JPH09301166A - 振動抑制装置 - Google Patents

振動抑制装置

Info

Publication number
JPH09301166A
JPH09301166A JP11654896A JP11654896A JPH09301166A JP H09301166 A JPH09301166 A JP H09301166A JP 11654896 A JP11654896 A JP 11654896A JP 11654896 A JP11654896 A JP 11654896A JP H09301166 A JPH09301166 A JP H09301166A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yawing
vehicle body
generated
signal
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11654896A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenjiro Kamibayashi
賢治郎 上林
Shunichi Usui
俊一 臼井
Tatsuya Oishi
達哉 大石
Yasuo Tsuyuki
保男 露木
Yukihiro Watanabe
幸博 渡辺
Hiroshi Niimura
浩 新村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sharyo Ltd
KYB Corp
Central Japan Railway Co
Original Assignee
Nippon Sharyo Ltd
Kayaba Industry Co Ltd
Central Japan Railway Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sharyo Ltd, Kayaba Industry Co Ltd, Central Japan Railway Co filed Critical Nippon Sharyo Ltd
Priority to JP11654896A priority Critical patent/JPH09301166A/ja
Publication of JPH09301166A publication Critical patent/JPH09301166A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体作動手段を制御して、車体の左右方向の
挙動を抑制して車両の乗り心地を向上させる。 【解決手段】 ヨーイング検出部32は、台車6aの前
後に夫々設けられたダンパ14a,14bのピストン速
度Vbtf,Vbtf’の差に基づいて、ヨーイング信
号を発生させる。Gセンサ12aにより検出された車体
4の横方向加速度は、横方向速度vに換算され、この横
方向速度vに基づいて指令信号発生部30が指令信号を
発生させる。制御信号発生部33は、この指令信号とヨ
ーイング信号との重み付き平均値を算出し、制御信号u
として出力する。この制御信号uに基づいて、ダンパ定
数設定部36がダンパ14aのダンパ定数を変化させ
る。こうして台車6aのヨーイング及び車体4の横方向
変位の双方を反映させた制御を行なうことにより、車体
4の横方向の挙動を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両において
車体の台車に対する左右方向の変位、ヨーイングといっ
た横方向の挙動を抑制し、乗り心地を向上させるための
振動抑制装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両において、車体は台車によって
支持されており、この両者間には、空気ばね(若しくは
コイルばね)が介装され、車体が台車から受ける衝撃を
吸収していた。すなわち、路線の不整による振動や、曲
線区間を走行する際に受ける遠心力による外周方向への
移動を、空気ばねによって防いでいる。こうすることに
より衝撃は吸収され、乗り心地は向上するが、空気ばね
自体の振動が発生して車体が振動し、乗客に不快感を与
えてしまう。この空気ばねの横方向振動を減衰させるた
めに左右動ダンパを設けたり、積極的に横方向に力を発
生させるアクチュエータを設けたりして、乗り心地を改
善させることが試みられている。この一例の概要を図7
に示す。
【0003】図7は、車両の左右方向の加速度に基づ
き、流体作動手段の発生力を制御する制御系を表すブロ
ック図である。流体作動手段は、車体と台車との間に介
装され、左右方向に力を発生して両者の相対移動を制御
可能にされている。この発生力を生じさせるのが発生力
変更手段であり、通常、圧力源や制御弁等から構成され
る。また、この発生力変更手段に対して発生力を指定す
るのが発生力設定手段である。発生力設定手段は、車両
の左右方向加速度から制御手段が発生させた制御信号に
基づいて、発生すべき力を算出する。
【0004】このような制御方式において特に、制御手
段が、加速度検出手段の検出結果を積分して速度を算出
し、且つ発生力設定手段が、この速度に比例した逆方向
の力を発生するようにしておくと、流体作動手段は、車
体の横方向速度をゼロにする力を発生することになり、
結果として左右方向に関し、車体は台車の移動に関わら
ず、空間に固定されるという所謂スカイフック制御が行
なわれることとなる。このスカイフック制御が成功する
と、例えば、不整により軌道が緩やかに屈曲している場
合にも車体は直進を保ち、快適な乗り心地が期待でき
る。また車体は、通常2台の台車によって前後位置を支
持されている。これら台車の両方について、台車と車体
とに介装された流体作動手段について同様の制御を行な
うと、横方向の平行な移動の他、車体がその重心位置を
通る鉛直な軸回りの回転(つまりヨーイング)に対して
もこれに逆らう力を発揮して、ヨーイングを抑えること
ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、車体を平行
移動させる力、及び車体をヨーイングさせるモーメント
は、一般に別々に働くのではなく、合成された形で働
く。従い上記のような制御方法では、平行移動させる力
やヨーイングさせるモーメントが夫々単独で車体に掛か
る場合には夫々の挙動を抑制できるが、両者が同時に掛
かり、力とモーメントとが相殺された場合には、制御手
段が発生力設定手段に対して出力する指令そのものが小
さくなってしまい、挙動の抑制がうまくいかなくなる。
例えば車体の前部において横方向速度が小さくなった場
合には、車体の前方はヨーイングされて傾いているにも
かかわらず、これを矯正する減衰力が十分に発生されな
いことになる。こうした状態では車体の挙動を効率よく
抑えることができない。
【0006】また、このヨーイングの要素を制御出力に
付加するために、加速度検出手段によって検出された車
体の加速度を積分し、更に乗り心地に悪影響を与える成
分の周波数のみを抽出する方法が一般的であるが、これ
では、加速度を積分する際、及びヨーイングの周波数成
分を抽出する際に位相が遅れてしまう。積分による位相
遅れは上記の制御手段が速度信号を算出する際にも行な
うので、速度信号との整合性の面からは問題がないが、
ヨーイングの周波数成分を抽出することによる遅れは、
この整合性を悪化させてしまう。
【0007】本発明はかかる課題に鑑みなされたもの
で、流体作動手段を用いて鉄道車両の横方向の振動抑制
を行なう装置において、平行移動させる力及びヨーイン
グさせるモーメントが同時に働いたことにより発生する
車体の挙動を効率よく抑制可能にすることを目的として
いる。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた本発明の請求項1に記載の振動抑制装置
は、図1に実線及び破線にて例示するように、車輪を軸
支する台車と、該台車に支持される車体とを有し、しか
も上記車体と上記台車との支持位置の前後には、シリン
ダと該シリンダ内にて摺動されるピストンとを具備し外
部の指令に基づいて所定量の力を発生可能な流体作動手
段を少なくとも各1体備え、上記シリンダ及び上記シリ
ンダの内、一方が上記車体に、他方が上記台車に支持さ
れることにより上記車体と上記台車との左右方向の相対
変位を制御する車両に用いられ、上記流体作動手段の内
の一方である第1流体作動手段のシリンダに対するピス
トンの速度を検出する第1速度検出手段と、上記第1流
体作動手段の発生力を変化させる発生力変更手段と、上
記車体の左右方向の加速度を検出する加速度検出手段
と、該加速度検出手段の検出結果に基づいて、制御信号
を出力する制御手段と、少なくとも上記制御手段の出力
した制御信号に基づいて、上記第1流体作動手段の発生
すべき発生力を求め、該発生力に基づいて上記発生力変
更手段に対して信号を出力する発生力設定手段と、を備
えた振動抑制装置において、更に、上記流体作動手段の
内、上記第1流体作動手段ではない方の第2流体作動手
段のシリンダに対するピストンの速度を検出する第2速
度検出手段、を備え、且つ上記制御手段が、上記加速度
検出手段の検出結果に基づいて、指令信号を発生する指
令信号発生手段と、上記第1速度検出手段による検出結
果と上記第2速度検出手段による検出結果との差に基づ
き、上記台車の上記車体に対するヨーイングを表すヨー
イング信号を発生するヨーイング検出手段と、該ヨーイ
ング検出手段により発生されたヨーイング信号と上記指
令信号発生手段により発生された指令信号との重み付き
平均値に基づいて、上記制御信号を発生させる制御信号
発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】また、請求項2に記載の振動抑制装置は、
図1に実線及び二点鎖線にて例示するように、車輪を軸
支する2台の台車と、該各台車に前後2ヶ所を支持され
る車体とを有する車両の上記各台車と上記車体との間に
少なくとも各1体、シリンダと該シリンダ内にて摺動さ
れるピストンとを具備し外部の指令に基づいて所定量の
力を発生可能な流体作動手段を備え、上記シリンダ及び
上記シリンダの内、一方が上記車体に、他方が当該台車
に支持されることにより上記車体と当該台車との左右方
向の相対変位を制御する列車に用いられ、上記2台の台
車の内の一方に設けられた流体作動手段である前方流体
作動手段の、シリンダに対するピストンの速度を検出す
る前方速度検出手段と、上記前方流体作動手段の発生力
を変化させる発生力変更手段と、上記車体の左右方向の
加速度を検出する加速度検出手段と、該加速度検出手段
の検出結果に基づいて、制御信号を出力する制御手段
と、少なくとも上記制御手段の出力した制御信号に基づ
いて、上記前方流体作動手段の発生すべき発生力を求
め、該発生力に基づいて上記発生力変更手段に対して信
号を出力する発生力設定手段と、を備えた振動抑制装置
において、上記2台の台車の内、上記前方流体作動手段
が設けられた方ではない上記台車に備えられた流体作動
手段である後方流体作動手段のシリンダに対するピスト
ンの速度を検出する後方速度検出手段、を備え、且つ上
記制御手段が、上記加速度検出手段の検出結果に基づい
て、指令信号を発生する指令信号発生手段と、上記後方
速度検出手段による検出結果と上記後方速度検出手段に
よる検出結果との差に基づき、上記車体の上記2台の台
車に対するヨーイングを表すヨーイング信号を発生する
ヨーイング検出手段と、該ヨーイング検出手段により発
生されたヨーイング信号と上記指令信号発生手段により
発生された指令信号との重み付き平均値に基づいて、上
記制御信号を発生させる制御信号発生手段と、を備えた
ことを特徴とする。
【0010】また、請求項3に記載の振動抑制装置は、
図2に例示するように、車輪を軸支する台車と、該台車
に支持される車体と、シリンダと該シリンダ内にて摺動
されるピストンとを具備し外部の指令に基づいて所定量
の力を発生可能な流体作動手段を備え、上記シリンダ及
び上記シリンダの内、一方が上記車体に、他方が上記台
車に支持されることにより上記車体と上記台車との左右
方向の相対変位を制御する車両に用いられ、上記流体作
動手段のシリンダに対するピストンの速度を検出する速
度検出手段と、上記流体作動手段の発生力を変化させる
発生力変更手段と、上記車体の、上記流体作動手段に対
応する位置における左右方向の加速度を検出する加速度
検出手段と、該加速度検出手段の検出結果に基づいて、
制御信号を出力する制御手段と、少なくとも上記制御手
段の出力した制御信号に基づいて、上記流体作動手段の
発生すべき発生力を求め、該発生力に基づいて上記発生
力変更手段に対して信号を出力する発生力設定手段と、
を備えた振動抑制装置において、上記制御手段が、上記
加速度検出手段による検出結果に基づき、指令信号を発
生する指令信号発生手段と、上記加速度検出手段により
検出された加速度から、車体の対地ヨーイングの周波数
に対応する周波数成分の振動を抽出し、ヨーイング信号
として出力するヨーイング検出手段と、該ヨーイング検
出手段により発生されたヨーイング信号と上記指令信号
発生手段により発生された指令信号との重み付き平均値
に基づいて、上記制御信号を発生させる制御信号発生手
段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の振動抑制装置に
おいては、台車の前部及び後部に設けられた第1流体作
動手段のピストン速度及び第2流体作動手段のピストン
速度の差に基づいて、ヨーイング検出手段がヨーイング
信号を発生させる。このヨーイング信号は車体に対する
台車のヨーイングを表している。なお、第1流体作動手
段のピストン速度は、第1速度検出手段によって検出さ
れ、第2流体作動手段のピストン速度は、第2速度検出
手段によって検出される。一方、指令信号発生手段は、
加速度検出手段により検出された車体の横方向加速度に
基づいて、指令信号を発生する。制御信号発生手段は、
この指令信号とヨーイング信号との重み付き平均値を制
御信号として出力する。制御信号は、第1流体作動手段
のピストン速度と共に発生力設定手段に入力されて、第
1流体作動手段の発生すべき発生力が求められ、その指
令が発生力変更手段に出力される。つまり、第1流体作
動手段の発生力は、車体の受けた横方向の加速度と、台
車の車体に対するヨーイングとに基づいて変化される。
よって、車体が横方向に変位した場合にのみ制御信号が
制御信号発生手段から出力されるのではなく、車体に対
して台車がヨーイングしたときにも、制御信号が出力さ
れる。また、車体が横方向に変位し、且つ台車が車体に
対してヨーイングしたときも、制御信号が出力される。
【0012】また、ヨーイング信号として第1速度検出
手段及び第2速度検出手段により検出されるピストン速
度を用い、加速度を積分しないので、位相の遅れがな
い。従い、請求項1に記載の振動抑制装置によれば、台
車の車体に対するヨーイング及び車体の横方向速度に基
づいて流体作動手段の発生力が変化されるので、ヨーイ
ング及び横方向変位の双方を抑制することができる。ま
た重み係数を変化させることにより、様々な路線に対し
ても適用することができる。
【0013】請求項2に記載の振動抑制装置において
は、車体の前部及び後部を支持する2台の台車に流体作
動手段(前方流体作動手段と後方流体作動手段)が設け
られている。そしてこれら各流体作動手段のピストン速
度を夫々検出する前方速度検出手段及び後方速度検出手
段が設けられており、両者の検出結果の差に基づいてヨ
ーイング検出手段がヨーイング信号を発生させる。こう
してヨーイング信号が発生されると、この後、請求項1
に記載の振動抑制装置と同様にして前方流体作動手段の
発生力が変化される。つまり、前方流体作動手段の発生
力は、車体の受けた横方向の加速度と、2台の台車に対
する車体のヨーイングとに基づいて変化される。よっ
て、車体が横方向に変位した場合にのみ、制御信号が制
御信号発生手段から出力されるのではなく、車体が2台
の台車に対してヨーイングしたときも、制御信号が出力
される。また、車体が横方向に変位し、且つ車体が2台
の台車に対してヨーイングしたときも、制御信号が出力
される。
【0014】また、ヨーイング信号として前方速度検出
手段及び後方速度検出手段により検出されるピストン速
度を用い、加速度を積分しないので、位相の遅れがな
い。従い、請求項2に記載の振動抑制装置によれば、2
台の台車に対する車体のヨーイング及び車体の横方向速
度に基づいて流体作動手段の発生力が変化されるので、
車体のヨーイング及び横方向変位の双方を抑制すること
ができる。
【0015】なお、ここで前方流体作動手段や後方速度
検出手段等の、「前方」「後方」とは、車両の進行方向
に対して前方、後方といっているのではなく、請求項1
に記載の本発明にて「第1」「第2」と記載して2つの
流体作動手段や速度検出手段を区別したのと、識別する
ための表現に過ぎない。従い、車両の進行方向が変われ
ば、制御系が変わる、ということではない。
【0016】請求項3に記載の振動抑制装置において
は、車体の前部及び後部を支持する2台の各台車に対応
する位置に、車体の左右方向の加速度を検出する加速度
検出手段が設けられている。また、これら2台の台車の
内の少なくとも一方には、流体作動手段が設けられてい
る。ヨーイング検出手段は、加速度検出手段により検出
された加速度から、車体の対地ヨーイングの周波数に対
応する周波数成分の振動を抽出し、ヨーイング信号とし
て出力する。この後、請求項1に記載の振動抑制装置と
同様にして流体作動手段(請求項1の第1流体作動手段
に相当)の発生力が変化される。
【0017】つまり、流体作動手段の発生力は、流体作
動手段に対応する車体位置において検出された横方向の
加速度と、車体の対地ヨーイングとに基づいて変化され
る。よって、車体が横方向に変位した場合に制御信号が
制御信号発生手段から出力されるだけでなく、車体が地
面に対してヨーイングしたときも、制御信号が出力され
る。また、車体が横方向に変位し、且つ車体が地面に対
してヨーイングしたときも、制御信号が出力される。
【0018】また、加速度から直接、ヨーイングの周波
数に対応する周波数成分の振動を抽出するので、積分に
よる位相遅れもない。従い、請求項3に記載の振動抑制
装置によれば、地面に対する車体のヨーイング及び車体
の横方向速度に基づいて流体作動手段の発生力が変化さ
れるので、車体の対地ヨーイング及び横方向変位の双方
を抑制することができる。
【0019】
【実施例】以下に本発明に関する実施例を図面と共に説
明する。まず、図3は本発明の振動抑制装置が適用され
る列車を示す側面図である。本図に示すように、車両2
は、車体4と、車体4の前後を支持する台車6a,6b
と、各台車6a,6bに懸架された車輪10a,10
b,10c,10dとを主に構成されている。車体4と
台車6a,6bとは、台車6a,6bの略中央位置にて
前後左右方向には所定量、相対移動可能に支持されてお
り、また同じく中央位置にて鉛直方向を軸として車体4
に対して回動可能にされている。これにより車両2は、
屈曲した軌道上を滑らかに走行することができる。
【0020】また、車体4には、台車6a,6bによっ
て支持される位置に夫々Gセンサ12a,12bが設け
られており、車体4の左右方向の対地加速度を検出可能
にされている。そして更に、中央位置の前後(本図にお
いては左右)には、本発明の流体作動手段としての左右
動ダンパ14a,14b,14c,14dが配置されて
いる。これら左右動ダンパ(以下、単にダンパともい
う)14a〜14dは、シリンダ内にて摺動可能に配置
されたピストンにてシリンダ内を2室に分割し、その2
室に充満されたオイルを、ピストンに設けられた流路を
介してやりとりすることにより、ピストンのシリンダに
対する振動を減衰させるものである。そして、ピストン
の摺動方向を車体の左右方向に平行にしてシリンダは車
体4側に、ピストンはロッドを介して台車6a,6bに
夫々固定されている。すなわち、ダンパ14a〜14d
は、車体4と台車6a,6bとの左右方向の相対振動を
減衰させるものである。
【0021】なお各左右動ダンパ14a〜14dには、
上記2室を連絡する油圧回路が外部に設けられており、
この油圧回路が備える複数のソレノイドバルブをON/
OFFすることにより、減衰性能を変化可能にされてい
る。また、ピストンの速度を検出するセンサも設けられ
ている。このソレノイドバルブ及びセンサについては後
述する。そしてこの油圧回路は、ダンパ定数を変更する
のみであるが、ダンパ14a〜14dのピストンがシリ
ンダに対して相対移動することによりダンパ定数に応じ
て異なる減衰力を発生させるので、この油圧回路は本発
明の発生力変更手段に相当する。
【0022】振動抑制装置16a〜16dは、そのとき
の車体4の挙動に応じて、ダンパ14a〜14dのダン
パ定数を変化させるもので、ダンパ14a〜14d毎に
設けられている。そして振動抑制装置16aは、Gセン
サ12aにより検出された車体4の左右加速度と、ダン
パ14aのピストン速度と、ダンパ14bのピストン速
度とに基づいて、ダンパ14aに指令値を発生するよう
にされている。なお、ダンパ14bのピストン速度は、
振動抑制装置16bより信号線18aを介して受け取る
ものとする。これとは逆に、振動抑制装置16bは、G
センサ12aにより検出された車体4の左右加速度と、
ダンパ14bのピストン速度と、ダンパ14aのピスト
ン速度とに基づいて、ダンパ14bに指令値を発生し、
ダンパ14aのピストン速度は、振動抑制装置16aよ
り信号線18aを介して受け取る。振動抑制装置16
c,16dにおいても同様に、夫々ダンパ14c,14
dに指令値を発生するようにされている。
【0023】これら振動抑制装置16a〜16dの構成
について、図4を用いて説明する。なお、4体の振動抑
制装置16a〜16dは、互いに同じ構成からなり、上
記した点を除いて同じ作用をするため、振動抑制装置1
6aにて代表させて説明する。
【0024】図4は、振動抑制装置16aの構成をブロ
ック線図にて表し、また振動抑制装置16aとピストン
速度を表す信号をやり取りする振動抑制装置16bに関
しても、振動抑制装置16aの作用説明に関わる構成の
みをブロック線図にて表したたものである。すなわち、
振動抑制装置16aは、Gセンサ12aから出力された
加速度信号を増幅して所定の電圧値として出力するGア
ンプ20と、Gアンプ20の出力した電圧値(アナログ
信号)をデジタル信号に変換するA/D変換器22と、
A/D変換器22の出力したデジタル信号の高周波成分
をカットする波形フィルタ処理部24と、この波形フィ
ルタ処理部24が出力した信号に重力加速度gを乗して
実加速度にする補正部26と、この実加速度を積分して
車体4の左右方向の速度を算出する積分部28と、積分
部28により算出された車両2の車体の横方向速度vに
基づいて指令信号を発生させる指令信号発生部30と、
車体4のヨーイングを検出するヨーイング検出部32
と、ヨーイング検出部32により出力された信号と指令
信号発生部30により出力された信号とから制御入力信
号uを発生する制御信号発生部33と、ダンパ14aの
シリンダに対するピストンの速度Vbtfに対応する信
号を発生させる速度検出部34と、制御入力信号uとピ
ストン速度Vbtfとからダンパ14aの発生すべきダ
ンパ定数を設定するダンパ定数設定部36と、ダンパ1
4aをアンロードにすべきかオンロードにすべきかを制
御入力信号u及びピストン速度Vbtfの各値から判定
するアンロード・オンロード判定部38と、ダンパ定数
設定部36及びアンロード・オンロード判定部38から
の信号入力に基づいて、ダンパ14aに設けられた油圧
回路(図示せず)の有する複数のソレノイドバルブ40
を駆動するソレノイドドライバ42と、から構成されて
いる。
【0025】振動抑制装置16bも同様の構成を有して
おり、その構成の一つである速度検出部34bにより検
出されるピストン速度Vbtf’も用いて振動抑制装置
16aのヨーイング検出部32は、車体4のヨーイング
を検出する。なお、本図において2点鎖線にて囲まれた
各構成の行なう処理はソフトウェアにて実現されてい
る。すなわち、2点鎖線にて囲まれた部分は、ハードウ
ェア的には、CPU、RAM、ROM、水晶発振子、及
びこれらを連絡するバスライン(何れも図示せず)とか
らなる周知のコンピュータシステムとして構成されてい
る。そして、上記作用を実現する処理がプログラムとし
てROM内に予め格納されており、CPUが、このプロ
グラムに従って、演算処理を行なったり、Gセンサ12
aからの出力信号をRAMに格納したりすることによ
り、ソレノイドドライバ42に出力する信号を発生させ
る。
【0026】次に、以上の振動抑制装置16aを構成す
る各部の内、特に重要な構成について補足説明を行な
う。まず、指令信号発生部30は、積分部28により算
出された横方向速度vに所定の制御ゲイン(負符号付)
を乗した結果を指令信号を発生させるものである。つま
りこの指令信号は、横方向速度vと逆方向を向いた力を
表す信号となる。なお、指令信号発生部30と積分部2
8とを合せたものが本発明の指令信号発生手段に相当す
る。
【0027】ヨーイング検出部32は、速度検出部34
の出力したピストン速度Vbtfと、振動抑制装置16
bから入力されるダンパ14bのピストン速度Vbt
f’との差に所定の制御ゲインを乗した信号を、車体4
に対する台車6aのヨーイングとして出力するものであ
る。なお、ピストン速度Vbtf’は振動抑制装置16
bの速度検出部34bによって検出されるものであり、
ここで用いる所定の制御ゲインは、指令信号発生部30
にて用いられる制御ゲインと同じ値とする。
【0028】制御信号発生部は、指令信号発生部30に
より出力された指令信号とヨーイング検出部により出力
されたヨーイング信号との重み付き平均値を算出し、制
御入力信号uとして出力するものである。すなわち、制
御入力信号uは、 u=−K×{A×(Vbtf−Vbtf’)+(1−A)×v}……(1) にて表される。ここでAは、0以上1以下の実数として
予め設定されているものとし、一方Kは、指令信号発生
部30及びヨーイング検出部32にて用いられた前述の
制御ゲインとする。
【0029】式(1)において仮にA=0とおくと、車
体4の、その時点における横方向速度vに基づいてダン
パ14aのダンパ定数を切り換える通常のスカイフック
制御(以下、通常制御という)となる。一方、式(1)
においてA=0とおくと、ヨーイング検出部32にて算
出されたヨーイングVbtf−Vbtf’に基づいてダ
ンパ14aのダンパ定数を切り換える制御(以下、ヨー
イング抑制制御という)となる。
【0030】つまり、制御信号発生部33は、式(1)
のように、通常制御による指令信号とヨーイング抑制制
御による指令信号とを合成したものを、制御入力信号u
として出力する。なお、制御入力信号uは、本発明の制
御信号に相当し、重み係数Aによって予め定められる配
分にて、横方向速度に抗する方向の減衰力と、台車6a
の車体4に対するヨーイングに抗する方向の減衰力とを
合成したもので、ダンパ14aの発揮すべき減衰力の目
標値に相当するものとなる。
【0031】アンロード・オンロード判定部38は、制
御入力信号uの符号とダンパ14aのピストン速度Vb
tfの符号とから、ダンパ14aに減衰力を発生させる
か否かを判断する部分である。制御信号発生部33は、
減衰力をダンパ14aに発生させる指令を出すものであ
るが、ダンパ14aはその性質上、ピストンの移動方向
と同じ方向には減衰力を発生できない。このため、制御
入力信号uの符号(方向)とピストン速度Vbtfの符
号(方向)が等しい場合には、ダンパ14aに減衰力を
発生させない(アンロード)ようにソレノイドドライバ
42に指令信号を発生する。一方、符号が異なる場合に
は、制御入力信号uに基づき、ダンパ定数設定部36の
発生するソレノイドバルブ40のON/OFFパターン
に従って、減衰力を発生する(オンロード)ようにす
る。なお、実際にはダンパ14aは、アンロード状態に
おいてもわずかな減衰力を発生させる。
【0032】ダンパ定数設定部36は、複数のソレノイ
ドバルブ40の内、どのソレノイドバルブ40をON
し、どのソレノイドバルブ40をOFFするかを、ソレ
ノイドドライバ42に対して指令するものであるが、実
際にダンパ定数設定部36からの指令によりON/OF
Fされるのは、複数のソレノイドバルブ40の内、2つ
のみである(以下、この2つのソレノイドバルブ40を
SOL1、SOL3という)。これらSOL1、SOL
3をON/OFFすることにより、ダンパ14aは以下
の[表1]に示すようなダンパ定数を発生させる。
【0033】
【表1】
【0034】このダンパ定数P1〜P4に、ピストン速
度Vbtfを乗したものが減衰力となるが、ダンパ定数
P1〜P4は一定値ではないため、減衰力はピストン速
度Vbtfに比例せず、図5に示したような曲線とな
る。すなわち、図5は、ダンパ定数がP1〜P4である
各場合においてピストン速度Vbtfに応じて発揮され
る減衰力Fを一点鎖線にて表し、更にこれら各1点鎖線
を略中心として全量域をダンパ定数P1〜P4に対応す
る4つの領域に区分したものであり、バルブパターンM
APと呼ばれる。
【0035】このバルブパターンMAPは、テーブル化
されて上記コンピュータシステムのROM内に予め格納
されており、ダンパ定数設定部36は、バルブパターン
MAPを参照し、制御入力信号uとピストン速度Vbt
fとからダンパ定数を設定し、ソレノイドドライバ42
に対して信号を出力する。例えば、ダンパ定数設定部3
6が、減衰力として400kgfを発生させる旨の制御
入力信号uを制御信号発生部33から受け取り、またそ
のときのピストン速度Vbtfが10cm/secであ
る旨の信号を速度検出部34から受け取った場合には、
ダンパ定数をP2にするために、ソレノイドドライバ4
2に対してSOL1をOFF、SOL3をONするよう
な指令を出力する。なお、速度検出部34、バルブパタ
ーンMAP、及びダンパ定数設定部36が、本発明の発
生力設定手段に相当する。
【0036】ここで、SOL1、SOL3を有する油圧
回路、速度検出部34、及びダンパ14aについて図6
を用いて説明する。図6は、これら三者を一体に構成し
たセミアクティブダンパ装置50の概略構成図である。
まず、ダンパ14aは上記したように、シリンダ52
と、シリンダ52内にて摺動可能に配置されたピストン
54と、ピストン54に固定されたロッド56とを主に
構成され、ロッド56の末端56aは台車6aに固定さ
れ、シリンダ52のヘッド52aは、車体4に固定され
ている。そしてピストン54によって2室58,60に
分割されたシリンダ52内部にはオイルが充満され、こ
の2室58,60(以下、58をロッド側、60をヘッ
ド側という)はピストンに設けられたチェック弁62を
介して連通されている。
【0037】油圧回路は、ヘッド側60に接続されたヘ
ッド経路64、ロッド側58に接続されたロッド経路6
6、ロッド経路66に接続され主オリフィス68を介し
てヘッド経路64へとオイルを還流させる主流路70
と、主流路70と並列に配置された支流路でありSOL
1及び第1オリフィス72を介してヘッド経路64へと
オイルを還流させる第1支流路74と、同じく主流路7
0と並列に配置された支流路でありSOL3及び第2オ
リフィス76を介してヘッド経路64へとオイルを還流
させる第2支流路78とを備えている。また、ヘッド経
路64にはベースチェック弁79が介装されており、オ
イルの逆流を防いでいる。なお、第2オリフィス76の
流路径は、第1オリフィス72の流路径よりも大きくさ
れている。
【0038】また、この油圧回路は、上記の主流路7
0、第1支流路74、第2支流路78の他にも、SOL
2を介してヘッド経路64へとオイルを還流させるアン
ロード用経路80や、無通電状態(フェイル時ともい
う)において三方弁SOL4及び第3オリフィス82を
介してヘッド経路64へとオイルを還流させるフェイル
用経路84を備えている。なお、三方弁SOL4は、オ
ンロード状態においてONされ、三方弁SOL4側にオ
イルが流れこまないようにされる。
【0039】この油圧回路において、SOL1,SOL
3を共にOFFにしておくと、オイルは、ロッド経路6
6から主流路70の主オリフィス68のみを通ってヘッ
ド経路64へと還流するため、流路抵抗が大きく、ダン
パ14aのダンパ定数は大きくなる。これがP4の状態
である。また、SOL1をON、SOL3をOFFにし
ておくと、オイルは、ロッド経路66から主流路70の
主オリフィス68、及び第1支流路74の第1オリフィ
ス72を通って、ヘッド経路64へと還流するため、ダ
ンパ定数はP4よりもやや小さくなる。これがP3の状
態である。これとは逆にSOL1をOFF、SOL3を
ONにすると、オイルはロッド経路66から主流路70
の主オリフィス68及び第2支流路78の第2オリフィ
ス76を通ってヘッド経路64へと還流する。第2オリ
フィス76の流路径は、第1オリフィス72の流路径よ
りも大きくされているため、ダンパ定数はP3よりもや
や小さくなる。これがP2の状態である。そして、SO
L1,SOL3を共にONにしておくと、オイルは、ロ
ッド経路66から主流路70の主オリフィス68、第1
支流路74の第1オリフィス72、及び第2支流路78
の第2オリフィス76の計3個のオリフィスを通ってヘ
ッド経路64へと還流するため、ダンパ定数はP2より
も更に小さくなる。これがP1の状態である。
【0040】アンロード用経路80は、既述したアンロ
ード・オンロード判定部38によってアンロード状態に
すべきであるという信号が発せられたときに、SOL2
がONされることによりオイルが流れる経路である。こ
のアンロード用経路80にはオリフィスがなく流路抵抗
は極めて小さいため、SOL2がONされると、SOL
1、SOL3の状態に関わらず、ダンパ14aは極めて
小さなダンパ定数を呈する。一方、フェイル用経路84
には、第3オリフィス82があるので、アンロード状態
よりも大きなダンパ定数を呈する。これらアンロード状
態及びフェイル時における減衰力とピストン速度Vbt
fとの関係は、図5のバルブパターンMAPに併記した
ようになる。
【0041】以上のように、油圧回路は、SOL1、S
OL3がON/OFFされることにより、ダンパ14a
のダンパ定数を4段階に切り替える他、アンロード状
態、フェイル時における減衰力を図5に示した所定値に
保つようにしている。速度検出部34は、ロッド56の
側面に、軸方向に等間隔にて埋めこまれた磁性体ビット
90と、磁性体ビット90に対向して配置された磁気セ
ンサ92と、磁気センサ92からの電気信号を増幅する
増幅装置94とを備えている。
【0042】そしてピストン54(ひいてはロッド5
6)がシリンダ52に対して移動すると、磁気センサ9
2が磁性体ビット90をカウントし、所定サンプリング
時間内のカウント値からピストン速度Vbtfを出力す
るようにされている。なお、速度検出部34は、ピスト
ン速度Vbtfだけでなく、ピストン54の中立位置か
らの変位も出力する。
【0043】以上の構成からなる振動抑制装置16aに
よれば、台車6aのヨーイング(Vbtf−Vbt
f’)及び車体4の前部における横方向速度vの両者に
基づいて制御信号発生部33がダンパ14aのダンパ定
数を変化させるので、ヨーイング及び横方向変位の双方
を抑制する制御が可能となる。すなわち、台車6aをヨ
ーイングさせるようなモーメントが加わり、またこれと
同時に車体4を横方向に台車6aに対して変位させるよ
うな外力が加わった結果、Gセンサ12aによって車体
4の加速度が検知されない様な状態になったとしても、
(Vbtf−Vbtf’)はゼロにならないため、制御
信号発生部33はヨーイングを抑制するような制御入力
信号uを発生させる。この制御にてヨーイングが抑制さ
れることにより、車体の横方向変位が誘発されることに
なっても、車体の横方向速度vを抑制する成分も制御入
力信号uに含まれているため、車体の横方向変位も抑制
することができる。なお、振動抑制装置16aにおいて
も、制御入力信号uの成分(Vbtf−Vbtf’)と
成分vとが互いに相殺し、制御入力信号uが適切に出力
されないという事態が再発することも考えられる。しか
し、車両2においては、台車6aに設けられた2体のダ
ンパ14a,14bについて夫々振動抑制装置16a,
16bが設けられており、振動抑制装置16bにおいて
も上記と同様の制御がダンパ14bに対応させて行なわ
れる。そして、振動抑制装置16a,16b間でヨーイ
ング成分は(Vbtf−Vbtf’)と(Vbtf’−
Vbtf)となり異符号であるが、横方向速度の成分v
はGセンサ12aによって検出された共通のものにな
る。従い、もし振動抑制装置16aにおいて成分(Vb
tf−Vbtf’)が成分vと異符号で、制御入力信号
uが小さくなってしまっても、振動抑制装置16bにお
いては成分(Vbtf’−Vbtf)と成分vとは同符
号となり、制御入力信号uを発生させる。このため、振
動抑制装置16bによって台車6aのヨーイングが抑制
され、ヨーイングが抑制されることによって振動抑制装
置16aにおいても制御入力信号uが誘発され、適切に
横方向の挙動を抑制できるようになる。
【0044】重み係数Aの値は、車両2が走行する走行
線区の状態によって定めると良い。例えば、台車6aの
車体4に対するヨーイングが顕著に発生する線区を、車
両2が走行する場合は、重み係数Aの値を大きくする。
するとそのヨーイングを抑えるような減衰力をダンパ1
4aが発生するようにできる。これとは逆に、台車6a
が車体4に対して横方向に変位する度合の大きい線区で
あれば、重み係数Aの値を小さくする。これは(1−
A)を大きくすることになり、横方向変位を抑制するよ
うな減衰力をダンパ14aが発生するようにできる。つ
まり、車体4の横方向の挙動を適切に抑制できる。
【0045】そして同様の制御を振動抑制装置16c,
16dにおいても行なうので、台車6bの車体4に対す
るヨーイングや車体4の後部における横方向の変位も抑
制できる。ところで、車体を台車に対して能動的に変位
させて振動を抑制するアクチュエータを設け、これに対
し所定の制御を行なうと、ノイズ等の予期せぬ外乱やそ
の他の原因により制御不能に陥った場合に、安定した走
行が得られないことがある。この点、上記の振動抑制装
置16a〜16dが誤動作を起こしても、左右動ダンパ
14a〜14dのダンパ定数が不適切な値になるのみで
あり、振動抑制性能が劣化するだけで済む。
【0046】以上、本発明の一実施例である振動抑制装
置16a〜16dについて説明してきたが、本発明は上
記構成に限定されるものではなく、様々な態様で実施し
うる。例えば、上記ではヨーイング検出部32は、ダン
パ14aのピストン速度Vbtfとダンパ14bのピス
トン速度Vbtf’との差に基づいて台車6aのヨーイ
ングを検出したが、ピストン速度Vbtf’に代えてダ
ンパ14cのピストン速度Vbtf''を用いてヨーイン
グを検出しても良い。但し、この場合に検出されるヨー
イングは、台車6aの車体4に対するヨーイングではな
く、2台の台車6a,6bに対する車体4のヨーイング
(より詳しくは両台車6a,6bが車体4を支持する位
置を結んだ直線を基準とする車体4のヨーイング)とな
る。
【0047】これを図で表すと、図3においては信号線
19aを介して振動抑制装置16aと振動抑制装置16
cとが夫々対応するダンパ14a,14cのピストン速
度Vbtf,Vbtf’をやりとりし、図4において
は、振動抑制装置16bとして示した破線のブロックを
振動抑制装置16cと読み替え、また速度検出部34b
を速度検出部34cと読み替えたものとなる。このと
き、制御信号発生部33にて出力される制御入力信号u
は次式のようになる。
【0048】 u=−K×{A×(Vbtf−Vbtf'')+(1−A)×v}……(2) この方式に従う制御装置によれば、車体4の両台車6
a,6bに対する横方向の変位と、車体4の両台車6
a,6bに対するヨーイングとを抑制することができ
る。
【0049】また、ヨーイングの検出をGセンサ12a
によって検出された加速度に基づいて行なっても良い。
例えば、補正部26より出力された実加速度をヨーイン
グ検出部32に入力し、ヨーイング検出部32内にて、
実加速度の振動成分の内、車体の対地ヨーイングに対応
する成分のみを抽出すると良い。このようにすると、積
分部28にて実加速度を速度に変換する際に生じる位相
遅れを抑えることができる。なお、ヨーイングに対応す
る成分の周波数としては、乗客に不快感を与える度合が
大きな値を設定したり、走行線区の状況に応じて最も顕
著に現れるヨーイングの周波数を設定したりすると良
い。
【0050】またこの加速度を用いてヨーイングを検出
するのに、前後のGセンサ12a,12bによって検出
された加速度の差に基づいて行なっても良い。Gセンサ
12a,12bは、車体4の夫々前部、後部における左
右方向の対地加速度を検出するので、こうすると、車体
4の対地ヨーイングが認識できる。但し一般に、Gセン
サ12a,12bによって検知される加速度には直接フ
ィードバックするには適さない高周波の成分がのってい
るため、加速度ではなく、積分部28(振動抑制装置1
6cでは積分部28c)から出力された横方向速度v
(振動抑制装置16cではv’)の差によってヨーイン
グを認識する。
【0051】これを図で表すと、図3においては信号線
19aを介して振動抑制装置16aと振動抑制装置16
cとが夫々対応するダンパ14a,14cの横方向速度
v,v’をやりとりし、図4においては、振動抑制装置
16bとして示した破線のブロックを振動抑制装置16
cと読み替え、積分部28及び積分部28cからヨーイ
ング検出部32に向かって延びた一点鎖線に従って横方
向速度v,v’がヨーイング検出部32に入力されると
する。このとき、制御信号発生部33にて出力される制
御入力信号uは次式のようになる。
【0052】 u=−K×{A×(v−v’)+(1−A)×v}……(3) この方式に従う制御装置によれば、車体4の横方向の対
地変位と対地ヨーイングとを抑制することができる。更
に、重み係数Aの値を走行中に変動させるようにしても
良い。例えば、車体4(又は台車6a,6b)のヨーイ
ングが顕著に発生する線区(線区Xとする)と、車体4
の横方向に変位する度合が大きい線区(線区Yとする)
とが混在する線区を走行する場合には、車両2の走行地
点を検知するセンサを新たに設け、このセンサにて両線
区X,Yの境目を検知して、重み係数Aの値を切り換え
ると良い。これを更に応用して、同じ傾向を示す線区X
(あるいは線区Y)であってもヨーイング(あるいは変
位)の傾向の度合に応じて、重み係数Aの値を微調整し
てもよい。こうすると、きめ細かな制御が可能となる。
【0053】また、このように走行地点を検知して重み
係数Aを変更するのではなく、車体4の挙動に応じて変
更しても良い。例えば、車体4の台車6a,6bに対す
る中立位置からのずれが大きいときには、制御入力信号
uにおける横方向速度vの成分が小さい(つまり重み係
数Aが大きい)と見なし、重み係数Aを小さくしてもよ
い。なお、中立位置からのずれは、ピストン変位をも検
出できる速度検出部34によって知ることができる。あ
るいはこれと逆に、ヨーイング検出部32により出力さ
れたヨーイングの信号に基づき、ヨーイングが大きいと
きには、重み係数Aを大きくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の請求項1及び請求項2に記載の振動
抑制装置を例示するブロック図である。
【図2】 本発明の請求項3に記載の振動抑制装置を例
示するブロック図である。
【図3】 本発明の振動抑制装置が適用される車両の概
略説明図である。
【図4】 実施例の振動抑制装置の構成を示すブロック
図である。
【図5】 左右動ダンパがピストン速度に応じて発生さ
せる減衰力を、ダンパ定数毎に示したグラフである。
【図6】 外部からの指令を受けてダンパ定数を変更可
能にされたセミアクティブダンパ装置の概略構成図であ
る。
【図7】 従来の振動抑制装置を例示するブロック図で
ある。
【符号の説明】
2…車両 4…車体 6a,6b…台車 10a〜10d…車輪 12a,12b…Gセンサ 14a〜14d…左右動ダンパ 16a〜16d…振
動抑制装置 28,28c…積分部 30…指令信号発生
部 32…ヨーイング検出部 33…制御信号発生
部 34,34b,34c…速度検出部 36…ダンパ定
数設定部 40,SOL1〜SOL4…ソレノイドバルブ 42…ソレノイドドライバ 50…セミアクティブダ
ンパ装置 52…シリンダ 54…ピストン 56…ロッド 68…主オリフィス 70…主流路 72…第1オリフィス 74…第1支流路 76…第2オリフィス 78…第2支流路 90…磁性体ビット 92…磁気センサ 94…増
幅装置 P1〜P4…ダンパ定数
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上林 賢治郎 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 臼井 俊一 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 大石 達哉 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 露木 保男 東京都港区浜松町二丁目4番1号 カヤバ 工業株式会社内 (72)発明者 渡辺 幸博 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 日本車輌製造株式会社内 (72)発明者 新村 浩 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 日本車輌製造株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪を軸支する台車と、該台車に支持さ
    れる車体とを有し、しかも上記車体と上記台車との支持
    位置の前後には、シリンダと該シリンダ内にて摺動され
    るピストンとを具備し外部の指令に基づいて所定量の力
    を発生可能な流体作動手段を少なくとも各1体備え、上
    記シリンダ及び上記シリンダの内、一方が上記車体に、
    他方が上記台車に支持されることにより上記車体と上記
    台車との左右方向の相対変位を制御する車両に用いら
    れ、 上記流体作動手段の内の一方である第1流体作動手段の
    シリンダに対するピストンの速度を検出する第1速度検
    出手段と、 上記第1流体作動手段の発生力を変化させる発生力変更
    手段と、 上記車体の左右方向の加速度を検出する加速度検出手段
    と、 該加速度検出手段の検出結果に基づいて、制御信号を出
    力する制御手段と、 少なくとも上記制御手段の出力した制御信号に基づい
    て、上記第1流体作動手段の発生すべき発生力を求め、
    該発生力に基づいて上記発生力変更手段に対して信号を
    出力する発生力設定手段と、 を備えた振動抑制装置において、更に、 上記流体作動手段の内、上記第1流体作動手段ではない
    方の第2流体作動手段のシリンダに対するピストンの速
    度を検出する第2速度検出手段、 を備え、且つ上記制御手段が、 上記加速度検出手段の検出結果に基づいて、指令信号を
    発生する指令信号発生手段と、 上記第1速度検出手段による検出結果と上記第2速度検
    出手段による検出結果との差に基づき、上記台車の上記
    車体に対するヨーイングを表すヨーイング信号を発生す
    るヨーイング検出手段と、 該ヨーイング検出手段により発生されたヨーイング信号
    と上記指令信号発生手段により発生された指令信号との
    重み付き平均値に基づいて、上記制御信号を発生させる
    制御信号発生手段と、 を備えたことを特徴とする振動抑制装置。
  2. 【請求項2】 車輪を軸支する2台の台車と、該各台車
    に前後2ヶ所を支持される車体とを有する車両の上記各
    台車と上記車体との間に少なくとも各1体、シリンダと
    該シリンダ内にて摺動されるピストンとを具備し外部の
    指令に基づいて所定量の力を発生可能な流体作動手段を
    備え、上記シリンダ及び上記シリンダの内、一方が上記
    車体に、他方が当該台車に支持されることにより上記車
    体と当該台車との左右方向の相対変位を制御する列車に
    用いられ、 上記2台の台車の内の一方に設けられた流体作動手段で
    ある前方流体作動手段の、シリンダに対するピストンの
    速度を検出する前方速度検出手段と、 上記前方流体作動手段の発生力を変化させる発生力変更
    手段と、 上記車体の左右方向の加速度を検出する加速度検出手段
    と、 該加速度検出手段の検出結果に基づいて、制御信号を出
    力する制御手段と、 少なくとも上記制御手段の出力した制御信号に基づい
    て、上記前方流体作動手段の発生すべき発生力を求め、
    該発生力に基づいて上記発生力変更手段に対して信号を
    出力する発生力設定手段と、 を備えた振動抑制装置において、 上記2台の台車の内、上記前方流体作動手段が設けられ
    た方ではない上記台車に備えられた流体作動手段である
    後方流体作動手段の、シリンダに対するピストンの速度
    を検出する後方速度検出手段、 を備え、且つ上記制御手段が、 上記加速度検出手段の検出結果に基づいて、指令信号を
    発生する指令信号発生手段と、 上記後方速度検出手段による検出結果と上記後方速度検
    出手段による検出結果との差に基づき、上記車体の上記
    2台の台車に対するヨーイングを表すヨーイング信号を
    発生するヨーイング検出手段と、 該ヨーイング検出手段により発生されたヨーイング信号
    と上記指令信号発生手段により発生された指令信号との
    重み付き平均値に基づいて、上記制御信号を発生させる
    制御信号発生手段と、 を備えたことを特徴とする振動抑制装置。
  3. 【請求項3】 車輪を軸支する台車と、該台車に支持さ
    れる車体と、シリンダと該シリンダ内にて摺動されるピ
    ストンとを具備し外部の指令に基づいて所定量の力を発
    生可能な流体作動手段を備え、上記シリンダ及び上記シ
    リンダの内、一方が上記車体に、他方が上記台車に支持
    されることにより上記車体と上記台車との左右方向の相
    対変位を制御する車両に用いられ、 上記流体作動手段のシリンダに対するピストンの速度を
    検出する速度検出手段と、 上記流体作動手段の発生力を変化させる発生力変更手段
    と、 上記車体の、上記流体作動手段に対応する位置における
    左右方向の加速度を検出する加速度検出手段と、 該加速度検出手段の検出結果に基づいて、制御信号を出
    力する制御手段と、 少なくとも上記制御手段の出力した制御信号に基づい
    て、上記流体作動手段の発生すべき発生力を求め、該発
    生力に基づいて上記発生力変更手段に対して信号を出力
    する発生力設定手段と、 を備えた振動抑制装置において、 上記制御手段が、 上記加速度検出手段による検出結果に基づき、指令信号
    を発生する指令信号発生手段と、 上記加速度検出手段により検出された加速度から、車体
    の対地ヨーイングの周波数に対応する周波数成分の振動
    を抽出し、ヨーイング信号として出力するヨーイング検
    出手段と、 該ヨーイング検出手段により発生されたヨーイング信号
    と上記指令信号発生手段により発生された指令信号との
    重み付き平均値に基づいて、上記制御信号を発生させる
    制御信号発生手段と、 を備えたことを特徴とする振動抑制装置。
JP11654896A 1996-05-10 1996-05-10 振動抑制装置 Pending JPH09301166A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11654896A JPH09301166A (ja) 1996-05-10 1996-05-10 振動抑制装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11654896A JPH09301166A (ja) 1996-05-10 1996-05-10 振動抑制装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09301166A true JPH09301166A (ja) 1997-11-25

Family

ID=14689849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11654896A Pending JPH09301166A (ja) 1996-05-10 1996-05-10 振動抑制装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09301166A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002240710A (ja) * 2001-02-16 2002-08-28 Nippon Sharyo Seizo Kaisha Ltd 鉄道車両の振動抑制装置
JP2012184000A (ja) * 2012-05-28 2012-09-27 Hitachi Automotive Systems Ltd 鉄道車両用振動制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002240710A (ja) * 2001-02-16 2002-08-28 Nippon Sharyo Seizo Kaisha Ltd 鉄道車両の振動抑制装置
JP2012184000A (ja) * 2012-05-28 2012-09-27 Hitachi Automotive Systems Ltd 鉄道車両用振動制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2898949B2 (ja) セミアクティブサスペンション制御装置及びその方法
JP5809474B2 (ja) 車体姿勢制御装置
KR100251805B1 (ko) 차량용 현가장치의 제어방법
JP4648125B2 (ja) 可変減衰力ダンパの制御装置
CN111284287A (zh) 主动式悬架控制单元及方法
JP2002321513A (ja) サスペンション制御装置
JP3828198B2 (ja) 振動抑制装置
JP4429955B2 (ja) 車両制振装置
JPH08536B2 (ja) 車両の振動制御装置
JPH09301166A (ja) 振動抑制装置
JP2008247357A (ja) サスペンション制御装置
JP3828199B2 (ja) 振動抑制装置
JPH06278443A (ja) 開ループ制御または閉ループ制御可能なシャシを開ループ制御または閉ループ制御する信号を発生する方法および装置
JP2886264B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JP3095398B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JP4241233B2 (ja) 車両用サスペンション制御システム
JP2653197B2 (ja) 車両のローリング制御装置
JP3156533B2 (ja) サスペンション予見制御装置
JP3037714B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JPH05313753A (ja) 加々速度検出手段を有する運動制御システム、運動物体、車両、エレベ−タ、鉄道車両、磁気浮上車両、ステ−ジ、ビル制振システム、ロボットア−ム、航空機、振動台、運動シミュレ−タ、コントローラ、運動評価装置および加々速度センサ、角加々速度センサおよび運動物体の制御方法
JP3494732B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JP4122091B2 (ja) 振動低減デバイスの制御方法
JP3860247B2 (ja) 懸架系の減衰力制御装置
JP3075494B2 (ja) 車両懸架装置
KR100280303B1 (ko) 차량용 현가장치의 제어방법

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050826

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20051004

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060307

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02