JPH09306453A - 電池用搬送治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】電池缶を所望の方向に確実に保持するととも
に、保守管理が容易で、長期間にわたり有効に使用する
ことを可能にする。 【解決手段】外周部に搬送コンベア１２のガイド１４に
摺接支持される一対の平行な平面１６ａ、１６ｂが設け
られるとともに、軸方向に電池缶用配置孔２０が形成さ
れ、この配置孔２０の底部側に、スポット溶接用挿通孔
２２が連通する。配置孔２０の底部側に連通する孔部２
４ａ〜２４ｄには、電池缶回転防止用永久磁石２６ａ〜
２６ｄが装着される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電池の組立時に、
有底筒形状の電池缶を位置決め保持して搬送するための
電池用搬送治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、リチウム電池は、それぞれ集電
用リードを設けた正極板と負極板がセパレータを介して
巻回された極板群を、有底筒形状を有する電池缶内に挿
入して構成されている。

【０００３】上記のリチウム電池を製造する際、通常、
正極板と負極板をセパレータを介して巻回した極板群が
形成された後、この極板群が有底円筒形電池缶内に挿入
される。次いで、電池缶の開口近傍に環状溝部が形成さ
れるとともに、負極リードが電池缶内底部にスポット溶
接された後、電解液が注入される。さらに、正極リード
に封口板が溶着され、種々の封口部品が電池缶に挿入さ
れて封口かしめ処理が施されている。

【０００４】ところで、上記のリチウム電池の製造工程
では、特に負極リードおよび正極リードの溶接位置が方
向性を有するため、電池缶内の極板群の方向を一定に保
持する必要がある。このため、例えば、実開平５−６５
０６１号公報に開示されているように、電池を構成する
有底筒形ケースの下部外周を挟持固定するとともに、搬
送コンベアの両側ガイドにガイドされる角形外面を有す
るようにした筒形リチウム電池の搬送治具が知られてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この場合、上記の従来
技術では、搬送治具内に電池缶を挟持保持するために、
前記電池缶が嵌合する支持孔の内周部に対応してＯリン
グが固定されている。しかしながら、Ｏリングは、電池
缶の周面に摺接しており、この電池缶が着脱される度に
磨耗し易い。これにより、耐磨耗性および耐久性に劣っ
てしまい、搬送治具自体の保守管理が相当に煩雑化する
という問題が指摘されている。

【０００６】本発明は、この種の問題を解決するもので
あり、電池缶を所望の方向に確実に保持するとともに、
保守管理が容易で、長期間にわたり有効に使用すること
が可能な電池用搬送治具を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明は、電池を構成する有底筒形状の電池缶を
孔部内に保持するための磁石を備える。これにより、電
池缶の回転を阻止することができるとともに、従来のＯ
リングのように磨耗を考慮する必要がなく、長期間にわ
たり有効に使用することが可能になる。さらに、外周部
に搬送ガイド用の平行面が少なくとも一対設けられるた
め、搬送治具自体の回転も阻止することができる。

【０００８】また、磁石は、リング状を有し、かつ電池
缶の底部を保持すべくこの電池缶と同軸的に配置され
る。このため、特に搬送中の振動により電池缶が搬送治
具から浮き上がることを一層確実に回避することが可能
になる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の第１の実施形態
に係る電池用搬送治具１０の斜視説明図であり、図２
は、前記搬送治具１０の縦断面図である。

【００１０】搬送治具１０は、略円柱状を有しており、
その外周部に搬送コンベア１２のガイド１４に摺接支持
される一対の平行な平面１６ａ、１６ｂが設けられると
ともに、必要に応じて周方向に溝部１８が形成される。
搬送治具１０の軸方向には、電池缶用配置孔２０が形成
され、この配置孔２０の底部側に、スポット溶接用挿通
孔２２が連通する。

【００１１】搬送治具１０には、外周側からそれぞれ９
０°ずつ離間して配置孔２０の底部側に連通する孔部２
４ａ〜２４ｄが形成され、この孔部２４ａ〜２４ｄに電
池缶回転防止用永久磁石２６ａ〜２６ｄが装着される。

【００１２】搬送治具１０により転送されながら製造さ
れる電池３０は、図３に示すように、有底円筒形状を有
する電池缶３２と、この電池缶３２内に電解液と共に封
入される極板群３４とを備える。

【００１３】極板群３４は、正極板３６と負極板３８を
セパレータ４０を介して巻回して構成されており、この
正極板３６の端部に正極リード４２が設けられる一方、
この負極板３８の端部に負極リード４４が設けられる。

【００１４】正極リード４２は、極板群３４の巻回中心
部側から電池缶３２の開口３２ａ側に延在するととも
に、封口ユニット４６に溶接されている。この封口ユニ
ット４６は、ガスケット４８を介して電池缶３２の開口
３２ａ側の端部に固定されている。負極リード４４は、
極板群３４の外周側から電池缶３２の内底部３２ｂ側に
延在してこの内底部３２ｂに溶接されている。

【００１５】電池缶３２には、開口３２ａの近傍に位置
して環状溝部５０が形成されている。この電池缶３２内
には、極板群３４に対して下部絶縁板５２と上部絶縁板
５４とが配設されている。

【００１６】このように構成される電池３０を製造する
工程について、以下に説明する。

【００１７】先ず、電池缶３２が、搬送治具１０の配置
孔２０に装填されると、この電池缶３２の底部側が、前
記搬送治具１０に装着された永久磁石２６ａ〜２６ｄの
磁力により保持される。これにより、電池缶３２は、搬
送治具１０内に回転不能に保持される。

【００１８】次いで、予め正極板３６と負極板３８をセ
パレータ４０を介して巻回した極板群３４が形成された
後、この負極板３８の負極リード４４が、下部絶縁板５
２を介装して前記極板群３４の中心側に折り曲げられる
（図４中、（ａ）参照）。この極板群３４は、電池缶３
２内に挿入されるとともに、前記電池缶３２の開口３２
ａ側に上部絶縁板５４が配設される（図４中、（ｂ）、
（ｃ）参照）。その際、極板群３４の負極リード４４が
電池缶３２の内底部３２ｂに当接する一方、正極リード
４２が前記電池缶３２の開口３２ａから外方に突出して
いる（図１参照）。

【００１９】そこで、極板群３４の負極リード４４が電
池缶３２の内底部３２ｂにスポット溶接されるととも
に、この電池缶３２の開口３２ａの近傍に環状溝部５０
が形成された後、図４中、（ｄ）に示すように、電解液
注液手段６０を介して前記電池缶３２内に電解液が注液
される。さらに、図４中、（ｅ）に進んで、極板群３４
の正極リード４２に封口ユニット４６が溶接される。

【００２０】封口ユニット４６が正極リード４２に溶着
された後、この正極リード４２を折り込むようにして、
前記封口ユニット４６が電池缶３２の環状溝部５０を構
成する内壁部に支持されて配置される（図４中、（ｆ）
参照）。次に、電池缶３２の開口３２ａ側の端部に封口
かしめ処理が施されることにより、製品としての電池３
０が得られる（図４中、（ｇ）、（ｈ）参照）。

【００２１】この場合、第１の実施形態では、搬送治具
１０が、平面１６ａ、１６ｂを搬送コンベア１２のガイ
ド１４に摺接支持されて搬送されるとともに、電池缶３
２が、配置孔２０に対して永久磁石２６ａ〜２６ｄの磁
力により回転不能に保持される。従って、例えば、電池
缶３２は、常時、所定の方向に保持されて、図４に示す
各工程に順次搬送されるため、電池缶３２に環状溝部５
０を形成する作業、前記電池缶３２内に電解液を注液す
る作業、正極リード４２を折り込む作業、および検査工
程等が円滑かつ容易に遂行される。

【００２２】さらに、第１の実施形態では、電池缶３２
を保持するために、永久磁石２６ａ〜２６ｄが使用され
ている。これにより、従来のＯリングを用いる際のよう
に、このＯリングの磨耗等を考慮する必要がなく、搬送
治具１０を長期間にわたり有効に活用することができる
とともに、前記搬送治具１０の保守管理が一挙に簡素化
するという効果が得られる。

【００２３】なお、第１の実施形態では、４個の永久磁
石２６ａ〜２６ｄが電池缶３２の底部側に対応して配置
されているが、これに限定されるものではなく、例え
ば、前記電池缶３２の底部側と上部側とにそれぞれ２個
ずつ配置することも可能である。また、永久磁石の数は
４個に限定されるものではなく、必要に応じて数を増減
することができる。

【００２４】次に、本発明の第２の実施形態に係る電池
用搬送治具８０が、図５および図６に示されている。な
お、第１の実施形態に係る搬送治具１０と同一の構成要
素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略
する。

【００２５】搬送治具８０は、配置孔２０の底部側に連
通しかつこの配置孔２０より大径な孔部８２を備え、こ
の孔部８２に樹脂製筒体８４を介してリング状磁石８６
が配置される。リング状磁石８６は、電池缶３２の底部
３２ｃを保持すべく該電池缶３２と同軸的に配置される
一方、樹脂製筒体８４の中央には、スポット溶接用挿入
孔８８が貫通形成される。

【００２６】このように構成される搬送治具８０では、
電池缶３２が配置孔２０に装填されると、この電池缶３
２の底部３２ｃがリング状磁石８６上に直接載置され
る。従って、電池缶３２は、その底部３２ｃをリング状
磁石８６により強固に保持され、この電池缶３２が搬送
治具８０内で回転することがない。

【００２７】しかも、底部３２ｃとリング状磁石８６と
の接着面積が有効に拡大するため、特に搬送治具８０の
搬送中に、電池缶３２がこの搬送治具８０内で浮き上が
ることを確実に阻止することができる。これにより、電
池缶３２を搬送治具８０に対して所望の姿勢で正確に位
置決め保持することが可能になるという効果が得られ
る。

【００２８】次いで、図７には、本発明の第３の実施形
態に係る電池用搬送治具１００が示されている。なお、
第２の実施形態に係る搬送治具８０と同一の構成要素に
は同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略す
る。

【００２９】この搬送治具１００は、略円柱状を有して
おり、その下部側外周部に搬送コンベア１２のガイド１
４に摺接支持される一対の平面１０２ａ、１０２ｂが設
けられる。

【００３０】また、図８には、本発明の第４の実施形態
に係る電池用搬送治具１１０が示されている。なお、第
２の実施形態に係る搬送治具８０と同一の構成要素には
同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。

【００３１】搬送治具１１０は、略円柱状を有してお
り、その下部側外周部に矩形部１１２が形成される。こ
の矩形部１１２には、搬送コンベア１２のガイド１４に
摺接支持されるそれぞれ一対の第１平面１１４ａ、１１
４ｂと第２平面１１６ａ、１１６ｂとが設けられる。

【００３２】このように、第３および第４の実施形態で
は、搬送治具１００、１１０の一部分にのみ一対の平面
１０２ａ、１０２ｂ、第１および第２平面１１４ａ、１
１４ｂ、１１６ａ、１１６ｂが設けられている。従っ
て、搬送治具１００、１１０の製造作業が一層簡素化す
る。また、この搬送治具１１０では、第１および第２平
面１１４ａ、１１４ｂ、１１６ａ、１１６ｂを選択的に
使用することができ、より一層汎用性に優れるという利
点がある。

【００３３】なお、矩形部１１２に代替して、６角形状
等の多角形部を採用してもよい。

【００３４】

【発明の効果】本発明に係る電池用搬送治具では、電池
を構成する電池缶を孔部内に保持するための磁石を備え
ており、前記電池缶の回転を確実に阻止することができ
るとともに、従来のＯリングのように磨耗を考慮する必
要がなく、長期間にわたり有効に使用することが可能に
なる。これにより、搬送治具自体の保守管理が一挙に簡
素化する。また、外周部に搬送ガイド用の一対の平行面
が設けられるため、搬送治具自体の回転も確実に阻止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施形態に係る搬送治具の斜視
説明図である。

【図２】前記第１の実施形態に係る搬送治具の縦断面図
である。

【図３】前記第１の実施形態に係る搬送治具を用いて製
造される電池の内部概略構成図である。

【図４】前記電池の製造方法を示す概略工程図である。

【図５】本発明の第２の実施形態に係る搬送治具の斜視
説明図である。

【図６】前記第２の実施形態に係る搬送治具の縦断面図
である。

【図７】本発明の第３の実施形態に係る搬送治具の斜視
説明図である。

【図８】本発明の第４の実施形態に係る搬送治具の斜視
説明図である。

【符号の説明】

１０、８０、１００、１１０…搬送治具 １２…搬送コンベア １４…ガイド １６ａ、１６ｂ、１０２ａ、１０２ｂ、１１４ａ、１１
４ｂ、１１６ａ、１１６ｂ…平面
２０…配置孔 ２２、８８…挿通孔 ２６ａ〜２６ｄ…
永久磁石 ３０…電池 ３２…電池缶 ３４…極板群 ３６…正極板 ３８…負極板 ４２…正極リード ４４…負極リード ４６…封口ユニッ
ト ８６…リング状磁石 １１２…矩形部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電池を構成する有底筒形状の電池缶を挿入
   する孔部と、 前記孔部内に前記電池缶を保持するための磁石と、 を備えるとともに、 外周部には、搬送ガイド用の平行面が少なくとも一対設
   けられることを特徴とする電池用搬送治具。
2. 【請求項２】請求項１記載の搬送治具において、前記磁
   石は、リング状を有するとともに、前記電池缶の底部を
   保持すべく該電池缶と同軸的に配置されることを特徴と
   する電池用搬送治具。