを示
す。表4に示すように、本発明の酵素処理糖タンパク質
並びに疎水性糖タンパク質P1及びP2には、抗腫瘍活
性が認められ、その活性は、PSKの抗腫瘍活性よりも
高かった。
【0034】
【表4】 抗腫瘍活性 平均腫瘍重量 無処置対象 − 1309mg P1 53% 619mg P2 66% 448mg 酵素処理糖タンパク質 33% 873mg PSK 19% 1054mg
【0035】
【発明の効果】本発明による新規な生理活性物質は、担
子菌カワラタケ属由来のタンパク多糖体(例えば、PS
K)よりも、生理活性が高い。従って、前記の担子菌カ
ワラタケ属由来のタンパク多糖体に比べて、少ない投与
量で、抗悪性腫瘍剤又は増殖因子阻害剤(例えば、TG
F−β1阻害剤、又はPDGF阻害剤)として用いるこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:645)

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸体、
    培養物、又は子実体の抽出物を、過ヨウ素酸又はその塩
    類により酸化した後、還元剤で還元し、続いて、酸性条
    件下で緩和水解し、そこで生じた低分子化合物を除去し
    た後、β−1,3−グルカナーゼで酵素処理して得られ
    る酵素処理糖タンパク質。
  2. 【請求項2】 酵素処理糖タンパク質中に含まれるβ−
    1,3−グルカン量が0.001mg/g以下である、
    請求項1に記載の酵素処理糖タンパク質。
  3. 【請求項3】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸体、
    培養物、又は子実体の抽出物が、熱水又はアルカリ溶液
    による抽出物である、請求項1又は2に記載の酵素処理
    糖タンパク質。
  4. 【請求項4】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸体、
    培養物、又は子実体の抽出物が、熱水又はアルカリ溶液
    による抽出物であって、1,3−グルカン、1,4−グ
    ルカン、及び/又は1,6−グルカンと、約5〜60%
    のタンパク質とを含むタンパク多糖体である、請求項1
    〜3のいずれか一項に記載の酵素処理糖タンパク質。
  5. 【請求項5】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸体、
    培養物、又は子実体の抽出物がPSKである、請求項1
    〜4のいずれか一項に記載の酵素処理糖タンパク質。
  6. 【請求項6】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸体、
    培養物、又は子実体の抽出物を、過ヨウ素酸又はその塩
    類により酸化した後、還元剤で還元し、続いて、酸性条
    件下で緩和水解し、そこで生じた低分子化合物を除去し
    た後、β−1,3−グルカナーゼで酵素処理し、更に疎
    水性クロマトグラフィーで分画して得られる疎水性糖タ
    ンパク質。
  7. 【請求項7】 ゲルクロマトグラフィーによる測定で
    5,000〜1,000,000の範囲の分子量を示
    し、フェノール硫酸法で定量した糖質量に対するローリ
    ー−フォーリン法で定量したタンパク質の量(タンパク
    質/糖質)が6〜40であり、タンパク質部分の疎水性
    パラメーターが−10〜−500である、請求項6に記
    載の疎水性糖タンパク質。
  8. 【請求項8】 疎水性糖タンパク質中に含まれるβ−
    1,3−グルカン量が0.001mg/g以下である、
    請求項6又は7に記載の疎水性糖タンパク質。
  9. 【請求項9】 塩酸加水分解物のアミノ酸分析により、
    アスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、
    プロリン、グリシン、アラニン、システイン、バリン、
    メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェ
    ニルアラニン、リジン、ヒスチジン、及びアルギニンが
    検知され、その中でアスパラギン酸、スレオニン、セリ
    ン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、フェニルアラ
    ニン、バリン、イソロイシン、及びロイシンの占める含
    量が、検知全アミノ酸量の80モル%以上である、請求
    項6〜8のいずれか一項に記載の疎水性糖タンパク質。
  10. 【請求項10】 硫酸加水分解後の糖質分析により、フ
    コース、キシロース、マンノース、ガラクトース、及び
    グルコースが検知され、その中でグルコース、マンノー
    ス、及びキシロースの占める含量が検知全糖質量の80
    重量%以上である、請求項6〜9のいずれか一項に記載
    の疎水性糖タンパク質。
  11. 【請求項11】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸
    体、培養物、又は子実体の抽出物が、熱水又はアルカリ
    溶液による抽出物である、請求項6〜10のいずれか一
    項に記載の疎水性糖タンパク質。
  12. 【請求項12】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸
    体、培養物、又は子実体の抽出物が、熱水又はアルカリ
    溶液による抽出物であって、1,3−グルカン、1,4
    −グルカン、及び/又は1,6−グルカンと、約5〜6
    0%のタンパク質とを含むタンパク多糖体である、請求
    項6〜11のいずれか一項に記載の疎水性糖タンパク
    質。
  13. 【請求項13】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸
    体、培養物、又は子実体の抽出物がPSKである、請求
    項6〜12のいずれか一項に記載の疎水性糖タンパク
    質。
  14. 【請求項14】 (i)ゲルクロマトグラフィーによる
    測定で5,000〜1,000,000の範囲の分子量
    を示し、(ii)フェノール硫酸法で定量した糖質量に対
    するローリー−フォーリン法で定量したタンパク質の量
    (タンパク質/糖質)が6〜40であり、(iii)タンパ
    ク質部分の疎水性パラメーターが−10〜−500であ
    り、(iv)疎水性糖タンパク質中に含まれるβ−1,3
    −グルカン量が0.001mg/g以下であり、(v)
    塩酸加水分解物のアミノ酸分析により、アスパラギン
    酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グ
    リシン、アラニン、システイン、バリン、メチオニン、
    イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニ
    ン、リジン、ヒスチジン、及びアルギニンが検知され、
    その中でアスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタ
    ミン酸、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、バリ
    ン、イソロイシン、及びロイシンの占める含量が、検知
    全アミノ酸量の80モル%以上であり、そして(vi)硫
    酸加水分解後の糖質分析により、フコース、キシロー
    ス、マンノース、ガラクトース、及びグルコースが検知
    され、その中でグルコース、マンノース、及びキシロー
    スの占める含量が検知全糖質量の95重量%以上である
    ことを特徴とする、疎水性糖タンパク質。
  15. 【請求項15】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸
    体、培養物、又は子実体の抽出物を化学処理、酵素処
    理、及び分画して得られる、請求項14に記載の疎水性
    糖タンパク質。
  16. 【請求項16】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸
    体、培養物、又は子実体の抽出物であって、1,3−グ
    ルカン、1,4−グルカン、及び/又は1,6−グルカ
    ンと、約5〜60%のタンパク質とを含むタンパク多糖
    体に、化学処理及び酵素処理を施すことを特徴とする、
    酵素処理糖タンパク質の製造方法。
  17. 【請求項17】 カワラタケ属に属する担子菌の菌糸
    体、培養物、又は子実体の抽出物であって、1,3−グ
    ルカン、1,4−グルカン、及び/又は1,6−グルカ
    ンと、約5〜60%のタンパク質とを含むタンパク多糖
    体に、化学処理及び酵素処理を施し、更に疎水性クロマ
    トグラフィーによる分画を施すことを特徴とする、疎水
    性糖タンパク質の製造法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の
    酵素処理糖タンパク質、又は請求項6〜15のいずれか
    一項に記載の疎水性糖タンパク質を含有することを特徴
    とする医薬組成物。
  19. 【請求項19】 抗腫瘍剤である、請求項18に記載の
    医薬組成物。
  20. 【請求項20】 増殖因子阻害剤である、請求項18に
    記載の医薬組成物。
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