JPH09308493A - キシロシル又はキシロビオシル多価フェノール類の製造法 - Google Patents

キシロシル又はキシロビオシル多価フェノール類の製造法

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JPH09308493A
JPH09308493A JP8151586A JP15158696A JPH09308493A JP H09308493 A JPH09308493 A JP H09308493A JP 8151586 A JP8151586 A JP 8151586A JP 15158696 A JP15158696 A JP 15158696A JP H09308493 A JPH09308493 A JP H09308493A
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xylan
xylosyl
xylobiosyl
catechol
polyhydric phenol
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JP8151586A
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Hirofumi Shinoyama
浩文 篠山
Takayuki Yamazaki
隆之 山崎
Eita Fukuzawa
栄太 福沢
Takaaki Fujii
貴明 藤井
Akira Matsuura
明 松浦
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Amano Enzyme Inc
Original Assignee
Amano Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】キシロシル又はキシロビオシル多価フェノール
類を高収率に製造する。 【構成】ペニシリウム属に属し、キシラナーゼ活性をほ
とんど有せず、且つキシロシル又はキシロビオシル多価
フェノール類生成酵素生産能を有する菌株を培養し、得
られた培養物若しくは培養物より採取されたキシロシル
又はキシロビオシル多価フェノール類生成酵素を多価フ
ェノール類存在下でキシラン又はキシラン加水分解物に
接触させ、キシロース残基又はキシロオリゴ糖残基を多
価フェノール類に転移させることを特徴とするキシロシ
ル又はキシロビオシル多価フェノール類の製造法に関す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はキシロシル又はキシロビ
オシル多価フェノール類生成酵素を用いるキシロシル又
はキシロビオシル多価フェノール類の製造法に関する。
【0002】本発明によって製造されるキシロシル又は
キシロビオシル多価フェノール類は、食品用、医薬用、
試薬用及び工業用の有機化合物若しくは有機化合物中間
体として有用である。
【0003】
【従来の技術】これまでに、Aspergillus niger由来β-
1,4-キシロシダーゼ(E.C.3.2.1.37)〔文献名:Agricu
ltural and Biological Chemitry 52(9), 2197〜2202
(1988);Agricultural and Biological Chemitry 55(3),
849〜850 (1991)〕が、フェノール類やアルコール類な
どを配糖化する機能を有する酵素を生産することは知ら
れており、該酵素を用いてキシロシル又はキシロビオシ
ル多価フェノール類を製造することが試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のフェノ
ール類を配糖化する機能を有する酵素は、同時に基質で
あるキシロオリゴ糖の加水分解反応やフェノール類配糖
体の分解反応が同時に進行し、そのために、キシロシル
又はキシロビオシル多価フェノール類が高収率で得られ
ない欠点があった。
【0005】そこで、本発明者は、キシロシル又はキシ
ロビオシル多価フェノール類を高収率で製造することを
目的に、キシロシル又はキシロビオシル配糖化活性が強
く、且つキシランやキシロオリゴ糖の加水分解(キシラ
ナーゼ、β-キシロシダーゼ)活性の弱い酵素を生産す
る菌株を求め鋭意検討した。
【0006】そして、キシラナーゼ、β-キシロシダー
ゼ活性をほとんど持たず、且つキシロシル又はキシロビ
オシル多価フェノール類生成酵素高生産能を有するペニ
シリウム属の菌株を見出だし、該菌株を培養し、得られ
た培養物若しくは培養物より採取されたキシロシル又は
キシロビオシル多価フェノール類生成酵素を多価フェノ
ール類存在下でキシラン又はキシラン加水分解物に接触
させ、キシロース残基又はキシロオリゴ糖残基を多価フ
ェノール類に転移させることに成功し、本発明を完成し
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、まず、キシ
ロシル又はキシロビオシル多価フェノール類生成酵素高
生産能を有する菌株を得る目的で、日本各地から採取し
てきた土壌より、スクリーニングを試みた。
【0008】即ち、キシラン平板培地上に土壌懸濁液を
パスツールピペットにより3滴塗抹後、30℃にて培養
し、生育してきた微生物を分離、純化し、キシラン平板
培地で良好に生育がみとめられた多数の菌株について配
糖化能を検討した結果、カテコールに対して糖供与体と
してキシランを使用した場合にキシロシル又はキシロビ
オシルカテコール生成酵素高生産能を有する菌株を約80
株見いだすことができた。
【0009】次に、これらの天然から分離したキシロシ
ル又はキシロビオシルカテコール生成酵素高生産能菌株
について、キシラナーゼ活性を調べたところ、その中に
キシラナーゼ活性を示さず、キシロシル又はキシロビオ
シル配糖化活性を示す酵素群を産生する菌株が存在する
ことを見いだした。
【0010】本菌株の菌学的性質を以下に示す。
【0011】得られた菌株は、その顕微鏡所見より、 1)幅約3ミクロンの菌糸である 2)隔壁を有し、分生芽胞柄を中心として均斉分岐をし、
典型的な双輪性状を示す 3)射出枝の長さは9〜14ミクロン×2.5〜3.5ミクロン
で、菌糸より分生子托を生じ、その分生子托の先端には
連鎖上の分生子を生じる 4)菌核は不形成であり、結束糸状でない の特徴を有しており、以上の性質から本菌株はペニシリ
ウムに属する菌株であることが明らかであり、Penicill
ium sp.950116-Aと命名され、工業技術院生命工学工業
技術研究所にPenicillium sp.950116-A (FERM-P 1562
8)として寄託されている。
【0012】更に又、本発明者は、ペニシリウム属のタ
イプカルチュア菌を入手して配糖化能およびキシラナー
ゼ活性を同様に調べたところ、Penicillium purpurogen
um IFO 6022においても、キシロシル又はキシロビオシ
ルカテコール生成酵素高活性能を有し、且つキシラナー
ゼ活性をほとんど有しない酵素を産生することを見い出
した。
【0013】本発明者は、こうして得られたこれらの土
壌分離菌及びタイプカルチュア菌の何れかを使用するこ
とによって、糖供与体としてキシランを使用した場合、
カテコール等の多価フェノール類共存下で多価フェノー
ル類にキシロース又はキシロビオースが一残基結合した
キシロシル又はキシロビオシル多価フェノール類を高収
率で製造することに成功したものである。
【0014】本発明のこれら菌株を使用してキシロシル
又はキシロビオシル多価フェノール類生成酵素を生産す
るための培地としては、キシラン及びキシロオリゴ糖等
を炭素源とし、ペプトン、酵母エキス、硫安等を窒素源
とし、それに適当な無機塩を含む液体培地又はフスマ等
の固体培地を使用できる。
【0015】本発明の菌株を培養するに際し、温度20〜
35℃で、2−15日間程度好気的に培養され、液体培地の
場合は、培養後ろ過或いは遠心分離した上澄液を、そし
て固体培養の場合は培養後、水又は適当な無機塩類で抽
出した液を粗酵素液として用いることができる。
【0016】こうして得られた粗酵素液に、エバポレー
ター及び限外ろ過膜等で濃縮後、DEAE−セルロース
カラムクロマトグラフィー、フェニル−トヨパール 650
(トーソー社製)カラムクロマトグラフィー、トヨパ
ール HW-55(トーソー社製)によるゲルろ過等を施すこ
とによって精製し、HPLCによるゲルろ過(TSK gel G300
0SW:トーソー社製)に供することによって、単一な酵
素とすることができる。
【0017】本発明の菌株の一例としてPenicillium pu
rpurogenum IFO 6022を培養し、精製して得られたキシ
ロシル又はキシロビオシルカテコール生成酵素I及びキ
シロシル又はキシロビオシルカテコール生成酵素IIは、
以下の酵素化学的性質を持っている。
【0018】キシロシル又はキシロビオシル多価フェノ
ール類生成酵素I: 作用:キシラン又は、キシラン加水分解物より、多価フ
ェノール類存在下で多価フェノール類の配糖体を生成す
る。
【0019】基質特異性: 加水分解作用:β-キシロシダーゼ活性を有せず、キシ
ロトリオースに作用して、キシロテトラオースより重合
度の高いキシロオリゴ糖の生成する。キシランには、作
用するが微弱である。
【0020】配糖化活性:キシロビオース、カテコール
共存下においては、配糖体の生成は認められないが、キ
シロトリオース、カテコール共存下においては、キシロ
ビオシルカテコールを生成し、キシラン、カテコール共
存下においては、キシロシルカテコール及びキシロビオ
シルカテコールをそれぞれ生成する。
【0021】至適pH:3〜4 安定pH:2.5〜6.0 至適温度:50℃ 熱安定性:pH4.0、30分処理において60℃以下で安定で
ある。
【0022】分子量:HPLC法によって求められた分子量
は、58,000である。
【0023】キシロシル又はキシロビオシル多価フェノ
ール類生成酵素II: 作用:キシラン又は、キシラン加水分解物より、多価フ
ェノール類存在下で多価フェノール類の配糖体を生成す
る。
【0024】基質特異性: 加水分解作用:β-キシロシダーゼ活性を有せず、キシ
ロトリオースに作用して、キシロテトラオースより重合
度の高いキシロオリゴ糖の生成する。キシランには、作
用するが微弱である。
【0025】配糖化活性:キシロビオース、カテコール
共存下においては、配糖体の生成は認められないが、キ
シロトリオース、カテコール共存下においては、キシロ
ビオシルカテコールを生成し、キシラン、カテコール共
存下においては、キシロシルカテコール及びキシロビオ
シルカテコールをそれぞれ生成する。
【0026】至適pH:3〜4 安定pH:2.5〜6.0 至適温度:50℃ 熱安定性:pH4.0、30分処理において60℃以下で安定で
ある。
【0027】分子量:HPLC法によって求められた分子量
は、51,000である。
【0028】以下に、本発明で使用するキシロシル又は
キシロビオシル多価フェノール類生成活性、βキシロシ
ダーゼ活性及びキシラナーゼ活性の各測定方法、さらに
は、蛋白質の定量法及び分子量測定方法を示す。
【0029】(1)キシロシル又はキシロビオシルカテコ
ール生成活性の測定 キシラン0.02g、20.0%カテコール溶液0.5ml、酵素液1.0
mlをL字管に加え、30℃、0および30分間反応後、ウルト
ラフリーCL3LGC(Millipore社製)を用い、8000rpm、4
℃、10分間の遠心分離により前処理した後、反応液中の
キシロシル又はキシロビオシルカテコールの生成量を高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。な
お、操作条件は次のとおりである。分析計、LC-9A型HPL
C分析計(島津製作所社製);カラム、TSK gel ODS-120
T(φ4.6mm×25cm、Tosoh社製);溶媒、アセトニトリ
ル:H2O=1:5(v/v);流速、1.0ml/min;試料量、20μ
l;検出器、SPD-6AV型検出器(島津製作所社製)。この
反応系において1分間に生成するキシロシル又はキシロ
ビオシルカテコールのμmol数をもってキシロシル又は
キシロビオシルカテコール生成活性の単位とした。
【0030】(2)βーキシロシダーゼ活性の測定 20mMフェニル βーキシロシド0.5ml(100mM酢酸ナトリウ
ム緩衝液 pH 5.0)、酵素液0.5mlを30℃、15分間反応
させた後、550mM Na2CO3溶液5mlを加えて反応を停止さ
せた。生成したフェノール量をフォーリン試薬で発色さ
せて660nmで比色定量した。この反応系において、1分間
に加水分解されるフェニル βーキシロシドのμmol数を
もってβーキシロシダーゼ活性の単位とした。
【0031】(3)キシラナーゼ活性の測定 キシラン0.04g、酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)3.0m
l、酵素液1.0mlをL字管に加え、30℃、0および20分間反
応後、0.1mlを分取し、3,6-ジニトロフタル酸法)によ
り生成した還元糖を450nmで比色定量した。
【0032】この反応系において1分間に加水分解され
て生成したキシロース相当の還元糖のμmol数をもって
キシラナーゼ活性の単位とした。
【0033】(4)タンパク質の定量 タンパク質量は牛血清アルブミン(SIGMA社製)を標準
物質とし、Lowryらの方法により定量した。
【0034】(5)分子量の測定 酵素標品の分子量(M.W.)は、HPLCにより測定した。な
お、操作条件は次のとおりである。分析計、LC-9A型HPL
C分析計(島津製作所社製);カラム、TSK gelG3000SW
(φ7.5mm×60cm Tosoh社製);溶媒、200mM NaClを含
む100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0);流速、1.0ml
/min;試料量、35μl;検出器、SPD-6AV型検出器(島津
製作所社製)。また、標準タンパク質(分子量マーカー
SIGMA社製)には、カルボニックアンヒドラーゼ(M.
W. 29000)、牛血清アルブミン(M.W. 66000)、アルコ
ールデヒドロゲナーゼ(M.W. 150000)、β-アミラーゼ
(M.W. 200000)、アポフェリチン(M.W. 443000)を用
いた。
【0035】以下、試験例及び実施例にて本発明を具体
的に説明する。
【0036】試験例1 本発明のPenicillium purpurogenum IFO 6022由来のキ
シロシル又はキシロビオシル多価フェノール類生成酵素
I、II及びPenicillium sp.950116-A (FERM-P15628)の
粗酵素と既知のペニシリウム属キシラナーゼ即ち、Peni
cillium chrysogenum〔文献名:Biochim. Biophys. Act
a 1117, 279〜286 (1992)〕、Penicillium herquei〔文
献名:Agricultural and Biological Chemitry 55(4),
1163〜1165 (1992)〕、Penicillium capsulatum 〔文献
名:Microbiol., 11, 171〜180(1993)〕、Penicillium
purpurogenum 〔文献名:J. Biotecnol., 41, 71〜79
(1995)〕とのそれぞれの分子量及びキシラナーゼ活性に
ついて比較検討したところ表1の結果が得られた。但
し、表1中の分子量において−とあるは、測定されない
ことを示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より明らかなように、本発明の3種の
酵素はいずれも、既知のペニシリウム属キシラナーゼと
比較して、キシラナーゼ活性をほとんど示さないことが
分かり、なお且つ、本発明のキシロシル又はキシロビオ
シル多価フェノール類生成酵素I及びIIは、分子量にお
いても、既知のものと異にしていることが分かる。
【0039】試験例2 キシロシル又はキシロビオシルカテコール生成酵素1を
用いてキシランを糖供与体とし、フェノール、カテコー
ル、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フ
ロログルシノール、ヒドロキシヒドロキノン、ナフトー
ル、アントロン、プロトカテキン酸、没食子酸、バニリ
ン、ベラトリルアルコール、ベラトラムアルデヒド、ベ
ラトラン酸、o−ニトロフェノール、p−メトキシフェノ
ール、2,4-ジニトロフェノール、p-ヒドロキシ安息香
酸、安息香酸エチル及びサリチル酸エチルの各種フェノ
ール性化合物およびその誘導体に対する配糖化能の有無
について検討を行なった。
【0040】その結果は表2に示される。尚、表2中+
++は、配糖化能がより強いことを示し、++は、配糖
化能が強いことを示し、+は、配糖化能を有するが弱い
ことを示し、−は、配糖化能がないことを示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2より明らかなように、検討した化合物
のうちナフトール、アントロン、フェノール、バニリ
ン、ベラトムアルデヒド、ベラトム酸、o-ニトロフェノ
ール、2,4-ジニトロフェノール、p-ヒドロキシ安息香
酸、安息香酸エチル、サリチル酸エチルに対してはほと
んど配糖化能を示さなかったものの、カテコール、カテ
コールの異性体であるレゾルシノール、ハイドロキノン
およびトリフェノール類のピロガロール、フロログルシ
ノール、さらにp-メトキシフェノールに対しては、強い
配糖化能を有していた。
【0043】また弱いながらもヒドロヒドロキシキノ
ン、プロトカテク酸、没食子酸、ベラトリルアルコー
ル、o-メトキシフェノール、p-ニトロフェノール及びp-
ヒドロキシ安息香酸ナトリウムに対しても配糖化能を示
した。
【0044】これにより、本発明のキシロシル又はキシ
ロビオシル多価フェノール類生成酵素Iは、カテコール
のみならず各種多価フェノール類に対して配糖化能を有
することが分かった。
【0045】そして又、本発明のキシロシル又はキシロ
ビオシル多価フェノール類生成酵素IIもキシロシル又は
キシロビオシル多価フェノール類生成酵素Iと同様な性
質を有していることも分かった。
【0046】従って、本発明者は、キシラナーゼ活性が
微弱にもかかわらず、キシラン、多価フェノール共存下
でキシランを分解し、多価フェノールに対し強い配糖化
能を有していること、更に、キシロトリオースよりキシ
ロオリゴ糖を生成する特異な性質をも有していること、
且つまた分子量においても既存のものと異にしているこ
と等を考慮して、本発明の酵素を新規なキシロシル又は
キシロビオシル多価フェノール類生成酵素I及IIと称す
ることとした。
【0047】
【実施例】
実施例1 Penicillium purpurogenum IFO 6022を生育させたPDA
〔ポテト・デキストロース寒天(Difco社製)〕斜面培
地に滅菌水5mlを加え攪拌し、このうち1mlを300mlのキ
シラン液体培地〔0.4% KH2PO4、0.3% (NH4)2SO4 、0.
04% MgSO4・7H2O、0.02% 酵母エキス、0.25% 微量ミ
ネラル(蒸留水500mlにNaCl 0.25g、FeC6H5O7・XH2O 3.
0g、ZnSO4・7H2O 1.0g、MnCl2・4H2O 0.5g、CuSO4・5H2
O 0.05g、(NH4)5Mo7O24・4H2O 0.05g、CoCl2・6H2O 0.0
5g、H3BO4 0.1g、CaCl2・2H2O 2.0gを溶解させたも
の)、2.0% キシランを含む培地をオートクレーブ滅菌
し、使用した。〕を含む1000ml容三角フラスコに植菌
し、28℃、160rpm、7日間回転振とう培養を行ない、培
養ろ液(2600ml、比活性0.3420μmol/min/mg)を得た。
【0048】実施例2 Penicilium sp.950116-A(FERM-P 15628)を生育させたP
DA〔ポテト・デキストロース寒天(Difco社製)〕斜面
培地に滅菌水5mlを加え攪拌し、このうち1mlをオートク
レーブで滅菌した300gのフスマ固体培地を含む1000ml容
三角フラスコに植菌し、28℃、5日間好気培養を行な
い、培養後、水3000mlで抽出し粗酵素液(2700ml、比活
性0.3320μmol/min/mg)を得た。
【0049】実施例3 実施例1で得られた培養ろ液2600mlをロータリーエバポ
レーターにより約1/10に濃縮し、沈殿物を遠心分離およ
び膜ろ過(孔径 0.2μm ザルトリウス社製)により除
去後、限外ろ過装置(アミコン社製)により約1/100に
まで濃縮し、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)に
てpHの平衡化を行った。この濃縮液をあらかじめ同緩衝
液で平衡化したDEAE-Cellulose DE52(ホワットマン社
製)カラム(φ1.6×40cm)に吸着させた後、同緩衝液
により洗浄し、塩化ナトリウムの直線濃度勾配(0〜500
mM)にて溶出し、キシロシル又はキシロビオシルカテコ
ール生成活性を示す画分を回収した。
【0050】得られた活性画分を上記限外ろ過装置にて
濃縮し、1000mM硫酸アンモニウムを含む同緩衝液で平衡
化したフェニル−トヨパール 650 (トーソー社製)カ
ラム(φ1.6×40cm)に吸着させた後、硫酸アンモニウ
ム濃度1000〜0mMの直線濃度勾配によって溶出したとこ
ろ、キシロシル又はキシロビオシルカテコール生成活性
として活性画分Aおよび活性画分Bに分かれて溶出され、
それぞれの活性画分を同様に限外ろ過装置にて濃縮し、
同緩衝液にて平衡化したトヨパール HW-55(トーソー社
製)によるゲルろ過に別々に供し、それぞれのキシロカ
テコール生成酵素活性を回収した。
【0051】これらの最終精製標品をHPLCによるゲルろ
過(TSK ゲル G3000SW トーソー社製)に供したとこ
ろ、活性画分A、Bともに単一なものが得られた。
【0052】また活性画分Aはキシロシル又はキシロビ
オシルカテコール生成活性として1.635μmol/min/mg pr
otein(キシラナーゼ活性として2.814μmol/min/mg pro
tein)の標品が収率17.92%で18.2mg得られ、また活性画
分Bは0.613μmol/min/mg protein(2.723μmol/min/mg
protein)の標品が収率2.81%で7.6mg得られた。
【0053】実施例4 実施例1に記載したキシラン液体培地にてP.purpurogen
um IFO 6022を28℃、160rpm、7日間回転振とう培養後、
本培養ろ液150mlに蒸留水50ml、キシラン2.0g、カテコ
ール10.0gを添加して30℃、24時間、攪拌しつつ反応さ
せた。
【0054】反応後、遠心分離により沈殿物を除去し、
過剰なカテコールを酢酸エチルにより抽出後、水層を濃
縮した。これを蒸留水にて平衡化した350ml容活性炭カ
ラムに吸着させ、40%(v/v)エタノール溶液および20%
(v/v)プロパノール溶液により反応生成物を溶出させ
た。これら溶出画分に含まれる物質についてTLCを用い
て確認したところ、20%プロパノール溶出画分に目的の
反応生成物1及び2の画分が含まれており、さらに本画
分を濃縮、乾固することにより、120mg、100mgの精製標
品1及び2を得た。
【0055】精製標品1及び2をTLCを用いて還元糖発
色試薬であるp-アニシジン塩酸溶液による発色の有無を
調べたところ発色は見られず、いずれも非還元性物質で
あることが確認された。またトリフルオロ酢酸を用いて
これら精製標品を加水分解したところキシロースの遊離
が認められ、さらにこれら精製標品の吸収スペクトルを
測定したところ273nm付近に吸収極大が見られ、カテコ
ールの吸収極大275nmとほぼ一致することから、これら
の物質はキシロース及びキシロビオースの各々とカテコ
ールとを構成成分とする配糖体であることが示唆され
た。
【0056】こうして得られた2つの配糖体のうちのキ
シロース配糖体について、NMRスペクトルによる構造解
析を試みた。
【0057】核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析には、
日本電子JNM-GSX 500核磁気共鳴装置(500MHZ)を使用
した。なお内部標準物質として3-(トリメチルシリル)プ
ロピオン酸-2,2,3,3-d4ナトリウム塩を使用した。
【0058】13C-NMRスペクトルによる本物質のC13化学
シフト値は図1のように帰属され、本物質をキシロシル
カテコールと同定した。
【0059】同様にして、得られたキシロビオース配糖
体についてもNMRスペクトルを試み、ぞれがキシロビ
オシルカテコールであると同定した。
【0060】
【発明の効果】本発明は、キシラナーゼ活性をほとんど
持たず、且つキシロシル又はキシロビオシル多価フェノ
ール類生成酵素高生産能を有するペニシリウム属菌株を
培養し、得られた培養物若しくは培養物より採取された
キシロシル又はキシロビオシル多価フェノール類生成酵
素を多価フェノール類存在下でキシラン又はキシロオリ
ゴ糖に接触させ、キシロース又は、キシロビオシル残基
を多価フェノール類に転移し、これらの配糖体を取得す
ることに成功した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られたキシロシルカテコールの
NMRスペクトルを示すものであり、図1中の数字はキ
シロシルカテコールの炭素鎖の数字を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペニシリウム属に属し、キシラナーゼ活性
    をほとんど有せず、且つキシロシル又はキシロビオシル
    多価フェノール類生成酵素生産能を有する菌株を培養
    し、得られた培養物若しくは培養物より採取されたキシ
    ロシル又はキシロビオシル多価フェノール類生成酵素を
    多価フェノール類存在下でキシラン又はキシラン加水分
    解物に接触させ、キシロース残基又はキシロオリゴ糖残
    基を多価フェノール類に転移させることを特徴とするキ
    シロシル又はキシロビオシル多価フェノール類の製造
    法。
  2. 【請求項2】ペニシリウム属に由来し、且つ以下の酵素
    化学的性質を有することを特徴とするキシロシル又はキ
    シロビオシル多価フェノール類生成酵素I。 作用:キシラン又は、キシラン加水分解物より、多価フ
    ェノール類存在下で多価フェノール類の配糖体を生成す
    る。 基質特異性: 加水分解作用:β-キシロシダーゼ活性を有せず、キシ
    ロトリオースに作用して、キシロテトラオースより重合
    度の高いキシロオリゴ糖の生成する。キシランには、作
    用するが微弱である。 配糖化活性:キシロビオース、カテコール共存下におい
    ては、配糖体の生成は認められないが、キシロトリオー
    ス、カテコール共存下においては、キシロビオシルカテ
    コールを生成し、キシラン、カテコール共存下において
    は、キシロシルカテコール及びキシロビオシルカテコー
    ルをそれぞれ生成する。 至適pH:3〜4 安定pH:2.5〜6.0 至適温度:50℃ 熱安定性:pH4.0、30分処理において60℃以下で安定で
    ある。 分子量:HPLC法によって求められた分子量は、58,000で
    ある。
  3. 【請求項3】ペニシリウム属に由来し、且つ以下の酵素
    化学的性質を有することを特徴とするキシロシル又はキ
    シロビオシル多価フェノール類生成酵素II。 作用:キシラン又は、キシラン加水分解物より、多価フ
    ェノール類存在下で多価フェノール類の配糖体を生成す
    る。 基質特異性: 加水分解作用:β-キシロシダーゼ活性を有せず、キシ
    ロトリオースに作用して、キシロテトラオースより重合
    度の高いキシロオリゴ糖の生成する。キシランには、作
    用するが微弱である。 配糖化活性:キシロビオース、カテコール共存下におい
    ては、配糖体の生成は認められないが、キシロトリオー
    ス、カテコール共存下においては、キシロビオシルカテ
    コールを生成し、キシラン、カテコール共存下において
    は、キシロシルカテコール及びキシロビオシルカテコー
    ルをそれぞれ生成する。 至適pH:3〜4 安定pH:2.5〜6.0 至適温度:50℃ 熱安定性:pH4.0、30分処理において60℃以下で安定で
    ある。 分子量:HPLC法によって求められた分子量は、51,000で
    ある。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6465327B1 (en) * 1999-06-30 2002-10-15 Commissariat A L'energie Atomique Method for producing a thin membrane and resulting structure with membrane
JP2008187927A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Chiba Univ 新規なフェノール配糖化酵素

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