JPH09307086A - 回路内蔵受光素子 - Google Patents

回路内蔵受光素子

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JPH09307086A
JPH09307086A JP8122054A JP12205496A JPH09307086A JP H09307086 A JPH09307086 A JP H09307086A JP 8122054 A JP8122054 A JP 8122054A JP 12205496 A JP12205496 A JP 12205496A JP H09307086 A JPH09307086 A JP H09307086A
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Takahiro Takimoto
貴博 瀧本
Masaru Kubo
勝 久保
Naoki Fukunaga
直樹 福永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分割フォトダイオードPDを搭載した回路内
蔵受光素子101において、該分割フォトダイオードの
分割部DBに光ビームが照射された際に、光キャリアが
拡散で移動する距離が長くなることによる応答速度の劣
化を改善し、遮断周波数を向上する。 【解決手段】 P型シリコン基板1と、該基板1上に形
成されたP型エピタキシャル層2と、該エピタキシャル
層2の表面領域に選択的に形成された複数のN型拡散層
3とを備え、上記P型エピタキシャル層2と該各N型拡
散層3とにより、信号光を検出してその光電変換信号を
出力する光検出フォトダイオード部D1,D2,D3,
D5を構成し、該複数の光検出フォトダイオード部によ
り分割フォトダイオードPDを構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電変換信号を処
理する回路を内蔵した回路内蔵受光素子に関し、特に、
複数の光検出フォトダイオード部からなる分割フォトダ
イオードのような、受光領域が分割された受光素子にお
ける、その応答速度の改善を図るための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】このような分割フォトダイオードは、た
とえば光ピックアップの信号検出用素子として従来から
用いられている。
【0003】近年、光ディスク装置の小型高性能化に伴
い、光ピックアップの小型軽量化が重要となっている。
これを実現するために、トラッキングビームを生成する
ための機能、光分岐を行うための機能、誤差信号を生成
するための機能を1つのホログラム素子に集積化し、レ
ーザダイオード及びフォトダイオード等を1つのパッケ
ージ(図示せず)内に収容し、上記ホログラム素子をパ
ッケージ上面に配した構造の光モジュールが提案されて
いる。
【0004】図9は、上記ピックアップの光学系の概略
構成を示す。この光学系における信号検出原理を簡単に
説明すると、レーザダイオードLDから出射された光
は、ホログラム素子31の裏面側に配置されたトラッキ
ングビーム生成用回折格子30により、2つのトラッキ
ング用副ビームと1つの情報信号読出し用主ビームとの
3つの光ビームに分けられる。
【0005】そして、上記パッケージ上面のホログラム
素子31を0次光として透過したこれらの光は、コリメ
ートレンズ32で平行光に変換された後、対物レンズ3
3によってディスク34上に集光される。このディスク
34上のピットによる変調を受けた反射光は、対物レン
ズ33、コリメートレンズ32を透過した後、ホログラ
ム素子31によって回折され、1次回折光として、分割
された5つの光検出部(光検出フォトダイオード部)D
1〜D5を有する5分割フォトダイオードPD上に導か
れる。
【0006】ここで上記ホログラム素子31は、回折周
期の異なる2つの領域31a及び31bからなり、主ビ
ームの反射光のうち、その一方の領域31aに入射した
ものが、上記光検出部D2及びD3を分割する分割部D
B上に、上記主ビームの反射光のうち、他方の領域31
bに入射したものが光検出部D4上に集光されるように
なっている。また、2つの副ビームの反射光のうち上記
ホログラム素子31の領域31aに入射したものは、そ
れぞれ光検出部D1,D5上に集光される。また上記光
学系は、ホログラム素子31とディスク34との距離の
変化に応じて、主ビームの反射光のフォトダイオードP
D上での位置が光検出フォトダイオード部D2,D3の
並ぶ方向に変化するようになっており、主ビームの焦点
がディスク上で合っている時は、その反射光が上記光検
出フォトダイオード部D2とD3の間の分割部DBに入
射するようになっている。
【0007】従って、5分割フォトダイオードPDの、
上記各光検出部D1〜D5に対応する出力をS1〜S5
とすると、フォーカス誤差信号FESは、 FES=S2−S3 で与えられる。
【0008】一方、トラッキング誤差は、いわゆる3ビ
ーム法で検出される。2つのトラッキング用副ビームは
それぞれ光検出部D1,D5上に集光されるので、トラ
ッキング誤差信号TESは、 TES=S1−S5 で与えられる。この誤差信号TESが0であるとき、主
ビームが照射すべきトラック上に位置していることにな
る。また、再生信号RFは、主ビームの反射光を受光す
る光検出部D2〜D4の出力の総和として RF=S2+S3+S4 で与えられる。
【0009】図10は上記光学系の構成に組み込まれた
5分割フォトダイオードPDの構造を示す平面図であ
る。ここでは5分割フォトダイオードとともに基板上に
組み込まれている信号処理回路は図示していない。図に
おいて、200は、従来から用いられていた光検出用の
5分割フォトダイオードPDを搭載した回路内蔵受光素
子であり、202は各光検出フォトダイオード部D1〜
D5に共通のアノード電極、203a〜203eは上記
各光検出フォトダイオード部D1〜D5に対応するカソ
ード電極である。
【0010】この5分割フォトダイオードの形状は上記
光学系により決まり、ここではフォトダイオードの光検
出部は縦長の形状、つまり図10中の矢印Yの方向に長
い形状となる。この形状は以下の理由により決まる。
【0011】上記光学系を構成するレーザダイオードL
DとフォトダイオードPDは、1つのパッケージに組み
込まれ、ホログラム素子31はこのパッケージ上面に接
着されている。このレーザダイオードとフォトダイオー
ドとはその位置合わせの際、上記光検出部D2,D3と
光検出部D4とが並ぶ方向Y、及びこれと垂直な方向X
に相対的にずれるバラツキが生ずる。また、上記レーザ
ダイオードLDの発振波長は個体間でバラツキがあり、
温度変動に起因して変化する。
【0012】ここで、上記レーザダイオードとフォトダ
イオードとの位置合わせにおける上記Y方向の位置ずれ
や発振波長のバラツキによる回折光の回折角の変化に起
因して、フォトダイオードPDの受光面上に入射するデ
ィスクからの反射光の位置が上記Y方向に変化する。
【0013】このため、フォトダイオードPDの受光面
は、図10に示すようにY方向,つまり、上記回折角の
変化により回折光のフォトダイオードへの入射位置が変
わる方向の寸法を広くとる必要がある。
【0014】また、上記受光面のY方向と直交するX方
向については、レーザダイオードの発振波長の個体間バ
ラツキと温度変動に起因する発振波長変化とにより回折
光の回折角が変化しても、回折光のフォトダイオードへ
の入射位置が変化することはない。また、レーザダイオ
ードとフォトダイオードの位置合わせにおけるX方向の
位置ずれは、パッケージ上面にホログラム31を接着す
る際、これを回転させることで調整できるため、X方向
の受光面の寸法を広くとる必要がない。しかも、受光面
のX方向の寸法については、このX方向にならぶ3ビー
ム、つまり1つの主ビームと2つの副ビームが離れてい
ると光ピックアップを光ディスク装置に組み込む際に調
整が難しくなるため、フォトダイオードの各光検出部D
1〜D5の幅および光検出部間の分割部DBの幅は狭く
する必要がある。
【0015】以上のことから、フォトダイオードPDの
各光検出部の形状は図10に示すように必然的に縦長の
構造,つまり回折角の変化により回折光のフォトダイオ
ードへの入射位置が変わる方向の寸法が長い構造となっ
てしまう。
【0016】図11は、図10に示す、回路内蔵受光素
子のフォトダイオードのa−a’線部分の断面構造を示
す図である。この図では、メタル処理工程以後の工程に
より形成される構造、例えば多層配線、保護膜等は省略
している。
【0017】図11において、200は上記5分割フォ
トダイオードPDを信号処理回路(図示せず)とともに
搭載した回路内蔵受光素子で、そのP型半導体基板11
上にはN型エピタキシャル層14が形成されている。該
基板11とN型エピタキシャル層14の境界部分には、
選択的にP型埋め込み拡散層12が形成されており、該
N型エピタキシャル層14の表面部分には、該P型埋め
込み拡散層12に達するようP型分離拡散層15が形成
されている。そして、上記P型埋め込み拡散層12及び
これにつながるP型分離拡散層15により、上記N型エ
ピタキシャル層14が複数のN型半導体領域に分割され
ている。ここで、該分割された個々のN型半導体領域と
その下側の基板部分とにより、信号光を検出する光検出
フォトダイオード部D1〜D5が構成されている。
【0018】また、上記N型エピタキシャル層14の表
面には酸化膜17が形成されており、上記フォトダイオ
ード部D1,D2,D3,D5を構成するN型エピタキ
シャル層14の表面部分及び分割フォトダイオードの分
離部となるP型拡散層15の表面部分では、上記酸化膜
17は除去されており、これらの部分には、P型拡散層
16が形成されている。そして、該P型拡散層16の表
面上には、反射防止膜となるようレーザダイオードの波
長に合わせてその膜厚が設定されたシリコン窒化膜18
が形成されている。なお19aは、上記分割フォトダイ
オードPDの両端側のP型分離拡散層15上に形成され
た、上記アノード電極202を構成する電極配線、19
は窒化膜18の表面の信号光があたらない部分に形成さ
れた金属膜である。
【0019】このフォトダイオードの作製方法は以下の
とおりである。まず、P型半導体基板11上の、光検出
部を分割する分割部となる領域に、P型埋め込み拡散層
12を形成する(図12(a))。
【0020】次に、図12(b)に示すようにP型半導
体基板11の表面全面にN型エピタキシャル層14を形
成する。その後N型エピタキシャル層14の、P型埋め
込み拡散層12上に位置する部分にP型分離拡散層15
を形成する。これにより、電気的に分離された光検出部
D1〜D5が形成される。
【0021】次いで、N型エピタキシャル層14の表面
および光検出部D1〜D5の分割部となるP型分離拡散
層15の表面にP型拡散層16を形成する(図12
(c))。
【0022】さらに、図12(d)に示すように、P型
拡散層16の形成時にその表面に形成された酸化膜17
のうち、P型拡散層16表面の受光領域に対応する部分
を除去して、全面に窒化膜18を形成する。この際、該
窒化膜18の膜厚は、これが反射防止膜となるよう、レ
ーザダイオードの波長に合ったものとする。
【0023】そして、上記窒化膜18及び酸化膜17に
電極窓を開口して、電極配線19aを形成すると同時に
窒化膜18の表面の信号光があたらない部分に金属膜1
9を形成して、図11に示す構造の5分割フォトダイオ
ードPDを得る。また信号処理回路部分(図示せず)は
通常のバイポーラICプロセスにより上記半導体基板1
1上に作製される。
【0024】このような構成の回路内蔵受光素子200
の5分割フォトダイオードPDでは、光検出部D1〜D
5の分割部のPN接合はP型拡散層16によって覆われ
ているため、窒化膜18をフォトダイオード表面に直接
形成しても接合リークの増大等の問題は起こらない。し
たがって、実際に集光ビームが当たるフォトダイオード
の光検出部D2及びD3間の分割部DBでは、集光ビー
ムの受光面での反射は、窒化膜18により低反射に抑え
られるため、フォトダイオードの高感度化が実現でき
る。
【0025】また、上記分割フォトダイオードPDの、
信号光が当たらない部分に、ここでは光検出部D1とD
2の間、及び光検出部D3とD5の間に金属膜19が形
成されているため、迷光などの影響を受けにくくなり、
フォトダイオードのS/Nを向上することができる。
【0026】ところが、再生信号RFを処理する光検出
部D2,D3,D4は特に高速動作が必要とされる。そ
の内、光検出部D2及びD3では、光ビームがこれらの
分割部DBに照射された場合、各光検出部の中央に光ビ
ームが照射された時に比べて遮断周波数が低下してしま
う。
【0027】デバイスシミュレーションを使用して上記
隣接する光検出部の分割部DBに光ビームが照射された
状態を解析した結果、この状態では光キャリアが該分割
部DBのP型埋込拡散層12を迂回して、N型エピタキ
シャル層14とP型半導体基板11の接合に到達するこ
とから、光キャリアが拡散で移動する距離が長くなって
いることが上記遮断周波数の低下の原因であることがわ
かった。
【0028】そこで、このような遮断周波数の低下に対
する対策を講じた光検出用の分割フォトダイオードがす
でに開発されている。
【0029】図13はこのような改良型の分割フォトダ
イオードの構成を説明するための図であり、上記図11
に示す、回路内蔵受光素子200の分割フォトダイオー
ドPDの断面構造に相当する部分を示している。
【0030】図において、201は改良型の分割フォト
ダイオードPD1を搭載した回路内蔵受光素子で、これ
は、図11に示す分割フォトダイオードPDにおける基
板11の、各光検出フォトダイオード部D1,D2,D
3,D5を構成する部分に、N型埋込拡散層13を形成
したものである。
【0031】この構造のフォトダイオードPD1を搭載
した回路内蔵受光素子201の作成方法は、上記分割フ
ォトダイオードPDを搭載した回路内蔵受光素子200
の形成プロセスにおいて、予めP型半導体基板11表面
の、光検出フォトダイオードを形成すべき予定領域の一
部に、N型埋込拡散層13を形成しておく点のみ異な
り、該N型埋込拡散層の形成後の処理は、上記回路内蔵
受光素子200の作製プロセスにおけるものと同じであ
る。
【0032】このような構造の光検出用の分割フォトダ
イオードPD1では、分割部DBである、光キャリアが
迂回するP型埋込拡散層12の近傍にN型埋込拡散層1
3が位置することになる。このため、光検出フォトダイ
オードの分割部DBに光ビームを照射した際、光キャリ
アが上記分割部DB下側の深い位置からこの分離部DB
を迂回してPN接合面まで移動する経路において、空乏
領域が分割部近傍まで広がることになり、光キャリアが
拡散により移動する距離が短くなり、これにより遮断周
波数の向上を図っている。
【0033】また、上記分割フォトダイオードPD1で
は、P型半導体基板11と、N型エピタキシャル層14
の接合位置に比べて、P型半導体基板11とN型埋込拡
散層13の接合位置が深くなるため、光キャリアが深さ
方向に拡散により移動する距離が短くなっている。この
ため、分割部以外に光ビームが照射された時の遮断周波
数も向上したものとなっている。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したよ
うに、個々のフォトダイオード部にN型埋込拡散層13
を形成している、改良型分割フォトダイオードを搭載し
た回路内蔵受光素子においても、以下の点で改善の余地
がある。
【0035】つまり、上記分割フォトダイオードでは、
受光領域を分割する分割部DBの下側部分で発生した光
キャリアが分割部DBとしてのP型埋込拡散層12を迂
回するという問題は本質的には解決されていない。この
ため、改良型の分割フォトダイオードPD1において、
遮断周波数が改善されたとはいえ、依然として光検出部
D2およびD3では、光ビームがこれらの分割部DBに
照射された場合は、各光検出部の中央に光ビームが照射
された場合に比べて遮断周波数が低下することとなる。
【0036】また、信号光の周波数が短くなると、光キ
ャリアが基板の浅い部分で多く発生することとなるが、
分割フォトダイオードの分離部であるP型分離拡散層1
5は不純物濃度が高いため、光キャリアのライフタイム
が短く、感度が低下するという問題もある。
【0037】このような問題は、分離部DBとしてP型
分離拡散層を用いる限り生じる問題であり、本質的な解
決のためには、P型分離拡散層を用いないで分割部を形
成しなければならないということになるが、基板上に複
数の素子をモノリシックに搭載する上で、上記P型分離
拡散層は必須のものであり、以下このP型分離拡散層が
必要となる理由について説明する。
【0038】まず、光電変換信号の信号処理回路を搭載
した回路内蔵受光素子では、受光素子が形成される基板
と同一の基板上に、信号処理回路を構成する回路素子、
例えばNPNトランジスタなどが形成されることとな
る。各回路素子は導電性などの観点からN型エピタキシ
ャル層内に形成されるが、この場合、N型エピタキシャ
ル層内の各素子を電気的に分離するためには、隣り合う
素子が配置される領域間で、各領域の電位レベルに拘わ
らず電流が流れないようにする必要がある。このため隣
り合う素子が配置される領域間を半導体層により電気的
に分離するには、これらの領域間にPN接合とNP接合
とが介在するよう、N型エピタキシャル層とは逆導電型
のP型分離拡散層を形成する必要がある。
【0039】このような素子の分離構造は、光電変換素
子である複数のフォトダイオード部を同一基板上に配設
する場合にも適用されるものであり、特に、信号処理回
路を搭載した回路内蔵受光素子では、P型半導体基板と
その上のN型エピタキシャル層からなる、分割フォトダ
イオードを構成する複数の光検出フォトダイオード部も
それぞれ、該N型エピタキシャル層内に形成したP型分
離拡散層により電気的に分離する構造を採用している。
【0040】本発明は上記のような問題を解決するため
になされたものであり、光ビームが隣接する光検出部を
分割する分割部に照射された状態での応答速度の劣化を
改善できる回路内蔵受光素子を得ることを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】この発明(請求項1)に
係る回路内蔵受光素子は、第1導電型半導体基板と、該
第1導電型半導体基板上に形成された第1導電型半導体
層と、該第1導電型半導体層の表面領域に選択的に形成
された複数の第2導電型半導体層とを備えている。
【0042】この回路内蔵受光素子では、該第1導電型
半導体層と、該各第2導電型半導体層とにより、信号光
を検出してその光電変換信号を出力する光検出フォトダ
イオード部が複数構成され、該複数の光検出フォトダイ
オード部により分割フォトダイオードが構成されてい
る、また、該第1導電型半導体層の、該分割フォトダイ
オードが形成されている領域とは電気的に分離された領
域には、該光電変換信号を処理する信号処理回路を構成
する回路素子が形成されている。そのことにより上記目
的が達成される。
【0043】この発明(請求項2)は、上記請求項1記
載の回路内蔵受光素子において、前記分割フォトダイオ
ードが、前記各第2導電型半導体層を、隣接する第2導
電型半導体層から延びる空乏層が互いに接触するよう配
置した構造となっているものである。
【0044】この発明(請求項3)は、上記請求項2記
載の回路内蔵受光素子において、前記分割フォトダイオ
ードを、これを構成する前記各第2導電型半導体層から
延びる空乏層が、前記第1導電型半導体基板内部にまで
到達する構造としたものである。
【0045】この発明(請求項4)は、上記請求項2ま
たは3記載の回路内蔵受光素子において、前記第1導電
型半導体層を、前記第1導電型半導体基板としてのP型
半導体基板上に成長されたP型エピタキシャル層とした
ものである。
【0046】このP型エピタキシャル層は、前記光検出
フォトダイオード部を構成する第2導電型半導体層とし
てのN型拡散層と、前記信号処理回路の回路素子である
NPNトランジスタの形成領域としてのNウェル拡散層
と、該回路素子である縦型PNPトランジスタを構成す
るN型ベース拡散層とを有するものとなっている。
【0047】また、該光検出フォトダイオード部を構成
するN型拡散層は、該NPNトランジスタ形成用のNウ
ェル拡散層及び該縦型PNPトランジスタのN型ベース
拡散層と同一工程にて形成したものとなっている。
【0048】この発明(請求項5)は、上記請求項1な
いし4のいずれかに記載の回路内蔵受光素子において、
前記第1導電型半導体層として、比抵抗が3Ωcm以上
の高比抵抗半導体層を用いたものである。
【0049】この発明(請求項6)は、上記請求項1な
いし4のいずれかに記載の回路内蔵受光素子において、
前記第1導電型半導体基板として、比抵抗が20Ωcm
以上の高比抵抗基板を用い、前記第1導電型半導体層と
して、比抵抗が3Ωcm以上の高比抵抗半導体層を用い
たものである。
【0050】この発明(請求項7)に係る回路内蔵受光
素子は、第1導電型半導体基板と、該第1導電型半導体
基板上に形成された第1導電型半導体層と、該第1導電
型半導体基板上に選択的に形成された、該第1導電型半
導体層の表面から該第1導電型半導体基板の内部まで達
する複数の第2導電型半導体層とを備えている。
【0051】そして、本回路内蔵受光素子では、該第1
導電型半導体層及び第1導電型半導体基板と、該各第2
導電型半導体層とにより、信号光を検出してその光電変
換信号を出力する光検出フォトダイオード部が複数構成
され、該複数の光検出フォトダイオード部により分割フ
ォトダイオードが構成されている。また、該第1導電型
半導体層の、該分割フォトダイオードが形成されている
領域と電気的に分離された領域には、該光電変換信号を
処理する信号処理回路を構成する複数の回路素子が形成
されている。そのことにより上記目的が達成される。
【0052】この発明(請求項8)は、上記請求項7記
載の回路内蔵受光素子において、前記第1導電型半導体
基板として、比抵抗が20Ωcm以上の高比抵抗基板を
用いたものである。
【0053】以下、本発明の作用について説明する。こ
の発明(請求項1)においては、第1導電型半導体基板
上に形成された第1導電型半導体層と、該第1導電型半
導体層の表面領域に選択的に形成された複数の第2導電
型半導体層とを備え、該第1導電型半導体層と該各第2
導電型半導体層とにより、分割フォトダイオードを構成
する複数の光検出フォトダイオード部を形成したから、
隣接する光検出フォトダイオード部の間は、第1導電型
半導体層により分離されることとなる。つまり、第1導
電型半導体基板の、分割フォトダイオードの分離部に対
応する表面領域には、第1導電型半導体基板上に形成さ
れた第2導電型半導体層を複数の領域に分離するための
高濃度の第1導電型分離拡散領域は存在しない。
【0054】このため、上記分割フォトダイオードの分
割部には光ビームが照射された際、光キャリアが上記分
離拡散領域を迂回する現象が起こらず、結果的に光キャ
リアがPN接合まで拡散により移動する距離を短くでき
る。これにより応答速度を改善することができ、遮断周
波数を向上することができる。
【0055】また、分割フォトダイオードの分離部には
濃度の高い分離拡散層は存在していないため、信号光の
波長が短くなって光キャリアが基板の浅い部分で多く発
生することとなっても、光キャリアのライフタイムが短
くなって感度が低下するということもない。
【0056】この発明(請求項2)においては、上記請
求項1記載の回路内蔵受光素子において、前記分割フォ
トダイオードの各第2導電型半導体層を、隣接する第2
導電型半導体層から延びる空乏層が互いに接触するよう
配置したので、隣接する光検出フォトダイオード部の分
離部に信号光が照射された場合に、光検出フォトダイオ
ード部の中央部に信号光が照射された場合に比べて応答
速度が低下するのを抑制することができる。
【0057】この発明(請求項3)においては、上記請
求項2記載の回路内蔵受光素子において、前記分割フォ
トダイオードを、これを構成する前記各第2導電型半導
体層から延びる空乏層が、前記第1導電型半導体基板内
部にまで到達する構造としたので、第1導電型半導体層
を形成する際に、信号処理回路の回路素子を構成する半
導体領域の不純物がオートドープにより基板やその上の
半導体層中に侵入しても、光検出フォトダイオード部で
は、上記オートドープによりポテンシャルの谷部や山部
が生じる領域も空乏化されることとなる。このため、上
記オートドープに起因する応答速度の劣化を抑制でき
る。
【0058】この分割フォトダイオードの構造では、上
記第1導電型半導体層と第2導電型型半導体層との接合
の深さ位置が光の侵入長の半分以上となるよう、該第2
導電型半導体層を形成することにより、応答速度の劣化
の抑制効果をより大きくできる。
【0059】この発明(請求項4)においては、上記請
求項2または3記載の回路内蔵受光素子において、前記
第1導電型半導体基板及びその上に第1導電型半導体層
として形成されたエピタキシャル層の導電型をそれぞれ
P型とし、このP型エピタキシャル層の表面領域に位置
する、光検出フォトダイオード部を構成する第2導電型
半導体層としてのN型拡散層を、信号処理回路のNPN
トランジスタ形成用のNウェル拡散層及び該縦型PNP
トランジスタのN型ベース拡散層と同一工程にて形成し
たものとしたので、製造工程の簡略化により、製造コス
トの削減を図ることができる。
【0060】この発明(請求項5)においては、上記請
求項1ないし4のいずれかに記載の回路内蔵受光素子に
おいて、前記第1導電型半導体層として、比抵抗が3Ω
cm以上の高比抵抗半導体層を用いたので、基板上の、
光検出フォトダイオード部が形成される半導体層は、通
常の回路内蔵受光素子で使用される半導体層に比べて比
抵抗の高いものとなる。これにより分割フォトダイオー
ドの接合容量が低減されることとなり、分割フォトダイ
オードの応答速度の高速化により遮断周波数を向上する
ことができる。
【0061】この発明(請求項6)においては、上記請
求項1ないし4のいずれかに記載の回路内蔵受光素子に
おいて、前記第1導電型半導体基板として、比抵抗が2
0Ωcm以上の高比抵抗基板を用い、前記第1導電型半
導体層として、比抵抗が3Ωcm以上の高比抵抗半導体
層を用いたので、基板及びその上の、光検出フォトダイ
オード部が形成される半導体層がそれぞれ、通常の回路
内蔵受光素子で使用される基板及びその上の半導体層に
比べて比抵抗の高いものとなる。これにより分割フォト
ダイオードの接合容量をさらに低減することが可能とな
り、分割フォトダイオードの応答速度のさらなる高速化
により遮断周波数を一層向上することができる。
【0062】この発明(請求項7)においては、第1導
電型半導体基板上に形成された第1導電型半導体層と、
該第1導電型半導体層の表面領域に選択的に形成され
た、該第1導電型半導体層の表面から該第1導電型半導
体基板の内部まで達する複数の第2導電型半導体層とを
備え、該第1導電型半導体層及び第1導電型半導体基板
と該各第2導電型半導体層とにより、分割フォトダイオ
ードを構成する複数の光検出フォトダイオード部を形成
したので、分割フォトダイオードの分割部には光ビーム
が照射された際に、光キャリアが上記分離拡散領域を迂
回する現象を回避できるだけでなく、オートドープに起
因して応答速度が劣化するという問題を解消できる。
【0063】つまり、この発明では、オートドープによ
り不純物が基板とその上の半導体層との界面部分に侵入
しても、光検出フォトダイオード部では、これを構成す
る第2導電型半導体層内に該不純物の侵入領域が含まれ
るため、該侵入部分ではオートドープにより生ずるポテ
ンシャルの山部や谷部が、第2導電型半導体層のポテン
シャルにより打ち消されることとなる。これによりオー
トドープによる分割フォトダイオードの応答性の劣化を
回避できる。
【0064】この発明(請求項8)においては、上記請
求項7記載の回路内蔵受光素子において、前記第1導電
型半導体基板を、比抵抗が20Ωcm以上となるよう高
比抵抗化したので、分割フォトダイオードの接合容量を
低減して、さらなる応答速度の向上を図ることができ
る。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。 (実施形態1)図1は本発明の実施形態1による回路内
蔵受光素子を説明するための図であり、該回路内蔵受光
素子に搭載された分割フォトダイオードの断面構造を示
している。また、図2(a)〜図2(c)は上記回路内
蔵受光素子の製造方法における分割フォトダイオードの
形成プロセスを工程順に示す断面図である。なおこれら
の図では、信号処理回路部分、及びメタル形成工程以降
の工程により形成される構造、例えば多層配線、保護膜
などは省略している。
【0066】図において、101は本実施形態1の回路
内蔵受光素子であり、不純物濃度1.5×1014atoms/
cm3のP型シリコン基板1と、該基板1上に形成された
不純物濃度5×1015atoms/cm3のP型エピタキシャル
層2と、該P型エピタキシャル層2の表面領域に選択的
に形成された、ピーク不純物濃度が4×1017atoms/cm
3である複数のN型拡散層3とを備えている。
【0067】この受光素子101では、上記P型エピタ
キシャル層2と、該各N型拡散層3とにより、信号光を
検出してその光電変換信号を出力する光検出フォトダイ
オード部D1,D2,D3,D5が複数構成され、これ
らの複数の光検出フォトダイオード部により分割フォト
ダイオードPDが構成されている。図1では、図示して
いないが、図10に示す光検出フォトダイオード部D4
も、上記基板上に形成されている。
【0068】また、上記P型エピタキシャル層2の表面
には酸化膜4が形成されており、上記フォトダイオード
部D1,D2,D3,D5を構成するN型拡散層3の表
面部分では、上記酸化膜4は開口されている。そして、
該N型拡散層3及び酸化膜4上には、反射防止膜となる
ようレーザダイオードの波長に合わせてその膜厚を設定
したシリコン窒化膜5が形成されている。なお、3sは
上記各N型拡散層3からP型エピタキシャル層2内に広
がる空乏層、6は上記分割フォトダイオードPDの両端
側のP型エピタキシャル層2に接触するよう形成され
た、上記アノード電極202(図10参照)を構成する
電極配線、6aは窒化膜5の表面の信号光があたらない
部分に形成された金属膜である。
【0069】さらに、本回路内蔵受光素子101では、
図3に示すように、上記P型エピタキシャル層2の、該
分割フォトダイオードPDが形成されている領域とは電
気的に分離された領域には、該光電変換信号を処理する
信号処理回路SCを構成する回路素子として、例えば縦
型NPNトランジスタTaや縦型PNPトランジスタT
bが形成されている。
【0070】またここでは、分割フォトダイオードの接
合容量が大きいことから、フォトダイオードの応答速度
がCR時定数の成分により遅くなるのを避けるため、P
型シリコン基板1とP型エピタキシャル層2を高比抵抗
化して、分割フォトダイオードの接合容量を下げてい
る。例えば、通常P型シリコン基板1の比抵抗は15Ω
cmでP型エピタキシャル層2の比抵抗は1Ωcmであ
るが、ここでは、P型シリコン基板の比抵抗を100Ω
cm,P型エピタキシャル層2の比抵抗を3Ωcmとし
ている。これにより、分割フォトダイオードの接合容量
が2.21×104pF/cm2から1.2×104pF
/cm2と低減される。
【0071】次に上記受光素子の製造方法について説明
する。まず、図2(a)に示すように、不純物濃度1.
5×1014atoms/cm3のP型シリコン基板1上に不純物
濃度5×1015atoms/cm3のP型エピタキシャル層2を
成長させる。続いてP型エピタキシャル層2の表面領域
に選択的にピーク不純物濃度4×1017atoms/cm3のN
型拡散層3を複数形成する。この時、P型エピタキシャ
ル層2およびN型拡散層3の表面には、シリコン酸化膜
4が形成される。また、上記N型拡散層3と、これに隣
接するP型エピタキシャル層2とにより、フォトダイオ
ード部D1〜D3,D5が形成されることとなる。
【0072】次に、図2(b)に示すように、上記シリ
コン酸化膜4の、N型拡散層3の表面の受光領域に対応
する部分を除去して、全面にシリコン窒化膜5を形成す
る。この窒化膜5は反射防止膜となるようにレーザダイ
オードの波長にあわせてその膜厚が設定される。
【0073】その後、図2(c)に示すように、上記窒
化膜5および酸化膜4に電極窓を開口して、電極配線6
を形成すると同時に、光検出フォトダイオード部PDの
分割部のうち、信号光を照射しない領域に窒化膜5を介
して金属膜6aを形成する。これにより、図1に示す構
造の分割フォトダイオードPDを得る。
【0074】また、受光素子101の信号処理回路SC
を構成する回路素子(図3参照)は、通常のバイポーラ
ICプロセスにより上記P型シリコン基板1上に形成さ
れる。
【0075】以下、上記回路素子の製造プロセスについ
て図3を用いて簡単に説明する。ここでは、上記回路素
子として、NPNトランジスタTaと縦型PNPトラン
ジスタTbとを挙げる。
【0076】まず、P型シリコン高比抵抗基板(不純物
濃度1.5×1014atoms/cm3)1上に素子分離のため
のPウェル(ピーク不純物濃度1×1016atoms/cm3
51を形成する。続いて、そのPウェル51の表面に、
NPNトランジスタTaのコレクタ抵抗を低減するため
の高濃度のN+型埋込拡散層(ピーク不純物濃度1×1
19atoms/cm3)52aを形成すると同時に、縦型PN
PトランジスタTbの高濃度のN+型埋込拡散層(ピー
ク不純物濃度2×1017atoms/cm3)52bを形成す
る。さらに、素子分離のための高濃度のP+型埋込拡散
層(ピーク不純物濃度4×1017atoms/cm3)53を基
板表面に形成すると同時に、PNPトランジスタTbの
コレクタ抵抗を低減するための高濃度のP+型埋込拡散
層(ピーク不純物濃度4×1017atoms/cm3)53bを
形成する。
【0077】その後、高比抵抗のP型エピタキシャル層
(不純物濃度5×1015atoms/cm3)2を形成し、NP
NトランジスタTaのコレクタ抵抗を低減するためのN
ウェル(ピーク不純物濃度1.5×1016atoms/cm3
55a及びPNPトランジスタTbのN型ベース拡散層
(ピーク不純物濃度4×1017atoms/cm3)55bを形
成し、素子分離のための高濃度のP+型分離拡散層(ピ
ーク不純物濃度4×1018atoms/cm3)54を形成す
る。ここで、上記Nウェル55aあるいはN型ベース拡
散層55bの形成の工程では、上記分割フォトダイオー
ドPDを構成するN型拡散層3も形成してもよい。
【0078】さらに、Nウェル55a上にNPNトラン
ジスタTaのP型べース拡散層(ピーク不純物濃度2×
1018atoms/cm3)56aを形成するとともに、上記P
NPトランジスタTbのN型ベース拡散層55bの表面
にそのP型エミッタ拡散層(ピーク不純物濃度2×10
18atoms/cm3)56bを形成する。
【0079】そして、最後に上記NPNトランジスタT
aのP型べース拡散層56aの表面領域にそのエミッタ
拡散層(ピーク不純物濃度1×1019atoms/cm3)57
aを形成する。これにより信号処理回路SCを構成する
回路素子が得られる。
【0080】このような構造の分割フォトダイオードP
Dでは、基板1とエピタキシャル層2とが同一導電型で
あるため、基板表面の各フォトダイオード部の分割部に
対応する領域には、高濃度の分離拡散層が設けれらてい
ない。このため、分割部で発生した光キャリア(電子)
は、従来例で見られたような分離拡散層の不純物プロフ
ァイルが形成するポテンシャルによって分離拡散層を迂
回する現象は生じない。これにより、光キャリアが拡散
で移動する距離を短くでき、分離部での光キャリアの迂
回による応答速度の低下を回避することができる。
【0081】また、分割フォトダイオードの分離部には
濃度の高い分離拡散層が存在していないため、信号光の
周波数が短くなって光キャリアが基板の浅い部分で多く
発生することとなっても、光キャリアのライフタイムが
短くなって感度が低下するということもない。
【0082】さらに、本実施形態1では、P型シリコン
基板1とP型エピタキシャル層2を高比抵抗化して分割
フォトダイオードの接合容量を下げているため、分割フ
ォトダイオードの応答速度の高速化により、遮断周波数
の向上が図られている。
【0083】なお、上記実施形態1では、基板及びその
上に成長された半導体層として、高比抵抗のP型シリコ
ン基板及びP型エピタキシャル層を用いたが、これら
は、N型のものを用いてもよい。
【0084】以下、上記実施形態1の変形例として、基
板及びその上に成長された半導体層として、高比抵抗の
N型シリコン基板及び高比抵抗のN型エピタキシャル層
を用いた回路内蔵受光素子について説明する。
【0085】図4は上記実施形態1の変形例に係る回路
内蔵受光素子の断面構造を示しており、これは、上記実
施形態1の回路内蔵受光素子の断面構造を示す図3に対
応している。
【0086】図において、101aは、実施形態1の変
形例としての回路内蔵受光素子であり、上記図3と同一
符号は上記実施形態1の回路内蔵受光素子101と同一
のものを示している。
【0087】この回路内蔵受光素子101aでは、高比
抵抗のN型シリコン基板(不純物濃度5×1013atoms/
cm3)1a上に成長した高比抵抗のN型エピタキシャル
層(不純物濃度5×1013atoms/cm3)2aの表面領域
には、選択的にP型拡散層(ピーク不純物濃度1×10
17atoms/cm3)3aが複数形成されている。そして、上
記N型エピタキシャル層2aと該各P型拡散層3aとに
より、信号光を検出してその光電変換信号を出力する光
検出フォトダイオード部D1,D2,D3,D5が複数
構成され、これらの複数の光検出フォトダイオード部に
より分割フォトダイオードPDが構成されている。
【0088】また、本回路内蔵受光素子101aにおい
ても、図4に示すように、上記N型エピタキシャル層2
aの、該分割フォトダイオードPDが形成されている領
域とは電気的に分離された領域には、該光電変換信号を
処理する信号処理回路SCを構成する回路素子として、
例えば縦型NPNトランジスタTaや縦型PNPトラン
ジスタTbが形成されている。
【0089】次に図4に示す回路内蔵受光素子の製造方
法について簡単に説明する。まず、N型シリコン高比抵
抗基板1a上に素子分離のためのPウェル51を形成す
る。ついで、そのPウェル51の表面領域に、上記NP
NトランジスタTaのコレクタ抵抗を低減するための高
濃度のN+型埋込拡散層52aを形成するとともに、上
記PNPトランジスタTbの高濃度のN+型埋込拡散層
52bを形成する。さらに、素子分離のための高濃度の
+型埋込拡散層53を形成すると同時に、上記N+型拡
散層52b内にPNPトランジスタTbの高濃度のP+
型埋込拡散層53bを形成する。
【0090】次に、N型エピタキシャル層2aを基板1
a上に成長し、該エピタキシャル層2aの表面領域のフ
ォトダイオード部を形成すべき部分に、P型拡散層3a
を形成し、また、高濃度のP+型分離拡散層54を上記
高濃度のP+型埋込拡散層53に達するよう形成する。
さらに、NPNトランジスタTaのコレクタ抵抗を低減
するためのNウェル55aを上記高濃度のN+型埋込拡
散層52a上に形成するとともに、PNPトランジスタ
TbのN型ベース拡散層55bを形成する。
【0091】そして、Nウェル55aの表面領域にNP
NトランジスタのP型べース拡散層56aを形成すると
ともに、上記PNPトランジスタTbのN型ベース拡散
層55b内にそのP型エミッタ拡散層56bを形成し、
さらに上記P型べース拡散層56a内にN型エミッタ拡
散層57aを形成する。これにより、図4に示す回路内
蔵受光素子101aが得られる。
【0092】このようなN型の半導体基板1a及びエピ
タキシャル層2aを用いた、分割フォトダイオードを有
する回路内蔵受光素子101aでは、上記実施形態1の
P型の半導体基板1及びエピタキシャル層2を用いたも
のに比べて、以下のような問題がある。
【0093】まず、N型エピタキシャル層2aを基板1
a上に成長する際に、縦型PNPトランジスタTbを構
成する高濃度のP+型埋込拡散層53bや素子分離のた
めの高濃度のP+型埋込拡散層53からボロンが、上記
N型エピタキシャル層2a及びN型半導体基板1a中に
オートドープするという問題がある。つまり、エピタキ
シャル層の成長中に、上記拡散層からのボロンが、N型
シリコン高比抵抗基板1aとN型エピタキシャル層2a
との界面部分に取り込まれ、該界面部分がP型に反転す
ることとなる。
【0094】これに対し、上記実施形態1では、回路内
蔵受光素子を構成する基板及びエピタキシャル層として
はP型の導電型を有するものを用いているため、上記の
ようなエピタキシャル層を成長する際のボロンのオート
ドープによる界面部分の導電型反転の問題は生じない。
【0095】また、フォトダイオード部を構成する半導
体領域(拡散層)では、その不純物濃度が高いと、該拡
散層中で発生したキャリアのライフタイムが短くなり、
感度が低下してしまうので、該拡散層(図3のカソード
拡散層3,図4のアノード拡散層3a)の不純物濃度を
低くする必要がある。
【0096】ところで、実施形態1のようにP型シリコ
ン基板1を用いている回路内蔵受光素子101では、例
えば、縦型PNP卜ランジスタTbのN型べース拡散層
55bやNPNトランジスタのNウェル55aは、低不
純物濃度の領域であるので、これらのN型の低濃度領域
を形成する工程を、上記フォトダイオード部のN型拡散
層(カソード拡散層)3を形成する工程に利用できる。
例えば、N型ベース拡散層55bの形成工程でカソード
拡散層3を形成すると、上記実施形態1のように、カソ
ード拡散層3の不純物濃度は4×1017atoms/cm3とな
る。
【0097】これに対し、上記実施形態1の変形例のよ
うにN型シリコン基板1aを用いている回路内蔵受光素
子101aでは、信号処理回路を構成する回路素子の形
成プロセスには、低不純物濃度のP型拡散層を形成する
工程はなく、このため、フォトダイオード部を構成する
低不純物濃度のP型拡散層(アノード拡散層)3aを形
成するためには、別途工程を追加しなければならず、こ
れは製造コストの点で、上記実施形態1のものと比べる
と不利である。
【0098】また、N型シリコン基板を用いた受光素子
101aでは、素子分離を行うためのウェル領域は、N
型シリコン基板内に形成されたPウェル拡散層であるた
め、各素子に対するグラウンド抵抗が大きく、加えて、
N型基板1a、Pウェル拡散層51、及びNPNトラン
ジスタのN型コレクタ領域55aによって形成される寄
生NPNトランジスタのhFEが大きいため、ラッチアッ
プが起こりやすい素子構造となってしまう。
【0099】一方、上記実施形態1のようにP型シリコ
ン基板を用いた受光素子では、P型シリコン基板1内に
Pウェル拡散層を形成しているため、N型シリコン基板
を用いた変形例の受光素子101aに比べてグラウンド
抵抗が小さく、ラッチアップが起こりにくい素子構造と
なっている。
【0100】さらに、N型シリコン基板の光キャリアで
ある正孔とP型シリコン基板の光キャリアである電子の
移動度を比較すると、電子の方が3倍程度大きいので応
答速度の点で、N型シリコン基板を用いている受光素子
101aに比べて、P型シリコン基板を用いている受光
素子101の方が有利である。
【0101】以上のことから、P型シリコン基板を用い
た受光素子101の方が望ましいと言える。
【0102】ところが、実施形態1の受光素子の構造で
は、P型エピタキシャル層2の表面領域に複数形成され
た、隣接するN型拡散層3からの空乏層が互いに離れて
いるので、分割部DBに光ビームが照射された場合、フ
ォトダイオード部の中央部に光ビームが照射された時に
比べて若干応答が遅くなる。
【0103】そこで、このような分割部に光ビームが照
射された時の応答速度の低下を改善したものを、本発明
の実施形態2として、以下に説明する。
【0104】(実施形態2)図5は本発明の実施形態2
による回路内蔵受光素子を説明するための図であり、図
5(a)は該受光素子に搭載された分割フォトダイオー
ドの断面構造を示している。なお、この図においても、
図1と同様、メタル形成プロセス以降の処理により形成
される部材、例えば多層配線、保護膜などは省略してい
る。
【0105】図において、102は、本実施形態2の回
路内蔵受光素子であり、上記図1と同一符号は上記実施
形態1の回路内蔵受光素子101と同一のものを示して
いる。
【0106】この回路内蔵受光素子102では、P型エ
ピタキシャル層2の表面領域に形成された複数のN型拡
散層3を、隣接する拡散層3から延びる空乏層3sが互
いに接触するよう配置したものである。その他の構成
は、図1に示す実施形態1の受光素子101と同一であ
る。
【0107】また、この実施形態2の受光素子の製造プ
ロセスは、上記実施形態1の受光素子のものとほぼ同じ
であり、上記P型エピタキシャル層2の表面領域に、分
割フォトダイオードを構成するN型拡散層3を形成する
際、各拡散層3の位置を、隣接するN型拡散層3から延
びる空乏層が互いに接触するように調整する点のみ、上
記実施形態1の受光素子の形成プロセスと異なってい
る。
【0108】ここで、P型エピタキシャル層2の比抵抗
やフォトダイオード部に印加される逆バイアスによっ
て、N型拡散層3から延びる空乏層の幅が異なることと
なるが、例えば、P型エピタキシャル層2の比抵抗が1
Ωcm、フォトダイオードに印加される逆バイアスが
2.5Vである時、N型拡散層3からの空乏層は約2μ
mである。従って、このような条件では、隣り合うN型
拡散層3の間隔を4μm以下とすればよい。
【0109】また、上記実施形態2の回路内蔵受光素子
においても、実施形態1と同様に分割フォトダイオード
部の接合容量が大きいことから、フォトダイオードの応
答速度がCR時定数成分により遅くなるのを避けるた
め、分割フォトダイオード部の接合容量を下げている。
つまり、P型シリコン基板1とP型エピタキシャル層2
を高比抵抗化することにより、接合容量の低減が図られ
ている。
【0110】例えば、通常P型シリコン基板1の比抵抗
が15Ωcmで、P型エピタキシャル層2の比抵抗が1
Ωcmである場合は、接合容量は2×104pF/cm2
であるが、P型シリコン基板1の比抵抗を100Ωc
m、P型エピタキシャル層2の比抵抗を3Ωcmとする
ことにより、接合容量を1.2×104pF/cm2に低
減できる。これにより分割フォトダイオードの応答速度
がより高速化し、遮断周波数が向上する。
【0111】この実施形態2では、複数のN型拡散層3
を、隣接する拡散層3から延びる空乏層3sが互いに接
触するよう配置しており、P型シリコン基板1とP型エ
ピタキシャル層2を高比抵抗化することにより、同じ逆
バイアス条件でもN型拡散層3からの空乏層の拡がりが
大きくなるので、フォトダイオード部を構成するN型拡
散層3の配置間隔の設計の自由度が増すという効果もあ
る。
【0112】この設計の自由度の増大について具体的に
説明すると、上記実施形態2では、図5(a)に示すよ
うに隣接するN型拡散層3は、これから延びる空乏層3
sが互いに接触するように配置される。ここで、P型エ
ピタキシャル層2の比抵抗が変わると、N型拡散層3か
ら延びる空乏層3sの幅(空乏層幅)が異なることにな
る。例えば、P型エピタキシャル層2の比抵抗が1Ωc
mである場合、逆バイアスVRが2.5vであるときの
空乏層幅は、約2μmであり、P型エピタキシャル層2
の比抵抗が3Ωcmである場合、逆バイアスVRが2.
5vであるときの空乏層幅は、約3.5μmである。こ
のようにN型拡散層3の比抵抗が高いほど、つまりその
不純物濃度が低いほど、空乏層の拡がり幅は大きくな
る。そこで、実施形態2のように空乏層が互いに接触す
るようにN型拡散層3の配置を考慮する必要が生ずる。
つまり、N型拡散層3の配置を、隣接するもの同士の間
隔が4μm以下となるようにする必要がある。
【0113】さて、上記のようにP型エピタキシャル層
2の比抵抗を1Ωcmから3Ωcmに変えると、同じ逆
バイアス条件でも拡がる空乏層幅が大きくなるため、P
型エピタキシャル層2の比抵抗が3Ωcmである場合、
上記実施形態2の素子構造となるように、つまり隣接す
るN型拡散層3から延びる空乏層3sが互いに接触する
ようにN型拡散層3の配置を考慮する際、N型拡散層3
の配置間隔は7μm以下にすればよい。
【0114】言い換えると、P型エピタキシャル層2の
比抵抗が1Ωcmである場合には、図5(b)に示すよ
うに、実施形態2の素子構造を実現するにはN型拡散層
3の配置間隔を4μm以下にする必要があり、この配置
間隔が5〜6μm以下では実施形態2の素子構造は実現
できない。一方、P型エピタキシャル層2の比抵抗が3
Ωcmである場合には、図5(c)に示すように、実施
形態2の素子構造を実現するにはN型拡散層3の配置間
隔が7μm以下であればよく、この配置間隔が5〜6μ
mであっても、実施形態2の素子構造を実現できる。な
お、図5(b),(c)では、シリコン酸化膜4,シリ
コン窒化膜5,金属膜6a等は省略している。
【0115】結局、N型拡散層3の配置間隔の自由度が
増すとは、同じような実施形態2の素子構造でも、基板
やエピタキシャル層の比抵抗が通常の値(基板が15Ω
cm、エピタキシャル層が1Ωcm)であるものに比べ
て、基板やエピタキシャル層を高比抵抗にしたもので
は、上述したようにN型拡散層から延びる空乏層の拡が
りがより大きくなるので、N型拡散層を、これから延び
る空乏層が互いに接触するように配置する場合に、隣接
するN型拡散層の配置間隔が広くてもよいということで
ある。
【0116】ところで、上述した本実施形態2の受光素
子の構造では、P型シリコン基板1とP型エピタキシャ
ル層2の界面付近で、図3に示すP+型埋込拡散層53
やPウェル拡散層51、さらにはNPNトランジスタT
aのN+型埋込拡散層52a等からの不純物のオートド
ープにより、不純物濃度が変化するという問題がある。
【0117】例えば、N+型埋込拡散層52aからN型
不純物が基板やエピタキシャル層のP型半導体領域中に
オートドープすると、該P型半導体領域中に図6(a)
に示すようにポテンシャルの谷部が生じる。このような
ポテンシャルの谷部では、光キャリアがポテンシャルバ
リアを乗り越えることとなるため、応答速度の低下を招
く原因となる。
【0118】また、P+型埋込拡散層53やPウェル拡
散層51からP型不純物が基板やエピタキシャル層のP
型半導体領域中にオートドープすると、該P型半導体領
域中に図6(b)に示すようにポテンシャルの山部が生
じる。このようなポテンシャルの山部でも、上記ポテン
シャルの谷部と同様、光キャリアがポテンシャルバリア
を乗り越えることとなるため、応答速度の低下を招く原
因となる。
【0119】そこで、このような不純物のオートドープ
が応答速度の低下の原因となる点を改善したものを、本
発明の実施形態3として以下に説明する。
【0120】(実施形態3)図7は本発明の実施形態3
による回路内蔵受光素子を説明するための図であり、該
受光素子に搭載された分割フォトダイオードの断面構造
を示している。なお、この図においても、図1と同様、
メタル形成プロセス以降の処理により形成される部材、
例えば多層配線、保護膜などは省略している。
【0121】図において、103は、本実施形態3の回
路内蔵受光素子であり、上記図5と同一符号は上記実施
形態2の回路内蔵受光素子102と同一のものを示して
いる。この回路内蔵受光素子103では、P型エピタキ
シャル層2の表面領域に形成された複数のN型拡散層3
bを、各拡散層3bから延びる空乏層3sがP型シリコ
ン基板1の内部にまで到達する構造としている。その他
の構成は、図5に示す実施形態2の受光素子102と同
一である。
【0122】この構造は、例えば以下のようにN型拡散
層3の深さを設定することにより実現できる。
【0123】すなわち、P型エピタキシャル層2が厚さ
4μm、P型シリコン基板1の比抵抗が15Ωcm、P
型エピタキシャル層2の比抵抗が3Ωcmである場合、
フォトダイオードに2.5Vの逆バイアスを印加する
と、N型拡散層3bからの空乏層が約2.5μm広が
る。従って、この条件では、N型拡散層3bを1.5μ
m以上の深さに形成すれば、上記実施形態3の構造の分
割フォトダイオードを搭載した回路内蔵受光素子103
が得られる。
【0124】このような構造の受光素子103では、上
述したオートドープにより基板やエピタキシャル層中
の、ポテンシャルの山部や谷部が生じた領域も空乏化さ
れることとなって、該ポテンシャルの山部や谷部がなく
なる。これにより、光キャリアがオートドープに起因す
るポテンシャルの部分的な変動の影響を受けなくなり、
上記オートドープが応答速度の劣化原因となるのを回避
できる。
【0125】また、この実施形態3では、実施形態2の
ように、隣接するN型拡散層3bの配置間隔を例えば4
μmとし、該N型拡散層3bからの空乏層が互いに接触
するようしているので、分割フォトダイオードの分離部
DBに光が入射した場合の応答性も改善されたものとな
っている。
【0126】また、この上記実施形態3の回路内蔵受光
素子においても、実施形態1,2と同様に分割フォトダ
イオード部の接合容量が大きいことから、フォトダイオ
ードの応答速度がCR時定数成分により遅くなるのを避
けるため、分割フォトダイオード部の接合容量を下げて
いる。つまり、P型シリコン基板1とP型エピタキシャ
ル層2の高比抵抗化により、接合容量の低減が図られて
いる。
【0127】例えば、通常P型シリコン基板1の比抵抗
が15Ωcmで、P型エピタキシャル層2の比抵抗が1
Ωcmである場合は、接合容量は2×104pF/cm2
であるが、P型シリコン基板1の比抵抗を100Ωc
m、P型エピタキシャル層2の比抵抗を3Ωcmとする
ことにより、接合容量を1.2×104pF/cm2に低
減できる。これにより分割フォトダイオードの応答速度
がより高速化し、遮断周波数が向上する。この場合、低
電圧で空乏層の広がりを大きくできる。
【0128】また、この実施形態3では、複数のN型拡
散層3bを、隣接する拡散層3bから延びる空乏層3s
が互いに接触するよう配置しており、P型シリコン基板
1およびP型エピタキシャル層2を高比抵抗化すること
により、上記実施形態2と同様、フォトダイオード部を
構成するN型拡散層の配置間隔の設計の自由度が増すと
いう効果もある。
【0129】(実施形態4)次に、本発明の実施形態4
について説明する。図8は本発明の実施形態3による回
路内蔵受光素子を説明するための図であり、該受光素子
に搭載された分割フォトダイオードの断面構造を示して
いる。なお、この図においても、図1と同様、メタル形
成プロセス以降の処理により形成される部材、例えば多
層配線、保護膜などは省略している。
【0130】図において、104は、本実施形態4の回
路内蔵受光素子であり、上記図5と同一符号は上記実施
形態2の回路内蔵受光素子102と同一のものを示して
いる。この回路内蔵受光素子104では、P型エピタキ
シャル層2の表面領域に形成された複数のN型拡散層3
cを、各拡散層3cがP型シリコン基板1の内部にまで
到達する構造としている。その他の構成は、図5に示す
実施形態2の受光素子102と同一である。
【0131】この構造の分割フォトダイオードでも、実
施形態3の場合と同様、上記オートドープによりポテン
シャルの山部や谷部が基板とエピタキシャル層との界面
部分に生じる場合があるが、光検出フォトダイオード部
では、オートドープによるポテンシャルの山部や谷部
が、N型拡散層3cにより打ち消されることとなる。こ
のため、オートドープに起因して応答速度が遅延する問
題はない。
【0132】また、上記実施形態1ないし3では、P型
シリコン基板1とP型エピタキシャル層2を高比抵抗化
して分割フォトダイオードの接合容量を下げることによ
り、分割フォトダイオードの接合容量に起因するフォト
ダイオードの応答速度の劣化を低減しているが、本実施
形態4では、必ずしもP型エピタキシャル層2を高比抵
抗化する必要はない。
【0133】つまり、本実施形態4では、N型拡散層3
cがP型シリコン基板1の表面にまで到達しているた
め、接合容量はP型シリコン基板1とN型拡散層3cの
接合が大半を占めており、P型シリコン基板1のみを高
比抵抗化しても、分割フォトダイオードの接合容量に起
因するフォトダイオードの応答速度の劣化を十分改善で
きる。
【0134】言い換えると、本実施形態4では、上記実
施形態1〜3の利点に加えて次のような利点がある。
【0135】詳述すると、エピタキシャル層の高比抵抗
化により応答速度のさらなる改善を行う際、上記実施形
態1〜3の素子構造では、主にP型エピタキシャル層2
とN型拡散層3bとの接合の容量が応答速度を律速し、
この接合容量を低減する必要があるため、P型エピタキ
シャル層2を高比抵抗にしなければならない。ところ
が、P型エピタキシャル層2はせいぜい100Ωcmま
でしか高比抵抗にできないので、接合容量は、3×10
3pF/cmまでしか低減することができない。
【0136】一方、本実施形態4では、主にP型シリコ
ン基板1とN型拡散層3cとの接合の容量が応答速度を
律速するため、P型シリコン基板1の高比抵抗により応
答速度の高速化を図ることができる。また、このP型シ
リコン基板は1000Ωcm以上にまで比抵抗を高くで
きる。例えばP型シリコン基板の比抵抗が1000Ωc
mである場合、接合容量は1×103pF/cmまで低
減でき、その分応答速度の改善効果が大きい。
【0137】なお、上記実施形態4では、P型エピタキ
シャル層2の表面領域に形成された複数のN型拡散層3
cを、各拡散層3cがP型シリコン基板1の内部にまで
到達する構造としているが、各拡散層3cをこれがP型
シリコン基板1の表面に接する構造としてもよく、この
場合も上記実施形態4と同様の効果が得られる。
【0138】このように本実施形態の回路内蔵受光素子
は、分割フォトダイオードの分割部での応答速度を改善
する目的を十分に達成することができるものである。
【0139】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、第1導電
型半導体基板と、その上に形成された第1導電型半導体
層と、該半導体層の表面領域に選択的に形成された第2
導電型半導体層とを備え、第2導電型半導体層と第1導
電型半導体層とにより分割フォトダイオードを構成した
ので、基板表面の、分割フォトダイオードの分離部に対
応する部分には高濃度の拡散層は存在しておらず、該分
割部に光ビームが照射された場合でも、光キャリアが分
離拡散層を迂回して、光キャリアが拡散で移動する距離
が長くなるということはない。このため応答速度の劣化
を改善することができ、これにより遮断周波数を向上す
ることができる効果がある。
【0140】また、本発明では、上記第1導電型基板や
その上の第1導電型半導体層の比抵抗を高くして、分割
フォトダイオードにおける接合容量を小さくしているた
め、分割フォトダイオード部での接合容量に起因する遮
断周波数の低下が改善されているという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1による回路内蔵受光素子を
説明するための図であり、該受光素子に搭載された分割
フォトダイオードの断面構造を示している。
【図2】図2(a)ないし図2(c)は、実施形態1の
受光回路に搭載された分割フォトダイオードの構造を得
るためのプロセスを工程順に示す断面図である。
【図3】上記実施形態1の回路内蔵受光素子における信
号処理回路を構成する回路素子を、分割フォトダイオー
ドとともに示す断面図である。
【図4】上記実施形態1の変形例に係る回路内蔵受光素
子を説明するための図であり、該回路内蔵受光素子にお
ける信号処理回路を構成する回路素子を、分割フォトダ
イオードとともに示している。
【図5】本発明の実施形態2による回路内蔵受光素子を
説明するための図であり、図5(a)は該受光素子に搭
載された分割フォトダイオードの断面構造を示し、図5
(b)はP型エピタキシャル層の比抵抗が1Ωcmであ
る場合の隣接するN型拡散層間の距離を、図5(c)は
P型エピタキシャル層の比抵抗が3Ωcmである場合の
隣接するN型拡散層間の距離を示している。
【図6】上記実施形態2の受光素子の製造プロセスにて
P型エピタキシャル層を成長する際に生じた不純物のオ
ートドープによるエネルギーポテンシャルの変化を示す
図であり、図6(a)はP型半導体領域中にN型不純物
がオートドープした場合、図6(b)はP型半導体領域
中にP型不純物がオートドープした場合を示している。
【図7】本発明の実施形態3による回路内蔵受光素子を
説明するための図であり、該受光素子に搭載された分割
フォトダイオードの断面構造を示している。
【図8】本発明の実施形態4による回路内蔵受光素子を
説明するための図であり、該受光素子に搭載された分割
フォトダイオードの断面構造を示している。
【図9】従来のホログラム素子を用いた光ピックアップ
の構成を示す図である。
【図10】図9に示す光ピックアップに用いる、光検出
部が複数の領域に分割された従来の分割フォトダイオー
ドを搭載した回路内蔵受光素子を示す平面図である。
【図11】図10に示す従来の分割フォトダイオードの
a−a’線部分の断面構造を示す図である。
【図12】図12(a)ないし図12(d)は、図11
に示す分割フォトダイオードの構造を得るためのプロセ
スを工程順に示す断面図である。
【図13】従来の改良型の分割フォトダイオードを搭載
した回路内蔵受光素子の断面構造を示す図である。
【符号の説明】
1 P型シリコン基板 2 P型エピタキシャル層 3,3b,3c N型拡散層 3a P型拡散層 3s 空乏層 4 シリコン酸化膜 5 シリコン窒化膜 6 電極配線 6a 金属膜 101,101a,102,103,104 回路内蔵
受光素子 D1,D2,D3,D4,D5 光検出フォトダイオー
ド部 DB 分割部 PD 分割フォトダイオード SC 信号処理回路 Ta NPNトランジスタ Tb 縦型PNPトランジスタ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型半導体基板と、 該第1導電型半導体基板上に形成された第1導電型半導
    体層と、 該第1導電型半導体層の表面領域に選択的に形成された
    複数の第2導電型半導体層とを備え、 該第1導電型半導体層と、該各第2導電型半導体層とに
    より、信号光を検出してその光電変換信号を出力する光
    検出フォトダイオード部が複数構成され、該複数の光検
    出フォトダイオード部により分割フォトダイオードが構
    成されており、 該第1導電型半導体層の、該分割フォトダイオードが形
    成されている領域とは電気的に分離された領域には、該
    光電変換信号を処理する信号処理回路を構成する回路素
    子が形成されている回路内蔵受光素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の回路内蔵受光素子におい
    て、 前記分割フォトダイオードは、前記各第2導電型半導体
    層を、隣接する第2導電型半導体層から延びる空乏層が
    互いに接触するよう配置したものである回路内蔵受光素
    子。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の回路内蔵受光素子におい
    て、 前記分割フォトダイオードは、これを構成する前記各第
    2導電型半導体層から延びる空乏層が、前記第1導電型
    半導体基板内部にまで到達する構造としたものである回
    路内蔵受光素子。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の回路内蔵受光素
    子において、 前記第1導電型半導体層は、前記第1導電型半導体基板
    としてのP型半導体基板上に成長されたP型エピタキシ
    ャル層であり、 該P型エピタキシャル層は、前記光検出フォトダイオー
    ド部を構成する第2導電型半導体層としてのN型拡散層
    と、前記信号処理回路の回路素子であるNPNトランジ
    スタの形成領域としてのNウェル拡散層と、該回路素子
    である縦型PNPトランジスタを構成するN型ベース拡
    散層とを有するものであり、 該光検出フォトダイオード部を構成するN型拡散層は、
    該NPNトランジスタ形成用のNウェル拡散層及び該縦
    型PNPトランジスタのN型ベース拡散層と同一工程に
    て形成したものである回路内蔵受光素子。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の回
    路内蔵受光素子において、 前記第1導電型半導体層は、比抵抗が3Ωcm以上の高
    比抵抗半導体層である回路内蔵受光素子。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の回
    路内蔵受光素子において、 前記第1導電型半導体基板は、比抵抗が20Ωcm以上
    の高比抵抗基板であり、 前記第1導電型半導体層は、比抵抗が3Ωcm以上の高
    比抵抗半導体層である回路内蔵受光素子。
  7. 【請求項7】 第1導電型半導体基板と、 該第1導電型半導体基板上に形成された第1導電型半導
    体層と、 該第1導電型半導体基板上に選択的に形成された、該第
    1導電型半導体層の表面から該第1導電型半導体基板の
    内部まで達する複数の第2導電型半導体層とを備え、 該第1導電型半導体層及び第1導電型半導体基板と、該
    各第2導電型半導体層とにより、信号光を検出してその
    光電変換信号を出力する光検出フォトダイオード部が複
    数構成され、該複数の光検出フォトダイオード部により
    分割フォトダイオードが構成されており、 該第1導電型半導体層の、該分割フォトダイオードが形
    成されている領域と電気的に分離された領域には、該光
    電変換信号を処理する信号処理回路を構成する複数の回
    路素子が形成されている回路内蔵受光素子。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の回路内蔵受光素子におい
    て、 前記第1導電型半導体基板は、比抵抗が20Ωcm以上
    の高比抵抗基板である回路内蔵受光素子。
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