JPH09304796A - 全固体エレクトロクロミックセル - Google Patents

全固体エレクトロクロミックセル

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JPH09304796A
JPH09304796A JP8120207A JP12020796A JPH09304796A JP H09304796 A JPH09304796 A JP H09304796A JP 8120207 A JP8120207 A JP 8120207A JP 12020796 A JP12020796 A JP 12020796A JP H09304796 A JPH09304796 A JP H09304796A
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water
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JP8120207A
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English (en)
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Tadayoshi Ito
忠義 伊藤
Masaaki Tada
雅昭 多田
Yasuo Ezaki
泰雄 江崎
Yasunori Taga
康訓 多賀
Takeo Endo
健夫 遠藤
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高温・高湿耐久性に優れ、EC膜の剥離や結晶
化の発生およびEC特性の劣化を回避できる全固体EC
セルを提供する。 【解決手段】基板1と、基板1の表面に積層された第1
電導膜2a、酸化発色膜2b、固体電解質膜2c、還元
発色膜3dおよび第2電導膜2eからなるEC素子2
と、EC素子2の表面を覆う封止樹脂層4と、封止樹脂
層4の表面に積層された封止基板5と、を備えた全固体
ECセルにおいて、封止樹脂層4を酸無水物系エポキシ
樹脂により形成するとともに、封止樹脂層4とEC素子
2との間に吸水性材料からなる保水膜3を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば防眩ミラーや表
示装置などに用いられる全固体型エレクトロクロミック
セルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電圧印加により電気化学反応
を生じ物質の色が可逆的に変化する現象(エレクトロク
ロミズムという)を利用したエレクトロクロミック(以
下、ECという。)素子が知られている。このEC素子
としては、溶液型、全固体型など種々の構造のものがあ
るが、その中でもEC特性や耐久性に優れたものとし
て、EC物質、電解質がともに固体である全固体型EC
素子がある。
【0003】全固体型EC素子12は、図3に示すよう
に、還元発色膜12d、誘電体膜としての固体電解質膜
12c、酸化発色膜12bの3層を2つの第1及び第2
電導膜12a、12eで挟んだ5層で構成され、これら
が透明基板(例えばガラス)11の表面上に形成され
る。還元発色膜12dとしては酸化タングステン(WO
3 )などが、固体電解質膜12cとしては酸化タンタル
(Ta2 5 )などが、酸化発色膜12bとしては酸化
イリジウム(IrOx)などが用いられる。また、第1
電導膜12aは可視光透明のインジウム・ティン・オキ
サイト(ITO)などが、第2電導膜12eは透過型と
して用いるときはITO、反射型として用いるときはア
ルミニウム(Al)などが用いられる。
【0004】全固体型EC膜の着色源は、EC膜中に含
まれる吸蔵水であり、この吸蔵水の分解により生じたプ
ロトン(H+ )の注入と引き抜きにより着色・消色が繰
り返される。このときの反応式は次の式(1)、式
(2)のようになると推定されている。 WO3 (透明)+xH+ +xe- ←→HxWO3 (青色) ……式(1) Ir(OH)n(透明)←→IrOx(OH)n-X(灰色) +x + +xe- ……式(2) なお、全固体型EC膜中に含まれる吸蔵水の大部分はE
C素子の大気放置時(通常は室温で50〜60%RH中
に放置)に大気から吸着したものと考えられている。こ
の吸蔵水の量はEC膜の充填率に依存し、充填率が低い
ほど吸蔵水の量は多くなる(充填率70%で30at%
の吸蔵水量)。ここでの充填率は、「質量膜厚/形状膜
厚」で表され、薄膜の相対密度と同義である。
【0005】上記のように、全固体型EC素子の着色・
消色機能は水が関与した反応であり、EC特性(着色
量、レスポンス)は周囲の雰囲気湿度の影響を強く受け
る。そのため全固体型EC素子の信頼性を確保するには
EC膜を保護する必要がある。よく用いられるのは、前
述したEC素子の上に封止樹脂を塗布し、更にその上に
封止基板(例えばガラス)を接着させる方法である(特
開昭57−158622号公報、特開昭63−2945
36号公報)。
【0006】EC素子の封止樹脂としては、主剤と硬化
剤の2成分からなる熱硬化型のエポキシ樹脂がよく用い
られる。ここで主剤としては、常温で液状のビスフェノ
ールA型の樹脂が、硬化剤としては、常温で液状のアミ
ン系および酸無水物系の樹脂が使用される。なお、エポ
キシ樹脂の硬化温度はEC膜にダメージを与えないため
にも120℃以下が望ましい。
【0007】このようにエポキシ樹脂で封止されたEC
セルの信頼性は高温(90℃)放置試験および高温・高
湿(85℃・85%RH)放置試験等で評価される。し
かし、アミン系の硬化剤を用いたエポキシ樹脂により封
止したECセルの高温・高湿耐久試験を行うと、基板と
封止基板間の密着力が弱いため、水蒸気がECセル内に
侵入し、EC膜が剥離したり結晶化する問題が生じた。
【0008】また、基板と封止基板間の密着力を高める
ためにエポキシ樹脂中にシランカップリング剤を添加す
る方法が提案されている(特開昭60−121421号
公報)。しかし、シランカップリング剤を添加するとエ
ポキシ樹脂の収縮応力が増加し、EC膜の結晶化は無い
もののEC膜が剥離する問題が生じた。一方、基板 と
封止基板 間の密着力が強い酸無水物系の硬化剤を用い
たエポキシ樹脂により封止したECセルの高温・高湿耐
久試験を行うと、EC膜の剥離やEC膜の結晶化は無い
もののEC特性が劣化(着色量の減少、レスポンスの低
下)する問題が生じた。
【0009】これは、エポキシ樹脂の硬化時および高温
・高湿耐久試験時に着色源であるEC膜中の吸蔵水がエ
ポキシ樹脂に収奪されているからであり、エポキシ樹脂
の硬化時にEC膜中の吸蔵水が封止樹脂中に移行するこ
とは赤外分光分析結果からも確認されている。酸無水物
系の硬化剤の場合は、酸無水物とEC膜中の吸蔵水とが
反応してカルボン酸となり、EC膜中の吸蔵水が減少す
ると考えられている。但し、赤外分光分析結果からはカ
ルボン酸は認められていない。
【0010】なお、EC膜がかなりの量の吸蔵水を収蔵
しているにもかかわらず、エポキシ樹脂封止でEC特性
が劣化するのは、EC膜の膜厚が約1.5μm以下であ
るのに対しエポキシ樹脂は100μm程度に厚く形成さ
れ、吸蔵水の消費量が多くなるためでもある。以上のよ
うに、ECセルの高温耐久性および高温・高湿耐久性を
十分に確保するには、ECセル中の水分量を一定に保つ
ことが必要で、ECセル中に水分量が多すぎても少なす
ぎても問題になる。ECセル中の水分量を一定に保つに
は、基板ガラスと封止ガラス間の密着力が強く、エポキ
シ樹脂の硬化時および高温・高湿耐久試験時にEC膜中
の吸蔵水を収奪しないエポキシ樹脂等が必要である。
【0011】酸無水物系のエポキシ樹脂の密着力は高温
・高湿下においても殆ど低下しないことが知られてい
る。一方、エポキシ樹脂のほとんどはその硬化時に雰囲
気の水を奪うことが知られている。そのためアミン系で
は硬化剤中に極微量の水を添加してEC特性の劣化を防
いでいるが、酸無水物系ではエポキシ樹脂中に水が分散
添加できないためEC特性は劣化してしまう。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、高温・高湿耐久性に優れ、E
C膜の剥離や結晶化の発生およびEC特性の劣化を回避
できる全固体ECセルを提供することを解決すべき課題
とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の従来
技術の問題に関し、以下のことに着眼した。すなわち前
記従来技術の欠点であるEC膜の結晶化やEC特性の劣
化(着色量の減少、レスポンスの低下)等は、基板ガラ
スと封止ガラス間の密着力が弱いこと、ECセル中の水
分量が消費されること等に依存すると考えた。そこで本
発明者らは基板と封止基板間の密着力が強い酸無水物系
の硬化剤を用い、エポキシ樹脂の硬化時および高温・高
湿耐久試験時にEC膜中の吸蔵水を収奪するより多い水
分量をECセル内に保持することでEC特性の劣化は防
止できることを見いだし本発明を完成した。
【0014】すなわち、上記課題を解決する本発明は、
基板と、該基板の表面に積層された第1電導膜、酸化発
色膜、固体電解質膜、還元発色膜および第2電導膜から
なるエレクトロクロミック素子と、該エレクトロクロミ
ック素子の表面を覆う封止樹脂層と、該封止樹脂層の表
面に積層された封止基板と、を備えた全固体エレクトロ
クロミックセルにおいて、前記封止樹脂層は酸無水物系
エポキシ樹脂により形成されているとともに、前記封止
樹脂層と前記エレクトロクロミック素子との間に水を吸
収した吸水性材料からなる吸水膜が介在されていること
を特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において、基板および封止
基板は、ガラス基板など従来と同様のものを用いること
ができる。EC素子は、第1電導膜、酸化発色膜、固体
電解質膜、還元発色膜および第2電導膜から構成される
従来と同様の全固体型EC素子を用いることができる。
【0016】第1電導膜および第2電導膜は、透明型の
場合はITO、二酸化錫(SnO2)などで構成でき、
反射型の場合はいづれか一方の電導膜をAlなどで構成
することができる。酸化発色膜は、酸化イリジウム(I
rOX )、酸化ニッケル(NiO)などで構成できる。
【0017】固体電解質膜は、水成分などの電解成分を
もつ固体状態の膜であり、例えば五酸化二タンタル(T
2 5 )、酸化シリコン(SiO2 )、酸化クロム
(Cr 2 3 )などをマトリックスとして構成できる。
この固体電解質膜は、酸化発色膜と還元発色膜の間にサ
ンドイッチ状態で挟まれて存在している。還元発色膜
は、酸化タングステン(WO3 )、酸化モリブデン(M
oO3 )、酸化バナジウム(VX Y )などで構成でき
る。
【0018】そして、封止樹脂層は、酸無水物系の硬化
剤を含む熱硬化型のエポキシ樹脂で構成される。ここで
主剤としては、例えばビスフェノールA型の樹脂、ビス
フェノールF型の樹脂などを用いることができ、硬化剤
としては、例えば環状脂肪族系の酸無水物などを用いる
ことができる。本発明を特徴付ける吸水膜は、大気放置
時に大気中の水分を吸収した吸水性材料からなる。吸水
性材料としては、酸化タングステン(WO3 )、酸化モ
リブデン(MoO3 )、酸化バナジウム(VX Y )ま
たはこれらの複合酸化物を用いることができる。吸水膜
の吸蔵水の量は、吸水膜の充填率に依存し、充填率が低
いほど吸蔵水の量が多くなる。なお、充填率は、「質量
膜厚/形状膜厚」で表され、薄膜の相対密度と同義であ
る。吸蔵水の量を多くするために充填率を70%以下と
するのが望ましい。また、吸水膜の膜厚は、厚くするほ
ど吸蔵水の量を多くできるが1μm程度までにすれば十
分である。なお、吸水膜の吸蔵水の量は、封止樹脂層を
構成するエポキシ樹脂の硬化時および高温・高湿耐久試
験時などにエポキシ樹脂が収奪する水分量と同程度以上
の水分が吸蔵されるように設定するのが好ましい。
【0019】なお、上記したそれぞれの膜を形成するに
は、電子ビーム蒸着法、加熱蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法など公知の薄膜形成手段を
利用することができる。
【0020】
【作用】本発明の全固体ECセルは、大気放置時に大気
中の水分を吸蔵した吸水膜がEC素子と封止樹脂層との
間に介在されている。これにより、封止樹脂層を構成す
る酸無水物系エポキシ樹脂の硬化時および高温・高湿耐
久試験時には、主として吸水膜中の吸蔵水がエポキシ樹
脂により収奪され、EC素子中の吸蔵水はほとんど減少
しない。
【0021】また、封止樹脂層は酸無水物系エポキシ樹
脂が用いられているため、基板と封止基板との間の密着
力が強く、高温・高湿耐久試験時に水蒸気が全固体EC
セル内に侵入することがない。これにより、全固体EC
セル内の吸蔵水が一定に保たれるので、EC膜の剥離や
結晶化の発生が回避され、EC特性の劣化も回避され
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基づい
て説明する。図1は本実施例に係る全固体ECセルの模
式断面図である。この全固体ECセルは、透明なガラス
基板1と、ガラス基板1表面に順次積層して形成された
第1電導膜2a、酸化発色膜2b、固体電解質膜2c、
還元発色膜2dおよび第2電導膜2eからなるEC素子
2と、第2電導膜2e表面に積層されたWO3 からなる
吸水膜3と、吸水膜3およびEC素子2の表面を覆う酸
無水物系エポキシ樹脂からなる封止樹脂層4と、封止樹
脂層4の表面に積層された透明なガラス封止基板5とか
ら構成され、ガラス基板1側から入光する反射型のもの
である。
【0023】第1電導膜2aは、ガラス基板1表面にス
パッタリング法でITO膜を成膜することにより形成さ
れている。第1電導膜2aの膜厚は約280nmであ
る。酸化発色膜2bは、第1電導膜2a表面にイオンプ
レーティング法でIrOX膜を成膜することにより形成
されている。酸化発色膜2bの膜厚は約25nmであ
る。
【0024】固体電解質膜2cは、酸化発色膜2b表面
にイオンプレーティング法でTa25 膜を成膜するこ
とにより形成されている。固体電解質膜2cの膜厚は約
800nmである。還元発色膜2dは、固体電解質膜2
c表面にイオンプレーティング法でWO3膜を成膜する
ことにより形成されている。還元発色膜2dの膜厚は約
600nmである。
【0025】第2電導膜2eは、還元発色膜2d表面に
真空蒸着法でAl膜を成膜することにより形成されてい
る。第2電導膜2eの膜厚は約150nmである。吸水
膜3は、第2電導膜2e表面に真空蒸着法でWO3 膜を
成膜することにより形成されている。吸水膜3の膜厚は
約1000nmであり、その充填率は70%以下であ
る。この吸水膜3は、水分を吸蔵しやすい膜物質であ
り、大気放置時に大気中の水分を吸蔵している。
【0026】封止樹脂層4は、常温で液状のビスフェノ
ールA型の樹脂(主剤)と常温で液状の酸無水物系の樹
脂(硬化剤)とを所定の割合で混合してなる熱硬化型の
エポキシ樹脂により形成されている。この封止樹脂層4
は、エポキシ樹脂を吸水膜3およびEC素子2を覆うよ
うに塗布し、その上にガラス封止基板5を接着した後、
大気中80℃で3時間または120℃で2時間放置して
硬化させることにより形成されている。
【0027】以上のように構成された本実施例の全固体
ECセルは、封止樹脂層4を形成する酸無水物系エポキ
シ樹脂の熱硬化時や高温・高湿耐久試験時には、主とし
て吸水膜3中の吸蔵水がエポキシ樹脂により収奪され、
EC素子2中の吸蔵水はほとんど減少しない。また、封
止樹脂層4は酸無水物系エポキシ樹脂が用いられている
ため、ガラス基板1とガラス封止基板5との間の密着力
が強く、高温・高湿耐久試験時に水蒸気が全固体ECセ
ル内に侵入することがない。これにより、全固体ECセ
ル内の吸蔵水が一定に保たれる。
【0028】したがって、本実施例の全固体ECセルに
よれば、高温・高湿耐久性を向上させることができ、E
C膜の剥離や結晶化の発生およびEC特性の劣化を回避
することができる。 (性能比較試験)比較例1として、吸水膜3を有さない
以外は上記実施例と同様にして形成した全固体ECセル
を用意した。また、比較例2として、封止樹脂層4を形
成するエポキシ樹脂の硬化剤にアミン系の樹脂(複素環
式ジアミン変性物)を用い、そのエポキシ樹脂を大気中
80℃で2時間放置して硬化させた以外は上記実施例と
同様にして形成した全固体ECセルを用意した。
【0029】そして、実施例、比較例1および比較例2
の各全固体ECセルについて、エポキシ樹脂封止後およ
び高温・高湿(85℃・85%RH)放置試験後のEC
特性(着色量、レスポンス)の劣化を調べた。EC特性
は、エポキシ樹脂封止前、エポキシ樹脂封止直後、35
0時間経過後および700時間経過後において1.35
V駆動時の消色および着色時の反射率変化から評価し
た。その結果を図2に示す。なお、測定箇所は、いずれ
もECセルの中心部である。
【0030】図2(b)から明らかの如く、比較例1の
全固体ECセルは、エポキシ樹脂で封止した時点で消色
時の反射率は低下し、着色時の反射率は逆に少し増加し
ている。その後、高温・高湿放置試験でその傾向はさら
に顕著になり、EC特性は著しく劣化することがわか
る。また、図2(c)から明らかの如く、比較例2の全
固体ECセルは、エポキシ樹脂で封止した時点で消色時
の反射率は低下し、着色時の反射率は逆に少し増加して
いるが、その後の高温・高湿放置試験では殆どEC特性
の劣化は無い。しかし、350時間経過時点でECセル
周辺部のEC膜が結晶化して白濁していた。これは、封
止樹脂層にアミン系のエポキシ樹脂を用いたためガラス
基板とガラス封止基板間の密着力が弱く、高温・高湿放
置試験時に水蒸気が全固体ECセル内に侵入したためで
ある。
【0031】一方、図2(a)から明らかの如く、実施
例の吸水膜3を設けた全固体ECセルは、エポキシ樹脂
で封止した時点で消色時の反射率は少し低下し、着色時
の反射率は逆に少し増加しているが、高温・高湿放置試
験を行ってもEC特性の劣化は殆ど無い。これは、全固
体ECセル中の吸蔵水の量がエポキシ樹脂封止および高
温・高湿放置試験を行っても減少せず、一定の吸蔵水を
保っているためである。
【0032】なお、実施例の全固体ECセルは高温・高
湿放置試験を行っても従来品のようなEC膜の剥離およ
び結晶化は認められない。これは、封止樹脂層に酸無水
物系のエポキシ樹脂を用いたためガラス基板とガラス封
止基板間の密着力が強く、高温・高湿放置試験を行って
もECセル内に水蒸気が侵入しなかったためである。
【0033】
【発明の効果】本発明の全固体ECセルによれば、封止
樹脂層が酸無水物系エポキシ樹脂により形成されている
とともに、封止樹脂層とEC素子との間に吸水性材料か
らなる吸水膜が介在されていることから、全固体ECセ
ル内の吸蔵水を一定に保つことができるため、高温・高
湿耐久性を向上させることができ、EC膜の剥離や結晶
化の発生およびEC特性の劣化を回避することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る全固体エレクトロクロミ
ックセルの模式断面図である。
【図2】(a)(b)(c)実施例、比較例1及び比較
例2のそれぞれの性能試験の結果を示すグラフである。
【図3】従来の全固体エレクトロクロミックセルの模式
断面図である。
【符号の説明】
1、11…ガラス基板 2、12…EC素
子 2a、12a…第1電導膜 2b、12b…酸
化発色膜 2c、12c…固体電解質膜 2d、12d…還
元発色膜 2e、12e…第2電導膜 3…吸水膜 4…封止樹脂層 5…ガラス封止基
フロントページの続き (72)発明者 多田 雅昭 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 江崎 泰雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 多賀 康訓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 遠藤 健夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板の表面に積層された第1
    電導膜、酸化発色膜、固体電解質膜、還元発色膜および
    第2電導膜からなるエレクトロクロミック素子と、該エ
    レクトロクロミック素子の表面を覆う封止樹脂層と、該
    封止樹脂層の表面に積層された封止基板と、を備えた全
    固体エレクトロクロミックセルにおいて、 前記封止樹脂層は酸無水物系エポキシ樹脂により形成さ
    れているとともに、前記封止樹脂層と前記エレクトロク
    ロミック素子との間に水を吸収した吸水性材料からなる
    吸水膜が介在されていることを特徴とする全固体エレク
    トロクロミックセル。
  2. 【請求項2】 前記吸水性材料は、酸化タングステン
    (WO3 )、酸化モリブデン(MoO3 )、酸化バナジ
    ウム(VX Y )またはこれらの複合酸化物からなる請
    求項1記載の全固体エレクトロクロミックセル。
JP8120207A 1996-05-15 1996-05-15 全固体エレクトロクロミックセル Pending JPH09304796A (ja)

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