JPH0929427A - 加熱接合部材の酸化防止・接合方法および装置 - Google Patents

加熱接合部材の酸化防止・接合方法および装置

Info

Publication number
JPH0929427A
JPH0929427A JP18561595A JP18561595A JPH0929427A JP H0929427 A JPH0929427 A JP H0929427A JP 18561595 A JP18561595 A JP 18561595A JP 18561595 A JP18561595 A JP 18561595A JP H0929427 A JPH0929427 A JP H0929427A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
joining
replacement gas
brazing
joining member
joint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18561595A
Other languages
English (en)
Inventor
Kimito Kasukabe
公人 春日部
Shogo Watanabe
省吾 渡辺
Tomoaki Kaneko
知昭 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
NDK Inc
Original Assignee
Nihon Denshi Kogyo KK
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Denshi Kogyo KK, Hitachi Ltd filed Critical Nihon Denshi Kogyo KK
Priority to JP18561595A priority Critical patent/JPH0929427A/ja
Publication of JPH0929427A publication Critical patent/JPH0929427A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡素な設備で接合部材の酸化防止,ろう付け
または溶接,および冷却に至る一連の工程を能率よく行
うことができ、しかも少量多品種の接合に適する加熱接
合部材の酸化防止・接合方法を提供すること。 【構成】 ろう付けまたは溶接の熱によってその接合部
材が酸化を受ける部位に閉塞された置換ガス保持空間A
を形成し、この置換ガス保持空間Aに、不活性ガスまた
は還元性ガスからなる置換ガスを送り込み、置換ガス保
持空間A内の酸化物質を置換ガスと置換し、接合部材同
士の接合部Bを加熱し、ろう付けまたは溶接し、ろう付
けまたは溶接個所の固化安定後、ろう付けまたは溶接個
所を水系液34を用いて強制的に冷却し、前記ろう付け
または溶接工程と、冷却工程とを置換ガス保持空間A内
で接合部材のセット状態を変えずに行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱接合部材の酸化防
止・接合方法および装置に係り、特に接合部材同士の接
合部の酸化防止および接合処理時間の短縮を図るために
好適な加熱接合部材の酸化防止・接合方法および装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】この種ろう付けまたは溶接の従来技術と
して、接合部材同士の接合部の酸化防止技術については
不活性ガスまたは還元性ガスを用いた炉中ろう付け、あ
るいは真空ろう付けがある。また、かかる接合部の酸化
防止技術として、ほかには特開平2−121796号公
報,特開平2−147189号公報,特開平5−502
85号公報等に記載の技術がある。
【0003】また、ろう付けまたは溶接後、その接合部
を冷却する従来技術としては、例えば特公昭51−46
058号公報,特開平3−23095号公報に記載の技
術がある。
【0004】さらに、ろう付けまたは溶接によって生じ
た酸化スケール,ろう付けに用いたフラックスを除去す
る従来技術としては、例えば現代溶接技術第9巻7.2
項、p199(橋本達哉,岡本郁男著、産報出版株式会
社、昭和55年1月発行(この刊行物を以下「技術文献
1」という。))、ろう接の生産技術第13章(ろう接
の生産技術編集委員会編、溶接新聞社、1982年5月
発行(この刊行物を以下「技術文献2」という。))に
記載の技術がある。
【0005】前記従来技術のうちの、不活性ガスまたは
還元性ガスを用いた炉中ろう付け、あるいは真空ろう付
けする技術は、接合部材の酸化を防止し、かつろう付け
時にフラックスを必要としないため、後洗浄を不要とす
るろう付け技術として一般に知られている。
【0006】前掲特開平2−121796号公報に記載
の技術では、気密容器中に接合部材を挿入し、前記気密
容器内部を10のマイナス1乗Torr以下の不活性ガ
ス雰囲気中または真空中に保持し、加熱してろう付けす
るようにしている。
【0007】前掲特開平2−147189号公報に記載
の技術では、接合部材を保持した治具内に水を注入する
ことにより治具内の空気を排出し、前記治具内に水素ガ
スを充填させ水素ガス雰囲気内で接合部材を溶着し、ま
た水により治具内の水素ガスを排出するとともに接合部
材を冷却し、ついで圧縮空気により前記冷却に使用した
水を治具内から排出するようにしている。
【0008】前掲特開平5−50285号公報に記載の
技術では、炉内に燃焼ガスを供給し、その燃焼ガスを燃
焼させて炉内の酸素を希薄にし、この状態でリフローす
る回路基板を予熱または半田溶接を行うようにしてい
る。また、管状トラップの中に冷却触媒または冷却水を
流し、管状トラップの外側に結露した水分を除去し、こ
れにより燃焼ガスの燃焼によって発生する炉内の水分を
除去し、回路基板や部品の電極,クリーム半田の酸化を
防止するようにしている。
【0009】前掲特公昭51−46058号公報に記載
の技術では、水素雰囲気中で高周波ろう付けを行った
後、冷却媒体を循環し得る空洞を有する冷却金具をろう
付け対象物である接合部材に接触させ、接合部材の酸化
防止と冷却時間の短縮を図っている。
【0010】前掲特開平3−23095号公報に記載の
技術では、ろう付け部分を加熱する際、ろう付け部分以
外の熱を第1の冷却手段で除去し、加熱後にろう付け部
分に残る熱を第2の冷却手段で除去し、高温により生じ
る材質変化を防止するようにしている。
【0011】前掲技術文献1,2に記載の技術では、ろ
う付けまたは溶接後、その後処理として水洗または湯洗
あるいはサンドブラスト,ワイヤブラッシング,酸処理
等により、ろう付けまたは溶接によって生じた酸化スケ
ール,ろう付けに用いたフラックスを除去するようにし
ており、これらの技術は慣用的に行われている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来技
術のうちの、不活性ガスまたは還元性ガスを用いた炉中
ろう付け、あるいは真空ろう付けする技術,および特開
平2−121796号公報に記載の技術では、ろう付け
または溶接した後、接合部の冷却手段を含めると、設備
費が極めて高くなる問題があり、多量生産向きであって
少量多品種の接合に対しては採用がむずかしいという問
題がある。
【0013】また、前掲特開平2−121796号公報
に記載の技術では、治具内に水を注入することにより治
具内の空気を排出するようにしているため、治具内の空
気を完全に追い出すための設備が大掛かりになる問題が
あり、作業能率も悪いという問題もある。
【0014】また、前掲特開平5−50285号公報に
記載の技術では、炉内に燃焼ガスを供給し、その燃焼ガ
スを燃焼させて酸素を希薄にするようにしているので、
この従来技術も設備が大掛かりになる問題があり、炉内
に酸素が残ってしまう問題もある。
【0015】また、前掲特公昭51−46058号公
報,特開平3−23095号公報に記載のろう付け後の
冷却技術は、接合部材へ冷却金具を接触させ、冷却する
技術であって、その冷却金具を接合部材の形状に合わせ
て製作したものを用いる必要があり、少量多品種の接合
には適さないという問題がある。
【0016】そして、前掲技術文献1,2に記載の技術
では、ろう付けまたは溶接によって酸化スケールが発生
することを前提とし、かかる酸化スケールやフラックス
を除去するための技術である。
【0017】本発明の目的は、前記従来技術の問題を解
決し、簡素な設備で接合部材の酸化防止,ろう付けまた
は溶接,および冷却に至る一連の工程を能率よく行うこ
とができ、しかも少量多品種の接合に適する加熱接合部
材の酸化防止・接合方法を提供することにある。
【0018】また、本発明の他の目的は中空の接合部材
をも的確に酸化防止し得る加熱接合部材の酸化防止・接
合方法を提供することにある。
【0019】また、本発明の他の目的は、接合部材の接
合にフラックスを用いた場合にも、接合部の冷却とフラ
ックスの除去とを単一の工程で行い得る加熱接合部材の
酸化防止・接合方法を提供することにある。
【0020】さらに、本発明の他の目的は接合部材が鉄
系材料等の錆を発生しやすい材料製のものであっても、
錆を防止しつつ接合し得る加熱接合部材の酸化防止・接
合方法を提供することにある。
【0021】そして、本発明の他の目的は前記方法を的
確に実施し得る加熱接合部材の酸化防止・接合装置を提
供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記目的は、接合部材の
ろう付けまたは溶接の熱によって接合部材が酸化される
部位に置換ガス保持空間を形成し、この置換ガス保持空
間に、不活性ガスまたは還元性ガスからなる置換ガスを
送り込み、置換ガス保持空間内の酸化物質を置換ガスと
置換し、接合部材同士の接合部を加熱し、ろう付けまた
は溶接し、ろう付けまたは溶接個所の固化安定後、ろう
付けまたは溶接個所を水系液を用いて強制的に冷却し、
前記ろう付けまたは溶接工程と、冷却工程とを置換ガス
保持空間内で接合部材のセット状態を変えずに行うこと
により、達成される。
【0023】また、前記目的は中空の接合部材の場合に
は、接合部材の内外を同じ置換ガス雰囲気に形成するこ
とにより、達成される。
【0024】また、前記目的は接合部にフラックスを用
いる場合には、水溶性のものを主成分としたフラックス
を用い、前記接合部材のろう付けまたは溶接個所の固化
安定後、ろう付けまたは溶接個所を水系液を用いて強制
的に冷却すると同時にフラックスを洗浄除去することに
より、達成される。
【0025】また、前記目的は接合部材が鉄系材料等の
錆を発生しやすい材料製の場合には、前記水系液に防錆
剤を混合した処理剤を用いることにより、防錆効果を付
与せしめることができる。
【0026】また、前記目的は接合部材を出入可能にか
つ置換ガスを保持可能に構成した容器と、接合部材同士
の接合部を前記容器内にセットする接合部材セット治具
と、前記容器内に置換ガスを供給するとともに、所定の
置換ガス雰囲気に保持する置換ガス供給系統と、接合部
材同士の接合部を加熱する高周波誘導加熱手段と、ろう
付けまたは溶接された接合部の固化安定後、接合部に水
系液をシャワーし、強制的に冷却する水系液による冷却
系統とを具備していることにより、達成される。
【0027】さらに、前記目的は前記容器の内部と、中
空接合部材の内部とを同一置換ガス雰囲気に保持可能に
構成したことにより、達成される。
【0028】そして、前記目的は前記水系液に防錆剤を
混入するか、あるいは冷却系統に、防錆剤混入系統を付
設したことにより、達成される。
【0029】
【作用】本発明方法では、接合部材のろう付けまたは溶
接の熱によって接合部材が酸化される部位に置換ガス保
持空間を形成し、この置換ガス保持空間内に、不活性ガ
スまたは還元性ガスからなる置換ガスを送り込み、置換
ガス保持空間内の酸化物質を置換ガスと置換するように
している。したがって、気密容器内を減圧し不活性ガス
雰囲気または真空状態を作り出す従来技術や、治具内に
水を注入して空気を排出し、水素ガス雰囲気を作り出す
従来技術、処理炉内に燃焼ガスを供給し、その燃焼ガス
を燃焼させ、炉内の酸素を希薄にする従来技術に比較し
て、本発明方法では置換ガス保持空間内の酸化物質を置
換ガスと置換するための設備を大幅に簡素化でき、しか
も酸化物質を置換ガスに短時間で確実に置換することが
できる。
【0030】また、本発明方法では前記置換ガス保持空
間内にワークである接合部材を設置し、置換ガス保持空
間内の酸化物質を置換ガスと置換した後、接合部材の接
合部を加熱し、ろう付けまたは溶接を行う。これによ
り、接合部材およびその接合部の酸化を防止しつつ接合
部材同士の接合部をろう付けまたは溶接することができ
る。
【0031】そして、本発明方法ではろう付けまたは溶
接個所の固化安定後、かかるろう付けまたは溶接個所を
水系液を用いて強制的に冷却する。このとき、前記ろう
付けまたは溶接工程と、冷却工程とを置換ガス保持空間
内で接合部材のセット状態を変えずに行う。これによ
り、接合部材のろう付けまたは溶接後、時宜にかつ速や
かに冷却することができるので、作業能率を向上させる
ことができる。しかも、本発明方法ではろう付けまたは
溶接個所を水系液で冷却するようにしているので、接合
部材のいかなる形状の接合部でも、均等にかつ効率よく
冷却することができる。
【0032】本発明方法は、これらの相乗効果により、
少量多品種の接合に対しても適応することが可能であ
る。
【0033】また、本発明方法では中空の接合部材の場
合には、接合部材の内外を同じ置換ガス雰囲気に形成す
るようにしている。したがって、中空接合部材の内部の
酸化をも防止しつつろう付けまたは溶接することができ
る。
【0034】また、本発明方法では溶接部にフラックス
を用いる場合には、そのフラックスに水溶性のものを主
成分としたフラックスを用いる。そして、接合部材のろ
う付けまたは溶接個所の固化安定後、ろう付けまたは溶
接個所を水系液を用いて強制的に冷却すると同時にフラ
ックスを洗浄除去するようにしている。これにより、接
合部のぬれ性と清浄性を保つ必要からフラックスを用い
た場合であっても、ろう付けまたは溶接個所の冷却とフ
ラックスの洗浄除去とを単一の工程で能率よく行うこと
ができる。
【0035】また、本発明方法では接合部材が鉄系材料
等、錆の発生しやすい材料製の場合には、前記水系液に
防錆剤を混合した処理剤を用いるようにしている。した
がって、接合部材が発錆しやすい材料で作ったものであ
っても、接合部材および接合部の防錆を図ることができ
る。
【0036】また、本発明装置では置換ガスを保持する
容器と、接合部材セット治具と、置換ガス供給系統と、
高周波誘導加熱手段と、水系液による冷却系統とを具備
している。そこで、まず前記容器にワークである接合部
材を挿入し、その接合部材を接合部材セット治具に固定
し、接合部材同士の接合部を容器内にセットする。その
後、置換ガス供給系統を通じて容器内に不活性ガスまた
は還元性ガスからなる置換ガスを送り込み、置換ガス保
持空間内の酸化物質を置換ガスと置換し、置換ガス雰囲
気を形成し保持する。次に、高周波誘導加熱手段によ
り、置換ガス雰囲気内で接合部材同士の接合部を加熱
し、ろう付けまたは溶接する。このろう付けまたは溶接
個所の固化安定後、冷却系統より接合部に水系液をシャ
ワーし、強制的に冷却し、冷却後、容器外へ取り出す。
【0037】以上により、本発明装置によれば、いかな
る形状の接合部材であっても、酸化を防止しつつろう付
けまたは溶接工程から冷却工程に至るまで、的確にかつ
能率よく行うことができる外、接合部にフラックスを用
いた場合には、ろう付けまたは溶接個所の固化安定後、
水系液をシャワーする冷却系統により、前記接合部を冷
却すると同時にフラックスを洗浄除去することができ
る。
【0038】さらに、本発明装置では前記容器の内部
と、中空接合部材の内部とを同一置換ガス雰囲気に保持
可能に構成しているので、中空の接合部材をろう付けま
たは溶接する場合であっても、接合部材の内部の酸化を
防止しつつろう付けまたは溶接することが可能となる。
【0039】そして、本発明装置では水系液による冷却
系統に、防錆剤混入系統を付設しており、接合部材とし
て鉄系材料等の錆を発生しやすい材料製のものを取り扱
う場合には、冷却系統を通じて供給する水系液に、防錆
剤混入系統を介して防錆剤を混合させる。これにより、
接合部材が鉄系材料等の錆を発生しやすい材料製のもの
であっても、ろう付けまたは溶接された接合部材の発錆
を防止することができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。
【0041】図1は本発明酸化防止・接合方法を実施す
る装置の一例を示す縦断面図、図2は同装置の分解斜視
図である。
【0042】これら図1,図2に示す実施例の装置は、
置換ガスを保持可能な容器10と、接合部材セット治具
14と、置換ガス供給系統19と、高周波誘導加熱手段
26と、水系液34による冷却系統33と、防錆剤混入
系統41とを具備して構成されている。
【0043】而して、この実施例では互いに接合すべき
一方の接合部材であるフランジ2に、他方の接合部材で
ある管部材1を接合部Bでろう付けするようにしてい
る。なお、前記フランジ2には、嵌合ボス3と、L字型
の貫通穴4とが設けられており、この貫通穴4は前記管
部材1の内部に連通するようになっていて、前記管部材
1とフランジ2のアセンブリは空調装置の配管に使用さ
れるものである。
【0044】前記容器10は、一半部10aと他半部1
0bとに2分割され、これら一半部10aと他半部10
bとを垂直方向の合わせ面10cで組み合わせ、置換ガ
ス保持空間Aを確保し得るように形成されている。ま
た、容器10の上壁には接合部材の切欠穴11aが設け
られており、側壁には置換ガス排出口12が設けられて
おり、底壁には他の切欠穴11bと水系液排出口13と
が設けられている。
【0045】前記接合部材セット治具14は、断面ほぼ
凹字型に形成されていて、一方の側壁には前記フランジ
2の嵌合ボス3の位置決めボス15と、同フランジ2の
貫通穴4に連通する置換ガス通路16とが設けられてお
り、他方の側壁には接合部材セット具17が装着されて
いる。そして、この接合部材セット治具14には一方の
接合部材である前記フランジ2を位置決めしてセット
し、その上に他方の接合部材である管部材1を嵌合する
ようにしており、両接合部材同士の少なくとも接合部B
を前記容器10内にセットし得るようになっている。な
お、前記管部材1の容器10の外部に突出された端部に
は、例えばゴムによりキャップ型に形成された接続具1
8が嵌着されている。これにより、前記管部材1の内
部、フランジ2の内部、接合部材セット治具14に設け
られた置換ガス通路16および容器10の内部にわたっ
て、一連の置換ガス保持空間Aが確保されている。
【0046】前記置換ガス供給系統19は、不活性ガス
または還元性ガスを充填した置換ガス供給源20と、元
配管21と、元弁22と、置換ガス供給配管23と、置
換ガス供給量調節器24と、置換ガス供給弁25とを備
えている。前記不活性ガスまたは還元性ガスとしては、
例えばヘリウム,アルゴン,窒素ガス等を用いる。そし
て、置換ガス供給系統19はこれらの不活性ガスまたは
還元性ガスを、前記容器10の外部に突出された管部材
1の端部に嵌着された接続具18を通じて管部材1の内
部に供給し、管部材1の内部からフランジ2の貫通穴4
および接合部材セット治具14に設けられた置換ガス通
路16を経て容器10内に供給するようになっている。
【0047】前記高周波誘導加熱手段26は、高周波誘
導加熱発信源27と、高周波誘導線28と、加熱コイル
支持具29と、高周波誘導加熱コイル30と、バルブ3
2を有する加熱コイル冷却水配管31とを備えている。
前記高周波誘導加熱コイル30は、縦方向に二つ割りに
形成された部分をリング状に組み合わせる形式に構成さ
れている。また、高周波誘導加熱コイル30は、2分割
の加熱コイル支持具29の内部に取り付けられ、容器1
0内において管部材1とフランジ2の接合部Bの周りに
配置されている。この高周波誘導加熱手段26では、前
記高周波誘導加熱発信源27から高周波誘導線28を通
じて高周波誘導加熱コイル30に高周波電流が供給さ
れ、高周波誘導加熱コイル30により管部材1とフラン
ジ2の接合部Bを加熱するとともに、ろう材5を溶融さ
せるようにしている。また、高周波誘導加熱コイル30
には加熱コイル冷却水配管31およびバルブ32を通じ
て冷却水が供給され、温度上昇を抑えるようになってい
る。
【0048】前記水系液34による冷却系統33は、水
系液供給源35と、水系液供給ポンプ36と、バルブ3
8を有する水系液供給配管37と、噴出孔40を有する
水系液ノズル機構39とを装備している。前記水系液ノ
ズル機構39は、前記高周波誘導加熱コイル30と同
様、縦方向に二つ割りに形成された部分をリング状に組
み合わせる形式に構成されている。また、水系液ノズル
機構39はコーン型の内壁を有し、このコーン型の内壁
に、円周方向に等間隔をおいて多数の噴出孔40が設け
られている。さらに、前記水系液ノズル機構39は容器
10内において、管部材1の周りに配置され、この実施
例では高周波誘導加熱コイル30の上方に設置されてい
る。なお、水系液には水または温水の単体、あるいはこ
れらに防錆剤を混入した処理剤を用いる。そして、この
冷却系統33はろう付け個所の固化安定後、水系液供給
源35から水系液供給ポンプ36、水系液供給配管37
およびバルブ38を通じて水系液ノズル機構39に水系
液34を供給し、その水系液34を水系液ノズル機構3
9に設けられた多数の噴出孔40から管部材1とフラン
ジ2の接合部Bに向かって噴射するように構成されてい
る。
【0049】前記防錆剤混入系統41は、防錆剤供給源
42と、バルブ44を有する防錆剤供給配管43とを備
えている。前記防錆剤供給配管43は、前記水系液34
による冷却系統33の水系液供給ポンプ36の上流側に
接続されていて、接合部材が鉄系材料等、発錆しやすい
材料製の場合に、前記水系液34に防錆剤を混入させる
ようになっている。
【0050】次に、前記実施例の装置の作用に関連して
本発明方法の一例を説明する。
【0051】ワークとして管部材1と、L字型の貫通穴
4を有するフランジ2とをろう付けするためのこの実施
例では、容器10の内部へ、水系液ノズル機構39およ
び高周波誘導加熱コイル30の縦方向に二つ割りにされ
た、そのそれぞれを容器10の一半部10aおよび10
bの所定位置へ収納セットしておく。そして、容器10
の一半部10aと他半部10bとを開いた状態で、一方
の接合部材であるフランジ2を挿入し、接合部材セット
治具14に前記フランジ2をセットする。このとき、位
置決めボス15にフランジ2の嵌合ボス3を嵌め、置換
ガス通路16にフランジ2の貫通穴4の端部を連通さ
せ、接合部材セット治具14にフランジ2を位置決め
し、接合部材セット具17を締め付け、接合部材セット
治具14にフランジ2をセットする。一方、管部材1の
接合部にあたる位置にろう材5を装着し、この管部材1
を前記フランジ2の上端部に嵌合する。さらに、前記ろ
う材5の周りに水溶性のものを主成分とするフラックス
6を塗布する。水溶性のものを主成分とするフラックス
6としては、例えば硼砂,硼酸,硼酸塩,ふっ化物,塩
化物を主成分としたものがある。
【0052】ついで、容器10を構成している一半部1
0aと他半部10bとを相対的に接近させ、合わせ面1
0cで組み合わせ、容器10内に置換ガス保持空間Aを
形成する。前記容器10の一半部10aと他半部10b
とを組み合わせると同時に、縦方向に二つ割りに形成さ
れた高周波誘導加熱コイル30および水系液ノズル機構
39をそれぞれリング状に組み合わせ、管部材1とフラ
ンジ2の接合部Bを取り囲む所定位置に配置する。さら
に、前記管部材1における容器10から突出している部
分の端部に、接続具18を嵌着し、管部材1の内部、フ
ランジ2のL字型の貫通穴4、接合部材セット治具14
の置換ガス通路16および容器10の内部に至る置換ガ
ス保持空間Aに前記接続具18を介して置換ガス供給系
統19を接続する。
【0053】その後、置換ガス供給系統19の元弁22
および置換ガス供給弁25を開き、置換ガス供給源20
→元配管21→元弁22→置換ガス供給配管23→置換
ガス供給量調節器24→置換ガス供給弁25→接続具1
8の内部を経て、前記管部材1の内部→フランジ2内の
貫通穴4→接続部材セット治具14の置換ガス通路16
→容器10の内部に至る置換ガス保持空間A内に不活性
ガスまたは還元性ガスからなる置換ガスを供給する。そ
して、前記置換ガスを容器10の側壁に設けられた置換
ガス排出口12から排出させ、前記置換ガス保持空間A
内の酸化物質を置換ガスに置換し、この状態を管部材1
とフランジ2とがろう付けされ,この管部材1とフラン
ジ2が酸化スケールを生じなくなる温度に冷却されるま
で維持する。
【0054】前述のごとく、置換ガス保持空間Aの酸化
物質を置換ガスに置換した後、高周波誘導加熱手段26
の高周波誘導加熱発信源27を駆動し、発生した高周波
電流を高周波誘導線28を通じて高周波誘導加熱コイル
30に供給し、この高周波誘導加熱コイル30により、
管部材1とフランジ2の接合部Bおよびこれに装着され
たろう材5を加熱し、このろう材5およびフラックス6
を溶融させ、ろう材5が接合部Bの隙間に流れ込んだ時
点で、高周波誘導加熱発信源27を停止させ、高周波誘
導加熱コイル30への高周波電流の供給を停止させ、接
合部Bの溶融金属が固化安定するまで放置する。なお、
加熱コイル冷却水配管31およびバルブ32を通じて加
熱コイル冷却水を供給し、高周波誘導加熱コイル30の
温度上昇を抑える。
【0055】前記ろう付け個所が固化安定した時点で、
水系液34による冷却系統33のバルブ38を開け、水
系液供給源35→水系液供給ポンプ36→水系液供給配
管37→バルブ38を通じて水系液ノズル機構39に水
系液34を供給し、水系液ノズル機構39に設けられた
多数の噴出孔40からろう付け個所に向かって水系液3
4をシャワーし、水溶性のものを主成分とするフラック
ス6を用いたこの実施例では、ろう付け個所を前記水系
液34により強制的に冷却すると同時にフラックス6を
も洗浄除去する。このろう付けにおいて使用された水溶
性のものを主成分とするフラックス6は、水系液34を
シャワーすることによりその水系液34に接触して水系
液34に溶解する。また、管部材1とフランジ2の接合
時にガラス状になり、このガラス状になったフラックス
は接合部Bを急冷するに伴い、管部材1やフランジ2と
の間に熱収縮差を生じ、このときの物理的剥離作用によ
り除去される。いずれにしても、この実施例ではろう付
け個所の冷却とフラックス6の洗浄除去とを単一の工程
で能率よく行うことができる。なお、前記ろう付け部を
冷却しかつフラックス6を洗浄した後の水系液34は、
容器10の底壁に設けられた水系液排出口13から水系
液供給源35に戻され、再使用される。
【0056】また、この実施例において、管部材1とフ
ランジ2の少なくとも一方が鉄系材料製の場合には、防
錆剤混入系統41のバルブ44を開け、防錆剤供給源4
2→防錆剤供給配管43→バルブ44を通じて水系液供
給ポンプ36の上流側において水系液34に例えばアル
カリ系防錆剤を混入させ、水系液ノズル機構39に供給
し、噴出孔40から接合部Bに防錆剤入り水系液をシャ
ワーする。これにより、鉄系材料等の錆を発生しやすい
材料製の接合部材に防錆効果を付与することができる。
【0057】前述のごとく、管部材1とフランジ2のろ
う付け個所を冷却し、かつフラックス6を洗浄除去した
後、各系統の弁類を閉じ、容器10の一半部10aと他
半部10bとを相対的に離間させて開く。また、管部材
1に嵌着されている接続具18を外し、接合部材セット
治具14の接合部材セット具17を緩め、管部材1とフ
ランジ2とがろう付けされた製品を取り出し、置換ガス
雰囲気中での管部材1とフランジ2とのろう付けの1サ
イクルを終了する。
【0058】以上のように、この実施例では置換ガス供
給系統19を通じて置換ガス保持空間A内に不活性ガス
または還元性ガスを供給し、酸化物質を置換ガスに置換
し、置換ガス雰囲気を形成するようにしているので、簡
素な設備で、しかも短時間で確実に置換ガス雰囲気を形
成でき、その置換ガス雰囲気中で接合部材や接合部の酸
化を防止しつつろう付けすることができる。
【0059】また、この実施例では置換ガス供給系統1
9→管部材1の内部→フランジ2内の貫通穴4→接合部
材セット治具14に設けられた置換ガス通路15→容器
10の内部に置換ガスを送り込み、前記中空の接合部材
である管部材1とフランジ2の内部と、容器10の内部
とを同じ置換ガス雰囲気に形成するようにしているの
で、管部材1とフランジ2の接合部Bの内外の酸化を防
止しつつろう付けすることができる。
【0060】しかも、この実施例では接合部材セット治
具14に接合部材であるフランジ2と管部材1とをセッ
ト後、置換ガス雰囲気中でセット状態を変えずにろう付
け工程、ろう付け部の冷却工程を行い、さらにろう付け
部の冷却工程とフラックス6の洗浄除去工程とを同時に
行うようにしているので、作業能率を大幅に向上させる
ことができる。
【0061】なお、この実施例は接合部材同士を溶接す
る場合にも適用することができる。また、容器10内で
3個以上の接合部材を2個所以上ろう付けまたは溶接す
る場合にも適用することが可能である。
【0062】次に、より具体的な実施例について説明す
る。
【0063】まず、接合部材の一方の部材である管部材
1として、銅パイプで外径=25.4mm,肉厚=1.
2mm,長さ=300mmのものを用意し、他方の部材
であるフランジ2として、鉄製で幅=68mm,高さ=
77mm,奥行き=36mmの角形フランジを用意し
た。前記フランジ2には、上面の中心部に管部材1の端
部を深さ=12mm嵌合可能で、直径=25.6mmの
嵌合部と、管部材1内を流れる流体の流れ方向を直角に
変更するための直径=22mmの貫通穴4と、貫通穴4
における管部材1の反対側の面に、内径=25mm,外
径=38mm,立ち上がり寸法=6mmの相手方フラン
ジとの嵌合ボス3と、四隅に形成された直径=11.5
mmの締め付け用ボルト穴とを有している。
【0064】容器10には、プラスチック板で一半部1
0aと他半部10bとを合わせ面10cで組み合わせる
構造のものを用いた。前記容器10の一半部10aと他
半部10bとを、それぞれ幅=60mm,奥行き=15
5mm,高さ=215mmに形成し、これを合わせて内
容積=4リットルとし、しかも容器10内にセットされ
る縦方向に二つ割りにされた水系液ノズル機構39およ
び高周波誘導加熱コイル30は、その二つ割りのそれぞ
れを容器の一半部10aおよび10bの所定の位置へ収
納し、管部材1とフランジ2の組および接合部材セット
治具14を左右両側からスライドして包み込む方式に構
成した。また、容器10は、その内容積を極力小さくし
て置換ガスの使用量,置換時間等に係る置換効率を向上
せしめるために、管部材1の酸化防止を不要とする部分
および接合部材セット治具14の置換ガスを保持するに
支障のない部分を置換ガス保持空間から除外するための
切欠穴11a,11bを設け、かつ高周波誘導加熱コイ
ル30に接続する高周波誘導線28,加熱コイル冷却水
配管31,水系液ノズル機構39に継ながる水系液供給
配管37の外部との連絡のため、容器10の所定個所に
切り欠きを設けた。さらに、容器10の側壁には置換ガ
ス排出口12を設け、底壁には水系液排出口13を設け
た。
【0065】接合部材セット治具14には、フランジ2
の相手方フランジとの嵌合ボス3を利用してフランジ2
を位置決めする位置決めボス15と、管部材1およびフ
ランジ2の内部の置換ガス保持空間Aと容器10の内部
の置換ガス保持空間Aとを連通させるための置換ガス通
路16とを設け、かつフランジ2に管部材1を嵌合し、
フランジ2を接合部材セット具17により締め付けて固
定するように構成した。
【0066】高周波誘導加熱コイル30を、10mm□
で肉厚1mmの角パイプを内径=52mmに成形し、管
部材1を横方向から挟み込みができる縦方向に二つ割り
の部分を組み合わせる割り形型式のリングコイルとして
形成し、加熱コイル支持具29により支持し、高周波誘
導加熱コイル30の底面がフランジ2の上部1.35m
mに位置し、高周波誘導加熱コイル30の中心部に管部
材1が位置するように配置した。また、角パイプからな
る高周波誘導加熱コイル30の内部へは、冷却水を循環
させ得るよう加熱コイル支持具29に中空の冷却水通路
を形成し、これに加熱コイル冷却水配管31を接続し
た。
【0067】水系液ノズル機構39を耐熱性プラスチッ
クにより形成し、高周波誘導加熱コイル30と同様、管
部材1を横方向から挟み込みができるように縦方向に二
つ割りの部分を組み合わせる型式に形成した。水系液ノ
ズル機構39の内壁には、直径=1.0mmの噴出孔4
0を多数設け、管部材1とフランジ2の接合部Bに向か
って水系液34をシャワーし、前記接合部Bの冷却と、
フラックス6の洗浄除去に共用可能に構成した。この水
系液ノズル機構39には、水系液34による冷却系統3
3を接続した。
【0068】ろう付けに当たって、接合部材セット治具
14にフランジ2をセットした。ろう材5には、銀成分
=40%,線径=1.6mmの銀ろうを用いた。このろ
う材5を2巻きのリング状にして銅パイプである管部材
1に巻き付け、図1に示すように、フランジ2の嵌合部
に管部材1を挿入して、ろう材5をろう付け部である接
合部Bにセットした。その後、前記接合部Bおよびその
周辺に、硼砂,硼酸,ふっ化物,塩化物等を主成分とす
る市販の水溶性のフラックス6を塗布した。
【0069】ついで、管部材1を中心として、容器10
の一半部10aと他半部10bとを相対的に接近させて
置換ガス保持空間Aを形成するとともに高周波誘導加熱
コイル30および水系液ノズル機構39を所定位置にセ
ットした。また、容器10の上部に突出している管部材
1の上端部に接続具18を嵌着した。さらに、この接続
具18には外径=8.0mm,肉厚=1.5mmのプラ
スチックチューブで形成した置換ガス供給配管23を接
続し、管部材1の内部,フランジ2の内部,容器10の
内部にわたる置換ガス保持空間Aに、置換ガス供給系統
19を連通させた。
【0070】その後、窒素ガスを置換ガスとして、置換
ガス供給系統19の置換ガス供給源20→元配管21→
元弁22→置換ガス供給配管23→置換ガス供給量調節
器24→置換ガス供給弁25→接続具18を経て、供給
量=5リットル/分に調整して、管部材1の内部に供給
し、さらに前記置換ガスを管部材1の内部→フランジ2
の内部→接合部材セット治具14に設けられた置換ガス
通路16→容器10の内部→置換ガス排出口12に流
し、前記管部材1の内部,フランジ2の内部および容器
10の内部にわたる置換ガス保持空間A内の酸化物質を
置換ガスに置換し、管部材1およびフランジ2の内外を
同じ置換ガス雰囲気に形成した。
【0071】前述のごとく、置換ガスを供給してから5
秒経過後、高周波誘導加熱手段26の高周波誘導加熱発
信源27から高周波誘導線28を通じて高周波誘導加熱
コイル30に高周波電圧300Vを44秒間、さらに1
90Vを25秒間加えて管部材1とフランジ2の接合部
Bおよびろう材5を加熱し、ろう付けを行った。
【0072】その後、25秒間、前記接合部Bの溶融し
たろう材5が固化安定するのを待って、管部材1とフラ
ンジ2をセット替えすることなく、前記接合部Bの冷却
とフラックス6の洗浄除去とを同時に行った。かかる接
合部Bの冷却とフラックス6の洗浄除去とは、冷却系統
33の水系液供給ポンプ36を駆動し、水系液34とし
て80℃の温水を水系液供給源35→水系液供給ポンプ
36→水系液供給配管37→バルブ38を経て水系液ノ
ズル機構39に送液量10リットル/分で25秒間流
し、水系液34である温水を多数の噴出孔40から管部
材1とフランジ2の接続部Bにシャワーし、前記接合部
Bを冷却すると同時にフラックス6を洗浄した。
【0073】その後、水系液供給ポンプ36を停止さ
せ、各弁類を閉じ、管部材1から接続具18を取り外
し、容器10の一半部10aと他半部10bを開き、接
合部材セット治具14から管部材1とフランジ2とをろ
う付けした製品を取り外し、製品を取り出した。
【0074】以上により、管部材1の内外面,接合部B
およびフランジ2の内面に酸化スケールがなく、かつ接
合部Bに塗布したフラックス6が除去され、しかも欠陥
のない良好に接合された製品が得られた。
【0075】また、新たなワークである管部材1と、鉄
製のフランジ2とを用意し、前述したところと同じ要領
でろう付けを行い、十数秒後、防錆剤混入系統41の防
錆剤供給源42→防錆剤供給配管43→バルブ44を通
じて前記冷却系統33に、防錆剤として市販のアルカリ
系防錆剤を注入し、水系液34に防錆剤を混入した処理
剤である0.5%水溶液を水系液ノズル機構39に送
り、多数の噴出孔40から接合部Bに対してシャワー
し、接合部Bを冷却すると同時にフラックス6を洗浄し
た。
【0076】これにより、鉄製のフランジ2にろう付け
後、防錆効果を付与することができた。
【0077】次に、図3は本発明方法を実施するための
他の装置を示す縦断面図である。
【0078】この図3に示す実施例では、ワークとして
フランジ2に代わる管部材7に、管部材1をろう付けす
るようにしている。
【0079】前記管部材7は、接合部材セット治具45
により支持されるようにしている。この接合部材セット
治具45は、その上面の中心部に管部材7を上方向から
挿入セットするための貫通穴を有し、管部材7を所定の
位置へセットするためのセットボルト47を有して構成
されている。
【0080】前記管部材7の上端部には、管部材1を嵌
め込むために拡径された接合部Bが形成されている。ま
た、前記管部材1の上端部には接続具18aが嵌着さ
れ、前記管部材7の下端部には接続具18bが嵌着され
ている。各接続具18a,18bは、前記図1,図2に
示す実施例の接続具18と同様、例えばゴムによりキャ
ップ型に成形されている。
【0081】前記一方の接続具18aは置換ガス供給系
統19に接続され、他方の接続具18bには置換ガス通
路48が接続されている。この置換ガス通路48は、例
えばプラスチックチューブにより形成されており、容器
10の側壁に設けられた置換ガス送入口49に結ばれて
いる。
【0082】この図3に示す実施例では、接合部材の一
つである管部材7を接合部材セット治具45へ挿入セッ
トする。また、接合部材の他の一つである管部材1を前
記管部材7の上端部を拡径した接合部Bに嵌め込んで支
持する。
【0083】ついで、管部材1の上端部には接続具18
aを嵌着し、この接続具18aを介して管部材1を置換
ガス供給系統19に接続する。一方、管部材7の下端部
に接続具18bを嵌着し、この接続具18bを介して管
部材7を置換ガス通路48に接続し、この置換ガス通路
48および置換ガス送入口49を通じて管部材7を容器
10の内部に連絡する。
【0084】その後、置換ガス供給系統19から置換ガ
スを供給すると、その置換ガスは接続具18aの内部→
管部材1の内部→管部材7の内部→接続具18bの内部
→置換ガス通路48→置換ガス送入口49を経て容器1
0の内部空間に流れ、この容器10の側壁に設けられた
置換ガス排出口13から排出される。
【0085】したがって、この図3に示す実施例におい
ても、接合部材である管部材1と管部材7の内外を同じ
置換ガス雰囲気に形成することができ、かかる置換ガス
雰囲気のもとで管部材1,7同士をろう付けすることが
でき、他の仕様によっては溶接することもできる。
【0086】この図3に示す実施例の他の構成,作用に
ついては、前記図1,図2に示す実施例と同様である。
【0087】
【発明の効果】
(請求項1記載の発明)本発明によれば、接合部材のろ
う付けまたは溶接の熱によって接合部材が酸化される部
位に置換ガス保持空間を形成し、この置換ガス保持空間
中にワークである接合部材を設置して、この置換ガス保
持空間内に、不活性ガスまたは還元性ガスからなる置換
ガスを送り込み、置換ガス保持空間内の酸化物質を置換
ガスと置換するようにしているので、従来技術に比較し
て密閉空間である置換ガス保持空間内の酸化物質を置換
ガスと置換するための設備を大幅に簡素化でき、しかも
酸化物質を置換ガスに短時間で確実に置換し得る効果が
ある。また、本発明では前記置換ガス保持空間内の酸化
物質を置換ガスと置換した後、接合部材の接合部を加熱
し、ろう付けまたは溶接を行うようにしているので、接
合部材およびその接合部の酸化を的確に防止しつつ接合
部材をろう付けまたは溶接し得る効果がある。
【0088】そして、本発明ではろう付けまたは溶接個
所の固化安定後、かかるろう付けまたは溶接個所を水系
液を用いて強制的に冷却し、このときろう付けまたは溶
接工程と、冷却工程とを置換ガス保持空間内で接合部材
のセット状態を変えずに行うようにしているので、接合
部材のろう付けまたは溶接後、時宜にかつ速やかに冷却
することができ、したがって作業能率を向上させ得る効
果がある。しかも、本発明ではろう付けまたは溶接個所
を水系液で冷却するようにしているので、接合部材のい
かなる形状の接合部でも、均等にかつ効率よく冷却し得
る効果を有する外、これらの相乗効果により少量多品種
の接合に対しても適応し得る効果もある。
【0089】(請求項2記載の発明)本発明では、中空
の接合部材の場合には接合部材の内外を同じ置換ガス雰
囲気に形成するようにしているので、中空接合部材の内
部の酸化をも防止しつつろう付けまたは溶接し得る効果
がある。
【0090】(請求項3記載の発明)本発明では、溶接
部にフラックスを用いる場合にはそのフラックスに水溶
性のものを主成分としたフラックスを用い、しかも接合
部材のろう付けまたは溶接個所の固化安定後、ろう付け
または溶接個所を水系液を用いて強制的に冷却すると同
時にフラックスを洗浄除去するようにしているので、接
合部のぬれ性と清浄性を保つ必要からフラックスを用い
た場合であっても、ろう付けまたは溶接個所の冷却とフ
ラックスの洗浄除去とを単一の工程で能率よく行い得る
効果がある。
【0091】(請求項4記載の発明)本発明では、接合
部材が鉄系材料等の錆を発生しやすい材料製の場合には
前記水系液に防錆剤を混合した処理剤を用いるようにし
ているので、接合部材が鉄系材料等の発錆しやすい材料
で作ったものであっても、接合部材および接合部の防錆
を図り得る効果がある。
【0092】(請求項5記載の発明)本発明では、置換
ガスを保持し得る容器と、接合部材セット治具と、置換
ガス供給系統と、高周波誘導加熱手段と、水系液による
冷却系統とを具備し、前記容器内にワークである接合部
材を挿入し、その接合部材を接合部材セット治具に固定
し、接合部材同士の接合部を容器内にセットし、置換ガ
ス供給系統を通じて容器内に不活性ガスまたは還元性ガ
スからなる置換ガスを送り込み、置換ガス保持空間内の
酸化物質を置換ガスと置換し、置換ガス雰囲気を形成し
て保持し、高周波誘導加熱手段により置換ガス雰囲気内
で接合部材の接合部を加熱し、ろう付けまたは溶接し、
このろう付けまたは溶接個所の固化安定後、冷却系統よ
り接合部に水系液をシャワーし、強制的に冷却するよう
にしているので、いかなる形状の接合部材であっても、
酸化を防止しつつろう付けまたは溶接工程から冷却工程
に至るまで、的確にかつ能率よく行い得る効果がある。
また、本発明では接合部にフラックスを用いた場合に
は、ろう付けまたは溶接個所の固化安定後、水系液をシ
ャワーする冷却系統により、前記接合部を冷却すると同
時にフラックスを洗浄除去することができるので、接合
部の冷却とフラックスの除去の作業能率を大幅に高め得
る効果もある。
【0093】(請求項6記載の発明)本発明では、前記
容器の内部と中空接合部材の内部とを同一置換ガス雰囲
気に保持可能に構成しているので、中空の接合部材をろ
う付けまたは溶接する場合であっても、接合部材の内部
の酸化を防止しつつろう付けまたは溶接し得る効果があ
る。
【0094】(請求項7記載の発明)本発明では、水系
液による冷却系統に、防錆剤混入系統を付設しており、
接合部材として鉄系材料等の錆を発生しやすい材料製の
ものを取り扱う場合には、冷却系統を通じて供給する水
系液に、防錆剤混入系統を介して防錆剤を混合させるよ
うにしているので、接合部材が鉄系材料等の発錆しやす
い材料製のものであっても、接合部材および接合部の発
錆を防止し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置の一例を示す
縦断面図である。
【図2】図1に示す装置の分解斜視図である。
【図3】本発明方法を実施するための装置の他の例を示
す縦断面図である。
【符号の説明】
1…一方の接合部材である管部材、2…他方の接合部材
であるフランジ、B…接合部材同士の接合部、5…ろう
材、6…水溶性のフラックス、7…他方の接合部材であ
る管部材、10…容器、10a…容器の一半部、10b
…同他半部、A…置換ガス保持空間、12…置換ガス排
出口、14…接合部材セット治具、16…接合部材セッ
ト治具に設けられた置換ガス通路、18…管部材に嵌着
された接続具、19…置換ガス供給系統、20…置換ガ
ス供給源、21…元配管、23…置換ガス供給配管、2
6…高周波誘導加熱系統、27…高周波誘導加熱発信
源、29…加熱コイル支持具、30…高周波誘導加熱コ
イル、31…加熱コイル冷却水配管、33…水系液によ
る冷却系統、34…水系液、35…水系液供給源、36
…水系液供給ポンプ、37…水系液供給配管、39…水
系液ノズル機構、40…水系液の噴射孔、41…防錆剤
混入系統、42…防錆剤供給源、43…防錆剤供給配
管、18a,18b…接合部材である管部材に嵌着され
た接続具、45…接合部材セット治具、48…置換ガス
通路、49…置換ガス送入口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 知昭 神奈川県相模原市南橋本4−3−15 日本 電子工業 株式会社橋本工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接合部材のろう付けまたは溶接の熱によ
    って接合部材が酸化される部位に置換ガス保持空間を形
    成し、この置換ガス保持空間に、不活性ガスまたは還元
    性ガスからなる置換ガスを送り込み、置換ガス保持空間
    内の酸化物質を置換ガスと置換し、接合部材同士の接合
    部を加熱し、ろう付けまたは溶接し、ろう付けまたは溶
    接個所の固化安定後、ろう付けまたは溶接個所を水系液
    を用いて強制的に冷却し、前記ろう付けまたは溶接工程
    と、冷却工程とを置換ガス保持空間内で接合部材のセッ
    ト状態を変えずに行うことを特徴とする加熱接合部材の
    酸化防止・接合方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、中空の接合部材の場
    合には、接合部材の内外を同じ置換ガス雰囲気に形成す
    ることを特徴とする加熱接合部材の酸化防止・接合方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、接合部にフ
    ラックスを用いる場合には、水溶性のものを主成分とし
    たフラックスを用い、前記接合部材のろう付けまたは溶
    接個所の固化安定後、ろう付けまたは溶接個所を水系液
    を用いて強制的に冷却すると同時にフラックスを洗浄除
    去することを特徴とする加熱接合部材の酸化防止・接合
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2において、接合部材が
    鉄系材料等の錆を発生しやすい材料製の場合には、前記
    水系液に防錆剤を混合した処理剤を用いることを特徴と
    する加熱接合部材の酸化防止・接合方法。
  5. 【請求項5】 接合部材を出入可能にかつ置換ガスを保
    持可能に構成した容器と、接合部材同士の接合部を前記
    容器内にセットする接合部材セット治具と、前記容器内
    に置換ガスを供給するとともに、所定の置換ガス雰囲気
    に保持する置換ガス供給系統と、接合部材同士の接合部
    を加熱する高周波誘導加熱手段と、ろう付けまたは溶接
    された接合部の固化安定後、接合部に水系液をシャワー
    し、強制的に冷却する水系液による冷却系統とを具備し
    ていることを特徴とする加熱接合部材の酸化防止・接合
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記容器の内部と、
    中空接合部材の内部とを同一置換ガス雰囲気に保持可能
    に構成したことを特徴とする加熱接合部材の酸化防止・
    接合装置。
  7. 【請求項7】 請求項5において、前記水系液による冷
    却系統に、防錆剤混入系統を付設したことを特徴とする
    加熱接合部材の酸化防止・接合装置。
JP18561595A 1995-07-21 1995-07-21 加熱接合部材の酸化防止・接合方法および装置 Pending JPH0929427A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18561595A JPH0929427A (ja) 1995-07-21 1995-07-21 加熱接合部材の酸化防止・接合方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18561595A JPH0929427A (ja) 1995-07-21 1995-07-21 加熱接合部材の酸化防止・接合方法および装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0929427A true JPH0929427A (ja) 1997-02-04

Family

ID=16173907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18561595A Pending JPH0929427A (ja) 1995-07-21 1995-07-21 加熱接合部材の酸化防止・接合方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0929427A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040007137A (ko) * 2002-07-16 2004-01-24 현대모비스 주식회사 관의 브레이징 방법
CN109454307A (zh) * 2018-12-26 2019-03-12 长虹美菱股份有限公司 一种带气体助焊氛围的感应器

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040007137A (ko) * 2002-07-16 2004-01-24 현대모비스 주식회사 관의 브레이징 방법
CN109454307A (zh) * 2018-12-26 2019-03-12 长虹美菱股份有限公司 一种带气体助焊氛围的感应器
CN109454307B (zh) * 2018-12-26 2024-04-19 长虹美菱股份有限公司 一种带气体助焊氛围的感应器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5348957B2 (ja) ワークピース同士を溶接するための装置及び方法
US20060160389A1 (en) Method of brazing a liquid-cooled stator bar
US5364007A (en) Inert gas delivery for reflow solder furnaces
US5139193A (en) Fluxless resoldering system and fluxless soldering process
US3110793A (en) Brazing tool
JPH0864949A (ja) 温度制御された非酸化性雰囲気中で部品を印刷回路板にウエーブはんだ付けするための方法
KR20190115958A (ko) 냉동기기용 동파이프의 자동퍼지용접장치
JPH0929427A (ja) 加熱接合部材の酸化防止・接合方法および装置
KR101971939B1 (ko) 용접부 내측의 산화방지를 위한 정수기용 수탱크 용접 방법 및 장치
JPS63157780A (ja) レ−ザ−ビ−ムによるコンクリ−ト溶断方法
US4895294A (en) Method and apparatus for controlling solder flow in metallic members
JPH0418954B2 (ja)
JP3131666B2 (ja) 金属材の高周波誘導加熱によるろう付け方法
JPH05177388A (ja) 溶接あるいはろう付けにおける接合対象部材の酸化を防止する装置
JP3681475B2 (ja) ろう付け時の強制冷却方法及びその方法を実施するろう付け装置
JP2007533466A (ja) 炉内ろう付け工程
RU2047446C1 (ru) Способ сварки л.е.федорова
JPH0428479A (ja) 無散水消雪用放熱管の製造方法
CN114211071A (zh) 一种气保护钎焊方法及装置
JP2003205550A (ja) レーザ加工機に装着される樹脂溶着治具およびそれを用いた樹脂溶着方法
KR100470756B1 (ko) 엘엔지선의 커플러 소켓을 스터드 용접하는 장치
Phanikumar et al. Numerical simulation of laser welding of dissimilar metals
JPH05169269A (ja) ガスシールドアーク溶接機用トーチ
JP2003266178A (ja) プラズマトーチの構造
JPH10137931A (ja) ガス溶接装置