JPH09301943A - フラーレン誘導体およびそれの重合体 - Google Patents

フラーレン誘導体およびそれの重合体

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JPH09301943A
JPH09301943A JP8115128A JP11512896A JPH09301943A JP H09301943 A JPH09301943 A JP H09301943A JP 8115128 A JP8115128 A JP 8115128A JP 11512896 A JP11512896 A JP 11512896A JP H09301943 A JPH09301943 A JP H09301943A
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JP8115128A
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Masaaki Kakimoto
雅明 柿本
Yoshihide Jiyo
榮秀 徐
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HOECHST IND KK
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HOECHST IND KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 重合して機能性高分子のポリアミック酸やポ
リイミドをもたらすことのできる新規のフラーレン誘導
体並びにそれの重合で得られる高機能性の新規ポリアミ
ック酸およびポリイミドを提供する。 【解決手段】 式(I) 〔式中、R1 およびR2 は互いに無関係に二価の芳香族
残基または二価の置換芳香族残基であり、その置換基が
アルキル基、シクロアルキル基等であり、X1 およびX
2 は同一または異なって、アルコキシ基、水酸基または
下記式 (式中、R3 は置換または非置換のアルキル基、シクロ
アルキル基またはアリール基である。)で表される残基
の何れかである。〕で表されるフラーレン誘導体、並び
に下記式で表されるポリアミック酸およびポリイミド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規のフラーレン誘導
体、並びにこれをモノマーとして合成される新規の機能
性高分子物質のポリアミック酸およびポリイミド、並び
にそれらモノマーおよびポリマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】炭素の新たな形態として種々のフラーレン
が公知となっており、近年では、それの用途を提案する
多数の技術論文が見られる。それらによると、フラーレ
ンはそのままでまたはそれから誘導される化合物として
種々の目的で使用することが提案されている。
【0003】例えば特開平7−278431号には、芳
香族ポリアミド類とフラーレン類とを含む電磁放射線に
対して非常に安定な組成物が開示されている。この組成
物においては、フラーレン類は変性されないままで組成
物の一成分として使用されている。ドイツ特許出願第P
4312632.4号には、純粋な形で単離することが
でき、第三級アミノ基の他に、NH官能基を有する、フ
ラーレンC60とC70のジアミノ誘導体が開示されてい
る。
【0004】このドイツ特許出願に記載の方法で製造さ
れるジアミノ誘導体をイソシアネートまたはイソチオシ
アネートと反応させて製造される、アミノウレイドフラ
ーレンおよびアミノチオウレイドフラーレン誘導体も特
開平7−187628号公報に開示されている。更に特
開平7−33751号公報には、感光材料にフォトリソ
グラフィーのレジストとして好適なピリミジン基含有フ
ラーレン誘導体が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、重合
して機能性高分子のポリアミック酸やポリイミドをもた
らすことのできる新規のフラーレン誘導体並びにそれの
重合で得られる高機能性の新規ポリアミック酸およびポ
リイミドを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(I)
【0007】
【化9】
【0008】〔式中、R1 およびR2 は互いに無関係に
二価の芳香族残基または二価の置換芳香族残基であり、
その際に置換芳香族残基の置換基がアルキル基、シクロ
アルキル基またはアリール基、ハロゲン原子、−O−、
−CO−、−SO2 −または−S−であり、X1 および
2 は同一または異なっており、アルコキシ基、水酸基
または下記式
【0009】
【化10】
【0010】(式中、R3 は置換または非置換のアルキ
ル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、その
際にこれら基の置換基は、アルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、ハロゲン原子、−O−、−CO−、−
SO2 −または−S−である。)で表される残基の何れ
かである。〕で表されるフラーレン誘導体に関する。
【0011】本発明においてフラーレンとは、別名カー
ボンクラスターとも称される炭素同素体を言う。これま
で知られているフラーレンとしては分子式でC60
70、C 76、C78、C82、C90、C96等がある。本発明
においてはこれらフラーレンを単独またはそれらの混合
物として用いることができる。本発明においてはC60
70が特に好ましい。
【0012】式(I)中の残基R1 およびR2 は、二価
の非置換または置換芳香族残基、好ましくは炭素原子数
6〜24、特に炭素原子数6〜12の芳香族残基であ
り、その際にこれらの基が置換されている場合、その置
換基はアルキル基、好ましくは炭素原子数1〜10のア
ルキル基、シクロアルキル基、好ましくは炭素原子数6
〜24のシクロアルキル基、アリール基、好ましくは炭
素原子数6〜24のアリール基、ハロゲン原子、ハロゲ
ン置換されたアルキル基、好ましくは炭素原子数1〜5
のハロゲン化アルキル基、−O−、−CO−、−SO2
−または−S−である。
【0013】R3 はアルキル基、好ましくは炭素原子数
1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、好ましくは
炭素原子数6〜24のシクロアルキル基、アリール基、
好ましくは炭素原子数6〜24のアリール基であり、こ
れらの基はさらにアルキル基、好ましくは炭素原子数1
〜10のアルキル基、シクロアルキル基、好ましくは炭
素原子数6〜24のシクロアルキル基、アリール基、好
ましくは炭素原子数6〜24のアリール基、ハロゲン原
子、−O−、−CO−、−SO2 −または−S−で置換
されていてもよい。
【0014】本発明のフラーレン誘導体の合成は、フラ
ーレンおよび下記式(II)
【0015】
【化11】
【0016】〔式中、R1 およびR2 は式(1)につい
て規定した意味を有し、ORはアルコキシ基を意味し、
ただしRは同一でも異なっていてもよい低級アルキル基
を意味する。〕で表されるジアゾメタン化合物を、これ
ら出発化合物および生成物に対して不活性である溶媒お
よび/または懸濁液媒質中で実施するのが好ましい。結
果として下記反応式
【0017】
【化12】
【0018】に基づいてフラーレンジアルコキシ化合物
が生じる。式中R1 およびR2 は上に規定した通りであ
り、ORはアルコキシ基を意味し、ただしRは同一でも
異なっていてもよい低級アルキル基を意味する。この反
応で使用される溶媒または懸濁媒質は、例えばトルエ
ン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、メチルナフタレン、クロロナフタレン、ブロモ
ベンゼン、テトラリン、ジメチルナフタレン、メチルチ
オフェンおよび/またはテトラクロロエタンである。
【0019】この反応は、原料の選択によって相違する
が、一般に−10〜100℃、好ましくは20〜40℃
の温度で攪拌下に実施する。出発原料である式(II)の化
合物は、下記反応式に記載の通り、ジアルコキシアリー
ルフェノン化合物(V)を塩酸の存在下にヒドラジンと
反応させて式(VI)の化合物を得、次にHgOの存在下
に反応させることによって得られる:
【0020】
【化13】
【0021】フラーレンジアルコキシ化合物のアルコキ
シ基をハロゲン化剤、好ましくはBBr3 でハロゲン置
換した後に、加水分解することによってX1 およびX2
が水酸基である式(I)のフラーレンジオールに転化で
きる。その際の反応温度は室温〜120℃、好ましくは
60〜100℃であり、反応の際に使用する溶剤は例え
ばトルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジ
クロロベンゼン、メチルナフタレン、クロロナフタレ
ン、ブロモベンゼン、テトラリン、ジメチルナフタレ
ン、メチルチオフェンおよび/またはテトラクロロエタ
ン、好ましくはo−ジクロロベンゼンである。
【0022】フラーレンジオールは、トリエチルアミン
の様な塩基の存在下に無水トリメリット酸クロライドと
反応させて、X1 およびX2 が(1)で表される残基で
ある式(I)のフラーレン二酸無水物を得ることができ
る。その際の反応温度は室温〜120℃、好ましくは6
0〜100℃であり、反応時に使用される溶剤はテトラ
ヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホキシド、ジオキサン等の単独または相互の混合
物、好ましくはテトラヒドロフランとN,N−ジメチル
アセトアミドとの混合物である。この反応は不活性ガス
雰囲気、特にN 2 ガス雰囲気で実施する。
【0023】このフラーレン二酸無水物をアミノ基含有
化合物と反応させることによって、X1 およびX2
(2)で表される基であるフラーレンアミック酸を得る
ことができる。その際の反応温度は−10〜100℃、
好ましくは20〜40℃であり、反応時に使用される溶
剤はN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムア
ミド、ヘキサメチルホスホンアミド、好ましくはN−ジ
メチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドである。こ
の反応は不活性ガス雰囲気、特にN2 ガス雰囲気で実施
する。
【0024】このフラーレンアミック酸は、好ましい不
活性ガス雰囲気で50℃以上の温度、特に好ましい11
0〜240℃の温度に加熱することによってイミド化す
ることができ、その際にX1 およびX2 が(3)で表さ
れる基である式(I)のフラーレンイミドを得ることが
できる。このイミド化反応は1段階であるいは2段階に
分けて温度を変えて行うことができる。1段階法では5
0〜250℃、好ましくは200℃の温度で1〜3時間
実施する。2段階法では、反応を第1段階目に50〜1
50℃、好ましくは80〜120℃で1〜3時間、第2
段階目に150〜250℃、好ましくは180〜220
℃で2〜4時間実施する。
【0025】これらフラーレン誘導体の製造方法も本発
明の対象である。上記のフラーレン二酸無水物をジアミ
ノ基を持つ化合物、例えば4,4’−ジアミノ−ジフェ
ニルエーテルとを溶液重合することにより下記式(III)
【0026】
【化14】
【0027】〔式中、R1 およびR2 は式(1)につい
て規定した通りであり、R4 は水素原子、一価の置換ま
たは非置換の脂肪族、脂環式または芳香族の残基を意味
しそしてArは二価の置換または非置換の脂肪族、脂環
式または芳香族の残基を意味し、その際にこれら基の置
換基はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、−
O−、−CO−、−SO2 −または−S−であり、特に
好ましい下記式
【0028】
【化15】
【0029】を意味し、そしてnは1〜100の数を意
味する。〕で表されるポリアミック酸が得られる。その
際の反応温度は−10〜100℃、好ましくは20〜4
0℃であり、反応時に使用される溶剤はN,N−ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチル
ホスホンアミド、好ましくはN−ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミドである。この反応は不活性ガ
ス雰囲気、特にN2 ガス雰囲気で実施する。反応時間は
2〜5時間である。フラーレン二酸無水物とジアミノ基
を持つ化合物とのモル数を同じ程度で反応させることに
より、分子量の大きいポリマーを得ることができる。な
お、フラーレン二酸無水物の替わりに、一部フラーレン
を含まない二酸無水物を用いても同様にポリアミック酸
が得られる。このポリアミック酸も本発明の対象であ
る。
【0030】ポリアミック酸をイミド化し、ポリイミド
にするには加熱による脱水を引起す熱的な反応と無水フ
タル酸の様な酸無水物基を有する化合物による化学的な
反応がある。このポリアミック酸のイミド化は、真空減
圧下に1段階であるいは2段階に分けて温度を変えて行
うことができる。1段階法では50〜250℃、好まし
くは200℃の温度で1〜3時間実施する。2段階法で
は、反応を第1段階目に50〜150℃、好ましくは8
0〜120℃で1〜3時間、第2段階目に150〜25
0℃、好ましくは180〜220℃で2〜4時間実施す
る。その際に式
【0031】
【化16】
【0032】〔式中、R1 およびR2 は式(I)につい
て規定した通りであり、R4 およびArは式(III) につ
いて規定した意味を有しそしてnは1〜100の数を意
味する。〕で表されるポリイミドが得られる。 −本発明のポリアミック酸は溶剤、例えばN,N−ジメ
チルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、テトラヒドロフラン等に溶解するが、ポリ
イミック酸は溶剤に難溶である。
【0033】以下に、式(I)中X1 およびX2
(1)の残基である二酸無水物を製造するまでの本発明
の特に有利な実施態様を以下に反応式によって説明す
る:
【0034】
【化17】
【0035】本発明のポリアミドを溶液状態で型に注ぎ
込み、次いでイミド化することによってフィルム状物に
成形することができる。本発明のポリマーは、ポリアミ
ドの溶液状態で賦形してイミド化することによって種々
の成形品、例えば繊維、成形体に加工することができ
る。本発明を以下に、実施例によって更に詳細に説明す
る。
【0036】
【実施例】実施例1 :(C60−フラーレン−ジメトキシの製造) 200mgのC60−フラーレンを300mlのトルエン
に加えて溶解する。次いで70mgの4,4’−ジメト
キシベンゾフェノン−ジアゾメタンを加え、室温で2時
間攪拌し、反応させた。その後にトルエンを減圧下に留
去し、残った生成物を、SiO2 のカラムを用いた液体
クロマトグラフ(移動相:ヘキサン:トルエン=1:
2)により精製する。精製物は60mgの未反応のC60
−フラーレンと158mgのC60−フラーレン−ジメト
キシであった。収率60% 。
【0037】実施例2:(C60−フラーレン−ジオール
の製造) 実施例1で製造された200mgのC60−フラーレン−
ジメトキシと300mlのo−ジクロロベンゼンに加え
た136.97mg のBBr3 を80℃で12時間加熱
した。その後、反応物を400mlの水で注意深く振り
混ぜて加水分解させ、減圧下で有機相を濃縮した時に、
ヘキサンを加えて180mgの茶色の粉末状のC60−フ
ラーレンジオールが沈澱する。収率は93% である。
【0038】実施例3:(C60−二酸無水物の製造) 塩基として33.09mgのトリエチルアミンと100
mgのフラーレンジオールをTHF/DMAc混合溶剤
(1:1)40mlに加え、溶解させた後、68.86
mgの無水トリメリット酸クロライドを添加し、窒素雰
囲気下で80℃で2時間攪拌する。
【0039】その後に減圧下で溶剤を留去し、THF中
に溶解している未反応のC60−フラーレンジオールと無
水トリメリット酸クロライドを取り除くため、THFと
クロロホルムにて反応生成物を洗浄する。茶色の粉末状
生成物C60−フラーレン−二酸無水物モノマー131.
20mg(収率95% )が得られる。実施例4: (C60−二酸無水物と4−アニシジンとの反
応によるアミック酸化およびイミド化反応) 10mlのDMAcに100mgのC60−二酸無水物と
19.46mgの4−アニシジンを加え、窒素雰囲気下
で室温にて3時間反応させる。この反応液を減圧下で濃
縮し、メタノールを加え、沈澱物を得る。この沈澱物
(アミック酸)を濾過により集め、メタノールで十分に
洗浄し、真空下で乾燥した。アミック酸のイミド化反応
は100℃で1時間、その後200℃で2時間行う。
【0040】実施例5:(C60−二酸無水物と4,4’
−ジアミノジフェニルエーテルとの重合によるポリアミ
ック酸の製造) 10mlのDMAcに溶解した100mgのC60−二酸
無水物に、15.82mgの4,4’−ジアミノジフェ
ニルエーテルを加える。この反応混合物を窒素雰囲気下
に室温で3時間反応させる。この反応溶液を減圧下に濃
縮する。次いでメタノールを添加して沈澱物を得る。こ
の沈澱物(ポリアミック酸)を濾過によって集め、メタ
ノールで洗浄し、減圧下に乾燥させる。
【0041】実施例6:(ポリイミドの製造) 実施例5のポリアミック酸のイミド化反応は真空減圧下
に100℃で1時間、次いで200℃で2時間行う。こ
の生成物は一般的な溶剤に対してほとんど溶けないた
め、注型成形フィルムとして得ることはできない。実施例7: (C60−二酸無水物と下記式
【0042】
【化18】
【0043】で表される化合物との重合によるポリアミ
ック酸の製造) 上記式で表される化合物をジアミノ化合物として使用し
て、実施例5と同様にC60−二酸無水物と反応させて、
ポリアミック酸を得る。実施例8: (ポリイミドの製造) 実施例7のポリアミック酸のイミド化反応は真空減圧下
に100℃で1時間、次いで200℃で2時間行う。
【0044】実施例9:(ポリイミド成形体の製造) 実施例5のポリアミック酸をN,N−ジメチルアセトア
ミドに溶解し、この溶液をフィルム成形用注型に注ぎ込
み、発生する水分を除きながら減圧下に100℃で1時
間、その後に200℃で2時間イミド化を行う。分析結果 : 赤外線分光分析(IR)による:ポリマー生成物(ポリ
アミック酸およびポリイミド)の同定をIR(赤外線分
光分析器)にて、KBr法で行った(図1)。実施例3
で得られたC60−二酸無水物はC=O結合の吸収ピーク
は1743、1782、1861cm-1に確認された
(図1のa)。これらの吸収ピークはポリマー化するこ
とにより消失するが、アミック酸のC=O結合の吸収ピ
ークが1662cm-1に現れる(図1のb:実施例5の
ポリアミック酸)。この吸収ピークもイミド化により消
失する(図1のc:実施例6のポリイミド)。また17
80cm-1にポリイミドのC=O結合による不対称伸縮
振動の吸収が見られる。C60−フラーレンの特徴的な5
26cm-1の吸収ピークはこれら反応の最初から最後ま
で確認された。また3100〜3700cm-1の範囲に
ポリアミック酸のカルボキシル基のOH結合が見られ
る。これはメタノールによるポリアミック酸の洗浄によ
り、ポリマー末端にある未反応の酸無水物基から生じる
カルボキシル基の存在によるものとみられる。 示差走査熱量測定(DSC)および熱重量分析(TG
A):実施例5および7の生成物(ポリアミック酸)お
よび実施例6および8の生成物(ポリイミド)の熱分析
を窒素雰囲気下で示差走査熱量測定および熱重量分析に
よっても行った。ポリアミック酸(実施例5および7)
の分解が約250℃から始まるので、これらポリマーの
DSCにより最初の走査は室温から230℃の範囲で実
施する(図2のaおよびb)。DSCによる2回目の走
査は実施例6および8のポリイミドについて室温から3
50℃の範囲で実施する(図2のcおよびd)。第1回
目の走査により、128〜154℃の範囲にブロードな
発熱を示すピークが得られた。これは、この温度範囲で
加熱している時、イミド化が進み、吸熱反応となるにも
かかわらず、未反応の酸無水物基の分解により発熱反応
となる。これは吸熱より多くの発熱があるためと考えら
れる。ポリアミック酸とポリイミドのガラス転移点(T
g)はこれらの転移エネルギーが小さいために確認でき
なかった。
【0045】TGAの結果から実施例6および実施例8
のポリイミドが適度な熱安定性を持つことが判った(図
3のdおよびb)。480℃において約10重量% の質
量損失、700℃において約20重量% の質量損失が認
められ、これらの分析により、加熱により徐々に質量損
失することが判る。120〜240℃に加熱中に失われ
る水分によりTGAにてポリアミック酸のイミド化によ
る脱水反応が確認される。しかしイミド化による損失水
分量は計算による理論値より大きいものであった。これ
はイミド化以外にカルボン酸やメチルエステルのような
未反応末端基の分解に起因すると考えられる。
【0046】ポリマーの分子量:移動相としてN,N−
ジメチルホルムアミド(LiBr含有量、0.01モル
% )を用い、ゲル透過クロマトグラフィー(GPCと略
す)により数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(M
w)を測定した(ポリスチレン換算法)。この測定法に
よると、第4図に示す通り、実施例5および7のポリア
ミック酸は実際は、ポリマー部分(A)とオリゴマー部
分(B)で組成されていることが判る。表1にポリマー
部分についての分子量と多分散性指数(Polydis
persity Index:Mw/Mn比)を示す。
第4図のグラフに見られるオリゴマー部分は、未反応の
60−フラーレン−二酸無水物モノマー、オキシジアニ
リン(ODA)、酸無水物および/またはODA末端基
を持つオリゴマーの混合物と考えられる。
【0047】 表1:ポリアミック酸の平均分子量 ポリマー Mw Mn 多分散指数(Mw/Mn) (実施例番号) ──────────────────────────────────── 5 6019 7845 1.303 7 7806 10687 1.367 ────────────────────────────────────
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のポリアミック酸およびポリイミ
ドの一例の赤外線吸収スペクトルを示している。
【図2】図2は本発明のポリアミック酸およびポリイミ
ドの一例の示差走査熱量測定の結果を示している。
【図3】図3は本発明のポリアミック酸およびポリイミ
ドの一例の熱重量分析の結果を示している。
【図4】図4は本発明のポリアミック酸の一例のゲル透
過クロマトグラフィーによる分子量分布を示している

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 〔式中、R1 およびR2 は互いに無関係に二価の芳香族
    残基または二価の置換芳香族残基であり、その際に置換
    芳香族残基の置換基がアルキル基、シクロアルキル基ま
    たはアリール基、ハロゲン原子、−O−、−CO−、−
    SO2 −または−S−であり、 X1 およびX2 は同一または異なっており、アルコキシ
    基、水酸基または下記式 【化2】 (式中、R3 は置換または非置換のアルキル基、シクロ
    アルキル基またはアリール基であり、その際にこれら基
    の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール
    基、ハロゲン原子、−O−、−CO−、−SO2 −また
    は−S−である。)で表される残基の何れかである。〕
    で表されるフラーレン誘導体。
  2. 【請求項2】 式(I)のフラーレンがC60またはC70
    である請求項1に記載のフラーレン誘導体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のフラーレン誘導体を製
    造する方法において、フラーレンおよび下記式(II) 【化3】 〔式中、R1 およびR2 は請求項1に規定した通りであ
    り、 ORはアルコキシ基を意味し、ただしRは同一でも異な
    っていてもよい低級アルキル基を意味する。〕で表され
    るジアゾメタン化合物を反応させて下記式(a) のフラー
    レンジアルコキシ化合物を得、場合によっては次いでこ
    のフラーレンジアルコキシ化合物のアルコキシ基をハロ
    ゲン置換しそして加水分解することによって下記式(b)
    のフラーレンジオール化合物を得、場合によってはこの
    フラーレンジオール化合物と無水トリメリット酸クロラ
    イドを反応させて下記式(c) のフラーレン二酸無水物を
    得、場合によってはこの二酸無水物を4−アニシジンと
    反応させて下記式(d) のフラーレンアミック酸を得、そ
    して場合によってはこれらフラーレンアミック酸をイミ
    ド化することによって下記式(e) のフラーレンイミド化
    合物を得ることを特徴とする、 【化4】 上記方法。
  4. 【請求項4】 式(III) 【化5】 〔式中、R1 およびR2 は請求項1に規定した通りであ
    り、そしてArは二価の置換または非置換の脂肪族、脂
    環式または芳香族の残基を意味し、その際にこれら基の
    置換基はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、 −O−、−CO−、−SO2 −または−S−であり、 R4 は水素原子、一価の置換または非置換の脂肪族、脂
    環式または芳香族の残基を意味しそしてnは1〜100
    の数を意味する。〕で表されるポリアミック酸。
  5. 【請求項5】 式(III) 中のフラーレンがC60、C70
    たはそれの混合物である請求項4に記載のポリアミック
    酸。
  6. 【請求項6】 Arが下記式(f)または(g) 【化6】 である請求項4または5に記載のポリアミック酸。
  7. 【請求項7】 式 (IV) 【化7】 〔式中、R1 、R2 、R4 、Arおよびnは請求項4に
    規定した通りである。〕で表されるポリイミド。
  8. 【請求項8】 式 (IV) 中のフラーレンがC60、C70
    たはそれの混合物である請求項7に記載のポリイミド。
  9. 【請求項9】 Arが下記式(f)または(g) 【化8】 である請求項7または8に記載のポリイミド。
  10. 【請求項10】 請求項1の式(I)における残基X1
    およびX2 が残基(1)である二酸無水物をジアミノ基
    含有化合物と反応させることを特徴とする、ポリアミッ
    ク酸の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項4に記載のポリアミック酸をイ
    ミド化することによるポリイミドの製造方法。
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