JPH09291657A - 建築・土木用複合防水シート - Google Patents

建築・土木用複合防水シート

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JPH09291657A
JPH09291657A JP13098496A JP13098496A JPH09291657A JP H09291657 A JPH09291657 A JP H09291657A JP 13098496 A JP13098496 A JP 13098496A JP 13098496 A JP13098496 A JP 13098496A JP H09291657 A JPH09291657 A JP H09291657A
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芳裕 近森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水シートとして要求される機能を十分に満
たしながら、しかも防水シートの各材料が良好な強度で
もって固定されている防水処理用透湿性複合シートの提
供。 【解決手段】 撥水性および透湿性を有する高分子膜1
bの一方の片面に、通気性および緩衝性を有する保護布
1cが積層固定され、残りの片面に、多数の通気穴を有
する、非発泡の熱可塑性樹脂シート1aが積層固定され
た構造を有することを特徴とする防水処理用透湿性複合
シート1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築・土木用複合
防水シートに関するものであり、さらに詳しくは本発明
は、防水シートとして要求される機能を十分に満たしな
がら、しかも防水シートの各材料が良好な強度でもって
固定されている建築・土木用複合防水シート及び該複合
シートを適用してコンクリート建造物を防水する方法に
関するものである。本発明の防水シートは、各種分野に
おいて利用することができるが、特にコンクリート建造
物に対する防水処理に好適に利用される。
【0002】
【従来の技術】コンクリート面の防水処理に使用される
防水シートは、第一義的には、コンクリート表面に生じ
た亀裂等から雨水が建造物内に侵入するのを防止するた
めに、屋上や外壁のコンクリート面に密着被覆せしめて
使用されるものであるが、この目的のためにのみ非透湿
性の素材で構成されるときには、コンクリート内部から
発生する水蒸気を外部に放散させることができず、コン
クリート面および防水シート間に水分が結露してしま
う。これが原因で防水シート内面に滞留する水分は、防
水シートのふくらみや剥離を惹起し、さらにはコンクリ
ート内部へ再度浸透して鉄筋の腐食を促進することにな
る。このため、近年、コンクリートのための防水シート
には、単に防水性だけではなく、透湿性もしくは水蒸気
を外部大気中に放散させる機能が要求されるに至ってい
る。
【0003】内部水蒸気の放散除去を考慮したコンクリ
ート防水技術として、これまでに下記のものが提案され
ている。
【0004】(A) コンクリート面に不織布等の通気
材を貼り付け、この通気材の外面に防水のための非透湿
性ゴムシートを貼り付け、脱気装置(真空ポンプ等)に
より前記通気材層内の水蒸気を外部に吸引排出する方
法。しかしながら、この方法は、コンクリート内部から
発生する水蒸気は脱気装置により外部に排出できること
は理論上可能であるが、通気工程が一般的に長くなり、
実際には期待するほどの脱気効果が得られないし、脱気
装置などの特別な設備を必要とし、施工コストやランニ
ングコストが高くつくことが予想されるほか、継続的な
保守点検が必要であるといった管理上の問題がある。
【0005】(B) コンクリート面に非透湿性のゴム
質シートを貼り付けるとともに、このゴム質シートに少
なくとも1つの貫通穴を設け、その貫通穴部分を延伸ポ
リテトラフルオロエチレン膜、または繊維材と延伸ポリ
テトラフルオロエチレン膜との複合膜で覆い、接着、融
着等によりゴム質シートと液密に接合させた、通気貫通
穴付防水シートを用いる方法(実公昭63−15471
号公報)。しかしながら、この方法には、貫通穴部分に
おいてゴム質シートと延伸ポリテトラフルオロエチレン
膜または繊維材との液密な接着が実際上きわめて困難で
あるという問題がある。ポリテトラフルオロエチレン膜
とゴム質シートを接合する場合、ポリテトラフルオロエ
チレン自体がきわめて接着性が悪い素材であることは周
知のとおりであるから、現場での簡易な接着処理により
信頼性のある液密な接合を得ることは不可能に近い。繊
維材とゴム質シートを接合する場合、今度は繊維材の存
在が接着剤による接合にとって障害となっている。なぜ
ならば、空隙の多い繊維材層が接着剤を吸収してしま
い、十分なタックが得られるまで相当強い圧縮力を加え
続けない限り液密な接合が得られないからである。した
がって、この場合も現場での簡易な接着処理による信頼
性のある液密な接合を得ることはきわめて困難である。
このため、あらかじめ工場にてバッチ加工により延伸ポ
リテトラフルオロエチレン膜と繊維材との複合膜とゴム
質枠とを一体化した部品(脱気盤と称する)を製造して
おき、現場で防水シートに開けた穴にかぶせるようにし
て取り付け、この部品のゴム質枠とゴム質シートとを接
着剤により接着するという方法が採用されている。しか
し、この方法は、脱気部1カ所当たりの製造コスト、施
工費が高くつき、そのため設置箇所の数も制限され、そ
の結果、十分な水蒸気の排出効果が得られないという問
題がある。
【0006】(C) 通気性および柔軟性を有する緩衝
材、および多孔性ポリテトラフルオロエチレン膜からな
る表皮材を、部分接着により積層固定し、得られた透湿
性防水シートをコンクリート面に貼り付ける方法(実公
平4−45872号公報)。この方法は、防水機能を撥
水性のポリテトラフルオロエチレン膜に負わせ、その多
孔性膜により、防水シート全面からの水蒸気透過を確保
するものであるから、防水性とともに透湿性も十分に確
保されていると言える。また、この方法に用いる透湿性
防水シートは、通気性と柔軟性のある緩衝材と多孔性ポ
リテトラフルオロエチレン膜との2層の積層シート、あ
るいはこれに繊維材質からなる保護層を最外層として積
層した3層構造の積層シートとして具体化される。しか
しながら、シート最外層に多孔性ポリテトラフルオロエ
チレン膜層を配置したものは、そのポリテトラフルオロ
エチレン膜が小石や砂のような異物によって傷つけられ
ることが多く、工事環境において初期の防水性を維持す
ることは実際上困難なことが多い。また、シート同士の
接着剤による液密な接合は、このような素材構成のシー
トでは、重ね合わせによっても突き合わせによっても、
現場では困難であるという問題を有する。最外層に繊維
材からなる保護層を設けた3層構造のシートの場合は、
異物による損傷の確率は小さくなるものの、今度は繊維
材層の存在が接着剤による接合にとって障害になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の(C)の技術の改良に係るものである。すなわち
本発明は、防水シートとして要求される機能を十分に満
たしながら、しかも防水シートの各材料が良好な強度で
もって固定されている建築・土木用複合防水シートを提
供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、上記のような従来の課題を解決することが
できた。すなわち本発明は、撥水性および透湿性を有す
る高分子膜の一方の片面に、通気性および緩衝性を有す
る保護布が積層固定され、残りの片面に、多数の通気穴
を有する、非発泡の熱可塑性樹脂シートが積層固定され
た構造を有することを特徴とする建築・土木用複合防水
シートを提供するものである。
【0009】また本発明は、熱可塑性樹脂シートが、塩
素を含有する熱可塑性樹脂シートである前記の建築・土
木用複合防水シートを提供するものである。
【0010】さらに本発明は、塩素を含有する熱可塑性
樹脂が、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹
脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル−塩
化ビニル共重合樹脂、クロロスルフォン化ポリエチレン
樹脂、未加硫のクロロプレンゴム、および硬質相および
軟質相を有する塩化ビニル系エラストマーからなる群か
ら選択された少なくとも1種である前記の建築・土木用
複合防水シートを提供するものである。
【0011】さらにまた本発明は、熱可塑性樹脂シート
が、多元系ポリマーからなるシートである前記の建築・
土木用複合防水シートを提供するものである。
【0012】また本発明は、熱可塑性樹脂シートの厚さ
が、1.0〜3.0mmの範囲にある前記の建築・土木用
複合防水シートを提供するものである。
【0013】さらに本発明は、撥水性および透湿性を有
する高分子膜が、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜
である前記の建築・土木用複合防水シートを提供するも
のである。
【0014】さらにまた本発明は、多孔質ポリテトラフ
ルオロエチレン膜の膜厚が、3〜300μm の範囲にあ
り、最大孔径が0.01〜10μm の範囲にある前記の
建築・土木用複合防水シートを提供するものである。
【0015】また本発明は、多孔質ポリテトラフルオロ
エチレン膜の膜厚が、20〜100μm の範囲にあり、
最大孔径が0.1〜3μm の範囲にある前記の建築・土
木用複合防水シートを提供するものである。
【0016】さらに本発明は、多孔質ポリテトラフルオ
ロエチレン膜が、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜で
ある前記の建築・土木用複合防水シートを提供するもの
である。
【0017】さらにまた本発明は、通気性および緩衝性
を有する保護布が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナ
イロン、ポリエステルまたはポリビニルアルコール製の
不織布である前記の建築・土木用複合防水シートを提供
するものである。
【0018】また本発明は、通気性および緩衝性を有す
る保護布が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸
エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタンのうちい
ずれか又はこれらの2以上の混合系又は複合系の高分子
からなるフォームシートに、化学的又は機械的に通気孔
を設けたシートである前記の建築・土木用複合防水シー
トを提供するものである。
【0019】さらに本発明は、熱可塑性樹脂シートの通
気穴の開口部面積比率が、建築・土木用複合防水シート
の全表面積に対し、0.1〜20%の範囲にある前記の
建築・土木用複合防水シートを提供するものである。
【0020】さらにまた本発明は、熱可塑性樹脂シート
の通気穴の径が10μm 〜5mmの範囲にある前記の建築
・土木用複合防水シートを提供するものである。
【0021】また本発明は、防水及び透湿の本質的又は
大部分の機能を担う要素が、前記の積層固定された構造
部分である、4層以上の多層からなることを特徴とする
建築・土木用複合防水シートを提供するものである。
【0022】さらに本発明は、前記の建築・土木用複合
防水シートを、コンクリート建造物の防水を所望する場
所に適用することを特徴とするコンクリート建造物の防
水方法を提供するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の建築・土木用複
合防水シート(以下、単に防水シートということがあ
る)の一実施態様の断面図である。図1において、本発
明の防水シートは、撥水性および透湿性を有する高分子
膜(1b)の一方の片面に、通気性および緩衝性を有す
る保護布(1c)が積層固定され、残りの片面に、多数
の通気穴を有する、水不透過性の非発泡の塩素を含有す
る熱可塑性樹脂シート(1a)が積層固定された構造を
有する。以下、各構成材料について説明する。
【0024】高分子膜(1b) 本発明における撥水性および透湿性を有する高分子膜
(1b)としては、ポリオレフィン系、ポリウレタン
系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、セルロース
系、含フッ素ポリオレフィン系等からなる高分子膜が挙
げられる。この高分子膜は多孔質でなければならないこ
とはないが、高い通気性または透湿性を確保する観点か
らは、多孔質膜であるものが好ましい。また水の侵入を
防止する観点からは、撥水性は水接触角で少なくとも9
0°以上であることが望ましい。いずれにせよ、水の侵
入を防止できる程度の撥水性、および必要な透湿性を確
保できる高分子膜であれば、多孔質であれ無孔質であ
れ、いずれの化学組成の高分子膜であっても適宜使用す
ることができる。
【0025】このような撥水性および透湿性を有する高
分子膜(1b)としてとくに好ましいものは、含フッ素
ポリオレフィン系の高分子膜、中でも多孔質ポリテトラ
フルオロエチレン膜がよく、さらに好ましくは、延伸ポ
リテトラフルオロエチレン膜と称される柔軟性のある多
孔質ポリテトラフルオロエチレン膜がよい。
【0026】この延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレ
ン膜は、その具体的な製法は、代表的なものとして、特
許公告昭51−18991号、昭56−45773号、
昭56−17216号等に記載されたものが挙げられ
る。一般的にはこの延伸多孔質ポリテトラフルオロエチ
レン膜は、ポリテトラフルオロエチレンおよび潤滑助剤
を含むポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの
ペースト押出物を潤滑助剤を除去した後に延伸すること
により得られる、いわゆる延伸多孔質ポリテトラフルオ
ロエチレン膜である。ポリテトラフルオロエチレンは化
学的にきわめて安定な素材であり、耐候性、耐紫外線
性、耐熱耐寒性、耐水性、撥水性等に優れた素材として
周知の材料である。
【0027】本発明における高分子膜(1b)、とくに
多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜または延伸ポリテ
トラフルオロエチレン膜の膜厚は、3〜300μm 、防
水シートとしての柔軟性、耐久性、生産性、コストのバ
ランスを考慮すると、好ましくは10〜150μm 、さ
らに好ましくは20〜100μm がよい。なお、この膜
厚とは、例えばダイヤルゲージで測定した平均厚み(テ
クロック社製1/1000mmダイヤルシックネスゲージ
を用い、本体バネ荷重以外の荷重をかけない状態で測定
した場合)が例示される。膜厚が3μm 未満では、十分
な機械的耐久性が得られず、しかも積層加工が困難にな
る。逆に、300μm を超えると、生産性が悪く、材料
費も高くなるためコスト面で妥当とは言えない。
【0028】とくに多孔質ポリテトラフルオロエチレン
膜または延伸ポリテトラフルオロエチレン膜を採用した
場合、その孔径は、バブルポイント法(ASTM F−
316)で測定した最大孔径が0.01〜10μm の範
囲のものであればいずれも使用可能である。透湿性およ
び耐水性のバランスから好ましいものは、0.05〜5
μm がよく、さらに、耐久性を加味したバランスを考慮
すると、0.1〜3μm の範囲のものがよい。いずれに
せよ、孔径の大きさよりも要は透湿速度が重要であり、
JIS L1099B−2により測定した透湿速度で5
00g /m2・24hr以上であることが望ましい。
【0029】保護布(1c) 本発明における保護布(1c)としては、高分子繊維か
らなる織布、編布、不織布等の所望の通気性および緩衝
性を有するものであればよく、とくに制限するものでは
ないが、例えば、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、
ポリエステル系、ナイロン系、ポリビニルアルコール
系、アクリル系、フルオロカーボン系、ポリ塩化ビニル
系等の1種または2種以上を使用することができる。完
成した防水シート同士の接着性や融着性を確保するため
には、ポリオレフィン系、ナイロン系、ポリ塩化ビニル
系等の熱可塑性高分子のものがよい。また、織布、編
布、不織布の選択は、使用状況や目的により適宜決定さ
れるものである。中でも不織布は、高い通気性および緩
衝性を有し、選択できる種類も豊富でしかも安価である
から、好ましいものである。ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ナイロン、ポリエステル、ポリビニルアルコール
製の不織布がさらに好ましい。また、本発明における保
護布(1c)として、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ酢酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン
のうちいずれか、またはこれらの2以上の混合系または
複合系の高分子からなるフォームシートに、化学的また
は機械的に通気穴を設けたシートなど、通気性を有する
フォームシートも好ましく使用できる。
【0030】この保護布(1c)の平均厚さは、0.1
〜20mmの範囲が好ましく、0.3〜10mmの範囲のも
のがさらに好ましい。厚さが0.1mm未満では、緩衝材
としての十分な機能が期待し得ず、逆に20mmを超える
と、生産性が低く、コストも高くなり好ましくない。し
たがって、これらのバランスを考えて、0.3〜10mm
の厚さが、より好ましい範囲として決定される。
【0031】非発泡の熱可塑性樹脂シート(1a) 本発明における非発泡の熱可塑性樹脂シート(1a)と
しては、得られる防水シートの強度を高めるため、およ
び耐候性を向上させるために水不透過性の非発泡のシー
トを使用する。非発泡のシートとは、化学発泡剤などで
シートを発泡させていないカレンダー成形や押出成形等
で加工されたシートで概ね比重が0.8以上のもので、
シート内部に多少の空洞があるものであってもよい。ま
た、熱可塑性樹脂シート(1a)は、ホモポリマーまた
はコポリマーあるいはそれ以上の多元系ポリマーである
ことができ、例えばポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエ
チレン樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、酢酸ビ
ニル−塩化ビニル共重合樹脂、クロロスルフォン化ポリ
エチレン樹脂、未加硫のクロロプレンゴム、さらには硬
質相および軟質相を有する塩化ビニル系、ポリエステル
系、オレフィン系、ウレタン系エラストマー、エチレン
−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エチル
共重合樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂、
未加硫のブチルゴム、エチレンプロピレンゴム等の熱可
塑性合成樹脂、熱可塑性合成ゴム、熱可塑性エラストマ
ーが挙げられる。とくに本発明においては高分子膜(1
b)と良好な接着性を有し、しかも耐候性、難燃性、取
り扱い性、コストにおいて、予想され難いきわめて顕著
な効果を奏する塩素含有樹脂が好ましい。
【0032】この熱可塑性樹脂シートの厚さおよび大き
さは、とくに制限されないが、強度、耐候性の面から、
0.1mm以上の厚さは必要であると思われ、好ましくは
1.0〜3.0mmの範囲がよい。また、大きさは、幅が
あまり短くてもシート同士を接合する部分が多くなり施
工性が悪くなり、幅が長すぎても取り扱いにくいため、
500〜2000mm程度の幅で、長さが10m ないし2
0m の長尺状のシートを使用することがとりわけ望まし
い。
【0033】また、熱可塑性樹脂シートは、加熱するこ
とにより溶融または軟化させて高分子膜(1b)と熱融
着させることができ、また隣接する防水シート同士を接
合する際も、熱融着によって強固に接合することができ
る。さらに、熱可塑性樹脂シートは、非発泡であると共
に、防水シートを下地に接着剤を使用せずビスなどの固
定具で固定する浮かし張り工法で施工する場合はとく
に、風圧等で飛ばされないように軽量でないシートを使
用する。本発明においては、熱可塑性樹脂シートの重さ
は1kg/m2 以上の比較的重いシートを使用することが
好ましい。
【0034】熱可塑性樹脂シートに通気穴を設ける方法
としては、とくに制限されず、所望のものが得られれ
ば、公知の方法を採用することができる。熱可塑性樹脂
シート製造後に、打ち抜き加工により通気穴を設ける方
法が好ましい。
【0035】熱可塑性樹脂シートの通気穴の面積、形
状、ピッチ、密度、分布等は、とくに制限されるもので
はないが、通気穴部分の面積比率が小さいと十分な透湿
効果が得られず、また大きすぎると熱可塑性樹脂シート
の強度やこしが弱くなって積層加工が困難になる。した
がって、通気穴部分の面積比率は、0.001〜40%
の範囲が望ましく、さらに好ましくは0.1〜20%の
範囲がよい。通気穴の径は、10μm 〜5mmの範囲が好
ましく、さらに好ましくは50μm〜2mmがよい。通気
穴の径が10μm 未満であると十分な透湿効果が得られ
ず、5mm超では熱可塑性樹脂シートの強度やこしが弱く
なって積層加工が困難になるとともに、撥水性および透
湿性を有する高分子膜が通気穴部分で小石等により損傷
する可能性が高くなる。
【0036】本発明に用いられる熱可塑性樹脂シートに
は、可塑剤、安定剤、有機・無機充填剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電剤、着色剤等の公知
の適宜配合できることは勿論であり、これらの添加剤を
使用して、耐候性、溶剤溶着性(溶剤によってその表面
を溶解させて接着させる)、熱融着性等(以下、これら
の性質をまとめて“融着”という)を高めることができ
る。
【0037】次に、本発明の防水シートの製造手順につ
いて説明する。前述のように、本発明の防水シートは、
撥水性および透湿性を有する高分子膜(1b)の一方の
片面に、通気性および緩衝性を有する保護布(1c)が
積層固定され、残りの片面に、多数の通気穴を有する、
非発泡の熱可塑性樹脂シート(1a)が積層固定された
構造を有するものである。これらの各層間の固定は、そ
れぞれ部分的な接着または融着により行われるのが好適
である。部分接着や部分融着を採用するのは、全面接着
または全面融着では、高分子膜(1b)の通気性や透湿
性が損なわれるからである。
【0038】各層間の接着または融着は、接着剤による
接着、熱や高周波により融着等、様々な方法が挙げられ
るが、十分な接合力、耐水性、耐候性が得られる限り、
所望の方法を採用することができる。コンクリートのた
めの防水シートを目的とする場合は、長期間にわたる耐
久性が要求されるため、熱による融着が好ましい。融着
は、前記のように溶剤溶着や熱融着の方法を採用するこ
とができる。この場合、固定しようとする2種の材料の
両方を溶融または軟化する必要はなく、いずれか一方を
溶融または軟化させればよい。
【0039】接着剤を用いる場合の部分的な接着とは、
接着剤を点状、線状、格子状、パターン状として材料表
面に部分的に塗布して積層加工をするものである。な
お、高分子膜(1b)と熱可塑性樹脂シート(1a)と
を接着剤により固定する場合においては、点状の接着は
好ましくない。なぜならば、点状の場合、通気穴部分か
ら侵入した水(例えば雨水)が、高分子膜(1b)と熱
可塑性樹脂シート(1a)の境界面部分で、接着剤の隙
間を経て侵入し、防水シート同士の接合部分に達し、漏
水の原因となる場合があるからである。このことは、融
着の場合も同様である。
【0040】本発明においては、各層間の固定は、上記
の方法以外にも、各層間に接着性のホットメルトフィル
ムを介在させたり、各種処理剤を介在させて行う方法を
採用することができる。
【0041】高分子膜(1b)と保護布(1c)との固
定において、接着(または融着)面積率は3〜90%が
よい。接着面積率が3%未満であると、十分な積層接合
強度が得られず、90%超では、十分な通気性や透湿性
を得ることができない。接着強度、通気性、透湿性のバ
ランスを考慮すると、好ましくは10〜70%の範囲が
よい。
【0042】高分子膜(1b)と熱可塑性樹脂シート
(1a)との接着面積率は、3〜99.999%がよ
い。接着面積率が3%未満であると、十分な積層接合強
度が得られない。また、通気穴部分が接着剤で埋められ
ることがない限り、熱可塑性樹脂シート(1a)の通気
穴部分を除く全面に接着剤を塗布して高分子膜(1b)
と接合してもよい。この場合の接着面積は、前記の通気
穴部分の面積比率0.001〜40%を満足できる9
9.999%以下であればよい。接着強度、通気性、透
湿性のバランスを考慮すると、好ましい接着面積率は1
0〜99.9%の範囲である。
【0043】本発明の防水シートは、各種分野において
利用することができるが、とくにコンクリート建造物に
対する防水処理に好適に利用することができる。保護布
(1c)は、防水シートの保護材として、コンクリート
建造物と接触し、熱可塑性樹脂シート(1a)は、表面
の保護材として機能するものである。本発明の防水シー
トは、水不透過性の塩素を含有する熱可塑性樹脂シート
(1a)、高分子膜(1b)、および保護布(1c)の
積層体からなるものであるが、防水および透湿の本質的
又は大部分の機能を担う要素が該積層体であるような、
他の素材層による4層以上の多層からなる防水シートも
本発明の防水シートの範囲に含まれるものである。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらに限定されるものではない。 実施例1 図1は、本発明の防水シートの一実施態様の断面図であ
る。通気穴を有する熱可塑性樹脂シート(1a)とし
て、ポリ塩化ビニル樹脂シートを使用した。使用したポ
リ塩化ビニル樹脂の重合度は、平均重合度でP=105
0〜1350、またポリ塩化ビニル樹脂100重量部に
対し、可塑剤としてフタル酸エステル可塑剤を50〜5
5重量部、安定剤として亜リン酸鉛を3〜4重量部、無
機充填剤として軽質炭酸カルシウムを10〜25重量部
および紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾールを1重量
部が添加された。厚さは1.3mmとした。また、ポリ塩
化ビニル樹脂シートには0.2mmφの通気穴が打ち抜き
加工により約2mm間隔でその全面に設けられた。高分子
膜(1b)は、厚さ50μm 、最大孔径0.2μm の延
伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜である。保護布
(1c)は、厚さ2.0mm、重さ200g /m2のポリプ
ロピレン長繊維不織布である。
【0045】ポリ塩化ビニル樹脂シートを150〜20
0℃に加熱して溶融軟化させ、これと延伸多孔質ポリテ
トラフルオロエチレン膜とをヒートロールの通過により
圧着させて積層固定した。接着面積率は、99.7%で
あった。次にポリプロピレン長繊維不織布を加熱し溶融
させ、これと多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜とを
熱融着により部分融着させた。接着面積率は約50%で
あった。得られた本発明の防水シートについて、下記の
ように各種物性を調べた。
【0046】(ピール強度)本発明の防水シートにおけ
るポリ塩化ビニル樹脂シートと、多孔質ポリテトラフル
オロエチレンとのピール強度(測定規格:JIS K6
854T型剥離試験)を調べた。その結果、シートが材
料破壊となるほど、著しく優れるものであった。さら
に、3層構造、すなわちポリ塩化ビニル樹脂シート、多
孔質ポリテトラフルオロエチレンおよびポリプロピレン
長繊維不織布からなる本発明の防水シートのピール強度
も、防水シートが材料破壊となるほど著しく優れるもの
であった。
【0047】(耐水圧および透湿度)本発明の防水シー
トの耐水圧(JIS L1092)は、2.8kgf /cm
2 、透湿度(JIS L1092 B−2)は、490
g /m2/24hrであり、水分の透湿が通気穴部分に限
定されているにもかかわらず、十分な透湿性が得られ
た。
【0048】(気密性)本発明の防水シートの気密性
を、日本建築学会、防水工事、建築工事標準仕様書、メ
ンブレン防水層の性能評価試験方法に準じて測定した。
試験体は縦300mm×横300mm×高さ300mmとし
(有効面積240mm×240mm×240mm)、空気の初
期加圧を0.5気圧とした。対照として、通気穴をもた
ないポリ塩化ビニルシートを用いた。その結果、本発明
の防水シートでは、607ml/分の通気量が認められ、
良好な通気性を有していたのに対し、対照のポリ塩化ビ
ニルシートでは、30分間空気を試験体に導入しても、
抜け出る空気量はほとんどなかった。
【0049】(疲労試験)本発明の防水シートの疲労試
験を、日本建築学会、防水工事、建築工事標準仕様書、
メンブレン防水層の性能評価試験方法に準じて行った。
試験体は長さ295mm(有効長さ255mm)×幅100
mmとした。ムーブメント(試験体の引張長さ)は15〜
40mm、周期1分、繰り返し回数100回、温度20℃
を測定条件とした。その結果、ムーブメント40mmで
も、防水シートの剥がれなどは全く見られなかった。さ
らに、試験体の中央部の一定範囲を固定し、試験体の両
側を引張ることによる疲労試験を行った。ムーブメント
を40mm、繰り返し回数を1000回とした。その結
果、防水シートの剥がれなどは全く見られなかった。
【0050】(水密性)本発明の防水シートの水密性
を、日本建築学会、防水工事、建築工事標準仕様書、メ
ンブレン防水層の性能評価試験方法に準じて調べた。そ
の結果、良好な水密性が確認された。また、防水シート
の機械固定部においても良好な水密性が確認された。
【0051】(引張試験・引裂試験)本発明の防水シー
トの引張試験・引裂試験を、JIS A6008「合成
高分子系ルーフィングシート」規格に準じて行った。試
験体は、ダンベル3号型でシートを打ち抜いたものを用
いた。引張強度200mm/分、つかみ間隔60mmの測定
条件を採用した。その結果、引張試験・引裂試験ともに
実用上十分な物性を有していることが判明した。
【0052】本発明の防水シートの施工例 図2に、本発明の上記実施例1で得られた防水シートの
施工例を示す。この施工例は、コンクリート建造物の屋
上の防水を目的とするものである。防水シートとして
は、1単位として、幅1300mm、長さ10m とした。
パラペットのある屋上全面に、本発明の防水シートを、
ポリ塩化ビニル樹脂シート側が表面となるように互いに
重なり合わないように詰めて仮置きし、ブチルゴム系接
着剤によって、防水シートを下地コンクリートに接着さ
せる。このとき、接着剤は櫛小手等により、接着剤が下
地コンクリート全面を被覆しないように隙間を設けて、
接着剤を下地コンクリートに塗布し、防水シート裏面の
不織布と接着させる。屋上の平面底壁とパラペット部と
もに同様に接着剤で防水シートを下地コンクリートに接
着させる。隣接する防水シート同士の接合は、ポリ塩化
ビニル樹脂シートからなる目地テープを両防水シートの
目地部にラップさせて、熱融着および/または溶剤溶着
によって一体的に接合する。パラペット部においては、
裏面に高分子膜(b)を積層していないポリ塩化ビニル
樹脂製シート(穴あきはされていない)からなる防水シ
ートを、平面底壁とは別にパラペット内側および天端部
に敷設する。入隅部においては、平面底壁部の防止シー
トをパラペットの下部周囲まで敷設し、パラペット部に
敷設される防水シートを平面底壁まで展延し、平面底壁
の防水シートの表面と溶剤溶着および/または熱融着に
よって接着する。なお、本施工例においては、本発明の
防水シートとしてポリ塩化ビニル樹脂シートを使用した
が、ゴムシートなどの溶剤溶着または熱融着できないシ
ートを使用する場合は、ブチルゴム系接着剤等の接着剤
によって、防水シート同士を接着することも可能であ
る。
【0053】また、他の施工例としては、屋上平面底壁
等に接着剤を使用しないで、ビスなどの固定具で機械的
に下地コンクリートへ固定する浮かし張り工法によっ
て、施工することも可能である。
【0054】この浮かし張り工法の施工例を図3に基づ
いて説明する。まず、屋上平面底壁に合成樹脂発泡ボー
ドからなる断熱材を一面に敷き詰める。発泡ボードとし
ては、スチレン系発泡ボード、イソシアヌレート発泡ボ
ード、ポリエチレン樹脂等のオレフィン系発泡ボード等
を使用することができる。発泡ボードの厚さはとくに制
限されず、10〜100mmの範囲で必要に応じて複数枚
重ねることも可能である。次に、本発明の防水シートを
断熱材上に仮置きして、上記の施工例と同様に敷き並べ
る。その後、隣接する防水シートの末端部同士を30〜
100mmラップさせて、溶剤溶着および/または熱融着
によって接合し、あるいは未端部同士を突き当ててテー
プ等で接合し、平面底壁の下地コンクリートに対しては
防水シートの上からドリルなどで50〜150mmの範囲
の間隔で穴あけをして、そこにプラグを下地コンクリー
トまで挿入する。また、中央部にビス穴を設けた円盤状
のポリ塩化ビニル樹脂被覆鋼板からなるディスク盤を、
その穴に合わせて防水シートの上にあてがい、そこにビ
スをプラグに対して打ち込み、プラグを開脚させて、防
水シートを固定する。なお、このときディスク盤の縁部
によって、防水シートに傷をつけないように、緩衝用の
軟質シートを介在させることも可能である。この軟質シ
ートもポリ塩化ビニル樹脂シートによって成形すること
ができる。ディスク盤によって防水シートを固定した
後、ディスク盤の大きさよりも大きい保護カバーをディ
スク盤上に被覆し、防水シートと溶剤溶着や熱融着等に
よって接着し、ビス穴からの漏水を防止する。
【0055】浮かし張り工法においての入隅部での施工
法の一例としては、平面底壁に敷設される防水シートを
パラペット下部まで立ち上げるか、あるいはパラペット
下部ぎりぎりまで敷設し、入隅線に沿って断面がL型ま
たは平板状の塩化ビニル樹脂被覆鋼板を防水シートの上
にあてがい、平面底壁と同様にプラグ・ビス等を下地コ
ンクリートに打ち込み防水シートを固定する。パラペッ
トには、前記と同様に裏面に高分子膜(b)が積層され
ていないポリ塩化ビニル樹脂製防水シートを敷設する。
敷設方法は、パラペット天端部から平面底壁まで塩化ビ
ニル樹脂製防水シートを展延して、入隅部の塩化ビニル
樹脂被覆鋼板に溶剤溶着および/または熱融着によって
接着し、結果として平面底壁部の防水シートの表面と溶
剤溶着および/または熱融着によって接着できる。パラ
ペット内側天端部においては、断面がL型または平板状
の塩化ビニル樹脂被覆鋼板を設置し、その上に塩化ビニ
ル樹脂製防水シートを被覆し、溶剤溶着および/または
熱融着によって接合し、パラペット外側天端部において
は、断面がほぼL型の端末用アングルを防水シートの上
にあてがい、上からプラグ・ビスを打ち込み、下地(パ
ラペット)に固定する。ビスを打ち込んだ箇所には、エ
ポキシ系、ブチルゴム系、ウレタン系、シリコーン系等
の各種定型、不定型シーリング剤によってシールするこ
とが好ましい。
【0056】なお、浮かし張り工法は、上記施工例に限
らず、断熱材を使用しなくてもよいし、別途下地の不陸
を緩衝したり、防水シート内の可塑剤等の配合剤の移行
を防ぐための絶縁シートを介在させてもよい。絶縁シー
トとしては軟質の発泡・非発泡の合成樹脂シートを使用
することができる。さらに、平面底壁での防水シートの
固定も上記方法に限らず、防水シートが下地コンクリー
トに固定できる方法であればどのような施工法であって
もよい。また、入隅部やパラペットにおいても、防水シ
ートの固定は上記方法に限定されず、防水シートを固定
するための鋼板を防水シートの上にあてがったり、防水
シートの下に介在させて防水シートと接着させたり、パ
ラペット天端部に笠木を設置するなど水密性が保たれれ
ばどのような方法で施工してもよい。また、接着剤で防
水シートを下地コンクリートに貼り付ける場合の施工方
法においても、防水シートと下地コンクリートとの間に
上記合成樹脂発泡ボード等からなる断熱材を介在させる
ことも可能である。この場合は、断熱材に通気穴を設け
ておくことが好ましい。
【0057】本施工例によるフィールド試験を実施した
ところ、施工後2年経過した時点でも防水シートの剥
離、膨れおよび漏水は認められず、良好な防水機能を維
持していた。さらに、表面にポリ塩化ビニル樹脂シート
を使用したため、耐候性や、シートの強度においても優
れた効果が認められた。
【0058】
【発明の効果】本発明の防水シートは、撥水性および透
湿性を有する高分子膜の一方の片面に、通気性および緩
衝性を有する保護布が積層固定され、残りの片面に、多
数の通気穴を有する、水不透過性の非発泡の熱可塑性樹
脂シートが積層固定された構造を有しているため、防水
シートとして要求される機能を十分に満たしながら、し
かも防水シートの各材料が良好な強度でもって固定され
ているものである。また、本発明の防水シートは、例え
ばコンクリートから発生する水分を、効率よく外部へ排
出することが可能であり、従来の防水シートの水分、と
くに水蒸気に起因する諸問題(剥離、膨れの発生、鉄筋
部分の腐食の促進等)を防止することができる。また、
本発明の防水シートは、保護布を使用しているため、例
えばコンクリートに亀裂が生じた場合の追従性がよく、
防水シートの破断を防ぐことができると同時に、施工時
に小石等の異物がコンクリートと防水シートとの間に混
入した場合でも、高分子膜の破損を防ぐことが可能であ
る。さらにまた、本発明の防水シートの最上層に非発泡
の熱可塑性樹脂シートを使用しているので、隣接する防
水シート同士を接合する際に、熱可塑性樹脂の目地用シ
ートを介して熱融着や溶剤溶着によって接合することが
できるので、防止シート同士の接合が非常に強固にな
り、長期にわたっての水密性が向上する。さらに、熱可
塑性樹脂シートが非発泡のシートなので防水シートの強
度が向上し、同様に長期間の水密性が向上する。また、
最上層の熱可塑性樹脂シートが発泡フォームなどの軽量
シートでないので、防水シートを屋上などに施工した場
合に風圧によってシートが剥がれたり、吹き飛ばされる
ことを防止することができ、浮かし張り工法の場合にお
いてはとくに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水シートの一実施態様の断面図であ
る。
【図2】本発明の実施例1で得られた防水シートの施工
例(接着工法)を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例1で得られた防水シートの浮か
し張り工法の施工例(絶縁工法)を説明するための図で
ある。
【符号の説明】 1 防水シート 1a 塩素含有熱可塑性樹脂シート 1b 高分子膜 1c 保護布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山元 智 東京都世田谷区赤堤1丁目42番5号 ジャ パンゴアテックス株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撥水性および透湿性を有する高分子膜の
    一方の片面に、通気性および緩衝性を有する保護布が積
    層固定され、残りの片面に、多数の通気穴を有する、非
    発泡の熱可塑性樹脂シートが積層固定された構造を有す
    ることを特徴とする建築・土木用複合防水シート。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂シートが、塩素を含有する
    熱可塑性樹脂シートである請求項1に記載の建築・土木
    用複合防水シート。
  3. 【請求項3】 塩素を含有する熱可塑性樹脂が、ポリ塩
    化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、エチレン−塩
    化ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹
    脂、クロロスルフォン化ポリエチレン樹脂、未加硫のク
    ロロプレンゴム、および硬質相および軟質相を有する塩
    化ビニル系エラストマーからなる群から選択された少な
    くとも1種である請求項2に記載の建築・土木用複合防
    水シート。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂シートが、多元系ポリマー
    からなるシートである請求項1、2または3に記載の建
    築・土木用複合防水シート。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂シートの厚さが、1.0〜
    3.0mmの範囲にある請求項1、2、3または4に記載
    の建築・土木用複合防水シート。
  6. 【請求項6】 撥水性および透湿性を有する高分子膜
    が、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜である請求項
    1に記載の建築・土木用複合防水シート。
  7. 【請求項7】 多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜の
    膜厚が、3〜300μm の範囲にあり、最大孔径が0.
    01〜10μm の範囲にある請求項6に記載の建築・土
    木用複合防水シート。
  8. 【請求項8】 多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜の
    膜厚が、20〜100μm の範囲にあり、最大孔径が
    0.1〜3μm の範囲にある請求項6に記載の建築・土
    木用複合防水シート。
  9. 【請求項9】 多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜
    が、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜である請求項
    6、7または8に記載の建築・土木用複合防水シート。
  10. 【請求項10】 通気性および緩衝性を有する保護布
    が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエ
    ステルまたはポリビニルアルコール製の不織布である請
    求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の
    建築・土木用複合防水シート。
  11. 【請求項11】 通気性および緩衝性を有する保護布
    が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸エチル、
    ポリアクリル酸エチル、ポリウレタンのうちいずれか又
    はこれらの2以上の混合系又は複合系の高分子からなる
    フォームシートに、化学的又は機械的に通気孔を設けた
    シートである請求項1、2、3、4、5、6、7、8ま
    たは9に記載の建築・土木用複合防水シート。
  12. 【請求項12】 熱可塑性樹脂シートの通気穴の開口部
    面積比率が、建築・土木用複合防水シートの全表面積に
    対し、0.1〜20%の範囲にある請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10または11に記載の建築
    ・土木用複合防水シート。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂シートの通気穴の径が1
    0μm 〜5mmの範囲にある請求項12に記載の建築・土
    木用複合防水シート。
  14. 【請求項14】 防水及び透湿の本質的又は大部分の機
    能を担う要素が、請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12または13に記載の積層固定
    された構造部分である、4層以上の多層からなることを
    特徴とする建築・土木用複合防水シート。
  15. 【請求項15】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12、13または14に記載の建
    築・土木用複合防水シートを、コンクリート建造物の防
    水を所望する場所に適用することを特徴とするコンクリ
    ート建造物の防水方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20170078300A (ko) * 2015-12-29 2017-07-07 김재환 Pva 필름을 사용한 방수시트 및 이를 사용하는 방수시공방법
CN115233839A (zh) * 2022-06-09 2022-10-25 科顺防水科技股份有限公司 预铺防水卷材

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