JPH0929981A - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの製造方法

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JPH0929981A
JPH0929981A JP20134595A JP20134595A JPH0929981A JP H0929981 A JPH0929981 A JP H0929981A JP 20134595 A JP20134595 A JP 20134595A JP 20134595 A JP20134595 A JP 20134595A JP H0929981 A JPH0929981 A JP H0929981A
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JP
Japan
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resist pattern
liquid
resin
recording head
liquid chamber
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JP20134595A
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English (en)
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Masami Yokota
雅実 横田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ノズル層を構成する樹脂が液室にバリを発生
するのを防ぐ。 【構成】 吐出エネルギー発生素子を有する基板1に液
流路パターン部分と液室の下半部の形状を有する液室パ
ターン部分からなる第1のレジストパターン2を設け、
これに、液室の上半部の形状を有する第2のレジストパ
ターン3を積層し、第2のレジストパターン3の上に載
置された天板4と基板1の間の空間部V1に樹脂6aを
注入して硬化させたうえで第1、第2のレジストパター
ン2,3を除去する。第2のレジストパターン3を、樹
脂6aに対して撥液性を有する材料によって製作するこ
とで、天板4と第2のレジストパターン3の間の隙間5
に樹脂6aが侵入してバリを発生するのを防ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な吐出孔(オ
リフィス)から記録液(インク)を小滴として吐出し記
録紙等に記録(印刷)を行なう液体噴射記録装置に用い
るインクジェット記録ヘッドの製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】微細な吐出孔(オリフィス)から記録液
(インク)を小滴として吐出し記録紙等に記録(印刷)
を行なう液体噴射記録装置のインクジェット記録ヘッド
は、一般的に、吐出エネルギー発生素子を有する基板
(ヒーターボード)と、記録液を流動させる液流路(ノ
ズル)や液室を形成するノズル層(液流路形成層)を積
層した積層構造を有する。
【0003】ノズル層の製作には、まず、ガラスや金属
等の板材の表面に切削やエッチング等によって液流路等
を溝加工し、このように溝加工を施した板材を前記基板
に位置合わせしたうえで貼り合わせるか、あるいは、該
基板上に公知のリソグラフィ等によって液流路や液室の
形状を有するレジストパターンを設け、これを覆うよう
に樹脂層を塗布し、次いでレジストパターンを溶出する
ことによって液流路等を形成する等の方法があるが、ガ
ラスや金属の板材を溝加工する方法は切削によって液流
路の内壁が荒れたり、エッチング率がバラついて液流路
の流路抵抗が不均一になる傾向があり、製品の歩留りが
低い。他方、基板にレジストパターンを設けてこれを樹
脂層によって覆い、次いでレジストパターンを溶出する
ものは、液流路の形状が均一で量産性にもすぐれてお
り、加えて、製造工程において液流路にゴミ等が侵入す
るおそれもないため、インクジェット記録ヘッドの製造
コストを大幅に低減し、かつ、より一層の高性能化や高
速化さらにはマルチノズル化等にも容易に対応できるも
のとして大きく期待されている。
【0004】図5および図6は一従来例によるインクジ
ェット記録ヘッドの製造工程を示すもので、図5の
(a)に示すように、吐出エネルギー発生素子101a
を有する基板101上に、ノズルや液室の形状を有する
レジストパターン102を製作し、その上に、同図の
(b)に示すように、活性エネルギー線硬化性樹脂層1
03を積層する。続いて図5の(c)に示すように、ガ
ラス等の活性エネルギー線を透過する材料によって天板
104を製作して活性エネルギー線硬化性樹脂層103
に重ねる。天板104は、インク供給口104aと液室
の上半部を構成する凹所104bを有し、凹所104b
の内壁面には活性エネルギー線を遮断するマスキング
(遮光膜)が設けられている。
【0005】続いて、図6の(a)に示すように、天板
104の外側から活性エネルギー線Lを照射して活性エ
ネルギー線硬化性樹脂層103を硬化させる。このと
き、斜線で示すように、天板104のマスキングによっ
て活性エネルギー線Lの一部分が遮光される。その結
果、マスキングの下に位置する活性エネルギー線硬化性
樹脂層103の不要部分は未硬化の状態で残される。
【0006】最後に、図6の(b)に示すように天板1
04のインク供給口104aから溶剤を導入してレジス
トパターン102と活性エネルギー線硬化性樹脂層10
3の未硬化の不要部分を溶出し、ノズル105と液室1
06を備えたインクジェット記録ヘッドが完成する。こ
のようにインクジェット記録ヘッドの製造工程の最後に
ノズル105や液室106を空洞化するものであるた
め、これらにゴミ等が侵入するおそれがない。
【0007】ところがこのようにノズル層を活性エネル
ギー線硬化性樹脂によって製作する方法は、ノズル層の
材質を大幅に制約するものであり、このような材料の制
約は、インクジェット記録ヘッドの耐インク性等を向上
させたり、あるいはインクジェット記録ヘッドを低価格
化するうえで大きな障害となる。加えて、インクジェッ
ト記録ヘッドの印字を高速化するには液室を大容量化す
ることが要求されるが、液室の高さを高くするために活
性エネルギー線硬化性樹脂層を厚くすると、これをパタ
ーニングする際に、液室の形状を設計通りに形成するの
が困難であり、また、露光時間が長くなって新たなトラ
ブルを発生するおそれがある。
【0008】そこで、吐出エネルギー発生素子を有する
基板上に液流路や液室の形状を有する第1のレジストパ
ターンを設け、さらにその上に、液室を高くするための
第2のレジストパターンを重ねたうえで天板を載置し、
天板と基板の間に形成された空間部に樹脂を注入してこ
れを硬化させ、最後に第1および第2のレジストパター
ンを溶出する方法が開発された。
【0009】図7および図8はこのように第1、第2の
レジストパターンを重ねたうえで樹脂を注入するいわゆ
る注型法によって2個取りのインクジェット記録ヘッド
を製造する工程を説明するもので、まず、図7の(a)
に示すように、インクジェット記録ヘッド2個分の吐出
エネルギー発生素子を有する基板201の上に、公知の
感光性ドライフィルム等を用いて液流路パターン部分2
02aと液室下半部パターン部分202bからなる第1
のレジストパターン202を設け、その上に、同図の
(b)に示すように、公知の印刷法等によって液室上半
部の形状を有する第2のレジストパターン203を積層
する。さらに、図7の(c)に示すように、予めインク
供給口204a等の開口を形成した天板204を載置
し、該天板204と基板201の間に形成される空間部
0 に、同図の(d)に示すように、樹脂205を注入
してこれを硬化させてインクジェット記録ヘッド2個取
りの積層体A0 を得る。続いて、図8の(a)に示すよ
うに、積層体A0 を中央で切断し、第1および第2のレ
ジストパターン202,203を溶剤によって溶出する
と、同図の(b)に示すように空洞化された液流路22
1と液室222を有するノズル層220が形成される。
【0010】この方法を採用すれば、第2のレジストパ
ターンの厚さを厚くすることによって液室の高さを必要
なだけ高くすることができる。また、液室の形状は第2
のレジストパターンの形状通りであり、露光によってパ
ターニングする場合のようなトラブルを発生するおそれ
はない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の技術によれば、図7の(d)に示すように、基板20
1に第1および第2のレジストパターン202,203
を設け、その上に天板204を重ねて空間部V0 に樹脂
205を注入する工程で、第2のレジストパターン20
3と天板204の間へ樹脂205の一部が侵入し、外部
へ張り出してバリBを発生する。これは、天板204の
反りやうねり、および第2のレジストパターン203の
表面の凹凸や厚さの不均一に起因するもので、このよう
な理由で第2のレジストパターン203と天板204の
間に発生した隙間に毛管現象によって樹脂205の一部
分が侵入するためである。
【0012】一般的にバリBは極めて薄肉であるため、
液流路221や液室222を空洞化するときに第1、第
2のレジストパターン202,203を溶出する溶剤に
混入したり、完成されたインクジェット記録ヘッドを使
用中に剥離して、液流路221を詰まらせるゴミとなる
おそれがあり、また、剥離せずに液室222内に突出し
たままで残った場合はインクの流動を妨げる障害物とな
るため、インクのリフィル特性を著しく低下させる。さ
らに、第2のレジストパターン203の上面を塞ぐほど
大きく張り出したときは、レジストパターン202,2
03を溶出するときの妨げになるおそれもある。
【0013】本発明は、上記従来の技術の有する問題点
に鑑みてなされたものであり、レジストパターンを設け
た基板とこれに載置された天板の間の空間部に樹脂等の
注型材を注入するいわゆる注型法によってノズル層(液
流路形成層)を製作する工程において、ノズル層の液室
に前記樹脂等のバリが形成されるのを防ぎ、このような
バリによってノズル詰まりを起したりインクのリフィル
特性が劣化するおそれのない高性能で安価なインクジェ
ット記録ヘッドの製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、
液流路パターン部分および液室パターン部分からなるレ
ジストパターンを設けた基板と前記レジストパターンの
上に載置された天板との間に形成された空間部に注型材
を注入し、該注型材を硬化させたうえで前記レジストパ
ターンを除去することで液流路と液室を有する液流路形
成層を製作する工程を有し、前記レジストパターンの前
記天板を載置する表面が前記注型材に対して撥液性を有
するように構成しておくことを特徴とする。
【0015】
【作用】基板と天板との間の空間部に注入された樹脂等
の注型材を硬化させ、レジストパターンを溶剤によって
溶出することで液流路と液室を空洞化して液流路形成層
を得る。レジストパターンと天板の間には、天板の反り
やうねり、およびレジストパターンの表面の凹凸や厚さ
の不均一に起因する隙間が形成されており、該隙間に注
型材が侵入すると液流路形成層の液室内にバリとなって
突出し、レジストパターンを溶出するときに溶剤中に混
入したり、完成されたインクジェット記録ヘッドを使用
中に剥がれてノズル詰まりを起したりあるいはインクの
リフィル特性を劣化させるおそれがある。そこで、レジ
ストパターンの液室パターン部分の少なくとも一部分を
撥液性を有する材料で製作するかあるいは液室パターン
部分の表面を撥液性を有する材料で被覆することによっ
て、レジストパターンの天板を載置する表面が液流路形
成層を構成する注型材に対して撥液性を有するように構
成しておき、レジストパターンと天板の間に注型材が侵
入するのを防ぐことで、前記バリによるトラブルを回避
する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0017】図1および図2は一実施例によってインク
ジェット記録ヘッドを製造する工程を説明するもので、
図1の(a)に示すように、インクジェット記録ヘッド
2個分の吐出エネルギー発生素子を有する基板1の上
に、液流路の形状を有する液流路パターン部分2aと液
室の下半部の形状を有する液室パターン部分2bからな
る第1のレジストパターン2を設け、その上に、同図の
(b)に示すように液室の上半部の形状を有する液室パ
ターン部分である第2のレジストパターン3を積層す
る。
【0018】第1のレジストパターン2を製作する方法
は、以下に示すものの中から適宜選択する。
【0019】(1) 感光性ドライフィルムを用いてい
わゆるドライフィルムの画像形成プロセスに従ってレジ
ストパターン2を形成する。
【0020】(2) 基板1上に所望の厚さの溶剤可溶
性ポリマー層およびフォトレジスト層を順に積層し、該
フォトレジスト層のパターン形成後、溶剤可溶性ポリマ
ー層を選択的に除去する。
【0021】(3) 樹脂を印刷する。
【0022】(1)の方法における感光性ドライフィル
ムとしては、ポジ型のものもネガ型のものも用いること
ができるが、例えばポジ型ドライフィルムであれば、活
性エネルギー線照射によって現像液に可溶化するポジ型
ドライフィルム、またネガ型ドライフィルムであれば、
光重合型であるが塩化メチレンあるいは強アルカリで溶
解あるいは剥離除去し得るネガ型ドライフィルムが適し
ている。
【0023】ポジ型ドライフィルムとしては、具体的に
は、例えば「OZATEC R225」(商品名、ヘキ
ストジャパン(株))等、またネガ型ドライフィルムと
しては、「OZATEC Tシリーズ」(商品名、ヘキ
ストジャパン(株))、「PHOTEC PHTシリー
ズ」(商品名、日立化成工業(株))、「RISTO
N」(商品名、デュ・ポン・ド・ネモアース・Co)等
が用いられる。
【0024】もちろん、これらの市販材料のみならず、
ポジティブに作用する樹脂組成物、例えばナフキノンジ
アド誘導体とノボラック型フェノール樹脂を主体とする
樹脂組成物、PMER−AR900(東京応化工業
(株))、及びネガティブに作用する樹脂組成物、例え
ばアクリルエステルを反応基とするアクリルオリゴマー
と熱可塑性高分子化合物および増感剤を主体とする組成
物、あるいはポリチオールとポリエン化合物および増感
剤とから成る組成物等を用いることができる。
【0025】(2)の方法における溶剤可溶性ポリマー
としては、それを溶解する溶剤が存在し、コーティング
によって被膜を形成し得る高分子化合物であればいずれ
でもよい。ここで用いるフォトレジスト層としては、典
型的にはノボラック型フェノール樹脂とナフトキノンジ
アジドからなるポジ型液状フォトレジスト、ポリビニル
シンナメートから成るネガ型液状フォトレジスト、環化
ゴムとビスアジドから成るネガ型液状フォトレジスト、
ネガ型感光性ドライフィルム、熱硬化型および紫外線硬
化型のインキ等が挙げられる。
【0026】(3)の印刷法に用いる材料としては、例
えば蒸発乾燥型、熱硬化型あるいは紫外線硬化型等のそ
れぞれの乾燥方式で用いられている平板インキ、スクリ
ーンインキならびに転写型の樹脂等が用いられる。
【0027】以上に挙げた材料群の中で、加工精度や除
去の容易性あるいは作業性等の面からみて、(1)の感
光性ドライフィルムを用いる方法が好ましく、その中で
もポジ型ドライフィルムを用いるのが特に好ましい。す
なわち、ポジ型感光性材料は、例えば解像度がネガ型の
感光性材料よりも優れており、レリーフパターンが垂直
かつ平滑な側壁面を持ち、また、テーパ型ないし逆テー
パ型の断面形状が容易につくれるという多くの長所を持
ち、液流路を形づくる上で最適である。また、レリーフ
パターンを現像液や有機溶剤で溶解除去できる等の長所
も有しており、本発明におけるレジストパターン形成材
料として好適である。特に、例えば先に挙げたナフキノ
ンジアジドとノボラック型フェノール樹脂を用いたポジ
型感光性材料では、弱アルカリ水溶液あるいはアルコー
ルで完全溶解できるので、吐出エネルギー発生素子の損
傷を何ら与えることがなく、かつ後工程での除去もきわ
めて速やかである。このようなポジ型感光性材料の中で
も、ドライフィルム状のものは、10〜100μmの厚
膜のものが得られる点で、最も好ましい材料である。
【0028】第2のレジストパターン3は、第1のレジ
ストパターン2の液室パターン部分2b上に積層され、
第2のレジストパターン3の厚さに第1のレジストパタ
ーン2の液室パターン部分2bの厚さを加えたものが各
インクジェット記録ヘッドの液室の必要高さに一致する
ように構成されている。
【0029】第2のレジストパターン3は、後述する液
流路形成層であるノズル層6を構成する注型材である樹
脂6aに対して撥液性を有する材料によって製作され
る。その方法は、以下に示すものの中から適宜選択す
る。
【0030】(1) フッ素置換されたアクリル樹脂、
トリフロロクロロポリマーポリフッ化ビニル等のフッ素
系樹脂を印刷する。
【0031】(2)上記のフッ素系樹脂を一般に市販さ
れているアクリル系やエポキシ系の各種印刷剤に一部添
加したものを印刷する。
【0032】(3) 例えばシリコーンシーラント、シ
リコーングリス等のシリコーン系樹脂やオイルを印刷す
る。
【0033】(4) 上記のシリコーン系樹脂やオイル
をディスペンサー等の方法により所望の部分のみディス
ペンスする。
【0034】上記の方法のなかで、第2のレジストパタ
ーン3を溶出するときの除去性や液室の形状に形成しや
すい等の観点からは、(2)の方法が好ましい。
【0035】例えば、アクリル系印刷剤MA−830
(大日本インキ製)にビスフェノールAF型樹脂(セン
トラルガラス製)を0.1%から25.0%程度、添加
したものをスクリーン印刷すると、6aに対して極めて
良好な撥水撥油特性を示すレジストパターンを得ること
ができる。
【0036】また、フッ素系樹脂KP801(信越化学
製)をMF−6に(セントラルガラス製)に溶解させた
のち、前記印刷剤MA−830に添加する方法でもよ
い。
【0037】なお、前記KP801をMF−6に溶解さ
せたものはKP801Mとして信越化学(株)より市販
されている。
【0038】次いで、図1の(c)に示すように、第2
のレジストパターン3上に予めインク供給口4aを形成
した天板4が位置合わせして載置される。
【0039】このように第2のレジストパターン3上に
天板4を載置したとき、天板4の反りやうねり等、ある
いは第2のレジストパターン3の厚さの不均一部や第2
のレジストパターン3の上面の凹凸のためにわずかな隙
間5が生じる。
【0040】続いて、図2の(a)に示すように、前記
基板1と前記天板4の間の空間部V1 に樹脂6aが注入
される。これは、図2の(b)に別の断面で示すよう
に、天板4の両側縁に配設された樹脂供給穴4bを用い
て行なわれる。樹脂6aは毛管現象によって前記空間部
1 すべてに充填され、ノズル層6を形成する。このと
き、第2のレジストパターン3は樹脂6aに対して撥液
性を有する材料で作られているため、空間部V1 の開口
端においてはメニスカス6bが形成され、従来例のよう
に、隙間5に樹脂6aが侵入してバリが生じるおそれは
ない。
【0041】樹脂6aを硬化させたのち、図2の(c)
に示すように、ダイシングソー等の公知の方法によって
各インクジェット記録ヘッドE1 に切り離す。次いで、
図2の(d)に示すように、第1、第2のレジストパタ
ーン2,3をアルカリ水溶液や有機溶剤等の溶剤である
除去液により除去する。
【0042】第1、第2のレジストパターン2,3を除
去すると、第1のレジストパターン2の液流路パターン
部分2aを除去することで空洞化された液流路7と、第
1のレジストパターン2の液室パターン部分2bと第2
のレジストパターン3を除去することで空洞化された液
室8を有するノズル層6が形成される。液室8は、第1
のレジストパターンの液室パターン部分2bの厚さと第
2のレジストパターン3の厚さを加えたものに等しい高
さを有し、天板4のインク供給口4aに開口する。
【0043】2個取りのインクジェット記録ヘッドをダ
イシングソー等によって各インクジェット記録ヘッドE
1 に切り離したときの切断面は、図3に示すように、各
液流路7が開口するオリフィス面9を構成する。インク
供給口4aから液室8に供給されたインクは、各液流路
7に充填され、吐出エネルギー発生素子によって吐出エ
ネルギーが与えられるとオリフィス面9のオリフィス9
aから液滴として吐出される。
【0044】本実施例は、前述のように、基板上に第
1,第2のレジストパターンを設けその上に天板を載置
して天板と基板の間の空間部にノズル層を構成する樹脂
を注入するいわゆる注型法によってノズル層を製作する
に際して、第2のレジストパターンを前記樹脂に対して
撥液性を有する材料によって製作することで、ノズル層
を構成する樹脂が前記隙間に侵入してバリを形成するの
を防ぎ、このようなバリが完成したインクジェット記録
ヘッドを使用中にインクのリフィル特性を劣化させた
り、剥れてゴミとなってインクに混入しノズル詰まりを
発生したり、あるいはインクジェット記録ヘッドの製造
工程においてレジストパターンを溶出して液室等を空洞
化する作業の邪魔になる等のトラブルを回避するもので
ある。
【0045】このように液流路を形成する液流路パター
ン部分と液室を形成するための液室パターン部分を有す
るレジストパターンを用いて基板と天板の間に樹脂を注
入するいわゆる注型法は、レジストパターンの液室パタ
ーン部分を厚くすることで液室を任意の高さまで高くす
ることが自在であり、従ってインクジェット記録ヘッド
の高速化や高容量化に極めて好適である。加えて、ノズ
ル層の材質を感光性樹脂等に限定する必要がないため
に、耐インク特性や耐熱性等の観点からノズル層の材料
を広範囲に選択できるうえに、露光や現像等の工程が不
要であり、従って、製造工程が簡単であるという多くの
利点を有し、インクジェット記録ヘッドの低価格化と高
性能化を大きく促進できる。本発明はこの方法において
ノズル層にバリを発生する不都合を解消し、より一層高
性能でしかも製造コストの低いインクジェット記録ヘッ
ドを実現するものである。
【0046】なお、前述のように第2のレジストパター
ン3を第1のレジストパターン2に積層する替わりに、
第2のレジストパターンを別体として、ノズル層を構成
する樹脂に対して撥液性を有する材料、例えばテフロン
樹脂やシリコンゴム等によって所定の厚さを有する板状
体に成形し、これを第1のレジストパターンの上に重ね
て、必要であれば加熱、変形させて第1のレジストパタ
ーンに密着させてもよい。この場合は、ノズル層を構成
する樹脂を注入、硬化後に第2のレジストパターンを第
1のレジストパターンと同様に溶出する替わりに、第2
のレジストパターンをそのままの形で抜き取って次回の
インクジェット記録ヘッドの製造工程に繰り返し使用す
ることができる。すなわち、第2のレジストパターンの
リサイクルによってインクジェット記録ヘッドの製造コ
ストを大幅に低減できる。
【0047】また、第2のレジストパターン全体をノズ
ル層を構成する樹脂に対して撥液性を有する材料によっ
て製作する替わりに、図4に示すように、公知の方法で
製作された第2のレジストパターン13の表面を前記樹
脂に対して撥液性を有する材料の被膜13aによって被
覆してもよい。これは以下の方法によって行なわれる。
【0048】例えば、第1のレジストパターン2の上
に、前述のアクリル系印刷剤MA−830をスクリーン
印刷等により0.05mm〜数mmの厚さに塗布して第
2のレジストパターン13を製作する。次いで、第2の
レジストパターン13上にフッ素樹脂KP801やビス
フェノールAFエポキシ、DEFENSA7710(大
日本インキ化学工業(株)製)、CTX805(旭ガラ
ス(株))等の撥水撥油性材料をフッ素系溶剤で1.0
%〜10%程度に希釈し、フレキシ印刷やゴム転写等の
方法によって第2のレジストパターン13の表面に被着
させる。
【0049】なお、ノズル層を構成する注型材は、公知
の熱硬化型、常温硬化型あるいはVU硬化型や熱可塑性
樹脂等の硬化性の樹脂に限定されることなく、例えば低
融点の金属等注型が可能であればいかなる材料を用いて
もよい。
【0050】本発明は、特に液体噴射記録方式の中で熱
エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記録を行な
う、いわゆるインクジェット記録方式の液体噴射記録ヘ
ッド(以下、『記録ヘッド』という。)、記録装置にお
いて、優れた効果をもたらすものである。
【0051】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この記録方
式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれ
にも適用可能である。
【0052】この記録方式を簡単に説明すると、記録液
(インク)が保持されているシートや液流路に対応して
配置されている吐出エネルギー発生素子である電気熱変
換体に駆動回路より吐出信号を供給する、つまり、記録
情報に対応して記録液(インク)に核沸騰現象を越え、
膜沸騰現象を生じるような急速な温度上昇を与えるため
の少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、
熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜
沸騰を生じさせる。このように記録液(インク)から電
気熱変換体に付与する駆動信号に一対一に対応した気泡
を形成できるため、特にオンデマンド型の記録法には有
効である。この気泡の成長、収縮により吐出口を介して
記録液(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を
形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適
切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優
れた記録液(インク)の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4
463359号明細書、同第4345262号明細書に
記載されているようなものが適している。なお、上記熱
作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313
124号明細書に記載されている条件を採用すると、さ
らに優れた記録を行なうことができる。
【0053】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)
の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書に開示されているように、熱
作用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものにも
本発明は有効である。
【0054】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開
示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギー
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成
を有するものにおいても本発明は有効である。
【0055】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録可能である被記録媒体の
最大幅に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッド
がある。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開
示されているような記録ヘッドを複数組み合わせること
によってフルライン構成にしたものや、一体的に形成さ
れた一個のフルライン記録ヘッドであってもよい。
【0056】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0057】また、記録ヘッドに対する回復手段や予備
的な補助手段を付加することは、記録装置を一層安定に
することができるので好ましいものである。これらを具
体的に挙げれば、記録ヘッドに対しての、キャッピング
手段、クリーニング手段、加圧または吸引手段、電気熱
変換体或はこれとは別の加熱素子、あるいはこれらの組
み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行な
う予備吐出モード手段を付加することも安定した記録を
行なうために有効である。
【0058】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録
ヘッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせ
で構成したものかのいずれでもよいが、異なる色の複色
カラーまたは、混色によるフルカラーの少なくとも一つ
を備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0059】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0060】さらに加えて、インクジェット記録装置の
形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出
力端末として用いられるものの他、リーダ等と組み合わ
せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミ
リ装置の形態を採るものであってもよい。
【0061】以上説明した本発明の実施例においては、
インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で
固化するインクであって、室温で軟化もしくは液体とな
るもの、或いは、インクジェットにおいて一般的に行な
われている温度調整の温度範囲である30℃以上70℃
以下の温度範囲で軟化もしくは液体となるものでもよ
い。すなわち、使用記録信号付与時にインクが液状をな
すものであればよい。加えて、積極的に熱エネルギーに
よる昇温をインクの固形状態から液体状態への態変化の
エネルギーとして使用せしめることで防止するか、また
は、インクの蒸発防止を目的として放置状態で固化する
インクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの
記録信号に応じた付与によってインクが液化してインク
液状として吐出するものや記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによ
って初めて液化する性質のインク使用も本発明には適用
可能である。このような場合インクは、特開昭54−5
6847号公報あるいは特開昭60−71260号公報
に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に
液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換
体に対して対向するような形態としてもよい。本発明に
おいては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0062】
【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているの
で、以下に記載するような効果を奏する。
【0063】注型法によってノズル層(液流路形成層)
を製作する工程において、ノズル層を構成する注型材が
液室内にバリを形成するのを防ぎ、このようなバリによ
ってノズル詰まりを起したりインクのリフィル特性が劣
化する等のトラブルを回避する。
【0064】注型法によるノズル層の製作は、注型材を
活性エネルギー線硬化性樹脂に限定する等の制約がない
ために材料コストを大幅に低減できるうえに露光や現像
等の複雑な工程を必要とせず、また、液室の高さを高く
することも自在であり、従って、インクジェット記録ヘ
ッドの低価格化および高密度化や高速化を大きく促進で
きるものである。このような注型法において前述のよう
に液室内にバリを発生しやすい欠点を排除することで、
より一層高性能でしかも安価なインクジェット記録ヘッ
ドを実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例によるインクジェット記録ヘッドの製
造方法の前半の工程を示す説明図である。
【図2】前記実施例によるインクジェット記録ヘッドの
製造方法の後半の工程を示す説明図である。
【図3】前記実施例によって製作されたインクジェット
記録ヘッドを示す斜視図である。
【図4】一変形例によるインクジェット記録ヘッドの製
造方法の工程を示す説明図である。
【図5】一従来例によるインクジェット記録ヘッドの製
造方法の前半の工程を示す説明図である。
【図6】前記従来例によるインクジェット記録ヘッドの
製造方法の後半の工程を示す説明図である。
【図7】別の従来例によるインクジェット記録ヘッドの
製造方法の前半の工程を示す説明図である。
【図8】前記別の従来例によるインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法の後半の工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1のレジストパターン 3,13 第2のレジストパターン 4 天板 4a インク供給口 5 隙間 6 ノズル層 7 液流路 8 液室 9 オリフィス面 13a 撥液性を有する材料の被膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液流路パターン部分および液室パターン
    部分からなるレジストパターンを設けた基板と前記レジ
    ストパターンの上に載置された天板との間に形成された
    空間部に注型材を注入し、該注型材を硬化させたうえで
    前記レジストパターンを除去することで液流路と液室を
    有する液流路形成層を製作する工程を有し、前記レジス
    トパターンの前記天板を載置する表面が前記注型材に対
    して撥液性を有するように構成しておくことを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 レジストパターンの液室パターン部分の
    少なくとも一部分を撥液性を有する材料で製作すことを
    特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 レジストパターンの液室パターン部分の
    表面を、撥液性を有する材料で被覆することを特徴とす
    る請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの製造方
    法。
JP20134595A 1995-07-14 1995-07-14 インクジェット記録ヘッドの製造方法 Pending JPH0929981A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8105761B2 (en) * 2008-01-25 2012-01-31 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet recording head manufacturing method

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