JPH09291452A - ラメ入り経編地 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラメが摩擦や引っ掻きを受け難く、見
る角度によってラメが見え隠れし、日常着として使用可
能なラメ入り経編地を提供する。 【解決手段】 経編地１０にウェール方向の長い縦溝
１２が形成され、この縦溝１２の壁面に沿って縦溝の深
さよりも小さい幅のラメ１４が縦溝１２の縁から経編地
表面に突出しないように編入される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ラメ入り経編地
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】装飾性に優れたラメまたはラメ糸とし
て、金、銀、アニミニウム等の金属箔を和紙に貼り合わ
せた切箔、該切箔を普通糸と撚り合わせた撚り金銀糸、
およびポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルムにア
ルミニウムを蒸着し、表面を透明な着色塗料で被覆して
得られた蒸着フィルム等が知られているが、これらのラ
メ糸は、普通糸に比べて機械的強度が低く、しかも編織
に際しては通常糸と同様に扱って編織物の表面に露出さ
せていたので、摩擦によって損傷を受け易く、日常衣料
には不適当であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記のよ
うな市販のラメを用いた経編地において、その編み組織
を工夫することにより、ラメが摩擦や引っ掻きを受け難
くなるように、かつ見る角度によってラメが見え隠れす
るようにし、もって日常着として使用可能なラメ入り経
編地を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明に係るラメ入り
経編地は、経編地にウェール方向の長い縦溝が形成さ
れ、この縦溝の壁面に沿って縦溝の深さよりも小さい幅
のラメが上記縦溝の縁から経編地表面に突出しないよう
に編入されていることを特徴とする。なお、上記の経編
地は、綿糸、毛糸、絹糸等の天然繊維糸、レーヨン、ポ
リノジック等の再生繊維糸、ポリエステル、ナイロン等
の合成繊維の紡績糸またはフィラメント糸等の任意の糸
で編成することができるが、ポリエステル、ナイロン等
の合成繊維からなるマルチフィラメント糸の使用が編成
の容易な点で好ましい。特に、合成繊維マルチフィラメ
ント糸の巻縮加工糸は、風合いがソフトで、嵩高性であ
る点で好ましい。

【０００５】この発明のラメ入り経編地では、縦溝の壁
面に沿って縦溝の深さよりも小さい幅のラメが縦溝の縁
から経編地表面に突出しないように編入されるため、ラ
メが摩擦や引っ掻きで損傷され難い。また、この経編地
を溝壁が見える向きから眺めた場合はラメが輝いて見え
るが、溝壁が見えない向きから眺めた場合はラメも隠れ
て見えない。そして、溝壁にラメを編入する際、溝壁に
対するラメの浮き長さや沈み長さを変更することによ
り、輝きが種々に変更する。

【０００６】上記の経編地は、ダブルラッシェル機を用
い、前針と後針で編成された表裏二重の鎖からなる柱を
裏面側で幅方向に往復する裏側挿入糸で接結して編成す
ることができる。そして、縦溝は、経編地の編成に際
し、部分的に針抜きして柱の欠如部を設けることによっ
て形成することができる。また、上記の柱を複数本ずつ
表面側で幅方向に往復する表側挿入糸で結節し締結する
ことによっても形成することができる。これらの場合、
ラメは、縦溝の片側の柱における表裏のニードルループ
を接続するアンダーラップに引っ掛けることにより、縦
溝の壁面に撚られることなく編入され、ラメが蒸着フィ
ルム製の場合であっても、ラメの幅方向が縦溝の高さ方
向に対しほぼ平行に保持される。

【０００７】上記の縦溝を針抜きによって作る場合およ
び表側挿入糸の結節で作る場合のいずれおいても、溝底
が裏面側の挿入糸で形成されるため、ラメが溝底で保護
されて裏面側から損傷され難くなると共に、溝幅の広が
りが防止されるため、ラメが縦溝の開口部側すなわち編
地の表面側から損傷される危険も減少する。なお、裏側
挿入糸の組織を変更してネット組織のように溝底の一部
に孔を開けてもよく、この場合は、溝幅が外力によって
容易に変化し、ラメの見え方を含む外観の変化が豊かに
なる。

【０００８】また、上記のラメ入り経編地は、広い幅に
編成し、上衣の身頃、袖、ズボン、スカート等の全体に
用いてもよく、また幅が狭いテープ状に編成してもよ
く、後者の場合は、任意の長さに切断して通常の生地か
らなる衣服の一部に飾りとして、例えば短く切断してポ
ケットまたはワッペン状の飾り片として、または長く切
断してスボンまたはスカートの脇線や裾線に沿って取付
けることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】

実施形態１ 図１において、１０は右上がりの斜め方向に延びるテー
プ状のラメ入り経編地であり、合成繊維のマルチフィラ
メント糸に巻縮加工を施して得られたウーリー加工糸を
用い、ダブルラッシェル機で幅１０〜２００mmに編成さ
れ、長さ方向の多数本のリブ１１および縦溝１２を備え
ている。上記の経編地１０は、上記のウーリー加工糸か
らなる多数本の地糸を複数本に１本の割合で針抜きして
配列し、各地糸を前後に対向する前針と後針で交互に編
成して表裏二重の鎖からなる柱とし、これら多数本の柱
を裏面側（後針側）で左右に往復する裏側挿入糸で接結
して形成されており、その際に上記複数本の柱の並列部
でリブ１１が構成され、また針抜き部で縦溝１２が構成
され、この縦溝１２の部分では、上記の裏側挿入糸が溝
底１３を構成する。そして、縦溝１２の片側の溝壁を構
成する柱（表裏二重の鎖）に蒸着フィルム製のラメ１４
が編入されて断続的に露出する。

【００１０】図２および図３において、１５は上記の溝
壁を構成する１本の柱（表裏二重の鎖）を示し、この柱
１５は表側ニードルループ１５ａ、裏側ニードルループ
１５ｂおよび表裏のニードルループ１５ａ、１５ｂを接
続するアンダーラップ１５ｃ、１５ｄで構成される。１
６は裏側挿入糸であり、裏側ニードルループ１５ｂ付近
で複数本の柱１５間を幅方向に往復することにより上記
の柱１５を接続してリブ１１（図１、図３参照）を形成
し、かつ縦溝１２の部分では溝底１３を形成する。そし
て、表裏のニードルループ１５ａ、１５ｂの中間をラメ
１４が幅方向に出入りして上記のアンダーラップ１５
ｃ、１５ｄに引っ掛けられ、アンダーラップ１５ｃ、１
５ｄの手前で長く露出する部分１４ａが縦溝１２の壁面
に露出して経編地１０に輝きを付与する。

【００１１】実施形態２ 実施形態１において、表裏２重の鎖からなる柱１５の編
成時に針抜きして縦溝１２を作る代わりに、図４に示す
ように、裏側挿入糸１６とは別に表面側にも左右に往復
する表側挿入糸１７を柱１５の複数本（図４の例では３
本）ごとに挿入し、これら複数本の柱１５の表面側を絞
ってリブ１１を形成する。また、実施形態１では、表裏
のニードルループ１５ａ、１５ｂを常に開き目に形成す
るのに対し、実施形態２では、表裏のニードルループ１
５ａ、１５ｂの一方に対し他方を閉じ目に形成する。そ
の他は実施形態１と同様にしてラメ１４を挿入する。

【００１２】この実施形態２では、リブ１１の表面側を
表側挿入糸１７で絞って幅方向に圧縮するので、リブ１
１、１１間の縦溝１２が逆三角形となって溝壁がＶ字形
に傾斜し、かつ溝幅が実施形態１に比べて狭くなる。し
たがって、ラメ１４が縦溝１２に露出する部分１４ａ
は、その幅方向が溝壁にしたがって若干上向きに傾斜す
る。そして、得られた経編地は、実施形態１に比べて編
地全体が硬く締まっており、リブ１１が柱１５の境界で
割れることがない。

【００１３】

【実施例】実施形態２のラメ入り経編地をダブルラッシ
ェル機（２４ゲージ）で幅５３mmのテープ状に編成し
た。その組織図を図５に示す。この図５において、１、
２、３および４は、それぞれ第１筬、第２筬、第３筬お
よび第４筬の動きを示し、Ｆは前針列を、またＢは後針
列を示す。第１筬１に表側挿入糸１７としてポリエステ
ルマルチフィラメント糸からなるウーリー加工糸の双糸
（１５０デニール／２）を３針ごとに配置して前針側で
３針間を往復させ、第２筬２に蒸着フィルム製のラメ
（７５切、幅：約０．４mm）１４を３針ごとに配置して
５コース間で溝壁に浮かせ、３コース間で沈ませ、第３
筬３に柱１５用の地糸２０として上記の表側挿入糸１７
と同じウーリー加工糸の双糸を総詰に配置して前後の針
で交互に鎖（ただし、前針では開き目、後針では閉じ
目）を編成して前記の柱１５を形成し、第４筬４に裏側
挿入糸１６として上記ウーリー加工糸（１５０デニー
ル）の単糸を総詰に配置して後針側で３針間を往復させ
た。

【００１４】得られたラメ入り経編地は、約３．１mmピ
ッチで幅０．６mmの縦溝１２を多数本有し、各縦溝１２
の片側の壁面に沿って１本のラメ１４が点線状に、かつ
図４の紙上で縦溝１２の真上ないし左上方からは見える
が、残りの方向からは見えない程度に露出して変化に富
んだ外観を呈し、しかも経編地１０の裏面からは全く見
えず、また経編地１０の表面には上記のラメ１４が全く
突出せず、経編地１０の表面および裏面を指やペン先で
擦ってもラメ１４に触れることはなかった。

【００１５】

【発明の効果】請求項１に記載したラメ入り経編地は、
経編地にウェール方向の長い縦溝が形成され、この縦溝
の壁面に沿って縦溝の深さよりも小さい幅のラメが上記
縦溝の縁から経編地表面に突出しないように編入された
ものであるから、経編地を眺める角度によってラメが見
えたり隠れたりして変化に富む外観を呈し、しかも表面
および裏面を撫でてもラメに触れないため、通常の衣服
に用いた場合にもラメが損傷を受けることはない。

【００１６】請求項２に記載した発明は、請求項１に記
載した発明において、表裏二重の鎖からなる柱を裏面側
で幅方向に往復する裏側挿入糸で接結する際に上記柱の
複数本ごとに針抜きによる柱の欠如部を設けることによ
り縦溝を形成し、この縦溝の片側の柱における表裏のニ
ードルループを接続するアンダーラップにラメを引っ掛
けるので、ラメが捩れることはなく、ラメの幅方向が編
地面に垂直に保持される。

【００１７】請求項３に記載した発明は、請求項１に記
載した発明において、表裏二重の鎖からなる柱を裏面側
で幅方向に往復する裏側挿入糸で接結すると共に、上記
柱を複数本ずつ表面側でも表側挿入糸で結節し締結する
ことによって縦溝を形成し、この縦溝の片側の柱におけ
る表裏のニードルループを接続するアンダーラップにラ
メを引っ掛けるので、請求項２の発明と同様にラメが捩
れることはなく、ラメの幅方向が編地面にほぼ垂直に保
持され、しかも縦溝の両側のリブが硬く締められるた
め、経編地の強度が向上し、ラメが損傷を一層受け難く
なる。

【００１８】請求項４に記載した発明は、請求項１〜３
のいずれかに記載した発明において、経編地を幅の狭い
テープ状としたものであるから、任意の長さに切断し、
衣服の飾りとして用いるのに便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の斜視図である。

【図２】ラメ編入部の拡大斜視図である。

【図３】実施形態１の横断面図である。

【図４】実施形態２の横断面図である。

【図５】実施例の組織図である。

【符号の説明】

１０：ラメ入り経編地 １１：リブ １２：縦溝 １３：溝底 １４：ラメ １５：柱（表裏二重の鎖） １５ａ：表側ニードルループ １５ｂ：裏側ニードルループ １５ｃ、１５ｄ：アンダーラップ １６：裏側挿入糸 １７：表側挿入糸 ２０：柱を構成する地糸

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 経編地にウェール方向の長い縦溝が形成
   され、この縦溝の壁面に沿って縦溝の深さよりも小さい
   幅のラメが上記縦溝の縁から経編地表面に突出しないよ
   うに編入されていることを特徴とするラメ入り経編地。
2. 【請求項２】 請求項１に記載されたラメ入り経編地お
   いて、経編地がダブルラッシェル機の前針および後針で
   編成された表裏二重の鎖からなる柱を裏面側で幅方向に
   往復する裏側挿入糸で接結してなり、上記柱の複数本ご
   とに針抜きによる柱の欠如部を設けることにより縦溝が
   形成され、この縦溝の片側の柱における表裏のニードル
   ループを接続するアンダーラップにラメが引っ掛けられ
   ているラメ入り経編地。
3. 【請求項３】 請求項１に記載されたラメ入り経編地に
   おいて、経編地がダブルラッシェル機の前針および後針
   で編成された表裏二重の鎖からなる柱を裏面側で幅方向
   に往復する裏側挿入糸で接結してなり、上記柱を複数本
   ずつ表面側で幅方向に往復する表側挿入糸で結節し締結
   することによって上記柱の複数本ごとに縦溝が形成さ
   れ、この縦溝の片側の柱における表裏のニードルループ
   を接続するアンダーラップにラメが引っ掛けられている
   ラメ入り経編地。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれかに記載のラメ入
   り経編地において、経編地が幅の狭いテープ状のもので
   あるラメ入り経編地。