JPH0929143A - エアスプレーガン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エア風速を低減したときでも塗料粒子の微細
化が十分良好になされることによって塗膜の品質を良好
なものにできると共に塗着効率を向上させることができ
るスプレー塗装に適したエアスプレーガンを提供する。 【構成】 塗料を流出させる塗料ノズル３と、前記塗料
を霧化させる霧化用エアノズル５と、霧化パターンを調
整するパターン調整用エアノズル７をそなえたエアスプ
レーガン１において、塗料を流出させる塗料ノズル３
（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）を正三角形の頂点となる位置の３
箇所にそなえていると共に、各塗料ノズル３（３Ａ，３
Ｂ，３Ｃ）には当該各塗料ノズル３（３Ａ，３Ｂ，３
Ｃ）から流出する塗料を霧化させる霧化用エアノズル５
（５Ａ，５Ｂ，５Ｃ）を各塗料ノズル３（３Ａ，３Ｂ，
３Ｃ）をはさんだ両側にそなえたものとした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圧縮空気を使用して霧
化およびパターン調整された塗料粒子を被塗物に付着さ
せて塗装を行うのに利用されるエアスプレーガンに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】圧縮空気を使用して霧化およびパターン
調整された塗料粒子を被塗物に付着させて塗装を行うに
際しては、例えば、塗料ノズルより流出した塗料を霧化
用エアノズルから流出させた圧縮空気（霧化用エア）で
霧化し、霧化された塗料粒子に対してパターン調整用エ
アノズルから圧縮空気（パターン調整用エア）を衝突さ
せることによって霧化形状を調整し、被塗物に適したパ
ターンで塗料粒子を付着させて被塗物のスプレー塗装を
行うようにしている。

【０００３】図５はこのようなスプレー塗装に用いられ
るエアスプレーガンの基本構造を示すものであって、こ
のエアスプレーガン５１は、塗料を供給する塗料流路５
２およびこの開口端である塗料ノズル５３と、霧化用エ
アを供給する霧化用エア流路５４およびこの開口端であ
る霧化用エアノズル５５と、パターン調整用エアを供給
するパターン調整用エア流路５６およびこの開口端であ
るパターン調整用エアノズル５７をそなえ、中心には塗
料粒子５８に負の電荷を与えるための針状電極５９をそ
なえた構造をなしている。

【０００４】そして、このエアスプレーガン５１は、図
６に示すように、中心に針状電極５９および塗料ノズル
５３をそなえ、この塗料ノズル５３に接近した相対向す
る両側に霧化用エアノズル５５，５５をそなえ、少し離
れた両側にパターン調整用エアノズル５７，５７をそな
えた構造をなしている。

【０００５】そして、被塗物６０に対する塗装に際して
は、針状電極５９と被塗物６０との間で例えば−６０ｋ
Ｖの電圧を印加してこれらの間で静電界を形成すると共
にエアスプレーガン５１を回転させた状態にして、塗料
ノズル５３より流出した塗料を霧化用エアノズル５５か
ら流出させた霧化用エアで霧化し、霧化された塗料粒子
５８に対してパターン調整用エアノズル５７から流出さ
せたパターン調整用エアを衝突させることによって霧化
形状を調整し、針状電極５９との接触によって負に帯電
させた塗料粒子５８を被塗物６０に付着させてスプレー
塗装を行うようにしていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このエアスプレーガン
５１を用いたスプレー塗装において、一般的には、霧化
用エアノズル５５から流出させる霧化用エアの圧力を高
くすると塗料粒子５８の粒径は細かいものとなり、従来
では、霧化用エアの圧力を２．５ｋｇｆ／ｃｍ^２程度と
していたが、この場合に霧化用エアの流出圧力が大きく
なりすぎてエア風速すなわち塗料粒子５８の飛行速度が
大きくなりすぎるため、ミスト飛散が多くなって歩留り
の向上すなわち塗着効率の向上に限界を生じ、歩留りの
向上すなわち塗着効率の向上のために霧化用エアの圧力
を小さくすると塗料粒子の微細化が不十分になることか
ら、塗料粒子の微細化が十分良好であると共に塗着効率
の向上を図ることが課題としてあった。

【０００７】

【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたものであって、霧化用エア圧力を小さく
し、エア風速を低減したときでも塗料粒子の微細化が十
分良好になされることによって塗膜の品質を良好なもの
にできると共に塗着効率を向上させることが可能である
スプレー塗装に適したエアスプレーガンを提供すること
を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係わるエアスプ
レーガンは、請求項１に記載しているように、塗料を流
出させる塗料ノズルと、前記塗料を霧化させる霧化用エ
アノズルと、霧化パターンを調整するパターン調整用エ
アノズルをそなえたエアスプレーガンにおいて、塗料を
流出させる塗料ノズルを複数そなえていると共に、前記
各塗料ノズルには当該各塗料ノズルから流出する塗料を
霧化させる霧化用エアノズルをそれぞれそなえている構
成としたことを特徴としている。

【０００９】そして、本発明に係わるエアスプレーガン
の実施態様においては、請求項２に記載しているよう
に、塗料ノズルは正三角形の頂点となる位置の３箇所に
そなえているものとすることができ、請求項３に記載し
ているように、霧化用エアノズルは正三角形の頂点とな
る位置の３箇所にそなえた各塗料ノズルの外側にそなえ
ているものとしたり、請求項４に記載しているように、
霧化用エアノズルは正三角形の頂点となる位置の３箇所
にそなえた各塗料ノズルの外側と前記塗料ノズルを間に
した内側にそなえているものとしたりすることができ、
さらには、請求項５に記載しているように、塗料粒子に
電荷を与える電極をそなえているものとすることも可能
である。

【００１０】そして、場合によっては、請求項１ないし
５のいずれかに記載されたエアスプレーガンを１ユニッ
トのエアスプレーガン部として複数ユニットそなえてい
る複頭式エアスプレーガン、例えば、２ユニットのエア
スプレーガン部をそなえている双頭式エアスプレーガン
とすることも可能である。

【００１１】

【発明の作用】本発明に係わるエアスプレーガンは、請
求項１に記載しているように、塗料を流出させる塗料ノ
ズルを複数そなえていると共に、前記各塗料ノズルには
当該各塗料ノズルから流出する塗料を霧化させる霧化用
エアノズルをそれぞれそなえている構成としたから、複
数の塗料ノズルおよびこれに対応した複数の霧化用エア
ノズルをそなえているものとすることによって、ノズル
毎の霧化用エア圧力を低下させたときでも塗料粒子の微
細化が十分良好になされると共に、エア風速が低下する
ことによってミスト飛散が少なくなることにより、塗着
効率がより一層向上するものとなる。

【００１２】そして、請求項２に記載しているように、
塗料ノズルは正三角形の頂点となる位置の３箇所にそな
えているものとすることによって、同じ量の塗料を吹き
付ける場合に塗料ノズル１箇所あたりの塗料の流量は１
／３となり、ノズル毎の霧化用エア圧力を低下させたと
きでも塗料粒子の微細化が十分良好になされると共に、
エア風速が低下することによってミスト飛散が少なくな
ることにより、塗着効率がさらに向上するものとなる。

【００１３】また、請求項３に記載しているように、霧
化用エアノズルは正三角形の頂点となる位置の３箇所に
そなえた各塗料ノズルの外側にそなえているものとする
ことによって、各塗料ノズルから流出する塗料は各塗料
ノズルの外側にそなえた各霧化用エアノズルから流出す
るエアによって十分良好に霧化されることとなり、請求
項４に記載しているように、霧化用エアノズルは正三角
形の頂点となる位置の３箇所にそなえた各塗料ノズルの
外側と前記塗料ノズルを間にした内側にそなえているも
のとすることによっても、各塗料ノズルから流出する塗
料は各塗料ノズルの外側と内側にそなえた各霧化用エア
ノズルから流出するエアによって十分良好に霧化される
こととなる。

【００１４】さらにまた、請求項５に記載しているよう
に、塗料粒子に電荷を与える電極をそなえているものと
することによって、エアスプレーガンで霧化された塗料
粒子は例えば負の電荷をもつことになると共に負電極と
なるエアスプレーガンと正（または零ボルト）電極とし
た被塗物との間で形成された静電界中に塗料粒子が飛翔
することとなり、エアの力と静電気の力とによって塗料
粒子は効率良く被塗物に付着することとなる。

【００１５】また、請求項６に記載しているように、請
求項１ないし５のいずれかに記載されたエアスプレーガ
ンを１ユニットのエアスプレーガン部として複数ユニッ
トそなえている複頭式エアスプレーガンとすること、例
えば２ユニットのエアスプレーガン部をそなえている双
頭式エアスプレーガンとすることによって、スプレーガ
ンの軽量化，ハンドガン化，色替え量の低減などに寄与
するものとなる。

【００１６】

【実施例】図１は本発明に係わるエアスプレーガンの一
実施例における基本構造を示す縦断面説明図であって、
このエアスプレーガン１は、塗料を供給する塗料流路２
およびこの開口端である塗料ノズル３と、霧化用エアを
供給する霧化用エア流路４およびこの開口端である霧化
用エアノズル５と、パターン調整用エアを供給するパタ
ーン調整用エア流路６およびこの開口端であるパターン
調整用エアノズル７をそなえ、中心には塗料粒子８に負
の電荷を与えるための針状電極９をそなえた構造をなし
ている。

【００１７】そして、このエアスプレーガン１は、図２
に示すように、正三角形の頂点となる位置の３箇所に塗
料ノズル３（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）をそなえていると共
に、各塗料ノズル３（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）には針状電極
９（９Ａ，９Ｂ，９Ｃ）をそなえ、各塗料ノズル３（３
Ａ，３Ｂ，３Ｃ）に接近した相対向する両側に霧化用エ
アノズル５（５Ａ，５Ｂ，５Ｃ）をそなえ、上下の両側
にパターン調整用エアノズル７をそなえた構造をなして
いる。

【００１８】この場合、塗料ノズル３（３Ａ）は塗料流
路２（２Ａ）の開口端で形成され、霧化用エアノズル５
（５Ａ）は霧化用エア流路４（４Ａ）の開口端で形成さ
れており、他の塗料ノズル３（３Ｂ，３Ｃ）および霧化
用エアノズル５（５Ｂ，５Ｃ）も同様にしてそれぞれ塗
料流路３および霧化用エア流路４の開口端で形成されて
いる。

【００１９】そして、被塗物１０に対する塗装に際して
は、針状電極９（９Ａ，９Ｂ，９Ｃ）と被塗物１０との
間で例えば−６０ｋＶの電圧を印加してこれらの間で静
電界を形成すると共にエアスプレーガン１を回転させた
状態にして、塗料ノズル３（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）より流
出した塗料を霧化用エアノズル５（５Ａ，５Ｂ，５Ｃ）
から流出させた霧化用エアで霧化し、霧化された塗料粒
子８に対してパターン調整用エアノズル７から流出させ
たパターン調整用エアを衝突させることによって霧化形
状を調整し、針状電極９（９Ａ，９Ｂ，９Ｃ）との接触
によって例えば負に帯電させた塗料粒子８を被塗物１０
に付着させてスプレー塗装を行う。

【００２０】この実施例のスプレー塗装においては、従
来例におけるスプレー塗装に対して、表１に示すような
異なる条件のもとで実施した。

【００２１】

【表１】

【００２２】表１に示した結果より明らかなように、本
実施例の場合には正三角形の頂点となる位置の３箇所に
塗料ノズル３（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）をそなえているエア
スプレーガン１を用いることとし、塗料ノズルあたりの
塗料吐出量は６５ｃｃ／ｍｉｎとして合計で従来例と同
程度の塗料吐出量を確保したうえで、霧化用エア圧力を
小さくすることでエア風速を従来例の１５ｍ／ｓｅｃに
対して１０ｍ／ｓｅｃと低減することができるようにし
ているので、塗料の微粒化パターンを変えることなくエ
ア風速を下げることによって、ミスト飛散を少なくして
塗着効率を向上させることが可能となり、色差も満足で
きるものとなっていた。

【００２３】図３は本発明に係わるエアスプレーガンの
他の実施例を示すものであって、このエアスプレーガン
１では、正三角形の頂点となる位置の３箇所に塗料ノズ
ル３（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）をそなえていると共に、各塗
料ノズル３（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ）の外側（すなわち、エ
アスプレーガン１の中心を通る半径方向の外側）にそれ
ぞれ霧化用エアノズル５（５Ａ，５Ｂ，５Ｃ）を形成し
た場合を示している。

【００２４】このような構造のエアスプレーガン１にお
いても、塗料の吐出量を従来と同程度にしそして霧化用
エア圧力を小さくしたときでも、塗料の微粒化を十分良
好なものとすることができ、エア風速を低減することが
可能であってミスト飛散を少なくできることにより塗着
効率をさらに一層向上することが可能である。

【００２５】図４は本発明に係わるエアスプレーガンの
さらに他の実施例を示すものであって、図２に示したエ
アスプレーガン１をさらに小型化したものを１ユニット
のエアスプレーガン部として、２ユニットのエアスプレ
ーガン部１Ａ，１Ｂをそなえた双頭式エアスプレーガン
１とした場合を示しており、このような構造のエアスプ
レーガン１においても、塗料の吐出量を従来と同程度に
してそして霧化用エア圧力を小さくしたときでも塗料の
微粒化を十分良好なものとすることができ、エア風速を
低減することが可能であって、ミスト飛散を少なくでき
ることにより塗着効率をさらに向上させることが可能で
あると共に、作業性の向上や色替え量の低減等がもたら
される。

【００２６】

【発明の効果】本発明に係わるエアスプレーガンは、請
求項１に記載しているように、塗料を流出させる塗料ノ
ズルを複数そなえていると共に、前記各塗料ノズルには
当該各塗料ノズルから流出する塗料を霧化させる霧化用
エアノズルをそれぞれそなえている構成としたから、複
数の塗料ノズルおよびこれに対応した複数の霧化用エア
ノズルをそなえているものとすることによって、ノズル
毎の霧化用エア圧力を低下させたときでも塗料粒子の微
細化が十分良好になされると共に、エア風速が低下する
ことによってミスト飛散が少なくなることにより、塗着
効率をより一層向上させることが可能になるという著し
く優れた効果がもたらされる。

【００２７】そして、請求項２に記載しているように、
塗料ノズルは正三角形の頂点となる位置の３箇所にそな
えているものとすることによって、同じ量の塗料を吹き
付ける場合に塗料ノズル１箇所あたりの塗料の流量は１
／３となり、ノズル毎の霧化用エア圧力を低下させたと
きでも塗料粒子の微細化が十分良好になされると共に、
エア風速が低下することによってミスト飛散が少なくな
ることによって、塗着効率をさらに向上させることが可
能になるという著しく優れた効果がもたらされる。

【００２８】また、請求項３に記載しているように、霧
化用エアノズルは正三角形の頂点となる位置の３箇所に
そなえた各塗料ノズルの外側にそなえているものとする
ことによって、各塗料ノズルから流出する塗料は各塗料
ノズルの外側にそなえた各霧化用エアノズルから流出す
るエアによって十分良好に霧化されるものとすることが
可能となり、請求項４に記載しているように、霧化用エ
アノズルは正三角形の頂点となる位置の３箇所にそなえ
た各塗料ノズルの外側と前記塗料ノズルを間にした内側
にそなえているものとすることによっても、各塗料ノズ
ルから流出する塗料は各塗料ノズルの外側と内側にそな
えた各霧化用エアノズルから流出するエアによって十分
良好に霧化されるものとすることが可能となる。

【００２９】さらにまた、請求項５に記載しているよう
に、塗料粒子に電荷を与える電極をそなえているものと
することによって、エアスプレーガンで霧化された塗料
粒子は例えば負の電荷をもつことになると共に負電極と
なるエアスプレーガンと正（または零ボルト）電極とし
た被塗物との間で形成された静電界中に塗料粒子が飛翔
することとなり、エアの力と静電気の力とによって塗料
粒子を効率良く被塗物に付着させることが可能であると
いう著しく優れた効果がもたらされる。

【００３０】また、請求項６に記載しているように、請
求項１ないし５のいずれかに記載されたエアスプレーガ
ンを１ユニットのエアスプレーガン部として複数ユニッ
トそなえている複頭式エアスプレーガンとすること、例
えば２ユニットのエアスプレーガン部をそなえている双
頭式エアスプレーガンとすることによって、スプレーガ
ンの軽量化，ハンドガン化，色替え量の低減などに寄与
するものとすることが可能であるという著しく優れた効
果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるエアスプレーガンの一実施例を
示す塗装時の縦断面説明図である。

【図２】図１に示したエアスプレーガンの正面説明図で
ある。

【図３】本発明に係わるエアスプレーガンの他の実施例
を示す正面説明図である。

【図４】本発明に係わるエアスプレーガンのさらに他の
実施例を示す正面説明図である。

【図５】従来例によるエアスプレーガンを示す塗装時の
縦断面説明図である。

【図６】図５に示したエアスプレーガンの正面説明図で
ある。

【符号の説明】

１ エアスプレーガン １Ａ，１Ｂ エアスプレーガン部 ３（３Ａ，３Ｂ，３Ｃ） 塗料ノズル ５（５Ａ，５Ｂ，５Ｃ） 霧化用エアノズル ７ パターン調整用エアノズル ８ 塗料粒子 ９（９Ａ，９Ｂ，９Ｃ） 電極 １０ 被塗物

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 塗料を流出させる塗料ノズルと、前記塗
   料を霧化させる霧化用エアノズルと、霧化パターンを調
   整するパターン調整用エアノズルをそなえたエアスプレ
   ーガンにおいて、塗料を流出させる塗料ノズルを複数そ
   なえていると共に、前記各塗料ノズルには当該各塗料ノ
   ズルから流出する塗料を霧化させる霧化用エアノズルを
   それぞれそなえていることを特徴とするエアスプレーガ
   ン。
2. 【請求項２】 塗料ノズルは正三角形の頂点となる位置
   の３箇所にそなえている請求項１に記載のエアスプレー
   ガン。
3. 【請求項３】 霧化用エアノズルは正三角形の頂点とな
   る位置の３箇所にそなえた各塗料ノズルの外側にそなえ
   ている請求項２に記載のエアスプレーガン。
4. 【請求項４】 霧化用エアノズルは正三角形の頂点とな
   る位置の３箇所にそなえた各塗料ノズルの外側と前記塗
   料ノズルを間にした内側にそなえている請求項２に記載
   のエアスプレーガン。
5. 【請求項５】 塗料粒子に電荷を与える電極をそなえて
   いる請求項１ないし４のいずれかに記載のエアスプレー
   ガン。
6. 【請求項６】 請求項１ないし５のいずれかに記載され
   たエアスプレーガンを１ユニットのエアスプレーガン部
   として複数ユニットそなえている複頭式エアスプレーガ
   ン。