JPH09301996A - グルタチオンモノエステルスルホン酸塩 - Google Patents

グルタチオンモノエステルスルホン酸塩

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JPH09301996A
JPH09301996A JP8114740A JP11474096A JPH09301996A JP H09301996 A JPH09301996 A JP H09301996A JP 8114740 A JP8114740 A JP 8114740A JP 11474096 A JP11474096 A JP 11474096A JP H09301996 A JPH09301996 A JP H09301996A
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sulfate
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sulfonic acid
monoethyl ester
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Sachiko Kato
幸子 加藤
Iwao Nakajo
巌 中條
Takehiro Ogasa
剛裕 小笠
Masaji Kasai
政次 河西
Yukiteru Mimura
幸輝 三村
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Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性が高くかつ安定性が良好なグルタチオ
ンモノエステルスルホン酸塩及びその高純度、高収率か
つ簡便な製造法を提供すること。 【解決手段】 式(I) (式中、R1 は低級アルキルを表し、R2 は低級アルキ
ルまたは置換もしくは非置換のアリールを表す)で表さ
れるグルタチオンモノエステルスルホン酸塩を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性が高くかつ
安定性が良好なグルタチオン(γ-L- グルタミル-L- シ
ステイニルグリシン)モノエステルスルホン酸塩及びそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】グルタチオンは、従来から新陳代謝、代
謝産物の運搬、細胞の保護等に関与していることが知ら
れており、肝臓の解毒剤、放射線防御剤、農業用解毒剤
等として使用されている。グルタチオンは、生体内で
は、グリシン、システイン及びグルタミン酸から生合成
される。細胞保護作用増強のためには生体細胞中のグル
タチオン濃度を高めることが必要であるが、上記アミノ
酸を多量投与しても一定以上のグルタチオン濃度の上昇
はみられない。また、グルタチオン自体を投与しても、
細胞外でまず分解され、細胞内に吸収後再びグルタチオ
ンが生合成される。このため、細胞内でのグルタチオン
濃度を一定以上に高めることは困難であった。
【0003】一方、グルタチオンモノエステルは、グル
タチオン自体とは異なり、動物試験において、多くのタ
イプの細胞へ高濃度で移行し加水分解を受けてグルタチ
オンに変換されることが知られている[プロシーディン
グス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエン
シズ オブ アメリカ (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.
A.), 第80巻,5258頁,1983年]。従って、グルタチオ
ンモノエステルは、生体内において解毒作用、放射線障
害防御作用等のグルタチオンに認められている薬理作用
を効果的に発現できるグルタチオンの易吸収活性体とし
て有用である。
【0004】上記文献には、グルタチオンの一般的なエ
ステル化反応で生成するグルタチオンモノエステルの酸
付加塩に関しては、その塩酸塩について記載されている
だけである。しかしながら、その製造法に関しての具体
的な記載はなく、また、特公平7-42308 によると、この
塩酸塩は結晶として単離できないとされている。このた
め、エステル化工程でその副生の回避が困難なグルタチ
オンジエステル及び未反応グルタチオンが混入し、製品
の純度が低下する。
【0005】一方、WO93/25573には、グルタチオンモ
ノエステルの他の酸付加塩として、種々のアミノ酸塩及
びその製造法について記載されている。同特許はグルタ
チオンモノエステルからの調製法に関するものであり、
グルタチオンモノエステル自体の製造法の記載はない。
すなわち、同特許によるアミノ酸塩の高純度品取得に
は、グルタチオンモノエステルの高純度での取得が必須
となる。
【0006】また、特公平7-42308 には、グルタチオン
モノエステル硫酸塩及びその製造法が記載されている。
同公報によれば、該硫酸塩は結晶としての取得が可能で
あることからその精製が容易となり、不純物の少ないグ
ルタチオンモノエステルが取得できるとされている。し
かしながら、明確な結晶性を証明する記載、及び保存、
製剤化等で問題となる安定性に関する記載はない。薬剤
等として広範に使用されるためには、その化合物の安定
性が重要である。アナリティカル バイオケミストリー
(Anal. Biochem.), 第183 巻,21頁,1989年には、グ
ルタチオンモノエチルエステルに関して、硫酸含有溶液
からエーテルで強制的に沈澱させた沈澱物は吸湿性で−
20℃でさえ保存安定性が不良であることが報告されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、結晶
性が高くかつ安定性が良好なグルタチオンモノエステル
スルホン酸塩及びその高純度、高収率かつ簡便な製造法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(I)
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1 は低級アルキルを表し、R2
は低級アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールを
表す)で表されるグルタチオンモノエステルスルホン酸
塩に関する。また、本発明は、グルタチオンと低級アル
コールとを、式(II)
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R2 は前記と同意義を表す)で表
されるスルホン酸の存在下に反応させることを特徴とす
るグルタチオンモノエステルスルホン酸塩の製造法に関
する。以下、式(I)及び式(II)で表される化合物を
それぞれ化合物(I)及び化合物(II)という。他の式
番号の化合物についても同様である。
【0013】
【発明の実施の形態】式(I)の各基の定義において、
低級アルキル及び低級アルコールの低級アルキル部分と
しては、直鎖または分枝状の炭素数1〜6の、例えばメ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ
ブチル、sec-ブチル、tert- ブチル、ペンチル、イソア
ミル、ネオペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ヘ
キシル等があげられ、アリールとしては、フェニルまた
はナフチルがあげられる。
【0014】置換アリールにおける置換基としては、同
一または異なって、置換数1〜3の、例えば低級アルキ
ル等があげられる。置換基の定義において、低級アルキ
ルは前記と同意義を表す。次に、本発明について詳細に
説明する。化合物(I)は、次の反応工程に従い製造す
ることができる。
【0015】
【化5】
【0016】(式中、R1 及びR2 は前記と同意義を表
す) 化合物(I)は、グルタチオン(III )と大過剰の低級
アルコールR1 OHとの混合溶液または懸濁液に、攪拌
下、スルホン酸(II)を添加し反応させることにより得
ることができる。スルホン酸(II)としては、無水物、
一水和物等として市販されているものをそのまま使用す
ることができる。スルホン酸(II)の添加量は、グルタ
チオン(III )に対し1.2 〜3.0 当量であり、好ましく
は1.5 〜2.0 当量である。反応は、−10℃〜反応に用い
た低級アルコールの沸点の間の温度、好ましくは0〜50
℃の間の温度で、5分〜48時間行う。
【0017】上述した製法においては、通常、反応系は
スルホン酸の添加後一旦均一な溶液となり、反応の進行
に伴いグルタチオンモノエステルスルホン酸塩が結晶と
して析出する。従って、反応生成物は、該析出結晶の濾
取のみで単離可能である。また、さらに洗浄、乾燥、再
結晶等に付して精製することもできる。化合物(I)
は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で存在すること
もあるが、これら付加物も本発明に包含される。
【0018】次に、本発明のグルタチオンモノエステル
スルホン酸塩の保存安定性について試験例で説明する。 試験例1 実施例1、2及び比較例6で得られた各塩について、40
℃、大気中、常圧の条件下で保存安定性を追跡した。そ
の結果を図1〜3に示す。
【0019】図から明らかなように、比較例6で得られ
る硫酸塩では、HPLC分析で著しい分解がみられた。
経時と共に加水分解が進行し、1週間後には、グルタチ
オン12.17%、グルタチオンジエチルエステル 1.30%、そ
の他類縁物 4.76%が検出され、グルタチオンモノエチル
エステルの含量は82.29%まで低下した。この結果は、グ
ルタチオンモノエステル・硫酸塩の保存が困難であるこ
とを示す。これに対して、本発明のp-トルエンスルホン
酸塩及びメタンスルホン酸塩では、HPLC分析で著し
い分解はみられなかった。例えば、p-トルエンスルホン
酸塩では、1週間後に類縁物としてグルタチオン 0.51%
のみが検出され、グルタチオンジエチルエステルは検出
されず、グルタチオンモノエチルエステルの含量は 99.
4%で低下はみられなかった。この結果は、本発明におけ
るp-トルエンスルホン酸塩及びメタンスルホン酸の保存
安定性が良好なことを示す。
【0020】以下に、本発明の実施例、比較例および参
考例を示す。
【0021】
【実施例】高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の
測定条件は、以下のとおりである。 カラム:YMC AM312 S5 120A ODS, 長さ125mm, 直径6m
m 移動相:アセトニトリル/水=15/85(0.05M 燐酸バッ
ファー) 流速:1.0ml /分 検出波長:220nm 保持時間(分):グルタチオンモノエチルエステル; 4.
1 グルタチオン ; 2.7 グルタチオンジエチルエステル ; 7.2
【0022】実施例−1 グルタチオンモノエチルエステル・p-トルエンスルホン
酸塩(エチル γ-L-グルタミル-L- システイニルグリ
シネート・p-トルエンスルホン酸塩) エタノール 4.55Lにグルタチオン 130g を懸濁させ、撹
拌下、25℃でp-トルエンスルホン酸一水和物 105g (2.
0 当量)を添加した。約10分間で均一な溶液となり、ほ
ぼ15時間でグルタチオンモノエチルエステル(エチル
γ-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート)のp-
トルエンスルホン酸塩の結晶が析出し始めた。約20時間
後、反応液を 1.95Lまで濃縮した。析出した結晶を濾取
し、エタノール 0.13Lで洗浄後、減圧乾燥し、粗p-トル
エンスルホン酸塩 180g (収率:84%, HPLC純度:96.9
% )を得た。得られた粗p-トルエンスルホン酸塩 180g
をエタノール 1.98Lに70℃で溶解し、徐冷後、氷冷晶析
した。析出した結晶を濾取し、エタノール 0.18Lで洗浄
後、減圧乾燥することにより、純品の標記化合物 153g
(収率:85%, HPLC純度:99.3% )を得た。
【0023】融点 168 〜170 ℃ 赤外吸収スペクトル(KBr, cm -1) 3288,1747,1730,1643,1535,1236,690 比旋光度 [α]D 20 -10.2 (c=10,水) 核磁気共鳴スペクトル[D2O, δ(ppm) ] 7.60 (d,J=8.3Hz,2H), 7.27 (d,J=8.0Hz,2H), 4.46 (t,
J=5.7Hz,1H), 4.12 (q,J=7.2Hz,2H), 3.96 (t,J=6.6Hz,
2H), 3.92 (d,J=2.6Hz,1H), 2.83〜2.86 (m,2H), 2.48
〜2.54 (m,2H), 2.30 (s,3H), 2.09〜2.18 (m,2H), 1.1
6 (t,J=7.2Hz,3H)
【0024】実施例−2 グルタチオンモノエチルエステル・メタンスルホン酸塩
(エチル γ-L- グルタミル-L- システイニルグリシネ
ート・メタンスルホン酸塩) エタノール 9.45Lにグルタチオン 450g を懸濁させ、撹
拌下、25℃でメタンスルホン酸 142ml(1.5 当量)を添
加した。約10分間で均一な溶液となり、ほぼ20時間でグ
ルタチオンモノエチルエステル(エチル γ-L- グルタ
ミル-L- システイニルグリシネート)のメタンスルホン
酸塩の結晶が析出し始めた。約24時間で反応は終了する
が、さらに室温で24時間、氷冷下で24時間晶析した。析
出した結晶を濾取し、エタノール 0.45Lで洗浄後、減圧
乾燥し、粗メタンスルホン酸塩 445g (収率:70% )を
得た。得られた粗メタンスルホン酸塩 400g をエタノー
ル4.40Lに70℃で溶解し、徐冷後、氷冷晶析した。析出
した結晶を濾取し、エタノール 0.40Lで洗浄後、減圧乾
燥することにより、純品の標記化合物 317g (収率:79
% )を得た。
【0025】融点 149 〜151 ℃ 赤外吸収スペクトル(KBr, cm -1) 3337,1747,1730,1637,1539,1232 核磁気共鳴スペクトル[D2O, δ(ppm) ] 4.46 (t,J=5.7Hz,1H), 4.12 (q,J=7.2Hz,2H), 3.99 (t,
J=6.7Hz,2H), 3.93 (d,J=2.6Hz,1H), 2.84〜2.86 (m,2
H), 2.49 〜2.55 (m,2H), 2.71 (s,3H), 2.11〜2.19
(m,2H), 1.17 (t,J=7.2Hz,3H)
【0026】比較例−1 グルタチオンモノエチルエステル・硫酸塩(エチル γ
-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート・硫酸
塩) エタノール 40ml にグルタチオン 9.92gを懸濁させ、氷
冷撹拌下に硫酸 2.4ml(1.4 当量)を滴下した。約30分
間で均一な溶液となり、室温で24時間撹拌したが、グル
タチオンモノエチルエステル(エチル γ-L- グルタミ
ル-L- システイニルグリシネート)の硫酸塩は結晶とし
て析出せず、さらに氷冷下で24時間撹拌した。しかしな
がら、硫酸塩の結晶としての析出はみられなかった。
【0027】比較例−2 グルタチオンモノエチルエステル・硫酸塩(エチル γ
-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート・硫酸
塩) エタノール 40ml にグルタチオン 9.92gを懸濁させ、氷
冷撹拌下に硫酸 2.4ml(1.4 当量)を滴下した。約30分
間で均一な溶液となり、室温で24時間撹拌したが、グル
タチオンモノエチルエステル(エチル γ-L- グルタミ
ル-L- システイニルグリシネート)の硫酸塩は結晶とし
て析出せず、さらに氷冷下で48時間撹拌した。しかしな
がら、硫酸塩の結晶としての析出はみられなかった。
【0028】比較例−3 グルタチオンモノエチルエステル・硫酸塩(エチル γ
-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート・硫酸
塩) エタノール 40ml にグルタチオン 9.92gを懸濁させ、氷
冷撹拌下に硫酸 2.4ml(1.4 当量)を滴下した。約30分
間で均一な溶液となり、室温で24時間撹拌したが、グル
タチオンモノエチルエステル(エチル γ-L- グルタミ
ル-L- システイニルグリシネート)の硫酸塩は結晶とし
て析出せず、さらに氷冷下で48時間撹拌した。しかしな
がら、硫酸塩の結晶としての析出はみられなかった。次
いで、総液量 25ml まで濃縮し、ジエチルエーテル 10m
l を添加したが、結晶の析出はみられなかった。
【0029】比較例−4 グルタチオンモノエチルエステル・硫酸塩(エチル γ
-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート・硫酸
塩) エタノール 260mlにグルタチオン 49.6gを懸濁させ、氷
冷撹拌下に硫酸 12ml(1.4 当量)を滴下した。約30分
間で均一な溶液となり、室温で24時間撹拌したが、グル
タチオンモノエチルエステル(エチル γ-L- グルタミ
ル-L- システイニルグリシネート)の硫酸塩は結晶とし
て析出せず、さらに氷冷下で24時間撹拌した。しかしな
がら、硫酸塩の結晶としての析出はみられなかった。
【0030】比較例−5 グルタチオンモノエチルエステル・硫酸塩(エチル γ
-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート・硫酸
塩) エタノール 400mlにグルタチオン 99.2gを懸濁させ、氷
冷撹拌下に硫酸 24ml(1.4 当量)を滴下した。約30分
間で均一な溶液となり、室温で24時間撹拌したが、グル
タチオンモノエチルエステル(エチル γ-L- グルタミ
ル-L- システイニルグリシネート)の硫酸塩は結晶とし
て析出せず、さらに氷冷下で24時間撹拌した。しかしな
がら、硫酸塩の結晶としての析出はみられなかった。
【0031】比較例−6 グルタチオンモノエチルエステル・硫酸塩(エチル γ
-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート・硫酸
塩) エタノール 260mlにグルタチオン 49.6gを懸濁させ、氷
冷撹拌下に硫酸 12ml(1.4 当量)を滴下した。約30分
間で均一な溶液となり、室温で24時間撹拌したが、グル
タチオンモノエチルエステル(エチル γ-L- グルタミ
ル-L- システイニルグリシネート)の硫酸塩は結晶とし
て析出せず、さらに氷冷下で15時間撹拌した。しかしな
がら、硫酸塩の結晶としての析出はみられなかった。次
いで、参考例で得られるグルタチオンモノエチルエステ
ルの硫酸塩を種晶として添加した。約3時間で白濁し、
約6時間で多量に結晶が析出した。析出した結晶を濾取
し、エタノール 100mlで洗浄後、減圧乾燥し、粗硫酸塩
22.5g(収率:36.3% )を得た。得られた粗硫酸塩 5.0
0gをエタノール 75ml と水 75ml の混合溶媒に加熱溶解
し、徐冷晶析した。析出した結晶を濾取し、エタノール
15ml で洗浄後、減圧乾燥することにより、標記化合物
16.0g(収率:71.0% )を得た。
【0032】比較例−7 グルタチオンモノエチルエステル・硫酸塩(エチル γ
-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート・硫酸
塩) エタノール 400mlにグルタチオン 99.2gを懸濁させ、氷
冷撹拌下に硫酸 24ml(1.4 当量)を滴下した。約30分
間で均一な溶液となり、室温で24時間撹拌したが、グル
タチオンモノエチルエステル(エチル γ-L- グルタミ
ル-L- システイニルグリシネート)の硫酸塩の結晶とし
ての析出はみられなかった。次いで、参考例で得られる
グルタチオンモノエチルエステルの硫酸塩を種晶として
添加し、氷冷下で24時間撹拌した。析出した結晶を濾取
し、エタノール 200mlで洗浄後、減圧乾燥し、粗硫酸塩
39.5g(収率:31.8% )を得た。
【0033】参考例(脱塩及び硫酸塩化:高純度なグル
タチオンモノエチルエステル及び硫酸塩の調製) 実施例−1で得られたp-トルエンスルホン酸塩 50.0gを
水 0.5L に溶解し、4%酢酸水溶液で前処理したWA30
(弱塩基性イオン交換樹脂;三菱化成工業K.K.) 200ml
にチャージした。水で流出させ、目的物質を含むフラク
ション 1.0L を得た。このフラクションを濃縮すること
により、高純度なグルタチオンモノエチルエステルの遊
離体 33.0g(収率:94.6% ,HPLC純度:99.3% )を得
た。得られたグルタチオンモノエチルエステルの遊離体
5.00gをエタノール 100mlと水 10ml の混合溶媒に懸濁
させ、氷冷撹拌下に硫酸 0.9ml(1.2 当量)を滴下し
た。約30分間で均一な溶液となり、さらに撹拌を続ける
ことによりグルタチオンモノエチルエステル(エチルγ
-L- グルタミル-L- システイニルグリシネート)の硫酸
塩が析出した。析出した結晶を濾取し、減圧乾燥するこ
とにより、純品の標記化合物 1.13g(収率:19.2% )を
得た。
【0034】なお、実施例1、2及び比較例6で得られ
た各塩のHPLC分析結果を第1表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明により、結晶性が高くかつ安定性
が良好なグルタチオンモノエステルスルホン酸塩及びそ
の高純度、高収率かつ簡便な製造法を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】グルタチオンモノエチルエステル・p-トルエン
スルホン酸塩の保存安定性を経時的に示すものである。
横軸は経過日数(日)を、左側の縦軸はグルタチオンモ
ノエチルエステルのHPLC純度(%)を、右側の縦軸はグ
ルタチオン、グルタチオンジエチルエステル及びその他
類縁物のHPLC純度(%)を表す。
【図2】グルタチオンモノエチルエステル・メタンスル
ホン酸塩の保存安定性を経時的に示すものである。横軸
は経過日数(日)を、左側の縦軸はグルタチオンモノエ
チルエステルのHPLC純度(%)を、右側の縦軸はグルタ
チオン、グルタチオンジエチルエステル及びその他類縁
物のHPLC純度(%)を表す。
【図3】グルタチオンモノエチルエステル・硫酸塩の保
存安定性を経時的に示すものである。横軸は経過日数
(日)を、左側の縦軸はグルタチオンモノエチルエステ
ルのHPLC純度(%)を、右側の縦軸はグルタチオン、グ
ルタチオンジエチルエステル及びその他類縁物のHPLC純
度(%)を表す。
【符号の説明】
──□──:グルタチオンモノエチルエステル ──◇──:グルタチオン ──○──:グルタチオンジエチルエステル ──△──:その他類縁物

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、R1 は低級アルキルを表し、R2 は低級アルキ
    ルまたは置換もしくは非置換のアリールを表す)で表さ
    れるグルタチオンモノエステルスルホン酸塩。
  2. 【請求項2】 R1 がエチルを表す請求項1記載のグル
    タチオンモノエステルスルホン酸塩。
  3. 【請求項3】 R2 がメチルを表す請求項2記載のグル
    タチオンモノエステルスルホン酸塩。
  4. 【請求項4】 R2 がp-トルイルを表す請求項2記載の
    グルタチオンモノエステルスルホン酸塩。
  5. 【請求項5】 グルタチオンと低級アルコールとを、式
    (II) 【化2】 (式中、R2 は前記と同意義を表す)で表されるスルホ
    ン酸の存在下に反応させることを特徴とするグルタチオ
    ンモノエステルスルホン酸塩の製造法。
  6. 【請求項6】 低級アルコールがエタノールである請求
    項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】 R2 がメチルを表す請求項6記載の製造
    法。
  8. 【請求項8】 R2 がp-トルイルを表す請求項6記載の
    製造法。
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